第7回経済審議会グローバリゼーション部会議事概要

1.日時:

平成11年5月21日(金) 14:00~16:00

2.場所:

経済企画庁官房特別会議室(436号室)

3.出席者:

(部会)八城政基部会長、糸瀬茂、國谷史朗、高阪章、篠原興、高木剛、田中明彦、ロバート・アラン・フェルドマン、グレン・S・フクシマ、松本大、若林之矩の各委員

(事務局)中名生総合計画局長、川本調整局審議官、高橋総合計画局審議官、牛嶋総合計画局審議官、染川計画官、塚原計画官

4.議題:

  • グローバリゼーション部会報告(素案)について

5.議事内容:

 事務局より前回の審議を踏まえた「グローバリゼーション部会報告(素案)」の修文のポイントについて説明。各委員からの主な意見は以下の通り。

・全体について

  • ○前回のものと比べてかなりコンパクトになり、また読み易くなった。
  • ○全体的によく整理された。世界経済に対するリスクについての章を後ろに持っていくことにより、悲観的な印象があったものが解消された。3,4,5章はそれぞれ、「世界における役割」、「アジアにおける役割」、「我が国の改革」という章立てで読み易い。
  •  ただし、3章の(3)、(5)は5章の「我が国の改革」の部類に入るのではないか。バランスを見ると5章のやや分量が少ないので、改善案として、5章(1)に3章(3)対外的な情報発信の在り方、5章(2)に5章(1)と(2)をまとめた労働市場の在り方、5章(3)に3章(5)の新たな国際経済協力政策の在り方、と直したらもっと分かり易い。
  • ○部会報告の中には、「管理」、「規制」等の単語のうち、仮に英語に直して考えた場合に、判断に悩むような、あいまいな用法がなされているものが数カ所ある。そうしたものは、理解し易く修正が必要。

・「はじめに」について

  • ○グローバリゼーションの定義を「はじめに」に書いたらどうか。また、その定義が「差異の縮小」であるというのならば分かるが、「流れ」という表現はそぐわない。
  • ○定義は非常に難しい。「はじめに」に続く1章の冒頭に定義が有り、構成上も問題ない。
  • ○全体的、また「はじめに」についても受け身的かつ悲観的なトーン。「はじめに」の文章の中に、経済的、社会的、文化的に繁栄できるグローバリゼーションのポジティブな可能性の記述を入れることによって、読者に将来の明るい印象を持ってもらえる。
  • ○グローバリゼーションの可能性は認めるものの、今回のアジア金融危機の過程等を考慮すれば、手放しにグローバリゼーションは万能の可能性を持つとするわけにはいかない。
  • ○明るい可能性の話を入れるとすれば、その後段に自己責任の記述が必要である。そうすると全体的に長くなってしまうので、むしろ触れない方がいい。
  • ○グローバリゼーションのメリットとしての機会の増大を、最初に1,2行程度記述すべき。
  • ○最近の世の中の論調からすれば、グローバリゼーションにはメリットとデメリットがあり、しかも、デメリットの制御の仕方も確立されていない。また、いわゆるグローバル・スタンダードとの関係からすれば、現在は非常に振れの大きい社会といえる。もし、そのメリットを記述するのであれば、併せて、その制御に対する考え方を書くことが必要。
  • ○確かに、デメリットをコントロールできないという問題はあるが、現実に我々は不可逆的なグローバリゼーションの流れの中にある。いわゆるグローバル・スタンダードに関する問題を除いても、非常に大きなグローバリゼーションのメリット(例えば、最新の情報への容易なアクセス、古いシステムが変革するきっかけなど)を享受している。したがって、中長期的に考えてみても非常にメリットが大きく、それをうまく使うために、どう制御したらいいのかという方向性を出した方が報告書のバランスがとれる。
  • ○グローバリゼーションが国民生活に及ぼす影響の現状把握と今後の対応の仕方とは全く違う問題。我が国は明治以来、そういったものをプラスの方向にとらえてきたし、今後もそう捉える以外にはない。例えば、シンガポールはグローバリゼーションの波にうまく乗り、アジアの中核となるべく空港、情報等のインフラ整備を実施しており、主要な発言や各種のレポートにもその意気込みが表れている。
  •  したがって、日本としても、こうしたレポートを通じて、グローバリゼーションのプラス作用を評価し、積極的に利用するぐらいの方向性を出していく必要がある。
  • ○グローバリゼーションについては、当然、プラスにとらえるべき。現実として、その流れの中にあり、プラス、マイナス両面に対して何らかの対処が必要。
  • ○基本的には、原文のままでいい。グローバリゼーションに対しては、各国の識者の間でもその立場によって、賛否両論ある。したがって、事実として受けとめ、中立性を保つべきではないか。
  • ○この「はじめに」は本部会の意味するところとして重要。グローバリゼーションの流れを事実として受けとめ、将来については、そのプラスの面を書いた後に、発生しうる問題に対しての対策を記述していくのがいいのではないか。
  • ○基本的に、そのような形でいい。しかし、リスク要因としてあげられたものについても、ほんの1行でもいいから、その有用性、積極的な可能性を記述した文章を入れないとそのバランスを欠く。
  • ○技術なりノウハウは進歩していく。しかし、その上では何をやってもいいと言うわけではなく、世界においてもその区分けが整備されていない分野が多いので、問題が発生している。その面を考慮すべき。
  • ○第1パラグラフに「人が国を選ぶ時代」という記述があるが、非現実的。
  • ○情報通信技術との関係からみた、今回のアジアにおける通貨金融危機の問題は、通信技術が悪いわけではなく、結果として起こる悪影響を最小限に止めるためにどう制御していくかということ。それはかなり書いてあり、バランスはとれている。
  • ○「人が国を選ぶ」ことは現実的でないし、日本人が海外に移り住むことが目的ではないので、表現としては使わない方がいい。
  • ○グローバリゼーションの進展によって、企業は比較的自由に国境を越えて活動できるようになるが、一方で、人は簡単に国を選べるようにはならないし、今後も国は、社会生活、福祉、雇用問題等を考える際の1つの単位になる。あまりに企業活動の面だけに注目して考えるとバランスを欠く。
  • ○「人が国を選ぶ」ということは、どこに住むかという意味合いもあるが、むしろ、どういう国をつくるかという制度改革の意味合い。

・第1章について

  • ○p.3の1章(2)グローバリゼーションの進展と国内経済社会の変化の第4パラグラフ、「情報の過疎化」について。情報技術の進展により情報格差が生じても、それは過去に比較しての情報量の減少ではなく、過疎化という表現はそぐわない。
  • ○p.3の1章(2)グローバリゼーションの進展と国内経済社会の変化の下線部について。内政干渉を如何に防ぐかという問題を抱えており、これは非常に難問。

・第2章について

  • ○p.4の2章(1)世界経済の発展と安定化を積極的に促進するコア・メンバーとしての役割の第2パラグラフについて。一般論であり、3章の各項目の導入部として、論理的に構成を工夫する必要。
  • ○p.5の2章(3)グローバリゼーションの中で「豊かで開かれた経済社会」を創造について。特に、グローバル・スタンダードという言葉を使わなかった理由は何か。

・第3章について

  • ○p.6の3章①投資に関するルールの整備について。投資する側または投資される側のどちらに立った記述なのかがあいまい。また、投資に係わる問題、例えば、人権と貿易、投資等との関係に対する方向性についても記述していくべきではないか。分量の問題があるのであれば、アンチ・ダンピングのようにカッコ書きで例示できないのか。
  • ○原文のままで結構。ILOは長い歴史を持ち、苦労してきたノウハウを持った機関である。労働に関する問題はILOで議論すべきである。
  • ○p.6の3章(1)②競争に関するルールの整備の「貿易措置(例えばアンチ・ダンピング)」について。こうした記述だけでは、アンチ・ダンピングの問題について理解できない。ただし、私自身、このままではいけないという強い主張ではない。仮に削除したとしても、さらに分かりにくくなるし、このままでもやむを得ない。
  • ○(例えばアンチ・ダンピング)は削除して欲しい。貿易措置の論点としては他にも様々あり、一つだけ例示するのは客観性に欠ける。
  •  また、この点については反対意見があるということを表して欲しい。
  • ○p.8の3章(2)②先進国の機関投資家等のリスク管理改革の第6パラグラフ、「継続的なモニタリング」について。「継続的に」というのは、投資活動に対して、政府が過剰に関与するようなイメージがある。他のもっと適当な表現に変えるべき。
  • ○「継続的に」というのは、常時、目を離さずにというものではなく、例えば、年1回のモニタリングを何年も継続して行うというような意味合いであり、懸念されるような心配はない。
  • ○意味はどちらにもとれるので、誤解ないように、例えば「効果的に」に置き換えたらどうか。
  • ○p.9の3章(2)③開発途上国及び市場経済移行国の自由化プロセスの改革の第2パラグラフ、「監督・規制制度」について。「規制制度」というのは過去のイメージが強すぎることもあり、文意が不明瞭。
  • ○例えば、「市場メカニズムをうまく安全に使わせるために」という意味で「市場インフラとしての監督・規制制度」としたらどうか。
  • ○「金融・資本市場に対する監督・規制制度」は、やはり分かりにくいので、むしろ、「金融システム」という言葉を使ったらどうか。「リスク管理体制」は誰に対するものなのか不明。第一義的には、金融機関自身に対してのものであるべき。「借り手の情報開示」は意図が分からない。
  • ○誰が誰に情報を開示するのか。全てに公開するのであれば良いが、政府が自らの利益のために情報を集めるとしたら問題。「情報開示」ではなく「情報公開」にしたらどうか。
  • ○国によって違っている上場基準等のディスクロージャーの問題ではないのか。
  • ○p.7の3章(2)①国際通貨・金融体制の改革の第1パラグラフ、「管理メカニズム」について。後述の、いわゆるアジア通貨基金と呼ばれるようなものを指すとすれば、「管理」の一般的な意味合いを越えるのではないか。ただし、これに代わるような適語は思い浮かばない。
  • ○あまり英語をカタカナでいれることは好まないが、この「管理」は「マネージメント・システム」という理解で良いのではないか。

・第5章について

  • ○p.15の5章(1)②人のグローバリゼーションに対応した政策の新しく入れたパラグラフについて。雇用の安定性と流動性の確保については、他の部会で議論するということで今回削除したことについては了解。海外に進出した企業が労働力を求める場合に、進出相手国ではなく自国の労働市場に求めるような印象を受ける。これは本来進出相手国の労働市場に求めるべきだし、実際そうしている比率がはるかに高い。表現をもうひと工夫する必要がある。
  • ○p.15の5章(1)②人のグローバリゼーションに対応した政策の最終行、「これらの外国人労働者が働きやすく、生活しやすい環境を整えることが必要である。」について。これは特別に何か施策を実施するということか、その必要があるのか。過剰表現ではないか。
  • ○現代の出島のようなものをつくるのか、それとも、国際学校のようなものをもっと整備していくということか。
  • ○物理的な環境を整えるということよりも、もっと広くとらえるべき。例えば、外国人に対する余分な法規制や届出の廃止等を考えるべきであり、この記述は残しておいた方がいい。
  • ○このままでは特権を与えるような印象を受ける。

・第6章について

  • ○p.18~19の6章のリスク要因の「~問題」という表現について。他のものはともかく「情報通信技術問題」というのはどうか。もっと中立的な表現にするべき。
  • ○簡単に、「問題」という言葉を除いたらどうか。
  • ○全項目を統一する必要もない。
  • ○p.20の6章(4)情報通信技術問題の②リスク対応の方向について。技術上、リスクをなくすというのは無理。むしろ、リスク自体などを広く説明することや事故が起きた際の自己責任を含めた責任分担の明確化が必要で、そうした観点を加えるべきである。

6.今後のスケジュール :

 次回のグローバリゼーション部会(第8回)は6月18日16:30~18:00に開催する予定。

なお、本議事概要は、速報のため、事後修正の可能性があります。

(連絡先)

経済企画庁総合計画局国際経済班

Tel  03-3581-0464