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第5回経済審議会グローバリゼーション部会議事概要

1.日時:

平成11年4月20日(火) 16:30~18:30

2.場所:

中央合同庁舎第4号館官房特別会議室(436号室)

3.出席者:

(部会)八城政基部会長、田中明彦、糸瀬茂、國谷史朗、高阪章、篠原興、下村恭民、グレン・S・フクシマ、松本大、ロバート・アラン・フェルドマン、若林之矩の各委員

(事務局)中名生総合計画局長、川本調整局審議官、高橋総合計画局審議官、牛嶋総合計画局審議官、宮崎経済協力第二課長、大西計画課長、染川計画官、塚原計画官、青木計画官 

4.議題:

・21世紀の経済協力のあり方について

・グローバリゼーション部会報告スケルトン(案)について

5.議事内容:

・21世紀の経済協力のあり方について

事務局より資料1「21世紀の経済協力のあり方」について説明。

 これに対しての質疑応答は次の通り。

〇世界の人口の大半が途上国にいる。21世紀になるともっと増えることを踏まえるべき。

〇途上国にとって明るい展望を持てない状況を覚悟。それはグローバル・イッシュー(貧困、新しいタイプの伝染病、難民、内紛等)が深刻化していくこと、また、グローバリゼーションが負の面もあり、それが途上国に大きな問題になっていくだろうということ。負の面とは、1つはグローバリゼーションの中で途上国が疎外されていくこと、もう1つはその疎外された途上国が金融的な問題に直面すること。

〇基本的な認識として、このように途上国にとってハイリスクな時代になっていくと、経済協力の連携がキーワードになっていく。

〇今、日本が様々な形で経済協力をやっていくことがなぜ必要なのか、という切実感というものが十分議論されているのか。なぜ今日本が経済協力をするのかについて、もっと積極的な理由を打ち出すべき。

〇経済協力は、単に人道的な見地からだけ行っているのか。単に日本が応分の負担をするということでなく、先進工業国が一緒になって経済協力をしていかないと、日本やアジアにとっても、世界が住みにくくなる、危険になる(安全保障面、環境面等)ということを強調すべき。

〇日本は、ODA大綱(政治的な条件)ができて、ここ7,8年、事実として政治的に使ってきている。政治的な立場からODAを使うのは必要だが、とりわけ日本のポジションやアイデンティティのために使われることが多い。今後も有用なものとして認識していくのか、また、短期の政治的な使い方がどのくらい役に立っているのか、という評価も必要な時期に来ている。

〇経済協力の関係省庁が19とあるが、これに関し改善する余地があるか。

〇経済協力に関連する19省庁については、それぞれの省庁が技術協力、特に専門化を派遣したり、受け入れたり、ということが絡むため。

〇日本は経済インフラに重点を置いている。他の国は社会インフラ或いはプログラム援助等に重点を置いているように見える。なぜ、日本は経済インフラに重点を置いているのか。

〇経済インフラのウェイトが大きい点については、日本は円借款のウェイトが他の国に比べ多い。円借款は最近いろんな分野に広がっているが、経済インフラに関するものがまだ比較的高いため。

〇日本の経済援助は資金的には多いがソフトの面(人材、アイデア等)で改善の余地があると一般的に言われているが、その点に触れてないのはなぜか。

〇ソフト面の役割は、コンサルティング機能も不十分であり、また人材も含め経済協力の層は薄く、ソフト面の充実の問題は非常に重要。

〇日本の経済援助に関する理念、哲学というものをもう少しはっきり書くべき。PRも海外にしていくべき。

〇全国民挙げての取り組みをどう作っていくか、ということが重要。

〇国策とか戦略性というものを出す部分と、人道的なものを出す部分とを明確に分けて、意識的に使っていくべき。

〇各国が、経済援助をどういう目的意識を持って行い、どういう効果があったかという検証の比較をして欲しい。

〇グローバル化の中で援助を考え直す必要性は2つ。1つは、グローバル化が進展していく中で、南南格差が拡大していること。もう1つは、先進国側の財政的な問題が深刻化し、援助に使えるリソースが減ってきていること。そういうことを受けて、どういう効率的な国際協力のシステムを、我が国の立場から組むか、を今考えている。

〇リソースが限られてきているということは、基本的には経済発展の資源、特に資金の移転をどうやってやっていくか。

〇公的なフローが先細りになり、途上国は必要な額が巨大になっていく、こういった資源上の制約がある中で、ますます援助の再配分に果たす馬力はなくなってきている。しかしながら、民間のマーケットメカニズムだけではリソースがうまく移転しない分野があり、むしろ、そこに特化していくことが、これから求められていく国際協力のあり方であり、公的援助の役割である。

〇人的資源・経営資源の不足の問題、リスクの負担の問題、グローバル化が進む一方でローカルな情報がわからない、それをどうやって補うかという問題、自国の情報不足・資源不足をどうやって満たし、実現していくかという問題、これらの問題を公的部門でコーディネーションするという役割が非常に重要になってきている。

〇民間と公的部門の役割分担(リスク負担)において、どういうルールを作るのか。これをクリアにしないと、援助の効率化の問題、リソースの不足の問題を前提にした、公的な国際協力の枠組を考えられない。それがグローバル化の流れの中で要請されている国際協力の在り方に繋がってくる。

〇「国民参加型の援助の推進」が、もっと強調されていいのでは。経済協力というものをもっと国民に身近なものとすることが重要。

〇日本のNGOが国際機関と協力していろんな仕事ができるような、また民間資金、一般個人の資金を導入できるようなシステムを作っていくことが必要。

〇アジアがドルにリンクしていたので、アメリカはアジアのものをよく買ってくれていたが、結局日本は買っていなかった。それがアジア通貨危機の背景の1つだという議論がある。21世紀の経済協力を展望するのであれば、日本は実際にアジアから製品を買うという視点の議論が必要である。

〇政治的手段としてのODAについて、日本のODA大綱の原則は、いろいろな留保条件(国連憲章の諸原則、総合的に判断等)をつけながら、かなりソフトな政治的コンディショナリティーという役割を担っている。

〇大綱の運用については、いろいろな理念、日本の国益・アイデンティティーを総合的に判断しながら、全体としてはうまく運用している。徐々にソフトな政治的コンディショナリティーから、思いきった手段として使うようになっている。これは非常に新しい、重要なテーマであり、引き続き検討していくべき。

・グローバリゼーション部会報告スケルトン(案)について

事務局より資料2「グローバリゼーション部会報告スケルトン(案)」、資料3「グローバリゼーション部会報告スケルトン案に関する追加論点ペーパー(案)」について説明。

 これに対しての質疑応答は次の通り。

〇リスクは、先ほどの伝染病や難民に関連するが、食料問題がかなり大きい。心配は、エネルギー問題と環境問題であり、この2つの密接な関係を忘れずに考えないといけない。

〇コミュニケーションについては、言葉の問題でなく、論理の問題。英語能力をアップさせることよりも、むしろ外国人と話す時に論理構造を整えてから話す、ということが重要。

〇国際コミュニケーション手段としての日本語を海外でも利用範囲を広げることについては、無理。たとえば通貨の話として円の国際化の話もあるが、皆が使えるからコミュニケーションとして使えるわけで、無理やり増やすのは無理。

〇海外から日本にいろんなアクセスが来るようになる前に、まず日本の中でいろいろな考え方が自由に作られて、発表できるような風土を作るべき。日本は未だライン的発想が強く、なかなか新しい考え方が表に出にくい。そういったことをまず直していくべき。

〇具体的には、日本は民間企業も、監督官庁の構造に似せている部分が随分あるので、まず官庁の方から変わるべき。

〇スケルトン(案)には、移民受入れについて検討を進めることが望ましいとあるが、移民の受入れについては、国民的コンセンサスがあるのかどうか認識したうえで、検討を進めるべきである。

〇我が国の社会を開かれたものとするために、外から人を受け入れるだけでなく、もっと日本人を積極的に海外に出していくという考え方も重要。

〇移民を受け入れることで、本当に国民福祉の向上や国際貢献につながるのか。例えば、移民を受け入れることで、高齢者や女性の就労が阻害されたり、労働市場の二重構造を生むといった問題がある。また、国際貢献については、OECDでは、途上国に雇用を創出するほうが重要であるという認識をしている。

〇外国人労働者の受入れについては、プラスの面とマイナスの面を両方提示し、計画期間をかけて国民が真剣に議論していけるようにすることが必要。最初から受け入れるという立場で、国民のコンセンサスを得ようとすべきではない。

〇専門的・技術的労働者については積極的に受け入れていくべきであって、その環境整備をより推進していくべき。

〇難民については、ベトナムの経験等を踏まえ、積極的に受け入れる姿勢を打ち出すべき。

〇コミュニケーションについて、日本国内での英語教育(表現方法など)の方に重点を置くべき。日本語は難しいからこそ、人為的な援助が必要であり、外国ではそういうインセンティブがない。

〇豊かで開かれた経済社会について、何らかの具体的な目標(例えば、直接投資額、留学生等)を立てなければ、総論的な話で終わってしまう。

〇「世界のシンクタンク」というものは、一枚岩的な発想に結びつく。むしろ多様性を強調し、競争・理論を促進するためには、他の表現を使った方がよい。

〇アジアの危機管理を制度化する機関を新しく作るべき、或いはそれを重要な課題として検討を続けよう、というところまで踏み込むべき。

〇日本語を学びたいという欲求はASEAN諸国において、無視できないくらい強い。それに対し、日本は組織的な、公的な格好では答えていない。大きな予算を日本語のために使うことは、国策としてよいこと。

〇「世界のシンクタンク」が一枚岩的な発想に結びつく、という意見には反対。

〇グローバル化の一方で、リージョン、ローカリティとのコンフリクトは大きくなっていく。文化・論理の構造は多様性があり、それがたった1つに収束していくことは困難。

〇危機管理の在り方として、ポリティカル・ストラクチャーまで踏み込んだ形の構造調整の在り方を、IMF等のマルチな機関がやることに対するチェック・アンド・バランスを考える必要がある。

〇日本が21世紀に向かって進んで行く時の重要な目標は、1人当たりにどれだけ豊かさ、所得、資産が成長していくかということ。そのためには生産性を上昇させる必要があり、移民の受け入れはそのモチベーションを損なう。いわゆる単純労働者の不足に対しては、労働節約的な技術改革、投資を促進することが必要。

〇移民・外国人労働者を多く受け入れることは、現状の比較優位構造を固定化するように作用するので、経済構造を改革し、生産性の上昇を目指す考えに矛盾する。

〇送出国においても、生産性を上昇させていくためには、人材の育成、確保が重要であり、我が国が移民・外国人労働者を多く受け入れることは、送出国の人材が流出し生産性の上昇を阻害することになる。

〇生産性の上昇のためには人材の育成が不可欠で、言語能力・コミュニケーション能力の育成という視点が重要。

〇地域紛争のリスクについて、東アジア地域での軍事衝突時の経済的コストの計算などは必要ではないか。

〇世界において言語と言語はコンペティションである。人類の言語能力のためには、世界諸言語が競争しないといけない。日本語を強くするということは、日本人がやったらいい。日本人が英語がうまくなることは必要なことだが、その前提としては、日本語が強くならなければ、習う気は起きない。この点ではややナショナリスティックに頑張る必要がある。

〇移民の問題が含んでいる複雑なインプリケーションを十分に分析・調査せずに方針を打ち出すのは、極めて危険であり慎むべきである。

〇国際コミュニケーションは、1つの考え方に収斂していかなければならないという脅迫観念が出てきている。大事なのは、多様な文化的背景を持った人々の感じ方に耳を傾ける感性を養うこと。

6.今後のスケジュール :

次回のグローバリゼーション部会(第6回)は5月14日14:00~16:00に開催する予定。

なお、本議事概要は、速報のため、事後修正の可能性があります。

(連絡先)

経済企画庁総合計画局国際経済班

Tel  03-3581-0464

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