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グローバリゼーション部会(第4回)

議事録

時:平成11年4月9日

所:官房特別会議室(436号室)

経済企画庁


グローバリゼーション部会(第4回)議事次第

日時 平成11年4月9日(金)14:00~16:00

場所 官房特別会議室(436号室)

  1. 開会
  2. 議題 国際的な労働移動への対応について
  3. 閉会

(配付資料)

  1. 資料    移民・外国人労働者に関する論点ペーパー
  2. 参考資料1「国際的な労働移動に関する調査」報告書概要
  3. 参考資料2「経済社会のあるべき姿」に対する国民各位からの意見

グローバリゼーション部会委員名簿

部会長
八城 政基  シティバンクジャパン会長
部会長代理
田中  明彦  東京大学東洋文化研究所教授
糸瀬   茂  宮城大学事業構想学部助教授
國谷  史朗  弁護士
高阪   章  大阪大学大学院国際公共政策研究科教授
篠原   興  国際通貨研究所専務理事
下村  恭民  政策研究大学院大学教授・埼玉大学教授
高木   剛  ゼンセン同盟会長、連合副会長
中西  輝政  京都大学総合人間学部教授
浜   矩子  株式会社三菱総合研究所経済調査部長
ロバート・アラン・フェルドマン  モルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト
グレン・S・フクシマ  アーサーD・リトル(ジャパン)株式会社取締役社長
松本   大  ゴールドマン・サックス・グループLPリミテッド・パートナー
若林  之矩  労働福祉事業団理事長


 

〔 部会長 〕 それでは、時間になりましたので、ただいまから、第4回のグローバリゼーション部会を開催させていただきます。

 本日は、ご多用中のところご出席いただきまして、ありがとうございます。

 それでは、本日の議題に入らせていただきますが、今日は、国際的な労働移動への対応に関しまして議論をさせていただきたいと思っております。まず、これに関連いたしまして、事務局で委託研究調査報告を用意しております。

 初めに、ご報告の紹介においでいただきました方々をご紹介申し上げます。報告を取りまとめていただいた研究会のA座長がご出席でございます。同じく、B座長代理がご出席でいらっしゃいます。さらに、三井情報開発株式会社総合研究所のC主任研究員がご出席でございます。皆さんどうもありがとうございます。

 もう一つ加えてご説明しておきますが、予め皆様のところに、「『経済社会のあるべき姿』を考えるに当たって」というのが案の形で送付させていただいておりますが、これは企画部会を中心に、「新たなる時代の姿と政策方針」の基本的考え方について大きく方向性を示し、広く国民の意見を聞く必要があるとの観点から、委員の皆様方のご意見等をまとめたものでございます。

 今後、基本理念委員会、企画部会の名において一度公表し、各方面の意見を伺うことになっております。本日の議題であります国際的な労働移動に関しましても言及されております。

 それでは、それらを踏まえました論点につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

〔 事務局 〕 それでは、お手元の資料に基づきまして、本日の論点についてご説明させていただきます。「第4回グローバリゼーション部会 論点ペーパー」というものでございます。

 今、部会長の方からご紹介がございましたように、基本理念委員会と企画部会の方で、「『経済社会のあるべき姿』を考えるに当たって」ということで取りまとめを行っておりまして、現在作業中の新しい計画の基本的考え方について方向性を示して、広く国民の意見を聞こうというものでございます。

 その現在準備されております案の中におきましても、今日ご議論いただきます国際的な労働移動の問題について言及がございます。お手元のペーパーの四角に囲ってあるような表現で国民に問いかけを行い、いろいろな意見を伺おうということでございます。本日の「論点ペーパー」は、この内容に沿って論点が準備してございます。

 7つほど準備してございますが、まず第1点は、「労働力人口の減少と移民・外国人労働者」ということであります。移民や外国人労働者につきましては、これから人口減少時代に入るわけですけれども、労働力を量的に確保し、経済成長を追求するという理由から受け入れる必要がないと考えてよいのか。あるいは逆に、労働力人口の減少をある程度緩和するために受け入れる必要があると考えるべきなのか。もしそうであれば、移民・外国人労働者の受入れの量的なテンポはどのように考えればいいのか。この量的な問題については、後ほど報告書のご紹介のときに、日本、あるいは諸外国の状況について簡単なご紹介があるのではないかと思っております。

 さらに、後者の考え方を進めまして、少子高齢化の中で、労働力人口を減らさないということを目標にするということはどうか。もしそうであれば、女性や高齢者の活用を促進しても減少する分の労働力人口については、移民の受入れ、あるいは外国人労働者の受入れ拡大によって対応することになるわけですが、そういうことについてどう考えるかということであります。

 第2点でございますが、「労働力不足分野と外国人労働者」ということでありまして、今後、労働力人口が減少していく中で労働力不足が予想される職種、幾つか考えられるわけでありますが、そういう分野で外国人労働者の受入れを拡大することは、日本の国益にもなりますし、また、送り出し国の利益にもなる。双方の利益につながるものと考えられないだろうかという点であります。

 第3番目の論点は、「途上国への貢献と外国人労働者」ということで、途上国への技術移転、あるいは日本文化を広めていくという観点からも、従来からやっている、外国人の留学生、研修生等の受入れ拡大に加えまして、外国人労働者の受入れ拡大も有効な方策の一つと考えられるのではなかろうかということであります。

 第4番目の論点でありますが、「多様な発想と移民・外国人労働者」ということであります。今後ともグローバリゼーションは一層進展していくと予想されるわけですが、そういった21世紀の地球社会の中で、我が国経済社会が様々な環境変化への適応能力を向上させていくためには、経済社会の内部に多様性の芽を育んでおく必要があるのではないかということであります。こうした観点に立って、我が国の企業社会並びに地域社会における多様な発想への貢献という面で、移民の受入れ、ないし外国人労働者の受入れ拡大は大きな役割を果たすことができるのではなかろうか。こういった点についてどう考えるかということであります。

 第5点目は、「社会的統合の課題」ということでありますが、異質の文化を持つ外国人の受入れということで、開かれた国を構築するということが進む一方で、様々な問題点も生ずることも考えられるわけで、必要となる社会的統合の課題は何であろうかということが一つの論点になろうかと思います。

 また、6番目でありますけれども、外国人労働者・移民からの本国への送金、あるいは海外直接投資と移民・外国人労働者との関係ということであります。今後、移民・外国人労働者の数が増えることになりますと、それぞれその人々による本国への送金は、ある程度、我が国及び送り出し国に対して影響を与えることが考えられるわけですが、それについてどのように考えるのかということであります。

 また、移民・外国人労働者について、受入れの程度が低いということが、直接投資がなかなか日本にこないということとも関係しているのではないか。あるいはそういうことについてどう考えるか。これから移民・外国人労働者の受入れを拡大していくということは、そのことが直接投資を我が国に呼び込むことにつながっていくのではないかということでございます。

 7番目の論点として、全体総括した論点でございますが、我が国はアジアに位置しているわけですが、アジアにおける労働力移動の今後の動向、あるいは今述べました1~6までの論点についての検討を踏まえて、今後の我が国の移民・外国人労働者政策の方向性はどうあるべきかということでございます。

 以上、7つの論点を準備いたしましたので、適宜これに沿ってご議論いただきたいと思います。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、次に、A座長よりご報告をお願いいたしたいと思います。

〔 A座長 〕 それでは、お手元の参考資料1の「経済企画庁短期集中委託調査中間報告概要「国際的な労働移動に関する調査」」というペーパーをもとにご報告させていただきます。

 ただいま事務局の方から「論点ペーパー」が出されましたけれども、今日ご報告申し上げるのは、今の「論点ペーパー」のとおりにでき上がっているわけではございませんで、若干触れている部分といない部分と、濃淡がございますので、その辺に関してはご容赦願いたいと思います。なるべく読み上げるような形で進めてまいりたいと思います。

 この調査に関しましては、まず第1に「目的」を書いてございます。グローバリゼーション部会での議論に資することを目的に、「多様で開かれた社会」の構築、少子高齢化への対応の観点から、今後の移民・外国人労働者受入れ政策の方向性を検討したと書いてございます。

 そこで、この委員会では、いろいろと議論をした中で、現状認識をいくつか持ちました。それを大ざっぱにまとめますと多分4点ぐらいになるのではないかと思っております。これはこのペーパーには出ていない面でございます。

 まず第1に、世界の経済が、冷戦構造が終結することによって、いわば旧東側諸国が西側諸国と同じような経済の中に組み込まれてくる。そこで非常に大きな競争が行われ、経済活動が相互に依存関係を非常に深めていくというのが第1点であります。

 2番目の認識としては、アジアとの共存をこれからどうしても考えなければいけないのではないだろうかという点でございます。これは資本の問題、その他、人の問題、いろいろなものを含めた上でのアジアとの共存が今後求められるであろうというのが、第2番目の現状認識でございます。

 第3番目は、振り返って日本の国内を見た場合に、少子高齢化の問題が非常に多く取り上げられていて、この問題に対する取組みが今後とも大きな問題になっていくだろうという点。

 そういう観点を踏まえた上で、4番目の問題として、開かれた社会を構築するに向けて、国際的な労働移動に関しても本格的に論点を整理し、いわば若干外国人労働者問題の議論が熱がさめているところで、冷静になって考えてみる非常にいい機会であろうといった現状認識を持ちました。

 以上が調査研究をまとめるに当たっての現状の認識の大ざっぱな点でございます。

 2の「検討の視点」に移らせていただきます。今申し上げたような現状認識を踏まえた上で、移民・外国人労働者問題の受入れの方向を検討する場合に、我々としては次の4つの視点を設定して検討してまいりました。

 まず、「企業の活性化にとってどのように評価しえるか」ということが第1点でございます。我が国の企業活動の効率化、あるいは付加価値創出能力、あるいは高付加価値を生むような企業活動の向上にとって、どのように移民・外国人労働者の受入れは評価しえるのか。また、企業組織において意思決定と人材評価の透明化、即ち企業レベルで見た開かれた社会というものにとっては、どのように評価しえるのかということです。

 第2点は、「地域社会における受容力という側面からどのように評価しえるか」という点でございます。地域レベルで見た「開かれた社会」とはどういうものかということを考えた場合に、それは市民の安全と福祉のレベルを担保しながら、様々な価値観、あるいは思想を許容する差別と偏見のない社会を目指すということではないだろうか。その開かれた社会にするためには、どのような社会的な土壌が必要なのかといったことが、第2点でございます。

 第3点は、「我が国の経済的発展からどのように評価しえるか」という点でございます。我が国の経済が世界的なプレゼンスの維持、あるいは世界の経済を牽引するといったこと、そして少子高齢社会に対応する、我が国産業の構造転換、あるいは高度化という側面から見た場合に、どのように評価しえるのかという点が第3点でございます。

 第4番目の視点としては、「アジアの経済的発展からみてどのように評価しえるか」という点でございます。アジア経済圏の形成、あるいは各国における雇用の創出、技術の移転、域内の産業ネットワークの構築などの観点から見て、どのように評価しえるか。

 以上の4つの視点から、この問題を検討してまいりました。

 2ページにまいりまして、国際労働移動に関する我が国の対応として、検討結果をご披露申し上げます。

 この問題に入る前に、5ページの別紙をご覧いただきたいと思います。この研究会で扱った言葉の定義、おおよその範囲がこの別紙で示されております。ここで若干、検討結果をご披露する前にこの点をご説明申し上げます。

 まず、【1】に「移民労働者・外国人労働者の定義」と書いてございますが、これはこの委員会で定義した移民労働者・外国人労働者の定義でございます。委員会では、外国人労働者と言う場合には、ここに書いてございますように、母国への帰国を前提として受入れ国に入国する労働者(受入れ国での永住権を持たない)を外国人労働者と定義いたしました。移民労働者の場合には、受入れ国での永住権を持つような労働者を移民労働者と呼ぶ、と定義いたしました。

 【2】の移民に関しまして、受入れ方式からみた場合に移民にはどんな分類があるのかということを書いてございます。これも非常に大括りの議論ではあるのですけれども、2つの方式を提示してございます。まず第1の方は、伝統的な移民国の方式で、毎年数量枠を設けて外国から移民を受け入れるという方式でございます。もう一つの方式として、西欧諸国で行っている方式と書いてございますが、既に受入れ国に滞在する外国人に永住権や国籍を付与することによって、その人たちが移民になるということであります。この2つの種類の移民があるであろう。今後議論するに当たって、この分類に従って、移民労働者・外国人労働者の定義、あるいは受入れ方式から見た移民の分類に従って、議論を進めるということにいたしました。

 次に、我が国ではどういう状態にあるのかということが【3】で書いてございます。我が国においては、職業及び活動別に見て外国人労働者の就労可能性は法令で定められております。基本的には、職業区分の最初の欄にあります「専門的・技術的職業」というのが一方にありまして、もう一方で、職業区分では一番下にありますけれども、「いわゆる単純労働の職業」。こういう2つの種類を想定しております。しかし、今回の議論では、これだけでは少し議論が深まらないということで、【3】にございますように、「専門的・技術的職業」と「いわゆる単純労働の職業」の間に、中間的なものとして、「専門的・技術的職業といわゆる単純労働の職業の中間にある職業」を設定いたしました。さらに、専門的・技術的職業とは性格の少し違う「外国人の特性を生かした職業」を別の欄で設けてございます。

 それで、この【3】の表は、活動という欄が右にございますが、そこに○、×が記入してございます。これは注1)にありますように、○は現行の制度で認められているものであります。×は現行の制度では認められていない活動ということになっております。専門的・技術的な職業に関しては、横へいきますと、○印で教授、芸術、宗教、報道等々、在留資格に該当する活動をすることが可能であるとなっておりまして、×としては、資格取得又は実務経験を前提とする専門的職業サービスであって上記の在留資格に含まれない活動は、現行の法制度では日本では就労できないことになっていると読んでいただければよろしいかと思います。今回の研究会では、この別紙にありますような【1】、【2】、【3】の区分に従って、その区分を念頭に置きながら議論をしたということでございます。

 では、本文の2ページに戻りまして、検討結果をご報告申し上げます。3の「国際労働移動に対する我が国の対応(検討結果)」の1)「移民受入れについて」。先ほどの移民の定義がここで生きてまいりますが、我が国で一定期間以上合法的に就労し、今後もその能力を発揮して我が国と周辺諸国との関係発展に寄与できると期待される外国人に対し、その国籍を維持しながら、我が国で就労し滞在するための安定的な地位を付与することを検討すべきである。この一環として、永住や帰化手続きの透明化を図り、希望する外国人が一定要件を満たせば、永住権や国籍の取得が現在よりも円滑に行われるようにすべきである。

 なお、伝統的移民国の移民受入れ方式、これは先ほどの別紙の【2】に書いたことでございますが、この移民受入れ方式によって我が国が移民を計画的に受け入れるという方法は、我が国社会に及ぼす影響が大きく、しかも、非常に高いリスクを伴うことから、慎重な検討が必要であり、現時点では推奨することはできない。

 2)「専門的・技術的職種の外国人労働者受入れについて」。これは別紙の【3】にありました職業分類のことを指しております。我が国企業活動の効率化、高付加価値化、新規事業への進出等、産業の構造転換のためには、専門的・技術的労働者の受入れを積極的に進めなければならない。

 ここで、資料編の3ページの図3をご覧いただきたいと思います。「就労を目的とする在留資格による新規入国者数の推移」というグラフがございます。このグラフで、先ほど専門的・技術的と申し上げているのは、例えば平成9年の棒グラフの横に書いてございますけれども、技能、企業内転勤、技術、人文知識・国際業務といった仕事についておられるような人々を指しております。

 ところが、この棒グラフをご覧になってすぐおわかりになると思うのですが、我が国へ新規に就労を目的とする在留資格を持って入国された人の非常に多くが、実は興行という在留資格で入っておられる。この興行自体は、長い歴史もあって、それから、先ほどの別紙の【3】では、外国人の特性を生かした職業としてエンターテイナーの活動を主力とするのですけれども、ここが大きくなっているということが実は問題であり、今後、専門的・技術的な職業に関して人を多く増やす上では、技能、技術、人文知識・国際業務等の人たちをたくさん増やすことが必要ではないかということを述べているわけでございます。

 また本文の2ページに戻りまして、特に東アジア地域との間では、長期的な視点から人材育成と交流のためのパートナーシップを形成する必要があると考えます。外国人留学生の受入れ拡大のための制度の整備、海外の大学生の日本企業でのインターンシップの機会拡充、卒業後の我が国国内での就労支援などが求められています。また、東アジアにおける国際的な人材斡旋ネットワークの形成についても検討すべきであろうといった結論になっております。

 次に、3)「その他職種の外国人労働者受入れについて」。これに関しましては、先ほどの別紙で言いますと、専門的な職業といわゆる単純労働との中間部分ということになろうかと思います。現在、我が国が積極的に受け入れている専門的・技術的労働者と、受入れには慎重に対処するとしているいわゆる単純労働者の間に、中間的な労働者(職業)が存在する。この中間的な職業に従事する労働者の受入れは、我が国の技能実習制度を充実・発展させるなど様々な方法で拡大することが可能であり、また、アジアへの技術・技能の効果的移転の観点から検討すべきものである。

 ただし、受入れ国という立場で我が国と欧州諸国を比較した場合、我が国の特色の一つとして、周辺に巨大な人口を有し、かつ経済的に発展途上にある国が多いという点が挙げられる。我が国との就業機会の格差、賃金格差をインセンティブとして、巨大な潜在的な流入圧力が存在していることに留意すべきである。

 この点に関しましては、資料編の2ページの図2で、「アジア主要国の人口・1人当たりのGDP」を地図の上にプロットしております。これは日本を中心にしまして、日本の1人当たりGDPを1、日本の人口を1とした場合に、韓国、中国、その他の国ではどのようになっているかということを例示したものでございます。

 ここで特徴的なことは、例えば日本の人口を1とした場合に、中国では9.66、バングラデッシュは0.97、インドネシアが1.57。さらにインドでは日本の人口の7.52倍。また、1人当たりのGDPで見ますと、中国、バングラデッシュ、インドネシアといった国々が、かなり日本とは大きな格差がある。これについて、例えばヨーロッパの場合ですと、ヨーロッパの受入れ国の場合に、受入れ国の人口の方が大きい。GDPの格差にしても、日本と周辺諸国との格差ほど大きくはないといったことがある。その点留意すべきであろうと述べております。

 本文の2ページに戻りまして、日本人との競合を避けるため、失業情勢の悪化など労働市場の変化に対応して、上陸許可の停止等の適切かつ迅速な処置が講じられるよう入国管理制度の機能を拡充し、併せて、政府内で円滑な連携を確保する措置について検討すべきであると書いてございます。

 この流入規制に関しては、資料編の4ページの表1に、いろいろな方式があるということを書いてございます。表1は、外国人労働者の流入規制を、労働市場の反映という観点から大きく分けて4つに整理したものでございまして、資格要件適合を考えるような流入規制の場合、労働市場のテストをする場合、数量割当の場合、職種別の就労禁止を謳っているような場合。これを1つだけでなく、それぞれの国がそれぞれの条件に応じていくつかを組み合わせているということではないかと思います。

 本文の3ページに戻りまして、4)で「外国人に対応した社会保障制度と地域における社会的統合の促進」と書いてございます。外国人労働者に対して、我が国社会保障制度が有効に機能するよう、外国人に対する緊急医療制度を早期に確立し、外国人が脱退一時金制度を利用しやすいように年金制度を改善するとともに、企業内転勤者以外の外国人労働者の雇用保険への加入を徹底するなどの措置を講じるべきである。

 また、「開かれた地域社会」構築に向けて、政府としては、地方自治体からNGOに至る関係諸団体における外国人の社会的統合のための活動を支援・促進するため、教育、保健衛生、住宅、人権の擁護などの活動状況をモニターし、必要に応じ、助成・支援策や法制度の整備・改善を図ることが求められる。

 次に、5)で「アジアにおける国際労働力移動に関する連携強化」。我が国と周辺アジア諸国との間で既に行われている国際労働力移動と外国人政策のモニタリングを継続・強化するとともに、政策交流を促進させていく必要がある。

 また、不法就労対策については、海外の関係機関との連携により、人権に配慮しつつ予防から摘発に至る効果的な施策を強化、拡大する必要がある。

 なお、アジア諸国に対する直接投資やODAの実施に当たっては、地域内格差の是正や無秩序な労働力流出防止という側面にも十分に配慮する必要がある。

 大きな4番目の「政策決定にあたって」の1)「主体的選択の重要性」。労働力の国際間移動は、受入れ国にとっては異文化の移入と同じ意味を持つ。我が国で移民・外国人労働者の受入れ拡大を考える場合、それが我が国の姿、文化、さらには日本人という概念自体に長期的に大きな影響を与えていくことになるので、我が国のこれからのあるべき姿とあわせて、国民各階層が議論を尽くし、国家・国民の主体的選択によって対応を決断すべきである。

 この点に関しましては、5~9ページに表2、表3、表4と、欧米やアジア諸国において外国人・移民に対する施策を例示してございます。表2では「欧州における移民・外国人労働者施策の動向」。表3は「米国・アジアにおける移民・外国人労働者施策の動向」の整理をしておりまして、施策変遷の経緯や施策の特徴、問題点、最近の動向などをここで整理しておりますので、ご参考にしていただければと思います。

 さらに、表4、表5では、アメリカの移民割当枠(97年)に関して、アメリカでは移民割当てをどのように行っているのかということの導入部分、非常に初歩的なことではあるのですけれども、数値、あるいは対象、優先順位などに関することを示しております。

 本文の3ページに戻りまして、2)「多元的な価値を認める社会の構築」。様々な価値観、思想が市民権を持つ「開かれた社会」を構築できれば、異質の人間の交流の中から「新たな文化」が生み出される可能性が高まり、我が国が21世紀の世界の平和と発展に重要な役割を担うための条件整備に資するものと考えられる。

 一方で、異質の人間と共生していくためには、それに伴う社会的コストへの対応を明確にするとともに、マイノリティーに対する社会的包容力などの社会的・精神的土壌が醸成されていることが大前提になる。

 4ページにまいりまして、特に、移民受入れという政策への転換を検討するに当たっては、以上の点を十分念頭に置いておく必要がある。

 3)で「政策決定プロセスの透明性の確保」。労働力の国際間移動に関する政策の変更は、国民のあらゆる階層に影響が及ぶことになることから、国民各層での十分な議論が必要である。したがって、政策決定に至るプロセスをできる限り透明にし、十分な情報開示を行いつつ検討を進めることが必要である。

 以上が、我々の委員会で検討いたしました結果でありまして、私の報告を終わらせていただきます。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。

 それでは、審議に入りたいと思いますが、事務局からご説明のありました「論点ペーパー」と、ただいまA座長からご報告のあった両方について、ご自由にご意見、ご質問をいただきたいと思います。

〔 D 委員 〕 

 このテーマについては、アラカルト方式で、望ましい人々を受け入れるためにはどのようにすればいいかといった形で議論が展開している側面があると思いますけれども、それについて、そもそもそういう人たちが来てくれるような状況が今日本において形成されているのか。またそういう人たちが入ってきたときに、どのような自己展開を許す土壌があるのかという問題があって、もう少し別の観点から議論をしていくやり方があり得るテーマではないか。

 つまり労働力不足に対応して、そこにマッチしたものを受け入れる。あるいは、才能が不足しているところに外国人労働者をはめ込んでいく。そういうことができるようにするためには何をするのかという発想で考えていると、あまり発展性のある、開かれた、多様性のある社会になっていかないような気がするのです。いわばそういう労働力が不足しているものを埋める一つの外国人のまとまりがあり、タレントの不足を埋めるまとまりがあり、そういう人たちが日本の社会の中にきちんと位置付けを持っていくことができないのではないか。

 例えば英国における外国人労働者、ないし非アングロサクソン・イギリス人たちの位置付けのことを考えてみると、こういう人たちをどのように開かれた多様な社会の一部として有機的に取り入れていくかということは、きちんとした回答が英国においても出ていない部分であると思いますし、そういう人たちの利害をどう代表していくのかということについても、きちんとした体制はできていない。

 ですから、この議論は海外の事例も含めて、もう少し具体的なイメージを持ちながら議論していかないと、非常に形式論議になってしまうのではないかという気がしております。

 それからもう一つ、これは問題提起になりますけれども、今シンガポールでは教育という観点から、外から人を受け入れようとしている。例えばアメリカのジョーンズ・ホプキンズ大学やインシアードの支店のようなものを作って、そこに人を受け入れていく形で、知識産業といった部分でのレベルアップを図るということをやっているようであります。

 これは非常に具体的な目的のために外国人を積極的に受け入れるやり方でありますが、例えばこういうことを今のコンテキストの中で、一つのモデルケースとして考えるのかどうか。あるいはそれを一つのたたき台として考えてみた場合に、日本でどういうことが言えるのかといった議論をしてみてはどうか。

〔 部会長 〕 今日はご欠席されておられますが、O委員のご意見が、別なところで既にお書きになったものが皆さんのテーブルの上にあると思います。今、D委員がおっしゃったことと多少関係があるかと思うのですが、日本では、移民を受け入れるとか受け入れないという議論をするとき、本当に来るだろうかということが書いてあります。つまり日本は非常に来たくないところだということが書いてあり、もし日本の社会を活性化するとか、文化の多様性を高めるとか、あるいは労働力不足を、知的労働者を含めて補うということなら、日本は一体何をすべきかということが課題として提起されている気がいたします。今日ご出席になっていないので、後ででも結構ですのでお読みいただいたらどうかと思います。

 では、どなたでもご意見をどうぞ。

〔 E委員 〕 まず第一印象としまして、外国人労働者、あるいは移民の問題を少子高齢化の話と結びつけることは、はたして正しいのか、という印象を持ちました。グローバル化の話でも、基本的に何となく受身なニュアンスがただようのはあまり好きではないのですが、少子高齢化の話ももっと前向きにとらえる問題ではないかなと思います。

 基本的には将来に向かってどういう国づくりをしていくのか、あるいは国民経済、国民生活をどう作り上げていくのかということを考える場合に、一つのあり方としては、一人当たりの豊かさを実現していくことであり、一人当たりの豊かさを実現していくということは、ある意味では全体としての、一人当たりベースで生産性を上げていくということである。少子高齢化は、ある意味では一つの制約を課せられるということかもしれないが、受入れ国の立場からすればそれをもっと前向きにとらえることはできないのか。

 それから、移民の問題、あるいは外国人労働者を受け入れる問題のポリシーを立てるところに、いくつかの論点が一緒くたにされているという印象を受けました。一つは、労働力不足が一部の部門で顕在化するのではないかという問題。もう一つは、技術移転をどうやって図るかという問題。もう一つは、国民生活を豊かにする、あるいは文化を国際化していくという問題。そういう労働力不足の問題と技術移転の問題と国際化の問題という違ったベクトルを、一緒くたにして議論をしているという印象があります。ですから、ここはむしろ、それぞれ別々に考える必要があるのではないか。

 労働力不足ということと、送り出し国の雇用創出ということに関してまず第1に申し上げますと、それは経済発展に関わります。ヒト、モノ、カネとよく言いますけれども、そのほかにハコというものがあると私は日頃考えております。それは、例えば日本の将来を考えるときには、日本の国民が一つのユニットになっているわけです。そういうネイション・ステートが必ずしもはっきりしていない地域もたくさんあるわけです。それでも一つの非常に便宜的なユニットであることは確かであって、その中での人的資本形成を真面目に考えることをやらないと、雇用が余っているから外へ出すというユニットは、必ずしも人的資本形成に真面目でない、もっとシリアスに取り組む必要があると思いますし、そうすれば逆に送り出される労働者の福利を高めることにもなるのではないか。

 したがって、労働力が足りないところに安い労働力を受け入れるということが、はたして受入れ国の生産性の上昇を高めることにつながるのかどうかということと、送り出し国のネイションの福利を高めていくことにつながっているのかどうかということをもう少し考える必要がある。その場合に、グローバルに見て、ただ低賃金だから雇用の余っているところから足りないところへ動かせば福利が増すかというと、必ずしもそうではない。むしろ一つの発展途上国という枠の中で人的資本形成をきちんとやらなければいけないということに対するモラルハザードを生む。

 それは労働力をどう考えるかという問題で、生産性の上昇を、受入れ国側、送り出し国側、それから、グローバルに考えた場合に、それははたしていいことかどうかという問題である。経済学で言うと生産要素になりますけれども、送り出される労働者の福利ということを考えた場合にも、それもはたしていいことかどうか。

 次に、技術移転の問題であります。今、D委員の方からシンガポールの例を出されました。ビジネススクールがシンガポールに新しい大学、それこそ支店を作って、そこで人的資本形成をやろうとしている。技術移転という場合に、フォワードの技術移転、つまりよりフロンティアにある、ベストプラクティスのものを日本に持ち込んでくるという技術移転と、日本が獲得している技術蓄積をトランスファーしていくというバックワードのものと、2種類あると思うのです。

 前者の方は、多分O委員がおっしゃられている、本当に来るのかという問題に関わる。本当に来るためにはどういうことをしたらいいのか。そういう意味での外国のナレッジ、あるいはスキルドレイバーをどうやって取り込むかという話に関わる。後者の場合には、どういうものが望ましいバックワードの方の技術移転のあり方かという問題であって、これはセクトーラルな労働力不足の解消政策の問題ではない。そこを切り離すべき。

 もう一つのポイントとして、いわば日本が異文化に対して慣れていないという側面がある。それをよく慣れさせるためにも受け入れることが必要だという話はわかりますが、これも移民・外国人労働者を受け入れる、受け入れないという問題ではなくて、むしろ文化の多様化ということをどう、教育システムの中で啓蒙していくかという話であって、これも切り離した方がいいのではないか。

〔 F委員 〕 A座長にまず質問なのですけれども、専門的・技術的職業に従事する労働者が実は非常に比重が少ないということを図の中でもご指摘になったのですが、それが制度上の問題なのかと思って見ると、別紙の5を見る限り、どうも制度上の問題ではないのではないか。それでは何か運営上の問題があるのか。それとも、先ほどから出ているO委員がペーパーの中で指摘しているように、日本に来たくないからなのか、リビングコストが非常に高いからなのか、言葉の問題なのか、制度上の問題なのか、それとも日本が働く場所として魅力がないのか。その辺をご研究の過程でお気づきになったことをお聞きしたいというのが1点です。

 それから、少子高齢化を前提にすると、今、日本はある意味でチャンスがある。それは高齢者の労働力、また、一旦結婚された後の女性や、子どもを産んだ後の女性をどうやって社会に活用するか。そういったチャレンジに取り組むべきところなのですが、その部分をもし移民や外国人労働者だけで代替しようという発想がもし前面に出てきてしまうと、その辺が非常にないがしろにされてしまう危険性があるのではないか。

 ただ一方で、もう少し個別に入って、先ほどの別紙の【3】、生産現場や建設現場の熟練の職種が今のところ×の印になっています。これがもし、単純な労働と資本を組み合わせた産業が恐らく日本を担う産業ではなくなってきて、あえて主役ではないという認識をするのであれば、建設現場に単純な労働を受け入れてもかまわないと思うし、それが日本に及ぼす影響も、来る人数のわりには大きくないのではないか。製造業にしても、逆に選択肢があるわけで、中小企業は別ですが、大きい製造業ならば、逆に人的資源が安いところに会社が移ってしまう選択肢もある。この点はもしかするとさほど大きな問題にはならないのではないか。

〔 部会長 〕 今、F委員からのご発言の最初の点について研究会の方からご意見があれば、どうぞお願いいたします。

〔 A座長 〕 その点も研究会でかなり検討いたしました。そこで出た一つの大きな問題は、我が国の雇用慣行が大企業においてもかなり強固に、厳然としてあるということ。それは外国人にとっては、非常に緩慢な昇進昇格であったり、職域が非常に不明確であったり、権限や責任が分散していて達成感がないといった不満となる。

 それから、日本の企業内では日本語ができないと、いろいろな面でコミュニケーションに困る。日本語の習得はなかなか容易ではなく、習得したとしても、それを活用する範囲が、日本の企業、あるいは日系企業との範囲に限られてしまう、英語とはかなりその辺で通用性が違う。したがって、それだけのコストをかけてペイするか、とお考えの方がかなりいらっしゃるかもしれない。

 3番目としては、キャリアパスとして、日本の企業に勤めたことがあっても、転職するときに、セールスポイントとして日本の企業で何をしていたか、自分の職務はこうです、ということをなかなか示しにくい。よって制度的にはオープンにしているのだけれども、外国の方が喜んで働くには難しいのではないか。

 このようなことを我々の方としては、いろいろな調査等で確認し、問題点をピックアップしております。

〔 部会長 〕 長官がおいでになりましたけれども、しばらく皆さんのご議論をお聞きいただいて、3時半頃に長官から何かご意見があればお話しいただきたいと思います。4時までおいでになるそうですから。

 では、G委員からどうぞ。

〔 G委員 〕 最初に、「論点ペーパー」の箱の中の書き方ですが、「労働力人口の減少を許容するか」と書いてありまして、最初の2行を読みますと、「必要はない」と書いてあり、a)からその後を読みますと、いろいろ必要だなということが書いてありまして、このペーパーを読む限りではよくわからないなというのが率直な印象です。

 この議論は、切り口がいろいろあるのですが、いろいろな要素をぐちゃぐちゃに議論させようとされているのではないか。そういう意味では、もう少し論点を整理して議論する必要があるのではないか。そのことを冒頭に申し上げまして、1、2点申し上げます。

 1つは、先ほどのご報告の別添資料にもありましたように、外国人労働者・移民問題を量的にコントロールしていくという側面は、まさに至難の技であろうと思います。そのことを我々はよく認識しておかなければいけないのではないか。

 それから、マクロの立場で、労働力が減少することは経済成長にとって負に働くというご議論がよくありますが、この議論も突き詰めていくと、どういうプロセスを経てマクロではマイナスに作用するのか。あるいはそういうプロセスの中でいろいろな対応策はないのか。そういった詰めた議論がほとんど行われていないように思われます。

 そういう意味では、国民のいろいろな仕事、あるいは生活にも関わる話でございますから、どういうプロセスを経てマイナスあるいはプラスになるのか。その辺のこともよく吟味をしていく必要があるのではないか。

 もちろん職種によってはと言うべきかもしれませんが、前提が労働者不足になるということが掲げられている。では労働力不足を予測される職種はどんなものですか。3Kですか。どういう理由で不足するのですか。その辺についてもどれぐらい吟味ができているのか。もし仮にそうだとしたときに、職種を限定した受入れはできるのか。

 また、法的なルールがある中で、中間的な職種というコンセプトでご説明されておりますが、日本の労働市場というのは、職種間区分はそう明確になっているわけではない労働市場の方が多いわけであります。企業内において、職種による区分という発想は、最近、企業内の職種感覚で整理された部分が大分広がってきましたけれども、少なくとも労働市場が、世に言う内部労働市場という中で仕切られている部分について言えば、この中間的職種云々の概念がどのように、オフィシャル・クリーンなものとして整理し得るのか。

 最後に、O委員のペーパーが、日本には来ない、といったことが書いてあると部会長が今ご紹介されましたが、これはどういうレベルの人が来るのか、来ないのかという、そういう切り口も入れてみるとよいのでは。特に隣りの中国やアジア各国との関係で見ると、いわゆる送り出し国の持っている供給圧力は、大きな所得格差の存在によりけたたましいものがあるのだろう。

 そういうすさまじい供給圧力があると認識する立場からすれば、どれぐらいのオーダーで入れようとするのか。50万人ぐらいか、100万人台なのか、あるいは 1,000万人台のオーダーなのか。また、ルールを作ったときに、この国からはいい、悪いという国別クォーター制をやっている国も一部にありますが、日本のような立場で、国別にクォーターを設けることができるのか。

 それから、移住労働者という言葉が使ってありますが、こういう言葉は私は初めて見たのですが、企画庁の方の新しい造語ということでよろしいのかどうか。以上です。

〔 部会長 〕 いままでの議論と違いまして、今日はたくさんいろいろ問題をお出しいただいて大変結構なのですけれども、少し焦点がぼけている。要するにこの問題は非常に複雑なことが絡み合っている。本日問題として取り上げてほしいと事務局の方から出たのは、そういう多岐にわたる問題を何とかまとめよう、焦点をどこかに定めなければならないということですが、何か事務局の方からご意見があれば、あるいは弁明をしたい点があればしていただいて結構です。問題は、G委員が今お出しになったようなことを、少しまとめて議論した方が結果としてはいいのだろうと思うのですが、皆さん旗を上げていらっしゃるので、一応皆さんのご意見を伺って、あとの30分ぐらいで少し問題点を絞って議論をしたらどうかと思います。

 そういう前提で一つだけ答えますと、G委員がお出しになった日本での3Kというのは、O委員の方は3Dと書いてあります。彼は、日本人は自らがやりたくないところにばかり人を入れようというところがある、それは「ノー」だとしている。特に、中小企業がそういうものを求めているといった言い方をしているように思います。しかし、日本に入ってこない理由については、私が言った乱暴な簡単な理由ではなしに、いくつかきちんとした理由を挙げているのです。ですから、どうぞこれを後でお読みください。

 それでは、どうぞ。

〔 H委員 〕 この問題の論点は基本的に、日本経済の成長なり、あるいは日本社会の活性化のために、労働力、ヒトの面で何が問題になりそうかということを指摘し、そのヒトの面で何をどうすれば解決できるのか。そこに集中すべきだろうと思う。

 その際に、これが発展途上国の成長に役立つとか、国際貢献に役立つとか、あるいは日本社会を開かれたものにするということは、少し置いたらいいのではないかと思う。基本的には日本社会の活性化なり経済の生活水準の維持のために、ヒトの面で何が問題になるか。そのためにはヒトの面で何をしたらいいのか。そこに集中する方が議論はすっきりすると思っています。

 その面から言うと、先ほどD委員は、どこが足りないから、ではそこをに人を入れるために日本は何とかする、ということは非現実的だとおっしゃったわけですけれども、そういう検討をした上で、手がないのだったらほかのことを考えるしかないと思う。ですから、とりあえずはその検討をする必要しかないと思うのです。

 そこで、私はこの問題はある程度のプロジェクションが必要だろうと思っている。一つは、この「論点」のところで、「労働力人口を減らさないことを目標とすべきか」という非常にマクロな話が出ており、ここにも労働力が不足すると考えられる職種があると言っているが、それは一体何か。またそれはどのぐらい足りなくなると思われるのかということをある程度はっきりさせていただいた方がいいように思う。

 それで、1点だけ単純なる疑問で言いますと、日本には建設業に従事している人は相当たくさんいますが、この数が、現在いる数を基準にして、高齢化していくからだんだんいなくなると考えるのははたして適切なのか。今の日本の建設業は、これは印象論ですが、あんなに人が要るのか。それから、21世紀の初めの経済社会ということを考えたときに、家を20年ごとに建て替えるような社会を作るのがいいのかといったことから考えていくと、みんなが100年住宅を作っていくとしたら、そんなにその分野で経済成長しなければいけないということはないのではないか。そうすると、今建設業に従事している労働者数をベースにして、将来これが足りなくなるからという議論は、はたして成り立つのかどうかという問題が一つあります。

 第2点で、非常に懸念していることがありまして、このデータが一体あるのかよくわからないのですけれども、知価を高める人々の供給というのが少子化の中でどうなるかということであります。単純なるデータとして私が常々ほしいと思っているのは、工学部、理学部、農学部等、いわゆる理科系の大学の卒業生は、これから20年にかけてどういうプロジェクションなのか。今の小学校低学年の子は今の大学生の半分ぐらいしかいないわけです。

 そうすると、もし大学に入る人の数が増えないと、大体同じぐらいの人が大学に入る。

その中で理科系志望の人が大体同じぐらいの割合だという、単純な試算をすると、理科系の大学の卒業生は半分になるわけです。この半分のエンジニアやサイエンティストしか供給しないということで、日本の社会、日本の企業は、生産性を生み出す、あるいは技術革新を生み出すのに十分なのかという感じがするわけです。もちろんそのために高齢者や女性や、大学入学者も増やすとか、いろいろやれば変わるかもしれませんけれども、その辺のベイシックなところの、日本経済の一番ダイナモになる技術革新を作り出す人たちの数が減るかもしれないというところが、ヒトの面での最大の問題点ではないか。

 そうすると、専門的・技術的職種の外国人労働者受入れについて、積極的に進めなければいけないということは大賛成でありますけれども、それならどうしたらいいのかというのがよくわからないわけであります。多分常識的に言えば、留学生などを全く質的に転換させなければ、エンジニアやサイエンティストといったレベルの人たちを増やすことはできないのだろうと思う。議論の前提として見ると、その辺りの技術革新を生み出すような人材のデータやプロジェクションもご考慮いただければいいのではないか。

〔 部会長 〕 次の方のご発言を求める前に少し申し上げたいと思うのですが、H委員がご発言になった点は、いままでの議論の中で焦点がはっきりしないということを救う一つの道かと思います。この部会はグローバリゼーション部会です。経済の活性化、あるいは日本経済の再生のために、世界の流れはグローバリゼーションの方向に行っているという前提で始まっているわけですから、その前提の上で、では日本の国際的な労働移動、知的労働者を含めた外国人労働者についてどう考えるか、と絞ると、多少議論が絞れるかと思います。もしそういうことでご賛成なら、そういうことを含めて、これからご発言、ご意見を聞かせていただけたらと思います。開かれた社会云々というのも多少関係あるかもしれませんけれども、グロバリゼーション、あるいは日本経済をどうしたらいいのだという観点からのご発言をいただければと思います。

〔 I委員 〕 私は何が何でも純潔主義という者ではないのですけれども、この議論をするために、一つどうしても頭に入れておかなければいけないのは、この問題が非常に複雑な社会的インプリケーションを持っているということだと思う。この社会的インプリケーションについて我々は十分な情報を持っていないだけではなくて、私も含めて非常に固定観念があると思います。

 その固定観念、例えば日本が外国人を受け入れたときにどういう摩擦が起きているか。あるいは外国人から見て日本が魅力的なところであるかないか、ということについても言えると思う。それはもっと相当フィールド・スタディーを伴った実証分析をしないと、よくわかってこないところではないか。

 ある程度実証分析も行われていて、例えば中央大学の奥田先生の調査などを読むと、池袋や新宿の日本人のコミュニティーと外国人の労働者、あるいは不法就労者との関係は意外なぐらいいいという、膨大な聞き取り調査に基づいた結果があります。しかし、そう単純なものでもないのではないか。

 だから、ここは相当実地調査をする必要があると思います。そうでないと、需給バランスが悪いから、需給バランスがタイトになるから、開かれた社会を外国に見せたいから、グローバリゼーションの時代だからということで、これから何世代にもわたる社会的なインプリケーションをよくとらえないで意思決定するのは、極めて危ないことだと思います。

 それで、同じように固定観念で申し上げますと、O委員のご意見の第3パラで、日本は外国人から見て行きたいと思うところではないということがあります。私も全くそう思っていたのですけれども、これは奥田先生の調査などを見ると、日本に80年代以降来ている労働者、あるいは不法就労者は、日本しか来るところがないから来たわけではなくて、アメリカ、カナダも含めて、世界中のいろいろな国と比較した上で日本を選んで来ている。要するに主体的な選択をして来ているのだということが書かれているのです。

 もしそうだとすると、日本は閉鎖的な社会で異質なものを排除するから、外国人は受け入れられない、というのは、こういうエアコンのある部屋でスーツを着て優雅な生活をしている人間が考えることで、現場に全然下りていない意見ではないか。もっと人間を相手にして、社会的なインプリケーションを扱う場合は、データなども結構ですけれども、もっと現場に下りてフィールドの事実を踏まえて議論する。それまではあまり感覚的に、あるいはイデオロギー的に議論しない方がいいのではないかと思います。

〔 部会長 〕 今、I委員のおっしゃった点、J委員の目で見て、日本は来たいところかどうかというのは、恐らくプロフェッショナルなスタッフの人たちの立場でお書きになっていると思います。それも含めて、J委員はどのように見ていらっしゃるか、触れていただけたらありがたいと思います。

〔 J委員 〕 3点ほど申し上げたいと思います。

 第1点は、別紙です。「移民労働者・外国人労働者の定義」と「受入れ方式からみた移民の分類」という形で、定義と分類がはっきりしているということで、私は大変ありがたいと思います。

 それは、何人かもうご指摘いただきましたけれども、これは大変複雑な多面的な問題ですので、分けて考える必要があるからです。ですから、多分それぞれの定義、あるいは分類の中で、それ以上にまた分けて考えて議論しなければ、それぞれの論点が随分違うのではないかと思います。ですから、整理する必要がある。

〔 部会長 〕 これはビザの分類ですか。例えばこの専門的・技術的職業や、今J委員がおっしゃった点は、ビザを与えるときの分類に近いのではないですか。

〔 A座長 〕 別紙の【3】の問題ですね。これは出入国管理法の中にきちんと決められているものでありまして、勝手に我々が考えたものではありません。その中で、現在いる人たちをどのように分けるかというふうに再整理したものでございます。

〔 J委員 〕 はい。私は第1の定義と第2の分類と、かなり分けて考えることは大変重要だと思いますので、そういう意味でこういう形で整理していただいたということに対して私は評価したいと思います。それが第1点です。

 第2点は、これは総論になるのですけれども、受入れ国側からみると、日本の移民・外国人労働者問題はある意味ではミスマッチがあるのではないかと思います。

 ミスマッチということは、日本側が期待している外国人は一つには単純労働者。特に中小企業側から見て労働不足を解消するための単純労働者。あともう1つは、最近、特に直接投資に関連して話題になっていますが、外国人をむしろプロフェッショナルとして受け入れることによって、経済の活性化をはかること。多分一番単純な例は、シリコンバレーの、インテル社という世界最大のコンピュータ半導体会社ですが、これはエンディブローブというハンガリーから移民した人が作った会社です。今のシリコンバレーというのは、インドやベトナム、中国など、いろいろな国からの人たちが企業を作って、世界に貢献している。そういうことから考えますと、ある程度は日本でミスマッチがあるのではないかと思うのです。

 というのは、日本は経済的にも物質的にも大変豊かですので、ある意味では大変魅力的な国だと思うのです。特に低所得国の人から見ますと。しかし、日本にそういう形でプロフェッショナルとしていろいろ貢献する、日本から見て好ましい人たちの目から見ますと、日本の魅力性は必ずしも高くないと思います。大企業にサポートされて日本に来る人たちは、企業の方が住居とかいろいろ面倒を見ていますから、そういう意味では特に不自由はない人ももちろんいます。しかし、住居や教育の面、言葉の面、国際空港の便利さ、あるいは物価の問題、就職の機会、文化的障害・障壁、いろいろそういうことを考えてみますと、日本の場合はそれほどプロフェッショナルからみて、魅力的に欠けている面が相当あるのではないか。

 もしそういうプロフェッショナルを日本に受け入れることが日本として重要だと考えているとすれば、どのようにしたらそういう人をアトラクトする、魅力的なインフラ整備ができるか。それに注目することが大変重要ではないか。それが総論的な2点目です。

 3点目は、いわゆるインターナショナル・スクールのあり方でありまして、ご存じのように、日本の教育法において、外国のインターナショナル・スクールの位置づけが最近特に、不利な面、不自由な面があります。それによって、資金調達や学校を拡大する面で大変いろいろ障害があるわけです。それによって最近起こっていることは、アメリカの本社から日本に駐在するために人が来ようと思っても、子どもの教育の面で、数が少なくてインターナショナル・スクールに入れない。それで、むしろ日本には来たくない、来れないという例が目立っているわけです。

 ですから、インターナショナル・スクールのあり方を、法律を変えるのは難しいのですが、運用面を少し緩和することによって、もう少し活動をしやすい、拡大しやすい方向に持っていければ、むしろ直接投資を促進することから考えても、これは解決策の一つではないか。

 これは単なる一つの例なのですけれども、最後に申し上げたいことは、魅力的な情勢、条件を作らなければ、日本から見て最も望ましい人が来ないことになるのではないか。

〔 部会長 〕 次の委員の方のご発言をいただく前に、研究会のB座長代理に、いままでの議論をお聞きになってご発言があれば、まだご発言いただいておりませんので、どうぞ。

〔 B座長代理 〕 どうもありがとうございました。簡潔に先ほどのA座長のご報告について、少し皆様の方の理解の助けになるように4~5点簡単に申し上げてみたいと思いますので、お聞きいただきたいと思います。

 まず第1に、数名の方々から、問題点がごちゃごちゃになっているのではないか、切り口がいろいろ整理しないとけいないのではないかというお話があるのですけれども、これについては、まずこのように申し上げられると思います。

 このレポートの2ページの検討結果の冒頭に書いてありますことは、これは2010~25年、あるいは2050年に至ります労働力の減少を、どのぐらいのテンポで進むのかという議論を踏まえた上で、時期的には2025年ぐらいまでですと、せいぜい年間20万人ぐらいの減少かと思いますが、それを過ぎると年間に40万人、2050年に近くなると恐らく70万人、80万人ずつ減少するような、そういう事態が想定されるわけであります。

  そういうことを前提にいたしましたときに、ここで書きましたのは、要するにアメリカやカナダやオーストラリア・タイプの移民受入れの方式が本当に日本で機能するのか。このことに対する答えは、そういった量をとにかく受け入れるという形のものは決して日本では機能しないということが書いてあるわけであります。むしろそうではなくて、できるだけ質的に日本として好ましい方が定着していけるような、移民の新しい道を開くべきだということをここに書いてあるのですけれども、その点についてよくご理解いただけているかどうかという点、若干気になるわけであります。

 あと、先ほど何人かの方から議論があったのですけれども、表の中で、専門技術職と、いわゆる単純労働者以外に、中間的な労働者を示しているのですが、これは私どもの委員会では、従来この議論については、専門技術職はいいけれども、いわゆる単純労働者はダメという二分法だけで議論してきたので、それだけでは不毛である。その中間に、日本の国内で、企業の中で熟練形成をしている技能職種の分野も広範にございまして、これは基本的には日本国内で熟練形成するのだから労働者を受け入れる必要はないという分野があるわけです。そのうちの、どちらかというと低い方の層に、いわゆる技能実習生などという形で技術移転のための制度が機能し始めているわけです。この辺の部分についてもう少し考えてみようではないかという点を指摘しておりまして、そういう意味では、ごちゃごちゃにしたのではなくて、むしろ整理し直したというものです。

 それから、時間の制約がありますので、4~5点と言いましたが、もう一点だけにとりあえずさせていただきますが、日本は魅力がないという議論は、実は私どもの研究会でも随分ありました。しかし、日本に対する関心は十分若い人の世代の中で高まってきております。海外で日本に留学したい、インターシップで来たいという人は非常に多くいるのですけれども、日本はヨーロッパから来る学生に対しては決して奨学金を十分に与えることはできません。シンガポールやタイなどに行っても、日本についての関心は非常に強く、日本のことを研究している方や日本に関心のある学生も随分いるのです。

 何か魅力がないといって切り捨ててしまわないで、アジアに対して日本の大学ではこういう先生がいて、こういう講座があって、こういう学位が取れるという、PRをもっとし、場合によっては、いい学生を積極的にリクルートするぐらいのことを考えるべきだということで、実は今回の提示させていただいたペーパーは非常に簡潔なのですけれども、そういったことについて、もう少し行動計画的なものを立てて積極的にやるべきであるといったことまで実は踏み込んでいます。

 今日のご議論は、日本は魅力がないというところでとまっているような印象を受けるのですけれども、私どもの研究会の中ではもっと先まで議論した上で、いくつか具体的な提案もさせていただいております。

 貴重な時間をいただきまして、どうもありがとうございました。

〔 部会長 〕 今、大学の問題が出ましたけれども、私が一つ知っていることは、日本にいる外国の大学院には学割が適用されないことと、月謝について消費税を取るということです。これはかなり学生にとってはマイナスであるということは事実だと思います。

 では、途中ですが、長官から何かいままでのご議論の中でご発言があれば、ひとつお聞かせください。また後は、委員で議論いたしますので。

〔 経済企画庁長官 〕 どうもいろいろとありがとうございます。この委員会、各部会とも大分煮詰まってまいりまして、今度一案を得て、皆さん方の委員以外の方々にもインターネット等を通じて議論を広げようという話も始まっております。

 大体10年先ということになりますと、大変変化が大きいだろうと思われるのですけれども、我々は一体どれぐらいの変化を予想すればいいのだろうかというのが一番難しいところでございます。グローバル化が進むということは、恐らくどなたも異議がないことだろうと思うのですが、それがどこかの段階で量が質に転化するという点があるのだろうと思うのですね。それが恐らくこの10年間には必ずやってくるだろうと私は思っております。こういうことがだんだんと進んでいって、やがてどこかで端段階を超えて、世の中がガラリと変わるのだろうという気がするわけです。

 今、日本を見ておりますと、グローバル化を進めようという人たちと、これにかなり嫌悪感を示す人たちがいる。また、グローバル・スタンダードという言葉に対しても、それはアメリカ・スタンダードだと言う人たち、それに乗らないで日本的よさを残すべきだ、日本的な部分のあるグローバル化だと言う人たちがいますが、日本的なものというのは実はよくわからない。よくよく聞いてみると、それぞれの業界、その人の属する業界を保護することを言っておられるというのがもっぱらでございます。そう考えていくと、やはり日本は本当にグローバル・スタンダードの中にのみこまれていくのか、という感じもいたします。そうだとすれば、この10年間は大変大きな変化の時代だろうと思います。

 日本は数年前、普通の国という議論がはやりました。日本も国際的な軍隊を出すPKOに参加いたしまして、普通の国になるべきだという議論がありましたが、決してそれだけではなしに、日本がこの数年間普通の国になったのは経済の面でもっと著しいと思います。まず第1に、戦後日本経済の神話でありました土地神話がなくなって、その次には消費は必ず伸びるという消費神話もなくなりました。この3年間消費はマイナスであります。それから、今、終身雇用がなくなって、失業率が 4.6%になりました。だんだん日本も普通の国になってくるという気がするのですが、その中で、どこまでの変化を今考えたらいいのか、私たちも非常に迷うところであります。特に今日議論いただきました移民・外国人労働者に対する問題。これは日本を揺るがす一番大きな問題だろうと思います。

 しかし、考えてみると、戦前は今よりずっと大らかだったようでございまして、移民をして企業を起こした人が随分といる。そういう人を日本人は大正の終わりから昭和の初め頃は随分受け入れていた。本当に鎖国化したのは実は戦後だったのではないか。だから今、第2の黒船、第2の開国と騒いでいて、第2の開国と言う以上は第2の鎖国がどこかであったのだろう。

 本当に私たちはこれからの10年間にどこまでのことをやるのか。 ぜひ皆様方の今日の議論、これまでに4回していただいた議論も積み上げて一案をまとめて、それをさらに練り上げて、最終的なものを作りたいと考えている次第でございます。

 これは既に各省からいろいろと反論、議論が出ておりまして、一番の問題は、玄人から見ると大いに変わったと思うことが素人から見ると何も変わっていないように見えるということなのです。だから、変革というものはどこまですればよいのか知っている人ほどやりにくい。皆様方には大胆な結論を出していただきたいと思っております。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。今の長官の発言も受けて、どうぞご発言ください。

〔 K委員 〕 私がいつも思っておりますのは、堰き止めていると、気づいたときには遅い時があるということです。なぜある程度まずやってみて、それから実際の検証の数値をそのときに採って、それからもう一回試行錯誤的に変えていくことをしないのか。

 今日いただいた統計を見ていましても、各国とも過去 100年間とか50年間、非常に移民政策を変えています。ある意味ではころころと変えているかもしれません。でも、それはそのときの社会情勢に応じて臨機応変に変えているのではないかと思います。政策というのはそういうものでして、理論的にやらない前にいろいろな議論をしていてもわからない。非常に感心しましたのは、経済企画庁からはいろいろなデータをいただいており、非常に説得力があるように見えるのですが、多くの場合仮定に基づいている。私は実際に起きたケース等を扱っていますので、仮定の数字からグラフができていることに関してどうもしっくりこない。

 ですから、これは国策ですからなかなかそう簡単にいかないかもしれませんけれども、移民の問題も、ある職種を限定して、ある期間、ある一定のポリシーの下でやってみるということを、日本にとって何が必要かという観点から、とりあえずやってみるということが考えられてもいいのではないか。

 これは具体的な素人的な案なのですけれども、例えば公務員の職種の中で外国人に適するもの。これは永住外国人については開放という検討をされましたけれども、永住的でない短期の外国人についても、一回ピックアップをされたらどうかと思います。

 それから、予算をつけることはかなり簡単なことでして、例えば九州大学の法学部のLLM、大学院コースですけれども、これは英語で外国人向けに教えている、多分全国で唯一のコースです。このコースはハーバードをはじめとする全世界からいろいろ優秀な学生が来ているらしく、実際に人数が増えている。原因を聞いてみますと、まず英語で授業を受けられるということ。予算として1人当たり結構な奨学金を出していただいていること。これは非常に魅力的であるということで、驚くような金額が出ています。ただ、そういう金額は総額からすると非常に微々たるものです。ODAやJICAを通じて出している金額からすれば容易になし得ることではないか。

 あとは教員です。これは職種としては非常に適していると思うのですが、教員で語学教育の分野にどんどん外国人を投入することを考えていただきたい。

 社会コストがかかるということは、これは単純労働者と高度な労働者では全然違いますし、魅力的な国であるかどうかも高度な労働者と単純労働者にとって全然議論が違いますので、一列的には絶対論じられない議論ではないか。

〔 L委員 〕 移民等について、アメリカなどが移民を受けてうまく成功している例なのだと思うのですけれども、国土の広さとか、文化的にももともとかなり混ざった文化であったり、言語の壁も少ないといったことで、アメリカと日本では大きな違いがあり、一概によそでやっているから日本でもうまくいく、あるいはよそでもやっているので日本でもそういう流れがあるのではないか、とは言い切れない。

 いずれにしろ、人口が減っていく中で、当然消費も減っていって経済は小さくなっていくのだと思うのですけれども、日本の経済成長をずっとプラスで持っていくべきだと、もしそう考えると、確かに移民を受け入れるという必要性があると思うのですが、例えば国民1人当たりの生産性等を考えると、全体の経済の規模が少しずつ小さくなっていくというのもあり得る選択ではないか。

 日本は国土も小さくて、人口も多くて、狭い狭いと言われてきて、ようやく人口が減っていくのであれば、考えようによってはそれはいいことかもしれないわけであって、そういう根本的な経済の方向、そういったものをまず議論する必要があるのではないか。

 日本に優秀な外国人労働者は来ないのではないかという議論が出ていますけれども、日本から逆にアメリカなどに優秀な労働力が出ていっているという現状も恐らくあるのであって、そもそも日本の国内で魅力的でなくて、労働力が出ていくような状況の中で、外から優秀な労働力を受け入れようというのはかなり無理がある。まず最初に、日本の国内で日本人にとって魅力的な労働の環境、システム、そういったものを考える方が最初。

 また、グローバリゼーションということで、開かれた文化、社会内部の多様性は確かに必ず必要なことだと思うのですが、そういったことに関して、移民等を受け入れて多様化していくという手もある。しかし逆に、例えば前にも申し上げましたけれども、日本からの留学生を極めて強くバックアップして、一旦アメリカやいろいろな国に留学生を出して、その上で、そういう人たちが戻ってくるという形で、文化の多様性を実現することも可能ではないか。

〔 M委員 〕 先ほどA座長から、短い時間に大変まとまったご報告をいただきましたけれども、私も、労働力人口の減少に対応という視点から外国人労働者を入れる、あるいは移民を受け入れるということは、適当ではないと思っております。仮に緩やかに労働力人口を緩和するといたしましても、恐らく相当長期に相当の人数を投入することが必要になるでしょうし、我が国は周辺諸国に大変巨大な過剰労働力が存在しておりますから、そういう中でコントロールするのは極めて難しい。

 労働力人口の減少への対応といたしましては、何といいましても、高齢者、女性の労働力率を高めていく、生産性を向上させていくことによるべきであると思っております。成長率の案件は、ただいままでもいろいろご意見が出ましたけれども、労働力人口のほかに、資本や技術革新などいろいろなファクターがあるわけですので、労働力人口の減少だけということでは議論はできないかと思う。

 2点目に、「労働力不足分野と外国人労働者」ということで、中間的な労働者ですが、これは必ずしも概念がはっきりしないという点は、先ほどのご指摘のとおりです。よく看護婦さんの不足、介護労働力の不足が言われていて、そういった労働力を導入したらいいのではないかといったことは、これまでもたびたび議論がされています。今幸い看護婦さんの労働力充足は順調に進んでおりますけれども、仮にこのようなことを考えた場合に、日本人が好まない職種は、恒常的に他の外国人に担ってもらうということは大変に困難である。

 これはドイツでもそういう経験があるわけで、最初の2~3年はその職種におりますが、その後どこかへ移ってしまうということになるわけで、これは人間であるから当然ですし、それをそれ以上長く引きとめると今度はそれぞれの職業選択の自由を阻害することにもなるわけです。こういう職種というのは機械化するなり、あるいは労働条件を改善するなり、その職種そのものに魅力を持たせるようにしないと解決しない。

 それではローテーションで入れたらどうかということも言われておりますが、これもこれまでの長い経験で大変に困難であり、仮にうまくいっても、労働市場がそういう労働者とそうではない労働者とに二分化されてしまう。これについては相当慎重に議論していかなければならないのではないか。

 いずれにいたしましても、今はこういう外国人労働者の導入や移民の受入れについて議論する時期としては大変にいい時期であり、こういう労働需給が緩んでいるときであるのでこういう時期に時間をかけて、国民各層が深く冷静に議論するということが必要ではないか。

〔 N委員 〕 

 外国人を我がコミュニティーの中に入れてくるというための議論や覚悟は、どうやって開かれた社会にするのかというためにも必要である。しかしそれによく似て全く違う問題ですが、負のグローバリゼーションとして、難民の話がある。

 東アジアには膨大な供給力があります。これがある日、あるとき、突如として、頼んでいないのに難民になって我が国に押し寄せてくる可能性は否定できない。今の状況から考えますと、原発やごみ処理場を反対するような、ほとんどヒステリカルな気違いじみた感情論のキャンペーンが巻き上がるだけのような気もしています。

 そういう状況に対して我々はどう対応できるかという、全然別の議論を少しずつ僕たちはやっていかなければいけないだろう。これはもしかすると、この移民、あるいは外国人労働者を受け入れるという、その基本的なところで一致するのではないか。

〔 F委員 〕 手短かにまとめます。冒頭にA座長に質問した理由、専門職や優秀な労働力がなぜ来ないのかという質問をした背景が、実は今言いたかったことなのですが、結局制度的な問題ではなくて、日本の会社に魅力がないというご指摘だったと思います。

 それで、B座長代理は、いや日本は実は魅力があるとおっしゃったのですが、日本の会社とアメリカの会社に両方いた人間からすると、今、日本の会社に戻るかというと、決して戻りたくないぐらい本当に息苦しい社会なのです。

 そうすると、もし外国人の優秀な労働者という視点で一つの解決策はどこにあるかというと、例えば会社のあり方や組織構成、人事、年功序列ではなくて成功報酬になると思うのですが、これは制度的な枠を超えている話で、かなり民間に依存する話だと思うのです。

 こういった開かれた会社にしていくと、恐らく外国人労働者の方が優れているという先入観ではなくて、優秀な活用されている日本人がさらに働きやすくなる。そういった気がします。これが第1点。政策の優先順位という意味で、ここにまず第1の力点が置かれるべき。

 第2点。女性の活用と高齢者の活用を先に、もしカテゴリーとして決められるのだったら、そういったアプローチも政策的に許されるのではないか。例えば介護です。老人同士で相互に介護するようなメカニズムを作っていくことが、外国人の単純労働を考える場合には先に議論されるべき。

 それからブルーカラーです。単純な接待業や建設現場はある程度開放していった方がいいのではないか。

 余談ですが、最後、教育の話が少し出たのですが、第1点の会社のあり方や、結果平等ではなくて機会平等ということを変えていくのは教育に依存するところが大きいと思うのですが、教育を変えるには、まず教員の身分を変えて、教員自身が終身雇用ではなく、クビもあり、人事異動もあり、配置転換もある世界に変えていかないとどうしようもないのではないか。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。

 時間がまいりましたので、本日の審議につきましては、ここまでとさせていただきますが、もしさらに今日の議論を踏まえてコメントをしたいという委員の方は、どうぞ事務局の方までお寄せください。

 それから、本日の研究会のA座長、B座長代理、C主任研究員、どうもありがとうございました。ご出席いただきまして、感謝いたします。

 それでは、次回以降の日程について、事務局よりご説明を願います。

〔 事務局 〕 次回は、4月20日(火)午後4時30分から6時30分まで。場所は、今回と同じ、この部屋の 436号室を予定しております。別途通知を郵送し、ご案内させていただきます。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。

--以上--

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