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経済審議会企画部会(第7回)議事録

時:平成11年3月5日

所: 共用第二特別会議室(407号室)

経済企画庁


経済審議会企画部会(第7回)議事次第

日時 平成11年3月5日(金) 10:00~12:00

場所 共用特別第二会議室(407号室)

  1. 開会
  2. 「新たなる時代のあるべき姿」の基本的考え方について
  3. 「新たなる時代のあるべき姿」に関する広報について
  4. 閉会

(配布資料)

  1. 資料1   企画部会委員名簿
  2. 資料2-1   我が国の国家像についての意見集計(部会等開催時の意見)
  3. 資料2-2   我が国の国家像についての意見集計(事務局に提出された意見)
  4. 資料3    経済社会の歴史的転換について(前回配布資料)
  5. 資料4-1   インターネットによる国民からの意見募集について
  6. 資料4-2   PFIシンポジウムを活用した広報について
  7. 資料4-3   政府広報等の活用について
  8. 資料4-4   モニターを活用した「新たなる時代の姿と政策方針」策定のための調査について
  9. 資料4-5   海外からの意見募集について
  10. 資料4-6  「新たなる時代の姿と政策方針」策定関連短期集中委託調査の概要
  11. 資料4-7   内外からの意見募集及び広報活動のスケジュール

経済審議会企画部会委員名簿

部会長   小林 陽太郎   富士ゼロックス株代表取締役会長

部会長代理 香西  泰   (社)日本経済研究センター会長

委 員   跡田 直澄   大阪大学大学院国際公共政策研究科教授

      荒木  襄   日本損害保険協会専務理事

      伊藤 進一郎   住友電気工業(株)専務取締役

      角道 謙一   農林中央金庫理事長

      小島  明   (株)日本経済新聞社論説主幹

      小長 啓一   アラビア石油(株)取締役社長

      佐々波 楊 子   明海大学経済学部教授

      ポール・シェアード ベアリング投信(株)ステラテジスト

      嶌  信彦   ジャーナリスト

      高橋  進   (財)建設経済研究所理事長

      長岡  實   東京証券取引所正会員協会顧問,日本たばこ産業株顧問

      中西 真彦   ベンカン(株)社長

      那須  翔   東京電力(株)取締役会長

      樋口 美雄   慶応義塾大学商学部教授

      星野 進保   総合研究開発機構理事長

      堀  紘一   ボストン・コンサルティング・グループ社長

      松井 孝典   東京大学理学部助教授

      水口 弘一   (株)野村総合研究所顧問

      村田 良平   (株)三和銀行特別顧問,外務省顧問

      八代 尚宏   上智大学国際関係研究所教授

      吉井  毅   新日本製鐡(株)代表取締役副社長

      吉川  洋   東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授

      鷲尾 悦也   日本労働組合総連合会会長

特別委員  岩城 秀裕   (株)野村総合研究所経済構造研究室長

      大野 直志   日本開発銀行国際部副長

      大前 孝太郎   経済戦略会議事務局主幹

      金光 隆志   ボストン・コンサルティング・グループ プロジェクトマネジャー


出席者

(部 会)

小林陽太郎部会長、香西泰部会長代理

荒木襄、伊藤進一郎、角道謙一、小島明、嶌信彦、高橋進、長岡實、中西真彦、那須翔、樋口美雄、松井孝典、水口弘一、村田良平、八代尚宏、の各委員
岩城秀裕、大野直志、大前孝太郎の特別委員

(事務局)

堺屋経済企画庁長官、今井政務次官、塩谷事務次官、林官房長、中名生総合計画局長、高橋審議官、牛嶋審議官、梅村企画課長、大西計画課長、染川計画官、渡辺電源開発官他


〔 部会長 〕 ただいまから、第7回の企画部会を開催させていただきます。

委員の皆様にはお忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございました。

最初に、第5回の企画部会から委員として加わっていただいております中西真彦委員をご紹介を申し上げます。

それでは、本日の議題に入らせていただきます。今日は、「経済社会の歴史的転換について」及び「『新たなる時代のあるべき姿』の基本的考え方について」を中心にご審議いただきたいと思います。早速ですけれども、事務局からご説明を願います。

〔 事務局 〕 お手元の資料でございますが、資料2ー1は、先週ご覧いただきました資料6に当たりまして、部会等の開催時の意見に先週の木曜日の企画部会の意見を入れさせていただいたものでございます。資料2ー2「我が国の国家像についての意見集計(事務局に提出された意見)」は、構造改革推進部会、国民生活文化部会、グローバリゼーション部会、地域経済・社会資本部会の4つの部会の先生方からご意見をいただいておりまして、その意見を現時点で集計したものでございます。資料3は、前回「資料3」として配布させていただいたもので、経済社会の歴史的転換、変化の話をしているものでございます。

まず、資料2ー1ですが、今申し上げましたように、前回の資料に先週木曜日の企画部会でのご意見を入れさせていただいたものでございます。これをご覧いただきますと、先週の復習になるというものでございます。ざっとご覧いただければ十分だと思います。

1ページの左の上の方に(企画部会)と書いてありますところが、前回いただいたご意見などでございます。

2ページですが、「2)尊敬される国であるべきか」の左の欄の2つ目(企画部会)で、「当然尊敬される国であるべきであるが、それ自体が目的ではなく、国益や国民の幸せ中心に考えるべき」であるというご意見をいただきまして、それを入れさせていただいております。

3ページにまいりますと、「3)その他」の下から3つ目に(企画部会)として、「現在日本が直面している高齢化という供給制約は、今後他の先進国も直面するものであり、日本がそれを乗り越えるシステムを作ることができれば、その中には世界が学ぶものが出てくる」のではないかというご意見。それから、「制約条件下で、日本が世界の中でどこまで自立するのか、またはすべて世界に依存するのかについての議論を押さえることが」大変重要だというご意見をいただいております。

4ページでは、「自由と社会的秩序などのトレードオフについて」ですが、上から2つ目に(企画部会)のご意見がありまして、「経済社会に変化の動きを起こすために、敢えて格差を生み出し、差がつくことは良いことであるということを思い切って言うことも必要ではないか。」というご意見をいただいておりまして、紹介しております。

6ページでは、「産業・技術等のワンセット主義について」で、右の一番上に(企画部会)として、農業について「ものづくり技術」の継承・発展ということでご意見をいただいております。それから、農業につきましては、6ページの下の方の(企画部会)をご覧いただきますと、「食料(農業)エネルギーといった国の安全の根本に関わるものについても、比較優位原則に従い淘汰させるに任せてよいのか」というご意見をいただいております。

時間の関係で省略させていただきますが、9ページ、「2)移民について」ということで、右の「受入れには慎重であるべき」というところにご意見をいただいております。ここに4つございますように、「人口減少の中でも低成長は必ずしも不可避でない」、「単純労働者を入れると生産性の上昇に結びつかないとの見方もある」、このようなご意見を前回いただいております。

10ページの下で、「6、個人の帰属先について」でございます。「1)日本人の帰属先・人のネットワーク」ですが、(企画部会)のところで、家族、コミュニティーが大切であるということ。それから、集落の視点が書いてございます。その下には、「今後は地域社会や家族に重点を置くライフスタイルが強まる」、「個人としても家族としても活躍できる社会作りを目指すべき」というご意見をいただいております。

最後に、「7、地域のあり方について」ですが、企画部会でいただいたご意見が12ページの一番下に書いてございます。「できるだけ定住を増やそうとするのではなく、各地域の交流を考えるべき」、「財政基盤が弱すぎる」、ここでは道州制も書かれております。

なお、(企画部会)のご意見としてここに入れているものの中に、委員からメモでいただいたものも入れさせていただたことを申し上げておきます。

次に、資料2ー2でございますが、似たような様式の別のものが出てきてわかりにくいのではないかと思います。こちらの方は、先ほど申し上げましたように、4つの部会の委員の先生からかねてご意見を承っているもので、現在までに寄せられたものをまとめたものでございます。

まとめの仕方としては、さっきご覧いただいた資料と同じような様式でまとめようと試みまして、必ずしもうまくいっていないような気がするのですが、いずれ資料2ー1と資料2ー2を合わせてきちんと整理をしてみたいと思っております。仕掛かり品ということでお許しをいただければと思います。

これはずいぶん大部のものをいただきまして、それを少し抜き刷りしたもので大変読みずらいものでございます。やや恣意的でございますが、ご指摘申し上げますので、ざっとご覧いただければと思います。

まず、「1)世界の秩序の関わり方」のところは、左側の「積極的に関わるべき」という欄が圧倒的に多いということで、それに右側の欄も少しご覧いただきながらと思いますが、例えば、2ページですと、グローバリゼーション部会の委員の方から、「アジア地域の『中心的な国』として、アジア経済圏の繁栄、秩序維持のために、また、安全保障のうえで果たすべき役割は大きくならざるを得ないし、また、そのために積極的に関わっていくべきである」、「重要なメッセージは『地球全体の持続的な発展にできるだけの貢献をしたい』という姿勢」である、というご意見がございます。

2ページの一番下、右側の欄に、地域経済・社会資本部会の委員の方から、「世界秩序を与件とすべきである。我が国のあるべき姿は『世界の知恵袋』である。すなわち、日本は高度に産業化され情報化した経済大国で、狭い国土に多くの人口を抱え、高齢化、家庭の崩壊等これから世界が向かう未来の姿を一足先に実現しつつある。これらの問題を解決できれば、結果的に世界中が日本を見習うようになる」など、世界の近未来の姿を日本が示しているのではないかというご意見もございます。

その次に、「2)尊敬される国であるべきか」、これは右側と左側になかなか分けられるものでないのを無理やり分けていて、ますます読みずらくなっている感じがしておりますが、「もちろんなるべきである」という意見と、それだけが価値ではないし、そういうことのためにポーズをとってもいかんのではないかというご意見が並んでおります。

さっき読んでいまして、そういうことかなと改めて思いましたのは、5ページの、(国民生活文化部会)のご意見で、「世界からリーダーシップを期待されているが、それに応えられる人材が不足している」、短いセンテンスですが、こういうご指摘もございまして、厳しいご指摘だなというふうに感じました。

「2、自由と社会的秩序などのトレードオフについて」ですが、「自由、個人、応報優先」か「社会的秩序、組織、安全ネット優先」かという問いで、左側の欄の方が多いのがご覧いただけると思います。5~6ページで、そのイメージを取っていただければと思います。7ページの真ん中あたりに、「安全ネットの張り方が重要である」というご意見もございます。

7ページの「その他」につきましては、いろいろなご意見がございまして、整理のしようがないので便宜上置かれているようなところがあって、大変見ずらいかと思いますが、例えば、(構造改革推進部会)の最初のところで、「必ずしも相対峙する問題ではなく、スポーツにおけるルール作りと同等のものであり、非道徳的、非社会的な行為に対してのより厳しい罰則の適用が望まれる」というご意見がございます。

先を急がせていただきまして、9ページから、「3、産業・技術等のワンセット主義について」でございます。これも、「ワンセット主義の維持」と「ワンセット主義の一部又は全部放棄」と分けて書いておりますが、左側の欄をご覧いただきますと、(構造改革推進部会)の1番目の4行目あたりに、「実体経済における産業は分業しても、技術レベルにおいてはフルセット型を維持しておく必要があると思われる」というご意見がございます。その下、「日本経済の強み、基盤は『ものづくり』にあり、それを支えてきたのがモラルの高い人材とそこから生まれる技能・技術である」という点を強調されていて、「安易な国際分業化は技能・技術の空洞化を招く」というご指摘がございます。右側の欄をご覧いただきますと、9ページで、「国際化時代には見直しが迫られているが、農業だけは除外して考えるべきである」というご意見がございます。

総じてここのあたりでは、10ページで、「ワンセット主義を維持することは無理であり、かつ望ましくもない」というご意見が並んでいるのがご覧いただけると思います。

次に、11ページの「4、日本固有の良さについて」でございますが、これもなかなか難しい問いでありまして、ずいぶんいろいろご意見をいただいております。その中にいろいろと良さも書いてございますので、後でご覧いただければと思うのですが、印象深いご意見をご紹介しますと、(構造改革推進部会)の上から2つ目で、「我が国は、過去、伝統的な家族制度に支えられた教育に日本固有の良さがあったように思われるが、現在の教育制度は多くの問題を抱え、崩壊しつつある。日本固有の良さを守るためにも、新しい価値基準に基づいた、教育制度の抜本的な大改革が必要であり、それなくして日本固有の文化や良さを守ることは不可能である」というご意見や、その教育に絡んでいるわけですが、「他国に比べて際立っているもののなかで、治安の良さ、義務教育による国民の高い教育水準が重要である」というご意見が、個人的には印象深くございました。

それ以外にも、例えば、12ページの(グローバリゼーション部会)のすぐ上のところに、日本固有の良さとして、「治安の良さ、他人を思いやるやさしい気持ち、水田文化」という具体的なことを書いていただいております。

12ページの下から4行目あたりに、日本の良さという意味で、括弧の中に入っていますけれども、いくつか具体的な良さというものを書いていただいております。

同じように13ページでも、(地域経済・社会資本部会)で、カギ括弧に入っておりますけれども、「受容性の高さ」、「仲間意識」、「恥の文化」という具体的な例も挙げていただいております。

14ページの「5、経済成長について」でございますが、これは「経済成長は重要な要素である」と、「経済成長以外に追求する価値がある」というので右左に分けておりますが、右の方をご覧いただくと、例えば、2番目に、「経済成長は目標ではなく、welfare の一指標に過ぎない。重要な指標ではあるが、今や成長率だけで経済社会をみる時代ではない。別の指標との組み合わせを検討すべき」というご意見など、これは両方いろいろなご意見があるということでございます。

16ページの「2)移民について」は、全体としては右側の「受入れには慎重であるべき」の欄の方が多いような気もしますが、左側の欄を見ていただきますと、例えば、16ページの一番下から、「移民を前提としたより積極的な各種社会制度、教育制度の導入を急ぐべき。欧米では、移民による社会問題もあるが、同時にそれぞれの経済の活性化に役立っている」という御意見があります。

同じ17ページの下の方の(グローバリゼーション部会)のところでは、「日本のアジアにおける位置づけを考えると、受け入れるべきであり、それに伴うメリットの方が大きい」というご意見がございます。

そのすぐ右側の欄の真ん中あたり、(国民生活文化部会)の3番目の意見で、「日本は単一民族であるので、移民の受け入れという問題は欧米のような他民族で構成されている国家と違って簡単な問題ではないと考える」というご意見。ここはかなり両方の意見が対立をしていると言えるであろうと思います。

先を急ぎまして、19ページの「6、個人の帰属先について」ということで、「1)日本人の帰属先・人のネットワーク」というところについてもいろいろご意見をいただいておりまして、ざっとご覧いただきますと、(構造改革推進部会)で、基本的には「国民皆同一帰属先でなく、人それぞれの選択に任せるべき」と一番上にありますが、そういう意見がたくさんあるということだと思いますが、上から3番目に、「多様化のなかで、インターネットを帰属先だと思っている人間もいる。帰属先の多様化が進むなかで、受入れ側の準備が整っておらず、例えばNPOのようにそれが制度的な理由ならば、その制度を改善すべき」というご意見が全体として多いような気がいたしました。

20~21ページにかけては、単位を個人とするのか、あるいは家族にもう少しウェイトを置いて考えるのかという意見が(これでは整理が不十分で見ずらいのですが、) 出ているということをご紹介しておきたいと思います。

21ページの「7、地域のあり方について」では、「1)過疎・無人地帯」を「許容する」か「許容しない」かというオール・オア・ナッシングの議論になっていますが、「許容する」というのも大分増えているなという感じでございます。例えば、21ページの左側の欄の(構造改革推進部会)の最初の意見のように、「人口移転がスムーズに行われるようすべき。これまでの過疎対策は『はじめに住居ありき』にウェイトを置き過ぎていた」というご意見がございます。

例えば、22ページの(国民生活文化部会)、右の欄の上から2つ目でございますが、「過疎・無人地帯が発生し、国土保全・環境維持の上では問題があるとすれば、そこに住んでくれている人には国土、環境保全委員にでも任命して給料を払うというのはどうか」というご意見もございまして、この辺も大分対照的なご意見だと思います。

23ページから後は、「2)その他」となっておりますが、この中では、先ほどもちょっと出てまいりましたが、道州制の導入が必要というご意見や、縦型の地域の連携ではなくて横の地域の連携ネットワークが必要だというご意見がございます。

以上、大変雑駁なご説明で恐縮でございますが、これでやっと2つ終わりました。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

ちょうど、大臣がいらっしゃいましたので、一言ご挨拶いただきたいと思います。

〔 大臣 〕 本日は、お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございました。

ちょうど事務当局からの説明が終わりましたところなので、私から一言ご挨拶、及び意見を述べさせていただきたいと思います。

この企画部会の資料を作るにあたりまして、これからの日本がいかなる国であるべきか。世界史上のいろいろな類型をモデルに、有名な国といいますか、成功した国を並べて話し合ったことがあります。

その中で、1つは、現在のアメリカ。自由主義市場経済を核とした、現在のグローバリズムに近い状態をつくるというものであります。

もう一つは、これまでの日本。これまでの日本は、近代工業社会をつくり上げて、官民協調性を維持して、大変発展したという点で1つのモデルではないか。これをできるだけ守るべきだという考え方もありうるでしょう。

そう言いますと、圧倒的多数の人は、「それはできない、それは古いのだ」と言われるかもしれませんが、相当大規模な改革をしたつもりでも、過去の日本とほとんど変わらない。外から見ると、あるいは歴史から見ると、そうなる可能性が高いと思います。

例えば、去年、大河ドラマで「徳川慶喜」というのがございました。徳川慶喜の行った改革というのは、ものすごい改革です。特に、文久2年から慶応にかけての改革は、恐らく、それ以前の250年の幕府の官僚から見ると、とび上がるような改革を次々といたします。例えば、旗本制度を全廃する。参勤交代を中断する。大名の家族を全部返してしまう。大改革して、陸海軍をつくって、3軍制度をひく。一般から募兵をして、旗本の軍制を完全に廃止する。内閣制をつくって、担当大臣のように担当老中を決めて、筆頭老中、つまり総理大臣を決める等々大胆な改革をいたしました。通貨の面でも、万暦小判というのを出して、あっと言う間に大改革をいたしました。これをわずか3年ほどの間にしたのであります。

しかし、明治維新を経験した我々から見たら、徳川慶喜の行った改革などは、全く改革になっておらぬような気がいたします。

また、昭和10年前後のころの改革を今見ると、今日言っている行政改革、財政改革などというのは、もうゼロに等しいほどの大改革であります。

今、公共事業の各省割合を1%変えるのにも苦労しておりますが、あのときには、鶴の一声というか、たった1年で、道路建設を内務省建設局が独占していたのを、突然、商工省に産業道路を建設させて、道路予算の1/4ぐらいをぼんと付け替えるというようなことが、100ほどある改革の1つに入っております。それで、全国に今も産業道路というのが残っておりますが、あれは商工省がつくった道路です。それぐらいのことは、ごくごく簡単にできました。

今日から、金融問題で資本注入を行いますが、あのときは1県1銀行主義で、有無を言わさず、全体で5つの都府県を除いて、あとは全部1行に合併させるというような大胆なことが、瞬時に決定されて行われました。

何よりも驚くべきことは、年貢の定額金納制でございます。日本人の最大の財産であった農地を、すべて固定債権に等しい状態に変えてしまったわけであります。そんなことをどんどんやりました。

行政の方でも、たくさんの役所を変えました。

しかしながら、今から見ると、終戦直後の改革を経験した我々から見ると、昭和10年前後の大改革などというのは、ちょろちょろです。ほとんど何にもしなかったから太平洋戦争になってしまったような感じを持っています。

したがって、今やっている大改革を5、6倍ぐらいやっても、第2の道に落ちるのではないかという心配が、心配というか、予想があります。

もう一つ参考にしたのは、ここにあります皆様方のご意見、これは各部会ともそうですが、軍事大国を目指すべきではないというのは日本人のコンセンサスのようであります。徳川時代から明治時代に変わるときに、大改革をやった。何を改革したか。徳川慶喜のあの大改革で、徳川慶喜は首都機能も大阪移転すると決めているのですが、そういうことまで含めて、どこが違ったかというと、武士の文化をそのまま維持しようとしたのです。ところが、明治維新は、武士の文化を全廃することを徹底いたしました。これが一番の違いでございまして、斬髪令が出たのは明治4年でございますが、その前に、「ざん切り頭」の歌などがはやって、侍の格好をしているとカッコ悪いと。太政官令では、役所へ出るときに裃を付けることがそのまま継続されておりますけれども、明治維新になったとたんに、あれは武士の格好だからカッコ悪くて歩けないというので、役所へ裃をしてくる人は、数カ月の間にほとんどゼロになったというぐらいの大改革をやりました。雰囲気が改革をした。武士の文化を変えたということだと思います。

終戦のときは何を変えたかというと、軍人文化というのを全部廃止したのです。だから、明治維新までを見ますと、軍人さんが大変偉かった。財団法人を作るときでも、国民運動を行うときでも、名誉総裁が皇族さんか、華族さんで、理事長・会長が軍人さんで、副理事長か常務理事が文官官僚で、そして財界人は並び大名。爵位を見ましても、軍人さんは侯爵まで行きますが、文官は、子爵どまりで、財界人は男爵どまりというようなことです。

今日、天皇杯というのが5つほどありますが、全部、軍人がもらったのしかないです。文官の理事長のところには、一つも下りておりません。大相撲も、競馬も、サッカーも、そうでありました。六大学も、軍人さんが東京大学総長になったときに出たのでありまして、それまでは出なかったというような状況でありました。ところが、それががらりと変わって今、軍人の文化というのは全くなくなりました。そういう大変化があったのでございます。

では、今のアメリカや日本と全く違った文化、つまり、武士の文化、軍人の文化を否定して世界的に影響を与えた歴史の国はどこになるか。探しますと、宋という国に行き当たります。西暦960年に成立するわけですが、この宋という国は軍事は非常に弱かったのです。16省(今で言いますと北京と大同であります。)を北方民族の遼に占領されて取り返せない。北方領土問題というのは、ずっと宋の大問題、対外交問題であります。戦争は負けてばかりでありまして、領土もそんなに広くありません。中国を統一した王朝としては、一番小さい。敦煌の方には、西夏という国があります。北の方には遼という国がありました。

ところが、この宋は文化と経済がものすごく発達いたしました。ちょうどその100年ぐらい前からコークスをつくる技術ができまして、これで金属工業ががらりと変わって、銅鉄が大増産されます。鉄が増産されると、当然、農地の開拓が進み、それからあらゆるものが変わってきた。そして、宋ができました頃には、宋の経済力は世界を圧倒しておりました。

日本などは、お金をつくることをやめて、宋銭を使うのが習慣になりました。今も、タンザニアの博物館に宋銭がたくさんありますけれども、アフリカまで宋銭が流通していたわけであります。

また、規格大量生産が非常に発達しまして、今日、宋磁というと大体国宝級ですけれども、宋磁が石炭で焼かれ、しかも、18工程の分業が行われていたことが知られています。今に残る宋の建物、鉄塔というのは非常に複雑な形をした高い塔、70mぐらいの塔ですが、28の部品だけでできているというような時代でございました。

この時代は、朱子主義でございまして、まさに宋の朱子学が世界を圧倒いたしました。この勢いがどんどんと広がったものですから、ヨーロッパでも、中国が大変高く評価され、世界のグローバルスタンダードがだんだんと生まれ、それがジンギスカンに引き継がれて、世界史が生まれるという状況になります。

その代わり、軍事の方では大変弱かった。そういうこともあったのでございます。

日本としてどんな未来を目指すか。歴史の転換期でありますので、大きな変化に大胆なご意見をいただきたいと思っております。

〔 部会長 〕 大臣、どうもありがとうございました。

時間がかなり押しておりますけれども、非常に重要なことで問題もたくさんあります。ご発言の希望の方も多いと思います。大変勝手ですけれども、ひとつポイントを絞って、あるいはちょっと時間を押すかもしれませんけれども、お許しを得て、大切な問題ですからひとつ積極的にご発言いただきたいと思います。

〔 A委員 〕 まず、この審議会の基本的なスタンスについて質問申し上げたい。特に、経済戦略会議が先般、答申を出しました。これと、我が審議会の関係について、私が少し疑義を感じているというか、お聞きしたいポイントを申し上げたいと思います。

我が審議会の諮問内容は、我が国経済社会の「あるべき姿」とその実現に向けての経済新生の政策方針について、平成11年から21世紀初頭までの10年間程度にどういう政策をとるべきか、ということの諮問でございます。

一方、この間の経済戦略会議の諮問内容は、我が国経済の再生と21世紀における豊かな経済社会の構築のための構想に関する事項で、戦略視点に立った緊急に検討すべきもの、ということに関する意見が求められた。

この両者を比べてみますと、表現は多少異なっていますが、今後10年間程度で我が国経済を建て直すためには一体どういう政策をやればいいのだ、という意見が求められている点において、非常に似た諮問であると私は理解しているわけです。

両者に対する諮問が、いずれも小渕総理からでございまして、第1の質問ですが、やや辛口の質問になりますが、総理は、経済戦略会議の答申に対して何か不十分な点があると感じられて、似たような内容を繰り返して経済審議会に審議するように諮問されたのかどうか。あるいは、それ以外の意図で、もっと広くあまねく意見を求めるという意味でお出しになったのか、ちょっとお聞きしたいのです。

〔 大臣 〕 経済戦略会議は、小渕内閣が発足しましたときに、目下の不況に対応して緊急対策を論じよ、と。したがって、全般的な経済構造あるいは経済政策の全面にわたるのではなしに、今緊急にすべきことを非常に短期間に出してもらいたいということで、大胆な提案を求めました。

これは8条委員会でございますが、閣議決定にはしないで、最初から、閣議報告にしまして、その提案が各省、各党にどのような波紋を呼ぶか、まず石を投げてみる。それで、この間は最終報告でございましたが、第6回、第8回、そして第13回の中間報告、第14回の最終報告と4回に分けて報告しております。その中で、空間再生とか、空間倍増とか、産業再生とか、そのつど必要なことを報告し、それを直ちに予算に反映するようなこともしております。

したがって、当審議会は、全般にわたって日本の姿を描くというところで非常に重要な役割があります。経済戦略会議の方は、いわば一点突破型で審議をされた、こうご理解いただきたいと思います。

経済戦略会議に出ましたものを、この審議会でもできるだけ踏まえて議論していただきたいと思いますが、すべて取り上げていただく必要はございません。議論の結果、これはいい、これは悪い、これは検討すべき、としていただいて結構でございますが、やはり、参考として踏まえて議論はしていただきたいと思っております。

〔 A委員 〕 ということは、経済戦略会議よりも我が審議会の方が非常に間口が広いテーマで論議してしかるべきだ、こういうご意見ですね。

私は、それで理解できたのですが、経済戦略会議の第2章で提言されている内容、例えば、財投の廃止、基礎年金の税方式へ移行、教育改革というのは、我が審議会と同じように、今後10年間の我が国のとるべき政策として非常に優れた提案であると、私は評価しています。これは、明確に打ち出していますから。

だから、総理も、これを真剣に検討して実施できるように努力してほしいということを閣議でおっしゃっているわけですから、もしそうだとしたら、私は、この審議会は、経済戦略会議の答申が実施されるということを前提に審議を進めるのが筋だろうと思います。

そうなると今、大臣のおっしゃったように、経済審議会は、経済戦略会議でまだ十分に検討されていないというか、提言がされていないというか、間口がもう少し広い分野、例えば、地方行革のこと、地方分権のことを触れていません、そういう分野、あるいは、CO2 等の国際的な環境問題、この辺に主として力点を置いて審議を今後進めるというのがいいかなと私は理解しております。

〔 部会長 〕 A委員の出された問題は非常に重要な問題ですが、基本的に審議会と経済戦略会議そのものの関係とか、これは大臣がお話しになりましたが、最終提案と、実際に今我々が検討していることの関係、これはこれで非常に重要なことでどこかできちんとしないといけないと思います。しかし、具体的には違っているところもあります。

今お話しのことは、ちょっと棚に上げてと言うと語弊がありますが、ここは企画部会としてチェアマンの裁きをさせていただくと、それはちょっと棚に上げさせていただいて、実際には重なるか、違うか。企画部会以外の部会のお話で、経済戦略会議とはかなり違った視点で検討されて出てきているものもありますし、ここはそれを待って、その辺を企画部会でどうやるかと、いずれそういう時期が来ると思います。

今のA委員のおっしゃったようなことが、最終的に企画部会でそれぞれの部会から出てきたものをどう総合化するかという、具体的なことに迫られることになりますので、そこまで、その宿題はお預けにさせていただきたいと思います。

〔 A委員 〕 了解しました。

〔 B委員 〕 経済戦略会議との関係は、総会のときも、一部委員からご意見がありました。その後のいろいろな部会でもご意見がありますから、今、議長のおっしゃるとおりでいいと思います。

事務局の説明を聞いて私の感じをまず申し上げておきますと、全体が21世紀に向かっての文明論的な切り口といいますか、それがかなり強く出ている。従来の経済審議会ですと、全部経済的な切り口で、経済システムをどうするか、構造改革をどうするかということに視点が置かれていましたけれども、今回はかなり文明論的な切り口が出てきているということで、10年後の望ましい姿ということをやるには非常にいい切り口ではないかと思います。ただ、それだけに、これは欠点も出てくるということになると思うのです。

順番から申し上げますと、歴史的転換で、新しいステージに入った。これは、そのとおり、全く同感でありますけれども、多様性という問題、これは問題が2つあって、1つは、一過性の流行のようなものが非常にある。

例えば、卑近な例ですけれども、「たまごっち」というのはものすごいブームになった。ところが、それがしぼんでしまったら、その会社は業績急悪化というような、非常に流行的なものがある。

もう一つは、非常に寿命が短いということ。これは、技術革新です。まさにこれこそ本式の問題である。ということで、単なる多様性ということだけで切ってしまうのには、非常に問題がある、もうちょっと詳細に検討する必要があるのではないかということです。

以上です。

〔 K委員 〕将来への不安の背景の1つとして一番大きな問題は、変化が激しくなっているということだろうと思うのです。そのために自分の将来がどうなるかというのがわからない。その中の人口の問題であるとか、環境であるとかということがあるわけです。そして、改革ということもあるでしょうが、その激しい社会の変化に対してどういうふうに考えていくのかというところを考慮しなければ、不安は解消しないのではないかと思っていますので、そういった視点から変えたらどうだろうかということであります。

今までで、日本の産業構造が大きく変わってきた中で、労働資源あるいは資本の資源というのが流動的に移動してこなかったのかというと、私は、そうではないと思っております。むしろ、今までは、企業の中で、企業が労働者を抱え、その中で配置転換であるとか、転勤であるとか、そういうようなものを通じての流動性というのを確保してきたのだろう。今後、それがダメなのだ。企業の中の移動ではなくて、企業をまたがった移動にしていくというようなことがあるのだとすると、その一方で、逆に今度は、企業内における流動性というものが失われてくる可能性があるわけですが、そういったところを確保した上でここでの議論というのをしているのかどうか。なかなかいいところ取りというのは許されないようなことになっていると思いますので、いいところだけを書くのではなくて、その面も生じてくる、雇用保障の問題も生じてくるのだということが出てくるのではないかと思います。

また他には、セーフティネットのあり方というのは議論しておくべきことではないだろうかと思いました。

それと、経済成長について非常に軽視しているような表現というのがいくつか出てくるという印象を受けました。

〔 部会長 〕 軽視?

〔 K委員 〕 軽く見ているような表現というのがいくつか出てくると思うのです。

私は、経済成長を目標にするというのは、やはり、基本的におかしいのだろうと。おかしいのですが、いろいろな価値観の多様性を許容していく上では、経済成長というのはその下支えをしていくと思っていますので、成長はなくても、ここに書いてあるいろいろな目標というものが達成できるというふうには思っていない。

そういった視点から考えますと、経済成長というのは目標ではなくて、むしろ、手段・方法なのだ。いろいろな価値観を達成する上で、その手段としてどうしてもある程度の成長というのは必要なのだ、というような認識を持つべきではないだろうかと考えます。

以上です。

〔 P委員 〕 この中で大事なのは、グローバル化、あるいは社会主義の崩壊によって単一市場になったということで、この意味はものすごく大きくて、もっと重大に考えるべきではないか。

それは何かというと、社会主義圏がなくなって、自由主義市場1つになる。これはもう一つ別なことで言うと、中国とか、ロシアとか、インドも社会主義的な政策をとっていましたけれども、人口にすると20億以上の人が市場経済の中に参入してきているわけです。しかも、先進国よりも給料が1/50か1/100も安い労働力コストがバーッと入ってきている。こういうことが、恐らく、世界的なデフレ要因のものすごく大きな背景になっている。そういう人口というのは、恐らく、需要もそんなにないわけです。つまり、需要を喚起することによって世界経済が何となく成長するという構造は、当分ないのではないか。10年か15年ぐらいはないのではないか。つまり、アジアが成長センターとして本当にテイクオフするまではないのではないか。

そういうふうに考えると、ここで今考えている、ほぼ10年ぐらいの枠組みというのは、そういう大きな構造の中にいるのだということを、しっかり頭に入れておくということが、かなり前提として重要ではないか。

今、欧米が中心となっている企業あるいは国家をめぐる大きなドルとユーロの再編というのも、そういうデフレ構造に対して、企業や国がどう対応するかという戦略論として出てきているのではないのか。ベンツとクライスラーが、モービルとエプソンが、という全部がそういうことです。

日本というのは、国内の生き残り競争とか、国内でどうあるべきかということばかり考えているけれども、世界的なレベルでは、そういう大きな歴史的な大変化の中で今後10年間をどう生き残るかということの、体力競争だとか、生き残り競争をやっているのではないか。そういう状況の中で、我々はどういう目標を掲げ、どういう手段で、どういう「あるべき姿」を考えるのか。そういうことをしっかり踏まえておく必要があるのではないか。

もう一つは、そういうふうに考えると、成長の論争というのはあるのだけれども、僕は、エコノミストがやっている成長の論争というのは、聞いていてあまりエキサイティングではないわけです。2%だって、3%だって誤差の範囲ではないかという感じがするわけです。これが10%とか何とかというのだったら意味があるけれども、ゼロ%から3%ぐらいの間で論争したところで、それがどんなに我々国民生活に大きな影響を持ってくるのかという意味でいうと、何か誤差の範囲の話をしているのかな、と。

そうだとすると、つまり、かつての高度成長のときは、成長があってそれで利益が稼げれば、それによって福祉とか、雇用とか、環境とか、社会貢献とか、あるいは世界貢献というものがその上がりでできることが可能だったわけです。しかし、2%とか、1%とかというような成長の中で果たしてそういうことが全部可能かというと、これはなかなか難しい。これは、企業を見ていればはっきりわかります。地域貢献をやっていたり、いろいろな社会貢献をやっていたのをどんどんやめていくということを見ていても、わかるわけです。

そうだとすると、環境とか、福祉とか、雇用とかいうものを、どういう形で市場経済の中にうまく組み込みながらシステムとしてやっていくのか、そこが、僕は構造変化だろうというふうに思うのです。そこのところを議論していかないと、成長の上がりだけで何かやっていこうとしても無理ではないか。

今、ヨーロッパで言っている第3の道論などというのも、そういう視点で動き始めているのかなという感じがするのです。そこら辺の視点を置いて議論したらどうかなと思います。

〔 D委員 〕 委員の先生方の中で最も古い日本人の1人ですから、そういう感じを持つのかもしれませんけれども、何々先進国というのは、自分の国から言うべき言葉ではない。その実体が、国際社会の中で日本という国はこういう分野では先進国だな、というような状態に持っていって、そう言われるようであってほしいなという感じがします。

したがいまして、最初からそういう言い方をするのは──もちろん、目標として設定することは結構ですし、それに向かって努力することはいいのですけれども──、自分の口で何々先進国を目指すというのはいささか、古い日本人としては抵抗を感じます。

知恵と情報の先進国というのは一番大事ですけれども、うっかりすると、英語でいう嫌な感じをもった、クレーバーでスマートな国だというように取られかねません。それから、21世紀に向かって本当に日本が今後どうあるべきかということを真剣に議論してまとめたものは、当然、外国にも出ると思いますけれども、また関心を持たれると思いますけれども、その辺の言い方なども注意しなければいけないのではないか。

最後に全体として、ちょっと時間がなかったのでよくトレースできませんでしたけれども、各部会の意見をずっと伺いましたけれども、目的と結果がずいぶんゴッチャになっているというか、「目的ではなくて、結果なのだ」という点が、ここにいくつか指摘されたよりももっと多いような気がしましたので、その点だけをちょっと申し上げておきます。

〔 E委員 〕 やはり、先ほどA委員からもお話があったと思うのですが、1つは、政府の役割とか位置というのがもう少し出ていた方がいいのではないか。つまり、企業のあり方とか、個人のあり方がいろいろ書いてあるのですけれども、これから10年のことを考えていくと、今の財政政策の後始末をどうつけるかというのは避けて通れないわけです。長寿社会ということですが、そこをもう少しきっちり書けば話が少し具体的にもなるし、ふわふわしているという感じが薄れてくるのではないか、そういう印象を持ちました。

もう一つ、「個人の帰属」と書いてあります。一方では「個」の「自立」と書いてあって、同時に「帰属」と書いてあるのですけれども、私は、序列から言えば、独立自尊が先だろうと思いますので、バランスとしてはそういうふうに、もっと「自立」の方を先に書いてもらいたいという印象を持ちました。

あとはテクニカルな点、細かい点は後でメモでも出しますけれども、1つは、産業構造でワンセット主義はだめだというふうに否定型で書いてあるわけですが、そこは、前向きにこういうふうになるという方をもっと強く出す。つまり、ここはコンピタンスをもって、そして国境を越えたアライアンスが起こる。それに我々として乗っていく。そういう前向きの姿勢を出すべきではないか、そういう気がいたしました。

それから、所得格差の点ですが、私は、能力によって開くのはあまり大したことはないと思うのです。能力というのは、せいぜいが正規分布なのです。所得格差の方がはるかに、能力分布よりも現実でも開いているわけです。日本だって、いい技術を持っていても、世渡りの技術がなければ成功しませんから、正規分布を重ねているから不平等になっているわけです。そうではなくて、これからはリスクテーキングによる格差だと思うのです。リスクというのは、同じ能力を持っている人がチャレンジしても結果が違う。それを覚悟してやらなければいけない。それがリスクですから、そちらの方がむしろ問題であって、能力自身では大して開かない。

もし能力どおりであれば、これから拡大すると言いますけれども、現在でも、能力格差以上に男女別賃金格差は大きいわけです。能力差別以上に企業別賃金格差は大きいわけです。いろいろな点でいって、能力以上に保護されている産業と保護されていない産業の格差は大きいわけです。能力によって開くことをそんなにおそれる必要はない。むしろ、将来としては、非常にチャレンジしなければいけない。リスクの大きい社会で格差が開く、それを認めないとリスクチャレンジがなくなるわけですから、それをどの程度認めるかということの方がより重要な問題ではないかという気がいたしました。

細かい点は、また後にします。

〔 F委員 〕 基本的にはよくまとめられていると思いますし、また各委員がおっしゃったことには同感できます。

各論的になって恐縮ですけれども、この間は教育が大事だと非常に言われて、私もまさにそうだと思うのです。

もう一点、「ネットワーク」、「帰属先」、こういった視点での考え方は必要だと思いますが、ここの部分は1つのまとまった地域の中での話ではないかと思います。この間も申し上げたけれども、これからは、特に地方部においても地域間の交流と連携が非常に大事なわけです。そういう意味での地域間のネットワーク、そこを重視する必要があるのではないかと思っております。

以上です。

〔 A委員 〕 今日の議論は大きく括りまして、1つは、歴史的転換の本質はなんぞや。1つは、10年後のあるべき国家像、特に経済社会。

まず、前者から申し上げたいのですが、私は、これは一言で申し上げると、官主導型国家運営システムから脱却して、自律的な目標設定によって国家を運営する。言い方を変えれば、民主導型国家システムへの移行をやるべきだろうと考えます。

私は、行政改革委員会に関係しまして4年ほど各省庁と関わったのですが、その体験も踏まえまして、これは大蔵省も、農水省も、厚生省も、ありとあらゆる省庁がそうですが、行政の基本にある行政哲学というのがある。それが、私の理解したところでは、どうやら皆さん、広くあまねく公平・平等こそが社会正義だ。それを国家運営のマグナカルタにしておられる。ここが、今までの日本の行政の運営面の「あるべき姿」であったので、この辺を変えていく必要があるのではないか。

わかりやすく言ったら、左足が前に出過ぎていて、これは社会主義的な政策が全面に出過ぎた。保守的な自民党がやっていたのですが、社会党その他のいいところ取りをして、どんどんそれを取り入れたから非常に行き過ぎた、社会保障などもそうです。だから、この際は、右足を思い切って、自由競争・自己責任に基づく政策を今踏み出すことが、私は最優先課題ではなかろうかと考えています。

ところが、これからいろいろ失敗をするケースが出てくる試行錯誤の中で目標を設定していくのは、私は、官の文化になじまないと思います。バブルが崩壊して経済再生の出口がいまだに見つからない、その目標設定ができないというのが、何よりの証拠だと思います。

そこで、喫緊にやらなければならないことは、自律的に国家目標を設定することが可能になる最低限必要な条件を3つ喫緊にクリアすべきだと思います。

その1つは、民間が主体になって、国家運営システムを分析評価するために必要な行政運営に関するディスクロージャーを徹底する。ディスクロージャーがまだまだ徹底していませんから、これをまず第1にやるべきだろう。第2は、経済社会情勢の分析評価を踏まえ、そういう公共政策を綿密に企画する能力を有する民間のシンクタンクが重要だろう。霞が関は今、すべての政策が各省庁で立案されている。このあり様を、民間シンクタンクが多数存在して多様な公共政策を立案するというシステムに変えるべきだろう。第3は、そのシンクタンクから提案される公共政策を評価して、的確な案をそこで選択して、それに基づいて政策を実行する能力を有する政治家が政策運営を担う。こういう形に明快に持ってきいくべきだろう。そして、官僚は、その指揮命令に従って行政運営をするという形に変えるべき。

今は、霞が関が全部政策立案をやり、そして行政運営も行うということになっていますから、ここのシステムを変えることこそ、歴史的な転換の最も重要な、とるべき我が国の基本スタンスである。これが第1です。

次は、今後の我が国のあるべき姿です。1つは、「あるべき姿」という問題設定は、私は非常に辛口の意見ですが、中長期的に一定の具体的な方向性をもし求めるものであるとすれば、問題設定自体をここで軌道修正してもらう必要があるのではないかと思います。ということは、例えば、自由と平等の理念とか、あるいは今盛んに問題になっています、たゆまざる経済成長と、そこから起こる環境保全、この理念対立軸は当分消えません。ずっと、これは対立であり続けるわけです。こういった公共政策の決定については国会が1つを選択する機能を担うわけですが、私は、その選択の前提には、個人や企業の自由な価値判断があっていいのではないかと思う。ここの意見の中にも「多様性」というのが出ておりましたが、そういった多様性を制限しないことこそが「あるべき姿」であって、「あるべき姿」を何か1つボンと官制で作るというのはいかがなものかと私は思います。

したがって、中央政府が当面やらねばならないことは、民主導の新たな国家運営システムへの転換という、さっき言いましたプライオリティとして最重要課題を解決することに最大限の力を注ぐべきであって、新たな国家運営システムができ上がった段階で、その運営システムの視線から「あるべき姿」というのは当然出てくるのではないか。私はそう思っているわけで、経済主体の「あるべき姿」は、本来、各主体が自主的に判断するものであって、政府が干渉するものではないのではないか、このように思うわけです。

〔 D委員 〕 私、一言申し上げたいのですが、A委員のおっしゃったことはよくわかるし、大体、私も間違っていないと思いますけれども、いわゆる行政府というのは国家としてどういう役割を果たすべきか、国家として。これは、ただ決められたことを実施していればいいというだけの集団であっていいのだろうか。行政府がイニシアティブを取って政策を立案し、実行していくというのは行き過ぎであることは間違いないけれども、ただ決められたことさえやっていればいいんだよ、ということですむのでしょうか。そんな国があるのでしょうか。

〔 G委員 〕 今回の問題は、今までの経済中心のところから広く切り口が文明的なものになって、非常にいい問題をとらえていると思います。

第2次大戦後の大きな高度成長の中で、日本に新しい秩序ができてきたと思います。それは東西・ソ連共産主義国の崩壊であるとか、バブルの崩壊とかがあって、今まで作られてきた秩序というものがなくなった。これは経済だけではなしに、精神的な問題もひっくるめてそういうように思います。

それが一番いい例は、学校などでは学級崩壊が言われておりますが、これはまさに教育問題が1つあると思います。その意味で、新しい秩序、新しいモラルというのをこれからつくっていかなければいけないのではないか。これが一番不安の背景にあると思います。

いろいろな問題、財政問題とかみんな絡んできていますけれども、先が見えない。しかも、守るのは自分だけだというような方向にどんどん行けば、不安がますます増加してくる。個人責任ということも大事でありますけれども、社会としてどうするか、セーフティネット、そういうものも不安を除去するためには非常に重要ではないかと思います。

さっきのF委員のお話にありましたが、教育問題があまりここに触れられておりません。教育問題は、しっかり書き込んでいただいたらいいと思います。

先ほど、どなたかもお話しされました、国なり地方公共団体、行政のあり方はどういうことを果たすべきかということも必要だと思います。

それから、個別の検討課題になりますが、地域のコミュニティーについてですが、日本にコミュニティーというものが本当にあるのかどうか。市町村はありますけれども、かつては集落というのがございましたが、集落もほとんど崩壊しつつあります。ここで地域のコミュニティーと言う前に、コミュニティーというのは一体どうやってつくるのか、どういうものを想定するのかということが必要ではないかと思います。

もう一つ、住宅の問題が全然触れられておりませんけれども、バリアフリーとか生活空間の近接化以前に、住宅自身がゆとりのある、セルフウエルというのがありますが、それ以上に、人を招いたりできるような、そういうものがない限りは政策としてうまくないと思います。

〔 H委員 〕 皆さんいろいろおっしゃったので若干重複するかもしれませんけれども、最初の委員の方がおっしゃいましたように、夢と現実との乖離を非常に感じるわけです。私は、企業経営にタッチしておりますので、特に痛感するわけであります。

10年後の日本の経済のあり方を考える場合に、企業の活性化があって企業が利益を生み出していかないと、日本経済の夢は実現しない。

最初の5年間は非常に厳しいけれども、あとの5年間は、それをやればこの姿になりうるのだということをやっていただかないと、これが現実的にならないということを感じるわけです。

ですから、ベーシックな教育の問題、あるいは新産業の創出といった問題は、産業構造が変化しないと確保できないわけですから、そのためのところはちょっとうたっていただかないと。

このままだと非常に高コストの日本の社会がそのまま持ち上がった形になっていると思います。皆さんの言っていることを全部入れると非常に高コストの日本社会になって、世界経済で本当に立ちいっていけるのだろうかという、現実論との乖離をものすごく感じるわけですので、そこのところはぜひ明確にしていただかないと、皆さんのおっしゃるように、この夢というのは本当に現実化しないのではないかと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

〔 部会長 〕 私自身の整理のためにも皆さんから伺っておきたいのですが、1つは、いずれにしろ、これは従来の5カ年計画と違って、10年後に一応視点を定めよう。これについては、皆さんからそのときもご意見があって、10年を考えるのだと、実際にはその先の20年、30年ぐらいを視野に入れていかないと10年後の話はできない。これは初期に、皆さんからお話があり、非常に重要なことだと思います。それは今日も、何人の方が直接・間接それに触れたお話をされているわけです。

ただ、そういうことをいろいろやった結果として、ここででき上がるものは、とりあえずどういうところに役立てたいと思っているかというと、夢と呼ぼうと何と呼ぼうと、結果的には、消費者であったり、企業であったり、行動主体が今とかここ2、3年のうちに好ましい方向に向かって動いていく、それのきっかけになるようなものを結果としては作りたい、というのが最終目的だと思うのです。

それを従来のやり方と違って、1つには、当面いいことばかりではなくて、かなり厳しいこともあるから、その先に行って厳しいことを越えたら何があるのかというところを、夢ではないのだけれども、夢という表現がいいかどうかはそういう点はありますけれども、お互いにある程度「それは好ましい姿だな」というふうに大方の共鳴共感を得るようなものができれば、それに向かって何が必要なのかと。そうすると、最初の1、2年というのはかなり厳しいですよということも、そこへ行くのなら厳しさも甲斐があるというふうに思ってもらわなければならないいけない。その筋書きを作る前段階の話を今しているわけです、1つは。

それから、ここのところについて、私は、歴史とか文明論とかは素人ですけれども、1つは、中西輝政さんが書いておられるような、実際に今、長期的な波動の中で日本というのは、これはいいとか悪いではなくて、低落ではないけれども、ある1つのそういう過程に入っている。それは言ってみれば50年ぐらいのスパンのことで、日本のここ10年ぐらいの状況というのは、今世紀初頭の大英帝国にそっくりである。大英帝国はかなりいろいろなことをやって、またやったからサッチャーリズムも生きた。そのときに、教育に絡むことが出ていて、教育は非常に重要だけれども、教育は10年後に何か成果が出るというのではなくて、どうも考え方からすると、新しい何と呼ぶかは別にして、精神的な行動文化と中西輝政さんは言っておりますが、そういうものを新たにつくっていく。これは30年、40年のことかもしれない。だけれども、それをやらないと本当の意味での日本の、ここで言っているような、結果的に尊敬されるか、好まれるかわからないけれども、そういう長い視点がある。

それをあまり先に出しますと、大前提は、三蔵法師の手のひらというのは下を向いているのか、その中で俺たちは踊っているだけか、というと我々もどうもモチベーションがあまりぱっとしないので、そこはそういうことかもしれないけれども、大きな中での小中波動のやつをいろいろやって、今よりも沈まないようにしていかなければいけない。それから、50年先の努力もしていかなければいけない。

特に、さっきE委員がおっしゃったことに絡んで、それから、行政のことなどに絡んで、ここのところでかなりはっきりしてきていることは、役所が悪いとか、政治家が悪いとかいろいろ言っているのだけれども、基本的に日本が一生懸命やろうとしていることは、個人とか個別の企業が、良識があって、しかも自己責任ということが常識になっているようなものが増えていけば、政府に何も言われなくたって、マクロで予測などが出なくたって、自分たちで行動をとって動きを起こしていますよ、と。そういう状態を、我々は望んでいんるのだと思うのです。

そうすると、そういう新しい個というものが、人であるか企業などに出てきたときの、行政のあり方とか、政治のあり方とか、また改めて企業というもののあり方とか、従来は「政・官・財」と言っていたけれども、それなりに有形か無形か新しい1つの仕組みというものが想定されてもいいのではないか。いずれにしろ、そのときに中心になるのは、特に人のレベルでそういう個人が、かなり普遍的に日本の中で「それが当たり前だ」というふうに、また教育だというと、もう息が遠くなっちゃうのですけれども、実際に社会に出ている人も含めて、そういうところに持っていかないといけないし、かなり外の力でそういう方向に仕向けていくというのは、多分、それが競争だとか、市場だとかいうものが、「厳しいよ」と言う話があったって、それを有効に働かせていくことによって結果的に、最終的な個のレベルでのリーセントで自己責任を果たす人がどんどん増えていくことになるのではないかという感じもしています。

当然、行政だけでなくて、行政も含めた仕組みの話というのは、最終の仕上がりの中では視野に入れた上で、そして最終的に、A委員がおっしゃったように、かなり集中して我々が話をするところは経済関係かもしれないけれども、ほかのことを無視して経済のことを論ずるわけにはいかないような、そういう時点に今の日本は差しかかっているのではないかというのが、多分、現状認識ではないかという気がしました。

まだお話を伺っていない方がありますが、I委員、J委員、ありましたら伺っておきます。

〔 J委員 〕 必ずしも、日本の変化というのは、世界の環境が変わったから日本がどうするという、日本小国の時代ではないわけです。今起こっている変化というのは、まさに日本自身の成熟化ということがもたらしている面も大きいということであって、しかも、そこで大事なのは、過去の成功体験が将来の改革への妨げをもたらしているという、一種の非常に皮肉な状況です。ですから、そこを押さえる必要があるのではないかと思います。

それから、成長の意味のところで、K委員がおっしゃいましたけれども、大事な点は、マクロの成長か、1人当たりの成長か、労働生産性かということがあって、高齢化社会というのはマクロの成長から1人当たりの生産性上昇へ目標が変わろうとしているわけです。それを押さえていれば、移民を入れて高い成長などというナンセンスは出てこないわけです。移民を入れても1人当たりの成長は全然高まりませんから、そこが大事だと思います。

3番目に、所得格差というところでは、先ほどE委員もおっしゃいましたけれども、今は全然平等社会ではないわけです。日本的雇用慣行が平等だというのは、まさに限られたコップの中での平等性であって、それは幻想であって、これからは流動化すれば、よりパートタイムの人も入れれば平等の社会になるのではないかという見方もあるのではないか。所得格差ということを、もう少し広い意味でとらえる必要があるのではないか。

そういうことでございますが、後でメモで出します。

〔 M委員 〕 第1は、我々のグループにL委員が入っているのですが、この資料はみんな「我が国」です。どこの国のいろいろな報告書を見ても、マイ・カントリー・イズ何とかと書いている報告書はないと思います。これをどこかに発表したら、どこの国の報告書かわからないから、「日本」でいいのではないか。ということは、そういう意識で報告書ができ、議論されるというのは、自分たちの国・社会をもう少し世界の大きな変化の中で客観化していないのではないかという感じがします。

その点に関連して、前回も少し説明があり、今回も少し説明を受けましたが、日本の良さ(我が国の良さ)に絡んで、独りよがりが結構あるのだと思います。安全な国、確かに単純犯罪というのは非常に少ないです、最近は不況の中で増えていますが。しかし、外から見て、客観化されている姿というのは、ここ数年間の金融スキャンダルに伴って総会屋が入ってきたり、組織暴力が入ってきたり、優良企業の人がみんなそういうことに絡んで逮捕されたりする。そういう全く違うことを、みんなは議論しています。日本の将来は、隅々までそういう組織暴力、単純犯罪でないもっと深刻な問題が巣をつくっているというような受け止め方が今主流でありまして、日本で我々が「安全な国」というのは非常に単純な犯罪について議論しているにすぎないのではないか。

ちなみに、この2、3日議論になっている、北海道で逮捕された銀行家がいますが、あの人たちの貸付も、実はあるスキャンダルがあって、それで脅かれさて組織犯罪的な様相でのめり込んでいったという話だって、海外からの見方というのは、すぐ直感としてそういう形で受け止めているわけです。

第3点は、夢が何か、夢が抱けないという議論をしながら、夢を実現する方向ということです。夢が描けないのに、実現する方向を議論しても始まらないのではないかというのが、1つです。

最後は、恐らくこれは、A委員が強調されている点と関係があると思うのですが、富みや文化、それが重なって展開していくことは豊かさであり、本当の意味の深い成熟でしょうが、そういうものを生み出すものは実は行政でも、政治でもなくて、民間セクターです。個人であり、民間企業であり、それからNPOというものです。そういう人たち、そういうグループが夢をそれぞれに追いかけて、それぞれの過程でリスクも生まれる。しかし、失敗に対しては再チャレンジの話があり、最終的に失敗して落ち込んだ人に対してはセーフティネットがあるのでしょう。そういう夢をそれぞれに追求できるようなシステム、環境を整えることは、行政であり、あるいはとりわけ政治の宿題なのでしょう。そういう仕組み、あるいはそういう視点というものがどこに入ったらいいかなという感じがします。それによって、政府の役割ということも1つの括りとして整理できるのではないかと思います。

思いついたところだけで申し上げました。

〔 N委員 〕 一言だけ申し上げます。従来の経済計画の枠を破るつもりでお書きになったと思いますから、前向きな話は非常にいい勉強をなさっていただいたし、我々もいい勉強をさせていただいたと思います。しかし、作るべきものは、やはり、誰が何をやるかということだと思いますが、その誰が何をやるかという主体が非常にはっきりしない。「我が国」は別としても、「政府は」と書くだけではいけないので、中央政府か地方政府かもある。それから、自己責任と書いてあるけれども、これは個人の自己責任なのか企業の自己責任なのか、その辺も非常に曖昧模糊とし過ぎているから非常に迫力がなくなってくるのかなと思いますから、整理するときは、それをまとめるべきではないか。

それから、このことは前にほかの部会で申し上げました。官と民というときに、官は公だ、民は私だという独断が多過ぎる。これから、官はできるだけ小さな政府にし、民がいろいろ自己責任でやるときは、自己責任の中に公ということをうんと考えておかなければいけない、ということがどうも落ちがちだと思います。

そこで、公を民がやるときに、どうしてもできないものがある。例えば、国防などというのは明らかにそうです。そういうようなものが経済の面でうんとある。それをできるだけ民でやって、どうしてもできないものは官がやらなければいけない。そういうことがどうかというときに、それが中央政府か、地方分権の政府がやるのかというようなことなど、この委員会でもう少し議論してはどうだろうか。つまり、何をやるというときに主体をはっきりさせるという時点において、はっきり明確にすることが必要だということを、今日のお話を聞いて感じましたので、それだけを申し上げておきます。

〔 部会長 〕 簡単にお願いします。

〔 O委員 〕 成長は最終目標ではなくて、豊かさのための手段だと考えますけれども、ただし、経済成長というのはどうしても追求しなくてはいけないというふうにも思っています。今までは、人口増加とか、キャッチアップシステムでかなりの成長が実現できたわけですが、2010年まで考えますと、労働力人口が相当伸びが鈍化し、減少してまいります。キャッチアップシステムももう通用しないということですから、これからは成長を追求するためにはどうしてもある1つのことが必要だ。それは、多様性とか、個性とかという近い言葉はあるのですが、独創性であると思います。独創性が今まで抑圧されていたということが、キャッチアップシステムにとっては有利だったのですけれども、今後は、成長の源泉を独創性に求めなければいけないと思います。

その独創性を支えるためには2つありまして、自由な経済活動、グローバル競争を活用した自由な経済メカニズムということに加えて、インセンティブメカニズムということが必要であると思います。そのインセンティブメカニズムを日本語でいうと、応報ということになるのですが、「因果応報」という言葉があって、なかなか受けがよくないということで、これは市場を通じた評価と勝算の仕組みということで独創性を育てていこうということが重要ではないかと思います。

ですから、夢を実現する社会という言葉もよろしいかと思うのですが、独創性と個性が輝く社会ということが追求されるのがよろしいのではないか、どうしても必要になるのではないかと思っております。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。一巡ずっと伺いまして、いろいろ参考にさせていただいて、今日提案したものをフォーカスを少しきちんとしていきたいと思います。

少しお時間をいただいて恐縮です。この前ご案内をした、広報グループのことに絡んでご報告をすることがあります。お手元の資料4ー1~4ー7で、「新たなる時代のあるべき姿」についての広報についてをちょっとお考えいただきたいと思います。事務局から説明をお願いします。

〔 事務局 〕 資料4ー1につきまして説明させていただきます。時間もありませんので、簡単にいたします。

2月25日から、インターネットによる国民からの意見募集を始めました。資料4ー1に示しておりますのは、案内状であります。その次のページから、インターネット上の画面を付けてございます。

正直言いまして、現段階ではまだ意見の出が悪い状況でございます。現段階では、できるだけホームページを開設して意見を募集しているという事実をもっとよく知らせることに力を注がなければいけないと思っておりまして、そちらの方に力を注ぐということかと思っております。

なお、インターネットによる意見の募集は5月ぐらいまで、段階的に提供する情報を変えながら続けていくことを予定しております。

資料4ー2は、PFIシンポジウムがございまして、各地でそういうことを活用しながら、「新たなる時代のあるべき姿と政策方針」を策定しているということ、あるいは意見を求めているということを、少しでも知らしめるという活動もしていますという報告でございます。

〔 事務局 〕 続いて資料4ー3でございますが、「政府広報等の活用について」ということで、テレビ、ラジオ、新聞、企画庁の機関紙等を使って広報をやろうということでございます。とりあえず今月のスケジュールだけを書いておりますが、4月以降もやります。

資料4ー4でございますが、物価モニターという制度を経済企画庁物価局で持っておりまして、全国4,000人弱ですが、物価モニターの調査がちょうど2月にございましたので、この機会を借りまして、「新たなる時代のあるべき姿と政策方針」に関してもアンケート調査をやっているところでございます。

資料4ー5でございますが、「海外からの意見募集」ということで、インターネットを用いる、有識者へのクエスチョネアを送付する、直接にこちらから出掛けるなり向こうから外国人が来た機会をとらえて意見交換を行うということを考えております。

資料4ー6でございますが、民間シンクタンクへの短期集中委託調査を考えておりまして、ここに書いてございますように、企画部会以外の各部会ごと1テーマずつシンクタンクに委託しておりまして、4月の早々にも成果が発表できるようにということでスケジュールを進めております。

資料4ー7が、ただいま駆け足で申し上げました広報活動についてのスケジュールになっております。

簡単ですが、以上でございます。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

参考までに、広報関係については、村田委員を長にして、水口委員、嶌委員、小島委員にお願いをしておりますので、ご案内をしておきたいと思います。

時間が少しオーバーしつつありますが、今日は、大臣にもずっとお付き合いいただきまして本当にありがとうございました。

次回の企画部会で、さらに詰めたご議論をいただけるように、今日のご意見をいろいろ参考にして、さらに私どもの論点をきちんとしていきたいと思います。

次の日程についてご案内をしていただきます。

〔 事務局 〕 次回は、3月24日水曜日の午後2時半から、場所は、本日と同じ会議室の407号室でございます。よろしくお願いいたします。

〔 部会長 〕 3月24日の2時半からでございますので、お忙しいと思いますが、ひとつよろしくご予定いただきたいと思います。

それでは、第7回の企画部会の審議はこれにて終了したいと思います。どうもありがとうございました。

──以  上──

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