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計量委員会(第2回)議事録

経済企画庁

計量委員会(第2回)議事録

計量委員会(第2回)議事次第

日時 平成11年3月3日(水) 10:00~12:00

場所 経済企画庁官房会議室(729号室)

  1. 開会
  2. 中期多部門モデルを用いた財政収支の推計方法について
  3. 財政社会保障モデルについて
  4. 閉会

(配付資料)

  • 資料1   計量委員会名簿
  • 資料2   論点メモ
  • 資料3   中期多部門モデルにおける政府部門の取り扱いの概要
  • 資料4   財政社会保障モデルの説明
  • 参考資料1 経済戦略最終報告(2月26日)での「日本経済の回復シナリオ」
  • 参考資料2 前回計量委員会(2月17日)における論点メモ
  • 参考資料3 前回計量委員会(2月17日)議事概要

計量委員会委員名簿

新居 玄武  学習院大学経済学部教授
岩田 一政  東京大学大学院総合文化研究科教授
植田 和男  日本銀行政策委員
小川 一夫  大阪大学社会経済研究所教授
奥村 洋彦  学習院大学経済学部教授
国友 直人  東京大学大学院経済学研究科教授
佐和 隆光  京都大学経済研究所教授
島田 晴雄  慶応義塾大学経済学部教授
橘木 俊詔  京都大学経済研究所教授
南部 鶴彦  学習院大学経済学部教授
伴  金美  大阪大学経済学部教授
深尾 光洋  慶応義塾大学商学部教授
藤原 正寛  東京大学大学院経済学研究科教授
吉岡 完治  慶応義塾大学産業研究所教授
吉川  洋  東京大学大学経済学研究科教授
吉田 和男  京都大学大学院経済研究科教授

〔 委員長 〕 ただいまから第2回の計量委員会を開催いたします。

本日は、ご多用なところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。本日は、議題が2つございます。1つは「中期多部門モデルを用いた財政収支の推計方法」、もう一つは「財政社会保障モデルについて」を議論したいと思います。

その前に、前回、欠席された委員の方々のために、前回の論点について、発言の機会がございますかと思いますので、前回、どういう議論がされたかということに関して、事務局から簡単にポイントの説明がございますので、それから始めたいと思います。

それでは、事務局にご説明をお願いいたします。

〔 事務局 〕 参考資料2、前回の計量委員会における論点メモでございます。

その後に参考資料3として、前回どういう議論あったかという議事概要が付けてございます。

簡単に主要なポイントだけ復習いたしますと、中期多部門モデルに関連いたしましては、1つは政策シミュレーションということで規制緩和の経済効果というのを少し前に経済企画庁の方で行なったことがございます。そのときに中期多部門モデルのようなケインズ型のモデルで規制緩和の経済効果のような供給サイドの効果をどういうふうに勘案するかということで、事務局がとりました方法として、1つには各分野の全要素生産性が上昇する。それによって供給能力が増えて需要がショートしますと物価が下がって、下がった物価に対して需要が誘発されるということで実質GDPは増える、経済活動は活発化するということ、もう1つは各分野で新規の投資なり消費なりが、これはモデルの外から推計して何兆円という形で投資あるいは消費に積み増すという、主としてこの2つの径路を通じて経済効果を中期多部門モデルで勘案した。

問題点としましては、外から追加需要を与えると、本来であれば追加需要が内生的に発生する新分野なりが登場して、そこに投資なり消費なりが誘発されるという効果が、本来経済には内在的にあるのではないかと思われるわけですが、そこがモデルの外から与えている。

結果として、事務局の方で行なった試算では、先ほど物価が下がると申し上げましたけれども、供給能力の拡大の方で効果が大きくて、そうは言っていないわけですけれども、よく見ると若干デフレ的な要素が現れてくる。もちろん実質GDPは増えるわけですけれども、陽表的に対外的に示していない数字として供給能力がどうなっているかということを見ると、供給能力が需要以上に増えている。それが規制緩和の効果だと言って果たしていいのかどうかという点が1つでございます。

これに対するご意見としては、そういう数字づくりは他の役所に任せて、企画庁はもっと本質的な、例えば国富調査とかそういうようなものをやった方がいいのではないかというようなご意見もございました。

その他に一般論としまして、参考資料2の論点メモに書いてございますけれども、消費税導入の駆け込み需要、あるいはその後の消費の反動減でありますとか、社会資本ストック、良い社会資本ストック、悪い社会資本ストックというものをモデルの中でどういうふうに区別できるのかできないのかというような点も論点として挙げさせていただきましたけれども、これについては、時間の関係もあってあまり大きな議論はできなかっただろうと思います。

論点メモの2枚目、これは前回ご出席の方には前回と重複して恐縮なのですけれども、モデルを離れてより幅広い視点からということで、2010年頃までのタームを視点に入れまして、我が国の潜在成長力はどのぐらいあるのかないのか。これは今日もご議論いただきたいと思いますが、消費性向の最近の落ち込み、あるいは資本係数を国際比較あるいは時系列で見て、今後の動きについてどういうふうに判断したらいいのか。モデルというのは過去のデータで推計しているということですけれども、将来予測をするに当たってどういう注意をしなければいけないのかということでございます。

最後に、展望で示すべき指標ということで、これまで経済計画の中では年平均成長率というものが一番の大きな目玉として示されてきたわけですけれども、そういうもの以外にも、前回のご議論で出された例で言いますと、「豊かさ」ですとか「環境GDP」とか、そういうようなものの方が重要なのではないかという議論も、これは特に経済審議会の中でも他の部会でそういうようなご議論がかなり強くて、私どもとしては、前回、この委員会の趣旨ということでご説明したのですが、そういうこともあって、やはり財政収支ですとか、社会保障の問題ですとか、どうしても計量的なバッググラウンドというのは一定のものは、それをどういうふうに最後取りまとめるかと別として、持っていなければいけないという認識で計量委員会を再開するということを決断したわけです。その計量委員会ではあるわけですけれども、従来のマクロモデルのフレームワークにとどまらず、さらに幅広い視点からご専門の立場からご議論いただきたいということで論点とさせていただいております。

本当は、今日、本来の議題に入ればいいわけですけれども、前回ご欠席の委員に、そこら辺、何かご意見があれば最初に賜りたいと思います。

〔 委員長 〕 今、ご指名の委員から始めたいと思いますが、どなたからでも結構でございますから、中期多部門モデルを使った話だとか、そういうことに関してご意見、ご希望がございますでしょうか。

〔 委員 〕 指名されたのでという感じなのですけれども、ご時世がご時世ですから、やはりターゲットを決めてモデルを作るということがどうしても重要なのではないか。チラチラと前を見ていたのですけれども、何を調べなければいけないか、何をシミュレーションしなければいけないかということによって、租税関数なども変わってくるのではないかという気がいたしますけれども。

〔 委員長 〕 ターゲットというのは経済成長率何パーセントにもっていくにはどうしたらいいかとか、環境問題、CO2をどれだけ削減するのにはターゲットを決めてどういう政策があるべきかということをやるということですか。

〔 委員 〕 例えば、前を読んでいて、だから今度はそのちょっと前の話になっちゃいますけれども、例えば所得税、直接税の租税関数というのがここに出ています。そのときに、税率のフラット化をするとか、そういうような議論をするときに、依然として経験主義の租税関数では議論ができないし、例えば、これは極端なことになるのかもしれませんが、外国人がずいぶん日本に入ってきているわけですけれども、そのときの税の関係で、例えば我々が言っている国民所得勘定体系での「国民」という概念と、あるいは1年以上いたら中国人であろうと何であろうと、その経済活動は「国民」に入ってしまうわけですが、そういうものと税との関係は本当にうまくいっているのかとか、そういうようなところを少しでも……。モデルというのは簡略化せざるを得ないわけですけれども、入れていく必要があるだろう。

例えば、所得分布なども場合によっては内生化、内生化はできないとしても、例えば、トータルの国民所得概念上の所得というものと、課税所得というのがあるわけです。そこをリンクして、課税所得というのはある種の所得分布を国税庁統計年報書とか何とかで持っているわけです。そういうものはリンクして税収と税率と所得というものをやっておかないと、税をフラット化するとか等々をやるときに、そういう議論ができないことになってしまうというようなことです。

〔 委員長 〕 ありがとうございました。

他の委員、いかがかですか。

〔 委員 〕 特にございません。

〔 委員 〕 ここで何をやるかということに密接に関わるかもしれないのですけれども、先ほど事務局から、現在の問題が過去を捨てないということをおっしゃった、あるいはTFPにしてもいろいろな要因を外から外生的に与えているとおっしゃったのですが、私自身は、そういう問題というのは、基本的には今現在の我々の知識、経済的な理論の知識も含めて、はっきり言えば現状との間の乖離だと思うのです。

我々の知識と現実との間の乖離が絶えず埋められると考えるのは、非常に難しいし、そういうことは追うべきではないだろうと思うのです。むしろ我々にとって重要なのは、例えば設備投資関数がある、設備投資関数でやるとこうなんだけれども、現実がこうだ、その間は一体何かということをまず明らかするということが重要であると考えるのです。それを無理やり埋めるということは、そのときはいいかもしれないのですが、必ずどこかでポシャるというのは、かつての我々も計画局も含めて共有の知識として持っているわけでありまして、そのときには、すべて内生化するということは……、もちろん、なるべく内生化してやるというのは重要なのですが、すべて内生化できるとは思えない。むしろ、重要なことは、何が説明できて、何が説明できないかを率直に見るというのが、理論家と違う実証屋の仕事だと思うのです。そこをまず出すべきだというのが第1点です。

だから、当たっているかいないかという問題が重要ではなくて、当たってなくてもともといいわけで、我々の知識は100%ではありませんので、それをまず認めるということが重要ではないか。だから、そこをはっきり出すということ。

例えばTFPの話にしても、例えば規制緩和をしたときに、新需要が出るなんていうのは、なかなか今の経済理論でも説明なんかつかないわけでして、それにはいろいろな考え方があるわけですけれども、それでいつもできるとは限らない。そういう努力はすべきだと思うのですが、それができないことを何ら恥じるべきではなくて、それを無理やり説明しようすると、長期的なシミュレーションのときには必ずボロが出てくると考えています。

第2点は、モデルの役割ということがここで論じられていたと思うのですが、基本的にモデルの役割というのは、いろいろなところでいろいろな議論が、例えば経済審議会のいろいろな部会でいろいろな議論がされているのですが、大部分が周りのことだけであるという、ある種のコンディショナリティー、これもモデルはコンディショナリティー、私はそれでかわまないと言ったのですけれども、の下でやっているわけで、そこで行われた議論が他に対してどういう影響があるかを調べるときは、結局、モデルという枠組みを使わざるを得ないということははっきり知っておくべきだと思うのです。

例えば税の話をするのだって、税だけやったってどうにもならないわけで、それが経済に対してどういうふうはね返りがあるかを見る必要があるわけです。やはりそれができるのは税のモデルではなくてマクロのモデルであるというのははっきり。ただ、そのマクロのモデルが現実を追うかどうかというのは、先ほど言ったように重要な問題ではなくて、中期多部門モデルのようないわゆるモデルというのは、はっきり言えば誰が見てもわかる、そして、そのモデルが現実とどれだけ違うかということも我々はわかる。そういうモデルでいろいろと議論するということが重要であって、ただ単に現実をフォローするかどうかの問題ではない。

例えば規制緩和と言ったときに、先ほどTFPであれば供給力が増えて価格が下がって、ある意味では悲惨な結果が出るのはごく当たり前のことなわけでありまして、そういうことが出てくるというのはモデルを使ったから初めてわかるわけで、規制緩和の専門家の議論でいけば規制緩和というのは万万歳なわけです。だから、そういうことのシグナルを。ただ、そういうことによっていろいろな波及効果が出てきたときに、必ず辻褄の合わない問題が出てきます。例えば、それが対外的なバランスを悪化させるとか、あるいは政府の赤字をバランス悪化させるとか、いろいろな形での無理なところがそういうところに出てきますので、それを見るのがこういうモデルの役割であるというのは、これもやはり知識としてお互いに自信を持って共有してもいいのではないかと思うのです。

だから、1つの政策を素晴らしいと言って主張する人がいるのですが、結局、それを全体のフレームワークですると、結局のところ大したことないよとか、あるいはもっと悲惨な結果になる。やはりできるのは我々のこういうモデルというフレームではないかと思うので、そういう点で考えたときに、ここでの意味というもの、あるいはここで何をするかということを考えたときに、ある程度はっきりさせておくということが重要だし、我々の注意すべき点は、後でも財政社会保障モデルでいろいろ出てくると思うのですが、そういう結果を見たときに、やはり何かおかしいというのが必ず出てくるわけでありまして、それを出発点に次の問題を考えるという姿勢を持てば、私自身としては、この委員会の仕事というのは十分意義があるのではないかと思っています。

〔 委員長 〕 ありがとうございました。

〔 委員 〕 1点だけ申し上げます。

拝見すると、事務局の方の技術的な問題点として設備投資関数の説明力不足の改善法というのがあるのですが、設備投資の問題は、多分2つ問題があって、1つはストック調整といいますか、過大な資本係数といいますか、そういう問題と、それから、やはり金融の問題があると思うのです。民間仲介のところが何かうまくいっていないと思うのです。つまり、銀行の仲介機能があまり……、ロシアの話みたいですけれども、あまりうまくいっていないというのと、そういうデットのエコノミーといいますか、特にノン・パフォーミングのデットがおおいかぶさっていることが経済全体を暗くしているところだと思いますが、私、スウェーデンの話を、スウェーデンの中央銀行の方から、デットをどういうふうに、ノン・パフォーミングのローンをどうやって解消したかという話を聞いたのですが、そのときに計量モデルを使っているのです。

どういう使い方をしたかというと、例えばマクロ的な景気回復と、もちろんデットの大きさというのは相互関係があるから、どっちかを決めるというわけにはいきませんけれども、例えば仮に成長率が2%ぐらいになったとしたら、そのときには例えば土地の価格がどのぐらいになって、そこから収入はどのぐらい上がって、その結果、ノン・パフォーミングのローンの割合がどのぐらいになってという、一種のイタレーションといいますか、もちろん回復のシナリオはいろいろ複数あると思うのですけれども、その複数あるのを計量モデルを使っていわばどのぐらいの国民にとって負担になるのか。これは財政部門にももちろん関係があるのですが、私、日本の不良債権の問題でうまくいかなかった1つの基本的な理由は、これはスウェーデンの方がおっしゃったのですが、公的資金を投入するということについてきちっとした国民的合意を作らなかった。合意を作るのに必要な数字を提供してこなかった。ですから、本当にどのぐらいの大きさなのかそもそもわからなかった。この頃はわかってきたのですが、それではどこまで税金を使うのかということについてほとんど暗闇の下、と言うとなんですけれども、もしかすると誰もわからないのかもしれないのですが、しかし、外のときに政府は数字をいろいろ検討して、どのぐらい国民の負担になるということを言うべきだと思うのです。透明性を持たないと国民の合意というのはあり得ない。そのままにしておけば、結局、日本経済は停滞したまま何も片づかないというのが、私の印象では92年からずっとそういうことがあって、ですから、不良債権問題自体はあるけれども、その解決方法について政府が果たすべき役割を果たしてこなかったという、本来なすべきことだったのにやってこなかったということが問題ではないかと思うのです。

ですから、戦略会議でもいいですけれども、停滞シナリオとか出ていますけれども、それだって、そういうところの見通しいかんで停滞の場合でさえ楽観的ではないかという議論さえあり得ると思うのです。

財政部門ということで言うと、1回限りではあると思いますけれども、私の印象だと多分50兆円とかそういうオーダーのお金が結果的には使われるのではないかと思っているのですが、ただ、その数字自体も、そういうものを出したこともないのです。アメリカとかスウェーデンの経験を聞くと、やはり出しているのです、GDPの10%ですとか。だけど、そういうことの結果お金が早く使われた、支出が明快になったので、それは結果的には半分になりました、5%ですみましたということなのですが、日本は、それが全くなくて、最大限かかった国がこのぐらいだから50兆円、25兆円用意しましょうという極めて非科学的なことをやっていて、企画庁はやはり科学的な、どこまで科学的かは非常に問題があるのですが、ある意味でマクロ的な観点から、国民にはどのぐらいの負担がかかるのか、それはプロセスでやはり影響するわけですよ、国民に負担をお願いするわけですから。そういうことが抜けていると、何となく空回りといいますか、シナリオをいくら書いても、何遍書いてもあまり説得力がない。つまり、今の足下の問題に関して何らか情報を提供するようなものであっていただきたい。

そのことは、でも、非常に関係があるわけです。足下のシナリオでも、いつまで停滞しているのか、それともいつから上がっていくのかということ、そこが国民は知りたいと思います。そういうことの情報を提供する義務があると思います。

〔 委員長 〕 ありがとうございました。

〔 委員 〕 僕は門外漢ですけれども、大きな課題から言いますと、計量モデルの中で気になるのは、IS-LM、ないし、レーバー・サプライ・ファンクションを考えたときに、グローバル化を迎えて、金融ビッグバン等々を迎えてLM曲線の観点のところがあまりわからなくなってきているのではないか。そこら辺の研究をもっともっと、逆に計量モデルの中で研究していくようなことが非常に重要だなと感じます。

〔 委員長 〕 いわゆる日本経済全体が「流動性の罠」の中にいるのではないかということも含めて検証せよということですね。

〔 委員 〕 グローバル化を迎えてね。

〔 委員長 〕 今までの委員のご意見を私なりにまとめますと、計画なり経済政策を行なうときに、内生性の問題とか外生性の問題とか、あるいは一般均衡モデルか部分均衡モデルかの違いはあるけれども、ちゃんと国民にこういうシナリオがありますよということを出せというようなご意見だったと思います。

そういう意味では、この計量委員会というのは非常に価値があるわけでして、他の部会でもそのようなことがもしあれば非常にいいかなという感じがします。

時間の関係で、次の課題に移りたいのですが、まず今日の2つの議題のうち、1つの議題であります「中期多部門モデルを用いた財政収支の推計方法」という話がございます。これを事務局の方からご説明いただきたいと思います。

〔 事務局 〕 資料3「中期多部門モデルにおける政府部門の取り扱いの概要」ということで、計量委員会でご審議いただきました「第10次計量委員会」版の計量モデルというのは一般政府ベースでできておりまして、その後、事務局の方で一般政府ベースをバラしまして、国・地方と社会保障基金に分ける。最近、注目を浴びているわけですけれども、それによって国・地方の財政バランスがどうなるかということをぶら下がりで計算できるようにしてあるということで、簡単にご紹介いたします。

一般政府ベースの受取り、支払いをそれぞれ部門に分ける下部モデルがあるわけですが、資料3の2枚(別紙1)として分割方法が書いてあります。べつにそんなに複雑な分割方法をとっているわけではありませんけれども、一応1枚紙で資料をつけております。

概念図の中の一般政府合計の税収でございますと、これは中央・地方政府に入るものであって、社会保障基金に入るものではない。社会保障負担につきましては、もっぱら社会保障基金に入る。その他、いれこがございまして、もっぱらどっちかの部門が持っているというものはそういうふうに処理するわけですが、小さい割合だけ他の部門も持っているというようなものは過去の一定率で分ける。

若干複雑なのが、一般政府内部の移転と財産所得の受払いの2つがやや工夫を要する点でございます。

私どもの今のやり方でございますと、一般政府内部の移転につきましては、中央・地方政府から社会保障基金に、社会保障給付の一定率、これは約4分の1でございますけれども、が移転されるという定式化を行なっております。

その他、財産所得の受払いにつきましては、中央・地方政府の財産所得の支払いを、金融債務残高に利子率相当を掛けることによって計算をしている。

社会保障基金の方は、これは一般政府全体については中期多部門モデルから出てきますので、社会保障基金の方についてはその合計との残差で出しているということでございます。

中央・地方政府の財産所得の支払いについて若干留保があるわけですが、単に国債払いということではなくて、利回りを債務残高で割った事後的な利回りというのが毎年出てまいりますので、それをラグ付でございますけれども長期国債の利回りで回帰をして推計する。こういうような方法で中央・地方と社会保障基金のバランスを分けているということをやっております。

これは「第10次計量委員会」の報告などでは出ていないことでございまして、なぜ、今回これをわざわざご説明申し上げたかと言いますと、参考資料1に戦略会議が出しましたシナリオがコピーしてお配りしておりますが、1枚目は、新聞にも出たような図でございますけれども、2枚目に、これも戦略会議の報告書の資料なのですが、「マクロ・モデルについて」ということで、経済企画庁の中期多部門モデルを借用したということで、道具立てとしては中期多部門モデルが使われている。これを戦略会議の事務局の方が使って分析を行なったということで、国・地方の財政バランスの試算を行なっているわけです。

ここで、混同を避けるために、この文章を若干紹介したいのですが、第2パラグラフですけれども、「有識者アンケート調査結果等に基づいて、竹中平蔵主査が中期的な経済成長径路を設定し、検討すべき政策選択肢を描いて作業を行なった」ということで、潜在成長率2%とか、回復シナリオ、あるいは停滞シナリオにある成長径路というのは、モデルのシミュレーションで行なったというよりは、アンケート調査などに基づいた設定である。そのときに国・地方の財政バランスがどうなるか。あるいは他の変数もあるわけですけれども、というものをシナリオ分析を中期多部門モデルを使って行なったということでございます。

試算の前提につきましては、政府消費、公的資本形成、金融政策等々の一定の前提をもとにシナリオ分析を行なったということでございます。

計量モデルの議論と必ずしもぴったりしないのかもしれませんけれども、我々が一応中期多部門モデルとかそういう計量的な手段を用いて、今後、10年間ということではあるわけですけれども、将来のシナリオを描くというときに、従来は、モデルを使ったといってもかなりジャッジメントが入った形でやってきているわけですけれども、今回も純粋にモデルを使うとこうなるという結果は機械的には出るわけですけれども、おそらく先ほどからのご議論の設備投資については、日経センター的に言うと外国の資本係数でありますとか、資本収益率とか、そういうものを見てプロージブルと考えられるようなものというものをある程度判断として外から与える必要がおそらくあるのではないか。そういうことをすべきでないという意見もあるかもしれませんけれども、と思うわけですけれども、そういうことを念頭に戦略会議の回復シナリオなり財政赤字の推計というものをどういうふうに、ちょっと難しい質問かもしれませんけれども、皆さんご覧になっているかというのを、私としても今の時点で聞いておくと、後々参考になるのではないかと思って、前回はこれを議題にするということではなかったのですけれども、ちょうど公表されたということもあって、あえて今回お諮りする次第でございます。

〔 委員長 〕 ありがとうございました。

ただいまご説明のありました資料に関して、皆さんから何かご意見なりをお伺いしたいと思います。

中期多部門モデルが経済戦略会議に使われたということですが、どういうふうに使われたか私もよくわかりませんが、その点も含めてご意見があればいただきたいと思います。

〔 委員 〕 ことアンケートが私のところにも来て、「悲観的だとどうでしょうか」、「楽観的だとどうでしょうか」という質問が来たように思うのですが、結果を見ると、停滞シナリオというのも非常に楽観的ではないかと思うのです(笑)。

多分、もっとシアリアスなのではないかと思うのです。例えば、もう既に申し上げたのですけれども、こういう中期の財政見通しで98年度10%の赤字になっていますけれども、潜在的な赤字といいますか不良債権の問題で、今のところいくらかかるか誰もわからないのですけれども、つまり、トランジションのところについてやや恣意的なのではないかというのが1つ目のコメントです。

もう一つは、そういう隠れ赤字といいますか、少なくとも「見通し」と書くのであれば、不良債権には公的負担は一切ない、税金は一切使わないケースであるというのを少なくとも明記すべきで、実際は例えばこれに5%ずつ加わってくるとか、財政赤字にある時期に。債務もそれで膨れてくるるわけです。そうすると利払費もみんな違ってきて、ですから、財政赤字を解消するのは、停滞シナリオでもどちらにしても全般として過度に楽観的ではないかと私は思います。

〔 委員長 〕 どなたが答えていいかちょっとわからない質問ですが、委員のご意見はよくわかりました。

他の方、中期多部門モデルを用いた回復シナリオに関してございますでしょうか。

〔 委員 〕 私も今の委員に全く同感ですけれども、そのことをべつにケチるつもりは全くなくて、ある意味で停滞シナリオですら楽観的な状況でしているという事実はこういう形で出るので、そういう点ではこういうのが出るのはいいと思うのです。

ただ、1つちょっと気になるのが、先ほどからも指標とおっしゃっているのですけれども、経済成長率が今年0.5%というのがあって、政策目標があるわけですが、それを実現するときに中期多部門モデルのどこを動かしたのかという。多分、我々もモデルであれば、いろいろ入れ込めば出すことはできるのですが、問題は例えば設備投資とかそういうところにどういう無理をしたかというのを本当は明確にしておかれた方がいいのではないか、先ほどの意見でいけば。こういうシナリオは出るのですが、ただ、出るためにどういうことをしたかということはいるだろうと思います。

こういう楽観的なシナリオの下であれば、多分、財政赤字にしろ長期債務にしろ、こんなふうになるなという点は、私も個人的なモデルなんかで見ても思います。だから、一番最初のところの、これをどうやって実現するのだろうかということが、私は少し気になるので、そこら辺の情報開示もあればほしいと思うのです。

〔 委員長 〕 計画局の方から何かお答えございますか。

こういう楽観的なシナリオは、一体、モデルのどこを動かして出たのだという質問なのですが。

〔 事務局 〕 これは戦略会議がやったので、戦略会議の方にお問い合わせいただきたいのですが(笑)、若干個人的なコメントをしますと、先程の委員からの金融の隠れ赤字の問題ですけれども、実は私どもの事務局と戦略会議の事務局で意見交換を何回かやって、そのときに我々の試算の中に、最近、ちょっと話題になったこととして国鉄・林野の債務を一般会計に継承するということで、これは国民経済計算上は民間部門に債務が付け替わる。我々のモデルの中では、ここの計算とは別にこれまでどういう処理をしていたかというと、フローでやると金利や何かの影響が出るので、金融資産負債のところを民間部門と政府部門とを付け替えるということを外からやって処理をした。

それとの関係で、金融がどれだけコゲつくかという問題ですけれども、これまでのところほとんどコゲついてなくて債務保証をするだけですんでいる。それから、交付公債というのも、そのときには赤字になっては現れないということで、その問題がある。

それから、我々の作業において、これまでのところそういうものを明示的に、いつ、いくら政府の赤字として現れてくるかということは織り込んでないという点は注意事項として、はっきりと文書に書いて外に出したということはないわけですけれども、試算するときの説明としてはいつも注意事項としては頭の中にはもちろん常にあるということでございます。

これまでの国鉄・林野の債務の計算などでいきますと、基本的には一時限りなので、後は利払い分だけ後々にどういう影響が累積するかしないかという点でありまして、その額にもよるわけですけれども、本当に巨額のものが現実化してくるということであると、明示的にモデルの中に入れなければいけないわけですけれども、これまでのところは、先ほど申しましたように配慮事項として頭の中にしっかりと置いているということにとどまっているということであります。

「停滞シナリオすら楽観的である」ということも、ある程度戦略会議の方も承知しているように認識しております。このケースとしては「危機シナリオ」というのは図にはないわけですけれども、文章中には「危機シナリオ」というのがあって、そのときの危機の可能性としては1つはペイオフを控えて金融問題が一段と深刻化するというようなシナリオとか、アメリカ経済が大幅に減速するとか、あるいはコンピュータの2000年問題というようなものが言葉としては挙げられるのではないかと思います。

先程の委員の「この0.5はどうやってモデルの中でいくのか」ということに関して、私どもの経験から一般的に推測すると、おそらく設備投資関数の定数項の修正をするというような……。

〔 委員 〕 各項目ごとに合わせてと考えればよろしいんですね。

〔 事務局 〕 というよりも、この作業は、私の理解するところ、経済見通しより先に行われていて、たまたま経済見通しと近い数字になっているということ。最終的に経済見通しに合わせたという言い方ができるのかもしれませんけれども。

先ほどの設備投資関数の話ですが、現実に金融問題というのがモデルの中に入っていないという批判がよくあるわけですが、我々の答えぶりとしては陽表的には入っていないけれども、マイナスのコンスタント項というもの、現実を追う過程でマイナスのコンスタント項というものがどんどん加算されていく。将来に向けてのシミュレーションをする場合は、そのマイナスのコンスタント項がそのまま推移するとか、あるいはだんだん縮小するとか、あるいはさらに拡大するとかという仮定を置いて設備投資関数、あるいはモデル全体を走らせる。

どういうシナリオを置くかというのは、そこはかなりの程度設備投資の将来に対する判断であって、そこはモデル自身のプロパティーというのは区別すべき問題だというような答え方をしております。

〔 委員 〕 別の委員が冒頭からおっしゃったように、前回、私が不確実性要因で取り上げたことでサポートをしていただいていると思っているのですが、今、こういう試算をなさるときに、民間の金融ルートでお金が流れて不良資産をこれだけ抱えて、その清算をどうするかという問題が起きている。

今、金融の半分は公的金融の流れなので、公的金融においても同様に不良資産があって清算をどうするかという問題を迫られているにもかかわらず、一切データを作っていない、公表していない。そこで国民が、例えば消費をする場合に、ライフサイクル仮説でと言われても、そもそも年金が将来どうなるかわけがわからないので不確実要因が非常に高くなって消費が出ない。企業の設備投資も同様のことが起きていると思うのです。

たまたま今、中央・地方政府と社会保障基金を分けた作業結果をご案内いただいているのですが、例えば日立とか三菱商事が、年金でこれだけ積立金不足が起きているので、経常利益を削ってこれを補おうという行為に出ているわけです。

仮に、政府の方も同じように公的年金で積立金不足がこれだけあるという数字を、デーたを作って明瞭に出すとすれば、中央・地方政府と社会保障基金を分けたところで、今は出ていないわけですけれども、一種のオフバランスで出ていないと理解しているのですが、それをオンバランス化するということは基礎データからできますか。

〔 事務局 〕 中期多部門モデルの所掌範囲からはできないというお答になると思いますが、今日の次の議題では「財政社会保障モデル」というのがありまして、それである程度、これは将来の制度とかいろいろなものに依存するわけですけれども、現状のまま推移すればどの程度のインプリシッド、デットが発生するのかしないのかというようなことは、1つの判断材料と考えられるのではないかと思っております。

〔 委員 〕 是非やっていただきたいのですが、例えば厚生省の年金審議会が、今、2000何年に負担をいくらにするというシミュレーションをなさっていますね。ああいうものというのは、厚生省の年金審が独自の多部門モデル分析をやっていらっしゃった結果なのですか、それとも企画庁にご相談があって、いくつかのケース分けをしているのですか。

〔 事務局 〕 私の知っている限りでは、厚生省から私どもの方にモデル分析の依頼があって相談を受けているということではなくて、これ、後ほどご紹介しますけれども、3年ほど前に、当時の橋本首相が、国民負担率についていろいろな審議会での議論を少し統一的にやったどうかということで、経済審議会でも財政社会保障のワーキング・グループ、これは橘木先生にも加わっていただいたわけですけれども、そこで簡単な供給型のモデルを使って将来推計をしてみたらどうかというご示唆があって、私どもで後ほどご紹介いたします「財政社会保障モデル」というのを作って、その結果をいろいろなところで説明させていただいたということはございます。

そのモデルは、その後も私どもの去年の6月に出しました「経済社会の将来展望」などでも使っております。それが政府の他の部門で使われている数字と整合的かというと、必ずしも整合的でない部分があります。それはその前提が、例えば我々のモデルでは年金の保険料率などを内生化したりするいろいろなケースをやっておりますので、そういう点においては必ずしも一致していないところがあります。

〔 委員 〕 92年度以降の政策のパフォーマンスを考えていきますと、金融行政の方では、先ほど委員からご指摘があったような評価が1つできると思うのですが、そもそもそ年金を金融統計として扱っていない、しかもその金額は200兆円も積み立てられている。そういったことから、例えば92年度以降年金がこういう深刻な問題になってくるだろうということはほとんど明確だったわけです。ところが実際潰れてみないと年金審議会は取り上げないというような政策形成のところ、契約された貯蓄においてもすごく問題があると思うのです。ですから、むしろ、先ほどの委員がおっしゃったように、福祉の問題で例えば負担率をこうしますという観点だけから年金を取り上げてくるのは、もう200兆円に達しているということを考えると、経済全体の問題であるというふうにみていただかなければいけないし、年金審議会もこういった企画庁のいろいろな作業結果を踏まえた議論をしていただかないと、経済運営がうまくいかないのではないか思われるのです。

そういう立場から言うと、今、公的年金でいくら不良資産が発生しているか、積立金不足が発生しているかというデータを作って出すということが絶対に必要ではないかと思います。

〔 委員長 〕 その問題は、後の財政の問題でもう一度議論する機会がありますので、そのときにもう一度するとして、他の委員の方、日本経済の回復シナリオの、印象論でいいのですが、お2人の委員から、停滞シナリオすら楽観的すぎるというご指摘があったのですが、他の委員の方……。

〔 委員 〕 僕はシナリオというのは大変重要だと思うのですけれども、こういうシナリオを見せられると全然見る気がしなくて、本当に当たるのかどうかさっぱりわからんなという気がするのです。

それでは、どういうシナリオを我々はモデルで出すべきかということなのですけれども、例えばある趨勢線があったときに、今、リストラ、リストラと言っているわけだけれども、閉じた経済ではレーバーがこれだけ出てきたら新規の事業を興さないと大変なことになりますよとか、リストラしさえすればいいというものではありませんよというようなことは合意が取れると思うのです。そういうシナリオを出していくこと。

それから、例えば政府の赤字解消なんていうことは、昔、言われたけれども、民間の貯蓄投資のバランスが真っ黒けだから、それを担っているのが政府と海外なんだよということがわかるようなシナリオ。赤字を解消して、縮小均衡になったときに大変ですよということがわかるような、そういうシナリオをモデルで是非やってほしい。この数字がどうなっているかなんていうことはわかるわけないですよ。基準形からこういうことをみんな言うんだけれども、「こうなんだよ」というようなシナリオを書いてほしい。また、そういうことが出せるようなモデルに仕掛けを作っておく必要があるだろうという気がするのですけれども。

〔 委員 〕 私も戦略会議というのもちゃんと読んだことがないので、意見で申しますけれども、ちょっとわかりにくいのは、構造改革の実施が十分である、不十分であると分けて、2 つのシナリオがあるというのですけれども、構想改革をやったとしても、ここに書かれているようなことが起こるかどうか、非常に不明確だと思うのです。

自分の近い分野で申しますと、医療改革というのがずっと言われています。例えば薬剤費を抑えるということをすれば支出が減ってよくなる。そういうのを医療改革と言っているのですけれども、逆になる可能性は十分あるわけです。例えば、今、政府が提案して、今回の国会で見送られてしまいましたけれども、今の薬価基準制度をやめて最小価格制度にすれば薬剤費は下がるということを政府が前提にして議論しているのですけれども、私はむしろ上がるのではないかと思っているのです。これはいろいろな経済的モデルで考えてみると、そうならざるを得ないということがあります。

あるいは薬剤費を減らせばそこだけ減るというのは実は嘘で、お医者さんが「じゃあ、薬を使わないのだから、もっともっと病院に頻繁に来なさい」とか、「長く入院していなさい」ということをすれば実は医療費は上がってしまう。実際にアメリカでもヨーロッパでもそういうことが起こっている。

ですから、構造改革を実施すると何か起きるという議論は、次の民間の対応のプロセスみたいなものが入らないままで議論されているような気がしまして、ですから「十分」と「不十分」というもの自体が、あまり説得力がないような感じが、自分の知っている範囲ではしています。

〔 委員長 〕 この委員はまだ一度もご発言がないのですが……。

〔 委員 〕 あまりないのですけれども、個人的には、マクロモデルが使われたということは結構だと思うのですが、これがどういう格好で使われたかということをはっきりさせておかないと、使われた方も答えようがないということだと思います。特に設備投資関係で調整したというのは結構だと思うのですが、そのことはやはりその意味を含めて公表していくということがあるべき姿だと思うのです。

〔 委員長 〕 情報開示を求めているということになるのですかね……。

〔 委員 〕 ですから、企画庁の方としましては、委員会の結果が使われたということですので、どう使われたかについて、少なくとも関係者には知らせるべき義務が、戦略会議にはあるのではないかと思います。

〔 委員長 〕 それは計量委員会から要求できるのですかね。

〔 委員 〕 よろしいんじゃないんですか。

〔 委員長 〕 また、事務当局と相談いたしますが……。

いろいろお話もあるかと思いますが、2番目の財政社会保障の問題が今日のハイライトでございますので、そちらの方に移らせていただきたいと思います。

事務局からお話がありましたように、財政社会保障モデルというのは橋本内閣のときに計画を作る段階でいろいろ議論し、そして、社会にも相当インパクトを与えた試算結果を出しましたので、その後、どうなったかというようなことを、私も個人的に興味がございますので、是非ともお聞きしたいと思います。

〔 事務局 〕 お手元の資料2の論点メモ(案)の2番目の○に財政社会保障モデルというのがございますが、先に他の資料をご説明してからの方が、どういうことを言っているのかわかりやすい気もしますが、論点メモに書いてあることをちょっとご紹介しますと、これは長期のモデルで、技術進歩を外から与えているわけですけれども、そういうことでいいのかどうかというのが非常に大きな、これからの日本経済を考えると成長のほとんどが技術進歩で説明されるようなことが予想されるわけですが、その最も重要な技術進歩というのを外から与えるということに、これまでのところいろいろな分析がとどまっているわけです。

2番目の問題として、ISバランスを一国だけで決定している。全部残差で海外部門に押しつけているということについてどう考えるか。これはそうでないやり方ももちろんあるわけですけれども、海外部門まで取り込んだような定式化というのはなかなか、他の分析でもなされてきていないということ。

3番目は、金利をどういうふうに決めるかということ。名目で決めるのか実質で決めるのか、あるいは海外金利との関係をどういうふうに定式化するのか。これもISバランス、それぞれ社会保障基金とか、国・地方のバランスというものを何十年も先に延ばすときに、ちょっとした金利の違いが姿としては非常に将来を変えていくということがございます。

消費性向の関数でございますけれども、我々のモデルでは、高齢化が進むとそれに伴って消費性向が上がるというわけですが、場合によっては1を超えていってしまうようなことが起こるわけで、日経センターなどでもかなり消費性向が上がって1に近くなるわけですけれども、1を超えていくというところをどの程度プロージブルと考えるかというような問題。

これは過去の10年なり15年のデータで消費性向関数とかそういうのを計っているわけで、それを何十年先まで延ばしていいのか。いけないとすればどういう方法があるのかということでございます。

供給型のモデルですと、本来、物価というのは存在しない、生産関数で決まってしまうわけですけれども、各部門のISバランスを出すためにはどうしても物価が必要だということで、物価の定式化を行なっているわけです。

財政社会保障ワーキング・グループのときには、マネーサプライなるものを持ち込んで貨幣数量方程式を1本置いてマネーサプライを決めると、そこで他の部門との関係で物価が決まってくるというような、ちょっと無理をしたわけです。

最近、また別な方法をとって、それはそれなりに完璧ではないわけですけれども、他のこういう類似の分析をやりますと、全く外生で置いてしまうという手もなきにしもあらずであるわけです。この点について何かご示唆があれば。

最後に書いてありますのはTFPの伸びが高まったときですけれども、コブ・ダグラス型の生産関数でやっていますと、TFPの伸びが高まると生産性が高まって、それが賃金に反映して、パラメーターのバランスが悪い場合には物価と賃金のスパイラルが発生する。技術進歩が外生的に上がるとインフレ的になるということが起こりかねないので、そういう面をどういうふうに整理していったらいいのかということが論点かと思います。

少子化が進んだ場合、皆さん、さらに少子化が進むということを心配されるわけですけれども、当面の供給力ということで言いますと、少子化が進む影響というのは20年ぐらいしないと労働力人口には出てこないということで、当面は女性の労働力率のさらなる上昇が見込まれるというようなプラスの効果が、これはモデルの定式化によっては出てしまうわけですけれども、そういうことでいいのかどうか。これはやっていてちょっとそういうことが疑問になるということでございます。

資料4のモデルの説明の方でございますけれども、モデルの根幹になります1ページの真ん中のあたりに国内総生産(実質)ということで生産関数がコブ・ダクラス型で書いてございます。この中でTFPというのがございますけれども、これは推計期間の平均値が1.5でございまして、将来推計をする場合には、我々のエクサザイズでは2025年まで徐々に0.7まで低下するというような仮定を置いております。これは徐々にアメリカ並みに低下していくのではないかという漠然とした仮定でありまして、他のスタディーを見ますと八代先生が当庁の研究所でやられたモデルでは1.7で横ばいにする。

吉田和男先生が同じようなことをやられておりますけれども、吉田和男先生の場合には1.2で横ばいにするというようなことで、どれも当たらずとも遠からずといった感じがしますけれども、やはり何十年も先までちょっとした違いが累積するということで、我々のモデルでは1.5から徐々に低下するということを言っている。

その場合の資本ストックについては、純固定資産、非住宅ということで公共と民間を合わせたような形になっております。非住宅でいいのかどうかというのは、まだちょっとはっきりいたしません。

2番目に賃金の関数がございますが、雇用者1人当たり賃金俸給、これは財政社会保障ワーキング・グループのときからちょっと変えようとしている点でございますけれども、以前、雇用者1人当たりの雇用者所得で物価とか社会保障の方にフィードバックしていたわけですか、社会保障の保険料を上げた場合に、保険料の中に雇い主負担がございまして、雇い主負担が雇用者所得にカウントされるわけです。一度雇用者に所得として払われたものが、雇用者から社会保障の掛金として払われるという計算になるので、社会保障の掛金を上げると雇用者所得が増える。それが物価とか社会保障給付にはね返るということで、メカニズムとして負担を増やすと給付も自動的に増えるようなメカニズムがモデルの中にあるので、それを切り離すために、雇用者1人当たりの賃金、ウェッジと雇用者所得を分けて扱おうということを今やっております。

ここでWRという変数がレーバー・プロダクティビティーとGDPデフレーターの関数として定式化されておりまして、次のページに社会保障の雇い主負担を含めた1人当たりの雇用者所得の定式化がございます。

本来、WRの方を使って物価であるとか社会保障の給付というものを計算しようとしておりますが、今のバージョンでは、まだ雇い主負担を含んだ1人当たり雇用者所得が他の部門で使われておりまして、その意味で物価賃金のスパイラル、先ほどの論点でもご説明しましたけれども、変な現象が起きております。これは今後、改善をする予定でございます。

金利につきましては、2ページの上から3分の1ぐらいのところですが、国内のISバランスで金利を決めている。これもいろいろご議論がありまして、財政社会保障ワーキング・グループのときには、民間部門のISバランスと政府部門のISバランスとそれぞれ別の変数になっていたわけですが、係数が違うという理由があまりないということで、国内のISバランスという形で一緒にした。

その後、実質金利でやるべきであるという議論もあって、実質金利の関数の推計もしているのですけれども、なかなかぴったりしたものが出てこないということで、現時点では名目金利を国内のISバランスで推計をするという方法になっております。

2ページの下の方、物価でございますけれども、卸売物価が労働生産性と1人当たりの雇用者所得、これは本来であればここはWではなくWRに変えなければいけないのですけれども、現状ではWになっております。それから輸入物価というもので卸売物価が決まる。消費者物価については、これもWRではなくて現状ではWとWPIで決まる。GDPデフレーターについてはCPIで決まるというようなことで、一応、長期の供給型のモデルの中に物価を取り込む努力をしているということでございます。

3ページにまいりまして、海外経常余剰については残差で出しているということで、先ほどちょっとご紹介がありました「破局のシナリオ」の場合には、政府部門が赤字にあると当時に海外経常余剰も赤字になる。改革をすると、政府部門が黒字に転じると同時に海外経常余剰も黒字になる。国内のISバランスを海外部門に全部押しつけているという定式化になっているということでございます。

3ページの下半分、消費性向関数でございますけれども、特徴のある変数としてはPIというのが年金水準指数で、年金が充実しますと消費性向が上がる。NO65というのは65歳人口ですが、高齢化が進むと消費性向が高まる。その後に長々と書いてございますのが、65歳以上の就業率でございまして、就業率が高まると消費性向が低くなる。就業しないで将棋だけしている場合と比べて、就業して所得がありますと貯蓄をしますので、就業人口が多い方が、高齢者の就業が促進された方が消費性向が低いという定式化で一応は有意に出ております。

4ページにまいりまして、住宅投資関数でございますけれども、実質の住宅投資が金利、それからこれも高齢化と関係がございまして、SSBという変数が2行目にございますが、社会保障給付が充実すると住宅を持たなくてもすむようになる。これはある程度社会保障の代替物としての面を取り入れている。25歳以上49歳まで住宅を一番必要とする世代の人口が増えると住宅投資が増える。あるいはその層の人口が減れば住宅投資が減る、こういう定式化になんているということでございます。

労働力については、男女、年齢階級別に若い層では進学率のような変数が入っております。女性労働参加率は、例えば25歳から29歳というところを見ていただきますと、その5歳前の20歳から24歳ということで、若い世代の女性の労働参加率が上がると、それぞれ以降の世代、年齢階級の女性の就業率も上がるという定式化になっております。

5ページにまいりまして、男子の労働力率が書いてございますが、高齢層についてはPI、先ほどちょっと触れました年金水準指数が入っている。女性の場合は5ページの上の方ですけれども、これは年金水準が高まる方が高齢者の就業が促進される。男性の場合は逆にマイナスで、年金水準が高まる方が就業率が下がるということになっております。

ここで、年金改革と労働参加率の関係が一応モデルの中に組み込まれているということでございます。

就業者数は、供給型のモデルでは労働力人口がそのまま就業者数になればいいわけですけれども、我々のモデルでは、一定の完全失業率、ですから解釈としてはこれは構造的あるいは摩擦的な失業率というものを将来について設定しておりまして、その部分だけは就業者としてカウントしないということで、この就業者数が先ほどの生産関数の中に入っているということでございます。

6ページにまいりまして、設備投資関数が下にございますけれども、これは資本ストック調整、資本ストックの資本コストで一応説明されるという定式化。ここはそんなに特段のことはございません。

7ページにまいりまして、2)政府部門の直接税でございますけれども、収入のうちの直接税については国民所得の弾性値が1.2、消費税につきましては、消費税率を掛けて消費税の税収を算定する。その他の間接税については、ほぼ民間最終消費支出、弾性値1.0ということで計算するということで税収が計算される。

社会保障基金への経常移転としては、社会保障給付総額の約4分の1が政府部門から社会保障基金に繰入れられる。

社会扶助金につきましては、POP分のGDP、1人当たり国民所得のマイナスの関数である。つまり全体の国民生活の水準が豊かになると、社会扶助金の比率が下がってくる。あるいは高齢者の比率が増えると社会扶助金の額が増えてくるというようなことで、一応符号としては符号条件を満たすような形で推計されております。

8ページにまいりまして、焦点の年金部門でございますが、これは制度、部門別に年金の給付、負担を推計しております。社会保障負担の年金、8ページの上から3分の1ぐらいのところは、制度、部門別に推計された年金総額というものと、マクロの年金負担というものを結びつける式でございまして、係数が0.9ということでほぼ定義式に近い形であります。

その下にありますのは、年金の制度別に加入者数と1人当たりの率を掛けることによって額を出すというようなことを、各制度についてやっているということでございます。

9ページにまいりまして、真ん中に社会保障給付の年金(SSBP)という式がございますが、これも、制度、部門別に積み上げられたものをマクロの年金総額と結びつける式ということで、ほぼ定義式に近いものでございます。

年金受給権者の数については、それぞれの年齢階層の人口に占める割合に従って受給権者数が計算されるということで、それが10ページ、新制度、旧制度、いろいろな年金の種類に応じて、11ページ、12ページと、ずうっといろいろな年金の制度に応じた方程式が書いてございます。

12ページに1人当たりの給付額ということで、これも最初に申し上げましたように、1人当たり給付額の説明変数の中に、現時点ではW(1人当たり雇用者所得)が使われておりまして、本来、WRに変えるべきものがまだWのままで残っているということでございます。

あと、簡単にハラパラめくっていただきますと、年金の給付額、医療についての式、社会保障の残り、雇用保険、介護保険、社会保障の各ジャンルについての定式化というものがございますが、制度に即してそれぞれの方程式を推計しているということでございます。

〔 委員長 〕 ありがとうございました。

いろいろな論点が出たと思うのですが、委員の方からいろいろご意見、ご質問、希望等をお伺いしたいと思います。

〔 委員 〕 TFPの関係でちょっと気になったのは、CPI、つまり消費者物価と賃金との乖離がどんどん大きくなるモデルなのかモデルでないのか、そこをちょっとお聞きしたい。そこが非常に気になるところで、今、手元で計算した感じでは、ちょっと大きくなるような気がするというのが第1点です。

あと3つの点、モデルについて、事務局がどんどん指摘されているから追加しませんけれども、1つは、海外が結局どんどん捨てられてそのままになっている感じがするのですが、基本的には今資産がどんどんたまっているわけでありまして、そのリターンもどうして入れないのか。つまり、ここでは一応海外からの財産所得の受け取りというのは出てくるのですが、結局、それはすぐ海外に捨てられるという感じの定式化になっているので、そこから生まれてくるリターンというのは、何らかの形で本来使えるはずだと思うのです。そこが落ちていると、少なくともGDPとGNPの乖離になるわけですが、やはりGNPの方でこういう成熟した社会で過ごしていくわけですから、そこを少し入れないとちょっとおかしいのではないかというのが、非常に大きな疑問のところです。

あと、マイナーなところで、先ほどの国内の需要の側面というのは重要で、例えば消費がどういう形で動くかというのがあるのですが、年金負担というのはラショナリティーを考えれば、今、現在、負担が増えても将来もらえるのであれば、本当は消費に対してニュートラルだろう。それを阻害するのはリクイデティー・コンストレイントとかいろいろな理由だろうと思うのですが、そこのところがもう少し工夫がいるかな。

方程式の中にはPIという年金のある意味でのレイト・オブ・リターンがあるのですが、結局、これはそのときの賃金と、そのときのもらっているものですから、結局見合わないわけです。つまり、通常我々がもらうのは、今、いくらもらっているかではなくて、我々がリタイアしたときにいくらもらえるかが重要なわけで、それが本来響くはずで、このPIというのは一体何のためなのだろうか。一見マクロでみればレイト・オブ・リターンだけれども、実質には世代間の大きなアンバランスになっているわけでありまして、そこのところがいる。

だから、消費に関してはそういうような、つまり、負担の増加が、今は賦課方式ですから、多分消費を抑える形になっているのかもしれませんが、制度的な変革を考えたときには、そういう入れ物というのもいるのではないか。つまり、賦課方式ですれば消費は落ち込むけれども、積立方式であれば消費はニュートラルであるというような仕組みも何かいるのではないか。

もう一つ、これは先ほどもちょっとあったのですが、多くの委員がおっしゃったのですけれども、設備投資、つまり企業もこの社会保障制度にドップリつかっていて、いわゆる年金基金に関するいろいろな問題で今手を焼いているわけでして、それがほとんど設備投資、つまり企業の行動に対して反映しないわけです。だから、そこの大きな制度的な、今、発生しているアンバランスが、例えば設備投資をオーバーキルするというようなのも、ここではとらえられていないという点においては、少なくともこのモデルで25年までやるというのはちょっと危険すぎるのではないだろうかということです。

〔 委員長 〕 皆さんの意見を聞いてからお答えいただきますか、それとも、今、答えられる範囲でお答えいただきましょうか。

〔 事務局 〕 WとCPIですけれども、乖離を見ますとWの方が乖離率が高いままで、CPIよりどんどん……。

〔 委員 〕 いわゆる消費者物価と賃金でいくと、賃金の方がかなり高い伸びを示すということですよね。だから、そのことがおかしいのではないかということ。

だから、1つは、年金を賃金スライドから物価スライドにするということになると思うのですが、長期的に見て両者が大きく乖離するというのは、TFPで入れ込んだ部分はわかるのですけれども、どうもそれ以上あるのではないかなという気が少しするのです。

〔 委員 〕 事務局が最後におっしゃったこと、私も感じているのですけれども、やはり年金制度の過去の流れを見れば1.5とか異常な数値が出てくるわけですけれども、今、これから先何年間か、20年なりまで考えるということになると、やはり年金の問題にづいては1つのフィロソフィーみたいな形で、これやはりいじらなければいけないというような何か、それは1つの判断なのですけれども、そういうものが入ってこないとおかしいと私も思うのです。

もう一つ思うのは、私は年金の専門家でないのでわからないのですが、例えば海外だと、年金の額が働いている人の額よりはるかに多いなんていうのはない、日本しかないわけです。だから、1つのこのフィロソフィーとしまして、平均的な賃金よりも公的な年金の受給額は小さいという制約をつけておかないと、制度としても変なものではないかという感じがするのです。

それはペアになるのは、そうなれば、老後を豊かにしたい人は私的年金というのに当然入ってくるということになると思いますので、やはり私的年金というのも、25年さきまで考えるのでしたら当然入れることになるのではないかという感じがしまして、ですから、推計の問題というよりも、ここはフィロソフィーの問題みたいなのが大きな問題かなという感じがします。

これは質問なのですけれども、7ページに社会扶助金という関数があるのですが、社会扶助金という意味がちょっとわかりませんけれども、実は、今度の介護保険が出てくると、いままでの扶助というのはシステムとしてなくなるわけです。そういう意味で、この社会扶助というのが介護保険との関係でどうなるのかなというのがちょっとわからなくて、もしかしたら介護保険がこれに替わるのかなという気もいたします。

もう一つは、もっと漠然としたことで感じるのですけれども、労働力のお話があって、このモデルの中でのロジックをご説明いただいたわけです。これは過去においてはそういうことだと思うのですけれども、将来の特に長期のことを考えるとなると、いままでのような就業形態のようなもので労働力の問題を考えていていいのか。特に25年なんていうことを考えたときに、全く違ったことになっているような気がするのです。そのはしりというか芽生えはいわゆるSOHOと言われているようなものがあるわけですけれども、会社に行って帰ってくるといったタイプの就業形態からホーム・オフィスで仕事をしていて、雇用形態も、今で言えば一種のアルバイトといいますか、ある一定期間だけ契約は切れてしまう。しかし、また再契約をくり返すとか、あるいは完全に切れるとか、フレキシブルな契約をしながらホーム・オフィスで仕事をするという雇用が出てきたときに、これも20年ぐらい先を考えれば、もしかするとそれがかなり主流を占める可能性もあるわけです。そういうことを考えておかないと、ここで考えている労働力の姿というのは、どうも過去の成長期の日本の雇用の形態なのではないか。例えば老人の就業にしましても、実は外に出ていかないで家で、ホーム・オフィスで仕事ができれば、最近の「老人力」ではないですけれども、むしろ老人の知恵みたいなものがうまく働かせることもあるわけですから、そんなものをモデルにはできないというのはよくわかっていますけれども、何かそういうことを考えておかないと、ちょっと出てくる答えが変だ変だと言っているのは、実は過去のことをなぞっているから変だということになりはしないか、そんなふうに思います。

〔 委員長 〕 答えられる範囲内で……。もし、答えられないようでしたら、次の方に。

介護の話は、17ページに4)というのがあって、介護、現在は使用していないという括弧付であるのですけれども、委員の質問に関係して、社会扶助金というのはどういう取り扱いなのですか。

〔 事務局 〕 社会扶助金自体は生活保護であるとか、あと社会福祉の老人への給付もありますので、それと、今、医療保険で支払っている分が介護の方に移動するという両方……。

〔 委員 〕 いずれ介護の方に……。

〔 事務局 〕 そうです。

〔 委員 〕 この社会保障モデルというのは、確かに方程式は社会保障に関連する方程式が多いのですけれども、大体見た感じでは、経済がしっかりして政府もしっかりしていると社会保障もうまくいきますよということを微にいり細にいり出すようなシステムだというふうに解釈するのですが、その観点からちょっと。

そうすると、モデルの骨格の方の議論に意見を言わせていただきたいのです。第1点はTFPの扱いなのですが、昔、10年ぐらい前にジョルゲンソン、クリステンセンなどのマクロのTFPの測定をデータを使って、名目成長率とTFPの上昇率を各国でずうっと書いてみたのですけれども、経済が名目的に成長しているときにTFPが拡大する。こういう側面がものすごく強いのです、データとしまして。どっちかと言うとマクロでTFPを議論するときには、技術進歩率みたいなものではなくて、むしろ景気が良くなればTFPが拡大するという側面の方がずうっと強いのです。これをやはり見ておかなければいけないということ。

確かにこういうTFPの扱い方はあるのですが、もしも、それをあれするとしたら、こさも10数年前から溝口さんなんか言っているのですけれども、コンピュータとかそういうハイテクの技術進歩について実際の統計としてはGNP勘定に入れるようなシステムには、今、なっていないわけです。そういうものを入れると、この10年間はものすごく経済リアルの成長率をして、物価は下がっているわけです。そういうものをいれたら話はまた別になるかもしれないけれども、そういう仕組みがない統計でやっている以上は、かえってTFPは入れない方がいいのではないかという感じを持ちます。ものすごく振動するのです。過去のもので調べてみられたらわかると思うのです。日本でもそういうことが起きますよ。経済が成長しているときにはTFPも成長するというサイクルを引っ張り込むんですね。そういう気がいたします。

それとのもう一つの関連で、技術進歩が上がるとウェッジが上がるという議論をされていましたが、いろいろなチャンネルなのですけれども、解釈すると、このモデルのシステムの中では、サプライの方があれなんだけれども、要するに、言葉を変えると労働の限界生産力とキャピタルもしくはヒューマン・キャピタルの限界生産力のクロスデリバティブがポジティブになっているのではないか、意識としては。コブ・ダグラスを作るとそうなっちゃうわけです。要するに片方が上がると労働の限界生産力が上がるという側面なわけで。

しかし、今、議論されている技術進歩という大きな側面というのは、人間と代替していくことを言う。ロボット化、もっともっと競合的な側面があるわけです。労働の限界生産力を場合によっては下げてしまうという側面があるわけです。ロボットなんていうのはある意味ではそういうことなきにしもあらずです。

ただ、わかりませんよ、それがインカムエフェクトを生じて、そういう技術進歩をしたら海外に輸出が増えてしまって、景気が拡大しちゃって、賃金が上がったというチャンネルはあるかもしれないけれども、ダイレクトにはそういうことはないかもしれないという意見です。だから、直接ウェッジを上げるのに技術進歩率を上げるという方程式は、そういうシステムはちょっと危険かなという気がします。

先ほどもちょっと言ったのですが、第2点は政府部門の扱いで、直接税とか消費税、間接税というのは、例えば税率の変更とかフラット化するとか、そういう議論も扱ってくる必要があるわけですから、国民所得と直接税のログリニアの弾力性というようなものでは、おもしろいシミュレーションができないのではないかという気がします。

社会保障で細々と扱割れたようなものを考慮しながら、やはり所得分布を何か入れていくような、今、コンピュータ発達していますから、所得分布があって、国民所得定義上の所得と課税所得に分解して、そこに税率を、税率は決まっているわけですから、そこで税収を挙げていくとか、そういう観点もどうしても必要になるのではないかと思います。

それから、中央・地方ということになると、地方、特に現在では都道府県ではなくて市町村レベルでは固定資産税というのは主な財源になっているわけでありますから、所得と関連しないところの市町村の問題というのも、将来考えるとするならばもう少し徹底する必要があるのではないか。

設備投資に関連して、昔から財界が、「こんな高い税率なら海外に逃げていきますよ」と、確かに非常に優良な企業は多国籍化してやっているわけです。日本の設備投資は今となったら、大きなところというのは素材とか電力とかそういうものが残ってしまっていて、それもなかなか設備投資が出てこないということになっていて、やはりハイテクとかそういうものは海外に投資をしているわけです。そして海外立地というものがあるわけです。それは極めて法人税制とかそういうものにものすごく絡んでいるわけです。

だから、そういう側面が、前から財界は言っているわけです。そういうものを議論できるように考える必要があるのではないか。どうやって方程式の中に入れるかということは別にしまして、税制の変更が海外にお金をもって行って向こうで工場を作るという形を変えて、日本でやるとかそういうものに変わっていく側面というものをチャンネルとして入れておかないと、議論がなかなかしづらいのではないかという気がいたします。

〔 委員長 〕 モデルの改定上のいろいろなご意見を伺ったと思うのですが、お答えはもらわずに……。

〔 委員 〕 要するににイッシューのポイントといいますか、事務局がご用意されて、論点メモ、資料2でいくつも書かれているのですけれども、それについて私の感想みたいなものを申し上げたいと思うのですが、やはり共通しているのは、基本的には供給サイドのモデルだと思うのです、中長期というのは。ですから、基本は生産関数なのではないかと思うのです。しかも物価のところで部門別といろいろいってありますけれども、想定しているモデルはもちろん多部門なのですけれども、むしろ、例えばGDPデフレーターの決定式などを見ますと、ほとんど過去のGDPデフレーターで決めていて、生産性も何も関係ない。だけど消費者物価とか何かは関係するとか、卸売物価とか何かは関係するという、物価の決定に関してあまり整合的なことが行われていないわけです。

そうであれば、私の印象は、全部古典派の2分法的に実物だけでこのモデルは考える。したがって、リアルで全部考える。ですから、例えばこれのイッシューで言うと、最初からありますけれども、金利はどういうふうに決めるのですか、名目ですか、実質ですか。アンバランスで決めるのであれば、基本はやはり実質の金利なのではないかと思うのです。ただ、これもアンバランスで決まってくる実質金利と、生産関数で決まってくる実質金利、つまり資本の実質収益率との整合性はどうなのですか。1つの考え方を言えば、資本の収益率で、つまり生産関数、コブ・ダグラスでもし暗黙に想定されているのなら資本の分配率と資本係数で決まってしまうというスタイルで押し通す。

賃金の方も、実質賃金で労働の分配率と装備率だけで決まってしまう。

資本ストックが増加する分がすなわち投資なので、それで投資も決まってしまう。

そういうような非常に単純と言うとあれですけれども、生産関数だけの持っている情報だけに基本的には頼ってやるということが考えられると思うのです。

そこで、TFPの扱いというのをコブ・ダグラス型で考える場合と、もう一つは、今、委員の方から話がありましたけれども、やはりAKモデル的な考え方ですね。K自身が人的資本と物的資本の和みたいな系で考えるとAはコンスタントだ。これもかなり近いんですよね。つまりコンバージャンスの議論とも関係していますけれども、コブ・ダグラス型で考えていれば、どこかコンバージュしてくるはずなのですが、AKモデルならコンバージュしなくてもいい、格差が残ったままでもいいというようなことがあるわけです。AKモデルだと極度に簡単で、しかも収益率もAになってしまいますから、1つ置くと全部決まってしまうというスタイルになるのではないかと思うのです。

ですから、1つはほとんど実質で全部考えて通してしまって、生産関数をフルに活用するという筋で考えるというのが1つではないかと思います。今のモデルでも実質為替レートとか何か何も全然考えていないので、そういうふうにしてもいいのかな。

それから、2つ目は、消費性向というのがかなり重要だと思うのですが、ここはどういうわけか1本で求めて、これはクェスチョンで出ていないところなのですが、1本のマクロの式で出しているのですが、例えば労働参加率とか何かかなり細かく年齢構成別に、ある意味では厳密に、ライフサイクル的にやっているので、消費性向自体もむしろ年齢階層別に計ってしまった方がいいのかな。

この中のクェスチョネアの中でも、1を超えてしまうのはどうしようか、関数形によっては高齢化に1を超えることがあるとかって、多分アグリゲーションの変なことでそうなるので、年齢階層別にやっていれば、多分あまり変なことにはならないのではないかと思います。ここに出ているクェッショネアについての印象であります。

〔 委員長 〕 最初の頃に言われた話を……。

〔 委員 〕 フローチャートを拝見しますと、年金の積立金が稼ぐリターンというのは、どこかの変数から決まってくるようになって……、例えば金利が動くと年金のリターンが変わってくるみたいになっているのでしょうか。この絵だけを見るとリターンについてほとんど触れていらっしゃらないように見えるのですけれども。

〔 委員 〕 国債の利回りを使っているんでしょう?、違うんですか。

〔 事務局 〕 年金部分のもらう財産所得というのを金利と前期末の金融資産を使って推計をしておりますので、そういう意味では考えております。

〔 委員 〕 例えば150兆円の公的年金のような積立金残高があって、それが将来金利が動くことによって入ってくる積立金の運用利回りは変わってくるというふうに使われているんですよね。

〔 事務局 〕 はい。

〔 委員 〕 そうなってくると、金利は設備投資、住宅投資に影響しているだけではなくて、今の年金の積立金不足、あるいは隠れ借金を通して経済に影響を与えていくはずですよね。現状は、積立金不足がどんなにあっても、公的年金はそれを表に出さなくて給付してしまっている。

例えば5.5%で回っているということを前提にして払ってしまっているわけでしょう。それが積立金不足になっているのだけれども、今のGDP統計には出てこないですよね。

〔 事務局 〕 実際に年金基金の持っている資産残高が減るという形で出てきて……。

〔 委員 〕 もう一つのケースは、積立金不足、つまり世代間の負担を将来世代に負担をかけないという意味で、今、給付を減らしてしまうというもう一つの経済運営がありますね。それとの比較を国民に示してというところが先ほどの不確実性云々というところで大事な点になってくると思うのですけれども、何かそういうことがこういうモデルのシミュレーションではっきり出せるといいなというのが、先ほどらいお尋ねしている1つの点なのです。

そこで、金利の決まり方なのですけれども、2ページに金利の定式化の式があるのですが、先ほどご説明の中で、お金を調達する人は公的部門であっても民間部門であっても、金利を決める上では同じだというご意見があって、それで、国内全体のISギャップだけを1つの変数に作ったというお話だったですよね。それはどうなのでしょうか、まで、ここの金利が長期金利になっているので、例えば家計や企業の資金過不足によって発生してくる金融債務と、公的部門の資金過不足によって発生している金融債務は、長短の金融市場で借り手として出てくるとき、違ってくるのではないかというのが1つ疑問なのです。もう一つは、借り手、貸し手それぞれリスクを考えて金利を決めてくるので、公的部門の考えるリスク、あるいは投資家が公的部門にお金を貸すときのリスクと、民間部門とでは当然違うのではないかと思うのですけれども、そういう貸し手、借り手のリスク、不確実性要因を入れてくると、やはりバラした方がいいのではないかと思うのですが、変数をバラすと、どうしても有意な結果にならないということになっているのでしょうか、70年から94年にかけては。

〔 事務局 〕 その場合、金利を2つにバラすわけですね。

〔 委員 〕 もし、国債市場銘柄で長期金利を代用させると言われるのだったら、これは長期金利それでいいのです。

つまり、景気が非常に悪くて、国が資金の借り手として出てきたときには、金利がどうなっているのかということと、国は借り手として出ないけれども、民間企業部門が資金の借り手として出てきたときには、金利はどうかということは違うのではないかと思うのですけれども。

アメリカの金利というのは外生値で与えておられるわけですよね。もし、これを将来推計するときには、やはりアメリカの金利を外生値で与えなければいけないですね。

〔 事務局 〕 そうです。

〔 委員 〕 今、たまたま日本が世界最大の債権国になっていて、そこでどんなふうに金利が動いても、アメリカの金利はそれによっては影響されないというような理論モデルを考えるのですか。

〔 事務局 〕 ここでは基本的にはアメリカの金利に引っ張られていくのだけれども、日本固有の資金の増減が多少影響……。

〔 委員 〕 逆に言うこともできますよね。日本がどんな異常な超低金利政策をとっていても、アメリカの金利には一切影響を与えていないというモデルなわけですよね。

〔 事務局 〕 はい。

〔 委員 〕 それは、現実のウォール街の日々の取引を追いかけると、この3、4年に関しては少なくともそうは言ってないんですよね。日本の金利が動くことによってアメリカの国債の売買が日々行われてきている。というのが毎日の取引だと思うので、確かに政策当局はそういう姿勢で政策をとっておられることは知っているのですけれども、そのモデルを本当にアメリカの金利を考えるときに妥当かどうか疑問を持っています。

〔 委員長 〕 金利の話は、例えば社会保障を賦課方式でやるのか積立方式でやるのかでも変わってきます。25年の間制度がずうっとこのまま続いているというのはあり得ないたろうし、もう一つ言えば、アメリカの年金は民営化を行ってますし、日本だって運用だけは民間に任せたらいいのではないかという話だってあり得るかもしれない、25年の間では。となると、このモデルのままで25年の年月を予測するというのは、私もちょっとシンドイかなという気がしますけれども、これ、印象論ですけれども、こういう委員の疑問があるというのは、このモデルを作っておられる方には十分参考になるかと思います。

あるいは委員の言われたモデル改定上の話というのは、非常に参考になるところがあると思います。

ここでそれを全部考慮してモデルの改定をやるというのは、またシンドイ話なので、そのフィージビリティーとの関係で、財政モデル、あるいは社会保障モデルの改定が期待されるのではないでしょうか。

〔 委員 〕 ポイントだけ。こういうモデルで、ダイナミックに10年から25年のスパンでやるということであれば、多少もう少なくとも動的にしないといけない部分があるのではないかというのが感想です。

例えば労働力化率というのをとっても、今は例えば女性労働がいわゆるM字シェープの格好になっていますけれども、これは25年先ですので、この格好がどういうふうに変わっていくかということをシミュレーションするためには、例えばそこにもう少なくともラグを入れたりすることによってシミュレーションがうまくいくのではないかということが1つ。

もう一つ年金制度というのは、過去のデータでやりますと、当然制度がかなり複雑で、そのデータを使って推計していますので、先ほども出ましたけれども、これから先、例えば厚生年金とかその他のいろいろな制度がどういうふうに変わるのかということを考慮してやるためには、非常に難しいわけなのですけれども、1つはやはり今言った点て、少しダイナミックに入れておけば、いままで少しずつ変化していった径路は追えると思うのです。ですから、径路を負わないでスタティックなモデルにしちゃうと、これまでの制度が所与になってしまいますので、それからシミュレーションをやるとかなり非現実的な25年先の結果が出るのではないかというのが1つです。ですから、そういうところを改善できるのではないか。

例えばシミュレーションをやるときに、先ほどおっしゃっていたコンスタント項調整ということも、例えば労働力化率の形がどういうふうに変わったときに将来いろいろな変数がどういうふうに変化するかというようなことができるのではないかと思います。それが感想です。

〔 委員長 〕 最後に1つだけ。基礎年金部分の財政負担を3分の1から2分の1にするというのが、今、政策になっていますけれども、このモデルの中で、基礎年金部分の財政負担を3分の1から2分の1にするようなモデルというのはシミュレーションできるのですか。その結果というのは簡単にできるのですか。

〔 事務局 〕 このままですとできないです。

〔 委員長 〕 だから、保険の拠出が租税と保険料とで負担のシフトが変わるというようなモデルがやはり……、これ、医療についてもきっとそういうことがあると思うのですが、それを考慮する必要があるかなという気はしますけれども。

時間になりましたので、いろいろご意見もあるかと思いますが、これで終わらせていただきたいと思います。何かございましたら、また事務局の方に言っていただければと思います。

それでは、第2回の計量委員会をこれで終わらせていただきます。どうも長時間ありがとうございました。

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