内閣府 Cabinet Office, Government of Japan

内閣府ホーム  >  内閣府の政策  >  経済財政政策  >  研究会の議事録  >  第1回人口減少下の経済に関する研究会議事録

第1回人口減少下の経済に関する研究会議事録

平成11年12月22日(水)
経済企画庁

第1回 人口減少下の経済に関する研究会 議事次第

平成11年12月22日(水)1:00~12:00
総合計画局会議室(732号室)

  1. 開会
  2. 検討事項等について
     (人口減少下における経済の姿についてのシナリオ、イメージの整理)
  3. 自由討議
  4. 今後のスケジュールについて
  5. 閉会

(資料)

  • 資料1 人口減少下の経済に関する研究会委員名簿
  • 資料2 議事等の公開について(案)
  • 資料3 「人口減少下の経済に関する研究会」検討事項等
  • 資料4 人口減少下における経済の姿(「あるべき姿」等の記述)
  • 資料5 人口・経済に関する資料
  • 資料6 当研究会で使用する計量モデルの概要
  • 資料7 「歴史から見た人口減少の経済社会への影響」に関する委託調査について
  • 資料8 今後のスケジュールについて(案)

人口減少下の経済に関する研究会委員名簿

○委員(9名)
座長  橘木 俊詔  京都大学経済研究所教授
委員  井堀 利宏  東京大学大学院経済学研究科教授
〃   岩田 一政  東京大学大学院総合文化研究科教授
〃   小川 直宏  日本大学人口研究所教授
〃   小塩 隆士  東京学芸大学教育学部助教授
〃   外谷 英樹  名古屋市立大学経済学部助教授
〃   長岡 貞男  一橋大学イノベーション研究センター教授
〃   永瀬 伸子  お茶の水女子大学生活科学部助教授
〃   伴  金美  大阪大学大学院経済学研究科教授

(事務局) 本日は委員の皆様方には、ご多忙の中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。 ただいまから、人口減少下の経済に関する研究会の第1回会合を開催させていただきます。

 議事を始めます前に、本会合の座長を決めさせていただきたいと思います。僣越ながら、事務局の方で、京都大学経済研究所の橘木俊詔教授にお願いしたいと考えておりますが、皆様方よろしいでしょうか。--それでは、橘木先生、よろしくお願いいたします。

(橘木座長) ただいまご指名いただきました、私、京都大学の橘木と申します。

 では、本研究会が始まりますが、その公開方法についてお諮りしたいことがございますので、一言申し上げたいと思います。

 本研究会におきましては、議事要旨については原則として会議の2日後までに、また、議事録については原則として会議の1カ月後までに作成し、発言者名を伏せて公表する。2番目に、配付資料は原則として議事録とあわせて公開する。3番目に、個別の事情に応じて、非公開とするかどうかについての判断は座長に一任するものとする。この3つをあらかじめ皆様のご了解を得たいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。--ご異議がないと見ますので、そのようにさせていただきます。

 では、続きまして本日の第1回研究会の内容でございますが、お手元にお配りいたしました議事次第に従いまして、当研究会における検討項目について事務局が作成いたしました案を議題としてご審議いただきたいと思います。

 今回、当研究会の審議に参加していただきます方は、お手元にお配りしてあります委員名簿(資料1)のとおりでございます。初回でもありますので、事務局の方より、本日ご出席の皆様を紹介していただきたいと思います。では、事務局お願いいたします。

(事務局) それでは、席の順に従いまして、私から向かって左側から紹介させていただきます。井堀委員でいらっしゃいます。

(井堀委員) 東京大学の井堀です。よろしくお願いします。

(事務局) 岩田委員でいらっしゃいます。

(岩田委員) 岩田です。よろしく。

(事務局) 小塩委員でいらっしゃいます。

(小塩委員) 小塩です。よろしくお願いいたします。

(事務局) 橘木委員でいらっしゃいます。

 外谷委員でいらっしゃいます。

(外谷委員) 外谷です。よろしくお願いいたします。

(事務局) 長岡委員でいらっしゃいます。

(長岡委員) 一橋大学の長岡です。よろしくお願いします。

(事務局) 永瀬委員でいらっしゃいます。

(永瀬委員) お茶の水女子大学の永瀬と申します。よろしくお願いいたします。

(事務局) 伴委員でいらっしゃいます。

(伴委員) 大阪大学の伴と申します。よろしくお願いします。

(事務局) それから、名簿にございますが、小川直宏委員が、今日はちょっと所用で欠席となっております。

 それから、今回は初回でございますので、事務局の方の紹介もさせていただきます。

 まず、総合計画局の牛嶋局長でございます。

 右側、永谷審議官でございます。

(永谷審議官) 永谷と申します。よろしくお願いします。

(事務局) 塚田審議官でございます。

(塚田審議官) 塚田でございます。どうぞよろしくお願いします。

(事務局) 藤塚計画課長でございます。

(計画課長) 藤塚です。よろしくお願いいたします。

(事務局) 山崎計画官でございます。

(山崎計画官) 山崎です。よろしくお願いします。

(事務局) 大脇計画企画官でございます。

(計画企画官) 大脇です。よろしくお願いいたします。

(事務局) 税所計画官でございます。

(税所計画官) 税所でございます。

(事務局) それから、私は計画官をしております太田でございます。

(橘木座長) では、紹介が終わりましたので、次の議題に入りたいと思います。

 まず、牛嶋総合計画局長よりごあいさつをいただきたいと思います。よろしく。

(総合計画局長) 牛嶋でございます。

 本日は、皆様方ご多用中のところ、ご出席いただきましてまことにありがとうございます。

 ご承知のように、今我が国が本格的な少子・高齢化、それから人口減少社会に突入しつつあるという状況でございます。今年の7月に閣議決定されました政府の経済計画であります「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」におきましても、こうした問題の経済社会への影響というものを大変重要視しているところでございます。

 この研究会は、これから人口減少というかつて経験したことのない新たな局面を迎える中で、今述べましたあるべき姿で想定しております2010年、この経済計画は2010年ぐらいを目途につくられたものでございますが、それよりもさらに先、2040年ないし50年というところまでを視野に入れて、経済成長、産業構造、就労形態、財政、社会保障などの諸問題につきまして検討を行うという目的で設置するものでございます。

 特に、人口減少の下でどのような場合に経済全体が縮小することになるのか、また、経済が縮小するという状況の中で、経済のバランスにいかなる問題が生ずるのかといった点も検討していただければと思います。これまで、人口が減ってもトータルの成長はプラスだということをある意味では前提としながら、議論が進められていたようなところもあるのではないかと思います。必ずしもそれが当然のことではないという場合もあるはずでございますので、どういう場合に経済が縮小するようなことになるのかといった点、また、そのときにどんな問題が起こるのかといった点もご議論いただければと考えております。そうした諸問題についての計量モデルという分析も踏まえまして、今後長期的に必要な政策の方向性を探っていただきたいというのがこの研究会の趣旨でございます。

 皆様におかれては、忌憚のないご議論をいただきまして、この研究会を活発なものにしていただければ幸いと存じます。本当に自由にご議論いただければと思いますので、適宜、事務方の方からもいろいろ議論に参加するような形で進めていければと考えてございます。極めて長期の経済を展望するということにもなりますので、計量モデルの分析にこだわらず、より広い観点からもご議論していただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(橘木座長) ありがとうございました。

 今、局長からご挨拶がありましたように、この研究会の大体の趣旨は皆様わかっていただいたと思いますので、これより本日の議題に入りたいと思います。

 本日の議題は、「人口減少下の経済に関する研究会」のまず第1回でございますので、検討事項等につきまして事務局からご説明をお願いしたいと思います。では、太田さんお願いします。

(事務局) それでは、資料3以降に基づきまして説明させていただきます。資料3から7まで通して説明させていただきますので、長くなりますがご容赦いただきたいと思います。

 私の説明の後、委員の皆様方から、人口減少下の経済とは一体どんなものであるかということを、それぞれご専門の立場からイメージあるいはこういったシナリオが考えられるのではないかということなどを自由にご発言いただければと思います。

 それではまず最初に、ちょっと資料の確認をさせていただきます。資料3が「『人口減少下の経済に関する研究会』検討事項等」というものでございます。資料4が、これは当庁の関係も含めて政府関係のいろいろな報告、提言、白書といったものをまとめたものでございます。これまでのものをまとめたものでございます。資料5が、人口・経済に関する資料ということで、データ、これまでの分析結果、そういったものをまとめたものでございます。それから資料6、これは当研究会で使用する計量モデルの概要ということで、私どもが今作成しております計量モデルが3つほどございますが、その紹介でございます。それから資料7、「歴史から見た人口減少の経済社会への影響」ということで、これは現在委託調査を始めておりまして、それに関するメモでございます。

 以上でございますが、まず最初に、資料3、4、5に基づきまして、人口減少下の経済に関する私どもの検討事項あるいは論点ということを説明させていただきます。

 最初に、ちょっと資料4からごらんいただきたいと思います。これは、1で「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」と、先ほど局長のあいさつでも紹介いたしましたが、7月に閣議決定した現在の政府の経済計画でございます。まず、1ページ、ここで記述がございまして、あるべき姿として、成長を維持する経済であるべきだということが書いてあります。人口停滞減少の中でも国民1人当たりではもちろん、総体としての国民経済も成長を維持すべきであるというのが、国の考え方でありまして、人口が減少していくときに、単に全体として縮むのはそんなに問題ではなくて、1人当たりで縮まなければいいのではないかという議論もあるのですが、全体として縮むこと自体がいろいろなリスクを持つという認識を持っております。ここに書いております(ア)から(カ)の点を指摘しております。

 これをもうちょっとかみ砕いて書いたものが2ページにございます。21世紀初頭には頭打ちから減少に転ずる、そして、マイナスの影響を最小限に抑えつつ、プラスの影響を最大限に引き出す、こういうことが必要であろうということで、人口減少は供給・需要両面から経済成長にマイナスの影響を及ぼす。しかしながら、総体としての一定の経済成長は国の活力を維持するためには重要であるという認識でございます。個別に、経済が縮小するようなときにどういう問題が生ずるかというのが、例示として、財政赤字がふくらんでいる状況で、返済において将来世代にかかる負担が大きくなる、それから、新規の投資の規模が縮小するので、最新の技術やノウハウの蓄積が遅れる、こういった問題点があるということを指摘しております。経済の活力を維持していくためには、生産性の向上が重要ということで、それによってマイナスの影響を補って、総体として経済成長を維持することが重要ということでございます。

 それから、非常に長期的にますます人口減少のテンポが高まっていくというのが下の方に書いてありまして、経済規模の縮小に陥る可能性もある。それが活力の低下につながった場合、いろいろな問題の悪循環を招くことも否定できないということで、リスクを回避するためには、急速な人口減少という事態に陥らないことが好ましいということです。

 基本的なそういう認識のもとでどういう社会にしていくかということは、次の3ページでございますが、年齢にとらわれない社会にしていくということで、これが1つの総合戦略ということであります。それから、職業生活と家庭生活が両立する社会ということで、子育て・介護サービスの整備等によって、男女ともに職業生活と家庭生活の両立が可能となる、こういったことも述べております。

 "あるべき姿"はこの計画では以上のような認識でありますが、これを受けまして、私どもの研究会でご議論いただくということであります。資料3の方に戻っていただきますと、「人口減少下の経済に関する研究会検討事項等」と入っているものでございます。まず最初に、今回、人口減少というのを考える上でどのぐらいまでの期間を考えるかということですが、これは21世紀半ばぐらいまでを念頭に置くということでございます。人口の予測では、中位推計で2007年ぐらいがピークで、その後ずっと減少が続くということになっておりますが、先ほど局長のあいさつにもございましたように、あるべき姿という計画では2010年までを視野に入れていますが、その後ずっと人口減少が続くということを考えまして、2040年、50年ぐらいまでを視野に入れようということでございます。従来、大体団塊の世代が高齢者になる時期、2010年代あるいは2025年ぐらいまでを視野に入れた議論が多かったわけですが、ここでは団塊ジュニアが高齢者になるような時期まで考えてみようということでございます。

 次に、検討事項、範囲ということで、これは大きく3つに分けております。まず1つ目が、人口減少のマクロ経済成長等への影響ということであります。2番目が、その人口減少のマイナス面等への対応。先ほど申しましたように、いろいろなリスクを持っていると考えられるわけですが、どう対応すればいいのかということでございます。

 3番目ですが、これは、基本的には先ほどの"あるべき姿"で申し上げたことというのはマクロ経済とのかかわりが大きいわけでありますが、人口減少がいろいろな問題を起こすのはマクロだけの現象ではないということで、経済の構造ですとか、あるいは個別の経済主体、そういったところにかかわってくる、言ってみればミクロ、セミミクロ、そういった面もいろいろ考えてみようということでございます。例えば、家計の姿はどうなるのかというのはマクロの問題だけではない。あるいは労働市場であれば、雇用慣行の問題ですとか、そういったこともいろいろかかわってくるのではないかということで、これも視野に入れるということでございます。あるいは、家計の問題とか分配の問題、そういったところもいろいろかかわってくるのではないか、そういったことも視野に入れようということでございます。

 なお、若干申し上げておきますと、雇用の問題につきましては、今回私どもの局で設置いたしました研究会で、ほかに"年齢差別禁止に関する研究会"というのがございまして、高齢者雇用の具体的な施策についてはそちらの方で取り扱うことになってございます。

 1番目のところに戻っていただきまして、人口減少のマクロ経済成長等への影響、これはいろいろな切り口が考えられますが、大きく3つに分けております。 (1)マクロ経済全体への影響、それから (2)財政、社会保障等の公的部門への影響、 (3)として対外バランス、対外経済関係面への影響ということでございます。最も大きいのはもちろん (1)でございまして、これを供給面と需要面と分けておりますが、特に供給面では、労働力、貯蓄投資、技術進歩、これは通常のマクロの要因分解でございますが、こういった切り口で行くとここでは整理してあります。

それでは、資料の説明もいたしまして、この論点について説明いたしますが、まず、人口減少というのはどういう状況になっているかということで、資料5、ちょっと分厚いものでございますが、7ページをごらんいただきたいと思います。これは、日本も含めましてこの5カ国の人口を出しております。下の方の図が人口増加率で、ちょうどゼロのラインのところをごらんいただきますと、日本は大体2005年のちょっと先ぐらい、2007年ぐらいで人口がプラスからマイナスに転ずるということであります。過去をごらんいただきますと、大体50年代、60年代が1%強ぐらいとなって、それが現在 0.5%ぐらいで、今後2007年ぐらいからマイナスになるということであります。ちなみに、これは中位推計でございます。それから、ドイツも似たようなタイミングになっております。アメリカはかなり先まで一応プラスは続くということであります。中国になると、もう2035年ぐらいにはマイナスに転ずる、こういったことです。

こういったことも反映して、ちょっと飛んで恐縮ですが48ページ、これは世界のGDPのシェアをOECDが全体的に追求したものでございまして、世界全体のGDPに占める日本のシェアは後退が続いておりまして、2003年が 7.2%、これが2050年には 3.7%になる。つまり大体シェアが半分ぐらいに縮まる、こういった推計もございます。

次に、人口と経済の関係ということで、12ページの資料をごらんいただきたいと思います。1980年代の後半ぐらいから、マクロ経済の世界では経済成長の実証分析みたいなものが非常にたくさん出てくるようになって、いろいろな変数が、例えば1人当たりGDPにどう影響するかということをクロスカントリーのデータで実証分析していくというものがいっぱいあるわけです。人口については、実は今まで実証分析をサーベイしてみますと、多くは、人口がふえると経済成長率は下がる、1人当たりGDPの伸び率が下がるのが多いわけであります。もしこれを逆に考えれば、人口が減れば1人当たりGDPの伸びは高まるということになるわけですが、実際に今までの実証分析というのは多くの発展途上国が入っておりまして、いろいろな人口爆発で成長が阻害されたというようなことが入っているのではないかということで、最近次第に、むしろ人口はプラスであるという実証研究も出てきているということでございます。

 これは、実は外谷先生のご研究から引用させていただいておりますが、例えば、12ページのこの表で Barroの研究というのが一番上にありますが、説明変数が出生率であると、これはマイナスだと。出生率が高いと経済成長がマイナスだというのが出ております。しかしながら、最近いろいろ違う研究が出てきまして、例えば一番下にありますHashimoto, Morita, Sakuragawa and Toyaと、この幾つかの研究があるのですが、下から3番目は、人口成長率がプラスになっている、あるいは労働人口の成長率がプラスになっている、それから、YGという、全労働者における40歳未満、若い人が多いとプラスになる、こういったものが出てきております。

 13ページから16ページぐらいまで、似たようなものを載せています。

 また資料3に戻っていただきまして、マクロ経済全体への影響を要因分解して、まず供給面への影響のうち「労働力への影響」ということですが、これは申し上げるまでもなく、人口が減って、しかも高齢者の方にシフトしていくと、全人口に占める労働力人口の割合は減ってくるということです。これは、資料5の5ページに従属人口比率というのを書いておりますが、ご案内のように、現在、1990年代が最も低くて、これからどんどん高まっていく時期に変わっていくということであります。これは従属人口比率ですから労働力人口そのものではないわけですが、労働力人口が減っていく中でどういった対応を考えられるのか。労働力人口自体を増やすことも考えられますし、あるいは、マーケットの中でいろいろな解決といいますか、労働節約型の産業にシフトしていく、そういったこともいろいろ考えられるのではないかということですけれども、その後者の点について、例えば資料3の21ページでございますが、産業別の資本装備率です。これの分母、分子を逆にすると労働装備率みたいなことになるのですが、この数値の全産業の平均は1でございます。一番右側のサービス業などは 0.6ということですので、サービス業は労働集約型の産業であるということです。これから高齢者が増えていきますと、こういったサービス、特に対個人サービスのところに需要がシフトしていくとすれば、それは労働力の不足をさらに強めることになるのではないか。しかも、これは輸入できないものが多いということであれば、その問題はより多くの問題があるのではないかということがございます。

それから、例えば23ページで、これは産業別のTFP・生産性の上昇率で、今ごらんいただきましたうち一番右側にありますサービス業は、このTFPの伸び率が低いということが示されております。これが上がってくれると労働力の不足も緩和されるわけですが、そういう状況には今までなかなかなかったということではないかと思います。

 それから、先ほどあるべき姿で労働と家庭生活が両立できるような仕組みを今後考えていかなければいけないということで、育児介護の問題についても触れているわけですが、24ページは介護に関するデータでございます。年間9万人の女性が介護のために離職している。それから、実際に家に介護を必要とする人がいる場合、なかなか働きに出られない、こういったことを介護の社会的なサービスを供給、充実することによって緩和できないだろうかということでございます。

 それから、25ページ、これは保育・育児に関連することですが、この問題は、保育所の充実という問題だけではなくて、もともと女性の就業という問題は、雇用慣行の問題にもいろいろかかわっているだろうということで、例えば、日本的な年功賃金のカーブが比較的急であるということは、就業中断のコスト・機会費用を大きくするということです。これでごらんいただきますと、上の方の数値ですが、29歳から35歳まで育児のために就業を中断するとどれだけ生涯賃金が少なくなるかということです。一番上のところ、つまり表のすぐ下にある70,386という数字、これは 7,000万円であります。生涯賃金の差が 7,000万円、可処分所得にすると 4,000万円、税金で 1,700万円。これは以前にやった研究会でこういう数字を出しておりまして、保育所にかかるコストよりも所得のロスの方が大きいということを言っております。

それから27ページ、これもよくご承知のM字カーブでありますが、ここにある8カ国の中で、日本と韓国だけがM字カーブが残っているということであります。このM字カーブを埋めていったらどういうことになるのかというのが、28ページに実は長期の予測の例がございます。これの下に出典で、小塩先生もかかわられました経済企画庁経済研究所の「高齢化の経済分析」におきましては、女性のM字がほとんど埋まっていく。ちょっと見づらくて恐縮ですけれども、95年の実績値とこれはかなり長期を展望していますが2050年の標準ケースと効率化ケースとあります。効率化ケースというのは、保育所の実質在所率を上げて充実を図っていくというものです。それから、高齢者についても、これは就業促進的なことが図られるということでございます。これで実際どのぐらい違うのか。29ページに行って、下の方に労働力人口の標準ケースと効率化ケースがございます。これでざっと上の方で見ますと、2050年に 400万人ぐらいの労働人口の差があるということであります。これを大きいと見るか小さいと見るかということですが、必ずしも大きくはないという感じがいたします。ですから、M字が埋まっても、そんなに極端に大きくなるわけではないということではないかと思います。

 30ページですが、単に量的に労働力人口が増えるだけではなくて、もう少し付加価値が高まるようなことが考えられないだろうかということで、これはその例示として出しているわけですが、男女間の賃金格差というのが日本は欧米に比べれば大きい。これは、男性を 100としたときに女性の賃金が幾らかということですが、日本は63.5であるということで、欧米に比べて格差は大きい。もっとも、これはボーナスも入れますともっと差があるようです。従ってこの格差が縮まるような方向で女性の付加価値が高まっていくということになれば、それはさらに全体の付加価値を押し上げるということがあるわけです。

それから、女性の話を今いたしましたが、33ページからは高齢者の話を資料につけております。33ページは日本の高齢者の労働水準が高いということです。

34ページは、日本の雇用慣行の問題でありますが、年功賃金カーブを描いているわけですけれども、賃金と比べると中高年齢層の貢献度は大きくないことが示されています。言ってみれば賃金は後払い方式になっているということですが、その辺がいろいろ中高年齢層の雇用の問題に影響しているのではないかということです。

それから、36ページにOECDの資料を1つ出しておりますが、表頭の方に生産年齢人口がありまして、右側に年齢構成変化とありますが、これは労働力人口の中高年齢層の割合変化をあらわしたものでございます。表側の方に、例えば一番上に平均失業率というのがありますが、この両者の相関をとったもので、これはネガティブな相関になっているということです。これはクロスカントリーの分析ですが、年齢構成が上がったからといって失業率が高まったということにはなっていないということであります。ただ、本文の方には、こういうのはちょっと注意して、余り楽観的に見るべきではないというようなことも書いております。

 それから、これもご参考として37ページにOECDでは、今後高齢化が進んでいくけれども、現在の中高年齢層と将来の中高年齢層というのは、その学歴で測ったところ、人的資本投資の程度が違うとしています。そうすると現在、中高年齢層の雇用の問題というのは非常に深刻である面もあるけれども、将来はもう少し良くなっていくのではないかということを指摘しています。ただ、これも確たることは言えないというようなことも記述しています。

 以上が労働力供給制約に関する資料の説明でございますが、また資料3の方に戻っていただきまして、労働力の次が資本ということですので、「貯蓄・投資への影響」というものにも着目しようということでございます。

 よく言われている、人口が高齢化すると貯蓄率が低下していくのではないか。これは公的部門の問題も、財政・社会保障の問題も当然あるわけでございます。それから、投資の方も低下していくのではないか。貯蓄、投資ともに低下していけば、別にバランスの面では変わらないわけですが、投資が低下することになれば、新規の技術などが開花しにくくなるといったいろいろな問題が出てくるのではないかということが、あるべき姿の先ほどの指摘であるわけでございます。

 資料5の39ページは、政策の続きでございます。

 40ページの図ですが、日経センターの2025年の分析ではこういうことということでございます。

 41ページですが、これはOECDがサーベイした貯蓄率と若年従属人口、高齢従属人口の関係です。真ん中より少し下に日本の研究も例示されていますが、大阪大学のホリオカ先生の研究によると、この従属人口は貯蓄率にマイナスに影響するということで、特に、高齢者の従属人口のマイナスは大きいという結果になっております。

 42ページ目ですが、よく日本の場合は遺産が比較的多いのではないかということが言われていて、高齢者は余り貯蓄を取り崩さないということが指摘されているのですが、どのぐらいあるかということ、それが今後どうなるかということが、この貯蓄率の今後の動向に影響を与えるだろうということです。ちなみに、全国消費実態調査をもとにした一橋大学の麻生先生の推計によりますと、1994年に1世帯当たり約1億円の遺産が残されていると言われています。今よりも若干地価が高かった時期ですので、今はもう少し少なくなっていると思われます。ただ、多くは土地であり金融資産は20~30%ということであります。恐らく、これは一部の人が平均をつり上げている面もあると思いますので、そういうことも注意して見る必要があるだろうと考えられます。

 それから、「遺産についての考え方」という日銀の貯蓄広報中央委員会のアンケートでありますが、子供になるべく多く財産を残してやりたいと考える人の割合が、年齢が下がるとちょっと減っているという傾向が見られます。これがコーホートの問題なのか、それとも単に年齢の問題なのか、年をとると結構そう思うようになるのかは、ちょっと見方が分かれるところだと思います。

 それから、投資と経済成長の関係ということで、43ページ、44ページ、これはまた経済成長論の実証分析で、43ページはデロング・サマーズの有名な論文でありますが、機械等の設備投資というのは経済成長にプラスに影響を与える、TFPなども高めるということだと思います。それが新規の投資としていろいろな技術を誘発する、あるいは人的資本を誘発するということでございます。

 45ページの下の方に資本設備ビンテージ(平均年齢)が入っておりますが、これが徐々に上がってきていると。今後、貯蓄率が落ちて投資率が落ちれば、国内にある資本設備は平均年齢が上がっていく。新しい技術を開花したものは少なくなるということで、その辺をどう考えるかということが出てくるかと思います。

 以上が「貯蓄、投資への影響」ということで、次に、資料3の「技術進歩、経済活力への影響」というところで、生産性の問題でございます。

 経済成長全般の話も含めて申し上げますと、47ページ、あるべき姿ではどう書いているかといいますと、2010年ごろまでの中期的な実質経済成長率が、一番最後にあるように年2%程度の成長率でありまして、その内訳が、1%程度が資本、労働が若干のマイナス、技術進歩が1%強、合計2%という想定をしております。ちなみに、過去どうであったかというのをごらんいただきますと、下の表のようになっているということです。これは事務局の方で、後ろの分配率を想定して簡易的に推定したものでございます。

 ちょっと飛んでいただきまして、53ページ。これはこういう問題の設定なのですが、人口減少社会になって、経済成長率が全体として落ちる。そうするといろいろな問題が出てきて、先ほど言いましたように、新規の投資が出ない云々ということで、トータルとしての成長率が落ちること自体が、いろいろな技術進歩のようなものにマイナスに働かないだろうかということがあるわけです。言ってみれば、停滞が停滞を生む、そういうメカニズムがあるのだろうかということです。これも、過去は経済が成長している状況ですから、成長が成長を呼んだということを反映しているデータにすぎないのかもしれないですが、ちょっと探ってみたということでございます。この53ページのものは成長会計の表ですが、一番右側にトータルの成長率がある、それから左側に要因分解があるのですが、技術進歩のところのアンダーラインを引いている括弧内が、トータル 100としたときの技術進歩の寄与率であります。これをぱっとごらんいただきますと、全体の成長率が高いときには技術進歩の寄与も大きいというような状況が見られるわけでございます。

 要因分解でテクニカルな問題もありますので、ほかのものもいろいろ当たってみましたら、54ページ、これも同じような傾向を示しているということでございます。

 それから、ちょっと飛んでいただきまして57ページ、これはアメリカの方でジョルゲンソンなどの推計でありますが、これも同じような傾向を見せてはいる。1948から73年の最も成長率の高いときに、技術進歩の寄与率も高いということでございます。

 ただ、これは時系列で見るとこういう傾向が見られるわけですが、クロスカントリーで見ると、なかなか一概に言えないというのがありまして、59ページ目あたりからごらんいただきますと、これはマディソンという人の長期に調べたものでありますが、このクロスカントリーは、成長率の高いところが技術進歩の寄与も大きいということは、なかなか出てきているわけではない。例えば日本なども、この59ページの中では成長率がダントツに高いわけですが、技術進歩率の寄与率の方で見ますと必ずしも高いわけではない。これは、長岡先生のご調査でも、日本は必ずしも生産性の向上が大きくないという指摘がございますが、成長率の高い日本が必ずしも技術進歩率が高いわけではない。アジアの経済成長が、必ずしも生産性の上昇が大きくはないのではないかという指摘もいろいろされているわけでございます。

 それから、もう一方で、人口がむしろ余り伸びない方が技術進歩率は高いという研究もあります。これは62ページからですが、経済白書で、横軸に生産性の伸び、縦軸に労働投入量の伸びというものをかくと、ここにある限りでは負の相関になっているということであります。63ページ、64ページに、同様の他の分析があるということでございます。

 以上がマクロ経済の供給面への影響ということに関する論点とデータなどでございます。

 もう1個、需要面への影響でありますが、これをどう考えるのかという問題があります。非常に長期の問題であれば、そこまで問題があるのかというのがあるのですが、何らかのダウンサイドリスクみたいなものがあるのではないかという感じがいたします。例えば、経済が不安定になる可能性が高まるのか、あるいは年金生活者が多くなって、消費が安定するというようなことがあるのか、逆であるということがあるのか。あるいは、現在も起こっていることかもしれませんが、将来に対する悲観が消費需要を萎縮させやすくなる、こういったことが起こりやすくなるということがあるのかどうか。

 ちなみに、これは需要と関係あるかどうかなのですが、74ページにクルーグマンという例の経済学者ですが、この人が「日本のはまった罠」という論文を書いていまして、よく調整インフレ論と言われていたのですが、金融の問題は別として、その背景にあるのは結局、日本が長期的に人口高齢化、人口減少で低成長になる。そういった国では、みんなが高齢期まで貯蓄をして、結局、均衡実質金利はマイナスでないと投資も出てこないような状態になるということを指摘しています。貨幣金利はマイナスにならないので結局インフレが必要だというのがその後の話なのですが。こういったことが実際にあり得るのかどうかという問題でございます。クルーグマンは、例えば海外に投資すればプラスの収益が得られるではないかという指摘に対して、いや、海外に投資するのも限界があるのだということで、それは、ちょっと英語で恐縮ですが、77、78ページのところに書いてありますが、結局、非貿易財のようなもののウエートが大きいと、そんなに海外に投資して、また取り崩して、海外から貿易財を輸入して食べていくといった姿を描くことはできないのだということを指摘しております。海外の投資の件につきましては、また後ほど説明したいと思います。

 それから、1ページの下の方にちょっと書いておりましたが、上記をめぐる2つの論点ということで、結局、経済全体で議論することは非常に大きい問題なのかどうか。むしろウエルフェアということで、1人当たりの所得あるいは消費のようなものを問題にすべきではないかという考え方もあるかなということでございます。

 それから、需要と供給を考える上で特にどちらが問題になるのかということはあるのですが、グローバル化が進んでくると、そもそも国内だけで考えるということではなくなってくるのかなという感じもするわけであります。需要といっても世界が広いわけでありますし、また供給の方も、よく労働力が不足するとは言われますが、むしろ必ずしも需要超過になるわけではなくて、国内が空洞化して失業がたまるということもあり得るのではないかという議論もあると思います。それから、海外に投資したりすれば、いろいろ問題が変わってくるのではないかということもあります。特に、この供給の問題については、最終的には労働力の問題で、外国人労働力の問題というのも長期的にはいろいろ出てくると思うのですが、まずは貿易や投資で、労働力を移動させないで、財や資本の取引でどこまで解決可能なのかという問題があるかという気がいたします。

 次に、(2)の財政、社会保障の問題ですが、これはいろいろなところで議論されていますが、若干資料の説明をいたしますと、66ページにあります。特に財政の赤字の問題ともかかわりますし、年金の問題ともかかわると思うのですが、ここでは利子率と経済成長率を確保しているということで、これの大小関係が財政、社会保障の問題にもかかわってくるということであります。

66ページの一番上の図ですが、これは過去1970年代ぐらいまではGDPの成長率の方が金利よりも高かった。その後は、どちらかというと金利の方が高いという状況です。これが、今後成長率が低くてずっと金利の方が高いという状態が続くと、財政本体の方に赤字があるといろいろな問題が生じるのではないか。社会資本などの整備についてもどう考えればいいかという問題があります。それから、海外に投資したりすると、どうしても金利の方が常に高いという状態が続いて、やはり問題があるのかどうか。

 もう一方では、社会保障の年金の方が、年金の積立金の収益がプラスであるということは好ましいことではないか。その辺をどう考えたらいいかということがあるわけでございます。

 73、74ページも例示ですが、年金の問題をちょっと出しております。

 80ページ以降に、これは日本で使われている国民負担の問題なども資料として載せております。

 それから82ページ、これが、3年ほど前ですが、私どもで計量モデルを使って将来予測をしたシミュレーションの例でございます。財政社会保障制度を96年当時の状況から変えなかったケースと、いろいろ改革を行ったケース。変えなかったケースは、2025年の表でごらんいただきますと、財政収支が非常に悪化するということのみならず、例えば、経常海外余剰というものが非常に赤字が大きくなるというマクロ経済への影響も出てくるというようなことを示したわけでございます。

 84ページにまた別の各方面の推計が出ております。上から2番目は、小塩先生もされたものですが、これは2050年になるとかなり経常収支の悪化が出てくるという推計でございます。私どもの方は、団塊の世代が高齢化した時期が非常に厳しいということですが、この小塩先生のされた方は、団塊の世代のときは乗りきるけれども、団塊ジュニアの時期になるとやはり厳しいという姿になっております。

 それから、2ページ目の上の最後の方に対外バランスについて出ていたのですが、資料でいきますと86ページからでございます。これは家計の金融資産が、これから高齢者がふえると、実はトータルとして、ストックとしては伸びていくのではないかと。先ほどお示ししたフローとしては、増加はだんだんとまっていくわけですが、トータルとして、ストックとしてはどんどん伸びていくだろう、大きくなっていくだろうということであります。それが、86ページの下から、年齢別家計金融資産が書いてあります。

 なお、これはミクロの話になりますが、87ページの下にありますように、年齢が上がると格差というものが大きくなっていくということですので、これから年齢の高い人がふえると、社会全体としては格差が大きくなるということも考えられるわけでございます。

 話は戻りまして、トータルとして資産がふえていくと、一方で労働力が減っていきますので、素直に国内だけで考えると、資本の収益率が落ちる。したがって、より高い収益を求めて海外に資産が流れていくということが考えられております。

 88ページに日本の対外資産という図をつけております。現在ですと、グロスで大体年間GDPの7割ぐらい、それからネットで25%ぐらいになります。ただ、これから仮に10年間、経常収支の黒字が2~3%を続けますと、2010年ごろには年間GDPの半分近くの対外純資産が積み上がるということも考えられるわけでございます。

 89ページに、これはOECD推計でかなり先までやったものがありまして、これは先発高齢化国と後発高齢化国、先進国と途上国と考えてもいいわけですが、それが先進国から年金、資産などの資金が流れるか流れないか。1国型と国際型というのがありまして、閉鎖型とグローバル型とあります。これは簡単なシナリオですけれども、シミュレーションをやっておりまして、例えば、真ん中より少し下に対外純資産のGDP比というのがありまして、先発高齢化国について閉鎖経済1国型の場合と国際型でどれだけ差があるかというのをごらんいただきますと、2050年で大体40%ぐらいの差が出るというシミュレーションでございます。したがいまして、上の方でGDP、GNPが違ってくる。それから、労働と資本のそれぞれの果実が違ってくるので、雇用者所得と企業所得の帰納的分配の面でも違ってくるといったことがシミュレーション結果として出ております。

 90ページに、ここもOECDのシナリオですが、対外純資産がどれぐらいになり得るのかということで、日本の貯蓄率が高どまりした場合、真ん中の図ですが、2040~2050年になるとGDPよりも大きいぐらいの対外純資産の積み上がりになる。しかし、これは非常に幅がありまして、もう一方では、2025年ぐらいを過ぎると、団塊の世代などが貯蓄を取り崩してまた下がっていくというシナリオもございます。非常に幅があって、なかなか見通しが難しい面もあるかなという感じがします。

 今度、対外資産につきましては、年金資金などをどう活用するかということもかかわってくると思うのですが、いわゆるホーム・バイアス・パズルといいますか、なかなか経常収支の黒字、赤字がそんなに大きくはならないという、金融市場がグローバル化している割には、ネットではそれほど大きな差が出ないということが言われています。91ページ、これはちなみにということですが、非常に超長期の対外バランス、経常収支の絶対値の各国平均をとったものでありますが、19世紀というのは結構大きなものがあった。イギリスなどは40年ぐらいにわたって、経常収支の黒字5%ぐらいを続けたという時期があったようであります。

 92ページでごらんいただけますように、これはグロスとネットの資本取引で、グロスで見ますとかなり上がっている。ネットでは余りないわけですが、入り繰りが大きくなるということです。

 93ページになりますが、これは、昨年私どもでやりました国際マクロ経済問題研究会というところで、こういった金融資産の対外運用について、いろいろな金融資本市場の整備を国際的な観点から図るべきではないかという指摘をしております。

 以上、対外バランスについてであります。

 ただいま説明いたしましたように、基本的にはマクロの問題からスタートしていただきますが、マクロだけでおさまらない問題がたくさんあると思いますので、ミクロ、セミミクロの視点、そういったものを入れてご議論いただきたいと思います。

 最後になりましたけれども、計量モデルの説明だけ、資料6に基づいて、させていただきます。

 3つモデルがございまして大きく1と2に分けていますが人口構造をモデルに組み込んだ長期分析用モデルこれが2つありまして、あと産業・貿易構造を組み込んだ応用一般均衡モデルということで、これが1つあるということでございます。

 人口の方は、長期マクロモデルというものと世代重複型モデルというものがありまして、これはどう違うかといいますと、世代重複型モデルというのは、個々人がライフサイクルを通じた最適化行動を行う。将来を予見しながら最適化行動を行うといったメカニズムが入ったものでございます。それに対しまして、長期マクロモデルは、過去の経験則で長期監視などを通じて推計いたしまして、それを将来に延長するというものでございます。モデルの限界がございまして、それぞれ一長一短ですが、この両者を併用した形で、この研究会に推計結果などを提示させていただきたいと思います。

 以上、モデルの説明をいたしました。ちょっと説明が長くなりまして恐縮ですが、人口減少経済というものについてのシナリオ、イメージというものを委員の皆様方から自由に出していただければと思います。

 以上でございます。

(座長) ありがとうございました。非常に問題が複雑でありますし、配られた資料も大部でありまして、我々委員がどれだけ消化できたかわかりませんが、いろいろな問題があると。例えば、マクロの問題、供給面、需要面、貯蓄、投資、技術進歩、それから財政、社会保障の問題、対外バランス、いろいろな効果なり影響力がありまして、どこから切り込んだらいいか、私自身も必ずしも全部把握したわけではないと思います。でも、せっかくこういう大部の資料が出ましたし、皆様、質問もございましょうし、あるいはサジェスチョンもありますでしょう。あるいは、ここでの研究会でもうちょっとこういうことをやった方がいいのではないかというような問題も多分あるかもしれません。今までの事務局の発表に関して、質問やコメント、あるいは希望等、いろいろ言っていただきたいと思います。どなたからでも結構ですので、質問やコメント、希望等ございましたら。

(委員) 唐突でちょっと申しわけないのですけれども、この企画庁の役割にも関連するのですが、基本的にはこの問題というのは非常に重要だと私も思うし、その結果というのが、いろいろな意味でのインパクトを持っていると思うのです。ただ、1980年代の後半から1990年代をずっと見ていったときに、最初に、時短の問題、それから高齢化の問題、人口減少の問題という形で、ある意味で絶えず不安感をあおるので終始してきた感じがするのです。その不安感というのは一体何かというのを少し見てみる必要があります。まず、これまでの経済政策を考えると、マクロでの成長がなければいけないというのがあるわけです。これは、いわゆる調整のメカニズムというのを成長の中で解決するしかないという前提です。しかし、そういう前提というのはもうとっくに壊れていて、唯一残っているのが国とか公的な機関だったのだけれども、今、それも完全にスクラップ・アンド・ビルドの中に突入している。調整のメカニズムを考えたときに、マクロの成長が何が何でも必要だということを前提として考えていらっしゃるとしたら、少し疑問があるのではないかというのが第1番目の点としてあります。

 だから、結局ここの研究会で、人口がどんどん減って、低成長がまた低成長を呼ぶという暗い話ばかりやりたいというのでしょうけれども、我々はそういうことに加担する必要があるのかという側面があると思うのです。先ほど事務局の話でもあったのですが、基本的には1人当たりのフローなり資産がどういう形で変化するかということが重要であるのにもかかわらず、全体として日本経済がマクロで成長しなければならないという側面に肩入れしているのが、私は少し疑問に思います。

 基本的に、人口の減少とおっしゃるのですが、東京を除けば、地方はどんどん減っているわけですよね。だから、先ほど各国とかおっしゃるのですが、日本経済至るところで過疎化というのが既に発生しているわけで、そこで非常に大きな産業構造の変化が起こっているわけです。そういう点を考えたときに、人口の減少というのがどういうものかというのは、基本的には今地方政策のあり方を含めて考えるのがいいのではないでしょうか。、すなわち、地方経済の盛衰を見れば、人口の減少の問題はもうとっくに日本は既に経験しているわけでありまして、その過程をまず分析することが要ると思うのです。

 それから、第3番目の問題は、グローバル化の話であるわけで、日本の政府はグローバル化と口では言いながら、グローバル的なことはほとんど見られない。つまり、日本は閉鎖社会でで、極端なことを言えば、人口の減少に対応するには、アメリカみたいに人を輸入すれば済む話です。人を輸入しなくたって、ものを外から買えばいいわけですから、もちろんその分だけ貯蓄率が減るわけですけれども、そういう形でのグローバル化というものまで含めて、2050年まで考えないといけない。つまり、新しい国際的なシステム等を含めたものが視野にないと、今現在の例えば入国管理的なやり方とか、そういう問題が現状のままで50年ずっと続くとしたら、やはり難しいのではないか。

 もう一つが、技術進歩という側面ですが、先ほど事務局のいろいろな資料を見ていったときに思うのですけれども、やはり製造業というものが頭の中にあるのではないだろうかと思うのです。だから、技術進歩で設備投資とおっしゃるのですが、基本的には確かに資本装備率の高い製造業などが困るのかもしれないですが、基本的にはサービス業が増えている。もっともサービス業というのにも2つあって、労働使用型と、労働節約型がありますが、そのうち節約型サービス業がどんどん発展しているわけです。そういう側面を無視して、いわゆる従来型の製造業中心的な発想をするのはどうでしょう。もっとも私は製造業にも2種類あると思いまして、1つはアイデアをつくるもの、それから工場でつくるものであり、日本の場合には、結局2つ一緒にやっていたのですが、アメリカの場合は完全に分離したわけですね。工場は海外でやる、国内はアイデアだけつくると。やはりそういうメカニズムを取り入れるかどうか、あるいはどういう形で入れていくかを考えるのが、少し必要なのではないてしょうか。だから、50年という非常に長い期間ですから、やはり少し腰を落ち着けた形でやってほしい。

 ただ、最初に申し上げましたが、これまでの10年間、ただ不安感をあおって、日本経済をだめにしたところがあると思うのです。政府は、高齢化でどんどん負担が高くなりますよという試算を示します。私は、負担が高くなるのであればカットすればいいと思うのですが、カットせずに負担だけ高めると、若い世代はどんどん自分で貯め込むわけですよね。これまでの消費抑制型の不安を煽るためにこういう研究会があるのではないですから。やはり、2番目に申しましたけれども、調整のメカニズム、つまりスクラップ・アンド・ビルドということを前提としながら、スクラップされるところは構造転換を促したり、セーフティネットを整備することを提言することが必要ではないでしょうか。

(座長) それでは、反論か賛成論かを含めて。

(委員) 人口減少下ということを前提にしてやるということですけれども、その発想自体は私はそんなに悪くないと思います。というのは、もう一つの対応として、少子化対策ということで、人口を増やすためにどういった対応をするかという方法もあると思うのですが、基本的には、多少今年の予算でも問題になっている児童の育児手当てくらいでは、人口が増えるはずはありませんから、ともかく人口が減少することを前提にして、それと両立するような中長期的な政策、あるいはいろいろな経済の動きについて論議するというのは意味があると思います。

 それがどういう問題かということについて、多少、さっきの委員の話とかに関係しますが、1人当たりの所得・GDPの方が全体の所得の動きよりは、経済厚生を考えるときに、適切だというものも確かにそうだと思うのです。ただ、2つの点でマクロといいますか、全体のGDPの方も1人当たりのGDPよりも低いケースというのがあり得て、それは人口が減るということが、経済厚を低めるのケースがあり得る。1つは、公的部門の再分配政策、先ほど年金の話が出て、賦課方式で事実上行われているわけですから、人口が減るということが、マクロ経済の、あるいは1人当たりの経済厚生にもこれから大きな影響を与える。そこをどうするかという問題が当然あると思います。

 もう一つは、外部性が働いて、人口の規模が、あるいは人のサイズが減るということ自体が、もう経済に何らかの負の外部効果を与える可能性があって、これは、公的部門で言えば、最近のケースで言えば、いわゆる公共サービスの負担がクローズアップされます。1人当たりを見て、当然負担比率が上がらざるを得ないわけです。要するに人口が減っても、人口があるときと同じような形で、ある程度基礎的なサービスを政府は提供する必要がありますから。これは、先ほどの過疎の例で言うと、過疎の自治体でもある程度の行政サービスを維持するためには、当然1人当たりで割れば負担がふえるわけです。この過疎の人の場合には、要するに地域間のトランスファーでやっているわけですけれども、日本全体では、ほかの国からのトランスファーは期待できません。そういう意味で公共サービスの外部性がある以上は、人口というのは大きな要因になると思います。

 それからもう一つは、教育投資の外部性の話ですけれども、1人でいろいろな経済活動をしても、ほかの人とのいろいろなネットワークがあることによって、教育投資の生産性が高くなるということが仮にあるとすれば、これは人口が減って、特に若い人の総体的な数が減るということは、日本経済の活力という意味ではマイナスに働く。これも技術進歩の問題と関連すると思いますけれども、その可能性はあると思います。ただ、これに関しては、メリットも必ずしもないわけではなくて、人口が減るということは、ある意味で、日本全体の異質性といいますか、それがある程度少なくなるわけですから、日本全体がある意味で安定的な社会秩序が維持しやすくなるという説明もあります。そういう面では、安全性とかいろいろなことを考えるときに、必ずしも人口が減るというのはリスクを増やす方向ではなくて、むしろいろいろな形での、国内でのリスクに関しては対応しやすくなるのではないかという気がします。

 もう一つは、市場メカニズムの連帯という限りは、人口が減れば、それを相殺するような技術進歩といいますか、労働の実質的な質を高めるようなインセンティブが、当然その収益が高くなるわけですから、働くはずなので、それが相殺することによって、人口が減少することのデメリットが市場メカニズムの中で多少は働き得るのではないかという気がしますので、メリットとデメリットとどちらが大きいかというのは、必ずしも人口が減るということ自体は、大きなマイナスの効果をもたらすというストーリーだけではないと思います。

 最後に先ほどの委員の話との関係で言いますと、世界全体では確かにこれから人口がふえるわけですね。そのときに日本だけ人口が減っていくことが本当にいいのかどうかという問題は、非常に大きな問題だと思います。これは、外国人労働者をどうするかという問題もあるのですけれども、もう一つ別の観点から行くと、これからは日本人も含めて、国民の方が、あるいは民間の人々が国をある程度選べる自由とかが高くなる。日本で人口が減ったということで、日本の人も住みにくくなれば外国へ行く可能性も今までよりは広がるわけですし、逆に、日本で人口が減るということであれば、ある種の労働の希少性が高くなれば、外国からいろいろな形の参入も、圧力とかが高くなるわけです。そのときに問題になるのは、今のこれからの動きの中で、必ずしも人口の規模を大きくするような、経済統合の話だと思うのですけれども、そういった形の人の集まりというのが、例えばこれからの大きな支配的流れになるかというと、必ずしもそうではなくて、いろいろな形で、ヨーロッパの中でも、民族的な自立を求める声というのが出てきているわけですが、これは経済的な側面から言うと、貿易とかいろいろな形の外国との取引が、資本移動も含めて可能である。必ずしも人が一緒に集まって大きな、地域的なつながりを持たなくても、いろいろな外とのつながりの意味では利益を得ることが可能になると思いますので、人口が減るということ自体は本当にどのぐらい意味があるのかということは、国際的な関係から行くと別の視点があり得るのかなという気がします。

(座長) ありがとうございました。一般的な発言をしていただいて。

(委員) 第一に、先ほどおっしゃいましたけれども、今のマクロ経済の状況というのは非常にクリティカルな状況にあって、景気回復に水を差すような、不安感をあおる提言は非常にまずいと思います。人口減少に着目すると、非常に極端には、人口が将来ゼロになる国にだれが投資するかと言った人もいますけれども、企画庁のレポートに書いてあるように、生産性の伸びと人口の伸びとの合計で経済の規模が決まるので、仮に日本の人口が 100年間で半分になるとしても(年間平均で 0.7%減少するということですけれども)、過去のデータを見ると生産性は年間2%ぐらい伸びており、今後も生産性の伸びの方が人口の減少率より高い可能性がかなり高いと思います。人口の減少のインパクトだけを考えていろいろな推計などを出すとかなり曲がった、歪んだピクチャーになると思います。そういう意味で、生産性の伸びというのは非常に重要なファクターだと思う。

 第二に、経済全体の成長率と全要素生産性の関係ですが、全要素生産性が伸びたときの方が資本ストックの伸びは高くなることに留意する必要があります。そういう意味で成長率と全要素生産性の間に正の相関があるのは当然です。均衡成長経路では、ご承知のように、資本ストックの伸び率と生産性の伸び率は等しくなります。ですから、経済全体の伸びから生産性に対してフィードバックがあるというより、生産性の伸び率が資本ストックの伸び率も決めるので、全要素生産性の伸び率が高い国の方が経済成長率も高いという結果になると見て良いと思います。

 第三に、人口の成長率が低い国で経済成長率が高いという実証的な結果も、特に途上国のデータに関して幾つかありますけれども、理論的にはスケールイフェクトというのがあって、人口の成長率が高い方が生産性の伸びも高くなっても不思議ではない。ただ、これはいずれにしても余り強い効果ではない。海外からの技術移転を考えますと、スケールイフェクトは、個別の国ではそれほど大きな結果ではないのではないかという気がします。

 第四に、トランジションの問題が非常に重要ではないかと思います。つまり、今後まだ当面人口は伸びまして、それから減っていくわけで、貯蓄へのインパクトと投資へのインパクトがかなり違うのではないかと思います。クルーグマンの論文の紹介がありましたが、貯蓄へのインパクトの方が、少なくとも最初は弱くて、投資の方に先に効いてくる可能性があって、セイビング=インベスメント・インバランスという話が出てくる。最終的に経常収支が赤字になるが、当面は経常収支がかなり黒字にならざるを得ない。今の為替レートがそれを正しく見通しているのかどうか、そういった問題があるのではないかと思います。貯蓄と投資へのインパクトのダイナミックなパターンが違う、その影響が2000年の初めでは非常に重要な問題になるのではないかという感じがします。

 第五に、最初の委員がおっしゃいましたように、グローバライゼーションのコンテクストで、貿易の自由、物と人、人の移動の自由も含めて考えていく必要がある。グローバルのコンテクストの中で人口減少に対応していくというのが一番効率的なやり方ですから、そのオプションは当然に考えていく必要がある。

 最後に、生産性の問題に関して言いますと、経済が縮小していくときに、一番リジッドな対応しかできない可能性があるのは、政府ではないかと思います。例えば子供の数が減れば、生産性が仮に上がらなくても教師の数は減らないといけない。しかし、そういったことはなかなか起きていません。人口が縮小している地方でも、市町村合併などはなかなか起きない。人口規模の減少に対応して、政府部門がうまく適応できるような仕組みをつくっていくということも非常に重要だと思います。

(座長) ありがとうございました。

 では、皆さんから一応一般的な話を。では、はいどうぞ。

(委員) 今日いただいた資料で、堺屋長官の話が載っていまして、人口が減少して、しかも繁栄した国が、1つ例外的に15世紀のイタリアというのがあったのですが、一般的には、人口が減っているときは経済活動も不活発と考えられる。ただ、いつでもそうかといえば、そうでもない場合があるというようので興味深い。ただ、堺屋長官の書かれている中身を見ると、要するにイタリアのルネッサンス、文芸復興がそのとき花開いたのだという印象があるのですね。そうすると、それはやはり一定の経済的な基盤があってということでしょうけれども、文化的な価値とか、一般的にバリューというのでしょうか、GNPとかそういうもので余り測れないようなものをどのぐらい評価すべきなのかという論点も絡んでいるように思うのですね。

 ですから、経済企画庁はやはり成長率を一生懸命気にしなければいけないのでしょうけれど、ただGNPとかGDPというのがいつでもいいかというと、細かいことを言えばいろいろなことがあるわけですね。交易条件の変化ですとか、あるいは普通の実質GDPというのはラスパイレス指数ですから、悪化するときしかウエルフェアは測れないとかですね。あるいは、ウエルフェアということであれば、1人当たり所得ではなくて、1人当たりの消費であるべきだと考えられる。ですから、問題なのは消費とか消費の増加ですね。成長理論の方では井堀先生の専門ですけれども、ゴールデンルールのところに乗っかっているのが一番いい。そういうことを考えれば、消費の方が大事で、しかも消費の中身というのも、国民所得統計がはかっている消費がそのまま正しく消費者の効用を反映しているかというと、それもちょっとわからないところがあります。

 例えば、クルーグマンの幾つかの貿易、あるいは経済地理の議論というのは、生産物の数がふえれば成長したのと同じぐらいウエルフェアを高めるということがありまして、つまり生産額とか消費額全体としては幾らかというのが同じだとしても、そこでクオリティーの変化ですとか多様化が起こっていれば、成長していなくても数がふえるということで消費者が満足するというのですね。そういうような論点もあり得るのではないかと思うのです。ですから、本当にウエルフェアで測るのだということでやれば、もう少し立ち入って、消費であって、しかも消費の中身はどういうことになるか。さらに、そこで文化的な価値とか潜在的な能力の発揮というのがどこまで入るのかわかりませんけれども、消費者がどういうときに一番満足するのかというようなものとひとつ関係があるのではないかという気がします。これが1点目です。

 2点目は、イネコーリティーといいますか、きょうのお話で、高齢者内部での格差があるというようなお話と、男女間の賃金格差があるという2つのお話があって、それをどう評価すべきかということですね。1つは、男女間の格差で言うと、縮まっていくことは、成長率という意味では高める方向、さらに女性がもっとフルに参加していけば生産性が上がるかもしれないし、GDP自体も全体ももちろん大きくなるという効果があるのではないかと思います。

 それから、日経センターの香西さんが言われていることですが出生率と男女賃金格差にはU字型の関係があって、日本は先進国グループの中でも男女格差が非常に大きくて、格差が縮まれば、U字型なので、出生率が少し戻る可能性もあるというようなのをどこかに書いておられました。ですから、男女格差について、例えばどういうようなことを考えるのか。イネコーリティーにはいろいろな測り方があって、同じ産業に働いている労働者の中でのイネコーリティーの問題もあるし、男女間のイネコーリティーの問題もあるし、高齢者内部でのイネコーリティーの問題があって。高齢者の方について言うと、先ほど井堀先生が、再分配が組み込まれているとおっしゃったのですが、再分配をどこまで、どういう形でやるのかというのが問題なのではないかと思うのです。非常に豊かな人に手厚くし過ぎますと、かえって不平等が全体としては拡大してしまうというようなこともあり得るのではないかと思います。そうするとそこは、再分配政策と言っても、そのやり方をどうしたらいいのかという、そこの問題点がどうもあるのではないかと思います。

 ですから、不平等がどのぐらい経済成長の足を引っ張るのか、それとも高めるのかというのが、一般的には家計の所得分布が対数正規分布していて、右の方はパレート分布に近いというような標準的なタイプだと、メディアンは平均値より低いところにあって、デモクラシーだとメディアンの投票者の行動で決まりますので、どっちかといえば再分配が行き過ぎる場合もある。うまくいく場合もあるのですが、行き過ぎるというようなこともあり得るのではないかと思います。その辺になると、政治決定過程と関連していて、もしかすると介護保険の最近の動き民主主義の決定過程と関係あるのかもしれませんけれども、そこの再分配政策を決める決め方をどう考えるべきかというような点があるのではないかと思います。

 最後に、細かいコメントですけれども、国際化ということでこんな話もあるのですが、それも、例えば円建て資産とドル建て資産とヨーロッパ通貨建ての資産と、金融資産で言うと3通りあるのですが、70年から今まで30年、収益率で言うと円建ての資産を持っていた人が一番収益率が高いのですよ。つまり、円高がこの20年か30年、 360円だったのが 100円を切るようになりましたので、名目金利がどんなに低くても、30年ぐらい持っていると円建てが一番得だった。ただ、円レートはボラティリティーが結構高いものですから、分散の方も高いですが、円建ての資産を本来世界のインベスターが、例えば2割とか3割持っていてもおかしくないという、これはIMFのエコノミストのマソンさんが計算されていますけれども、そういうのを見てもかなり、メリットというのがやはり本質的にはグローバライゼーションであるのではないかということです。

 それから、先ほどの話ですと、平均的なヒューマンキャピタルが外部性を持つという場合に、例えばリサーチャーですとか、あるいは大学の研究者はスピルオーバー…外からやってくる刺激が大きいのですね。例えば、アメリカの1人当たりのヒューマンキャピタルが外部性として入ってくるのではないか。あるいはソニーなどのように企業が国際的にR&D投資をやっているのに、日本で行われるイノベーションだけを考えていたらいいのか、国内でのR&D投資だけを考えていていいのかというのは、前からずっとビッグクエスチョンで、ナレッジエコノミーというところではよりボーダーがなく、国際的なスピルオーバーというのが大きいのではないかと思うのです。

(座長) ありがとうございました。

 では、まだ発言されていない方を中心に。

(委員) 早く言わないと、言うことがなくなってしまうものですから。(笑)

 4つほど言わせていただきます。

 まず、経済成長の意義なのですけれども、私も、どっちかというと1人当たりのGDPとか、消費とか、そういうものをもう少し全面的に政策論議に出した方が生産的ではないかなという気がいたします。今まで経済成長を目指してきたのはなぜかというと、やはり1人当たりの幸せを追求してきたわけですから、経済成長がマイナスになっても幸せなのですよというのを言うべきだろうと思います。そうしないと、例えば、経済成長を維持するためには、女性のM字型の就業率のMのところのくぼみを上げないといけませんとか、あるいは高齢者の就業率を上げないといけませんというような政策になるんでしょうけれども、私なんかは逆に、もう少しM字型を明確にしたらいいと思うんですよ。女性もM字型を明確にして、男性もM字型を明確にして、余り仕事をしないような世の中にする。それで、高齢者も余り働かない。にもかかわらず人々が幸せになっている、そういうのを目指すべきだろうと思うのですよね。

 そうなると、経済成長率というのは、今までと同じような発想で追求していいのかなという気がいたします。確かに、人口がふえたら年金財政もよくなるのですけれども、ちょっと議論が本末転倒的になりますけれども……。

(座長) 委員の話は、そうすると、1人当たりGDPではなくて、1人当たりウエルフェア……。

(委員) ウエルフェアです。厳格に言えばウエルフェアです。

(座長) レジャーも関数に入っているということを言わないといかんね。

(委員) レジャーも。かなり大きなパラメーターがついているかもしれないですけれども、それが1つ。それでも、ちゃんと世の中の人が生きていけるというような、非常に怠慢な人生観を持っています。

 2番目は、2040年というかなり長期のタイムスパンを視野に入れておられるわけですので、人口動態は所与・与件というふうに扱うのはしんどいかなという気がいたします。確かに、今議論されているような育児政策で、すぐに人口動態に影響が出るということはないと思うのですけれども、ひょっとしたら出るかもしれませんし、マクロ経済の動きで人口動態が影響を受けるというのは、今後40年を見据えると、可能性としてはそんなに低くないと思いますので、どういうモデルを想定なさっているか、ちょっと私わからないのですけれども、人口動態の内生化というのは、明確な形ではないかもしれないですが、ちょっと意識した方がよろしいのではないかと思います。

 3番目ですけれども、先ほど他の委員もおっしゃったと思うのですが、移行期の問題というのはやはり重要だと思います。特に、税制とか社会保障の政策のあり方を議論する場合というのは、移行期にどうなるかというのが、定常様態の議論よりも重要になってくると思います。ですので、これからいろいろシミュレーションなさると思うのですけれども、各時点でマクロのパフォーマンスをチェックすることももちろん重要なのですが、それと同時に、いわゆる世代会計的な発想で、何年生まれの人がどういうウエルフェアの変化を受けるかとか、そういうのをラフに計算する作業が必要ではないかと思います。

 4番目の政策提言にどういうふうに持っていくかというのは、私は余り知らないのですけれども、仮に持っていくとしたら、やはり人口動態のリスクに対してできるだけ政策のあり方が頑健であること、そういうのが望ましい姿だろうと思います。先ほど出生率の数字について、人口研の数字を紹介なさいましたけれども、今まで我々は全部裏切られ続けてきたわけですよね。そのたびに年金制度改革をしてきたわけですけれども、人口動態が振れても大丈夫のような制度設計というのはどういうものかというのは議論すべきだろうと思います。人口が減少するというのは暗い話が多いのですけれども、人口が減少すること自体が暗いのではなくて、人口が減少したときに、世の中の仕組みがうまく維持できるのかということについて、我々は非常に不安感を持っているわけですから、その不安感を払拭するためにも、人口は減っても何とか持ちこたえますよという制度がどうなっているのかということは、やはり議論すべきだと思います。

 以上です。

(座長) では、2人残っていますが、はい。

(委員) まだちょっとまとまっていないのですが、委員の今のご意見に、賛成の部分と反対の部分があるのです。反対の部分は、M字型がもっと落ち込んだ方がいいということなのですけれども……。

(委員) これは男性に関しても言っていたんですけどね。

(委員)  これはすごく重要な点なのですけれども、労働力率というのはゼロか1なのですよね。ですから、ゼロというのは、全く働かないという意味で、全く働かないというのはやはり厚生を下げると思うのですね。ある程度働いて、あるい程度家のことができるという状況が一番いいわけです。ほかの国々でも、M字型になっているのが台形に変化していますが、育児期の労働時間を見ればやはり時間としては減っているのですね。つまり短時間働くようになっているということで、専業化が薄れているということだと思います。さらにM字型が進み、育児専業化が進む方が人口がふえるというのはないだろう、短時間化が進むのであれば良いが、専業化が進めばむしろさらに人口は減ると考えております。

 賛成の点というのは、人口動態の内生化をすべきだという点でありまして、現在の状況の与件としたらば、多分恐らくもっと進むだろうという気がしております。その理由は、男女共同参画法など通りまして、例えば教科書の中でも、ますます男女ともに働いていこうなどということが書かれていくわけですね。学生たちはそう思って大学までやってきて、高学歴化も進んでいくわけです。ところが、仕事に出てみると、仕事のやり方がまるで変わっていない。大体、就職がまずできない。さらに、働き方が全然変わっていない。つまりそれこそ離職しなければ子供を育てられないということを明確に目の当たりにするわけです。その中で引退してもいいと思える男性に出会えないし、なかなか出生もしない。その方と生涯添い遂げて、その方に養ってもらわなければならないわけですから、なかなかそう思える人に出会ったと思えないのは、女性本人の所得が上昇しているということもあると思うのです。能力も所得も、あるいはそういう教育を受けてきた。

 しかし人口がある程度増加していくことは非常に重要なことだと私自身は思っております。そのためにとるべきことというのはいろいろあると考えます。育児休業がどれぐらい取れるかという調査を別のプロジェクトでしているのですけれども、恐らく政府だけが何らかの施策をしても、なかなかどうにも動かないだろう。むしろ現場との話し合いの中で具体的に、恐らく労働時間を少し短くするような施策をとりうるか、そんなことを具体的に考えることが、少子化対策として非常に重要だということが1点。

 別の点としては、私はマクロモデルの専門家ではありませんけれども、このオーバーラッピング・ジェネレーションズ・モデルで、ライフサイクルも考えてという部分についてです。消費か余暇の選択として労働供給を考えるモデルでは、子供は消費としてとらえられてきたと思います。しかし子供を投資、あるいは貯蓄としても考えるモデルを考慮すべきと思います。特に、現在のような賦課方式の形での年金制度あるいは働く世代から税金を取るような制度を考えますと、子供というのは、消費財の側面、すなわちかわいいという効用を得る部分もありますが、一方、別の部分では、今期の消費を来期の生産に振り向ける投資となっています。つまり子どもへの支出は、資本蓄積をしているのと似た形となっていて、ただしその果実は賦課方式の年金制度で投資者本人に完全には戻らず、外に漏れ出ますから、育児は一種税金を払っているのと似たような形になっているのではないだろうかと思います。それを明示的に考えないで、全く消費の一部と扱うのはどんなものだろうかと感じます。その辺を考慮した上での社会保障とか税制のあり方を考えていくと、もう少し違うことが出てこないのだろうかと感じます。

(座長) ありがとうございました。

 では、最後に、何か言わないと。

(委員) 一番最後となってしまいまして、ほとんど言うことが少なくなってきたんですが、私も皆様方の意見を聞きまして、まず最初に思うのは、この人口減少が問題であるということに関しまして、何が問題かということをもう一回確認というか、ターゲットというか、それをまず初めに念頭に考えるべきではないかと思います。今までどおり、例えば1人当たりの所得の成長という観点から見るか、もしくは最近多様化とよく言われていますが、そういったもとで、ほかに違ったターゲットがあるのかどうか。もしあれば、また違った考え方というか、いろいろ出てくるかと思うのです。そうはいっても、すべてを網羅するわけにもいきませんので非常に難しいのですが、何をターゲットにするかというのを確認するべきものではないかと。

 私自身は、専門として経済成長ということをやっておるわけですが、仮に経済成長ということに念頭を置くとするならば、例えば、資料3に掲げられていました、人口減少が経済成長に影響を与えるという観点で、経済成長に関しましては3つほど、労働力、貯蓄・投資、技術進歩という要因分解が細かく分析されていたわけですが、そのことで、人口の方も多少分類して、おのおの効果が違ってくるのではないかということをちょっと思っています。大ざっぱに分けてみますと、例えば人口といっても、それは、まだ働く前の段階の子供の世代、あと労働者の世代、労働者といっても、40代ぐらいまでの労働者で、いわゆるやり直しが効くかどうかという労働者と、それ以降のやり直しが非常に難しい労働者というのもあるでしょう。あと、最後には引退された世代と、大ざっぱですが4つほどに分類がされて、果たして今の日本はどこが重要か。その前に、おのおのが1人当たりの、例えばGDPならGDPの成長にどのような影響を与えるかということを確認しなければいけないのですが、それを踏まえて日本の現状、これから2040年ごろまで、一体どこがどのぐらい出てくるかというのを検討するのが必要かと思いました。

 あと1つですが、国際化、グローバルの話ですが、確かにグローバル化すれば、世界的には人口がふえていくということですので、日本の人口減少が問題であるとすれば、弱められるかもしれないと思うのです。しかしながら、これは私の個人的な考えですが、例えば、日本はアメリカとかヨーロッパと違いまして、言葉の問題とか、文化の問題、特に言葉の壁が結構あるのではないかと。例えば、日本側としては英語が堪能な方、あちらから来る方は日本語が堪能な方という、非常に高いスキルを持っている人との交流がある。一方では、言葉がなくても身振り手振りで労働者として可能な労働力の移動というのもあり得るのかもしれない。しかしながら、日本の経済の中心的であろう真ん中の労働者というものの交流、それが非常に難しいのかもしれないということで、そういったことはちょっと考慮というか、難しいのですけれども、考える必要があるのかと思いました。

 あと、最後に1つですが、人口と経済成長というマクロの問題を扱うということですが、注意しなければいけないと思いますのは、人口というのは極めて個人的な、ミクロ的な話だと思うのですね。どれだけ子供を持つかというのは、まあ多少、親戚とかでプレッシャーがかかるのかもしれませんが、ほとんど家庭単位の、個人的に何人欲しいというチョイスです。現状ですと、子供の費用とかはほぼ親が負担したりしなければいけない。一方では、最近経済成長とかの話、マクロの話で出てくる外部効果というのがありまして、それが、外部効果でマクロの効果ももたらすということは、いろいろな研究者の方々が言っているわけです。そういった観点から言うと、外部効果があるがゆえに、人口の出生率が低いというのは容易に考えられることでありまして、そのギャップを埋めるために、政策なりが必要ではないかと思っております。マクロの成長、マクロの経済を分析するに当たっては、人口という極めて難しい問題だと思いますので、その観点が必要かと思いました。

 以上です。

(座長) ありがとうございました。

 私がまだ発言しておりませんが、座長というのはまとめる仕事が一番の仕事なので、そんなに多くの意見はございませんが、皆さんの話をお聞きしていて、皆さん相当いいことを言われたなと。こういう問題をこういう視点から考えなければいけないということが、私はノートをとりまして、いろいろな論点を考慮する必要があるかなという印象を持ちました。

 私の個人的な意見を多少言わせていただければ、私は少子化は余り問題にせずという、割合楽観論の立場であります。なぜ楽観論かというと、現在生きている人たちにとってはこれはプラスである。ウエルフェアと委員の方が言われた観点からすると、1人当たりのウエルフェアが高まるということを考えれば、これはプラスである。しかしながら、将来を考えたら、人口が減ることによって、成長率が減るとか、技術進歩がどうのこうのというネガティブな問題はあるけれども、私は中長期的には、日本人はばかではないので、もし問題が物すごく起きてきたらきっと移民を考える。

 皆さん覚えておりますか。バブルのときに移民を入れなければいけないという議論が社会的に物すごく起きました。そして、スキルのある人たちは、入れましょうと。そのかわり、そのときは、アンスキルドは今の時点では入れないでおこうということを決めたときにバブルが崩壊して、その問題はどこかに飛んじゃったんですが、危機意識を感じたら、きっとこの問題を日本人はまともに考えて、人口問題の減少することのネガティブな効果を移民で入れるか、あるいはもう一つは、ここで一生懸命人口をつくらなければいけないなということをきっと日本人が考えると思うんです。内生化と言われたけれども、今ここで子供をつくれば、自分にとってもユーティリティーは高まるし、日本国が沈没するのでは困るというので、内生的にここで日本人の子供もふやさなければいけないということを、日本人がきっと思うと私は思うのです。そのようなことを考えたら、私はそう目くじらを立ててわあわあ言う必要はない。

 でも、政府がやることは、そのようなことが出てきたときに、側面からどういう政策を国民に提供するか。こういう政策がありますよ、こういう政策を導入したら、こういう効果があります。こういう政策を導入したらネガティブな効果がありますということを、いろいろなメニューを提供して、最終的にはメニューの選択を国民に任せるという、判断の資料なり、政策の効果を提示することが政府の役割ではないかと、私個人的には考えております。

 以上が私の意見でございまして、そろそろ時間も来ておりますから、事務局から、きょういろいろなことを言いましたが、何か反論なり、異論なり。

(総合計画局長) 全く反論するつもりはないのですが、言われたことで非常に重要だなと思うところとか、ちょっと難しいかなと思うところがありますので、率直な今の時点での感想を述べさせていただきます。

 まず、不安をあおるというのは、まさにおっしゃるような点についてはあったのかなと。政府の方で不安をあおったり、あるいは逆に、非常に楽観的なものを出したりということで、両方の面から、政府は楽観的過ぎるという批判もあるし、不安をあおり過ぎるという批判もあるでしょう。私どものこの研究会は、特に不安をあおるというようなことは全く考えていませんで、むしろ、今の時点の一番の政府の課題は、国民にいかに将来について安心感を与えるかということの方がより大きな課題だと思います。ただ、そこで安心感を安く売ろうとしても、なかなかそれを買ってくれない状況でもありますから、ここでは、そこの最後の、この研究会のプレゼンテーションをどういうふうにするか、対外的なものは別にして、検討すべきと考えられる課題は、素直にそのままの形で検討すればいいのではないか。それをどうやってまとめて、どういうメッセージを外に出していくかというのはまた別のこととして考えればいいということは、そういうふうに考えます。

 それから、1人当たりの成長なり消費が所得成長か、あるいは全体のかというのは、個人の効用なりウエルフェアということを考えれば、1人当たりで物事を考える方が筋でしょうけれども、一方で、今までそのことは皆さん、恐らくコンセンサスとして提示されていたのですが、では、経済全体がマイナスになっても、1人当たりでプラスであればいいのか、あるいは、経済全体がマイナスという状況の中で、本当に経済はサスティナブルな姿を描けるのか。1つ考えただけでも、政府の赤字の話があって、財政赤字の残高がGNPを超えるような状況になっている。こういう状況の中で、仮にマイナスの成長ということが続いたら税収はどうなるんだろうと。そこら辺のつじつまがなかなかうまく描けないなと。ですから、マイナス成長というのはどういうことなのかなというのは、それはそれで1回描いてみたらどうだろうかと。その問題は、さっと考えれば解決できなそうだけれども、こういうメカニズムで、こうなるから大丈夫だということであれば、それはそれでいいし、仮にマイナスだとやはりなかなか問題が出てくるなということであれば、それはそれでまた考えなければいけないと思うのです。今までの議論の中で、どうもプラス成長というのが頭から前提にあって、先ほど岩田さんもおっしゃったけれども、人口が減少しても、1人頭の生産性がそれより大きければプラスですから。いろいろなシミュレーションも、50年ぐらいまでやられたものも、0.何%まで落ちるものはありますけれども、マイナスとして描いて、バランスがどうなるかというのを示してもらったことがないので、一度、マイナスの世界ってどんな世界だろうというのを描いてみるというのも、もちろんそれを出すかどうかとかいうことはありますけれども、作業の過程で……。

(座長) それでむしろ危機をあおると……。(笑)

(総合計画局長) あおるとかというよりも、一度きちんとマイナスの世界はどういう世界なのかということを数字的に考えてみることも重要ではないかと思っています。

 それから、海外との関係は、まさにこのグローバリゼーションの中ですから、1国だけで物事を考えてもしようがないので、海外との関係はどう考えていくのか、日本の人口減少を世界の中でとらえたときにどう考えていくのかというのは、非常に重要だなと思っています。

 それから、先ほどから大分人口を内生化して考えるべきだという意見が出されたのですけれども、おっしゃることはよくわかるのですが、その前に、今人口のメカニズム、出生率のメカニズムがうまく把握できているかというと、政府でこの間、少子化対策の方針をまとめつつあるところですけれども、その過程で我々も少し勉強したりしているのですが、なかなか政策と出生率の関係というのはそんなに簡単な話ではなくて、関係がありそうでもあるし、なさそうでもある。もっと社会全体の仕組みがどうも根っこにあるような感じがあって、簡単に内生、内生と言っても、それを内生化することの方が議論が大きくなるといいますか、それはそれでもちろん必要なんですけれども、この作業をするときに人口の内生化に余りこだわると、そもそもそこの不明なメカニズムのところに陥ってしまうのではないかと思います。できれば、ある程度出生率がこうなればという、幾らか代替的なシナリオを描くということは考えていますけれども、それ以上に内生化ということはなかなかどうかなという感じがあります。あるいは、もちろん別のセクションをつくって、皆さんで二、三回、この内生化、どのぐらいならみんなが許容可能なのかというようなところを議論していただいた上で作業に盛り込むということはあるかもしれませんけれども、私の今まで勉強した限りでは、内生化と言われても、内生化すること自体に、そうではない、ああではないという議論が出てくるかなという気がしました。

 あと、社会保障の話は非常に重要な話なので、どういう社会保障の仕組み、これからのまさに50年とかを考えると、どういう考え方で社会保障が進んでいくかというのは非常に重要な考え方だと思いますので、我々がモデルを使ってシミュレーションできる範囲で、どういう考え方で制度改革すればどうなるとか、財政がどうなるとか、そういうことはやってみたいと思います。これも、一方で政治的に非常に大きな問題なので、またそれは内部の作業、要するに対外的なプレゼンテーションとかというものとは全く別物として考えないと、今の状況の中でも、にっちもさっちもいかないような状況が一方であって、非常に大きな問題なので、この場で素直に検討してみたいと思います。

 また、移動のプレゼンテーション、海外に出ていくのではないかというのは、それはそれで考える問題かなと。

 先ほどの議論を聞いて思い浮かんだのはそれぐらいです。

 もう一つ、これから作業を進めるに当たって、本当にこれは論点が多岐なので、できれば次回から何回かのシミュレーションをやった結果に基づいて議論していただくのですが、こちらで議論していただく論点を絞って、足りない点は足りない点でまたご指摘いただくなり、次の作業に残すなりということで。そのかわり、この会議では余りたくさんにしないで、論点を絞って議論したいと感じております。

(座長) ありがとうございました。

 だれかほかの方はないですか。--では、時間も来ましたので、このあたりで終わらせていただきたいと思います。

 当研究会の今後のスケジュールを事務局からご説明お願いいたします。

(事務局) お手元に資料8というのが一番最後にありますが、きょうが第1回で、第2回を1月下旬ごろ、毎月大体1回ぐらいのペースで第6回ぐらいまでということで予定しております。次回につきましては、私どもの方で推計いたしましたマクロ計量モデルのシミュレーション結果を提示いたしまして、それに基づいてご議論いただくということになります。今局長が申し上げましたように、マイナスの世界などを描いてみて、その辺などもいろいろご議論いただく。現状を申し上げますと、マイナスの世界になるとモデルが発散することは、現実を反映しているのか、ただ前提自体が悪いのかというのはまだ解明しておりませんが、1月下旬までにはそういう姿を描いてみたいということでございます。

 手続上、申しわけございませんが、日程等につきまして記入していただくように用紙を配付いたしておりますので、ご記入のほどお願いいたします。

(座長) この日程表は、1月いっぱいに必ず1回やらないといかんということですか。2月のが入っていますので……。

(事務局) 2月初めも……。

(座長) も視野に入れているということですね。

(事務局) 皆さん、入試ですとか、いろいろそういうことで……。

(委員) 5月はあれかもしれないけれども、4月まではみんなもう……。

(座長) では、第1回目の人口減少下の研究会をこれで終わりたいと思います。長い間どうもありがとうございました。

-了-

内閣府 Cabinet Office, Government of Japan〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)