経済審議会 人口減少下の経済に関する研究会(第1回)議事概要

  1. 日時

     平成11年12月22日(水)10:00~12:00

  2. 場所

    経済企画庁総合計画局会議室(732号室)

  3. 出席者
    (委員)
    橘木座長、井堀委員、岩田委員、小塩委員、外谷委員、長岡委員、永瀬委員、伴委員、
    (事務局)
    牛嶋総合計画局長、永谷審議官、塚田審議官、藤塚計画課長、山崎計画官、大脇計画企画官、太田計画官、
  4. 議題
    • 1)座長選任
    • 2)事務局からの説明
    • 3)自由討論
  5. 会議経過

    事務局より「人口減少下における経済に関する研究会」の検討事項(事務局案)及び配布資料について説明が行われた後、自由討議を行った。

  6. 自由討議の概要
    • 何が何でも総体としての経済成長が必要という考え方は崩れつつあり、むしろ一人当たりの数字の方が重要である。
    • 経済のグローバル化を考えると、例えば、人口減少に対する施策として移民を受け入れるといった対応を図る可能性も考えられ、現行の制度を前提とする議論で十分なのか。
    • 製造業にとって設備投資は重要だが、今はサービス業のウェイトが高まっており、産業構造の変化に応じて技術進歩の持つ意味も変わってきている。
    • 人口減少下では、公共サービスの負担は上がらざるを得ず、また、教育サービスなどにもみられるように、人口減少下では人が集まることによる集積のメリットが小さくなる可能性もある。
    • 一方、国内でのリスク管理がやりやすくなる等、人口減少のメリットも考えられる。
    • 人口減少率を上回って生産性が伸びれば人口減少のデメリットを打ち消すことができ、今後の経済を考える上で、生産性の伸びが重要な要素となる。
    • 人口が大きければ生産性も高まるという規模の効果は確かに考え得るが、経済のグローバル化を考えると今日ではさほど絶対的な要素ではない。
    • 人口減少が貯蓄と投資に与えるインパクトのパターンは異なっており、当初は投資へのインパクトの方が強いことから経常収支が暫くの間黒字になる可能性もある。
    • GDPが経済厚生を全て反映している訳ではなく、例えば、文化的価値や生産物の多様化による厚生の高まりをどの程度考慮に入れるのか。
    • 男女間の格差縮小はGDPを高める方向に働くのではないかと考える。再分配を行き過ぎたものとならないようにすることが課題である。
    • 21世紀の半ば近くまでの長期を視野に入れるのであれば、例えば少子化対策がマクロ経済に与える影響も考えられることから、人口動態を与件として扱ってしまうことには疑問がある。
    • 人口動態が予測から外れるリスクに対しても頑強な社会システムとはどのようなものなのかを考えて政策提言を行なうべきである。
    • 男女の分業が崩れつつあると考える。その事も少子化の一つの要因ではないか。
    • 教育期間中を通じて男女均等を学んできた子供達が、旧態依然とした男女不平等の会社社会に出た時に感じるギャップをもっと考える必要がある。
    • 子供の養育は消費と考えられているが、将来の保障といった要素を考えると投資ともみなせるという点に着目すべきではないか。
    • 人口減少の影響については、いくつかの世代に分類し、それぞれがGDPなどにどのような影響を与えるのかをみる必要がある。
    • 現在、子供が社会に与える外部効果がある一方で、親にとっての私的な養育費の負担は重く、これが出生率の低下の一因となっている可能性もある。経済システムのあり方が人口増減率に与える影響も無視できないのではないか。
    • 少子化は日本にとって大きな問題とはならないと考える。もし人口減少が深刻なものと捉えたならば、移民を入れたり、意図的に出生率を高め、人口を増やすなど日本人は対策をとるだろうと期待している。
    • 人口減少下でGDPがマイナス成長となった時の経済の姿を一度描き、本当に持続可能な姿なのかをチェックしてみる必要がある。
    • 人口の内生化は不確定の要素が大きすぎて難しい。いくつかのシナリオをつくり、その中で対応する形ならばどうか。
  7. 次回日程

    今後、各委員の予定等を考慮の上、決定する。

 なお、本議事概要は、速報のため、事後修正の可能性があります。

(連絡先)
経済企画庁総合計画局計量班
鮎澤 大橋
電話 03-3581-1098