第1回基本理念委員会議事概要

  1. 日時 平成11年2月19日(金) 18:30~20:00
  2. 場所 経済企画庁官房特別会議室(729号室)(第4合同庁舎7階)
  3. 出席者
    • (委員会) 豊田章一郎経済審議会会長、小林陽太郎企画部会部会長、水口弘一構造改革推進部会部会長、江口克彦構造改革推進部会部会長代理、清家篤国民生活文化部会部会長、大田弘子国民生活文化部会部会長代理、八城政基グローバリゼーション部会部会長、安土敏地域経済・社会資本部会部会長代理
    • (事務局) 堺屋大臣、今井政務次官、塩谷事務次官、林官房長、中名生総合計画局長、高橋審議官、牛嶋審議官、梅村企画課長、大西計画課長等
  4. 議題
    • (1)議事の公開方法について
    • (2)「新たなる時代のあるべき姿」の基本理念について
  5. 審議内容
    • (1)基本理念委員会の審議の公開について
       大西計画課長より、資料2「基本理念委員会の議事の公開方法について(案)」について説明。委員からの意見はなく、本案は了承された。
    • (2)「新たなる時代のあるべき姿」について
       大西計画課長より、資料3「我が国の国家像についての意見集計」について説明、その後討議。委員からの主な意見は以下の通り。
    • ここにある各部会に出された意見をつなげ合わせても10年先のイメージは湧いてこない。
    • 「会社人間」という言葉はよく使われるが、会社自体が個人のあり方に本質的にインパクトを与えているというのはオーバーではないか。家族と地域が本当に個人の帰属先として機能するような社会にすることが必要。
    • あるべき姿を議論する場合、個人がどこに帰属するかという問題から議論していった方が良い。世界の中での日本の位置付けは、あるべき姿として議論するのではなく、結果として出てくる問題である。
    • 「あるべき姿」を1つだけ描くことにこだわらず、もう少し幅広くとらえるべき。大国論、経済成長重視等80年代までのキャッチアップ的ターゲットを残すのでなく、発想を変えて21世紀的な柔軟なものとすべき。
    • 「あるべき姿」を国民生活文化という面で出すのは難しい。ただ、個人が自分の選択と自己責任において生活のあり方を整えるための条件として議論することはできる。
    • 議論の発散を防ぐために、議論の前提として何を与件と考えたら良いのかを共有すべき。例えば、人口構造の高齢化、競争市場の国際的拡大、人々の豊かさに対しての意識や基準の変化の方向性等の構造変化を与件として扱っていいのか。
    • 会社人間が日本の国民生活をどのくらい規定しているのかについては、はっきりしていない。今後、個人が今よりも長く働くようになる一方で、一企業の繁栄の寿命が短くなると思われるが、その場合、個人が企業を渡り歩くことになり、ひとつの会社にリンクした能力開発とか所得配分は見直さざるを得なくなる。また、労働力自体が、日本の雇用制度の前提となってきたホモジニアスなものから、女性・高齢者の労働市場参入等によりヘテロジニアスなものへと変化していくだろう。労働力の異質性・非均質性を踏まえた職業像・キャリア像が形成されるのではないか。
    • グローバリゼーションはカネの流れという面で大きく進んだ。金融から実体経済に、より大きな影響が及ぶようになった。また、生産分野のグローバリゼーションも進んだ。例えば、パソコンの中身を生産している国とパソコンのブランドネームを持っている国は違う。その意味でワンセット主義はグローバリゼーションとは両立せず、安くていいものを作ればよいということになっている。
    • 今後は、法体系や税制のグローバル化が進むだろう。その場合、日本だけ特殊な法律や税制を続けることはできない。また、情報や電気通信のグローバル化も進む。これらにどう対処すべきかが重要な課題。
    • グローバリゼーションを考える上で、アメリカ的な市場主義が世界を席巻することを前提とすべきなのか。グローバリゼーションを受け入れざるを得ないことを必ずしも前提とすべきではなく、それに反対するような立場の意見も引き出した上で、日本の「あるべき姿」を検討していくべき。
    • ステークホルダーにおける日本の特色(すなわち、企業間持ち合い)が今や問題点になっているのではないか。
    • 日本は世界各国でこれから起こりうる問題を集約しており、自国の問題を解決することが世界から尊敬されることにつながる。問題解決のためにも、「あるべき姿」というより、目的、目標、コンセプトという言葉の方が受け入れやすい。
    • 自由と社会的秩序はトレードオフの関係にあるのではなく、ルールという秩序のある中に自由があり、両立するものと考えられる。
    • 日本では、少し前までのの「平和」や現在の「環境」といった言葉が絶対的「善」として受け取られ、それが思考を阻害している。価値観をいきなり出すのではなく、ロジックを積み重ねて分析するようにするべき。
    • 会社と個人の関係は異常である。個人は会社が飼った家畜のような状態になっている。家族がゲゼルシャフト、会社がゲマインシャフトになっている状態を変えるべき。
    • 時間と空間が個人にはないのが現状。国土をもっとうまく使うヴィジョンをだすべき。
    • 現在、人材の二重構造と呼ぶべき状況がある。業種による給与格差が労働移動を阻害している。女性労働についての差別も言われているほど解決されていない。
    • この2年間が最も重要。2001年は、例えばビッグバン、行政改革、国際会計基準の適合の年。10年間を漠然と一律に考えても仕方がない。
    • 女性の進出は行きつく所まで行くと思う。むしろ若い男性がどう働くのかが問題。ただ、現状では、特に雇用、介護、子育てでは選択肢が限られている。行きつくところまで行くとしても、選択肢が早く与えられることが必要。
    • 現在、世の中が変わることへの不安が大きい。雇用にしても、産業構造にしても、転換の向こうにあるシステム等を、とりうる選択肢として示すことが重要。変化しても怖くない、変わることは良いことだということを描いて見せることが重要。
    • 対外的な関係は理念を持つべき。どうやって国を守るか、どんなコストをかけるべきなのかは重要。
    • 時代が変わったというが、何がどう変わったのかについて、必ずしも共通認識があるわけではない。しっかりとした共通認識を持たないと、あるべき姿が出てこない。
    • 「尊敬される国」というが、尊敬というのは上下の関係であり、適当ではないのではないか。むしろ好意を持たれる国というのを考えてみるべき。
    • 自由と社会的秩序については、日本は自由がなさ過ぎる。中途半端になるより、思い切って自由を強調するスタンスがあって良い。
    • ワンセット主義は放棄するというよりも、転換せざるを得ないということではないか。
    • 先進諸国で経済成長率を考える必要があるのか、また考えられるのか。先進国の行き詰まりは経済成長率に注目しすぎていることが問題ではないのか。
    • 地域のあり方については、道州制という観点から論じる必要がある。

なお、本議事概要は速報のため事後修正される可能性があります。

(本議事概要に関する問い合わせ先)

経済企画庁総合計画局計画課

西岡、阿部

Tel:03-3581-1041