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第5回国際マクロ経済問題研究会議事概要

1.日 時:

平成10年12月14日(月)10:30~12:00

2.場 所:

経済企画庁官房特別会議室(729号室)

3.出席者:

近藤剛座長、中山真一、高阪章、黒柳雅明、岡田靖、石本聡の各委員
中名生局長、高橋審議官、牛嶋審議官、染川計画官他

4.議 題:

  1. 資本移動規制について
  2. 地域的危機管理について
  3. 中間とりまとめ(案)について

5.審議内容:

1 資本移動規制について

事務局から説明の後、討議。委員からの主な意見は以下のとおり。

  • 資本自由化をすることによって新商品ができてマーケットができてくる。タイの場合もトップダウンで金融を自由化して市場が発達した。市場メカニズムが働く基盤と資本自由化とは表裏一体の関係にあるというときに、どうすればいいのか。
  • 様々な議論はあるが、それぞれの国の事情、状況に応じて、規制をしたい国はすればよいのではないか。ただし、資本自由化をしていなかったらアジアはこれほどには成長していなかったであろうし、資本自由化をするかどうかという選択の問題の方が大きい。
  • 資本規制インデックスは、【1】資本移動規制と資本拡大の因果関係が無視されていて、自由化による効果がどのくらいなのかが明らかでない、【2】資本規制が強化されると貿易に影響が出るというのではなく、単に資本規制が強い国の貿易のパフォーマンスを示している、という点で取扱いには注意が必要である。
  • 規制の有効性と自由化の必要性をどのように両立させて表現するか。また、有効性に乏しいとは一概には言えず、こういう状況では有効性には限界がある、というような議論が必要ではないか。「資本勘定自由化の必要性」を言う場合に、資本市場にはもともと問題があって、価格メカニズムではクリアできないという特性があるということにもふれる必要がある。
  • 本来自由化が進んでいれば成立しているはずの金利裁定が、成立していなかったことが破綻の原因であると言えなくもない。もしそうであれば、不必要に自由化をしすぎたために資本市場が機能しなくなったのではなく、十分、自由化していればより市場は機能していたと言えるかもしれない。規制が必要なのではなく、不必要な規制が残り過ぎているという論理もあるかもしれない。
  • 欠陥を抱えながらも機能している市場メカニズムの中で発生する損失と、あちこち分断化されてまともに動かないのに自由化してしまってシステムが機能しなくなってしまった結果起こった損失とがあって、今回の危機は後者の方である。資本移動規制を導入することが問題というのではなく、国内金融システムが機能するようにしつつ自由化していればよかったのではないか。

2 地域的危機管理について

  • 将来の危機に備えるという話と現在の危機をどうするかという話と二つの点がある。将来の危機に備えるという点で、IMFの機能を分割するということの効果には疑問。例えば金融部門の健全化であるとか、官民の癒着等、各国はそれぞれ問題を持っている。また資金が負担できる国も限られている。
  • 「現行システムの問題点」として、システムが金融のグローバル化への対応能力を欠いていることが大きな問題であり、言及が必要。危機管理がまずかったところが多くあり、診断の誤り、処方箋の誤りがあったということも加えてはどうか。
  • 規制とリスクの関係について、先進国や国際機関等による支援の可能性などの有無によって区分すると、エマージングマーケットは当てはまるところがない。国際機関の存在が投資家のモラルハザードを生むということに引きずられすぎてはいないか。ドルにリンクさせるということは、円やマルクなどの主要な通貨に対してフロートするということであるから、安定化の手段について書くならば、「主要国通貨バスケットにリンクさせること」と記す方がよい。
  • 今まで、タイもインドネシアもIMFの言うことを聞いていなかったからうまくいったという意見もあり、これに対してどう反論するか。各国が情報開示をするのはIMFからの支援がなければどうしようもないというぎりぎりの段階になってからである。相互監視がどこまで有効であるかという問題がある。地域に新しい機構を作るとすれば、IMFのとき以上のモラルハザードが起きるかもしれない。その時にどこまで許容するか、その判断はコストとモラルハザードとの比較になるであろう。また、新しい機構にどれほどの能力を持たせられるか。
  • モラルハザードの問題と相互監視の問題はトレードオフの関係にあり、必ず存在するもの。片手落ちにならないことが必要。
  • 南米型とアジア型と「火の消し方」が違うという観点が必要。IMFが南米型に固執するのであれば、アジア型の「火の消し方」を別に設けるという議論につなげることができる。

3 中間とりまとめについて

  • 日本にとって問題なのは、実質実効レートの不安定化により、国内の資源配分が歪められること。日本にとって円の国際化のメリットは、円市場の拡大により投資機会が拡充され、長期的に適正な均衡点へ近づけられる、ということ。
  • ドル・ユーロ・円の3極基軸通貨体制が、為替安定に寄与するかどうかは不明瞭。企業は現在でも為替リスクヘッジを行っており、円取引に伴うリスク低減の効果も限定的。アジア危機対策についての円利用は、円安による円建て対外債権の減少、円高によるアジア諸国の輸入減少とメリット・デメリットが混在する。円の利用範囲拡大の観点からは、新宮沢構想の総額300億ドルは少ない。また、現実的に資金規模の拡大は難しい状況であり、円の国際化に寄与するか疑問。
  • 地域安定化基金ができても、円の供給を受けたアジア諸国は東京市場で円売り・ドル買いを行い、日本の通貨当局は円買い・ドル売りを行うことが推測でき、結果として、最初からドルを供給した場合と同じにならないか。アジアの通貨投機は円に直接連動するという問題もある。つまり、円が国際的に決済通貨・準備通貨として使用されなければ、円で流動性供給システムを作っても為替安定化に結びつかず、逆に、円レートの不安定化要因になる。
  • 外貨流動性の供給や国際監視体制の確立を議論する上では、パターナリスティックと思われていた国際通貨システムの安定化を再検討することが大前提であり、その派生に地域安定化基金構想がある。
  • 全体のストーリーとして、日本のバブル清算の過程で起こったことが東南アジアのバブルに影響を及ぼし、更にはアメリカのバブル維持のために東南アジアのバブルが終結したといったグローバルなスケールでバブルが起こった、という見方もできるのではないか。既に資料の論点と同様の議論は多数あるので、日本側に立った別の観点からの指摘があってもいいのではないか。
  • 6章の円の国際化の位置付けについては、想定期間の整理が必要。私見では、円の国際化は2005年ぐらいを目標にしたものとしている。基軸通貨国のメリットや債務国アメリカが基軸通貨国であるということの問題点について、更に説明を加えることにより論点が明瞭になる。
  • 短期資本の流入規制や円の国際化については、想定時期の明示が必要であり、短期的な議論と混同されると誤解を招く。
  • 誤った現状の認識に基づいた対策を立てた場合、余計に状況が悪化する危険性がある。国際投資家を規制すれば問題を解決するという議論があるが、彼らがマクロフレームの中では受動的であるということから考えれば、規制の効果には疑問がある。経済分析によって政策的な提言を行う場合、確かに地域的通貨基金構想のように資金力に基づいて安易に問題の解決を図るという発想もあるが、逆に、その効果の限界の指摘と安易な発想への警告を行うこともできる。地域安定化基金構想は、最後に日本の外貨準備でアジア諸国の借金の穴埋めに使われるということになる危険性がある。
  • 構成上、5章を前に持ってきたらよい。現状認識という観点から4章を2章に含めてもよい。円の国際化が長期的な問題とすれば、6章は8章の後ろがよい。
  • アメリカはセキュリダイゼイションが進んでおり、アメリカやIMFのエコノミストは銀行を中心とするよりも資本市場を中心とした論理の展開を好む傾向にある。初期の段階では国内の金融仲介機能が弱く、資本流入の結果としてバブルの原因となったとしても、投資家が先に逃げて、銀行が後に逃げただけであって、銀行だけを犯人にするのは本質を見誤っている。最も問題なのは、ドルにペッグすることによって為替リスクがないという誤った認識が生じていたことである。

議論の終了後、中間とりまとめについては、座長一任ということで各委員とも了承。

なお、本議事概要は、速報のため、事後修正の可能性があります。

(連絡先)
経済企画庁総合計画局国際経済班
Tel03-3581-0464

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