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構造改革推進研究会第3回議事録

平成10年11月19日(木)

経済企画庁


第3回構造改革推進研究会議事次第

日時 平成10年11月19日(木)10:00~12:00

場所 共用第2特別会議室(407号室)

  1. 開会
  2. 高コスト構造是正・活性化の進捗状況と一層の推進(Ⅱ)
  3. 教育分野の構造改革
  4. 閉会

(資料)

  1. 資料1委員名簿
  2. 資料2-1高コスト構造是正・活性化の進捗状況と一層の推進(Ⅱ)
  3. 資料2-2~2-14高コスト構造是正・活性化の進捗状況と一層の推進(Ⅱ)に関する図表
  4. 資料3-1教育分野の構造改革
  5. 資料3-2教育分野の構造改革(図表編)
  6. 資料4構造改革推進研究会の検討スケジュール

(参考資料)

  1. 参考資料1-1教育分野の構造改革(参考事例集)
  2. 参考資料1-2教育サービスマトリクス

構造改革推進研究会委員名簿

座長 水口 弘 一  (株)野村総合研究所顧問 委員 浅見 泰司  東京大学工学部助教授  〃 荒木  襄  (社)日本損害保険協会専務理事  〃 池本 美香  (株)さくら総合研究所主任研究員  〃 岩田 一政  東京大学大学院総合文化研究科教授  〃 植田 和弘  京都大学大学院経済学研究科教授  〃 大熊 由紀子  (株)朝日新聞社論説委員  〃 小椋 正立  法政大学経済学部教授  〃 滝上 宗次郎  (株)グリーン東京社長  〃 出島 敬久  上智大学経済学部講師  〃 中島 隆信  慶應義塾大学商学部助教授  〃 橋爪 大三郎  東京工業大学大学院社会理工学研究科教授  〃 林  克彦  流通科学大学商学部助教授  〃 村井  勝  コンパックコンピュータ(株)顧問  〃 寄本 勝美  早稲田大学政治経済学部教授


(座長)それでは、定刻でございますので、ただいまから第3回構造改革推進研究会を開催させていただきます。

本日は、委員の皆様方にはご多用中のところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。本日はご都合により、あるいは急な寒さで風邪のため、欠席の委員の方もいらっしゃいますので、ご出席は若干少なくなりましたけれども、それだけ委員の皆様方のご意見を十分に開陳していただけるということで、時間は十分あると思います。

本日の議題は、お手元にありますように、「高コスト構造是正・活性化の進捗状況と一層の推進(Ⅱ)」と「教育分野の構造改革」についてでございます。これらの議題につきまして事務局からご説明をいたしました後に、ご意見をいただきたいと思っております。

それでは、まず1つ目の議題であります「高コスト構造是正・活性化の進捗状況と一層の推進(Ⅱ)」について、事務局より説明をお願いいたします。

(事務局)それでは、お手元の資料2-1と2-2から2-14までを使いましてご説明申し上げます。

本日の内容は、前回の物流に続きまして、電気通信分野を取り上げるということと、物流と電気通信の2つの分野での状況を踏まえて、これからの構造改革の進め方について考えることと、2つからなっております。

初めに、電気通信分野の状況について、ちょっと足早になりますが、ご説明させていただきます。

まず、資料2-2でございますけれども、電気通信分野の規制緩和等の進捗状況を見ております。ベースにしておりますのは、2枚目のところに【1】から【9】まで出典を示しておりますけれども、これまで類似の提言が行われ、それに沿った形で規制緩和が行われてきております。特に、料金規制の緩和ですとか、専用線と公衆網の接続の自由化など、ポイントとなるようなところはかなり進捗が見られております。その点、まとめておる部分でございます。

また、その成果でございますけれども、2-3のところをごらんいただきますと、料金が国内通信、国際通信ともに低下してきているということが見えます。右のほうでごらんいただけますように、国内の長距離の料金については約8割、国際通話料金については約7割という大幅な低下を見ておるところでございます。

また、2-4の縦長の資料、縦横まちまちで申しわけございませんが、最近の電気通信分野への新規参入を見ておりますが、設備を保有します第一種事業者の新規参入者というのは相当ございますし、最近では特に、地域系の部分、移動体の部分で参入が続いております。また、第二種の事業者も、これは最近のところをごらんいただきますと、4,000社を超えるということで、特に最近のインターネットなどのプロバイダーといったようなところでたくさんの業者が参入しているという状況がございます。

また、サービスの内容についても多様化が進んでおりまして、5ページですが、90年代の半ばに入りまして新しい種類のサービスが続々と提供されております。料金の割引であったり、付加的なサービスであったりということでございますけれども、これも規制緩和の成果があらわれているという状況であると思います。

以上のように、電気通信分野につきましては、当初見込まれておりました規制緩和が進められて、料金の面、新規参入の面、サービスの多様化といった市場のパフォーマンスは、非常に目覚ましい成果が上がっているという状況であるわけであります。

それでは、こういった規制緩和によって開かれた、あるいはそれによって得られた成果が、経済全体の活性化にうまくつながっているだろうかという観点で見てみますと、どうもほかの産業での情報化というのがうまく進んでいないのではないかというところを、これからアメリカと比較しながら幾つかのデータをごらんいただきたいと思います。

6ページのところでございますけれども、日米で設備投資に占めます情報化投資の比率を比べておりますが、アメリカが非常に戦略的にこの分野で設備投資を進めているというのに対して、日本の方は、増えてきてはおりますけれども、設備投資の占める比率というのは相当水をあけられているという状況にあります。

また、下に額がございまして、10億円単位と10億ドル単位ということでちょっと違っておりますけれども、全体の設備投資の大きさが日米でほぼ同じという状態です。最近、景気の低迷で日本は下がっているといったような状況でございますけれども、情報化投資の方を見ますと、アメリカが2倍という水準にございます。

また、この分野におきましては、ソフトウエアの産業というのが非常に重要で、その成長が見られているわけでございますが、中でもパッケージソフトという分野で見ますと、日本の場合、次の7ページ、資料2-6のところに市場規模を見ておりますが、相当規模の格差がございます。我が国の場合、アメリカの場合と比べまして、コンピュータを使って、ソフトウエアですとかインハウスでのいろいろなメンテナンスといったようなものがいろいろ行われており、そういったマーケットの差というよりは、こういったところに典型的に違いがあるということが言えます。

また、研究開発、R&Dに集中した企業といったようなものもなかなか出ておりませんで、8ページに、R&D社が調べました世界の情報通信技術関係の企業の研究開発の額トップ100社というのをとりまして、その内の上位20社を見ているわけですが、額の大きい方ということでは、日本の巨大企業が上位に出てきておりますが、2つ目の表のところに、売上高に占めますR&D比率をとっておりますが、そこにおいて高いところというのは、ほとんどアメリカ企業に占められておりまして、日本の企業は顔を出しておりません。こういった企業がなかなか出てきていないというのが日本の現状でございます。

また、情報化によりまして、それが経済に波及してくる1つのメルクマールとして、電子商取引が普及しているという状況があるかと思いますが、その点でも日米間の格差は非常に大きなものとなっております。9ページに、日米でサイバービジネスというものを、電子商取引も広い範囲でとっておりますけれども、平成10年の通信白書の資料によりますと、日米間の市場の大きさ、伸び率、いずれも水をあけられているという状況にございます。

資料2-7の2ページの方へ入らせていただきますが、この関連で、商取引に使っているようなwebサーバーとネットワーク用のコンピュータでございますけれども、その人口比率で見ますと、アメリカが今、非常に進んでいるというのはよく知られている話でございますが、日本とアメリカとの間に主要な国がざっと並んでしまうという状況になっております。左から9番目のところにOECDの平均がございますけれども、それと比べても、日本は相当低いという状況にございます。

こういったように、日本ではせっかく電気通信が世界の中でも、アメリカには若干後ろでありましたけれども、こういった分野の規制緩和、市場の成果というものが非常にたくさん出ている、先進的な市場の1つであるわけですけれども、それにもかかわらず、こういった面での成果がなかなか上がっていないというのが実情でございます。

この背景にある問題を幾つか考えてみたいというところがもう1つのポイントになってまいりますが、資料2-8のところで、企業の行動に何らかの要因があるのではないかということを考えてみますと、アメリカの場合、システムインテグレーターというような商売がかなり進んできておるようでございます。これはネットワーク、ハードウエア、ソフトウエアなど、いろんなものを組み合わせて、企業の求める情報システムを組み上げる、そのためのコンサルティングの仕事ということでございますけれども、こういったものが日本ではなかなかうまく出てきていないということがございます。

12ページに、アメリカで最近どういう分野が伸びているかというところを見ておりますけれども、若干ティーが違って、この場合、コンサルティングとその他の業務ということで分けられていますが、中身的にごらんいただきますと、システム設計、ネットワーク設計、計画立案ということで、まさしくシステムインテグレーターに相当する部分でございますが、比率はまだ、1割をちょっと超えたという程度でございますけれども、このところの伸びは非常に高いということが出てきております。今後も伸びが続くというふうに見込まれているという状況でございますが、日本では、ようやくこのごろ、こういう分野に手がつき始めたという程度の状況でございます。

こうした背景には、日本の企業の管理部門を中心に業務の標準化が遅れているということがあって、企業間の情報共有ですとか共同化、あるいはそれがうまくいかないという結果として、アウトソーシングが進まないということが背景にあるのではないかと思われます。

また、消費者の方もなかなか情報化が進んでいないという状況にございます。例えば13ページに日米のパソコンの世帯普及率がございますけれども、16~17%といったようなところに対しまして、アメリカが40%程度ということで、相当違いがございます。中でも、そのすぐ下のところに、アメリカにおける世帯主での年代別のコンピュータ使用というのを見ていただきますと、最も普及しておりますのが45歳から54歳という世帯でございまして、この辺から見ますと、日本は相当若いほうへ、左のほうへずれているという状況が、データがございませんが、日本でこういう状況ではないだろうということがあると思います。

また、教育現場でもパソコンは余りたくさん使われておりません。最近普及したというふうにありますが、学校単位で見ますと、14ページの下のほうに、OECDが調べたコンピュータ1台で何人カバーしているかということでございますが、94年の数字でちょっと古いんでございますけれども、50人に1台ということで、この時点で出たアメリカやイギリスなどでは、10人に1台を下回っているという状況に比べて、かなり遅れていたということになります。

その後、大分増えたというふうには言われておるわけですけれども、最近の数字を見ましても、小・中に加えて高校まで含めたものでも、20人に1台ということでございますので、高校がかなり台数が多いということを考えますと、目覚ましくアメリカの方へ近づいてきたというような状況にはないものと思われます。

また、職場でもパソコンに触れる機会は少ないということが出ています。15ページの上に、ホワイトカラー100人当たりのパソコン設置台数を並べておりますけれども、アメリカのほぼ1人に1台という状況に対して、日本は35%ですから、3人に1台という状況になっております。

また、インターネットの普及状況ということを見ましても、16ページでは、アメリカの方が相当普及しているという状況にございます。またそれだけではなくて、若干の国を並べてありますけれども、アメリカのみで非常に普及しているということではない部分があります。ほかにも普及度の高い国はかなりあります。

また、インターネットの接続普及が最近非常に進んだと言われておりますが、企業の分野では相当進んでいることはあるんですが、家庭ということになりますと、下のほうで見ていただくように、普及率が非常に低いという状態で続いております。

また、17ページで教育機関についても同じようなことがございまして、接続状況は芳しいものではございません。特に、小・中・高ということになりますと、依然として低いという状態がございます。

職場の方では、18ページで見ますように、平成8年から9年にかけてこの利用が相当進んだということがありますが、これも背景としては、従来から企業が専用線で対応しているといったようなところで、つなぎやすかったということがあると思います。

19ページに行政の状況を見ておりますけれども、日本では行政の情報化がおくれているという状況がございます。これはデータがちょっと古うございますけれども、1993年時点でアメリカが職員100人に対して、パソコンないし端末が174台というような、非常に先行的な状況にあったというのに対して、日本は、ワードプロセッサなどを含めましても、主要先進国の中でやや見劣りがするというような状況にございました。その後、相当進んだというふうに言われておりますけれども、これもよく調べてみますと、霞が関、中央省庁のあたりで相当進んだということであるようですけれども、全国の行政という点では、目覚ましいというところまではいっていないのではないかと思います。

また、先ほどごらんいただいたように、研究開発型の新しい企業がどんどん出てくるという状況にないということにつきましては、今年の6月に経済審議会の経済主体役割部会などの報告でもその背景が示されております。その部分のポイントだけの抜粋を20ページにつけておりますが、株式市場の問題や新規企業への支援の体制の問題、あるいは分社化などによる新規創業の問題、既存企業の事業転換のためのM&Aといったような問題ですとか、倒産法制の問題、それから、いわゆるベンチャー精神というんですか、起業家精神を高めるようなものが必要なのではないかというご指摘をいただいているところでございます。

以上、経済の波及のメカニズムということで見てまいりましたけれども、電気通信分野は、先ほどから目覚ましい成果が上がっているというふうに申し上げておりますが、問題が残っていないわけではございません。幾つかごらんいただきたいと思いますが、21ページをごらんいただきますと、例えば専用線の料金などで見ますと、デジタル回線の料金は、通常料金も割引料金もかなり高いという状況が残っております。

また、新規参入が非常にたくさん出てきたというふうに申し上げましたが、22ページをごらんいただきますと、大都市間や県間、要するに長距離分野での参入、それに伴う一定のシェアの確保は出て、こういうところでの競争状況というのは非常に活発に行われているということでございますが、中の県内通話というところ、これが通話のシェアとしては非常に大きな部分でございますけれども、この部分での参入は非常に小さいという状況にとどまっております。

また、電気通信分野についていろいろな要望が出ておりますが、そのあたりをまとめてみたのが23ページと24ページでございます。24ページに出所が出ておりますが、国内の諸団体、海外から出ているもの、あるいはOECDで指摘されているようなものということで整理させていただいておりますが、具体的に申し上げると、一番目立っておりますのは網の間の相互接続に関するものでございます。特に、NTTの地域網との接続の問題で、その接続のルールについて透明なものにするということ、結果として接続料の引き下げということが求められておりますし、地域網を構成するようなネットワークインフラの間の競争条件を整えてほしいという要望が多数出てきております。このあたりにこの分野での新しい競争促進の分野が残っているということではないかと思われます。

以上のように、ざっとでございますけれども、ごらんいただきましたように、電気通信分野で成果が上がっているわけでございますが、これを日本経済の活性化につなげるためにいろいろなことが残っていると考えられます。ごらんいただいたように、地域網などを中心に課題が残されている部分がありますが、これに取り組むということだけでなくて、企業や消費者、政府の行動を変えていくということで、それを妨げる要因を取り除いていったり、政策を推進するということが望まれるのではないかという状況にございます。

以上で電気通信分野のご説明を終わりますが、前回ご紹介いたしました物流と今回の電気通信の検討を踏まえまして、今後の構造改革についての考え方を少しまとめてみたいというのが、資料2-1の3ページ以下のところでございます。これに沿って順次ご説明いたします。

まず、構造改革推進の基本的な考え方ということで言いますと、これまでの高コスト構造是正あるいは活性化のためのいろいろな取り組みが一定の進展を見せ、成果も上がっておりますけれども、幅広い分野への波及が見られないという状況を認識してございます。これを踏まえますと、個別の分野の改革を進めるということとともに、問題を横断的にとらえて、システムの問題としてとらえていくようなアプローチが必要ではないかというふうに考えるところでございます。

したがいまして、今後の構造改革に当たって2つの視点で進めていくということではないかというふうに考えております。1つは、個別の分野を引き続き洗い出していくこと。遅れている分野もございますし、十分着手してこなかったというものもございます。こういったようなところで洗い出しをしていくこと。

また、中には市場の多くが競争状態になっているわけですけれども、幾つかのポイントのところで十分な競争が見られていないといったようなことが、全体の効果の発現を妨げるというようなこともあるのではないかと思われます。例えば、今回見ました物流分野でいきますと、物流の結節点となります港湾でありますとか空港にどうも問題が残っていそうでございますし、電気通信の分野では、接続料などを中心にしました接続ルールの見直し、あるいはCATVなど異分野を含めた地域網の間でのインフラ間競争というものがポイントになろうかと思います。

また、もう1つのほうの新しいアプローチでございますけれども、経済全体を活性化する観点ということで、個別業規制を見直すということによって、開かれた機会を産業横断的なシステム転換に結びつけていくということで、より横断的な視点での施策の展開が要るのではないかと思われます。これによって、経済のシステム的な転換を阻害している要因を明らかにして、それを改革していくというアプローチがあろうかと思います。

また、ちょっと戻る形になりますけれども、物流、電気通信分野について、今回の検討のサマリーというような形で、もう一度確認させていただきますが、物流については、各モード別に見ると、輸送力が上がっているとか、物的労働生産性が向上しているという改革の効果は出てきておりますが、物流全体についての抜本的な効率化をもたらすような、生産から販売までのトータルな物の流れ、これを1つのシステムととらえまして、全体としての抜本的な効率化を図るという動きが進んでいないという状況にございます。

その状況のあらわれとしては、商流や物流の抜本的な再編成が遅れているとか、パレット化ということは進んでいるんですが、その標準化が進んでいないとか、あるいはEDIといったようなものの標準化が進んでいないということがあります。また、共同化によって、こういうシステム的な効率化は図られるわけですが、こういった共同化の動きも遅れております。

電気通信分野につきましては、新規参入の増大、料金低下、サービス多様化ということで大きな成果が上がっておりますが、それが他の産業に波及して、新しい技術革新ですとか産業の創出をもたらすという状況ではございません。経済全体に情報化と電気通信分野での改革の成果が行き渡っていないという状況にございます。具体的には、企業の情報化投資が増えていない。それから、急成長してリードしていくソフトウエア産業が育っていない。電子商取引という新しい流通のシステムに情報化や電気通信の技術革新を取り入れていくという動きも遅れているという状況でございます。

ここでの問題点をもう一度とり直してみますと、5ページにございますが、物流の分野では、どうも縦割りの業界体質、あるいは民民規制がイノベーションを阻害しているのではないか。企業が継続取引を行っておりますけれども、こういったものがサプライチェーンマネジメントとぶつかる、あるいは物流拠点の集約化の障害要因になっているのではないか。企業の文化の面でも閉鎖性が見られて、それが企業間の情報共有を阻害していそうであるということ。また、雇用面での長期雇用の慣行でありますとか、企業内の組織のあり方が、全体を再編成していくのに不可欠なアウトソーシングを阻害しているのではないかといったようなことが考えられます。

電気通信分野におきましては、個別個別の企業が情報システムをつくっていくといったような形で、それが標準化を阻害するということがあろうかと思います。これも裏腹でございますけれども、業務の標準化が遅れているということがあるということで、そのことが企業間の情報共有や共同化を阻害して、結果としてアウトソーシングが見られない。職場や学校での情報化が遅れているということが、家庭へのパソコンやインターネットの普及が遅れる要因、ひいては電子商取引が出てこない。行政の情報化が遅れていることが、企業や消費者の情報技術を使うということに対してのインセンティブを阻害しているのではないか。人材あるいは資金調達の面で制約がいろいろあって、この分野を引っ張るようなR&Dに集中したような企業がなかなか出てきていないということがあるというふうに言えます。

これを経済システムという観点で整理しますと、個人面では、ホワイトカラー職の専門性が低いとか、労働者の企業依存意識があったり、企業の分野でも、企業間の取引が非常に固定的であったり、企業内の組織が硬直的であったり、意思決定におけるリーダーシップが不足しているとか、市場の構造におきましても、縦割りの業界団体や民民規制が影響している、あるいは固定的な雇用制度が労働などの移動を阻害しているということがあるのではないかということでございます。

こういったことを踏まえて、新しいアプローチでどんなことをやろうかというのが、6ページに整理をしてございますけれども、まず、規制緩和などによります構造改革のプラスの効果がどういう経路をたどって出てくるかということを考えますと、効率化によってコストが下がる、それによって価格メカニズムを通じて新しい需要が喚起されるということが1つございます。また他面で、効率化が進めば労働や資本、土地といったようなものの効率的な利用が進むということで、余剰となったこれらの生産要素が他の分野に移転していくということがございます。

この2つの経路をたどってプラスの効果が出てくると考えるわけでありますけれども、この波及メカニズムをどこかで妨げる要因があるのではないか、そしてそのことが結果として、収益低下や失業の発生というマイナス面ばかりが出てくるといったようなことにつながる可能性があるのではないか。そして、こういった阻害要因としては、当該分野の規制だけではなくて、企業や消費者、あるいは労働者の行動を制約するような経済システム面での要因が非常に大きいのではないかと考えられます。

ということで、事例として物流と電気通信を取り上げましたけれども、個別的な規制を直していくということが産業横断的なシステム転換に結びついていくためには、個別分野の改革も必要でございますけれども、これまで個人、企業、市場のあり方を規定してきたシステムを変えていくということが必要ではないかということでございます。これまでも、先ほどご紹介した経済主体の役割という観点から、いろいろな指摘がなされてきているわけですけれども、このあたりで、個別の規制緩和を具体的な経済の活性化につなげるということで、具体性をもって取り上げるといったようなことが必要ではないかと考えられます。

また、この分野につきましては、個人や民間企業が自主的に取り組むということになるわけでございますけれども、政府がこうした個人や企業の行動を変えていくというときの環境を積極的に整備していくことが必要ではないかということで、政策的な取り組みの分野としては、例えばこんなものがあるのではないかということでございますが、先ほど見たホワイトカラー職の専門性が十分ではないとか、労働者の意識を変える必要があるといったようなことについては、例えばスペシャリストの育成に資する資格制度、職能の専門化を進めるという意味におきまして、職能の方たちの自主的な団体による取り組みをバックアップするということがあると思いますし、高等教育におきましても、職業コースなどを充実させることがプロフェッショナル化に役立つのではないかと思われます。

また、企業におきましては、物流、電気通信両方で、その利用をやっておりますのは、購買という部門になるわけでございますけれども、企業間の取引を効率化するのに、購買部門の強化をする必要があるのではないか、あるいはそういったものを通じて企業内の組織の変革、あるいはそういったものをリードするリーダーシップが必要ではないかと思われます。この観点でも、コーポレートガバナンスの変化に対応した法整備ということがこれを押し上げることにならないかと考えております。

また、透明で公正な市場をつくっていくということ、それから、その市場を通じて産業の新陳代謝がうまく進むというメカニズムをつくっていくということを考えますと、独禁法の問題、業種団体の問題がありますけれども、業種団体も、そういうものではなくて、問題領域ごとに構成された業種横断的な団体のほうをより重視していくということが政府の側からあるのではないかと思います。

また、リスクマネーの供給ということを中心に、新しい企業が出てくる環境を整備するということもありますし、逆に新陳代謝ということについて言えば、倒産法制が求められる。あるいは職業紹介ですとか労働派遣といったようなことを通じて、労働が動くことが必要になる。行政の情報化を一層進めるとか、電子商取引に関連した環境を整備するということで、これはまだ、やや具体的でない部分がございますが、大体こういった問題領域に沿って考えたらいかがかと。今後の政策の具体化を進める領域としてはこんなところではないかというふうに考えているところでございます。

私のほうからの説明は以上でございます。

(座長)どうもありがとうございました。

それでは、ただいまかなり詳細にわたりまして、物流・電気通信分野でのフォローアップ、それからそれを踏まえての今後の構造改革の一層の推進に向けてということで、基本的な考え方、新しいアプローチということでご説明があったわけでありますが、これにつきましてご自由にご意見を伺いたいと思います。

(A委員)たくさんあるので、どこから言っていいかわからないんですけれども、気がついたところから申し上げますと、最後の「新しいアプローチによる具体的施策」というところで、個人のホワイトカラー職の専門性の向上というのは、どこまでこの専門性を考えているかということを疑問に思いました。

つまり、スペシャリストの育成について、資格制度をもっと設けたほうがいいんじゃないかということですけれども、資格というのは何で必要なのかというと、恐らく労働者の能力に関して著しく情報の非対称性があるときに、その資格というものが取引コストを下げるという効果があると思うんですけれども、その反面、資格があることによって参入を妨げるというコストもあるわけですね。

だから、具体的にホワイトカラーの企業内でのいろんな問題が、その人はどういう能力を持っているかわからないんだと、だから活用できないんだという問題が現実にあるとすれば、資格制度も有効かもしれませんけれども、もしそういうことでないならば、いたずらに資格を設けると、かえって参入を阻害することになるんじゃないか。つまり、規制緩和という点からいくと逆行するという印象を僕は持っているんです。それが1つです。

それから、最初の電気通信とかそのあたりの話は、統計をいろいろ使っていらして、多分ここに出ている限りではそのとおりだと思うんですけれども、私は統計の不備というのがあると思うんです。

どこにあるかというと、情報化投資に関して言えば、最近こういうことについて調査がされたばかりであるということで、市場化されているということももちろんありますけれども、企業内で既に行われている情報化とか、研究開発もそうですけれども、そういうものは実際に全部企業の中で行われるので、マーケットに出てこないので、結果的には統計を用いて企業に聞いて調べるということになると思うんですけれども、その点については、正しい情報公開がされているかどうかというのは、私は非常に疑問に思っています。

特に、大体こういう数字を比較すると、アメリカより小さく出るんですけれども、研究開発投資についても、金額は大きいということですが、これもどの統計を使って出したのかなと思いますが、日本の場合だと、総務庁の科学技術研究調査報告というのがあって、それを使うんですけれども、それは非常に過小評価だという議論もある。

ですから、ここで公開されているデータに基づく限りはいいと思うんですが、国際比較する際には、統計の調査がどの程度、同じベースに乗ってされているかということを見ないと、日本の数字というのは過小評価されてしまうというおそれがあると思います。

電気通信業の高コスト構造に関しては、大体出ている結果は納得できるんですけれども、NTTの地域通信に関しては、効率性指標なんかで見てもかなり低いということが出てくるんですね。それは既に計算されている例もあるので、そういうものを引用されると、客観的な裏づけとして得られるんじゃないかと思います。

それから、電気通信分野の効率化に関して、どうしても新規参入のときに接続料金の問題というのが入ってくるので、その問題が解決されないと、既存のネットワークを使った新しいサービスということに関しては、なかなか発展しないのではないかということがあります。これはここに書かれていること、そのとおりだと思います。

あと、コンピュータの普及に関しても、いろいろなご意見があると思いますけれども、私も、言われていることの一部はそのとおりだと思います。特にサービス業、コンピュータというのは、実際に何か物をつくるわけではないので、サービスを、今までやっていたものをコンピュータに置き換えるということになると思うんですけれども、その際に、システムが置き換え可能になっているかどうかというのは結構重要で、その点が、ここでも書かれているような一般化とか標準化ということと関連していると思うんです。

そういう形で、一般化、標準化ということが、コンピュータに近づいていくという面もありますし、コンピュータそのものがいろんなメディアに対応して、例えばインターフェースについても、今まで全部キーボードから打っていたものが、スキャナを通して取り込めるとか、音声で入れられるとか、手で書いたものがそのまま読めるとか、そういう形にだんだん変わってきているので、この辺は、すべてがコンピュータに合わせていくという状況もありますけれども、コンピュータのほうが日常のいろんな業務に合っていくという面もあると思うんです。

ただ、家庭に関して言えば非常に難しくて、もちろんコストの問題がありますから、高度な機械を全部を入れることはできません。だから、家庭の場合は、家庭の中のさまざまな仕事といいますか、そういうものが標準化されていないと、なかなかコンピュータは普及しないだろうと。例えばお料理なんかでも、アメリカ等の外国では、昔からレシピみたいなものが一般に使われていて、それは非常に電子化しやすいものなんですけれども、日本のような形で、調味料を入れながら味見していくとか、そういう形でいくと、なかなかコンピュータ化されにくいわけで、そういうような要素も家庭にコンピュータが普及しにくい1つの理由なのかなと。それがすべてとは思いませんけれども。

ほかにもいろいろ思ったんですけれども、今のところ考えつくことは以上です。また後で申し上げます。

(座長)どうもありがとうございました。

今、A委員のご指摘の中で、特に統計の数字の国際的な信憑性――信憑性と言うとおかしいですが、同じような基準かどうかという点について、何か事務局のほうからご説明ありますか。

(事務局)国際比較しているものは、OECDが一定の標準ですり合わせて評価するようなものをなるべく拾うようにはしているんですけれども、もともとのそれぞれの国でとれるデータが、新しい分野なもので、なかなか限られているというのが現状で、我々もいろいろデータを拾ってみたんですけれども、この分野については、ご指摘のように、世界中でうまくそろえられるという部分については、多くはないということで、OECDである程度、横に国割りで拾えるようなものは、ここに上がっているものの範囲ぐらいではないかと思います。あとは、個別のリサーチ企業が日米を比較したとか、単純にあのデータとこのデータを拾ってきたというのは、どうしてもしようがない場合だけ拾っているという形になっております。

(座長)研究開発投資なんかもOECDを基準にしているんですか。これは我々のほうでやるとき、いつも日米比較するときに問題になるんですけどね。

(事務局)これは、OECDが企業の公表しているデータのほうから拾ってきたもので、トップ100をとっていると思います。ただ、会計基準そのものが国によって違う場合があります。

(座長)そこなんだよね。

(事務局)ええ。そこが国によって違う場合に、影響を受けるということはありえます。

(座長)必ずしも国際会計基準として統一されていませんからね。

(事務局)ええ。ただ、ここに上がっているような企業の場合、相当国際標準に合っているようなところがほとんどだと思うんです。ただ、日本の場合に、海外で上場していないとか、いろんな制約で、ここにうまく拾われてこなかった企業があるかもしれません。そこは我々としては、今の時点でフォローできるまでのデータのベースを持っておりません。

(座長)最大限の努力をしていただいてこういう数字が出たと、そういうことですね。

B委員、何かございますか。

(B委員)初めて聞いたお話で、余りよくわかっていないところもありますが、率直な印象を幾つか申しますと、まずこちらで上がっている統計の数字が、日米のギャップということを念頭に置いていて、さらに言えば、早くアメリカ並みにならなければならないという話だと思うんですけれども、アメリカ並みになるということを目標にしていいかという気がいたします。アメリカ並みになることを目標にして、2~3年後に追いついたといたしますと、アメリカは多分、その時点でもっと先に行っていて、所期の目標は達せないのではないか。

そこで、例えば電話料金などに関しまして、一体電話料金は幾らであればいいのかということをまず考えるべきではないか。極端な話、これはただでもいいのではないか。アメリカでもやっぱり料金は取っておりますけれども、こういう産業を普及させようと思えば、電話料金は安ければ安いほどいいのではないでしょうか。

そこで、我が国の場合、一体何年後に幾らぐらいの電話料金が一番いいのかというふうな、アメリカを基準にするということとは別にして、何か戦略的なアプローチがありますと話がはっきりしてくるのかなと、このようなことを1つ考えました。

それから、さまざまな分野で日本ではうまくいっておりませんで、我が国の産業が十分育っていないということはよくわかったんですが、これを政策にしていくときには、具体的にこういう規制、ああいう規制、こういう業界内の申し合わせが参入を阻害しているのではないかと、その具体的なベースに落としていかなければならないのではないか。そうすると他省庁との関係が出てきまして、それはこういう省庁のこういう通達によるんだとか何とか、話がすごくややこしくなってくるんですが、結局詰まるところはそこなのかなと思います。きょうのお話では、まだその手前の話なので、今後どういうややこしいことが起こるのかということが、ちょっとまだ私にはイメージできませんでした。

以上2つです。

(座長)片方で政府のほうで規制緩和の小委員会が、これは1つ1つの案件を全部やっているということで、こちらは経済審議会の立場で、あるべき姿ということで出したということで、両者の間で若干の見解の相違もあったり、アプローチの違いといいますか、分析手法の違いといいますか。

ただ、おっしゃるとおり、ここで挙げられている問題点というのは、これだけでいいのかということと、挙げていったらきりがないという話でございますので、その辺の問題はこれからの問題として、といって具体的なシステムの問題ですから、他省庁に全部またがる問題を取り上げてやっていかないと、どうにもならないということで、ご指摘の点はこれからも十分考えながらやっていきたいと思っております。

C委員、いかがですか。

(C委員)私も、今、B委員のお話を聞いて、まさに同じような感想でして、日米比較ということは、アメリカを目指すということだけで議論するのは、ちょっと危険というか、私の感覚に合わないということを思いました。

例えば、アメリカでなぜこんなに情報化が進んでいるかと言えば、国土の広さが日本と全然違っていて、その必然性に迫られて、例えばサイバービジネスのようなものとかも出てきていて、日本には余り必要性がないという面もあるのではないか。人口密度と情報化の関係というのも1つあるのかなというふうに感じました。

あと、これもB委員がおっしゃったことですけれども、価格の問題について、情報化投資が進まない、例えばコンピュータが家庭で普及しないということについて、日本とアメリカでコンピュータの価格がどう違うのか、私は全然知識がないんですけれども、その辺に問題があるのかもしれません。もしも情報化を進めるという方向が固まっていれば、B委員がおっしゃったように、情報化のお金はただになるような政策というのも1つあり得るのではないかと私も感じております。

例えば学校教育にコンピュータが普及していないということを問題にするのであれば、学校のコンピュータの費用はだれが負担するのかということについて、どう考えたらいいのかなということをちょっと思いました。インターネットを普及させれば、その通信費も学校にかかってくるわけで、公教育の中でその費用を負担していくという方向なのか。今現在どうやってパソコンを普及させているのか、私も実態を知らないで申しわけないんですが、情報化するに当たっての価格の問題も少し気になったところです。

私はこの分野は余りよくわからないんですが、教育のところで情報化を進めるという、教育機関での情報化の話が出てきたかと思うんですが、企業で情報化投資をするというのは、効率化して業務の時間が短くできるなどというイメージがあるんですが、学校教育にインターネットを接続する、コンピュータを導入するということは、教育において何を目的にしているのかというのがよくわからなかったんですが、例えば知識をどんどん効率的に吸収できるようにするということが、必ずしも子どもの教育にとっていいことなのかということについては、議論のあるところという気もしておりますし、むしろ効率化ということであれば、先生の間の情報交換ですとか、企業がやっているような情報化のベースで、教育機関の運営とか経営なりに役立てていく方向のほうにむしろ力を入れるべきなのか、その辺のところをお考えを伺えればという感じを持っております。

(座長)どうもありがとうございました。

D委員、何かありますか。

(D委員)私も何点かあるわけですけれども、まず電気通信分野について言えば2点ほどあるわけでして、1つは、本当に規制緩和が進んでいるのかどうかという点で、効率と公平という点がまず1点です。

それはどういうことかといいますと、NTTに対して地域系の電電として入ってきた東京通信ネットワークですか、TTNetですね。これが入ってきて、価格の市内電話料金の引き下げ競争が始まったわけですけれども、それに対してNTTが、より安い市内電話料金を関東地区に入れようとしたときに、たしか郵政省のほうは、全国一律でないと認可をしないというようなことをして、全国一律で割り引くならオーケーというような料金認可を出したはずなんですね。

これはどういうことかといいますと、要するに規制緩和が進んでくると、低コストになる部分と高コストでしか供給ができない部分に分かれてくるわけでして、どうしても地域格差が避けられないことになる。その地域格差というものを、効率性の観点から言えば認めてしまって、ある地域では安い電話料金だけれども、ある地域では高い電話料金と、そういうことを認めなきゃいけないんだけれども、逆に公平とか、あるいは情報アクセスは国民一人一人平等でなくてはいけないと、そういう観点からすると、全国一律でなくては困るということで、効率と公平のトレードオフをどこで釣り合いをとるかということを少し議論したほうがよいのではないかという気がします。

それから、電気通信のもう1点は、陰の規制として、施工とか工事に関する規制がかなりあるのではないかという点です。本来、規制というのは、安全とかそういうことに関するものであれば、規制をかけて、低コストであっても危険な施工はしてはいけないというのはあるんでしょうけれども、それは建築基準法とかがそうなんでしょうけれども、こと電話のことで言えば、別に電話が通じなくたって、それは、そういう悪い業者を選んだ消費者が悪いだけでありまして、業者を選ぶ目さえあれば、別に、電話工事をすることに関して、工事の担当者に規制をする必要は何もないのではないかという気がいたします。そういう点で、電話というような便益を享受するものに対して、工事の規制をしなければいけないのかどうかという点があります。

それから、ソフトウエア関係の話ですけれども、ここではコストダウンのことが主要な命題として挙げられているわけですけれども、1つ落ちていると思われますのが、ディファクトスタンダードみたいなものを1社が提供するような状況になって、その会社しかその製品をつくれないということになると、今度は逆に、シェアが広がることをいいことに値上げをしてくるのではないかという点ですね。規制緩和をしても、非常に寡占状態になって、今のマイクロソフトみたいに、ウインドウズを支配してしまうような状況になってしまうと、逆に独占禁止政策が必要なのではないかという点があります。それで、ソフトウエア産業の議論をするときには、独占禁止という点が要るのではないかという気がします。

それから、2ページ目の背景の点なんですけれども、家庭へ情報化の浸透が遅れているというのは、家の中で情報を処理する必要のある、必要性というわけですか、家の中で情報を処理する必要性が余り、現在の日本の家庭にはないような気がします。それは、アメリカのように、預金ではなくて投資信託であるとか株式を直接保有していれば、ポートフォリオの管理は必要ですし、税の申告も全部自分でやるということですと、請求書とか領収書を全部とっておいて、それを管理しておかなくちゃいけないと、そういうものを日本はやっていなくて、預金とか源泉徴収で済ませているわけですから、そこのところで日本の家庭にそれほど情報を処理するニーズがないという気もいたします。

それから、最後なんですけれども、電気通信サービス、特にインターネット等ですか、それが普及しないというのは、確かに通信業者の点もあるとは思うんですが、もう1つ、情報を独占している人がだれかいるのではないかという気がします。

情報の独占者がいると、幾らインフラを整備しても、うまく低コストにならないという点はあるかと思います。

以上であります。

(座長)どうもありがとうございました。

まだいろいろご意見があろうかと思いますけれども、時間の関係もございますので、十分時間はあると冒頭申し上げましたが、やはり足りなくなるという状況でございます。

次の議題であります、今のC委員のご意見にも関係してまいりますけれども、「教育分野の構造改革」に移らせていただきたいと思います。

本議題につきましても事務局からご説明をいただきます。お願いいたします。

(事務局)お手元に、資料3-1「教育分野の構造改革」と資料3-2の図表編というのがございます。それを使いましてご説明させていただきたいと思います。

最初に、資料3-1「教育分野の構造改革」でございますが、まず最初に構成だけ申し上げておきますと、一番最初に「基本的考え方」を述べてあります。下のほうにありますが、「高等教育の現状と問題点」というのを述べまして、4ページ目に「具体的提言」という3章立てになっております。

最初に「基本的考え方」でございますけれども、そこにございますように、教育に関する各種審議会等で、今、いろいろ検討・提言がなされておるわけですけれども、現在の教育システムは、時代に合った人材育成に成功していないとの指摘が多いということでございます。

「すなわち」ということで、そこでまとめてありますけれども、学校の設置、運営を初めといたしまして、現在の教育システムには様々な規制が存在し、我が国を取り巻く大きな潮流の変化に対応した人材像が多様化する中で、そうしたニーズを的確にくみ取りまして、社会が求める多様な教育を実施するという観点から見ますと、現在の教育システムが十分適合できていないのではないかというふうに考えられるということでございます。

その少し下のところにありますが、「このため」でございますが、教育を「サービス」としてとらえ直しまして、教育サービスの供給者たる学校の側に競争原理を導入することにより、社会の人材需要の変化に柔軟に対応しつつ、効率的な教育を可能にする、そういった教育システムの検討を行いたいということでございます。

こうした構造改革は、そこにありますように、経済社会のニーズにより直接的かつ迅速に応えていく必要がある高等教育から進めていくことが効果的ではないかということでございます。これが基本的な考え方でございます。

次に、高等教育の現状と問題点を少し整理しております。一番最初でございますが、まず「多様な教育サービス供給を阻害する規制等の存在」ということでございます。

【1】でありますが、設置者に関する規制、これもご案内だと思いますが、現在は、設置者は国、地方公共団体、学校法人に限定されておりまして、営利企業等の参入は認められておりません。ちなみに資料3-2の図表編をごらんいただきたいと思いますけれども、営利企業が参入するための間接的なやり方でございますが、そこに大学名が書いてございますけれども、例えば、一番下にダイエーというふうに企業名がありますが、こういった企業が関連をもって大学に参入しようとすると、そこにあります学校法人を別途設立の上、大学をつくるという例はございます。

資料3-1に戻っていただきまして、2ページでございますけれども、大学の自主性・自律性確保に関する障害ということでございます。これも、大学の設置、廃止を中心といたしまして、さまざまな規制が存在するということでございます。特に、点が打ってあります2つ目でございますが、大学の設置基準は一部緩和されつつあるわけですけれども、依然として専任教員数であるとか、教員の資格であるとか、校地面積といったような様々な規制が現にあるということでございます。

3つ目のポツにありますけれども、さらに、現状はどうなっているかということですが、情報、社会福祉等の人材育成に係るものなど一定の例外を除き「抑制的に対応する」という方針が定められているということで、基本的な参入抑制が行われているということでございます。

それから、最近、大学の単位互換制度というものも導入されてきているわけで、これは図表編の2ページ目をごらんいただきたいと思います。単位互換制度を設ける大学は増えてきておるわけでございますけれども、これにも単位数の上限を30単位に限定するという規制がございます。

それから、【3】でございますが、学生・社会のニーズとのミスマッチが存在しているということで、上の規制等に伴って生じてきているミスマッチが中心でございますが、3つ目のポツのところにありますけれども、大学の授業に望むことでありますとか、カリキュラムについての要望というのが資料でございます。図表編をごらんいただきたいと思いますが、図表6でございますが、「カリキュラムについての要望」については、そこにございます「専門教育の充実」であるとか「資格取得や職業に役立つカリキュラム」「1、2年からもっと専門教育を受講」と、こういったものの割合が高くなっているということでございます。このように、最近、実学を重視する学生のニーズに大学が対応できていないのではないかというふうに考えられるわけでございます。

それから、一番下にありますが、最近、工学部の各学科の学生数は非常に硬直化しているという図表がございます。これは10ページ目をごらんいただきたいと思います。実は本日急にご欠席になってしまったE委員が、この分野を今、詳細な統計等を使ってご研究されているということで、本日、この表等を使いましてプレゼンテーションいただく予定でしたが、ご欠席ということで、私がかわりにご説明いたしますと、特に、日本の国公立を中心にいたしまして、大学の学科レベルに落としてみても、学生数は非常に硬直的だということで、10ページ目は、一番大まかな数字でございますけれども、1959年以来、動きが非常に少ないというようなことでございます。

それから、資料3-1に戻っていただきまして、大学院における社会人の再学習のニーズが高まっております。ところが、図表編の12ページをごらんいただきたいと思いますけれども、「大学院教育について感じること(社会人学生)」というところの中に、一番下のところにあります「仕事に支障なく授業・研究活動が行える」というものが少なくなって、逆に言えば、ここに関しての満足度が低いということでございまして、もちろん社会人の学生でありますから、時間的にもいろいろ制約があるわけですけれども、そういった中で、新たに大学院教育を受けるというところの問題点が指摘されておるところでございます。

なお書きで書いてありますけれども、現在の修士課程が1年以上2年未満の修業年限ということになっておりますが、もう少し弾力的にできないかというようなことを指摘しております。

それから、大きい2つ目でございますが、「効率的な大学経営の必要性」ということで、今後、少子化に伴いまして学生数が減少するということで、現在、私立大学でも授業料、入学検定料等に頼っているわけですけれども、今後はなかなか経営が難しくなってくるのではないかということが見込まれております。

それから、3番目に「不十分な大学の評価と情報公開」ということでございます。これにつきましては、現在、大学の自己評価等を行っている大学は9割近くに上っておるわけですけれども、いわゆる第三者評価というものを行っているものは少ないということでございます。

これにつきましては、図表編の17ページをごらんいただきたいと思います。増えてきていることは増えてきているわけですが、例えば「外部評価を実施」という白抜きのところで、私立大学であれば、平成9年10月現在が42校ということでございます。これは全体数431校のうち42校が行っているということでありまして、かつ、その評価結果を公表しているものが国公私立合わせて16校ということで、まだまだこの分野については少数にとどまっているのではないかということでございます。

また、情報公開に関しましても、もちろん様々なパンフレットをつくったり、様々な取り組みが行われているわけでございますけれども、一般的に言うと、十分なものにはなっていないという指摘が多くございます。

それで、(参考)のところに諸外国の状況をまとめておきましたので、簡単にご説明させていただきますと、米国では、基本的に大学の設置・運営は、参入のほうは緩いけれども、逆に、運営が行われている大学を常にチェックして、これは地域別及び専門別にクロスチェックして、大学の質を維持するというようなやり方をとっているということでございます。逆に言えば、日本は大学をつくるのは難しいけれども評価が甘いのではないかということでありますが、アメリカは、参入しようと思えばできるけれども、実際に本当の大学として運営していくことは、この評価機関によって、認められることはなかなか難しいということだろうと思います。

それから、2つ目のポツに書いてありますが、まだ1つでございますけれども、米国では営利企業が大学を運営する事例が出てきたということでございます。1つだと少ないというふうに思われるかもしれませんが、最近非常に伸びてきている大学でありまして、学生数も4万~5万人いるということで、アメリカ最大の私立大学のニューヨーク大学の学生数が3万5,000人と聞いておりますので、それよりも多い学生数を持っているということでございます。

それから、4ページに移らせていただきますと、前回、医療のところで、病院に最近ISOを導入しているというお話を申し上げましたけれども、欧米では大学も管理部門を中心としてISO9000を導入するというような事例が見られるところでございます。

最後に「具体的提言」ですが、そういった現状と問題点を踏まえて、政府が行わなければならない具体的な対応は何かということをまとめてございます。

最初は、自由な大学設置・運営のための規制緩和をしていこうということです。最初のポツにありますように、政府が将来的な市場ニーズをくみ取り、予測して、先見的に規制をしていくのは困難ではないかという指摘をしてございます。

2つ目のポツで、時代とともに変化する学生・社会の多様なニーズをくみ取るためには、政府が新たな大学の参入を抑制したり、大学の規模等を定めるなどの規制を緩和して、大学設置・廃止――廃止も含めて、その自由度を高めることにより、教育サービス供給者の側に競争原理を導入し、市場メカニズムにより対応することが適切ではないかということでございます。

3つ目でございますが、また、大学設置のみならず、先ほど申しました学部・学科設立の手続でありますとか、専任教員数、それから収容定員数、こういったことについても簡素化、弾力化を図る必要があるのではないかということでございます。

さらに、今後、ニーズの高まりが見込まれます社会人の大学院生に対しましても、例えば修業年限等につきましていろんな弾力化ができないかということを提言してございます。それが1つ目でございます。

付随してでございますけれども、そういう前提に立てば、今、大学に営利企業の参入を認めていないわけですが、これも必ずしも必要ではないのではないかということでございます。営利企業等にもやらせたらどうかということでございます。2つ目のポツにまいりますけれども、今後、大学経営も厳しくなっていくと思われますので、経営の効率化ということにも資するのではないかということを言っております。

それから3つ目が、単位の互換制度等の自由化・弾力化でございます。先ほど申しましたように、単位互換制度というのは、大学教育の効率化にも資するものというふうに考えられます。現在、国が一律的に単位の上限を定めているわけですけれども、自主的な判断によって単位数を設定できるようにしたらどうかということでございます。

「また」という、3つ目のところに書いてございますが、ちなみに、これから大学等も競争が非常に激しくなると、市場から退出する大学も出ると想定されますが、その場合でも、こういった互換制度などがあれば、学生を保護するという観点からも有効ではないかという指摘をしてございます。

それから、4番目でございますけれども、大学を客観的に評価するシステムの確立と情報公開ということでございます。今でもある程度の情報は出ているわけですけれども、もう少し教育内容や水準、教育計画、成績評価方法、それから財務状況等も含めて、積極的に公開していくための仕組みづくりが必要だということでございます。

それから、大学の評価につきましては、先般出されました大学審議会の答申でも、公的な第三者評価機関をつくるというふうになっておりますけれども、こういったものに加えまして、公開された情報を基に多様な主体、NGO、NPO、営利企業を含めまして、多面的に評価するシステムというのも必要ではないかということを指摘してございます。

それから、最後に5番目でございますが、長期的な目標としての公的補助のあり方の見直しということでございます。市場原理のもとで多様な教育サービスが効率的に供給されるためには、今の公的補助のあり方を見直して、国立、私立の大学、営利企業も含めまして、その大学の競争条件を同一にするために、現在の大学に対する「機関補助」から、奨学金等の学生個人や研究者への研究そのものに対する補助という、大づかみにして「個人補助」と言っていいんでしょうか、こういったものへシフトしていく必要があるのではないかということでございます。

以上でございます。

(座長)どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局の説明につきましてご意見をお伺いしたいと思います。どうぞご自由にお願いいたします。

(C委員)初めに、ちょっと感想めいたことなんですけれども、今、お話を伺っていると、大学設置基準はかなり緩和される方向にあるんですけれども、それをさらにもっと緩和しようという方向かと思うんですが、そうなってくると、そもそも大学というのは、何をもって大学と言うのかということがだんだんわからなくなってくるのではないでしょうか。今、教員資格などを通じてこういうものを大学と呼ぶということで、多分、文部省は規制しているかと思うんですが、それを緩和していくと、高等教育機関でいうと、短期大学ですとか、高等専門学校とか、専修学校とか、いろんな学校と大学の違いというのが、一体どういう形になっていくのかなというのが関心があるところで、アメリカは大学の設置・運営が非常に自由化されているということなんですが、ということは、「これを大学とします」といったものを全部認めてしまっているのか。それをまた質をチェックしていくということなんですが、その辺の、どういう基準が残るべきであって、また、大学とほかの高等教育機関との境目というのはどうなっていくのかなというのが、今後興味があるところです。

イギリスですと、いわゆるかたい大学と、実学系のポリテクニクとかを、二元システムを一元化するというような動きもあると聞いているんですけれども、日本の高等教育といった場合に、大学とその他の高等教育機関との関係についても、もし規制緩和という方向を考えるのであれば、少し見ていく必要があるかなというふうなことを思いました。

それから、今、文部省のほうは、大学の設置について抑制的に対応するということで、規制があるから参入できないという考え方がこの中で言われていたかと思うんですけれども、今、予備校の話なんかを見ていますと、ものすごく経営が苦しいという記事が結構出ていまして、大学も、私の恩師なんかの話を聞きますと、ものすごく困っているということで、これだけ少子化が進んでしまって入る人がいないところに、規制が全くなかったとして、新たに参入していくところはあるのかなということを、ちょっと素朴な疑問として感じました。公立学校なんかでも、規制があるからなのか、そもそも入っていこうというインセンティブというか関心がないからなのか、すべてを規制だけの問題にはできないのではないかという気が少ししております。

あとは、営利企業によって大学が運営されるということなんですが、これも先ほど申し上げた専門学校なんかには企業が参入していて、大学には参入していないという、そこの違いとの関連もあると思うんですが、1つ感じておりますのは、教育というのが、今、サービスととらえて教育を見ていこうということで、対生徒と大学側の関係だけで、そこに今回焦点を当てているということなんですけれども、教育というサービスの特徴としては、今満足か満足でないかということよりも、そこで教育を受けた人が、将来、社会にとってどう役立つかとか、かなり長期的な視野も必要で、そういった場合に、企業という、本来非営利と比べれば短期的な結果を求められるような組織が合うのかどうかというのは、少し考えるべき点かなということを感じています。

いろいろあったんですが、とりあえずそのくらいで。

(座長)どうもありがとうございました。

続きまして、どなたでも結構でございます。

それではB委員、どうぞ。

(B委員)大変に斬新で大胆なご提言をまとめられ、それは敬服いたします。その上でなお、もう少し踏み込んで考えていただきたいという点が幾つかありますので、私の立場からそれを申し述べます。

1つは、高等教育に係るコストの構造、これをだれがどのように負担すべきであるのかという原則にもう少し踏み込みませんと、大学の倒産等が出るというお話がありましたが、そのコストとパフォーマンスの関係が崩れたときに倒産になるわけですから、そこのところがはっきりしないのかなと。特に国立大学、地方公共団体がつくっている大学などについては、設置者と大学そのものというのは一応分かれておりますから、ある程度持ち出しになっていて、余りパフォーマンスがよくなくても、こんなものかと思って持続してしまうという場合があるわけです。これは大学の自己改革にも関係があるんですけれども、国立大学や何かは独立の法人資格を持っておりません。

そこで、例えば知的所有権を持つとか、研究をさらに社会に還元していくときに、企業と特定の関係を持とうというときに、非常に制約があるんですね。民事上の法人格のようなものがあれば、もう少し色々、現在の法律の枠組みの中で動けるんですけれども、そういうものが、大蔵省歳入官とかそういう人がいて、個別に契約を結んで、全部どうのこうのということになりますと、大変機動的でないということがありますので、1つの方法としては、大学それ自身を独立させて法人化するということが有益に働く可能性がある。その場合には、採算というものを考えなければならないので、そのコスト構造を考えて、一体どれだけを学生が負担し、どれだけを公的扶助の側面で補助しというふうなことをもう一回洗い直してみるということが必要になるかと思います。

それから、先ほどの、大学は何かという点でありますけれども、これはもはやというか、もともとですけれども、国が決めることではなくて、大学それ自身が、そして大学と社会の関係の中で決まっていくということではないかというふうに私は理解しております。

大学の起源で申しますと、最初に神学部ができまして、それから法学部ができまして、医学部ができました。これは、クローズドショップのようになっておりまして、神学部を卒業すると、神父、牧師のような聖職者になるわけです。独占的に供給されるわけです。法学部ですと、法律家なり弁護士なり、これも独自にクローズドショップになっていると。医師の場合もそうです。それが、自然科学、社会科学が出てくるようになりまして、さまざまな多くの学部ができ、新しく、大学がそちらが主流になったわけですが、これはクローズドショップではございませんで、その学識によって社会的に評価されるというものなわけです。

そういたしますと、自然科学、社会科学のどれが短期大学や専門学校で対応すべき技術の問題で、どれが研究開発や根本にかかわる大学が担当すべき問題かというのは、そのときそのときの科学技術の知識の構造、それから社会の需要によって決まっていくべき問題であるので、事前に固定的に考えることはできないのではないかと思います。

そこで、大学設置基準のようなもので決めるというよりも、これを大学の名前でつくってみて、社会的に評価されるかどうかやってみようと。評価されなければ、大学の卒業生よりは専門学校の卒業生をどんどん採っていったりするということになるわけですから、自然に調整できていくと、こういうことでよろしいのではないかと私は思っております。

それから、奨学金、研究費を配分するというのを主軸にして、大学のコストを支えていくほうがよいのではないかと思います。こうすると競争が働いて、大学間の自動的な調整が生まれ、大変結構だと思います。この場合、奨学金というのは、学生が負担すべきコストを初めに計算して、それを公的に補助するという考え方に立つと思いますので、先ほどのコスト計算が十分に必要になるかと思います。

それから、研究者への配分の場合、現在は文部省科学研究費というので配分しておるわけで、これが天井なしで、極端な増加を示しておるわけで、そのこと自身は悪くはないと思うんですが、これに研究費が一元的に配分されてしまっているという問題があります。そうではなくて、ある程度多元的に、さまざまな機関から配分されていくというほうが良いのではないか。今の制度では事実上、各学会のボスが取り仕切っているという面がどうしても出てきて、公正な競争にそぐわない面があると常々感じておりますので、研究費の配分に関するきちんとしたルールづくりもまた必要かなというふうに思います。

さらに、これは最後の1点ですが、大学の経営をコスト意識に基づいて合理的なものにするためには、教員の移動の自由、また学生の選択や移動の自由ということが十分に実現される必要があります。ところが、ご承知のように現在、教員の移動の自由というのは極めて制限されております。

そこで、いろいろな方法がありますが、例えば大学の教員に関しても、派遣というメカニズムを考えてもよいかもしれない。国立大学などで、例えば至近距離にたくさんの国立大学があるのに、A大学に就職すると、B大学、C大学とは無関係になってしまう。大変なむだです。例えば語学とか一般教育とか、物理、科学のような非常に基本的なものは、どこでも需要に応じて出張して講義していればよろしいのであって、評判がよければ次々注文があるでしょうし、教え方が下手だとか、学力が足りないとかということになれば、注文が来ない。こういう競争は当然あってしかるべきだと思うし、そういうふうな形で流動性を側面からサポートしていくというのも、1つの方法ではないか。

これは1つの提案ですが、何とかして教員の流動性を確保しないと、一旦就職してしまうと、論文を5年も10年も書かず、そして給料だけは公務員の等級によって上がっていくわけですが、これを何とか解決していただきたいと思います。

(座長)どうもありがとうございました。B委員、現場からの率直ないろいろなご提言、ありがとうございました。

たまたま一昨日、有馬文部大臣が、科学技術会議で私も一緒だったんですけれども、そのときにちょうど、今話題になっております名古屋大学医学部の教授の汚職事件がありまして、あれは結局、国立大学の場合は、文部省へ全部一括してやって、そこから研究費として配分すれば、幾らいっても全く問題はないと、こういうことのようですね。直接研究室へいってしまうと、ディスクロージャーもされないし、わけがわからないと、それで違反だと、こういうお話で、かつて15~16年前は、冠講座というのがまだだめでして、僕のところで、東大の法学部に証券取引法講座を冠講座でやろうといったら、文部省がだめだというわけですね。金は全部もらうけれども、それはだめだという話になってしまって、やっと15年ぐらい前に、そういうのが全部オープンになって、できるようになっているんです。

ただ、研究室へ直接というのは、これも、今のお話のように非常に制約があって、文部省を一度経由しないとだめだといことです。産学共同というような立場からも、この問題は非常に重要な問題ではないかなというのが、つい一昨日、そんな話を有馬文部大臣としておりましたので、ご披露しておきます。

A委員いかがですか。

(A委員)いろいろ参考になりましたけれども、これは教育分野ということなので、大学というのは研究と教育と両方役割があるわけですね。ここでは教育ということについての構造改革と。そうだとすると、教育する側の立場として、いい教育をすることが何かインセンティブにつながると。つまり、学生にとっても授業に出るインセンティブがあると同時に、教員側にとっても授業するインセンティブがあるわけで、私など周りを見ていても、いい授業をするというインセンティブが働いていないように思うんです。ほかの学部とか、文化系、理科系では違うと思うんですけれども、学生の要望等もここにありましたけれども、いい授業をしようという、先生にそういうインセンティブを与えるようなメカニズムがあれば、もう少し教育的な効果は上がるのではないか。

身近な例でいえば、いい授業をするということは、例えば熱心に教えるということになると、演習をやらせる、レポートを出させるというような形でいくと、学生が来ない。そうすると、先生はどういうインセンティブで授業をやることになるかというと、自分の書いた教科書を買わせる。そうすると、授業内容を易しくして、自分の書いた教科書からテストを出す。その教科書は毎年少しずつ改訂をして、常に新しいものを買わなければいけないというようなことにもなりかねない。実際になっている場合もあるんですけれども、そうすると、そういう授業は本さえ買えばいい、授業には出ないというようなことにもなってしまうんです。

これはいろんな問題があってそういうことになっていると思うんですけれども、少なくともいい授業をすることによって、その先生が経済的にインセンティブが働くかどうかわかりませんけれども、何かやろうという気を起こさせるようなメカニズムが必要なのではないかという気が私はします。

この統計を見ると、学生にいろいろインタビューしている結果がどこまで信用できるかと僕は思うんです。例えば大学に対する満足度という4ページの図を見ても、「どちらとも言えない」という回答が、ほとんどのケースで一番多い。要するに授業に出ていないんですね。だからわからないと思うんです。だから、この結果をもって、学生のニーズに応えるべきだというような議論の持っていき方というのは、どういう人を対象に調査したかわからないんですが、例えば大学の授業に望むことで、「わかりやすい授業」というのは非常に抽象的であるし、「役立つ内容の授業」というのも非常に抽象的で、恐らく、わかりにくいよりはわかりやすいほうがいいに決まっているわけで、役に立たないより役に立つほうがいいに決まっているわけですから、こういう調査はほとんど役に立たないと思います。

いろいろ背景が、大学の組織改革とか、そういうことだけで全てがよくなるとは必ずしも思いませんけれども、基本的にここに書かれていることは必要だと思います。

以上、僕の感想です。

(座長)どうもありがとうございました。

D委員、どうぞ。

(D委員)先ほど長かったもので、1点だけですけれども、コストの比較という点で言いますと、日本の大学とアメリカの大学で、本当に日本の大学のほうがコストが高いんだろうかという気がしているんです。というのは、授業料で比べますと、日本の私大の文系などは1年間100万円弱程度ですね。ですけれども、アメリカの私大の文系でトップクラスの学校になりますと、1年に3万ドルという線もあるわけです。そうすると、単に授業料比較だけをやると、アメリカのほうがむしろ高額の授業料を取っているということになります。アメリカのほうは奨学金なり、あるいは個人で教育ローンを組んだりして資金調達してやっているという状況だと思うんです。

そうすると、日本の家計で、どこで教育費の負担がきつい、教育のコストが高いなと思われているかというと、実は大学の費用ではなくて、大学に入るまでの受験教育の準備費用に非常に多額の金が投入されているのではないかという気はするんです。

ここに書いてあるような大学に関する規制緩和をやって、大学の定員が増えるということになると、実は大学の授業料が下がるという効果が重要なのではなくて、むしろ受験のときに過度の競争をすることで、予備校とかに落とす費用が非常に削減されることが重要だと思います。それで家計の教育費が減っていくという形で、うまくコスト減になるのではないかという気はするんです。それで、大学の費用と便益ということだけではなくて、大学に入るための前段階の費用も全部カウントしておかないと、計算としてはまずいのかなというのが私の意見です。

(座長)今の問いに対して何かありますか。

(事務局)どうもありがとうございました。わかる範囲でお答えさせていただきます。

最初にC委員からのご指摘、本当に大ざっぱに申し上げますと、アメリカでは大学と言われているものが1万3,000ぐらいあるらしいんですが、先ほど申し上げましたように、評価機関で、いわゆる学士という資格を卒業者に与えることを認められる機関は、そのうち3,000程度しかないということです。つまり、名前は大学として使っているんですけれども、本当の学位を与えられる大学は3,000程度ということで、そこは評価機関によって選別が行われているというふうに聞いております。

先ほど申し上げましたフェニックス大学というのが営利企業で入っているわけですけれども、これも認定を受けることによって学位を与えられる大学になったということです。逆に言えば、資格をもらえるような大学になったから人気が出て、学生が集まったということがあるわけです。現に他の、例えばモトローラ大学とか、大企業がいろいろな大学もつくっているらしいんですが、それはあることはあるんですが、いわゆる大学卒業の資格をもらえない大学だということでございます。

では、フェニックス大学はこれから永久にいいかというと、4万人も入れてしまいますと質がどんどん落ちてくる、先生も悪くなってくる。そうすると、例えば来年、大学としての認定を受けられなくなるという可能性もあるわけで、非常に厳しい状況で、常に質は維持していかなければいけないというような状況があると、ヒアリングした結果でございますが、聞いております。

それから2点目、大学は今、経営が非常に厳しいのではないかと、おっしゃるとおりだと思いますが、これも若干ヒアリングをしたんですが、やや断定的に申し上げますと、旧態依然としてやっているようなところは確かに厳しいんですが、何か新しい分野で新しい学科をつくりたい、学部をつくりたいというニーズはあって、そういうことをやりたいという人への規制が非常に厳しいということであります。

だから、何か新しいことをやって人を集めようというニーズはまだあるので、こういう厳しい状況でも、新しいニーズをつかんで参入したいという希望はかなりあるのではないかと理解しております。むしろ、そういう新しいものが入ってくると、旧態依然としてやっているような大学は困るというのは、もちろんあるかと思いますが、そういう参入が全くないのではないかというのは、周辺を聞いてみますと、例えば新しい学科をつくりたいときに、まさに学生を集めるためにいろいろ学科をつくりたいというのは非常にあるんですが、現実問題として、先ほど申し上げましたように、教員も新しいことをやろうとすると、その教員がなかなかいないわけです。かつてどういう学科に属していたとか、学会も旧態依然とした学会ですから、そういうのをみんな文部省に出さなきゃいけないということで、現実にはまた旧態依然とした学部ができるというような形になっているのではないかというふうに理解しております。

それから、あと1点、事実関係ですが、専門学校に営利企業はまだ参入できないということで、日本では「学校」という名前がついところでは、各種学校も含めまして、まだ営利企業は参入できないという状況であります。

あと、C委員が教育サービスの特徴ということをおっしゃいまして、C委員は義務教育のところを専門でおやりになっていると思いますが、我々もそこら辺の義務教育の特殊性というのも理解しておりまして、この報告書では高等教育を中心に扱っているということでございます。

それから、B委員のコスト構造のところは非常に重要なご指摘でございまして、我々も勉強していきたいと思います。

ちなみに数字だけもう一回確認のために申し上げますと、図表編の13ページをごらんいただきたいと思いますが、国立大学と私立大学の収支、歳入の内訳を載せてございます。一番左側が授業料、入学検定料等、これは100%の中の割合ですが、国立大学12.9%に対して私立大学52.3%ということで、私立大学は授業料、入学検定料等が多いという状況です。逆に、一番右側でございますが、白塗りのところは補助金ということで、国立大学は58.9%で、私立大学は8.1%と、こういうような構造になっておりまして、最後に、長期的なイコールフッティングというのはこういうところから出てきているのかなと考えております。B委員のご指摘についてはまた検討させていただきたいと思います。

それから、A委員のインセンティブのご指摘ですが、これも、いい提案があれば、またぜひ教えていただきたいんですが、本日ご欠席ですが、E委員がおっしゃっているのは、ここでいいのかどうかわかりませんが、例えば国立大学の先生でも給料に格差をつけたらどうかと。つまり、今のシステムでは、先ほど年功序列の話がございましたが、教員にいい人を呼ぼうとしても、給料を高くして呼ぶことができないという現状があって、本を売るだけではなくて、給料を高くして呼ぶという制度が本当は必要なんじゃないかと。きょうはご欠席ですが、そういう話をするというようなことがありました。

それからあと、D委員のご指摘、これも本当はE委員に指摘していただきたかったんですが、現在のこういう規制による矛盾が、おっしゃるように予備校とか、いわゆる大学の中での競争以外のところの負担になっているというのは、まさにそのとおりで、そこはこういう規制緩和が進めば、恐らくそっちも直っていくのではないかというご指摘だったと思います。

以上でございます。

(座長)どうもありがとうございました。

ほかにいかがですか。まだ時間はございます。

例えば予備校というのはこのデータにありましたか。予備校というのは何人ぐらい在学生がいるんですか。それはやっていないんですね。

(事務局)ちなみに、教育サービスマトリクスというのがあるんですが、学校の中の一番下に各種学校というのがございまして、例えば予備校の中でも大手の、そこにある駿台予備校とか河合塾とか代々木ゼミナール、こういったものは学校法人という形で、むしろ営利企業ではない形で入っているというのが1つの事実としてあるわけです。それ以外の塾とかそういうものはまさに営利企業、一番下に学校以外というふうになっていますけれども、ここでは自由にいろいろできるという形になっております。

(座長)さっきD委員が言われました、大学へ入る前にものすごく学費のコストがかかるという、これは何か数字の統計というのは出ているんですか。何かありますか。というのは、僕らの時代は貧乏人は国立大学へ行くという時代だったんだけれども、今は金持ちでないと行けないなんていう話もあるし、こういうもののデータが公表されているものはあるんですか。

(B委員)幾つかあると思いますけれども、1つは、大学入学者の親の平均所得に関する統計がございますが、ずっと慶應大学が一番高かったんですけれども、5年ぐらい前ですか、東大が追い越しまして、東大の親の所得が一番高いんです。ということは、東大に合格するためには、かなり親の所得が高くないと入れないのではないかという側面の資料になると思います。

あとは、学校に直接月謝等として払う支出と、学校外の塾・予備校等の支出は、地域によって変動は当然ありますが、トータルで半々ではないかと思います。

(D委員)統計ですけれども、文部省がやっている子どもの教育費調査というのがありまして、それは毎年出ています。そうすると受験期が突出します。大学受験だけではなくて、高校受験の15歳あたりのところでも突出するんですね。その後、高校へ入ってからがたっと減って、また18歳ぐらいで突出するという状況です。だから、その差額分というのが、恐らく受験等に要している費用ではないかというふうに思います。

(座長)それは全国調査ですか。

(D委員)そうです。もちろんサンプル調査ですけれども。

(座長)その辺は参考にしてください。

(事務局)わかりました。

(座長)ほかにいかがでございましょうか。

(A委員)さっき言い忘れたんですけれども、今の大学は、理科系はちょっとわかりませんけれども、実質的に3年になってしまっているということです。つまり、3年生の今ごろから就職活動が始まって、4年生の前半部分はほとんど教育の体をなしていない状況になっています。それで、夏休みが終わった後は就職が決まっていて、4年生は腑抜け状態ということで、実質的に今の大学は、文科系では3年間の教育期間になっていて、4年を通して何か教育のカリキュラムをということを考える場合に、非常に困難な状況にあるということを追加しておきたいと思います。

(C委員)先ほど、機関補助から学生個人への補助に、お金の補助をシフトしていくということなんですけれども、これは先ほどA委員のお話を聞いていても、学生が本当にいい教育を選べるのかということについては、全てを学生個人の選択に任せるということではいけないだろうなと思います。よくバウチャーシステムというのがありますけれども、それがどうしても、何度かトライされていてもうまくいかないというのは、必ずしも個人が社会に役立つ教育とか、個人の所得の伸びにつながる教育を選ぶのか、楽な教育を選ぶのかというような形で、本当によい教育になかなか誘導できないという問題もあるので、イギリスを見ていても、その配分については機関への補助というのを依然として維持しているところもあるので、そのところについては少し検討が必要なのかなということを感じております。

ただ、その配分をどこがやるのかといったときに、国がやるのか、あるいは大学の人たちが集まった財政審議会のようなものをつくるのか、組織自体のあり方については検討していく必要があるのではないかということを感じております。

(B委員)先ほど言い忘れたことで1つ、大学の事務部門の問題があると思うんですけれども、私立大学の教員・学生数と事務員数の比率と国立大学の比率を比べてみますと、私立は大変効率がよくて、国立大学は人数が多過ぎるという面があります。

国立大学は、実際には非常に忙しく、個々の事務官の方は頑張っておられるんですが、何か余りに無用な事務手続とか書類とか、そういうものがたくさん発生しておりまして、私たちも毎日、何かいろいろな書類を処理していて、それにそれぞれ期限があって、必要性が疑わしいようなものまで毎年たくさんやっているというふうなことがあります。

国立大学は、ご承知のように総定員法で事務官の削減ということをどんどん進めていまして、逆に、しばらく前まで学生数が伸びているということで大変苦しかったんですが、しかし私の見るところ、まだかなり大胆な人員削減といいますか、合理化といいますか、効率化の余地はあるだろうと思います。

大学に関する事務というのは定型化されておりまして、大体年中行事のような、マニュアルで処理できるものが多いわけです。それにもかかわらず、みんながぐるぐる異動したりなんかするものですから、全然専門化が進んでいないと。これは汚職を防ぐとか、幾つか合理性はあると思うんですけれども、いっそのこと、派遣をするとか、外部人員を、これは退職された方の再雇用という形でもいいと思うんですけれども、大幅に活用するならば、かなり合理化できるのではないかと思います。

また、事務と教員との権限の分担ということも、事実上は事務がやっているのに、形式上教員がやらなければならないというふうな非合理がいろいろあります。これをアカデミックマネジメントという観点でとらえ直しまして、いろいろな人的・経済的資源を最も効率的に使って、大学の所定の目標を達成していくために、組織をリストラクチャリングすると、こういうふうなことによって、かなりの経費の削減が図れるのではないかと思っております。

(座長)どうもありがとうございました。

それでは、問題提起も包括的に相当出しましたので、ご意見はまだあろうかと思いますがここまでとさせていただきます。

なお、お気づきの点がありましたら、どうぞ事務局の方へお寄せいただきたいと思います。

今回は、プレゼンテーションをしていただくE委員が欠席になりましたので、議論は以上といたします。

それでは、次回以降の日程につきまして事務局から説明をお願いいたします。

(事務局)お手元に資料4をお配りしております。ごらんいただきたいと思います。

第4回目でございますが、11月24日(火)10時~12時で、本日と場所が変わっておりますが、各ワーキンググループ、土地ワーキンググループとリサイクルワーキンググループ、それぞれの座長の方からの報告ということでございます。加えまして、3回目までをまとめました中間報告書のスケルトン案についてご議論いただきたいというふうに思います。

あと、第5回でございますが、12月7日(月)14時から、場所はここでございます。議題としましては、中間報告書案を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

(座長)どうもありがとうございました。

それでは、本日の第3回構造改革推進研究会の審議は以上にいたしたいと存じます。時間よりちょっと早いんですけれども、これは機動的に、早く仕上がるときは早く、議論が沸騰しているときは若干延長もあり得るかと思いますので、今後またどうぞよろしくお願いいたします。

きょうはご多忙中ありがとうございました。

以上

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