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第1回国際マクロ経済問題研究会議事録

時:平成10年10月9日

所:経済企画庁官房特別会議室

経済企画庁


第一回「国際マクロ経済問題研究会」会合議事次第

平成10年10月9日(金)14:30~16:00

経済企画庁官房特別会議室(729号室)

  1. 開会
  2. 総合計画局長挨拶
  3. 委員の紹介
  4. 「国際マクロ経済問題研究会」の趣旨及び主要テーマについて
  5. 各検討テーマにおける論点について
  6. 研究会の検討スケジュールについて
  7. 閉会

(資料)

  1. 資料1国際マクロ経済問題研究会委員名簿
  2. 資料2国際マクロ経済問題研究会の議事の公開方法について(案)
  3. 資料3国際マクロ経済問題研究会の趣旨及び主要テーマについて
  4. 資料4検討テーマに関する論点メモ
  5. 資料5国際マクロ経済問題研究会の検討スケジュール等について

(参考資料)

  1. 参考1論点整理図
  2. 参考2金融のグローバリゼーションについて
  3. 参考3国際資本移動の姿
  4. 参考4ポートフォリオ投資のメリット
  5. 参考5世界GDP、貿易、国際金融・資本市場の規模
  6. 参考6アジア諸国の為替レートの動き
  7. 参考7最近の金融危機について
  8. 参考8IMFによる世界経済見通し
  9. 参考92010年の世界経済展望

国際マクロ経済問題研究会委員名簿

座長  近藤  剛  伊藤忠商事(株)常務取締役
    小島  明  (株)日本経済新聞社取締役論説主幹
    中山 真一  (株)富士通総研経済研究所主席研究員
    高阪  章  大阪大学大学院国際公共政策研究科教授
    黒柳 雅明  日本輸出入銀行海外投資研究所主任研究員
    岡田  靖  クレディスイス・ファーストボストン証券東京支店経済調査部長
    奥田 英信  一橋大学大学院経済学研究科助教授
    石本  聡  伊藤忠商事(株)政治経済研究所主任研究員
    小川 英治  一橋大学商学部助教授
    大坪  滋  名古屋大学大学院国際開発研究科助教授

(敬称略)

〔座長〕ただいまから第1回国際マクロ経済問題研究会を開催させていただきます。私、本研究会の座長を務めさせていただくことになりました近藤でございます。本日は、委員の皆様方大変ご多用のところご出席いただきまして本当にありがとうございます。これから皆様のご理解とご協力を得まして当研究会を円滑に運営していきたいと存じます。できるだけの努力をさせていただきますので、よろしくご協力のほどをお願いしたいと存じます。

委員にご就任いただくことになりました方々、資料2ページにリストがございます。全部で9名様でございます。初回でもございますので、事務局の方から、本日ご出席の委員の皆様をご紹介していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

〔事務局〕それでは、着席のまま失礼させていただきます。

本日は日経新聞の小島主幹、それから一橋大学の奥田先生、おふた方、所用のため欠席でございます。

本日、クレディスイスの岡田靖委員は、若干遅れてお見えになるとのことでございます。

それでは、ご出席の方、ご紹介させていただきます。

中山真一委員でございます。

黒柳雅明委員でございます。

高阪章委員でございます。

小川英治委員でございます。

大坪滋委員でございます。

ただいまお見えになりました岡田靖委員でございます。

石本聡委員でございます。

〔座長〕ありがとうございました。

それでは、中名生総合計画局長からご挨拶を賜りたいと存じます。よろしくお願いいたします。

〔総合計画局長〕総合計画局長の中名生でございます。今日が初回でございますので、一言ごあいさつを申し上げます。委員の皆様方には、それぞれにいろいろとお忙しい事情の中でこの研究会にご参画をいただきまして、心からお礼を申し上げます。

ご承知のとおり、現在日本経済、大変厳しい状況でありまして、今週の火曜日の閣議に経済企画庁の方で今年度の見通しを改訂いたしまして、ご報告をいたしましたが、マイナス1.8%という2年連続のマイナス成長と、大変厳しい状況になっております。さらにその改訂見通しの試算の中には(注)が2つつけてありまして、マイナス1.8%程度というのも2つの前提条件がある、ということを書いております。

1つは、国内において大きな金融機関の破綻がないという前提のもとの数字である、それからもう1つは、世界経済についての前提でありますけれども、世界経済の中で、金融・通貨市場に大きな混乱がない、そういう前提のもとにはじいた数字である、という(注)をつけております。あえてそういう(注)をつけざるを得ないほど、国際的にも非常にマーケットが心配される、各国の経済が心配されるという状況になっております。

IMF体制がどうあるべきか、戦後続いてきたこの体制というのもこれだけグローバルな資金の移動が大きくなりますと、果たしてそのままでいいのかどうか、そういう世界の姿を考えないと、日本の経済についてもなかなか先の展望というものが見出しがたい、こういう状況になっております。

そういう問題を中心にぜひこの研究会でご議論を深めていただきたいというふうに思っております。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

〔座長〕局長、どうもありがとうございました。

それでは、早速、本研究会のそれぞれの資料、このアジェンダに沿って議事を進めてまいりたいと存じます。まず、本研究会の議事の公開方法についてお諮りをするということになっているようでございます。まず、事務局からこの点につきまして、ご説明を賜りたいと存じます。

〔事務局〕資料2をご覧いただきたいのでございますが、国際マクロ経済問題研究会の議事の公開の方法について(案)でございます。

当研究会の議事等の公開は、今後、以下によるものとする。

1.国際マクロ経済問題研究会については、原則として議事要旨を会議終了後2日以内に作成し、公開するものとする。また、議事録を会議終了後1カ月以内に作成し、公開するものとする。ただし、議事要旨、議事録ともに発言者名の公開は行わないものとする。

2.会議の日程は、事前に公表する。

3.配付資料は、原則として議事録と併せて公開するものとする。

以上でございます。

〔座長〕ありがとうございました。

これは、御庁のこのような研究会に係る1つこういうような原則があるということでよろしゅうございますね。

〔事務局〕横並びでございます。

〔座長〕わかりました。ということでございますが、特に何かご意見ございますでしょうか。よろしゅうございますか。

それでは、本研究会の議事の公開につきましては、このように本会合の冒頭にさかのぼりましてそのようにさせていただきます。また、これからもこの原則で進めさせていただくということにいたしますので、よろしくお願いをいたします。

それでは、本研究会の趣旨及び主要テーマと、それぞれの論点につきまして事務局からまずはご説明を賜りたいと存じます。

〔事務局〕それでは、資料3、資料4を用いて説明させていただきます。さらにそのあとに続きますのが、参考1から参考9までというものがございます。恐縮でございますがクリップを切り離していただければと思います。

それでは、資料3をご覧いただきたいと思います。当研究会の趣旨及び主要テーマについてでございます。趣旨でございますが、近年の世界経済の動きには、アジア及び市場移行国の通貨・金融危機など将来の経済社会の姿に大きな影響を与えるものが見られる。さらに、欧州通貨統合によって単一通貨・経済圏となる欧州と他地域の関係やアメリカを中心とするNAFTAの状況変化にも留意する必要がある。

我が国と世界各地域の相互依存関係は、制度・政策の国際的調和が進展する下でより一層緊密になることは必至である。財・サービス貿易の拡大・深化はもとより企業の国際的な事業展開が資本、技術、労働といった生産要素やそれらの収益である所得の相互依存の程度を高める。

このような市場経済システムの拡張は効率改善という大きな利益をもたらすが、そのためには各国が適切な財政・金融政策を実施すること等の環境整備が必要である。そこで本研究会は、各国で生じている経済危機の原因の解明と再発防止の方策、国際金融機関の役割、そして世界経済を念頭に置いた我が国の財政・金融政策のあり方につき提言することを目的とする。趣旨は以上でございます。

主要テーマにつきまして、事務局としての議論のたたき台という意味でございますけれども、4つほど大きなテーマくくりをしてみました。

1つは、国際資本移動の現状と役割についてでございます。情報・通信コストの低下、各国の規制緩和の進展、企業活動の国際的展開、金融資産の蓄積等によって金融のグローバリゼーションが進展してきた。これは、国際金融センターの発達、各国金融・資本市場の一体化、金融機関の海外展開、金融機関の業務内容の変化、企業や個人の資産調達・運用の変化といったさまざまな側面での変化を生み出してきた。

このような動きを、直接・間接投資の流れといった観点から整理したのちに、国際資本移動の拡大がマクロ経済や貿易等にどのような関係を持っているのかを示す。その際、資本移動が途上国の発展や高齢化に直面する先進諸国の資産運用に寄与するものである点に留意する。

テーマ2といたしまして、通貨・金融危機の原因と対処、防止策等についてであります。

金融のグローバリゼーションが進展し、実体経済以上の巨額な資本取引が可能となっている。このような動きは、世界的な資源配分の効率化を促しうる点で評価されるものである。

しかし、現在においても、これまでと同様に、例えばレートが実体経済に照らして相応しいと見られる水準から大幅に乖離するケースや、途上国を襲っている通貨危機に見られるような資本の大量かつ急激な流出入が一国経済に深刻な困難を引き起こす例も多発しております。

このような危機は、引き続きある一定の可能性で生じうるものでありますが、その原因と対処策、さらには危機を防止するような方策について検討する。具体的には近年の通貨・金融危機を概観し、危機発生のメカニズム、危機の影響について把握し、過去の事例、現在進行中の対処策をフォローする。

第3のテーマといたしまして、世界経済安定化へのマルチの枠組みづくりについでございます。

21世紀におきまして、世界経済が安定的な成長に基づく繁栄を実現し、参加国のすべてが努力に見合った成果を享受する仕組みを形づくることは極めて重要である。これには、世界経済の参加国による努力、国際通貨基金や世界銀行のような国際機関を通じた努力が引き続き必要であることは言うまでもない。

そこで、成長と繁栄に向けた国際的な危機管理案等についての議論を整理し、21世紀の国際資本移動の秩序をどのように維持するのかを検討する。

また、長期的な経済発展において、金融(制度)がどのような機能・関係を持っているのかという点から議論を始めることで、途上国、市場移行国等が成長と市場経済化の進展に合わせて世界経済への参加を深化させていくようなアプローチを検討する。

最後に第4のテーマといたしまして、三大経済圏のマクロ経済運営についてでございます。

世界経済の安定化には、このような国際的な危機管理等の枠組みをつくり直すだけではなく、危機に直面するそれぞれの国が安定的な成長軌道へ回帰するための政策を実施する必要がある。特に、世界経済の大きなウエイトを占める主要先進国が首尾よくマクロ経済安定化のための諸政策を実施するか否かは、危機に直面する開発途上国及び市場移行国の成長回復にだけでなく、多国籍化している各国企業の活動や資産保有の決定にも関係する。

このような比較的短期の経済回復を目指したマクロ政策に加えまして、中期的に危機を管理する政策運営の方策についても、合わせて検討する必要があるのではないかということでございます。21世紀の初頭には、成長するアジア諸国が世界GDPの14%を占め、我が国の経済規模とほぼ肩を並べることになると予測され、これに日本を合わせますと、NAFTA及びEUと同規模になると思われます。

このような国際経済関係の下で、資本移動のメリットを享受しつつ、デメリットを管理するような安定的マクロ経済環境の実現には、1つにはアジアとの枠組み、あるいは、アジアと共同したNAFTA及びEUとの枠組み、あるいは、NAFTA及びEUとの枠組み等という複数の政策調整の枠組みが考えられます。

そこで、例えばアジア地域における円の国際化や流動性危機回避の基金設立といった制度的な枠組みを複眼的に検討すると同時に、財政・金融政策の国際的な波及効果を前提とした我が国及びアジア諸国が指針とすべき中期のガイドラインのようなものを考えることが求められるのではないかというわけでございます。

資料4にいきまして、まず参考1の論点整理図をちょっと見ていただきたいのでございますが、事務局の方で世界経済の現況というのをまとめてみました。ちょっと稚拙すぎるのではないかとか、あるいはここのところはおかしいのではないかというようなところもあろうかとも思われますけれども、とりあえず事務局でざっくりとした切り口というものをお示しできればという趣旨でまとめたわけでございます。

左からグローバリゼーションの利益といたしまして、深化する相互依存ということで、先進国側にとってのメリットとしましては、貿易を通じた産業の高度化・高付加価値化、貿易を通じた労働力の節約、活発な企業参入等を通じた新機軸の導入、世界大の効率的な資源利用の実現。

途上国の方では、貿易を通じた産業振興、貿易を通じた雇用機会の創出、活発な直接投資を通じた新機軸の導入、世界大の効率的な資源利用の実現といったところでございますが、こういったグローバリゼーションの利益が最大限享受されるためには、世界経済全体の大きな枠組みが安定的なものであることが必要であるわけでございますけれども、そこの大きなフレームワークのところが非常に最近、揺れ始めてきているということで、顕在化してきたリスクということで真ん中にリスクをまとめてみたわけでございます。

1つには、通貨・金融危機の発生、第2にマクロ政策運営の複雑化、第3に危機管理制度の脆弱化、第4に資本の性格と投資目的の投機化、第5にそういった資本移動の実物経済への波及といったような点があろうかと思われます。

それを受けましての解決すべき問題、課題といたしまして、我が国について言えば、不良債権問題、銀行危機に起因する信用収縮、総需要不足に起因する貿易の縮小。途上国について言いますと、脆弱な金融仲介機能、危機を生んだ金融政策、為替政策及び金融市場自由化政策。国際機関について言いますと、構造調整政策のあり方、高騰する危機管理のコスト。

そこで、それを踏まえての21世紀に向けた対応でありますが、秩序維持への国際的制度設計ということで、第1には通貨・金融危機への対処策、第2には為替相場への対処策、第3には開発途上国の政策運営支援。

それから、世界に向けた我が国の対応でありますが、直接投資の拡大、資本移動を代替せしめるところの貿易の拡大、あるいは三大経済圏の政策協調といったところがあろうかと思われます。

資料4にお戻りいただきまして、このような整理というもの、グローバリゼーションの流れから得られるメリットの整理はこれでよいかと。顕在化しているリスクの捉え方、リスクに対応する政策対応の整理、提言案のメニューといったものは、こういう切り口でいいのかどうかといったところをご議論いただければと思います。

それから、資料3のテーマ1からテーマ4を受けて、若干繰り返しになろうかとも思われますけれども、この参考2以下と連動いたしまして、このような点を論点としてご議論賜れればということで、若干の繰り返しもございますが、参考資料と連動して具体的論点という形でもう一度ご説明したいと思います。

第1に国際資本移動の現状と役割についてでありますが、金融のグローバリゼーションという現象を観察するポイントとして、4つの側面を掲げているわけでございますが、これは参考2をご覧いただきまして、冒頭にございますように、経済審議会21世紀世界経済委員会報告書から抜粋しております。これは前々年度、佐々波先生を委員長として開催しました委員会でグローバリゼーション全体についての報告書が出たわけでございます。その中の金融部分の抜粋でございますが、その中でこういった分析をしておるわけでございます。それは(2)の金融のグローバリゼーションを促す推進力ということについても、参考2の2ページ目に記述されておりますが、これは21世紀世界経済委員会の報告書からの抜粋でございまして、21世紀世界経済委員会で一応のまとめが既になされているわけでございますが、こういった認識が今日にも妥当かどうか、ほかに取り上げるべき点があるのではないかといったことをご議論賜れればと思います。

それから、第3に金融のグローバリゼーションの動きを直接・間接投資の流れといった観点から整理したのちに、国際資本移動の拡大がマクロ経済や貿易等にどのような関係を持っているのかを示すことは適当か、ほかに留意すべきことはあるかというわけでございます。参考にしていただきますのが参考3でございまして、国際資本移動の姿ということで、1990年と、その次のページの参考3-2、1996年の資本移動の姿をこのような形で具体的に表してみました。

それから、4のところでございますが、資本移動は途上国の経済発展や高齢化に直面する先進諸国の資産運用に寄与するものであると考えているが適当か、また、留意すべき点はあるかということでございます。この論点の参考といたしまして参考4ということで、OECDが昨年、分析しておりますけれども、OECD加盟国の年金基金の投資戦略(ポートフォリオ戦略)といたしまして、将来、2020年時点での年金資産の購買力を現在と同じように維持する、あるいは自国資産への偏りを半減するような半減戦略、この2つの方法をとった場合に、平均収益率あるいは年金給付の変化がどのようになるかということを分析したレポートがございましたので、ここにつけておきました。ご議論の参考にしていただければ思います。

それから、資料4の2ページ目にまいりまして、大きなテーマ2の通貨・金融危機の原因と対処、防止策等についてでございますが、第1に金融のグローバリゼーションが進展し、実体経済以上の巨額な資本取引が可能となっている。このような動きは世界的な資源配分の効率化を促しうる点で評価されるものであるとの認識は適当か。これは先ほど申しました参考3と、さらには参考5。参考5も21世紀世界経済委員会の資料を最新のデータまでつなぎ合わせたものでございます。

それから、2にまいりまして、現在においてもこれまでと同様に、例えば為替レートが実体経済に照らしてふさわしいと見られる水準から大幅に乖離するミスアライアメントのケース、あるいは途上国を襲っている通貨危機に見られるような資本の大量かつ急激な流出入が一国経済に深刻な困難を引き起こす例も多発しているとの認識は適当かと。原因の整理に際して、危機発生国のマクロ及び構造政策によるもの、市場機構の不完全性によるもの、投機的な原因によるもの、外国からの波及効果によるものなどを類型化したいと考えております。これは参考6、アジア諸国の為替レートの急激な動きというものを1つのグラフにしてまとめておりますので、これをご議論の参考にしていただければと思います。

それから、テーマ2の(3)でございますが、検討方法といたしまして、近年の通貨・金融危機を概観し、危機発生のメカニズム、危機の影響について把握し、過去の事例、現在進行中の対処策をフォローするという手順でよいか。検討すべきポイント及び方法として別の視点等はないかという点でございます。これは参考7で、1980年以降の金融危機について、世界各国の金融危機をざっと概観できるような資料を用意してあります。

それから、テーマ3の世界経済安定化への枠組みづくりについてでございますが、第1に検討の方法といたしまして、既存の議論を整理してから21世紀の国際資本移動の秩序を考える形で進めようというわけでございますが、21世紀において世界経済が安定的な成長に基づく繁栄を実現し、参加国のすべてが努力に見合った成果を享受する仕組みを形づくることは極めて重要である。これには、世界経済の参加国による努力、国際通貨基金や世界銀行のような国際機関を通じた努力が、引き続き必要であることは言うまでもないとの認識は適切か。また、地域別の安定化基金という考え方は、いわゆるブロック化が進展する原因となる危険性はないか。あるいは、IMFがモラルハザードの原因となっているとの見方も出されていますが、そういったような考え方についてどのように考えるか。

(2)といたしまして、長期的な経済発展におきまして金融制度がどのような機能・関係を持っているのかという点から、途上国、市場移行国等が成長と市場経済化の進展に合わせて、世界経済への参加を深化させていくようなアプローチを検討するべきとの認識は適当か。また、検討に際して留意事項等はどうかでございます。

最後のテーマといたしまして、三大経済圏のマクロ経済運営についてでございますが、第1に、危機に直面する各国が安定的な成長軌道へ回帰するための政策を実施する必要がある。特に、世界経済の大きなウエイトを占める主要先進国が、首尾よくマクロ経済安定化のための諸政策を実施するか否かは、危機に直面する途上国及び市場移行国の成長回復にだけでなく、多国籍化している各国企業の活動や資産保有の決定にも関係すると考えられるが、日本がとるべき政策メニューへの示唆はどうか。

また、現在は好調のNAFTA及びEUについて、NAFTAと言った場合、もちろんアメリカも含むわけでございますが、数年の展望を行おうとした場合のポイント等は何かということでございます。

参考8でございますが、去る1日、今年の10月1日にIMFが99年までの世界経済見通しをしておりますけれども、それにつきまして参考としてつけております。

それから、2番目に、21世紀の初頭には、成長するアジア諸国が世界GDPの14%を占め、我が国の経済規模とほぼ肩を並べることになると予測され、これに日本を合わせるとNAFTA及びEUと同規模になると思われる。

このような国際経済関係の下で、資本移動のメリットを享受しつつ、デメリットを管理するような安定的マクロ経済環境の実現には、アジアとの枠組み、アジアと共同したNAFTA及びEUとの枠組み、NAFTA及びEUとの枠組み等という、複数の政策調整の枠組みが考えられるとの政治経済学的な枠組みを想定したが、加えて考慮すべき検討論点などはないか。

第3に、そこで例えばアジア地域における円の国際化や流動性危機回避の基金設立といった制度的な枠組みを複眼的に検討すると同時に、財政・金融政策の国際的な波及効果を前提とした、我が国及びアジア諸国が指針とすべき中期のガイドラインを考えることが求められるとの点につき、検討していくための留意点と方向につき示唆はないか、例えば、為替制度と金融政策の関係や、財政赤字の水準を考慮した財政の弾力的運営についてといった点につき検討を進める際に参考となる視点だろうということです。

(2)と(3)の参考といたしまして、参考9としまして、世界の長期経済成長展望というものをつけております。1970年から90年の実績と、1990年から2010年についての展望でございます。これは前年度、E先生にもご参加いただきました経済審議会経済社会展望部会グローバリゼーション・ワーキンググループでまとめた試算でございます。これはいわゆるバローモデルに基づいているわけなのですが、参考9-4に、その前提となる推計、それからパラメーターについて書いてございます。

それから、参考9での試算をもとにグラフ化いたしましたのが9-2、次のページの世界の実質GDPシェアの推移というところで図示しております。各地域あるいは国のウエイトというものを図示しております。

それから、参考9-3で、主要国1人当たり実質GDP成長率、1990年から2010年の年平均値ということで、これは各国別に書いております。

〔座長〕ありがとうございました。

今、お話がありましたように、この当研究会の目的は幾つかについて提言をすることだということであります。そして、その提言、今のご説明に基づきますと、1つが今回の経済危機、これは国際的な意味での経済危機の原因の解明と、それに基づく再発防止の方策、これが第1点ですね。それから、それを踏まえての国際金融機関の役割はどうあるべきなのか。それから、またそれらを踏まえての我が国の財政金融政策のあり方がどうあるべきなのか。この3点について提言をすることを本研究会の目的としているということでございます。

したがって、そのような目的を達成するために、4つに分けて論点、テーマをここで提示をしていただいております。そしてそのそれぞれの4つのテーマについての論点を今、ごく簡単にご説明いただいたということであります。

まず、それぞれのテーマに基づく論点について、ご意見をそれぞれ委員の方々からこれから伺いたいと存じますが、議論のブレをちょっと防ぐという意味もありまして、どうでしょう、2つに分けてちょっとご意見を伺ってみたいと思うのですが。

まず、1つが今、申し上げましたように本研究会の提言をすることを目的として、4つのテーマを設定していただいた。この4つのテーマの是非についてのご意見をまずお伺いをして、そののち、それぞれのテーマ、論点についてまたご意見をいただくと。この二段構えでちょっとご意見を賜るようにしたいと存じます。

まず、主要テーマ、論点4点について今、提示をしていただいたわけでありますが、これにつきまして、この主要テーマを我々の研究会の目的に沿う形で、こういうテーマでこれから議論を進めていくことについて適切かどうか、あるいはこれ以外でのテーマの設定があり得るのか。あるいは別の切り口でのテーマの設定の方がいいのかどうか、ここら辺についてご意見をまずは賜りたいと存じます。

もう、どなたでも結構です。それじゃAさん、どうぞ。

〔A委員〕ちょっと早めに出ないといけませんので、座長の意向を多少無視するかもしれませんのですが、ちょっと言っておくべきことだけを言っておこうと思います。

まず、論点を4つ挙げられまして、資料4の1、2、3、4というのがこれだと理解しておりますけれども、1、2、3は私はおそらく割とコンセンサスを得られやすいんじゃないかなと思いますが、4番目のこの地域統合と言うか、あるいはさらに踏み込めば通貨圏と言いますか、この考え方は割と議論を要するだろうなという第一印象を持ちました。

それから、ここからちょっと土俵の外に出て申しわけないのですが、感じたことだけ申しておきますと、まず論点整理図ですけれども、非常にうまくまとめられていると思います。ただ、中身の議論が、例えば国際資本移動であるとか、あるいは通貨・金融危機の原因と対策でありますとか、世界経済安定化という話というのは、みんな金絡みの話になっていまして、その割に参考1の論点の整理図というのは、物絡みを中心に貿易と投資にかなり重点が置かれて、例えば相互依存のところではもう少し金融のフローにおける相互依存という話を書き込んだ方がいいかもしれないなというのと、それから世界に向けた我が国の対応、右側の方のところでも、やはり例えば4番目の論点の地域統合というような視点をちょっと持ち込むならば、やはり日本の資本市場がアジア地域において持つ役割、ポテンシャルだと思いますけども、それをやはりここにはっきり書いた方がいいのではないかなという気がいたしました。

それから、国際資本移動の現状と役割についてというところは、割と細かい議論が書いてありますので、これはまた縷々皆さんあとで発言なされると思いますので、私はちょっとそれは飛ばさせていただきます。

2の通貨・金融危機の原因と対策というところでは、原因の整理というのを(2)で、類型化というようなことを書かれていますけれども、ここで言われている発生国におけるマクロのインバランス、それからミクロの構造の問題、それから市場機構の不完全性、これは国内の市場でもあるだろうし、それから国際金融市場のことでもあるだろうし、それから投機的な原因、外国からの波及効果の類型化は、それはそれで結構かと思いますが、基本的に、我々が目にした危機というのは、みんなこれらが複合して起こっているという認識がやはり要るだろうなというコメントが1つです。

それから、3番目の世界経済安定化というところでは、IMFがモラルハザードの原因となっているとの見方があるのを、どう考えるかということに関しては、これはなかなか議論の多いところだと思いますけれども、ロシアのケースはかなりそういうことが言えるのではないかなという、証明とか説明とか省いて結論だけそういうコメントをさせていただきます。

それから、非常に印象論で申しわけないのですけれども、最初に申し上げたその論点の整理の図と関わりがあると思いますが、4番目の三大経済圏のマクロ経済運営についてというところで、例えば(1)の鍵括弧の中の後ろの方なのですが、ほかの場所にも何かどこか書いてあったような気がするのですが、多国籍化している各国企業の活動や資産保有の決定にも、前段のマクロ経済の安定化ということが関係する、それはそのとおりなのですけれども、何となく多国籍企業のビヘイビアにということは、ちょっと何か強調されすぎているのではないかなという印象がちょっとあります。バランスということだろうと思いますけれども。もちろん、多国籍企業の活動というのは、特にアジア地域などの場合ですと、生産、販売、調達のネットワークという意味で地域統合の基礎をなしているということは、それはそのとおりなのですけれども、それ自体をここに書き込むはちょっと私の印象では変な感じがするなというのが正直なところであります。

それから、(2)のところですが、ここは多分この研究会で議論をしていかないといけないことだろうと思いますが、どういうふうに見ていくのか。地域統合と通貨圏だとか、あるいはアジア地域での通貨安定化というのは、これはビッグイシューだろうと思います。おそらく回答の1つだろうと思いますけれども、決してそれだけが回答にはならない、そういう性質のものではないかなという先入観を今、持っています。

それから、一番最後の(3)のところの、為替制度と金融政策の関係や財政赤字の水準云々というところ、これはちょっと主体がよくわからなくて、日本のことなのかアジアのことなのか、それから危機に陥った途上国に対する処方箋一般の話なのか、というところも論じたらおもしろいのではないかなという印象はいたします。

ちょっと座長の土俵からはみ出してしまったのですが、先にそれだけ発言させていただきました。ありがとうございました。

〔座長〕どうもAさん、ありがとうございました。

非常に言われることがよくわかりますので、十分これからそこら辺、参考にさせていただきたいと思います。

それでは、まずこの4つのテーマ設定につきましてのご意見。では、B委員、お願いします。

〔B委員〕今、A先生がおっしゃられたことと比較的よく似ているのですけれども、4つとも非常に大きな論点で、おそらくそのアジアの通貨危機の発生と、その原因ということだけでも非常に大変なことではないかという気がいたしまして、これを平板的、全体的に研究会で取り扱われるのか、それとも何かどこか重点を置いて、そこを中心として例えば国際資本移動のことでしたら、そこを重点としてそこから波及的に、例えば1を重点にして、あと2から4までを従、主と従みたいな形で考えておられるのか、あるいは全般的に考えておられるのか。全部一ぺんにやろうとすると、多分論点が散漫になってしまうのかなという気がいたします。それが第1点でございます。

それから、もう1点が、参考図の1のところにも関連するのですけれども、グローバリゼーションの利益を、先進国、開発途上国というふうに分けておられるのですけれども、そこで体制移行国のようなものというのは、どういうふうにとらえられているのか。おそらく、例えばロシアとかそういうところは、開発途上国の方に概念的に分けておられるのかなという気がするのですが、そこはちょっとはっきりしないなということが1点でございます。

それから、この論点につきまして、1、2、3、4とありまして、先進国も途上国もあって、最初は財市場と資本市場というふうになっているのですけれども、非常に言いにくいことかもしれないのですけれども、労働市場というのがどういうふうに考えられているのか。労働が動かないという前提のような気がするのですけれども、これ労働不足や労働過剰に応じて財が動いて資本が動くけれども、労働はそのままだという前提の書き方なのですけれども、それはそういうふうに理解してよろしいのかどうかということと、労働についてどういうふうにお考えになっておられるのかどうかということをお伺いしたいということです。

それから、最後ですけれども、全体として非常に企業の活動について、あるいは資本移動について述べられているのですけれども、国家の役割、国家と企業の関係、いわゆるレギュレーションの問題なのですけれども、それについては何かお考えになっておられるのかどうか。全体的に印象で読ませていただくと、何かそこの関係が少し触れられていないのかなという気がいたします。以上です。

〔座長〕よくわかりました。いい視点でちょっとご意見いただいたと思います。

まず、第1点のフォーカスの問題、これはちょっと私なりの理解ですと、一応委員の皆さん方の人選等もかなり網羅的に今回できる体制を整えていただいたと、そういうふうに理解はしているわけですが。ただ、おっしゃるとおり、やはり議論を進めていくうちに、あるフォーカスは必要なのだろうと思うのですね。それで、特に最後の提言の段階では、かなり強調すべきことはしていかないと、これはまた総花的になってしまうということもあるだろうと思いますが、そこら辺はむしろ我々の議論を進める過程で、かなりフォーカスは絞っていくこともあり得るし、またその方が少なくとも提言の段階では必要ではないかなと、個人的には私は考えているのですけれど。事務局の方はどのようにここら辺はお考えでしょう。

〔事務局〕座長からおっしゃっていただいたとおりでございまして、資料の体裁だけ見ますと総花的、平板的になっておりますけれども、最終的な提言の形でまとめていただく場合には、ここを当研究会のポイントにするのだというところが当然あろうかと思うのです。

それから、幾つか資料の中身について労働市場の観点が落ちているとか、ロシアのような市場移行国について少しくくりがないのは余りに大ざっぱではないかとか、あるいは国家と市場の関係をどう考えるのかというご指摘がございましたけれども、資料の作成が若干不十分な点もございますし、それから当資料のまとめ方、これが事務局のまとめ方ですのでご理解賜りたいという、そういう趣旨ではございませんので、この資料をたたき台にして、ここも重要だ、あそこも重要だということをご議論賜ればと思っております。

〔座長〕今、B委員がおっしゃった中で2つ、1つが体制移行国ですね。この問題は今回の与えられたテーマを討議する中で避けて通れない問題でして、ここら辺については当然かなり重点的に議論されてしかるべきだろうと私、個人的には思っています。

それから、企業と国家、それから企業と国際機関、ここら辺のあり方、関係というのは、これはもうまさにこれからの議論の核心に触れる問題なのだろうと私は思います。

そういう意味で、今、事務局からご説明もありましたように、ここに配付いただいた資料は、とりあえずのかなり抽象的な資料を提示していただいたということなのだろうと思います。したがって、ここら辺については、別にこの資料にとらわれて我々議論する必要はないと思いますし、おっしゃられた2点につきましては、当然、重点的に我々として頭の中に入れて議論していかなきゃいかんと個人的にも思っておりますので、ひとつB委員におかれましても、これからそこら辺の議論におきましては、リード役を果たしていただきたいというふうに思います。どうもありがとうございました。

では、C委員。

〔C委員〕テーマ自体につきましては、A先生もおっしゃられたのですが、4番目のアジア経済圏というのが地域、あるいはインスチューショナルなEUとかNAFTAもないというところで、経済圏なのかどうか。一体どうコーディネートするかというところで少し問題があるのかなと。逆にそうだから、ある程度地域的な統合というような組織を考えるのかということで、提言にはなるかと思うのですが、少しアプローチが難しいかなという気がします。

それから、これはテーマと言うよりも、切り口の方に関係するかと思うのですが、今回の東アジアの経済危機にしても、バブルという、ストックがある量になって崩壊した、それから、資本移動についても金融資産がこれからどんどん増えていくわけですから、ストックとして影響してくる。そうしますと、主にフローのマクロ経済政策だけでコーディネートしておってはうまくいのかどうかという点がちょっと疑問になる。経常収支についても、毎年の額は小さくても延々と赤字を続けていて、その分、生産的な設備に回っていなければ破綻をきたすわけですから、ストックの観点というものを明示的に考えたらいいのかなという気がします。

それから、私は個人的にはグローバリゼーションというのは不可避で、これに合うような制度を整えていかないとだめだと思います。そうしますと各国の例えば銀行部門の制度にしても、インドネシアなどは国が監視していることになって規制はあるのですが、規制は実行していない。そういう制度面を国際的に調整していく、そういうことをしないとグローバル化にしろ、国際資本の移動にしてもスムーズにいかないということになると、相当各国、でたらめな金融制度を持っているのではないかという話まで踏み込むのかどうかという、その点がちょっとあるのですけれど。

やはりグローバル化のためには、企業経営も国際的に競争する部分は効率的にならないとだめだし、各国の制度面についても、内容も含めて調整を図るということになると、それをどう取り組んでいくのか。日本は決して銀行制度をほめられるような状況ではないのですけれど、そこも含めた上で金融・財政政策という話をするのかなという気がしております。

〔座長〕ありがとうございました。

まさに後段の部分というのは、我々の提言の中の大きなポジションになるのではないかなという印象を持っているのですけれどね。おっしゃるようにグローバル化による規律の問題、これは金融業界ではいろいろな議論はありますけれども、BIS規制なんていうのが1つの大きな国際的な網掛けになってきているわけですね。それで、このようなディスプリンがこれからどんどんつくっていくことになるのか、またそうすべきなのか、そうでないのかというような議論は、やはり処方箋の中で我々の提言の中の大きな部分になるのではないかなという認識はとりあえずしているつもりなのですけれども。

事務局の方から何かコメントございますか。

〔事務局〕まだ、具体的な作業スケルトンを今回お示ししておりませんけれども、いわゆる短期の対策、処方箋の話を年内で、中期の話を交えた制度設計の話を、年明けのいわゆる報告書の最終とりまとめで、という二段構えで考えておりまして、当然それに合わせて毎回の議事を組みたいと思っております。いわゆるマクロ政策の話を中長期でするときには、ご指摘をいただいております制度設計の話も重要な点ということで、先のIMF世銀総会でも幾つか資料の方が出ておりますので、そのあたりを発射台として研究会独自の提言が出せればというふうに考えております。

〔座長〕ありがとうございました。

いずれにしても、前半の要するに現状認識におけるこのストックでの把握、これはもう大変に重要なことだろうと思います。だから、この主要テーマとしては1の現状認識でのこのフローに加えてストック、むしろストックを重視するというこのアプローチというのは、私自身、大賛成です。ぜひそういう面で我々作業をしていきたいと思いますが。

ほかの委員の方々からも、今の問題につきまして、あるいは全体についてでも結構ですが、ご意見を引き続き賜りたいと。では、Dさん、お願いします。

〔D委員〕初めA先生が、お金の話に集中しているのではないかということで、私もそのように感じているのですけれども、それで、短期的にどう対応するかとか、あるいはIMFの問題ということであればそうだと思うのですけれども、ただ例えばグローバリゼーションの利益のところで、発展途上国の経済成長に先進国がどう貢献するかというところで、きっと今回の危機というのは、「お金だけ投資していればよかった」では済まなかったということが教訓として得られると思うのですね。そのときに、もう一度その直接投資を考え直すとか、あるいは技術移転ということをもう少し力を入れるとか、あるいは同じそのポートフォリオ投資でも、問題は脆弱な金融部門のところにお金を大量に入れたというところが問題だと思いますので、ですからそういう意味では、金融仲介の脆弱さをいかに克服していくか。これは日本の問題も片づけなければいけないですけれど、合わせて投資する先のところを解決していくというようなことが、もう少し提言のところで盛り込まれるような形になればと思っております。

〔座長〕ありがとうございました。

この点につきまして、皆さんもまさに私もそのとおりだろうと思います。この点につきまして、またちょっとここら辺、我々が議論のときに注意しなければいけないのは、基本的に特に開発途上経済にあっては、構造問題を必然的にはらんでいるのですね。しかし、それは経済成長によってまた解決していくというもので、ある時点でぽんと止めて、そこで構造問題があるのではないかということになると、これまたちょっと議論が本末転倒になるという危険性もあるのですね、実は。それで、IMFの今度のガイドラインなどの問題というのは、そこら辺にも1つあるのではないかなという考えもちょっとあり得るわけですね。だから、ここら辺、本質の議論は本当に何なのだろうということは、ちょっと整理して議論しないといけないのかなという感じはしています。いずれにしてもおっしゃるとおりだと思います。

それでは、お待たせしました、E委員、お願いします。

〔E委員〕最初に先ほどBさんがちょっとおっしゃった、事務局の方で人の動きというものを余り考えてないのかということに対してのコメントですけれど、これは前の審議会のグローバリゼーション・ワーキンググループからのつながりでこうなっていると思うのですが、あのときに我々が議論をしたのは、基本的にまず物だとか資本が動いて、人は動くとしても最後である。決して人が動くことは望ましいことではなくて、また世界的に見ると実際に人が動いているということは非常に限られていまして、中近東とアフリカの一部だとか、アジアの一部に本当に限られていて、それが世界的なグローバリゼーションの過程で人が動くようになるとは考えられないという議論をしたんですね。ヨーロッパでも国境を越えて出稼ぎには行きますけれど、最終的には自分の国に戻って夕食をとるというケースが多いわけですから、余り人は動かないだろうということで考えていたと、事務局の方もそういうふうに考えていらっしゃるんだなと私は思っていました。

それで、今回のいろいろなテーマですが、たたき台にすごくアンビシャスで幅広いものをいただいて。実は私のところで今、博論書いている学生が何人かいるのですけれど、ヨーロッパから来た学生、アフリカから来た学生、それぞれこれを書いていまして、「先生、ぜひ出て行っていろいろな資料を持って帰って来てください」ということで、実は勉強させてもらって資料を持って帰るという役割で私、来ているのですけど。

たまたま日本に帰ってくる前、数年、世銀でも働いておりましたし、そのときには世界経済報告を通じて「アジアがいい、アジアがいい」と言い続けろという至上命題がありました。それには、やはり東アジアの奇跡の大成功があって、あれに携わった人間がみんな2階級、3階級特進しまして、非常に重要なポストに座るようになった。世銀の内部でもアジアに対してけちをつけることには非常に抵抗がありまして、アジアモデルはいいものだ、基本的には、外資主導の輸出主導で技術も取り込みながら成長していくということがいい、というのがいわゆるブレトンウッズの考え方ですから、それにけちつけるのはけしからんと。

ところが、内部では94年ぐらいから、特にバンコクはオフショア・マーケットを開きたい、ところが、オフショアなのですけれど形では国内とつながっていますから、オフショアと言いながら実は資金の取込口をつくったがために、短期と長期の取り入れの割合が、8:2から2:8にあっという間に逆転してしまったというようなこともありました。インドネシアの民間セクターの対外債務のはらみ方というのも、だれが見ても異常なほどのはらみ方でしたから、数字の上ではかなり議論も出てきまして、実は理事会にもそういった報告書を出そうというプロポーザルを何度も出したことは出したのです。

ところが、やはり理事会に行く前か、もしくは理事会で、かえってそれをやると国際投資家の不安感をあおってしまう。逆にマレーシアあたりからは、世銀が国際投資家のそういった心境を代弁するのか、危機をクリエートするのかというふうに逆に随分お叱りを受けまして、そういったレポートが全然、日の目を見ないうちに危機が発生してしまった。とどの詰まり最後にジム・フォンスさんがインドネシアに行きまして、世銀は間違っていましたというふうに謝ったわけですけれども、実際はそれが言えない環境にあったということがありましたので、内部で働いている人間として、そういうフラストレーションの溜まる過程を通ってきたということを、少し研究会を通じてお話ししたいなと思っております。

それから、主要テーマですが、1番目の国際資本移動の現状と役割、それから3番目の世界経済安定化への枠組みについて、どちらも長期的な経済発展において金融制度がいかに大事か、特に途上国にとってお金を借りるということは、いわゆるあとから来て追いつく者の基本的な戦略ですから、これをこういうふうに書いていただいたのは私としては非常にありがたいなと考えております。

実は先日、ハンガリーから来ている留学生が質問に来まして、「先生、どうしてアジアというのは貯蓄率が高い、貯蓄率が高いと言いながら、そんなにお金を借りるんだ。どうして、そこまでお金を借りて、最後にお金を借りすぎたと言ってぽしゃんなくっちゃいけないんだ」という質問をしてきたんですね。35%の貯蓄率のある国が、8%の経常収支の赤字を出しまして、8%借りて、43%の投資をするのですけれど、なぜそこまでして投資をして成長しなくてはいけないか。非常に根本的な問題で、その中にはやはり産業構造の高度化ということもありまして、どうしても資本、生産係数が上がってきてしまうと、借り続けなくてはいけないという現状もあるので、これをどこかで、先ほどD先生もおっしゃったのですが、実体経済と金融との結びつけを、借り手の需要の論理から考えていかないと結びつかないのではないか。貸し手の方の原理というのは、基本的にどこが危ないか、どこか収益が上がるか、そのファンダメンタルズの中に実体はありますけれど、お金が1日で動かせる状態である場合には、そこまで実体を考えていない。借りる方の論理を追っていくと、もっと実体が見えるので、そこのところをぜひ細かく追っていただきたい。

それをやるに当たって、やはり実体経済の国内経済と海外経済との結びつきと、それから金融経済の国内と海外の結びつきというのは、やはりサイズも違うしスピードも違いますから、そこのところに注意を払いながらやるべきかなというのが1つ。

それから、もう1つは、今回のアジアの危機などを見ていましても、やはりミクロとマクロ、もしくはミクロとグローバルマクロ、マクロとグローバルマクロのミスマッチがあちこちで発生しているわけですね。それぞれの企業の、例えばインドネシアの個人企業が外資で借りたというのは、それが一番借りやすいし、得だから借りているわけで、貸してくれる以上は借りて投資した方がもうかると思ってやっているわけですから、それぞれのミクロレベルでは行動は正しかったのではないか。タイの場合もそうではないかと。

ところが、システム自体がやはりそういう誘因、いきすぎた金融仲介をしてお金がもうかってしまうという誘因をいつまでも置き続けてきたし、それから先進国にいる我々投資家の目から見ると、やはりそこにお金を持っていくと収益率が高かったわけですから、みんなそれで幸せだったわけですから。そういったシステムを持ち続けたということに問題がある。

そうすると、そういったシステムをどう考えていくかということになると、今度は2番、3番から4番につながってくると思うのですね。この4番の三大経済圏のマクロ経済運営のところですが、1つには地域化という考え方がもあるのですが、私はこれら三大経済圏のいわゆる国際金融システムだとか、経済体制の安定化に対する寄与というものを考えたときに、実は、A先生はお帰りになりましたけれど、つい先だって東アジア経済学会を北九州でやりまして、マッキニン教授がスピーチをしました。そこで「やはりアジアにおいて円とドルがこれだけ振れられたら、アジアの国だってそれは困るよ」という話が出ていたのですね。基本的に92年から95年にかけての円高のときには、アジアは非常に輸出を伸ばしたわけですけれども、逆にそれにブレーキがかかるときがやってきた。こういった状況において、円が国際化していませんから、やはりドルにまだペッグしていなくてはいけない。ところが、円の国際化をすればいいのかと言いますと、円が国際化して、その結果として円が安定化してくればいいのですけれど、国際化して不安定であるとさらに攪乱要因を増やしてしまうわけです。そうしますと、アジアの国というのは、逃げるべき通貨を持たなくなってしまうわけですよね。だから、そういったことも含めて三大経済圏のマクロ経済運営というものを話をしていただきたいなというのが1つ希望としてあります。

それから、もう2点あるのですが、1つは簡単に終わりますけれど、3番目の世界経済安定化の枠組みのところで、IMFがモラルハザードを生んでいるかという議論ですけれど、これは両方の議論があると思うのですね。いわゆるIMFコンディショナリティー、条件をつけるのは、モラルハザードどころではなくてきつすぎるという議論もありますし、逆にIMFはどこでもすぐ助けてしまうと。特に貸した側がコストを負わずに助けてしまうという議論はあるので、これは少し両面から考えていく必要があるのではないかと思います。

最近、出てきました東アジア回復への道という世銀のレポートですけれども、あそこでは基本的に東アジアそれから東南アジア一般、財政的な拡大路線を取るべきだというのが主な主張になっていまして、IMFの方は基本的にフィスカルコンソリデーションと言いますか、絞り上げる、緊縮財政というのでもう一本調子できていますから、ここへきてやっとブレトンウッズの姉妹機関の中で意見の食い違いがはっきりと表に見えてきていますので、その辺を追っていくのが1つ私個人の楽しみでもありますし、この委員会としてもおもしろいのではないかなというのが1つあります。

それから最後ですが、参考1のグローバリゼーションの図式ですけれども、よくまとまっていて、ここにはかなり実体経済の話がのっているので、ここに文章で書かれた金融面の話をじょうずに結びつけていくとおもしろいなと考えています。

それで、最後のところの世界に向けての我が国の対応なのですけれども、「これから我が国の個人資産が外へ出る、出る」と言われ続けていまして、かなり外債も買われていますし、出ていく状態になると思うのですが。どの程度出るかわかりませんけれども、よその先進国ぐらいもし出るのなら1,200兆円のうち何百兆円と出ていくわけですから。実際、アジアの金融危機の引き金となった最初の1週間ぐらいの資金の動きを見てみますと、大きさとしては数百億ドルぐらいの規模でもう全く危機状態に達してしまっているわけで、それを考えると日本のお金が出ていくサイズというのは、少な目に見積もってもそれのはるかに数倍も大きいわけです。日本の個人投資家の家計のポートフォリオ、その中に不安定要因が含まれてくると、アジアも含んで日本の金融改革が逆に不安定要因になるのではないかというおそれがあります。ですから、我が国の対応のところで、日本の金融のところに個人資産、家計の資産行動にどういうふうに政府の規制、ルールづくりというのが係わってくるのかというのが非常に大きい問題だと考えています。ちょっと長くなりましたけれど以上です。

〔座長〕どうもありがとうございました。非常に包括的におっしゃっていただいてありがとうございます。

それではほかにテーマにつきまして、F委員、お願いします。

〔F委員〕私は勤めております会社が今の危機を起こした側、どちらかというとそっち側ですので、余り大きなことは言えないのですけれども。

実は国際資本移動と、それからグローバルなマクロ経済の関係という議論で、今、お話しになっていらっしゃるように、たしかに中長期的な展望で、経済発展との絡みで考えていくというのはもちろん重要なポイントだろうと思います。

ただ、実はこの数週間の間に急激に展開し始めた事態でございますけれど、結局、アジアの通貨危機で発展途上国への資本移動の問題を議論している間に、おそらくもうご承知のように火がアメリカについてしまいまして、結局、先進国対途上国の間の資本移動の問題から、おそらく今後数カ月ぐらいのスパンで、日本が先進国内での最大の資本輸出国なわけですけれども、日本から具体的に言えばアメリカに資金が行くルートが切れるかどうかという瀬戸際の雰囲気が急激に高まりつつある。ご承知のように昨晩の時点で円が110円まで上昇してしまう。ですから、こういう短期の問題をこういうところで取り上げることがふさわしいのかどうかよくわかりませんけれども、私自身がそういう仕事をやっているものですから、どうしても興味と関心がそちらにあるのです。

結局、昔であれば短期の問題はフローで、長期の問題はストックでという形で取り扱えていたわけですけれど、今、我々が直面しているのは、ストックが短期においてものすごく重要な役割を果たしている。裏返して言えば、大規模にストックが移動するわけですから、短期にとんでもない現象が起こる。いまだに我々がよくわかっていないのは、日本でのバブル崩壊のときもそうですけれども、資産市場で起こった変化が実物経済でどういうメカニズムで、どうしてあれほど大きい影響を与えるのか、実はまだよくわかっていないのだろうと思います。

アメリカでこれから起こることも、もし今、報道等で言われていることが事実であれば、日本で銀行がノンバンクにお金を貸して、それがバブルをやって潰れて、潰れるころになって政府が規制を発動する。今、アメリカで起こっていることも銀行がヘッジファンドという名前のノンバンクにお金を貸して、それがグローバルにバブルをやって潰れるころになっておそらく規制が出てくる。日本は国内スケールでしたけれども、今度はグローバルスケールで、90年から始まった巨大な大崩壊みたいなものがパラレルに起こる可能性が出てき始めている。

そういう短期の問題をどうやって考えるべきなのか、事態が私自身もよくわからないし。ただ、目先、途上国と先進国の関係を議論する以前に、グローバルな経済のフレームワーク自体が、ある意味では危機に瀕しているという可能性が出てきている。それをどういう形で議論の中に組み入れていくのか、やはりポイントになるのではないかと思います。

〔座長〕ありがとうございました。もうまさにそうですね。ですから、これ先ほどC委員がおっしゃったことですから、ストックの話とまさに連動する話だろうと思うのですね。基本的に考えてみますと、マクロでそういう意味での大きなミスマッチが実は起こったのが、今のこの資金の移動のベースにあるだろうと思うのですね。アメリカのインバランス、あるいは日本のインバランスなどがそこら辺、大きな原因だろうと思うのですけれど。やはり本当に我々がきちっとした提言をするのであれば、そこまで行き着かなきゃいけないだろうと思うのですね。まさにそれが短期的な問題であるけれども、しかし実は奥の深い抽象的なストックの問題に原因があるということなのだろうと思うのですよ。

そういう意味で、またそれよりも、もうちょっとレンジを短くしてみますと、先ほどE委員のおっしゃったミクロとマクロのミスマッチというのも、1つ今度の原因の中でやはりきちんと我々は考えを整理していかなくてはいけないだろうと思うのですね。タイの場合なども典型的な例ですよね、そこら辺の。まさにオフショアをつくって短期資金取り入れが安くなったがゆえに、本来行うべき投資の自由化が、それでタイで遅れてしまっているという現実があるわけですよね。だから、ここら辺は大変我々そういう意味でも突っ込んでいかなきゃいけない視点なのだろうと思うのですね。

それでは、次はG委員。

〔G委員〕1つは、こちらの参考1の中にも書いてありますけれども、為替相場、実態的にどういうふうな制度というのが本当に正しいのかと言いますか、21世紀に向けてどういうふうな相場制度というのを構築していくべきかということが、もう既にいろいろな議論がされておりますけれども、もう1回考えてみるということが1つあってもいいのかなということが1つでございまして。

もう1つは、もう既に皆さんおっしゃっておりますけれども、この地域というものをどう考えていくか。たしかに国際的な機関というのがありまして、各国というのがあって、企業というのは非常にわかりやすいのですけれども、さらにその中に地域というものを本当にとっていくのがいいことなのかどうか。このコンセンサスもまだ非常に難しいことかと思いますし、この辺についてどうやっていくべきか、特に日本が含まれておりますアジアと称されておりますものも、アジアと言っているだけで、この表を見ますとインドも入っていたりしておりまして、本当にそれが1つの実体として考え得るべきものなのかというところも問題としてあるかと思いますけれども。

〔座長〕ありがとうございました。

一応、このテーマの設定について、ご意見を伺ったわけですが、1つコンセンサスがちょっとないなというのは今、G委員の指摘した、このテーマ4、三大経済圏のマクロ経済運営について、こういう切り口でいいのかどうかということですが。

ただ、一方で皆さん一応コンセンサスがあるように感じるのは、日米欧を核としたグローバルなマクロ経済運営についてということでは、コンセンサスはあるのではないかなと思うのですね。だから、ここであえて経済圏ということで規定してしまうことに、やや言葉上の問題があるのかなという個人的な感じはするのですが。例えば第4のテーマを、日米欧を中核としたマクロ経済運営についてというような、ちょっと表題に変えたらどうでしょうか。ここら辺、1つの提案でございますが、特に何かこの点につきまして各位のご意見ございましたらうけたまわります。

〔D委員〕私はこの三大経済圏ということでよろしいかなと思っていたのですけれども、今、いろいろお話を聞いていて、例えば日米欧のG7で政策協調するというときに、実はアジアとかそういうところに波乱要因を振りかけているということも考えるという、広く世界マクロ経済の中で、日米欧の政策協調という問題も考えていこうということでいけば、今、座長がおっしゃられたように、日米欧を中核としてということで、各エリアだけを考えるというのではなくて、もう少し大きくG7の政策協調も考えていくということであれば、それでよろしいかと思います。

〔座長〕ありがとうございました。どうぞ、C委員。

〔C委員〕私の個人的な感じとしては、日米欧だと日本としてはウエイトが低すぎるだろう。それで、日本としてもアジア圏の中で、アジアの一員としてそれなりに対抗すると言っては悪いですけれど、ある程度、アジアを代弁して、アジアの中でそれなりの経済的な秩序もあるというのが将来必要ではないかということで、むしろアジアのマクロ経済運営というところで、NAFTA、EUというのを少し下げて考えたらどうかなという感じがいたします。

〔座長〕わかりました。そのほかに何かございますか。どうぞ、E委員。

〔E委員〕私は2つ考え方があると思うのですけれど、1つは世界経済安定化の枠組みの中で、やはりキーカレンシーを持っている国の協調をなくして、マルク、円、ドルが振れ続ける中で安定化はあり得ないわけですから、そういったところでこの一部として考えていくというのが1つかなと考えていたのですね。

ただ、いま1つおもしろいのは、やはり日本で書いているわけですから、今、ご発言あったように、もう少しアジアを視点に入れて、アジアのリーダーとしての日本の行動を考えるという意味で考えていくのは非常におもしろいなと。特にここ70年代から80年代初めにかけて、いわゆる石油ショックのような供給サイドのショックがあって、世界経済は大きく振れましたけれども、アジアが85年以降、台頭してきてから、世界経済の振れ率というのは落ちているのですね。基本的にアジアがやはり底上げをしていまして、第4の成長軸ができたと言う方もあるのですが。これが世界経済、例えばヨーロッパが落ちたときに世界の貿易を引っ張ってきた。これによって世界全体でどこかで収益が得られる状況が出ていて、投資策もあったという状況がきていますから、そのアジアというものに少し視点を当てていくとおもしろいのではないかと思います。

それで、それをやるときに、やはりこんなにアジアからお金が急速に抜けていく1つの理由は、余り大きな理由ではないですけれど1つの理由は、やはり競合する投資先が生まれてきた。東ヨーロッパにも幾つか魅力的な投資先が生まれてきたし、ラテンアメリカにも再び銀行ローンでさえ入っていけるような状況ができている国も幾つか出てきた。危機になる前ですけれどね。そういった状況がありますから、競合している国がある中でのアジア地域という考え方が1つあるなと考えています。それが1つの極ですけれど。もう1つの極は、やはり3番の安定化に付随して三大圏の果たすべき役割と言うか、国際金融体制と言いますか、70年代以降なくなっている国際通貨体制をどうするのかという、そういった議論をしてもいいかなと考えています。

〔座長〕どうぞ、F委員、お願いします。

〔F委員〕先ほどの話の続きみたいになるのですけれど、1つはリアルの貿易のフローということを考えるとたしかにリージョナルな問題というのは出てくるし、それでNAFTA、日本含めたアジア、それからEUというのはそれぞれ1つのやはりある程度、他地域と分割される当然ものになって、そのインターラクションというのは考える必要がある。

ただ、資本移動とかマネーの話を考えるときには、資本の輸出国、あるいはマネージしている側で、かつリアルタイムで連動しているG7側と、それから、そこからお金が出たり入ったりしてとんでもない目に遭ったりしている途上国側と、今度は当然、責任と役割というものが異なってくるわけで、そういう意味ではやはりどちら側に軸足、この会のレポート自体が両方カバーするのだと思いますけれども、そのカバーレッジでどちらかというと短期のイシューの場合にはそういう意味ではマネタリーの話が中心で、G7対途上国みたいな話になってくる。ある程度、中長期の話になるとリージョナルな話がトレードとの関係で出てくるというような形で考える必要があるのかなという感じがします。

〔座長〕B委員、お願いします。

〔B委員〕大体皆さんのおっしゃっていたことと同じですけれども、昨年のアジア危機も、95年のメキシコの危機も、80年代初めの中南米の危機も、よく考えてみるとアメリカの金融政策なのですよね。結局、80年代の初めに金融引き締めをして、それだけではないでしょうけれど、それで80年代初めに債務危機に陥って、それが解決してきて90年代の初めに、なぜあんなにアメリカから金が出たかと言うと、アメリカの金融危機でおそらく低金利政策をとって、それが1つの出ていく側の大きな要因になっていて。おそらく今回のここ数カ月の問題も、やはりアメリカの金融政策かなと思うと、先ほどEさんがおっしゃっていたような機軸通貨国の問題というのは非常に大きくて、それが結局、途上国なり体制移行国なりの危機に結びついているとすると、この4、3、2というのが逆さまの順番で結びついていくのかなという気がいたします。

そうすると、どういうアプローチしていいかというのは難しいですけれども、視点の問題ですけれど、例えば日本がアジアを代弁するかしないかというのは、これはまた問題があると思うのですけれど、そういったときにこういうアジアの危機を起こさないためには、どうしたらいいのかと言うと、それは先進国間の政策協調というのが、特に金融の協調は大事になってきて、為替レートの安定化ですとか。それと、その3番でここに述べられている、要するに枠組みの問題にも結びついてきますので、その経済圏とかそういう言葉はどっちでも構わないですけれども、そういう問題も含めて考えるといいのではないかなという気がいたします。抽象的なので恐縮ですけれども、そんな感じがいたします。

〔座長〕ありがとうございました。

ほかに何かございますでしょうか。この点について、事務局の方から何かコメントございますか。

〔事務局〕まず、最初に時間と考え方の関係ですけれども、F委員が言われましたように短期的と言いますか、当面世界経済が抱えているリスクについてアプローチするときには、やはりいわゆるG3、G7というような観点で世界経済を眺める一方で、中長期な話をするときには、リアルサイドの連関、いわゆる貿易、直接投資のつながりということで、日本、アジアによって構成される東アジア経済圏と言いますか、対EU、対NAFTAという視点で。多少整理の方が今回は混在しておりまして、読みにくくなっておりますけれども。いわゆるテーマごとに短期、中期という時間の変化に応じてどういうふうに整理するかというのを、次回、提示したいと考えております。以上です。

〔座長〕わかりました。いずれにしても、この表題はどうなるのかは別の問題といたしまして、この4つのテーマのうちの3番目で、基本的に世界的な枠組みについて我々は1つを提言する。それから、もう1つは、その中身でいくと、やはり日米欧のマクロ経済政策についての提言、中でも我が国のマクロ経済政策の運営でしょうか。ということになると、そこにやはり円の運用ということも含めた資本市場の問題にも触れざるを得ない、そういう意味ではアジアにフォーカスを当てた議論に当然なっていくのだろうと思いますが、一応そういう感じの議論になるだろうと思います。いずれにいたしましても、そういうことでとりあえずこのテーマについての考え方、大体我々お互いに理解できたと思いますので。

それでは、今までもう既にいろいろおっしゃっていただいたこともございますが、そのそれぞれの、それではそのテーマの中における論点、これについてまた追加的に何かご意見ございましたら伺うようにいたしましょう。E委員、お願いします。

〔E委員〕簡単に。希望ですけれど、経済成長モデルを考えて実体経済の成長を考えているときに、例えばサプライサイドで実体的なショックがあったとき、それから金融が実体経済にもし影響を及ぼしたとしても、いわゆる成長曲線でいくと、こう上がっていて一ぺんシフトする。ところが、また戻るわけですね。いわゆる成長率は1年、どっとシフトするのですが、成長率の傾きに影響が及ばないというのが基本的な我々が使ってきた成長モデルですね。それを例えば計量モデルの中で言うと、我々、計量モデルをつくると、必ず貨幣の中立性テストをしますよね。貨幣供給量が変わったときに、最終的には実体経済が変わらないとテストしますけれど、その考え方を根本的に変えてしまって事務局の方で考えていただくというのが、1つの今回のタイプの危機など、国際金融体制がここまでなってきたときの実体経済と金融との結びつきの基本的な考え方になるのではないかというふうに考えています。実は研究所の方で、そういった計量モデルをぜひつくろうというので、今、プロジェクトが立ち上がったところですけれども、いかにそういった金融のショックが実体経済に長期にわたって影響を及ぼすような予測効果が長期にわたって続くようなことが説明がつくかという。そこのところを1つ希望しておきます。

〔座長〕ありがとうございました。事務局、何か。

〔事務局〕補足になりますけれども、会議の最初の方からストックとフローの関係の指摘がありましたけれども、それと先ほどのE委員のお話、同じことというふうに理解しておりまして。いわゆるフローで世界経済が決まるというふうに考えている枠組みでは、いわゆる金融のクラッシュが中長期的に何らかの経済成長率へのインパクトがあるということがとらえられませんので、具体的に数字でこの研究会で出せれば一番望ましいのですが、そこへ至らなくとも、見方ということでいわゆる貨幣の非中立的な存在というものを考慮して、ストックを重視した、日本も非常に資本ストック、金融資産ともにありますので、そういうふうな視点を重視して、資料の方も作成してみたいと考えております。

〔座長〕どうもありがとうございました。

まだ、いろいろとご意見あろうかと思いますけれども、時間の関係もございますので、本日の研究会のところはこの辺でひとまず終わりにしたいと思います。

それで、今、申し上げたそのテーマ、それからお話しいただいたテーマ、それからそのそれぞれの論点につきまして、さらにご意見ございましたら、事務局の方まで、また次回の研究会までにお寄せいただきたいと思います。

それから、これからのスケジュールの件につきましては、これからお話しいただけると思いますが、本研究会には個別分野の専門の方々、先ほど申し上げましたようにかなり網羅的にきちんとした議論ができるような委員の選考をしていただいているように理解しておりますので、適宜、委員の皆さん方によります報告、あるいは外部の適切なゲストスピーカーございましたら、ここら辺またご推薦いただくなり、事務局の方で検討いただくということにいたしまして、お話をいただく機会もまた交えてみたいと考えております。

それでは、11月以降のスケジュール、来月以降、次回以降のスケジュールの調整については事務局の方から別途またご相談させていただくということになろうかと思います。

それでは、次回以降のスケジュールについて、ちょっと先ほどもお話がございましたが、事務局の方から改めましてひとつお話賜りたいと存じます。

〔事務局〕資料5を見ていただきたいのでございますが、年内にも中間とりまとめを行ったのちに報告書を作成する予定であります。局長の諮問機関として当研究会以外に国民生活、それから構造改革、と2つございまして、いずれも年内というところを1つのポイントとしましてとりまとめを行うとしておりますので、当研究会でも年内にも中間とりまとめを行うことができればと。それから、年度末を目途に全体の報告書ができればと思っております。

そこで、テーマが非常に多岐にわたりますので、テーマ3までというふうに原案には書いておりますけれども、きょうはむしろテーマ4のところをかなりご議論いただきましたことでもありますし、かといってテーマ1からテーマ4まで全部年内にまとめることも、やや難しい点もあろうかと思います。この辺、別にテーマ3までということにこだわらずに検討させていただければと思います。

それから審議の必要に応じまして、この研究会を構成するメンバーの方以外の専門家をスポットでお呼びして講演会を実施するということも予定しておりますし、それからきょうはキックオフということで事務局の方からレポートさせていただきましたが、項目によっては委員の方からの報告及びコメントを中心とした開催ということもよろしいのではないかと考えております。

第2回目でございますが、10月26日15時半から17時、この同じ部屋で、検討テーマ案としましては、テーマ1の資本移動の現状と役割についてということで考えております。

第3回以降は月に2回ベースということで考えております。以上でございます。

〔座長〕ありがとうございました。

それじゃ、委員の方々には特にまた別にお願いすることがあったら、別途事務局の方からご相談させていただくということになろうかと思います。

以上で第1回国際マクロ経済問題研究会を閉会したいと思います。

本日は本当にお忙しい中、まことにありがとうございました。

それでは、次回26日15時30分でございます。ここでお目にかかります。ありがとうございました。

―以上―

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