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経済審議会経済社会展望部会(第9回)議事録

時:平成10年4月16日

所:経済企画庁特別会議室(436号室)

経済企画庁


経済審議会経済社会展望部会(第9回)議事次第

平成10年4月16日(木)10:30~12:30

経済企画庁特別会議室( 436号室)

  1. 開会
  2. 各ワーキンググループ報告
  3. 閉会

(配布資料)

  1. 資料1 経済社会展望部会委員名簿
  2. 資料2 各ワーキンググループ報告(地球環境、財政・社会保障) 
    (グローバリゼーション、 産業構造、技術革新、雇用・労働、金融、土地・住宅、ライフスタイル )
  3. 資料3 経済審議会経済社会展望部会の今後のスケジュール

部会長

小林 陽太郎

富士ゼロックス(株)代表取締役会長

部会長代理

 

香西  泰

(社)日本経済研究センター会長

稲葉 興作

日本商工会議所会頭

 

石川島播磨重工業(株)代表取締役会長

井原 哲夫

慶応義塾大学商学部教授

井堀 利宏

東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授

岩田 一政

東京大学大学院総合文化研究科教授

角道 謙一

農林中央金庫理事長

川勝 堅二

(株)三和銀行相談役

黒田 晁生

明治大学政治経済学部教授

 

日本経済研究センター主任研究員

小島  明

(株)日本経済新聞社論説主幹

小長 啓一

アラビア石油(株)取締役社長

小林 佳子

(株)博報堂キャプコ取締役

佐々波 楊子

慶応義塾大学経済学部教授

下村 満子

(財)東京顕微鏡院理事長

清家  篤

慶応義塾大学商学部教授

鶴田 俊正

専修大学経済学部教授

中井 検裕

東京工業大学大学院社会理工学研究科助教授

長岡 貞男

一橋大学イノベーション研究センター教授

長岡  實

東京証券取引所正会員協会顧問

 

日本たばこ産業(株)顧問

奈良 久彌

(株)三菱総合研究所取締役会長

成瀬 健生

日本経営者団体連盟常務理事

濱田 康行

北海道大学経済学部教授

樋口 美雄

慶応義塾大学商学部教授 

ロバート・アラン・フェルドマン

モルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト 

深海 博明

慶応義塾大学経済学部教授

福井 俊彦

日本銀行副総裁

村田 良平

(株)三和銀行特別顧問

村本  孜

成城大学経済学部教授

師岡 愛美

日本労働組合総連合会副会長

八代 尚宏

上智大学外国語学部国際関係研究所教授

吉井  毅

新日本製鐵(株)代表取締役副社長

吉川  洋

東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授

鷲尾 悦也

日本労働組合総連合会会長


〔 部会長 〕 ただいまから、第9回経済審議会経済社会展望部会を開催いたします。

皆様方には大変お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。

本日は、各ワーキング・グループの報告をお願いすることになっております。

早速ですけれども、実は技術革新ワーキング・グループの座長の長岡(貞)委員が、早めにご退席になるということでありますので、最初にお願いしたいと思います。

いままでの当部会における議論を踏まえまして、追加、修正をした点を中心に、恐縮ですが簡単に5分ぐらいでご報告をいただいて、また5分ぐらい皆様からご意見をいただきたいと思います。

それでは、長岡(貞)委員、お願いいたします。

〔 長岡(貞)委員 〕 一橋大学の長岡でございます。

今日、海外出張に出かけるものですから、少し早めに退出させていただきます。

技術革新ワーキング・グループでは、いままでこの部会でもいただきましたコメント等も踏まえましてとりまとめを行いました。

今日は、資料2ー5に報告書の案が示されております。

参考の図表等は、前回、この部会でご報告させていただいたものと同じでございますので、今日は配付されておりません。

資料2ー5の一番最後のページをめくっていただきますと、「まとめ-今後の技術革新を展望する視点」という資料がございますので、これに基づいて簡単に報告書の骨子をご紹介申し上げたいと思います。

これまでの我が国の技術革新の姿というのが出発点として書いてございまして、一番左の方でございますが、製造業が技術革新の中心的な担い手であったこと、製造業でも生産技術の水準は高いわけですが、基礎研究との関連が深いサイエンスベースのイノベーションというのは比較的弱かった。それに非常に密接に関連して大学とか国立研究機関の貢献が比較的小さかった。製造業に対して非製造業というのは国際的に見て非常に低い生産性にとどまっている。こういうのがこれまでの我が国の技術革新の特徴であったかとワーキング・グループで考えております。

今後の環境変化としましては、1つは強い生産技術の面でも相対的にアメリカもリカバリーをしてきますし、韓国とかもかなり伸びていますので、優位性が相対的に低下してきている。

経済成長との絡みですと、制約要因が地球環境問題、高齢社会への突入ということで強まってますし、産業構造の面では製造業のウエイトが今後も下がっていくだろうということが考えられます。反面、技術革新への新たな機会ということで、当面、まず情報通信技術、バイオテクノロジー、あるいはナノ技術といったところで新しい技術革新の芽も出てきているという認識を持っております。

今後、どういう措置をとればどうなるかということでございますが、研究開発の促進という面とともに、内外で利用されている新技術、内外で既に開発されている新技術をできるだけ効率的に使っていくという技術利用の促進という面が非常に重要だという認識を持っております。

研究開発の促進の分野では、民間企業が日本の研究開発の中心的な担い手ですけれども、その分野をもう少し基礎的なもの、あるいはパイオニア的なところに重点を移してもらうということが1つでございます。そのために、例えば社内ベンチャーの育成のために持株会社を使うとか、あるいは知的財産権の強化、こういったことが重要であるということが書かれております。

大学、国立研究機関については、グローバル・スタンダードに合うようにもう少し研究の重点化、あるいは研究の水準の強化をいろいろな方途でやっていく必要があるのではないだろうかということが書かれております。

技術利用の促進の面では、今後、非常に重要なのは情報通信の活用の促進ということで、情報通信技術にみられる技術革新が非常に大きな影響を及ぼし得るというのは、たまたま規制産業であるといいますか、従来、非常に強く規制されてきた金融とか運輸といった分野が非常に多いということでありますので、規制緩和あるいは規制の廃止が非常に重要だということ。

今後、起こり得る情報通信の革新というのはネットワーク・ベースということでございますので、つまり、政府、企業、消費者がネットワークですべてつながれるということでございますので、その大きな当事者であります政府が電子政府を目指してディジタル化を非常に積極的にやっていくということが大きな促進の手段になるというような指摘がしてあります。

急速な技術革新が起こっている分野では、エコノミック・ディプリシエーションが非常に速いわけですので、今の例えば減価償却制度もエコノミック・ディプリシエーションに合わせて短縮化を図っていくということも必要ではないかと認識しております。

今後の技術革新の姿ということでございますが、当面は情報通信技術を徹底的に使っていくというのが1つの大きな目玉になるのではないかということで、規制緩和と相まって金融とか流通等の革新、公開情報が幅広く活用される。政府の持っている統計あるいは政府が持っている特許等のデータベース、こういったものが幅広く共有されるようになって技術革新が促されるというのが、今後の非常に大きな技術革新の中核になるのではないかと考えております。

製造業の分野では、基礎研究と実用化の研究の関連がもっと密接化されていく。その結果、パイオニア的な技術に開発によって新規産業が創出する、あるいは既存技術産業の革新が図られていく。

特に強調したい点は、規制緩和に相まいまして、技術革新が非製造業でも企業の主要な競争手段になっていくのではないか。新しい商品を作る、あるいは新しいサービス方法を提供するということが、非製造業の金融とか流通、運輸でも主要な競争手段になっていくのではないだろうかと考えております。

新たな社会的なニーズの対応ということで、経済成長の制約要因ということを申しましたけれども、日本では地球環境等に関連しましてCO2 等の分野でもいろいろな技術革新がされておりまして進んでおります。ハイブリッド車になりますとCO2 の排出量が約半分になるわけですが、こういったところは日本の分野での技術革新というのは、日本の経済成長の制約要因を弱めるだけではなくて、国際貢献という面でも非常に重要ですので、国が強く促進していく必要があるのではないかということを考えております。

同様なことが高齢社会への対応の円滑化のための研究開発についても、新たなニーズが発生しているのではないかという認識を持っております。

 全体として、今後の21世紀を展望して何を残すべきかということですけれども、技術というよりは技術革新力といいますか、新しい技術を吸収して使っていく、新しい技術を生み出す、それを総称して「技術革新力」というふうにワーキング・グループのレポートで呼んでおりますが、これ自体を継承していくというのが非常に重要ではないかという指摘をしております。以上でございます。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

 長岡(貞)委員のご報告について、ご質問等ございましたら、どうぞ。

〔 A委員 〕 非常に興味深く拝聴したのですけれども、最後の方で、例えば規制緩和がサービス分野でのさまざまな技術の利用を促進するというような、市場との関連について少し触れられたわけですけれども、このご報告の7ページぐらいか高齢化社会と技術ということが書かれておりまして、特にその中で介護サービスとかそういうようなところへの技術の活用も進むのではないかというようなことが書いてあるわけですが、おそらく、このときに1つ重要なのは、例えば介護分野でいろいろな技術が出てくるためには、多分、労働市場で介護労働の値段がどんどん高くなっていって、介護サービスを提供する事業者にとって労働を機械によって代替するインセンティブが強く出てくるということが必要だと思います。ですから、そういう意味で、もう少し技術の革新に対する市場のインパクトといいますか、私は、特に労働力がだんだん希少化してくるということが多分非常に重要なドライビングフォースになると思いますので、そのあたり、もし何かどこかで指摘していただけるとよろしいのではないかと思います。

〔 部会長 〕 他にございますでしょうか。

よろしゅうございますか。

〔 B委員 〕 1つだけ質問させていただきたいのですが、一番最後にお話があった「技術革新力」、技術革新を生み出す力ということだと思うのですが、その核になるようなものはどういうものだというふうに特に強調されているのでしょうか。例えばヒューマン・キャピタルとかいろいろなことがよく言われるわけですけれども、あるいは何らかの特殊なシステムとか--。ヒューマン・キャピタルといっても非常にベーシックな教育が行き届いているというようなこととか、あるいは非常に天才的な発明を生み出すような力とか、その他諸々、現在、日本はどういうものがすぐれているのか、あるいは将来に持ち越されるべきかというふうにお考えなのかということをちょっと教えていただけたらと思うのですが。

〔 長岡(貞)委員 〕 技術革新力というときには、一言で言えばヒューマン・キャピタルというよりは、技術革新を促すような組織と制度全体のことを「技術革新力」と言ってまして、具体的には、当然のことかもしれませんが1つは企業の力といいますか、企業がパイオニア的な研究開発に取り組める、そういう能力をつけることが必要ですし、制度の面ではそれを促すといいますか、例えば知的財産権の問題、あるいは大学とか国立の研究機関がそういったところといかにうまく連携ができるか。そういったことが入ると思っています。もちろんヒューマン・キャピタルというものも重要で、大学の研究の能力ということもあると思います。

技術利用の方も重要ですから、やはり技術革新が積極的に新技術を使うようなことを促すということが必要ですから、「技術革新力」というときに、例えば規制のやり方、日本は例えば新しい薬が認可されるというのは非常に遅いペースでされているわけですけれども、新しいものをどの程度社会的に認知していく能力、それを早く社会的に認知して活用していく。そういった制度的な面も含めて総合的に「技術革新力」と呼んでおります。ですから、国の制度も問題もありますし、企業の能力の問題もありますし、大学等で育てられるヒトの能力の問題もありますし、全体を総称して「技術革新力」と呼んでいるつもりであります。

それから、A委員のご指摘は非常にもっともだと思いますので、報告書の方で対応するように直したいと思っております。

それから、技術革新力についてももう少し詳しく書くようにしたいと思います。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

それでは、長岡(貞)委員、ありがとうございました。

次に、地球環境ワーキング・グループからご報告をいただきたいと思いますが、この報告については、昨年の審議経過報告以来初めてのご報告だということになります。また、前回骨子のみでのご紹介でした財政・社会保障ワーキンググループについては、今回改めてご報告をいただくことになります。それぞれの座長からご説明の後、委員の皆さんからご意見をお伺いしたいと思います。

地球環境ワーキンググループ座長の深海委員、ひとつ20分程度でご報告をお願いいたします。

〔 深海委員 〕 資料2ー1地球環境ワーキング・グループ報告書(案)と、その後ろに図表/参考資料として別紙と2つのものがパックされておりますので、できればそれを分離していただいてお聞きいただきたいと思います。

報告書(案)の1ページに目次がございます。全体としてどういう検討をしたのか。昨年12月15日に一応報告させていただいて、その部分がどこに当たるのか等々ということで全体像を最初に申し上げて、新しく付け加えられました部分を中心にご説明させていただきます。

それでは目次をご覧いただきたいと思います。私どもの報告書は1、2、3というふうに大きく3つに分かれております。1のCO2 対策を巡る展望という部分は、12月15日に報告させていただいた部分でございますので、ごく1,2分でご説明し、新しく付け加えられました2のCO2 対策と我が国経済-経済モデルによるシミュレーション分析-という部分。それから1、2を総括したような形で、私どもが提起したいと考える3低排出社会の構築に向けてという全般的な検討。そして(5)の下にあります「低排出型社会の構築に向けて-提言」という形で7つの提言をまとめさせていただいておりまして、その提言と2の部分に重点を置いて説明させていただこうと思っている次第でございます。

付属資料の方でございますが、-図表/参考資料-でございますが、最初に12ページをお開きいただきますと全体像がある程度おわかりいただけるのではないかと思います。12ページの図表3ー(1)ー1「低排出型社会」の見取図をご覧いただきたいと思いますが、私どもが低排出型社会に向かってというので、フローチャートの真ん中にございます「技術」、「産業構造・企業行動」、「社会システム・インフラ」、「ライフスタイル・社会意識」という4つの要素が重要である。網がかかっております意味で言うと「社会システム・インフラ」のディマンド・サイド・マネジメント、ESCO、ラベリング、テクノロジー・プロキュアメントというこの部分は前回の資料、今回の報告書の1になっておりますところで説明させていただき、技術の部分の太陽光発電のラーニング・エフェクトについても1で説明をさせていただいたわけでございまして、技術的な部分にありますような技術が、2010年までにある程度導入されたらどうかというのが、2のモデル分析のシミュレーションのDのシナリオになっているわけでありまして、そういう部分を中心に検討をしたということでございます。

そして、最後に3低排出型社会の構築へ向けてという提言で、実際には一番下にございます(5)政策・制度等推進手段がそれを達成するための主要なものでございますが、私どもは、そのごく一部をやったにすぎないということが今日の報告の限定条件でございます。

さらに、1ページ目から2、3をご覧いただきますと、もう一つだけ私どもが問題をどこに絞ってやったのかということをご説明させていただきたいと思うのですが、いろいろな経緯、いわゆるCOP3でどういうものが決まったとか、それによって新たな政策手段の積み増しがいるだとか、いろいろなことを前提条件とさせていただきまして、ここで限定して取り上げている問題は何かと申しますと、地球環境の中でも地球温暖化の問題に絞っている。しかも地球温暖化をもたらす温室効果ガスは多々あるわけですが、ここではCO2 、しかもエネルギー起因のCO2 削減という問題に限って議論をしているということ。もう一つは、1ページの真ん中あたりでございますけれども、部会長も参加されていらっしゃいますが、いわゆる内閣総理大臣の要請を受けて地球温暖化対策に関係する9つの審議会の代表が集まられて検討されました。これは正確に申し上げますと「地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合同会議」でございます。ここで昨年の11月にまとめられました対応策をベースに議論しておりますので、合同会議、あるいは合同会議対策というのがそういう形で出てくるわけでございます。

 はじめに、エネルギー起因のCO2 の削減策を考えた場合に、実は需要面の問題と供給面の問題があるわけでございまして、供給面は原子力発電20基、あるいは新エネルギーの供給を増大するというようなことがございました。ここでは、その中でも需要面の対策。合同会議でもそこに中心が置かれたわけですが、それを中心にやっているということでございます。

 図表1をご覧いただきますと、合同会議対策として私どもが前提にしておりますものが、CO2 削減対策としての合計約 5,600万klのいわゆる省エネ手段と申しますか、それをベースに検討を行っているということでございます。

それでは、1の内容に関しましては昨年の審議経過報告の際に既にご説明してありますので、それを総合いたしました図表の9ページをご覧いただきいたいと思います。図表1ー(3)ー8省エネルギーに資する新しい社会システムの比較でございますが、詳しくは本文、付属資料に書いてございますので、一々の説明は時間の関係で省略いたしますが、ESCO、DSM(ディマンドサイド・マネージメント)、ラベリング、テクノロジー・プロキュアメントといったようなこと。もう一つは先ほど申しました技術面における学習効果による価格低下、それによる普及の可能性、あるいはそのための政策手段というようなものを論議しているわけでございます。

本文の13ページをお開きいただきたいと思います。

 本文の13ページが、私どもが新しく付け加えました2CO2 対策と我が国経済-経済モデルによるシミュレーション分析-でございます。これは、対策を付け加える、あるいは対策がとられた場合、あるいはCO2 制約が課された場合に経済成長率、あるいは産業構造等々がどう変わるのかということを一応シミュレーションによって分析したものでございます。

 (2)分析に使用したモデルの概要は、企画庁の長期多部門モデル、詳しくは図表/参考図表の13ページに解説のあります長期多部門モデルでございますが、本来ならば、どういう目標値を設定して、どういうモデルなのかという説明がいるわけですが、モデルを説明しておりますと、それで終わりになってしまいますので、詳しくは先ほどの部分、13ページから14ページにモデルの特質、一応モデルに組み入れられている前提その他が述べられておりまして、初めてお聞きになる方にはまるでブラックボックスの話のようで申し訳ないのですが、ここでは分析に使用したモデルの概要については省略させていただきまして、このモデルをどういうふうに使って経済成長率、あるいは経済構造その他に影響を与えるのかという分析をし、そしてどういう結果が得られたのかということだけを簡単に説明させていただきたいと思います。

ここでは5つのシナリオを設定したわけでございます。本文の15ページをご覧いただきたいと思います。 【1】基本分析用シナリオでございますが、シナリオAがまず「ベースライン」シナリオとなっているわけでございまして、これは、何ら特別のCO2 対策等々を行わないで自由に経済活動を行った場合にどうなるかという意味での自然体のケースであるとお考えいただきたいと思います。

 シナリオBは、シナリオAのケースに、最初に説明させていただきました合同会議で決められた11月の対策、付属資料で言えば1ページ目の対策が実行された場合にはどうなるのか。

シナリオCは、シナリオAで合同会議における取決めが行われていないで、シナリオBでも重点を置きました1990年度のレベルに2010年に戻そうという、いわゆるCO2 制約。1990年度の状況に戻すという制約を課した場合にどうなるかということでございます。

16ページにまいりまして、【2】発展分析用シナリオでございまして、さらにこれに他の要素を付け加えた場合にどうなるかという意味で、DのシナリオとEのシナリオを付け加えたわけでございます。

詳細につきましては付属資料の参考資料1、2で書かれておりますので、そこをご覧いただくということにいたしまして、本文の17ページ《発展分析用2シナリオの簡略表》をご覧いただきたいと思います。

シナリオDは、先ほどのシナリオBにさらに追加的な措置、具体的に追加的な措置というのは17ページの一番上の行を見ていただきたいと思いますが、「技術進歩の追加措置」というような形で2010年に、合同会議の対策に加えて低公害車、先ほど長岡(貞)委員からもございましたハイブリッド車等々の普及が進む、待機電力の削減がある程度なされる、高性能工業炉の業務部門への導入が行われるというような、オーダーで言いますと 1,970万kl、つまり 5,570万klに加えて、さらにそれだけの削減が達成できた場合はどうなのかという、そういう追加的な措置のシナリオでございます。

 シナリオEというのは、そういう追加的な措置なしに、シナリオDで結果として生じますCO2 の排出量が2010年度に 4.7%削減するという計算が行われておりますので、その 4.7%削減というCO2 制約だけを課した。

 こういう5つのシナリオを設定して、それによってエネルギー起因のCO2 排出量はどうなるのか、我が国の経済の姿はどうなるのか、産業構造、あるいは産業別の発展はどうなるのかというものを描いてみたわけでございます。

そこで、付属資料の10ページをご覧いただきたいと思います。これは今申しましたシナリオA、B、C、D、Eを相互に比較したものでございます。図表2ー(4)ー1に、CO2 の排出量が各シナリオによってどうなるかということが書かれているわけでございます。ですから、企画庁のモデルを使いまして自然体ケースであるといたしますと、2010年には1990年度の18.2%増の状況になるということでございます。

 シナリオB、合同会議の対策であります約 5,600万klの削減が可能であるといたしますと、ほとんど1990年のレベルに戻っている、プラス 0.3%程度。

 シナリオCは、もちろんご存じのようにCO2 の排出量の制約を課したわけですから 0.0 %。

 シナリオDは、そういう追加的な省エネ措置を行ったとしますと 4.7%減ってくる。

シナリオEは、そういう追加措置なくCO2 制約を課した場合に、経済の姿はどうなるのかということでございます。

上の方の図を見ていただきますとどういう状況かということがわかりますし、図表2ー(4)ー2我が国経済の姿というのをご覧いただきますと、ベースシナリオとの間の比較、どれだけ経済成長率が落ち込んでくるかということでございます。ここで注目していただきたい点は、シナリオB、シナリオDといった意味で技術進歩等々、そういう形で省エネが進んでくるといたしますと、経済成長率にはほとんど影響がないということでございます。

これに反して、そういう措置なしにCO2 制約を課しますと非常に大きな経済成長率の低下が起こってくるということでございまして、Cをご覧いただくとわかりますがCO2 増減90年比±0%という制約のために、年率 1.3%もの成長率の低下が起こる、あるいはシナリオE、つまりシナリオBからさらに 4.7%制約を課しますと 0.2%程度経済成長率が低下してくるという状況が書かれているわけでございます。

 時間がございませんので細かい分析ができなくて申し訳ありませんが、次の11ページの図表2ー(4)ー3をご覧いただきたいと思います。基本的なシナリオ、自然体ケースとの比較を見ていただきますと、やはりシナリオB、シナリオDという、技術革新を考慮してそれが社会に採り入れられるというケースであるといたしますと、産業構造への影響はかなり軽微になるのですが、シナリオCの場合は、エネルギー多消費型の産業、つまり素材型産業を中心とする製造業に対して非常に大きな影響が出てくる、ですから、そうなってまいりますと経済成長率全体に影響が生ずるというだけではなくて、エネルギー資源多消費型産業を中心に、産業構造の調整が行われてくるといったことが結果としては出されているわけでございます。

もう少し詳細に説明いたしますと、既に残された時間が5分弱となっておりますので、本文の20ページをご覧いただきたいと思います。

 このシミュレーション分析の結果だけを説明したのですが、ここにi) 、ii) 、iii) 、iv) という形で、このモデルに伴う留意事項が書いてあるわけでございます。

 CO2 制約を課すという場合には、経済成長率が低下するだけではなくて、産業構造の変化によってエネルギー多消費産業が縮小するということになっているわけでして、これは輸入へ転換するという形になるわけでございます。そうなると、世界全体として見た場合に、日本の素材型産業のエネルギー効率がいいとしますと、全世界的に見たらむしろマイナスになる可能性があるかもしれない。また、京都議定書では、共同実施とか排出権取引、その他のオプションがあるのだけれども、ここではそれは考慮されていない。

 それから、このモデルの特性として、最終消費の比率が既に与えられておりますので、生産面における産業構造の転換と同じような意味での消費パターンの変化が考慮されていないという点。

 最後ですが、ここでは、経済的な措置その他考えられていないのではないかというふうにおっしゃられるかもしれないのですが、CO2 制約を課した場合にはシャドウ・プライスという形で、この点は重要ですので指摘させていただきますが、参考図表の14ページの一番下の(注)でシャドウ・プライスというのをどういうふうに理解したらいいのかという説明が書いてありますが、それとのかかわり合いで申し上げてみますと、一体、どのぐらい、ある意味でCO2 1t 当たり数万円程度の価格で排出権取引がなされている、あるいはインプリシットに言えば、CO2 1t 当たり数万円程度の炭素税が課され、それを補助金として支出する、そういう形で実はCO2 制約の場合の対応がなされている。こういう結果になりますので、ある意味で言えば炭素税等々へのインプリケーションもみられるのではないかと思います。

本文の22ページからは新しく付け加わったところでございますが、これは時間的な制約がございますので、先ほど開いていただきました図表の12ページでございますけれども、この4つの要素、「技術」、「産業構造、企業行動」、「社会システム・インフラ」、「ライフスタイル・社会意識」という、こういうそれぞれの要素についてまず簡単にサーベイ、あるいはこういう点が重要であるということを言わせていただきまして、最後、本文の25ページをご覧いただきますと、(5)政策・制度等推進手段という形で政策的な役割の重要性についてもリファーさせていただいているわけでございます。時間が超過しておりますが、内容的に2,3注目すべき点についてご説明させていただきたいと思います。

26ページ、27ページに、最終的な目標としております低排出型社会の構築に向けて7つの提言を、1と2の分析をベースとして書かせていただいております。

これについても本来詳しい説明がいるかと思いますが、提言の説明部分ではなくて、提言の四角で囲ってあるところだけを簡単にリファーさせていただこうと思います。

1つは、前回の報告にございました学習曲線というものに沿って製品、例えばハイブリッドカー、太陽電池等の生産コストが低下していくということでございますので、いわば初期段階での公的支援ということも考えてはどうか。

提言2でございますが、これは1でESCOについて説明せずに恐縮ですが、ESCO等々というようなそういう個別的な対応策によってかなり省エネの可能性がある。そういうものを整備するということも考えてはどうか。

それから、第2のシミュレーション分析で明らかになりましたように、合同会議対策がもしできるといたしますと、経済の実体への影響はかなり、あるいはほとんどなくてすますことができるということですから、改めて合同会議対策の実行が重要である。

27ページにまいりまして、提言4、5、6、7でございますが、これは先ほど説明させていただきましたように、CO2 制約を課した場合にはエネルギー集約産業等々というところで非常に大きな影響が生じる。ですから、マクロ的な部分だけではなくて、産業構造転換への調整コストを最小にする対応策がいるのではないだろうか。

それから、新技術の導入あるいは技術進歩によってかなり影響を軽減することができるというのがシナリオB、シナリオDによって明らかであると思いますので、そうなると、省エネ技術開発が重要であり、そういうための1つの方向づけとしてキー・テクノロジー戦略的なものを挙げてみたわけでございます。

提言6ですけれども、期間的にとらえるだけではなくて、逆に省エネルギーあるいは省資源型の新しい事業展開の可能性もあるのであるから、そういう意味で言えば、成長機会等々という前向きの考え方もできるのではないか。

提言7でございますが、先ほどの長岡(貞)委員の説明にもございましたように、日本が低排出型社会を実行できるとすれば、それを世界的に伝播していく等々という、そういうことも重要ではないかということを指摘させていただいたわけです。

時間が超過いたしましたが、シミュレーションの結果について具体的な内容を説明させていただきまして、以上のようなことで、限定された形ではございますけれども、ケーススタディーとシミュレーション、それに応じた政策提言みたいなものをまとめた次第でございます。以上です。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

ご質問は後でまとめていただくことにいたしまして、続いて財政・社会保障ワーキング・グループ座長の井堀委員からご報告をお願いいたします。

〔 井堀委員 〕 財政・社会保障に関しては、いままでの報告では骨子だけだったのですけれども、今回、一応暫定版ながら数字がまとまりましたので、それも含めて定量的なところを中心に追加したところを紹介させていただきます。

資料の方は報告書(案)と参考図表と、暫定的な数字の資料(会議終了後返却)があります。基本的に報告書全体の骨子は変わっていないのですけれども、主に前回と比較して新しく加わったところを簡単に紹介させていただきたいと思います。

全体の目的意識は報告書の1ページにまとめてありますが、基本的に1ページの最後から2番目のパラグラフですけれども、現段階では国民の負担感は必ずしも明確ではないけれども、現在の財政・社会保障のシステムがそのまま続いた場合には高齢化等によって財政的にかなり厳しくなる。それをどういう形で回避するのか、財政構造改革、社会保障構造改革が定量的にどういう効果を持っているのかというのを分析しようというのがここでの大きなポイントです。

1つ目は、2番目の構造改革と世代会計というところなのですけれども、これが今回私どもが報告する1つの大きな点です。

具体的に報告書の3ページに書いてありますけれども、世代会計の手法によって財政構造改革が行われなかった場合、行われた場合に、各世代にとってどういった便益と負担が変化するのかというのを試算してみました。

財政構造改革が仮に行われないとした場合の政府の収支構造を所与として暫定的に世代会計の試算を行って、将来世代、20代、30代、40代、50代、60歳代で1世帯当たり生涯の受益と負担額がどうなったかというのを現在価値に直して試算したのですが、それによると、50歳代よりもお年寄りの方はネットで見れば1世帯当たりで生涯通じて財政・社会保障を通じてプラスになっていますけれども、それよりも若い世代はマイナスになっています。これはネットでみれば負担の方が大きいということです。

これが基準となる世代会計の試算ですけれども、仮に財政構造改革が行われた場合に、この世代会計を各世代に受益と負担を割り振ったものがどういう形で変わるかというのが、財政構造改革が行われたことの効果ですが、この1つは財政構造改革が行われることによって政府の歳出が減りますので、結果として将来世代あるいは若い世代が負担する政府の債務が減るという効果が予想されます。もう一つは、財政構造改革の結果として中長期的には経済が活性化されて成長率が高くなる。この2つの効果を反映して各世代別にどういった形で受益と負担が変化するかというのをみると、50代、60代の世代は財政構造改革が行われることによってネットの受益額は悪化しますけれども、40代以降は財政構造改革が行われることによってネットの受益額がよくなります。

 次に、社会保障改革が行われた場合の効果を追加してどうなったのかというのをみたわけですけれども、ここで社会保障構造改革というのは、高齢者の年金給付額を25%削減。この25%というのは、ここでは80歳まで生きるという単純化をとっていまして、60歳から80歳までが高齢世代の年金受給期間、これを現状ケースと考えているわけですけれども、社会保障の構造改革が行われることによって、仮に支給開始年齢が65歳に引き上げられますと、いままで20年間もらっていた人が15年間もらうということになりますので、その分年金給付額が4分の1削減されるだろうとの想定で、25%年金給付が追加されて削減される場合にどうなるかというのを見ております。それでみますと、社会保障の構造改革が行われた場合には、高齢者のネットの便益がその分悪くなりますけれども、その見返りとして若い世代の便益は改善されることになります。

その意味では財政構造改革と社会保障構造改革が行われることによって、将来世代、若い世代にとってかなり財政面での負担が軽減されるというプラスの効果が期待されます。

 もちろん、その裏には、年取った世代の、特に50代以降の世代にとってはマイナスに働くわけですけれども、ただ、どちらかと言えば高齢者世代にとっての負担増よりは若い世代の負担減の方が大きいのではないか。そういうような評価ができるかと思います。

その意味では報告書の8ページにまとめてありますけれども、こういった改革が実現することによって若年世代、将来世代の負担が縮小するということが世代間の公平性に関しては改善の方向に進むだろう。そういった世代間の公平性が改善されるということが将来に対する不安感を除去することにつながれば、経済全体の活性化にもプラスになるだろう。これが世代会計を通じた1つの試算です。

報告書の9ページ以降の3.経済パフォーマンスを阻害しない社会保障制度の構築に関しては、文章面でいくつか書き加えてありますが、お読みいただければ大体わかると思いますし、基本的な考え方に関しては前回既に報告しておりますので省略させていただきまして、13ページのところで積立方式から賦課方式へ公的年金を変える場合の試算が1つありますので、簡単に紹介したいと思います。

これは参考図表の6ページに2国間の世代重複モデルを用いて積立方式に賦課方式から移行した場合に、貯蓄率、投資率、あるいは資本労働比率が、移行しなかった場合に比べてどうなるかという簡単なシミュレーション分析をした結果が載せてあります。

その結果で、積立方式に移行することによって、特に貯蓄・投資が刺激されて、経済成長が刺激されるということが試算の結果として出てきましたので、その意味ではマクロ全体への効果を考えますと、公的年金を賦課方式から積立方式に移行するというのは長期的には大きなメリットがあるのではないかということです。ただし、報告書の14ページに、移行期の問題を多少触れてありますので、長期的なメリットが現実的な政策として評価に値するには、いわゆる移行期における二重の負担等の問題をきちんと解決する必要があるという点を指摘してあります。

 もう一つ、今回シミュレーションで扱ったのは、報告書の17ページ、公的年金制度の規模の縮小による効果であります。基本的には積立方式に移行する、あるいは積立方式的な色彩を強くするということは、マクロ経済に与える効果を考えますと、公的年金の規模を縮小して、その分、民間の私的年金で代替するということとかなり効果が似ておりますので、ここでは公的年金制度の規模を縮小することがマクロ経済にどういう影響を与えるかということで、いわば段階的なあるいは部分的な積立方式への移行のマクロ的な効果も考えてみようということです。

具体的には、17ページの最後の段落ですが、これは企画庁のマクロ経済モデルを用いまして年金の給付水準の段階的引下げと特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢の引上げということで、2025年時点での全受給者の平均年金額の水準を、こういった改革を行わない場合に、現状維持のケースに比べて10%ポイント程度低下するように2001年から段階的に年金の支給額を引下げるという、そういうシナリオで、これを改革ケースと呼んでいます。

 それと、現状を維持するケース。現状の公的年金制度を維持するケースとを比較して、2010年から2025年の平均的なマクロ経済のパフォーマンスがどうなっているのかというのを見たのが世代会計の試算の後についてます「会議終了後返却願います」というものの最後「マクロ経済フレームによる試算結果」という数字です。その2番目の2010年から2025年の平均の経済パフォーマンスのところを見ていただきますと、年金改革を行うことによって成長率、平均貯蓄率、民間の設備投資の伸び率が改善するなど、マクロ経済にとってはプラスの効果が期待できるということです。

 それから、2025年時点でも、公的年金の財政という観点から、厚生年金の保険料率を比較しているわけですけれども、現状維持ケースと比較して改革ケースは低い保険料率にとどまる。その意味では年金財政にもプラスの効果が期待できる。そういう形で公的年金をスリム化するということがマクロ経済には長期的にはかなり効果が期待できるのではないかというのが、ここでの試算の結果です。

 最後に、報告書の18ページ以降の(4)医療制度改革の視点ですけれども、ここも前回の骨子に比べると大幅に加筆してあります。

細かい内容には触れませんけれども、医療制度を効率化するためには、競争原理を基本とした制度を構築することが重要であって、それに伴って医療供給体制の機能分化と診療報酬体系を見直すということと、情報公開、情報提供の推進と保険者の機能の強化というのが非常に重要であるということを指摘してあります。

報告書の22ページ、最後の方ですけれども、介護に関しても、これから高齢者社会の中で介護に関しての施策を充実することが重要であり、特に介護保険に関してはプラスの面を積極的に伸ばしていくような対応が必要だろうということを触れております。

 時間がまいりましたので、以上で終わります。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

それでは、皆さんから、地球環境、財政・社会保障を含めてご意見を伺いたいと思います。

〔 C委員 〕 環境問題について2つご質問したいのですけれども、1つは本文の27ページの提言の5ですけれども、ここでは省エネルギー関連技術を促進するためにはカギとなる技術を政府が指定しというふうに書いて、政府がかなり重要な役割を果たすようになっておりますけれども、これを本当にまじめに考えていった場合に、こういうことは可能なのかどうかということに非常に疑問を持ったのです。つまり、まず政府に情報が十分入っているのかどうかということが1つの問題になります。もう一つは、それと関連して多分環境を克服するための技術というのは、各企業にとって非常に重要な技術であるし、平たく言えば儲けの種になる可能性があるわけであって、そういう重要な情報を政府にやすやすと公開することはあり得ないだろうと思うのです。もし、政府に公開するとしたら非常に陳腐な技術であって、そんな技術で政府が何らかの対応をするというのは、私は時代錯誤ではないかなという気がするし、もっとマーケットを信頼して、おそらくいろいろな技術が出てくるのだろうと思いますから、そういうことを考えていくべきではないかというのが第1の疑問であります。

2番目は、CO2 制約に対していくつかの政策手段を使われるのだと思うのですが、例えば炭素税とか排出権への取引等々があると思うのですが、よくわからないものですから、それぞれがどういうふうな効果を持っているのだろうか。炭素税と排出権の取引というのは全く同じではないと思うのです、したがってどういうケースの場合には炭素税が有効なのか、あるいはどういうケースの場合には排出権の取引が有効なのか、その辺、お詰めになっているのならお聞かせいただきたいし、そういう政策効果の移動点と、もう一つ国際社会の中で一体どちらの方に動いているのかということなのです。多分、私の知識が乏しいからなのかもしれませんけれども、炭素税は多分ヨーロッパを中心に考えられているのではないかという気がしますし、排出権の方はあるいはアメリカが中心なのかなという気もいたしますし、そうすると、日本はどちらの方向を向いてこの政策手段を活用していくのかというあたりを、もし、詰められたのであるならばお聞かせいただきたいという2点であります。

〔 D委員 〕 私は合同会議に経済審議会代表で出ているのですが、あまり経済審議会代表としての役割を果たしていないかもしれません。

後で、ライフスタイル・ワーキング・グループの報告もあるので、それとの兼ね合いがあるのですが、私、合同会議でも申し上げていることなのですけれども、今、深海委員からご説明のあった低排出型社会の見取図という図表で見ていますと、ライフスタイル、社会意識、社会システムインフラとの関係、このあたりにもう少し着目して議論を進めるべきではないかと思っているわけです。

深海委員からご報告のあったモデルの提示とシミュレーションは、それはそれなりに大変有効だと思いますし、いろいろな制度なり政策を作る上に大いに有意義だと思いますが、さらに付け加えて、これは展望部会で全部こなすことができるかどうかわかりませんけれども、合同会議でも深海委員のモデルでも、ライフスタイルの部分については非常に小さな部分といいますか,ごく限られたものなのです。クーラーを止めようとか暖房を何度にしようかとか、これも矮小化してはいけませんけれども、重要なことではあるのですけれども、どうも国民生活、ライフスタイルという意味から言うと抜本的な制度改定ではないと思うのです。例えば、ライフスタイル・ワーキング・グループの中でも分散化、分権化の社会を作らなければならないということになりますと、経済的な効果からいって現在のような一極集中のような社会システムがエネルギーにとってプラスなのかマイナスなのか、非常に漠然と考えれば大量型で集中した方がエネルギー効果があるという説もありますけれども、しかし、最近はやりの本で言うと、ガーデニングはどうだとか、南仏型のライフスタイルがどうだとかということになれば、おそらく個々人のエネルギー消費量は非常に少なくなる、こういうふうに考えられるわけです。こういう議論がほとんど進んでいないというところが基本的には問題だと思うのです。

ですから国民生活審議会、これは企画庁が主催しておられるわけですが、ここにもメンバーの方がおられますが、今日のライフスタイル・ワーキング・グループの成果をどのように環境問題のシミュレーションの中に織り込んでいくかということについては、少なくとも問題提起をしておく、どれがどれだけ効果があるというのはすぐはできないと思いますし、例えばいままでの成果でも、これは深海委員も私も加わっているのですが、例えば改めてサマータイムの話が出てくるのですが、サマータイムの話はずっとシミュレーションを積み上げてありますので、そのことをどのようにここに織り込むかというような部分が、実はこの見取図の中のライフサイエンス・社会意識と、社会システム・インフラの問題との関係では重要なポイントになるのではないか。それ以外の技術とか産業構造については、わりあい綿密に詰められるのですけれども、こういうものについては非常に経済効果がわかりにくいだけに、どうも放置されているような気がいたしますので、この点について、質問ではないのですが、意見として申し上げたいと思います。

〔 部会長 〕 他に地球環境関係についてのご質問、ご意見ありますか。

それでは、深海委員、お願いいたします。

〔 深海委員 〕 C委員からご指摘いただいた点は、非常に重要なポイントであることは確かなのですが、私どもの報告書の本文11ページにありますように、いわゆるテクノロジー・プロキュアメントという言葉が最近アメリカやヨーロッパなどで見られるわけでして、そういう面で、技術開発というよりは、効率的な技術を使用した、11ページの「最後に--」と書いてある部分ですが、そういう初期市場を人為的に政府が創出して、ある程度の市場を与えるような形で効果をもたらすことができる。あるいは本文の7ページですが、いわゆる学習曲線が、ランニングカーブが働く可能性がいわゆる新製品とかそういうものは強い。8ページ、9ページのところはたまたま太陽光についてやっているわけでありまして、これを技術スルーするためには、この推計式でやってみますと 850万kWの累積生産が行われるとそうなる。だから、例えば政策手段として9ページのところを見ていただきますと、2分の1の補助金を与えるというような形であるとしたら、どのぐらい政府が与えたら自立するのだろうかというような形で検討をしたことがあるものですから、そんなようなもので、おっしゃったような意味で、ここのところは読み方によっては誤解を招く、あるいは政府が決定して政府が重要な技術を指定し、製作、改良、開発を推進していくというところは、私どものこの検討ではテクノロジー・プロキュアメントみたいなところとか、あるいはこういうある種のものを技術化させるための補助金政策とか、そのような検討をしたので、そういう点との関連で書かせていただきましたので、C委員が明確に指摘されるように、技術全部を評価し、もう一つの問題は、私どものワーキング・グループでも出たのですが、政府が間違った選択をしたときのマイナス効果はどうなるのだろうかというようなこともございますので、今、おっしゃったポイントについては大変重要なご指摘をいただき、そういう形で過大に読み変えられないようにちょっと表現等々検討してみたいと思います。

それから、2番目のご指摘でございますが、確かに具体的な政策手段として何をとるべきか。排出権がいいのか、あるいは炭素税がいいのかというような問題、これも非常に重要な政策イッシューだとは思うのですが、先ほど限定させていただいたように、今回のワーキング・グループは、地球環境というものについてはいろいろな検討が既に行われているわけでございますので、参考図表の12ページの方で申し上げたのですが、そこの部分のわずかなところ、ですから、政策手段とかそういうものの分析は私どもは全くいたしておりませんので、むしろ、私が先ほど指摘させていただいたのは、このモデルを使ってシャドウ・プライスという形で読み変えてみると、ある場合にはやり方によっては排出権取引のこういうCO2 制約を実現するためには、1t あたり数万円の排出権の価格になる。あるいはこれを読み変えてみると政府が炭素税を課し、そしてそれをまた補助金で逆のものに与えるというような、そういう効果というか、あるいはそういう政策をインプライしているという、そういう形で説明させていただいたわけですので、C委員がおっしゃるような意味で、その政策手段をどれかという検討は大変重要なイッシューだとは思うのですが、最初にお断りさせていただいたように、地球環境ワーキング・グループというのは、限られた部分について検討をし、その結果をご報告させていただいた、いわばコンプリヘンシブな分析をしていませんで、その意味では大変申し訳ないのですが、そのような形で、私どもの検討の対象外と言いますか、そういう部分である。大変重要であるということはご指摘のとおりだと思います。

D委員からご指摘いただきましたライフスタイル、あるいはサマータイム制度のこと、私もD委員と一緒にやらせていただいたこともございまして、確かにそのとおりだと思うのですが、むしろ言い逃れになるといけないのですが、明確な形で、あるいは具体的な数値とかその他が出せて、そういうような意味でライフスタイルに関しては、まさに私どもの報告書で言えば最後のところのまとめの部分の25ページに、サマータイム制の重要性を上の部分、4行目ぐらいでしょうか、ライフスタイルの一環としてそういうアナウンスメント効果その他があるので、重視すべきだ、その程度のリファーでございまして、本来はここが分析で一番中心かもしれませんが、どうも数量的な分析、あるいは具体的な分析、それから、ライフスタイルの方のワーキング・グループとの調整の問題等々もあろうかというので、ここは基本的にはアンタッチャブルにした部分で、重要性はおっしゃるとおりだと思いますので、新しい形で検討の機会があれば、むしろライフスタイルとか、関連ワーキング・グループと合わせたような形で議論できたらいいのではないかというふうに、私個人的には思っております。

〔 部会長 〕 確かに提言5は、四角の中の表現をこのまま読むとターゲティングをして、官主導でやっていくというふうにしか読めませんから--。

〔 深海委員 〕 ですから、今、私が申し上げさせていただいたように、ちょっと文言とか、私どもの意図するところがより明確だった方がいいと思いますので、これは是非検討させていただきたいと思います。

〔 部会長 〕 もう一つ、この部分ではないのですけれども、これはむしろ民間の立場での話、アメリカなんかはっきりしているのですけれども、日本も、まだアメリカほどははっきりは言いませんけれども、とにかくCO2 問題については、基本的には科学的根拠がまだ薄弱だ、だから京都COP3なんかまじめに取り上げられるかと。まじめに取り上げられるかって、日本ではなくアメリカが言っているのですが、正直言えば本音はそういうふうに感じているプライベートセクターが多いのです。それは、実際には成長力に対してマイナスになるからと言っているけれども、むしろマクロの成長力の話よりは、自分のところの企業に損になるからそんなことやるかと。これはやはりマーケットを、あるいはプライベートセクターにだけ任せることのマイナス面だと私は思うのですが、そのときにパブリックセクターがそれはそれとしてそのとおりだけれども、じゃあ、放っておいていいかというわけにいかないので、どういうことができるか--、それはターゲティングの話とちょっと違うのですけれども、どうもやはりプライベートセクター以外、あるいはプライベートセクターを巻き込んで今のような、しかし、非常に重要な環境技術の問題等についてはどうしていくかということは残る問題ですね。これは何かの形で言わなければいけないのではないかという気はしますし、民間だけに任せておけばいいのかということでもないような気もしますけれども、これだけの表現ですとちょっとC委員のご懸念のように--。

〔 深海委員 〕 この点は提言5、四角の部分及びこちらの点については事務局とも相談した上で、今のような趣旨を入れさせていただいて、あるいは部会長からご指摘された点も含めるような形で考えてみたいと思っております。

〔 部会長 〕 よろしくお願いいたします。

財政・社会保障関係についていかがですか。

〔 B委員 〕 質問と提案なのですが、質問は、年金などに関して世代会計というのは非常に明快だと思うのですが、政府の支出入全体についての場合、特に支出の方、個人からすれば受益ということになるかと思うのですが、そちらを世代間にどういうふうに按分されたのか。報告書を拝見すると8ページの【1】に(注)で説明されているわけですが、大ざっぱでけっこうなのですが、政府から言えば支出、個人から言えば受益のところの世代間按分が基本的にどういう形でどういう考え方でどういう方法でやられたのかを説明していただければというのが質問です。

2番目の提案というのは、今のことと関連するのですが、経済審議会の報告書を最終的に出されるときに、こうしたシミュレーション、これは環境にも当てはまるのですが、シミュレーションの方法あるいは前提、仮定を、もちろん本文で書くのは適当でないと思いますが、どこかで、第三者が見たときにある程度の知識を持ってそれを見ればどういうシミュレーションがなされて、どういう前提でなされているのかということが完全に理解できるような、そうしたものが発表されることが望ましいと思います。それはもちろん、今、お話ししたように本文に書くのは適当でないわけで、本文はもちろん文章とか大ざっぱなズレはけっこうだと思うのですが、どこか付表の他に、ちょうどこの財政で言えば8ページの(注)、これはあまりにも簡略に過ぎて、これだけだとどういうことがなされているかというのは理解できないわけですから、仮に数ページを費やしてもどういうようなシミュレーションがなされたのかということを是非発表していただけたらと思います。

〔 D委員 〕 この財政・社会保障ワーキング・グループは、私も認識しているつもりですが、経済審議会の社会展望部会としての問題提起だと思いますので、実は、社会保障や財政を考える場合には別の視点、切り口が当然あり得るわけです。私は、こういう立場ですから、そういうことにどうしても傾きがちなので、例えば、井堀委員のご報告の世代会計についてのシミュレーション等については、十分な理解は勉強しなければできない部分はあるのですが、貴重な問題提起だと思うのです、こういう経済的な分析ということが必要だと思うのですが、それにしても、意見はやはり一言言っておかなければいけないと思うのです。例えば、3.の社会保障と経済とのかかわり合い方を定義する際に、どうも私の立場から言うと、経済パフォーマンスを阻害しない社会保障制度の構築というのは、社会保障制度が何か経済パフォーマンスをすぐ阻害するというふうに、こういう発想のように思えて仕方がないのです。ちょっと刺激的な言い方で申し訳ないのですが、私たち自身は社会保障制度のあり方というものは、これまでの経済の発展にもセーフティーネットという意味合いも含めて非常に貢献している部分があったという認識に立つべきではないかと思うのです。したがって、刺激的に出す方がこの報告書全体としても国民に読まれるというような配慮があるのであればまた別ですけれども、そうでなければもう少しソフトな、経済と社会保障の協調というか調整をできるような制度の設計というようなことではないかと思うのです。

それから、世代会計の問題についてもそうなのでありますが、これも先ほどの環境の問題と同じなのですが、例えばライフスタイルというところのペーパーを見ますと、22ページで、敗者復活と弱者救済に配慮した施策の実施と書いてあるのですね。ここに書いてあるように結果の平等ではなくて機会の平等が保証されていればいいのだということではあるのですが、しかしながら、そのバランスをどうするかということについてはライフスタイルのワーキング・グループでも書いてあるわけでありまして、その意味から言うと、高齢者の活用だとか、労働力移動とかいうことに、これまたあちこちとんで恐縮なのですけれども、雇用・労働のところでも労働力の移動ということを、あるいは高齢者の労働者の活用ということを言っているわけです。それが社会保障制度とのかかわり合いが非常に濃厚にあって、例えば労働移動と言ったってそう簡単にミスマッチを解消できないということになれば、これはその間を何らかの形の社会的措置でつながなければならない。その部分の経済的効果をどう考えるかというのはなかなか難しいのですけれども、この中には入れておかないと社会保障制度と財政の問題なり経済のかかわり合い方というのはちょっと片手落ちではないか。もちろんワーキング・グループとして、ある前提を置いてされたというのは、くり返し言いますけれども、経済審議会としてはそれでいいと思うのですが、しかし、世間に発表して提言するためには、そうした側面についてやはりあるんだよということをちゃんと指摘しておかないと、経済審議会の結論が逆効果的な提言になっていかないかという危険性があると思います。

 そうした意味合いからいくつか、ちょっと長くなって恐縮なのですけれども、この問題についてはいろいろ意見を申し上げたいのですが、例えば公的年金制度改革についてのご指摘があるのですが、公的年金制度の、今、私ども基礎年金の問題については一番問題なのは空洞化問題なのです。未加入や未納や免除という制度がどれだけ基礎年金に財政的な影響を与えているかという指摘が全くない。これは税方式であるか社会保険方式であるかということにも実は大きな影響がありまして、私どもの議論でも悩ましいところなのですけれども、税方式にあるいは切り替えなければいけないのではないかと思うのは、未加入とか免除だとか未納という人たちについての社会的な公平性の問題を担保しないではないかという意見が、私どもに強くございますので、その意味でここの提言も税方式か社会保険方式かということで、どちらかというと社会保険方式の優位性ということが強調されているのですけれども、この点を指摘した上でどうなのかということをやはりチェックしておく必要があるのではないかと思うのです。

 もう一つは、年金財政についても積立方式と賦課方式の問題でございますが、これについても例えば積立方式にした場合に膨大なお金が集まってきたときに、これからの金融ビッグバンの中で実質的にそうした運用をどのような形でするのか。それに対する経済的効果はどうするのかということになると思うのです。 401Kのような話も後から出てくると思うのですが、こうした問題についても実は資金運用するグループがどのような行動をするかということの経済的な側面を考えて、しかも制度的な担保をどうするか。これは決して規制ではなくて、ある程度行動を制約するという部分があっても、社会的には必要なのではないかという感じがいたします。

医療制度改革の問題でありますけれども、これは医療費の増大の要因の1つとして過剰な薬の投与というのは考えないのか。この点についての指摘が全く欠けておりますので、医療制度改革についてはその面の薬価制度の改革の視点がある程度経済的な議論としてしておかなければいけないのではないかと思っております。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

E委員、どうぞ。

〔 E委員 〕 財政金融についての11ページと図表10の雇用者に占める女性の割合について質問と意見があるのですけれども、1955年から94年という40年間に10%という就労の上昇というのは、2つ非常に違った動きを反映してしまっている。つまり、これはパートを含んでの数字だと思うのです。前段の方はおそらく中小企業及び農業では女子が働いておりましたから、それが減っていったんでフラットに減っていった。後段の方は、パートの増加というもので上がっていっているので、2つ産業構造の変化に伴う就労の違いというものが混ざってしまっているので、これをもって今後の女子共同参加に関すると結びつけるのは非常に無理な点があるのではないか。

と申しますのは、ここで就労がフルタイムでやっているものとパートでやっているものとは年金がもともと違うのではないか。と申しますのは、将来的には世帯単位での制度の見直しとおっしゃいますけれども、フルタイムで働いて年金をもらっているもの、最近もらいだしたのでよく知っているのですけれども、就労しているときも年金につきましても世帯単位でやっているという覚えは全くないので、今後、問題になってきまして育児とも支援していただきたいのは、フルタイムで働く女性が増えていった場合に、租税収入及び年金ともにどういうふうに変わっていくかという点を是非ご考慮いただく必要があるのではないか。「展望」とおっしゃいますからには、パートの話と切り離して、将来的にはとおっしゃいますけれども、もともと世帯単位ではないのですけれども。

〔 F委員 〕 1点だけご質問したいのですが、世代会計を計算されて非常に興味深いのですが、この計算の基礎となっている仮定なのですが、財政構造改革等が行われない場合、等が行われた場合と、「等」の中に実はいろいろな改革が入っていて、本文を拝見しますと、財政構造改革も含めて経済構造改革もあると、2004年以降は成長率が3%になる。行われないと1%だという、そういう前提、成長率の効果にかなり差があると思うのですが、この世代会計の違いが成長率の差によるものなのか、それとも現在議論されています財政構造改革法、つまり財政赤字を3%にする。そのために個別の歳出項目についてキャップを設けているわけですが、そのキャップの効果でどのぐらい変わるのか、経済構造が変わって成長率が高まって変わる効果が、その大きさがどういう関係になっているのかがちょっとわからないものですから、仮に純粋に財政構造改革法だけの効果というのを例えば出した場合にはどのぐらいの違いがあるのかということをお伺いしたいと思います。

〔 井堀委員 〕 まずB委員のご質問ですけれども、政府支出に関しては公共投資のところでも触れておりますように、基本的にはそれほど便益が各世代で極端に変わるとは考えにくいので、基本的には各世代に関して政府支出の便益とほぼ按分という形で配分してあります。

財政構造改革で効くのは、むしろ税金の負担の方が世代別にかなり違ってきますので、そちらの方が効いてくるという感じだと思います。

いろいろなモデルの前提その他に関して、確かにわかりにくいのはそのとおりですので、これはできるだけ最後の報告の段階ではきちんと仮定とモデルの基本的な考え方のところは何らかの形で公表する方向でいきたいと思います。

D委員のいろいろなコメントに関してなのですけれども、これはここで直ちにはお答えしにくいのですけれども、確かにいろいろな問題点があるということはおっしゃるとおりなのですが、ただ、経済活動は長期的にはメリットとデメリットがあるわけで、税金で社会保険料を取ってそれをいろいろ使っているわけですから、便益を見れば確かにプラスの効果もありますし、出す方では負担になるわけで両方あるわけですけれども、ただワーキング・グループの問題意識としては、これからの高齢化・少子化社会を念頭に置くと、今の制度のままでは現在に比べるとメリットよりはデメリットの方がよりきつくなるのではないか。そこのところを、デメリットがどのぐらいマクロ経済に長期的に定量的な効果として与えるのか、あとは世代間でどのぐらいデメリットの方が定量的に大きくなり得るのかというのを少し試算してみようということです。

最終的な政策判断のときにはもちろんデメリットだけではなくて、メリットも含めて全体としてどういった社会保障制度のあり方が望ましいかというのは当然考える必要があると思います。

あと、公的年金の空洞化の話とか、いろいろコメントをいただきまして、それに関してはまたそういったところも配慮して検討していきたいと思います。

E委員の、女性の11ページの点ですけれども、これもなかなか難しい点がありますので、そういう点を含めて考えたいと思うのですけれども、これに関しては、特に公的年金と女性就労とをどういうふうに考えるかに関しては、ワーキング・グループの委員の中でも必ずしもまとまってないところなので、このあたりの書き方に関してはいまひとつ整理しきれてないところもあると思うのですけれども、もう一度検討させていただきたいと思います。

 ただ、フルタイムで働いている女性が必ずしも世帯と無関係に年金が支給されているかというと、現在は必ずしもそうではなくて、例えば離婚したとか、あるいは配偶者が過去にどのぐらいの所得があったかということが、例えば先に死んだ場合の遺族年金とかいろいろな形で効いてきますので、全く個人単位でフルタイムとしての場合いつも年金が使われているわけではないということです。

 F委員からの成長率に関してですけれども、確かに成長率が増えることの効果と、そうではなくて財政構造改革等が行われたことによる政府の効果ともちろん両方あるわけで、それをそれぞれ数字としては出すことがもちろん可能で、この範囲で出している数字もあるのですけれども、それも含めてもう少しきちんとした形で、成長率が変わっただけの効果としてはどうなるかということも少し紹介できればと思います。

 ただ、定量的な結果としては成長率が上がった方が各世代に対して共通に効くわけです。それに対して財政構造改革の効果というのはむしろ世代別にかなり異なった形で、要するにゼロサムの中の配分を変えるというのが構造改革の話なので、相対的な比較をする場合には成長率の上がる効果というのは、特に世代間の公平の話には定性的にはそれほど効かないのではないかと思います。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

非常に重要なご指摘をたくさんいただいて、今日は部会長代理がおられないのですけれども、展望部会全体として最終的にまとまったものが将来展望として出ていくという、どういう中身であるべきかということ。これはいろいろな意味でどういう発表方法がとられるかということにもよりますが非常に重要なことなのですが、一方では、大体部会別に個々に公表していただくようなことで今進んでいます。他の部会もみんなそうですけれども、今日の地球環境、財政・社会保障、かなり重要な問題をご指摘いただいて、これから個々に公表していただく前に、今日のご指摘などはそれぞれの部会の中に反映していただくということで、できればチェックという意味ではなくて、今日、特に出た大きな問題については最終的にどういう形で修正されるのか、織り込むのかということについては、できれば修正案なども見せていただいてということにしたいと思うのですが、1つの例として財政・社会保障ワーキング・グループで取り上げている問題、世代間計算というのはいままではっきりやったことがないという意味で、1つのあれだと思うのですけれども、これはつながるものとして経済審議会が国民負担率計算というのをしてまして、全く同じではありませんけれども、かなり似ている問題で、これはD委員のご疑問にもあれするわけで、どちらかというと財政・社会保障というのはコスト意識というか、必ずしもすべてがコストとは思っていないけれども、一方で北欧型みたいなものを1つの例としてとらえて、あそこまでいってしまったら活力が萎えるから、そうしないためにはどうしたらいいかというのが主たる視点であって、ただ、今日はA委員が先にお帰りになりましたけれども、労働・雇用ワーキング・グループでどうなっているかわかりませんが、例えばA委員なんかがおっしゃっているように、思い切って高齢者を活用する、そのために今のいろいろな条件をどんどん排除していけば、極端なことを言うと、コストを減らすだけではなくて実際にはアウトプットを増やすことにもプラスになるではないか。そういう視点は、この前の国民負担率計算には出ていないのです。実際にはレベニューの方は一定化しておいて、エクスペンスの方をどうするかという話をいろいろやってきているので、この辺なんかは展望の問題などに絡んで、結論は出なくてもかなり重要な示唆とか何かというのは、この部会としてはできるいくつかの種になるのではないかという気もいたしますし、個々の世代の問題もあるし、大きな認識としては現役世代と将来の現役世代と、実際に後世にツケを残すのかというああいうラフなものの言い方に対してどういうふうに答えるか。いや、今はケチッて将来の世代をエクスペンスだけで救うよりは、今使ってむしろ将来のための投資をした方がはるかにいいのだという議論も例えばあるとしたら、それに対してどういうふうに答えるのかという、その部分はあまり十分に検討されないできているわけですが、しかし、そんなことは別にしても今日のご指摘だけでもかなり重要なことが指摘されておりますので、両座長には大変ご苦労でございますけれども、ひとつその辺の取込みをお願いして--。

〔 深海委員 〕 先ほど資料の10ページ、11ページでご説明したように、絶対的な成長率ではなくて、こういう措置を講じたら格差というか、どこが違うかというようなことなので、数字はなかなか難しいと思いますから、全体的な統一ができた形でいると思いますので、個別的に発表するところでは絶対的な数字ではなくて、どんな変化が、CO2 とか政策をとったらということなので、個別部会の報告と全体的な統一というところを、また改めて--、ですから、それに抵触しない限りでやらせていただくということになるかと思います。

〔 部会長 〕 だいぶ時間が押していますが、残りの6つのワーキング・グループからざっとご報告をお願いしたいと思います。

佐々波委員、グローバリゼーション・ワーキング・グループからお願いいたします。

〔 佐々波委員 〕 この前、既にご報告申し上げておりますので、基本認識の確認と、新たに付け加わりましたことだけに限らせていただきます。

基本認識といたしましては、この前申し上げましたように、グローバリゼーションの流れに積極的に対応して、経済社会変革の大きな契機としてとらえることが非常に重要であるということと、少子化・高齢化に伴う労働力不足の時代を乗り切るには、効率的な産業構造の実現。そのために財と企業のグローバリゼーションが非常に大きな役割を果たすということで、ことに企業のグローバリゼーションというのは、これまで非貿易財と考えられてきた産業の競争促進にとって大切であるということ。

日本にとってのグローバリゼーションといたしましては、調整能力のある労働市場と、効率性を重視した政策ということが非常に重要である。そのことによって、ただいまのご報告にもありましたけれども、財政・社会保障制度改革というものが非常に重要であって、1人当たり負担の上昇を抑える必要があるだろう。

世界経済への対応としましては、グローバリゼーションの進展というのは世界経済、日本経済ともに非常に利益をもたらすものでありますけれども、保護主義というものが台頭するということは避けなければいけないので、世界的な自由な経済活動が可能なようなシステムの構築に努めなければいけないという点が、前回までの問題でございます。

今回は、一番最後のところの囲みについております世界経済の展望というのが、新たに数字が入ったという点でございます。世界経済というのは2010年までの間に年率約3%の拡大が見込まれ、OECD諸国では 2.5%、APEC地域では 3.1%の成長というものが期待される。

 通貨金融危機で景気後退が心配されておりますアジア地域につきましては、アジアNIEsが 4.8%、ASEANが 6.4%程度の成長というものを見込んでおります。これは、最後に、世界経済の自由貿易システムの重要性ということを申しましたけれども、貿易というのが 3.5%程度の拡大が見込まれますけれども、加えて貿易自由化措置によって 0.8%ポイントの拡大ということが計測結果から示されております。これに直接投資の拡大という効果も勘案しますと、これ以上の伸びが期待できるのではないか。

 地域的な課題につきましては、アメリカについては国内の所得格差への対応。欧州につきましては通貨統合のデメリットを低下させるような各国の構造変革のとどこおりというようなものをなくすこと。申すまでもありませんけれども、アジアについてはマクロの安定化と金融部門の制度改革による通貨金融危機から早く脱却することということが極めて重要な政策課題になるであろう。

 この後、展望のより詳しい数字というのが図表18、19、20で付け加えられるのですけれども、先ほど、B委員からのご質問にもありましたように、なるべくこのモデルの計測基盤及び、ことに金融通貨危機の影響の入れ方などを、入れていきたいと考えております。以上でございます。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、鶴田委員から産業構造ワーキング・グループをお願いいたします。

〔 鶴田委員  〕 前回、やや時間をかけて報告させていただきまして、そのときにいただいたご意見と、この場以外でも若干ご意見をいただきましたので、それについて若干内容を変えてあります。ただ、基本的なところは前にご説明したとおりでございます。

お手元に産業構造ワーキング・グループの報告書(案)がございます。実は私、ここに来るまで変わったところは棒線でも引っ張ってあるのかなと思っておりましたら白紙でございますので、どこがどう変わったのかわかりにくいと思いますけれども、時間がございませんので簡単に申し上げます。

重要なところだけ申し上げますけれども、1つは、私どものところで「機能」という言葉をコンセプトとしてかなり中心概念に使っているわけでございますが、前回、部会長代理の方から、「機能」の定義をされた方がいいのではないかということでございましたので、9ページの真ん中辺で一応「機能」について私たちが考えております「機能」というのはこういう意味だというのが書いてあります。

「仲介機能」の強化のところの7、8行目、「ここでの用語としての『機能』とは--」というところであります。

10ページにまいりまして、事例1、2、3等とございますけれども、前回は文章と参考文献との関係が必ずしも明確ではございませんでしたので、イメージできるようにそれぞれについて後ろの事例いくつと関係しているのかということを書かせていただきました。

13ページにまいりまして、前回のここで、医療・福祉と産業構造ないしは政策対応との関係についてご質問をいただきました。本来であれば非常に重要なテーマでございますから、1つの項目を立てて検討すべきかなと思いましたけれども、時間の制約等々もございますものですから、13ページの頭の何行かでそのことをメンションさせていただいております。

 15ページにまいりまして、これは労働・雇用ワーキング・グループの方から、生産要素の移動についての考え方なり、あるいは政策評価等々について質問なりがございました。あるいは考え方を、労働・雇用ワーキング・グループとのすり合わせをしなければいけないということもございまして、事務局ないし私ともすり合わせをさせていただきまして、若干修文されております。

 1つは上から10行目あたり、生産要素の移動について、生産性の低い分野から高い分野への生産要素の移動が円滑に行われている。こういう1つの枠を設定しておく。その数行下に「職業紹介事業等自由化」と書いてありますが、前はここに「人材派遣業の自由化」も載っておりましたけれども、どうもいろいろ問題がありそうでございますから、それは削除したということであります。

20ページ以下をご覧いただきたいと思います。これは、この前の私どもの報告で全く抜けていたところでございますけれども、情報化が産業構造にどういう影響を及ぼすのか。それはきっちりこの報告書の中で書かれた方がいいのではないかというアドバイスをいただきました。全くそのとおりだと思いましたものですから、20ページから23ページにかけて1つの項目を起こして検討させていただきました。

ご覧いただけばわかりますが21ページから、情報化が企業活動の生産性に及ぼす影響とか、仲介機能に及ぼす影響、企業間関係に及ぼす影響、新規事業展開に及ぼす影響等々を検討し、そして、政策課題についてメンションされているわけであります。

 25ページにまいりまして、ここで2010年における産業別GDPシェアの試算をしております。前回は、1985年基準の数字だけを考えておりましたけれども、使い方によっては名目値も有効かなと思いましたものですから両方掲載させていただきました。また、併せて(備考)のところで、前回、この場でご質問いただきました件について、例えば25ページの(備考)の上から3行目、「環境制約については一切考慮していない」とか等々、この表を見る場合の注意事項等に言及してあります。

大きなところで以上が前回から変わったところであります。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

それでは次に雇用・労働ワーキング・グループですが、今日は座長の樋口委員がご欠席ですので、事務局から簡単にご説明をお願いいたします。

〔 事務局 〕 当部会のご議論を踏まえまして追加した点を簡単にご説明したいと思います。

資料2ー6でございます。まず3ページでございますが、少子・高齢化の影響についてもう少し検討すべきではないかというご指摘がございましたので、「少子・高齢化の進展により、労働力人口の減少は労働力需給の引き締まり要因となるとともに、若年人口の減少は新規入職・引退による就業構造調整機能の低下要因になる。」ということを加えさせていただきました。

次に5ページでございますけれども、雇用保障のことがございますけれども、上段の方でございますけれども、「国民所得を分配する方法としては、雇用による分配の意義を積極的に認めるべきではないか」というようなご発言がありまして、それを踏まえまして 「その一方--」以下、「分配面においても、本人が働くことによって所得を得るという分配方法は事後的な社会保障制度による所得保障よりも国民の納得が得やすい方法であり、この面からも完全雇用の達成は社会政策上も重要な課題となる。」という一文を入れさせていただきました。

最後に20ページでございますけれども、オ. 高度熟練技能の育成・継承というところにつきましては、職業意識という観点からもモノづくりの大切さについて触れてはいかがというご指摘もございましたので、「このため--」以下で「学校等と産業界の密接な連携を通じて、技能が社会に果たす役割の重要性について理解を高めるとともに、--」という一文を挿入いたしました。以上でございます。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

 それでは金融ワーキング・グループの岩田委員、お願いいたします。

〔 岩田委員 〕 金融のワーキング・グループなのですが、前回、かなりご議論もいただきまして、詳しくご説明申し上げましたので、主な変更点を中心にしてご説明申し上げたいと思います。

本日お配りしてあります報告書の前半の部分は、前回お配りしたものにいくらか修正を加えたもので、18ページからは、「金融ワーキング・グループ報告書10のポイント」という、ポイントを10にまとめまして本文の内容を整理してございます。このポイントは前回ご説明したほぼそのとおりのことでございますが、その要点がまとめて書いてあるということでございます。

 最後の23ページをまずご覧いただきたいと思うのですが、前回、既にご報告したわけですけれども、将来の金融・資本市場、あるいは新たな金融システムというのはどういうふうになるのだろうかということで、23ページに、図を用いてどういうふうに変わるのだろうかという比較がしてございます。この比較をご覧いただきますと、金融の担い手というところに着目しますと、過去のといいますか、まだ現在も多少それを引きずっているわけですが、業態間の垣根があって、本当の意味でのコンペティションというようなものが、内外市場の分離というようなこともあって垣根が比較的高かったというような担い手の姿が、新しい金融システムあるいは新たな金融市場の下では競争が促進される、メガ・アライアンスが進む、あるいはメガ・コンペティションというようなものが進むという、外為法も4月から改正になりまして内外市場が一体化するということで、海外の金融市場と国内の金融市場というようなものが一体化してくる。これを金融のグローバリゼーションというふうに呼んでもいいわけでありますが、そういう中で競争の促進が進んで、金融の担い手が多様化し、そして特化していくという姿になるであろうということでございますので、その特化の仕方についてはここにありますようにインベストメントバンク、ユニバーサルバンク、ファイナンスカンパニー、あるいはコミュニティバンクというような、さまざまな担い手が多様な商品を提供するという姿になるのではないかということであります。

それから、資本市場の役割が従来から比べますと、内外が一体化するというようなこともありますし、あるいは企業あるいは家計の資金調達というような面でも、これまで限定的な調達であったのが多元的な調達の姿になるというふうに考えております。

前回ご議論いただいたときに1つ論点になりましたのは、企業の資金調達行動について本文では14ページに記されておりますが、従来は企業の資金調達については二極分化が進むのではないか。つまり、資本市場を中心とする資金調達を中心とするような企業と、従来のメインバンクを中心とする銀行部門からの借入れに依存するような企業と両方出てくるのではないかという記述でしたが、前回のG委員等のご議論も踏まえまして、むしろ多様化していくという言い方に改めてございます。社債やCP等の発行を通じて資本市場から資金を調達するというものもあるでしょうし、あるいはノンバンク的な金融機関から借入れを増やすというような企業も出てくるのではないか。中小企業にとってはメインバンクもある程度の役割を果たし続けるのではないかというような記述にしてございます。 

それから、もう1回図に戻っていただきますと、今度は家計の方なのですが、家計の方は、上の方の図をご覧いただきますと、従来、預貯金が太い線で書いてありまして6割以上で、資産の中身を見ますと預貯金が中心だったわけですが、それがもう少し多様化してくる。特にファンド化といいますか、投資信託等を中心としますファンドでの資金運用が高まるのではないかと考えております。

本日、ご出席のH委員の、バブル期以前・以後で家計の資産保有行動はどう変わったかというような分析がございまして、日本の家計は実はバブル期もバブル後も安全志向が非常に強い行動をとっていて、ビッグバンがあってもあまり変わらないのではないかという分析もございます。ただ、この報告書では、例えば投資信託について見ますと外資系の進出が見られる、あるいは比較的若い層では投資信託に対する選好の高まりがややあるとかといったような点に着目いたしまして、ファンド化ということがかなり進むのではないかというふうに考えております。

本文の中では、前回もご紹介いたしましたけれども、仮にアメリカ型の資金の保有構造の変化というようなものが日本でも起こるとすれば、かなりファンドを利用した資金の運用というようなことが高まるのではないかと考えております。

金融のグローバリゼーションが進みますと、そこでアジアの通貨危機というのはある意味ではグローバリゼーションの副産物という側面もございまして、アジアの通貨危機も人によりましては21世紀型の金融危機であるというふうに考えている方もおられます。

そうした危機に対応するためにも、日本の新たな金融システムというのは透明で公正なシステムに生まれ変わる必要があるという主張をいたしております。その中で重要な点は透明性を高めるという点で情報開示を進める。それに必要な市場インフラを整えるというようなこと。あるいはシステミックリスクを防止するという、早期に問題を発見してそれを早期に処理する仕組みが必要だということを強調しております。

前回ご議論いただいた点で郵貯の点が何人かの委員からご発言がございまして、郵便貯金についてどうなのかという、本文の方で言いますと11ページに郵便貯金のあり方はどうなるのだろうということを、いくらか修文してございますが、基本的なメッセージは同じでありまして、11ページの下から7,8行目ぐらいのところから、「郵便貯金については、『透明で公正な金融システム』の中で、市場原理が徹底されていくということを踏まえたものである必要があり、その社会政策的な役割も、市場原理を阻害しない形で検討されるべきと考えられる。」というふうに、あくまで市場原理を尊重した形で郵便貯金のあり方を考えるべきだというトーンを強めた形に変更してございます。

以上、簡単でございますけれどもご報告いたしました。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

それでは土地・住宅ワーキング・グループの村本座長、お願いいたします。

〔 村本委員 〕 前回、ご報告した後検討しましたことを若干ご報告いたします。数点変更箇所がございます。

7ページに網かけの表現がございます。この部分につきましては、現在、総合経済対策の中で少し検討されておりますので、今後、引続き検討したいということにいたしたいと思っております。

10ページでございますけれども(環境を買う時代の到来)というセクションの真ん中あたりに「こうした住環境--」というところで、「『まちづくり』のための合意形成を支援する主体として、NPOを含めた専門家の役割が重要になるだろう。」という点は、実は前回、A委員より、新たな規制ないし社会資本の整備のあり方についての話はないのかという形で、少し考えた部分でございます。

14ページにまいりまして、1か所追加したところは14ページの最後の方ですが、我々の議論は定期借地権を前提とした議論でしたが、その中には当然定期借家権も意識しておりましたので、これは前回、I委員からもご指摘ありましたけれども、定期借家権の話を少し付け加えてございます。

 15ページの(7)労働市場の流動化と住宅問題というセクションを作りました。これは雇用・労働ワーキング・グループからのメッセージを受けて、労働市場の流動化に伴って住宅問題というのは、従来型のフリンジ・ベネフィットとしての住宅ということが今後新たな展開を見せるのではないか。そうすれば企業が保有していたいわゆる社宅といいますか、給与住宅というものがマーケットに出てきて、マーケットに新たな影響が出てくる可能性もあるということでありますとか、あるいは雇用の流動化に伴いまして新たな住宅ローンの問題等が展開されるのではないか。しかしながら、基本的にはアフォーダブルな住宅が供給されれば問題としてはニュートラルになるのかなという認識を書いてございます。

 最後の21ページで、提言が従来は9つでございましたけれども、定期借家権の問題は重要な問題であろうという形で提言8で付け加えて挿入してございます。

以上でございます。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

ライフスタイル・ワーキング・グループの井原座長がご欠席でございますので、事務局からご説明をお願いいたします。

〔 事務局 〕 資料2ー9でございます。前回の当部会のご議論を踏まえまして、ワーキング・グループが開催され、大きく3点につき修正がなされました。

第1点目につきましては、10ページ目の(ウ) の第2パラグラフ「このため、--」以下の数行でございます。これにつきましては、女性が新しい経済社会で主体的ないし積極的に対応するための対応策について若干でも触れるべきではないかというご指摘がございましたので、男性の意識改革及び税制の見直し等について追加されております。

第2点目は、22ページの提言2でございます。下から4行目の最後のところでございますが、「この場合--」以下、価値基準の形成に当たっては物づくりの重要性でありますとか、職業の尊重についても育む必要があるのではないかというご指摘がございましたので、これにつきまして追加されております。

第3点目は、25ページの提言5の第3パラグラフでございます。「また--」以下10行程度追加してございますが、ここでは、少子化を与件とするのではなく、その抑制策として、例えば養育に対する母親のストレスの軽減でありますとか、ゆとりある住宅の供給等について触れる必要があるのではないかというご指摘がございましたので、その旨追加されております。以上でございます。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

これで各ワーキング・グループのご報告をいただいたのですが、それらについて何かご意見、ご質問がありましたら簡単によろしくお願いいたします。

〔 J委員 〕 今、最後のご報告にありましたように、それぞれのワーキングに盛り込まれています内容から考えてみますと、やはり少子・高齢社会ということが、いかに子どもの対策、高齢者、そこに関わって女性の問題というところがトータルにあるかというふうに思っているわけです。

1つ、雇用・労働ワーキング・グループでも触れられているわけですけれども、女性の勤労意欲ですとか、能力開発に対して能力発揮ということでも触れてはいただいておりますけれども、その能力を発揮していくためには、社会保障のところにも絡むと思いますが、子育て支援であるとか、介護の支援策というところの社会保障制度のところできちっと保障していかないと、そういう場の展開ができないということを実感するわけです。社会保障制度が女性の生き方や働き方に影響を及ぼしているといいますか、そういうことがはっきりしているというふうに思います。

そういう意味では、これからどういうふうに社会を展望していくのかというときに、現行の家族制度のようなシステムを、個人を主体にしたものへ組み替えていくことを、私は常々要望としてあるわけですけれども、そういうことも含めまして社会保障制度のあり方というところの中でもけっこうなのですけれども、または女性と労働との関係でもよろしいのですけれども、その辺のところを少し明確にうたい上げていただけないだろうかというのが1つ要望として申し上げておきたいと思います。

もう一つは、ライフスタイル・ワーキング・グループに関してですけれども、表現の問題なのですが、16ページにあります、住宅などを選ぶ際の男性の通勤時間を重視した選択、これが現状だと思うのですけれども、それに対して女性は「キッチンや収納」ということが描かれております。これに関しても、現状はそうかもしれませんけれども、広く働く女性は、キッチンや収納ということもありますけれども、むしろ、まず働き続けられるような距離であるか、そういった選択がありますし、むしろ男性に我慢していただきながら働くということもございますので、ここは、これからのあり方としては誤解のないような表現に、できれば変えていただきたいと思っております。

〔 D委員 〕 連合ばかり発言して申し訳ないのですが、雇用・労働のことはどうしても言わざるを得ないので。

産業構造と雇用・労働に共通する問題は、1つはセーフティーネットの問題で失業の問題が議論にどこの部分でも出ているのですが、それぞれのワーキング・グループのレポートが新規雇用の創出効果というか、それに対する提言というのはやや少ないような気がするのです。ですから、産業構造の中でもセーフティーネットということを考えた場合に、失業を余儀なくされた労働者への対応があって、これは当然なのですけれども、それ以上に新規雇用創出についての政策を提言するという点を、展望部会全体でまとめるときには是非強調していただきたいというのが1点であります。

2点目は、職業紹介業、先ほど産業構造ワーキング・グループでは派遣事業の言葉が消えましたが、雇用・労働のところには提言として派遣労働の拡大と言っているのです。これは、組合側から言うともちろん反対している部分はあるのですけれども、なぜ反対しているかというと、今の派遣事業の現実は、マーケットのルールが確定していないところに一番問題がある。ですから、そうした提言が全くないままに拡大する、拡大するということになりますと、そうしたやや被害を受けているグループは、こんなことをやったらとんでもないという話になるのです。また、そうした対応が続いていますと、今、労使関係は企業別組合で安定していますが、脅すわけではないのですが、しかも日本の労使関係のシステムというのは企業別組合で定着しているように見えますけれども、こうした派遣事業とかパートの市場がどんどん拡大してくると、そこの中におけるマクロの労使関係をどう考えるかということが重要になってきまして、私、心配しているのです。暴動が起こるという意味ではないのだけれども、そういうところに、労使関係のルールというものがちゃんとないところにマーケットのルールもないということになりますと、これは非常に大きな混乱要因になって、かつて日本型労使関係はいいと言われたものが全く逆の方向になってしまうという危険性を非常に感じておりまして、今、いろいろなところで出されている提言はそういう点が欠如している。これは日経連にも発言していただきたいのですが、そういうふうに思います。

次に金融ワーキング・グループの問題でありますけれども、これもビッグバン自体は必然だと思うのですが、ビッグバンを起こした場合には、その中に雇用の問題が当然起こるのです。ですから、優良な雇用が創出されることによって労働移動が金融部門においても起こるということは大変重要なことだと思うのですけれども、その際に、過渡的に起こるビッグバンがどういう形でやられるかという指摘もやや不十分。将来の図はいっぱい書いてありますけれども、どういうふうにしてやるのだということがあまり書いてない。そこにおいて雇用がどうなるのかということについても、実はこれはレベルの高い労働だから放置しておいていい、マーケットに全部任しておけばいいというわけにはなかなかいかないと思っていますので、この点についても、フリー、グローバル、フェアという、フェアの部分についての関連として是非指摘していきたいと思います。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

それでは、次回以降の日程について事務局からご案内をいたします。

〔 事務局 〕 次回でございますが、4月27日(月)14時からお願いしたいと思います。

議題といたしましては、展望部会報告スケルトン(案)についてご議論いただく予定でございます。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

それでは、第9回経済社会展望部会の審議は以上で終了したいと思います。

どうもありがとうございました。

-以上- 

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