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経済審議会経済社会展望部会(第8回)議事録

時:平成10年3月19日(木)12:15~14:30

所:経済企画庁特別会議室(1230号室)


経済審議会経済社会展望部会(第8回)議事次第

  1. 開会
  2. 各ワーキンググループ報告
  3. 閉会

(配布資料)

  1. 資料1 経済社会展望部会委員名簿
  2. 資料2 各ワーキンググループ報告(ライフスタイル、技術革新、産業構造)
  3. 資料3 経済審議会経済社会展望部会の今後の審議スケジュール

経済審議会経済社会展望部会委員名簿

部会長
       小林 陽太郎   富士ゼロックス(株)代表取締役会長
部会長代理
       香西 泰   (社)日本経済研究センター会長
       稲葉 興作   日本商工会議所会頭
石川島播磨重工業(株)代表取締役会長
       井原 哲夫   慶応義塾大学商学部教授
       井堀 利宏   東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授
       岩田 一政   東京大学大学院総合文化研究科教授
       角道 謙一   農林中央金庫理事長
       川勝 堅二   (株)三和銀行相談役
       黒田 晁生   明治大学政治経済学部教授
日本経済研究センター主任研究員
       小島  明   (株)日本経済新聞社論説主幹
       小長 啓一   アラビア石油(株)取締役社長
       小林 佳子   (株)博報堂キャプコ取締役
       佐々波 楊子   慶応義塾大学経済学部教授
       下村 満子   (財)東京顕微鏡院理事長
       清家  篤   慶応義塾大学商学部教授
       鶴田 俊正   専修大学経済学部教授
       中井 検裕   東京工業大学大学院社会理工学研究科助教授
       長岡 貞男   一橋大学イノベーション研究センター教授
       長岡  實   東京証券取引所正会員協会顧問
日本たばこ産業(株)顧問
       奈良 久彌   (株)三菱総合研究所取締役会長
       成瀬 健生   日本経営者団体連盟常務理事
       濱田 康行   北海道大学経済学部教授
       樋口 美雄   慶応義塾大学商学部教授 
       ロバート・アラン・フェルドマン   モルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト 
       深海 博明   慶応義塾大学経済学部教授
       福井 俊彦   日本銀行副総裁
       村田 良平   (株)三和銀行特別顧問
       村本  孜   成城大学経済学部教授
       師岡 愛美   日本労働組合総連合会副会長
       八代 尚宏   上智大学外国語学部国際関係研究所教授
       吉井  毅   新日本製鐵(株)代表取締役副社長
       吉川  洋   東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授
       鷲尾 悦也   日本労働組合総連合会会長

〔 香西部会長代理 〕 ただいまから第8回経済社会展望部会を開催いたします。

 本日は、委員の皆様方にはお忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日、小林部会長が所用のためご欠席ということでございますので、私が代わりまして議事の進行をいたします。

 本日の議題は、お手元の議事次第にもあるかと思いますが、ワーキンググループの報告の続きでございまして、本日は、ライフスタイル・ワーキンググループ、技術革新ワーキンググループ、産業構造ワーキンググループの3つのワーキンググループに報告をお願いしたいと思います。

 ご報告に当たりましては、昨年の審議経過報告以降検討を進めていただいた点を中心に約20分ということでお願いしたいと存じます。

 最初にライフスタイル・ワーキンググループ座長の井原委員からよろしくお願いいたします。

〔 井原委員 〕 それでは、報告させていただきます。

 ライフスタイル・ワーキンググループは過去5回ほど会合を持ちまして、今日が初めての報告でございます。

 ライフスタイルというのは大変とらえにくい概念でございまして、その上に定義が非常にあいまいになっております。例えば「ライフスタイルというのは価値観である」というふうに定義される場合もありますし、それから「価値観による行動である」、また私もよく使うことがあるのですが「ニーズの満たし方である」という使い方をいたします。

 そういう意味で、まず、どういうふうにワーキンググループで考えたかという話からしなければいけませんので、それを「価値観とそれに基づく行動の集合である」というふうに一応考えておきたいと思います。

 報告書の中で価値観だけを強調するときには「価値観」という言葉を使います。行動を含めて考えるときには「ライフスタイル」という言葉を使っております。

 それから、ライフスタイルの位置づけでございますけれども、これはちょっと異質のように考えておりまして、他のワーキンググループの対象が縦糸だといたしますと、ライフスタイルというのは横糸になっているのではないかと考えております。したがいまして、他の成果をこの中にいくつか取り入れてございます。

 そういう形で、まず1ページをお開きいただきたいと思います。

 「はじめに」というのがございまして、ここに私たちの問題意識が書いてございます。

 (1)として、外部環境。高度情報化、グローバリゼーション等外部の環境の変化が起こってきて、それによって人々の価値観の変化が相当進んでいる。しかし、そのような変化に対して経済社会システムの方が適応できなくなってきている。経済社会システムという場合には法体系とか慣行等、いわゆる人々の行動を規制するような社会制度だと考えていただけばよろしいかと思います。

 (2)として、また経済社会の状況も相当のスピードで変化している。それに応じたソフトインフラが未整備であるがために、現在、社会というのは信頼感のない、安定感のないリスキーな社会というふうに映って、個人や企業に守りの姿勢をとらせている。そういう問題意識がございます。

 (3)として、現在進められている「6つの改革」等による経済社会の変革がトータルとしての新たな経済社会システムの構築を図るということでございます。価値観の方は変化しておりますから、日本社会というのはいままでA型であったのが、全体として改革を伴いながらB型に移ってきているという、そういうイメージでとらえていただきたいと思います。

 ところが1つの社会の中にはメリットとデメリットというのが必ず存在していて、デメリットを排除してメリットだけを他のシステムから持ってくるということは不可能でございまして、まさにメリットもデメリットも一緒になって社会の中で機能しているのが現実でございますから、これを踏まえなければいけない。新たな経済社会システムができ上がってきても、それは多くの新しい環境に対応したメリットを持っているのですが、なおかつ、同時にデメリットも伴うものであるという意識を持っております。

 (4)として、したがいまして、本ワーキンググループでは、将来の、改革後のライフスタイルについて展望するわけですけれども、そのライフスタイルとの関わりで新しい経済社会のメリットを引き出し、そのときは当然デメリットの方も伴ってくるわけですから、それを顕在化させないような対応策、これは経済政策であり法体系の整備ということになるわけでございますが、そういう対応策を提言するということ、そういう問題意識でございます。

 後ろの方にA3の表が2枚ついております。その中の(参考1)をご覧いただきたいと思います。我々のイメージとして、上の方に、外部環境で変化した価値観の変化が書いてあります。下の方には、私が今申し上げましたような社会システム自身が、社会全体がA型からB型に変わることが書いてあります。そうすると、従来型の社会システムにはメリット、デメリットがあったわけですが、今度は新しい社会システムが機能するようになったときにもメリットとデメリットが当然そこに出てくる。そのときに新しい課題が登場して、この内ライフスタイルに関わるものを解決するような提言をしていきましょう。そういうことでございます。まず、経済社会システムというのは、価値観との相互作用をしながら変化を進めていっているということになります。

 そういう問題意識でございます。全体の構成ですが、目次をご覧いただきたいと思います。「はじめに」というのは今申しました問題意識ですけれども、1.の中が(1)と(2)になっておりますが、これは、これまで変化してきたライフスタイルと、今、非常に急速に変わっているグローバリゼーションとか高齢化等の外部環境の変化によって促進されるライフスタイルの変化ということを述べております。

 2.は、その後で、いろいろな改革が行われた後で実現されるライフスタイル。これはそういう意味で非常に明るく書いております。問題が解決されるという大前提で書いてあります。

 3.は、先ほど申し上げましたように、実は新しい社会になってもデメリットというのは当然伴うわけですから、それをあまり顕在化させないための課題及び提言ということを行っている。そういう形になっております。

 それでは、本文の内容を説明いたします。

 2ページをお開きいただきたいと思います。

 (1)としまして、これまでのライフスタイルの変化についてですが、5つほどございます。まず1つめとして「画一的・標準的」から「多様化・脱標準化」へという変化がございます。いわゆる過去におきましては、人々は世の中で我慢しながら生活していました。そのときには、我慢からの解放が生活の目的で、そのためには商品を必要としました。商品にも我慢の解放の程度でランクがついており、上位のランクの商品をたくさん購入しようというのが人々の目的でした。それがだんだん我慢をする程度がなくなってきますと、今度は前向きに楽しく生きるというところに重点を移すようになります。そうしますと、そのときにはその選択肢が非常に増えてきまして、人々が自分の価値観で、どうやったら楽しく生きられるかということを始めるものですから、ここで初めて価値観の多様化、それに基づくライフスタイルの多様化が起こってきます。我慢の解放をしていたときには、これは万人共通型であったために、人々は同じようなものを手にして満足していた画一的な社会であった。そういう認識でございます。

 2つめの変化として、いままで「組織」重視だったのが、当然、所得上昇の過程で「個人重視」に移ってきました。

 3つめの変化として、これもよく言われるように「物」重視であったのが、だんだん余暇とかゆとりというものを重視するようになりました。「時間」というものに重点が移ってきて、「環境」のようなものが世の中で重視されるようになってきました。

 また、4つめの変化は「量」です。いままでは消費財をたくさん購入することで満足を得ていたのが、今度は自分の価値観で生活を選ぶわけですから、いらないものはいらない、効率よくそれを選択しましょうというふうに変わってきました。

 そして5つめですが、これまではいろいろ規制いたしまして、少ない選択肢の中から選ぶ、いわば結果の平等を確保するような、自由な選択を制限するという傾向が強かったのが、今度は多様な選択肢の中から自分の価値観に合ったものを自由に選択できる、そういう意味での機会の平等に移ってきています。

 (2)は、今起こっている外部環境の変化によって促進されているライフスタイルの変化ですが、まず、経済の停滞とか国民負担上昇、高齢化社会というので、大変信頼感を失っている。そういうものが人々の価値観に影響を及ぼしています。

 次に、グローバリゼーションが進展していますけれども、これは一方において考え方の国際標準への適応というものをさせているのですが、一方で世界共通化の必然性のないもの、4ページですけれども、文化、伝統、風土等についてはこういうものが価値を高めるという傾向が出ています。社会的な価値観としては世界標準の方に考え方が移ってきているのですが、しかし、その中でも個人の価値観という段階では非常に多様化が進んでいる、グローバリゼーションというのは多様化を進めています。

 三つめは、高度情報通信の発達の話ですが、いろいろな情報を手に入れる、これも価値観の多様化に結びつきます。それから、いままでは家庭とか会社という組織を通じて人々は付き合っていたのですが、個と個を直接つなぐということになってきますから、孤立化のようなものも出てくるだろうけれども、同じ価値観を有するものを新たに結びつける機能も同時に果たしていくだろうと考えられます。

 また、環境については社会的な同意をだんだん得ていって、環境に配慮した行動が個人の段階でも顕在化していきつつあるというのが、今、起こっている変化であります。

 5ページ以降は、今後実現されるライフスタイルです。これはいろいろな改革がすんだ後に予想されるライフスタイルをここで述べているわけでして、大変明るく書いてあります。

 一番上に、イメージといたしましては市場化というものが進んでいって、選択肢が非常に増えていく。一方において、価値は多元化していきます。しかし、そういう場合には多様な選択肢の中から自分で選択して、その結果については自分で責任を持つのだという、それを「多元価値実現化ライフスタイル」と呼んでおります。一口で言うとそういうことでございます。

 そういうのを1つずつ具体的に述べていきますが、(1)以下でございますけれども、まず、従来は単線型のライフコースであった。いわゆる「よい」学校に行って、「よい」会社に入ってという、同じような目的で人々が行動していて、それに成功した人とそこから脱落していく人がいた。まさに人々のライフコースというのは年齢に規定される単線型であったわけです。

 6ページにまいりまして、ここは何を前提にしているかと言いますと労働市場の変化を前提にしております。従来の「終身雇用・年功賃金制度」、そういう大企業に一般的な制度ですと、大学の選別機能を利用して潜在能力の高い人間を採って企業内で教育して定年までの間にその元を取るという格好でございまして、潜在能力を重視していたのが、労働が流動化してきますと顕在能力の方に評価基準を変えざるを得ない。

 それから、しょっちゅう出入りが激しくなりますと、長期の、「おまえ、今、がんばらないと将来がないよ」なんていうことではなくて、今の成果をそのまま評価するという短期的な成果による評価。顕在能力と短期的な成果の評価、そういう方面に移っていく。そうしますと、今度は単線型ではなくていつ学習してもいい、どこで仕事をやめて必要ならば自分が思うような新しい職業に移ってもいいという、学習の年齢規範が希薄化するようなことが起こってくるということでございます。

 7ページでは、今の具体的な内容が書いてありますが、複線型になりますと、まさに途中でキャリアアップするという、そういうことが報われるし、したがって動機も出てきますから、そういうことが一般に増えてくるだろうという、そういう複線型のライフコースになってきます。(エ)ですが、したがいまして、この面でも非常に多様化が進みます。

 8ページにまいりまして、ここではやり直しのコストというもう一つの要素が書いてあります。顕在能力、短期的な成果の評価になりますと、今度は途中からの参加が可能になってきますから、途中での参入が可能になるという意味でやり直しのコストが非常に安くなってきます。したがいまして、複線型のライフコースがとりやすくなるということでございます。

 【2】は、女性がリードするライフスタイルでございますけれども、まだ男女間の賃金格差及び家事負担の格差がありますけれども、ここも労働市場の変化で、いままで大企業の女性の場合には、男性が正会員で女性が準会員的な扱いをされていたのですが、顕在能力の短期成果になりますと非常に働きやすくなるということが起こってきます。

 9ページにまいりまして、女性はいままでの社会で男性に比べて働き方が序列化されていないので、男性に比較してはるかに主体的に新しい社会に順応できるだろうと考えております。

 10ページにまいりまして、女性の就業率が長期的には高まってくるとすると、家事の方も男性の分担が高まって、男女の役割分担の近似化が進むだろうとみています。

 こうなりますと、結婚する場合には相手がいるわけですから、女性の価値観に基づく選択が男性のライフコースの選択にも影響を及ぼすのは当然でございます。女性の経済力が増す、やり直しのコスト、結婚のし直しという意味でのやり直しのコストが低くなってくるということから、ライフコースの選択肢が非常に高まってきます。女性の経済力が向上してきますと家計負担力を高めていきますから、ここで、いままで家計を担っていた男性の働き方の自由度を逆に高めるだろうということも考えられるわけです。ここで女性がリードしてくるというのはそういう意味でございます。

 【3】は、高齢者の場合についてですが、高齢者の方の今の問題としては社会保障制度の不透明感が現実にあって、それが不安感を増しています。これは当部会の財政・社会保障ワーキンググループの対応が実現されることで、まずこの問題が軽減されます。

  13ページにまいりまして、金融資産。これは分散は大きいのですけれども平均としては金融資産をたくさん持っているのですが、あまり高リターンのものに投資していない。ここのところもうまくやることによって高リターンを享受するチャンスが高まってくるでしょう。これは、金融ワーキンググループの成果を踏まえることになります。

 そういう意味で社会保障も金融資産もうまく利用できるようになる。その他、バリアフリー化、高度情報化等々のインフラが整備されますと、高齢者も自分の価値観に基づいて複線型の多様なライフスタイルを享受できるということでございます。

 15ページにまいりまして、これは地域でございます。いままでは職場を最初に選び地域というのは2次的だったのですが、今度は先に居住地を自分の価値観で選択してというふうに変わっていくでしょう。もちろん、所得を稼ぐという条件を満たすことが重要なのですけれども、人々が生活環境を主体に居住地を選択するようになると、企業は有能な人材を得なければいけませんから、企業はそういう人々の選択基準をもとにして立地を選ばざるを得なくなるだろうと考えられます。シリコンバレーの例を書いております。

 17ページにまいりまして、(ウ)で住宅、(エ)でセカンドハウス、18ページの(オ)で地域について述べておりますが、これは説明を省略いたします。

 (3)はライフスタイルの国際化についてであり、国内から国外への選択肢やライフコースの拡大、新たなNPOの形成を通じた諸活動の可能性、地球環境問題等のグローバルな取り組み等について述べております。

 21ページにまいりまして、3.は、そういうふうになっても、ライフスタイルの関わりでいろいろ対応せざるを得ないものがある点について、検討しております。この中で、1ついままで出てこなかった話というのは、人々の価値観は非常に多元化していくわけなのですけれども、それでも経済社会システムというのは1つしか選べないわけでございます。そういう意味で1つの経済社会システムを円滑に動かすためには、そのシステムを受け入れることについての国民の合意が非常に重要になって、そのための手法の確立が当然考えられていかなければならない。これを前提として考えております。

 まず、このような社会になりますと、自分で情報を得て価値基準を持ってきちんとやらないと満足度が高まらない。当然そういう動機が高まるのですが、そのためにはいろいろなソフトインフラが必要と考えられます。そのため、提言1としまして、情報開示等の徹底、そのための法整備が必要であると求めております。

 22ページにまいりまして、提言2では、個人といたしましては情報収集能力を身につけ、自分で自己選択、自己決定をしなければいけないのですけれども、情報収集能力とか自己決定能力の学習を受けるような機会の場を社会的に提供する必要がある。社会システムの中に組み込む必要があるということでございます。学校のようなものを考えております。

 提言3は、敗者復活と弱者救済です。多様な選択肢の中で人々は自己実現を図っていくわけですが、このことは、やり直しのコストが下がることを意味します。したがいまして、こういう状況ではチャレンジの敗者、要するにチャレンジして負けるということはしょっちゅうあり得ることなのですが、負けてもやり直しのコストの低下により何回もチャレンジすることが可能となります。敗者は常に新たなチャレンジを行うことができるという、そういう条件さえ満たしていれば、チャレンジの弱者は存在しない社会となります。しかし、労働意欲があってもチャレンジのチャンスがないということは当然起こってまいりますので、そこをきちんとしておかなければいけない。また、チャレンジのための能力を身につける条件が満たされてない者には公的な支援が必要であろうと考えます。

 その他にも、高齢者であるからといってみんなが弱者ではないわけですけれども、寝たきりや痴呆者、いろいろなハンデを負っている人、そういう人たちに対するセーフティ・ネットのようなものをきちんと作っておく必要があります。

 それから、支援、救済される人々の範囲については、新たな社会に対応したものとなるように、国民の合意を得ておかなければなりません。これは、再分配機能についても同様でございます。

 23ページにまいりまして、(2)以下は、今度は年齢や男女の役割規範が希薄化していくと、年代間での摩擦が起こるということが予想されるわけですが、それへの対応といたしまして、提言4として世代複合型社会空間の整備を取り上げております。ここで世代間の相互理解を常に深めるために交流するような機会や場を作ることを提唱しており、また、これは、長男・長女中心の少子化社会にとっても、人と付き合う技術を提唱するという意味で重要だと考えております。

 提言5は、家族について述べております。いままでは、「家族のための自分」だったのですが、今後「自分のための家族」になってしまって、非常に分散化していくので、これについても何とか対応しなければいけないと考えております。少なくとも世代間の相互理解を促進するための家庭環境を求めている家族に対しては、それを阻んでいる要因を取り除く必要があり、例えばそういう人たちにはゆとりある住宅の供給や介護サービスの充実等を図る必要があると考えております。

 25ページにまいりまして、(3)は地域間の連帯の強化です。これは、地域がそれぞれ独自の地域を作っていくときに重要な要素というのは、それでもやはり最低限の生活環境を確保する必要があるということです。その際、資源を効率的に活用し、無駄をなくすように各市町村がお互いに施設を利用し合う、あるいは、最低限の生活環境を確保するために行政の規模を考慮し、広域行政圏や市町村合併等を活用する必要があると考えます。

 26ページにまいりまして、(4)はグローバル化に対応した環境の整備でございまして、外国に暮らす日本人に対する対応、日本に住んでいる外国人に対する対応等について言及しております。最後に、先ほど見ていただきましたA3の紙の(参考2)は、価値観や外部環境の変化によるライフスタイルの変化、その場合の課題と対応策についてまとめたものでございます。以上でございます。

〔 香西部会長代理 〕 どうもありがとうございました。

 従来の例ですと、報告をすべてお伺いしてからご議論をお願いしておりましたけれども、井原委員は途中でご退席ということでございますので、ライフスタイルにつきましてのご意見、ご質問等ございましたら、今、行なっていただきたいと思います。どうぞご自由に発言希望の方はお手をお上げいただければと思います。

 A委員、何か補足的にご発言がございましたら、どうぞ。

〔 A委員 〕 特にございません。

〔 香西部会長代理 〕 いかがでしょうか。

 井原委員、大体これでかなりでき上がっているように拝見したのですけれども、今後、特に最終発表までの間に何かこういう点をやりたいということは--。

〔 井原委員 〕 いろいろご注文をいただけますと大変ありがたく思います。もう一度ワーキンググループを設定しておりますので、ご遠慮なくご注文を言っていただければありがたいと思います。

〔 香西部会長代理 〕 ということだそうでございます。いかがでしょうか。

 B委員、何かコメントありませんでしょうか。

〔 B委員 〕 全体的に非常によくまとめられていらっしゃると思いますが、ワーキンググループで雇用・労働問題をやっているところから考えましても、ほとんど我々の意見が取り入れられているということであります。

 非常に幅広いところをワーキンググループとしてカバーしなければいけないので、他のワーキンググループ間のコンシィステンシーということが重要になってくるのだろうと思いますが、それも事務局の方で十分調整されているのではないかと思いました。

〔 C委員 〕 これはあまりにも膨大なテーマで、すべて網羅されていると言えば言えますし、この1つのテーマでもまたさらにいくらでも増幅していくという種類のものなのですが、これからこうなるという中で、大変明るく書いていますというふうに何回もおっしゃいまして、今後、実現されるライフスタイルという中で特に女性の就業率が高まるのは事実だと思いますが、女性がリードするライフスタイル、9ページの(イ)の下の方に、「女性は男性に比べて働き方や生き方が序列化されていないことから、多様な選択肢の中から個性化された価値観に沿って自由な選択ができる新たな社会システムに、男性に比較してはるかに主体的かつ積極的に対応できる。」、これは一面全くそのとおりで、要するに1つのものを裏から見るか表から見るかということで、表の方からみると全くそのとおりで、裏から見ると「え?そうですか」という面と両面あると思います。こういうものはできるだけ明るくポジティブに積極的に出すということはいいことだと思いまして賛成なのですが、私、たまたま1つ前に、経済同友会の少子化何とか委員会というところに出ていて、少子化問題で、同友会の経済人の社長さん方ばかりのところで、大企業の壁の厚さといいますか、つまり、少子化を何とか解決しなければいけないということでやっていらっしゃって、もちろん、それはあくまでも女性の地位向上には何の興味も関心もない、そういう方たちが、単に日本の経済力、国力にとって「これでは困る」という1点に絞って議論していらっしゃるのを聞いていますと、総論として何とかしなければいけない、だけど、女はとにかくなるべく家庭にいてもらって、生んでもらうことが一番大事たから、それを第1行に書くべきだとか、昔の「産めよ増やせ」の、だんだん聞いていると、何か女は子どもを生む機械というような、そのような発言が堂々と。私が何かショボショボ言っても、たった1人しかいない女性なものですから、俄然、そういう男性の声にかき消されまして、何かそっちの方に話が行って、そもそももっと専業主婦にインセンティブを与えよとか、子どもを1人生んだら、何とか年金を増やせとか、そういう現実の日本の社会の中で、果たしてこれがここで書くような、裏サイドで、裏サイドというか実現するための、その辺がちょっと関心がありまして、そうでないと絵に描いた餅みたいになってしまうかなと、女性の1人として感じたということで、別に批判とか何とかではございません。大変難しい問題です。

〔 D委員 〕 このとおりで特に異論があるわけではないのですが、地球環境のワーキンググループを総括しているという立場からしますと、例えば4ページの【4】のところで、従来型の環境負荷の大きい行動は社会的に認められにくくなり、環境に配慮した行動が顕在化していくとか、あるいは20ページの一番下段の、グローバルな課題への関心が高まってきて、こうした課題について省エネ、省CO2 等に資する新しい社会システムの構築により、個人レベルの生活においても環境負荷の低減につながる行動をとる場面が多くなるとか、そういう形でライフスタイルの変化を指摘していただいてはいるのですが、これをもう少し特定化されますと、私どもの地球環境について具体的に結びつけることができるのかなと。あるいはエネルギー需要の伸びなんていうことで、例えば、1990年から95年の家庭での伸び率を考えてみますと、ほぼ半数は、24ページに提言5というのがあるのですが、暖かさとゆとりのある家庭空間というところで、離婚率が高くなってというようなことで、実は世帯数がどういうふうになっていくかということがものすごく効くのです。そういう意味で、ここでは資料8というのが提示されているわけでありまして、これを見ますと日本も離婚率が高まってきているという現段階のはわかるのですが、具体的に何かこういうものが、例えば地球環境ワーキンググループではこのワーキンググループに期待しているのですが、総論としての方向はよくわかるのですが、もう少し具体的な形で、例えば地球環境ワーキンググループに採り入れられるような議論というのはお願いできるのでしょうか。

〔 井原委員 〕 ここにお示しいたしましたように、全体が大変膨大なものでございますので、おそらく個々の細かい、地球環境に関する人々の行動とか考え方、そこまでは手が回らないと思います。もし、委員の方で、「ここはどうなんだ」というふうに具体的に何か提案していただけますと、議論はしやすくなるのではないかという気がいたします。

〔 E委員 〕 産業構造に関して私どもが議論したことが盛り込まれているものですから、大変いいリポートだと思っておりますけれども、1つだけ、これは事務局の方にお願いしておいた方がいいのかもしれませんけれども、A3横長の参考1ですけれども、真ん中に「6つの改革」、行政改革以降書いてございますが、実は私どものチャート、後でご覧いただきますけれども、産業構造ワーキンググループでは「構造改革」にしてあるのです。なぜかと言いますと、最初に私ども「6つの改革」と置いておいたのですが、ある委員から「内閣が変わっても日本経済にとって構造改革は必要だし、多分、ここで盛られているリポートは、かなり立派なものになるであろうから、『6つの改革』という現内閣の下で掲げているコンセプトは外しておいた方がいいのではないか」という提案があって、それで「構造改革」というふうにしてありますけれども、これはどうするかというのは事務局の方で議論を詰めていただいた方がいいと思います。そこだけでございます。

〔 F委員 〕 C委員の応援団として一言申し上げたいのですけれども、少子化というのは日本にとってこれから大変大きな影響を及ぼすわけでございまして、私ども経団連でも少子化イコール高齢化が進むということで、少子化を与件として考えて、これはしようがないのだというようなとらえ方なのですけれども、少子化をできるだけ防ぐということが非常に重要だと思うのです。これはいろいろ分析していきますと、例えば教育に対する母親のストレスとか、あるいは住居が非常に狭いとか、いろいろ基本的な問題に関連して、児童手当を少し増やすとか何とかということではなくて、教育とか住居問題という、これからの日本の大問題が解決されない限り少子化というのは防止できないと思うので、そのあたり、少子化を与件ではなくて、いかにして抵抗なく、先ほどC委員から出た「産めよ増やせよ」ではなくて、自然に子どもが増えるようなことを、国としてあるいは民間としてもやっていかなければいけない。その辺をもう少し踏み込んでいただけると大変ありがたいという気がいたしました。

〔 香西部会長代理 〕 どうもありがとうございました。

 まだ、いろいろご議論もあるかとと思いますが、後に報告も控えておりますので、ライフスタイルの議論については、この場ではこの限りということにしたいと思いますが、井原委員から先ほどお話がありましたように、ワーキンググループとしてもご意見を待っているということでございます。会議の後で結構でございますから、直接でも結構ですけれども、事務局の方にお伝えいただければ井原委員の方にお伝えするということにしたいと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、次に、技術革新ワーキンググループの座長をお願いしております長岡委員からご報告をお願いしたいと思います。

〔 長岡(貞)委員 〕 一橋大学の長岡でございます。

 お手元に「技術革新ワーキンググループ報告書(案)」というのがございまして、それに参考資料編が付いております。まだ、図とかデータ等が本文にインコーポされておりませんので少し見にくいかと思いますが、適時、図表もリファーしながらご説明申し上げたいと思います。

 技術革新ワーキンググループでは、技術革新というのは2つに分けられまして、新技術を創造するという面と、もう国の内外で利用可能な新技術を産業の革新に使っていくという2つの面があって、両方とも非常に重要でして、この両方を見ながら検討を進めてきたということでございます。

 報告書の方は全体で5節からなっておりまして、最初に研究開発の動向の全般的なレビュー、産業別の技術動向、研究開発の促進の課題とか問題点、第4節で、特に情報技術の活用という側面から新技術の活用の現状と問題点、第5節で提言をまとめております。前回とほぼ構成は同じでありまして、少し作業した点等について若干ポイントを申し上げたいと思います。

 研究開発の全般的な動向でございますが、問題点は、3ページの下の方に書いてありますが、これは非常に常識的な点かもしれませんが、基礎的な技術が確立された産業では、特に製造技術が強いということで日本の技術水準は非常に高いということが言えるわけですが、昨今の技術開発の中心であります情報通信とかバイオテクノロジーとか、こういう基礎的な分野で進歩がどんどん進んでいるところでは、日本の競争力といいますか技術競争力は総じて弱いということが言えると思います。

 特に90年代に入りまして、こうした分野でコンバージェンス、アメリカと比較した場合にコンバージェンスというよりはダイバージェンスが起きているというのが大きな問題かと思います。サイエンスベースのイノベーションは非常に弱いということは、今回ちょっと作業してみたのですが、資料編の7ページの図8で米国での特許件数を産業別に示しております。これは米国の特許取得上位 200社を国籍別に分けまして、それぞれ産業別に集計してみたものですが、自動車・機械、電気・電子、金属、この分野では日本の特許のシェアが欧州あるいは米国と比べても非常に高いということになっていて、競争力を非常によく示していると思うのですが、米国では特許の出願に当たって選考文献をディスクロージャーする必要がありまして、科学文献、サイエンティフィック・ジャーナルがどのぐらいリファーされているかというのがわかるわけですけれども、日本の技術競争力が高いといった分野、つまり自動車・機械、電気・電子、金属という分野はあまり科学文献といいますかサイエンティフィックなチューメントがリファーされていない分野ということであります。これは1つの作業結果なのですけれども、サイエンスベースのイノベーションは日本は非常に弱いということが言えるのではないかと思います。これはやはり“ただ乗り論”の1つの原因にもなっているということが4ページの第1パラグラフに書いてあります。

 製造技術は強いということなのですが、しかし、90年代に入りまして欧米の産業、NIEsが非常に追いついてきたということもまた事実であります。

 参考資料の9ページは、自動車産業について労働生産性、自動車のクオリティーについて、それぞれ日本、アメリカ、欧州の自動車産業の80年代の終わりから90年代にかけての変化を示しております。上の方のFigure10というのが、ほぼ同じ車を作るとして日・米・欧でどれだけ時間がかかるかということなのですけれども、この表が示しますように、アメリカあるいは欧州では非常に著しい時間の短縮、労働生産の上昇があるというのがよくわかると思います。もっとドラマチックなのはクオリティーの方でありまして、Figure11を見ていただきますと、アメリカで作られた車が最初の3か月で何らかのディフェクトがある車の頻度が大幅に減ってきているということもあります。

 こういったことで、依然、日本の製造技術は強いわけですが、これだけでは国際競争力といいますか、従来比較優位を持っていた産業の比較優位を維持できるような状況ではなくなってくる可能性があるのではないだろうかということで、今後、独創的な技術開発の能力が付加されないと従来のような比較優位の構造自体も変わっていく可能性があるということが第1節の結論であります。

 第2節は、今、私が申し上げたようなことを、産業別に少し詳しく日・米・欧を比較しながら簡単ではありますが議論を進めておりまして、詳細な議論は省かせていただきますが、7ページに非製造業について少し書いてあります。ご承知のように日本の非製造業というのは生産性の水準が低い。低いのみならず90年代は伸び率も低いということであります。参考資料の15ページに、これはOECDのISDBというデータベースで簡単に全要素生産性の伸びを比較したものであります。これは水準ではなくて伸びですが、総じて規制産業、電気・ガス・水道、運輸・通信はアメリカと比べても生産性の伸びが低いということがわかっております。

 日本は研究開発の中心が製造業でありまして約9割であります。ところが米国では最近の時点では約3割が非製造業、通信業とか独立したソフトウェアということで、非製造業がかなり研究開発の担い手になってきているわけですが、日本の場合は研究開発と言えば製造業がするものということになっているのが大きな問題かと思います。

 飛んでいただきまして10ページから、まず研究開発の促進という面からいくつかの分野について課題を検討しております。項目は前回と同じであります。最初の2項目は基礎研究の強化あるいは産官学連携の強化といったことであります。今回のワーキンググループで何社かのヒアリングをしたわけですが、どうして日本で産官学連携がなかなか進まないのか。結論はやはり官の基礎が弱いということであります。大学等での基礎研究の水準が国際的に見ると、いろいろなことをやっているけれども、世界的な水準の研究が非常に乏しいということでありまして、これは行政改革とも非常に関連すると思うのですが、国立研究機関あるいは大学の研究を国際水準に高めるためのかなり大胆な改革がまだ今後必要ではないかということが書いてあります。

 人材の面でも同様でして、最近は外国人の研究者の採用もある程度進んでいるのですが、まだ政府全体で70名ぐらいしかいないということで、各研究機関に1~2名ぐらいしかいないというような状況でありまして、もう少し研究人材といった面でもグローバル化を進めていく必要があるということが書いてあります。

 知的財産からあとは、民間の研究開発をもう少しイノベイティブなといいますか、パイオニア的なものを重視するためにはどういうものが重要かということが書いてありまして、知的財産の問題、特にソフトウェア等に拡大していくこと。それから、開放的な市場の確保という問題。特に通信とか環境とか安全といった分野では、デジュア・スタンダードというのが今後非常に重要になってくるということで、日本の場合は国際標準についても幹事国を引き受ける程度が非常に小さくて、デジュア・スタンダードの確立においても日本の技術が適正に評価されるといったことが必要だということを新たに書いております。

 リスク資金については、ベンチャー・ビジネスの問題、各企業の研究開発の問題とあるわけですが、ベンチャーについて言いますと資金の不足というより人材というのが基本的な問題というふうな認識を持っております。ですから、大企業が人材をたくさん持っているわけで、もちろんベンチャー企業も今後発展が必要なのですけれども、大企業自体が企業内ベンチャーをやっていくということも非常に重要ではないかという認識を皆さん持っております。特にいままで難しかったのは、大企業の中ですと、報酬制度をベンチャーをやる人とそうでない人を分けることは非常に難しい。それからコミットメントの問題といいますか、失敗したときに必ず責任を取るような仕組みになっていないというところが、企業の中でベンチャーをやっていくことの大きな拘束要因になっているわけですが、持株会社が解禁されまして、報酬制度のあり方とか有限責任、本社の有限責任をはっきりさせるということで、持株制度会社というのが今後もう少し解禁されると企業内ベンチャーを進めていくためにも活用されていくということが必要ではないかということが、新たな点として書かれております。

 第4節に移りまして、15ページでございますが、ここでは技術の利用といっても非常に大きなテーマでありまして、私どもとしては喫緊の問題としては1つは情報通信技術の活用をできるだけ円滑に進めるということが重要になってくる、これに1つ焦点があります。それから、それに関連して規制緩和の問題も取り上げております。

 情報化というのは今後非常に大きな影響を与えるだろうという認識でおります。特に銀行とか証券とか保険業、金融業というのは、リーテルオペレーションがPCバンキングにかなり移っていくという前兆がはっきり出てきていると思います。アメリカの金融機関ではインターネットを使ったバンキングでテラーとか支店の行員を約半分にする、そういったリエンジニアリングをやっているところもあるようでございまして、こういった分野ではかなり技術革新が期待できると考えております。

 米国が先行している原因は何かということで、やはりパソコンの普及率、インターネットの接続割合が日本はまだ非常に遅れているということが言えます。データで見ますと、19ページに各国のパソコン普及台数、インターネットの接続台数というのが、95年で古いのですが、相対的なポジションはあまり変わっておりません。日本はかなり遅れているということが言えます。

 2番目はこれと密接に関連しますけれどもインターネットを使う場合の通信料金が米国と比べて、使い方にもよりますけれども2倍とか3倍。インターネットで技術革新を起こせそうな産業で規制が多いということが指摘できると思います。

 日本の製造業について言いますと、従来、情報技術革新は非常にうまく使ってきた。鉄鋼業の生産工程管理をはじめとして、べつに情報通信技術だから日本が遅れているということではなくて、日本では少なくとも製造業、あるいは流通業の中では世界的に見ても情報技術を非常にうまく使っている産業もございます。ですから、情報技術に弱いということではないのですが、だだ現在の情報化が従来と非常に違っていますのは、企業単位のスタンダーローンの情報化ではなくてネットワークとしての情報技術革新だということが重要だという認識を持っています。つまり、企業が情報化を進めるだけではなくて消費者、政府、全体がコンピュータの利用を進めることで、いわゆる技術革新自体にネットワーク外部性が働くというような状況になっているかと思います。

 そういう認識に立ちますと、やはり政府がかなり強いイニシアチブをとって情報化を進めていくということが必要ではないかということで、その観点から、既に「経済構造の変革と創造のための行動計画」にかなりラジカルな提案がされているわけですけれども、基本的にはそれに即しますが、17ページからいくつか提案が書いてありまして、データのディジタル化を進める、電子政府を早急に実現していく。技術革新が吸収できるような新たな制度的な枠組み、例えばディジタル署名の認証等、それから標準化、いままでスタンダーローンでやってきましたので、ネットワークで情報を交換する形に情報システムがなっていない産業が非常に多いわけです。したがって、ソフトウェアベンダーもそのために日本では育っていないということがあるわけですが、これからはネットワークを前提とした情報化ということですから標準化を進める。

 それから、情報通信インフラの効率的な整備。ネットワーク外部性がありますから、総括原価方式で値段をつけるのではなくて、ネットワーク拡大効果を内部化するような料金の設定といったことも考えていっていいのではないかと考えられております。

 それから、最近は小学校からパソコンが入っているようになっていますけれども、やはり小学校の教育のレベルから情報通信教育を進めていくということが重要ということを書いております。

 規制緩和は、これに関連して非常に重要でございまして、当然、技術革新が企業間競争で非常に重要だということの他に、情報ネットワークが進みますと企業と消費者の分業関係が変わってくるということが言えます。ですから、消費者が言ってみれば銀行の支店の代わりのことをPCでやるということになりますので、料金の規制、あるいは再販価格もそうですけれども、サービスの内容に合わせて価格が設定できるようにならないと、なかなかこういったものが使えないということであります。ですから、料金の規制とか営業範囲の規制とか、こういった規制の緩和の徹底、証券取引等でも99年には手数料が自由化されますが、そういったことをとにかく確実にやっていくということが重要だということを書いております。

 最後に5節から提言がまとめてありまして、20ページから21ページに研究開発の面で7項目。技術の利用という側面で6項目書いております。既に申し上げた点でありますので、これで終わらせていただきます。

〔 香西部会長代理 〕 どうもありがとうございました。

 それではご関連もあるかと思いますので、産業構造ワーキンググループのご報告を引き続いてお伺いしたいと思います。座長の鶴田委員からよろしくお願いいたします。

〔 鶴田委員 〕 昨年中間報告させていただきまして、それ以降、今年に入って5回研究会を行いました。改めてメンバーはこのリポートの3枚目に書いてございます。私以下、産業研究に関する第一人者でございまして、大変楽しい議論をさせていただきました。特にロバート・フェルドマン委員、展望部会の委員でもいらっしゃいますけれども、日本人でない海外の方が参加されていたために、私たちが気付かない論点をいくつか提起していただきました。こういうプログラムを作る過程において、他のワーキンググループでも海外の方が参加されると、もう少し違って視点でストーリーが書けるのではないかという印象を持ちました。特にライフスタイルについては、日本人それ自身が書くより海外の人が書いた方がいいのではないかなと思う節があります。それは、私が何回かの研究会を通して実感したことでございます。

 産業構造ワーキンググループで議論するに当たりまして、次のことはおおよその委員の方の暗黙の了解になっております。まず第1は足下のことは考えないということでございます。全体のプログラムでは足下のことをやはり重視しなければならないと思いますけれども、産業構造の問題としてはもう少し長期の視点に立って、21世紀に何が問題になるだろうかという視点を大事にしてあります。

 2番目は、政府の役割は必要最小限に求めるということであります。なるべくマーケット機能に委ね、そして政府がやらざるを得ないところに極力絞ってやるべきだというスタンスであります。

 3番目に、伝統的にございました、いわゆる産業の育成とか保護という視点は一切とっておりません。したがいまして、「国際競争力の強化」とか、そういう懐かしい言葉は一切使わないでレポートを書くということになっております。

 チャートをご覧いただきたいと思います。このチャートに私たちの考え方のすべてが網羅されております。真ん中に「構造改革」とございますけれども、これは先ほど申し上げましたように「6つの改革」というよりは「構造改革」と置いた方がもう少し長期の展望に立った改革が必要ではないかという観点から入れてありますし、また後で報告の中で触れますけれども、「産業構造上の課題」について述べる場合に、いくつかの規制の緩和をさらに推進しなければいけないということを言っております。したがって、構造改革というのはいずれの内閣にとっても継続した大きな課題だという認識に立って中に書いてございます。

 それから、全体のコンストラクションでございますが、目次をご覧いただきたいと思います。このチャートに沿って申し上げますと、構造改革は左側の部分でございますが、下の資源配分の歪みの上のところでございますけれども、これと右下の政府の役割でございますけれども、これは基本的課題のところに書かれております。

 それから、左下の経済の高コスト構造から右の産業構造上の課題でございますが、これが2番目の6ページ以下でございます。

 一番最後に産業構造をめぐる5つの提言とございますが、これはチャートの中の右側の部分であります。一番上の「柔軟・創造・挑戦型産業構造」の構築から、産業構造上の課題というところが書かれております。

 参考までに、いろいろ膨大な参考資料が添付されておりますから、後でご覧いただきたいと思います。

 まず最初に、チャートの左上でございますけれども、産業構造を考えるに当たって経済環境はどういうふうに変化しているだろう、こういうところでございますけれども、4つの制約条件があります。1つは、少子・高齢化の問題でございまして、今後、長期的には生産年齢人口が減少していくことが予想されますから、女性や高齢者の活用がなければ労働供給制約が経済成長の制約要件となるのではないかというような認識であります。

 また、財政改革等々によって国民負担率の上昇を抑えることが、企業の海外流出を適正なものにするという意味では重要ではないかという認識があります。

 2番目に、グローバリゼーションでございますけれども、今後、アジア諸国との競争は一層激化すると思いますから、日本の競争制限的な政府規制の慣行等々に起因する高コスト構造を是正することが必要だという認識であります。

 3番目に、技術革新、情報化でございますけれども、これは言うまでもなく日本経済がダイナミックな展開をする上では、今、ご報告ございましたような技術開発について十分な関心を持つ必要があるということでございます。

 4番目は、地球環境制約でございますけれども、これは2ページに書いてございますが、重要な視点は地球環境問題は経済成長や産業の発展にとっての制約になる可能性があるものの、半面、それへの取組みが21世紀の我が国経済の新たな繁栄の糧ともなり得るとの視点に立って積極的かつ適切に対応していく必要がある、こういう認識に立っております。

 そして、こういう制約条件の中で今後追求すべき課題は、国際分業、国内市場における歪みを是正して、産業全体の生産性を向上していくことが必要であるということであります。「生産性の向上」というのは古くして新しきテーマだと思いますけれども、21世紀においてもやはり必要な諸改革を行なって生産性を一層高めるような、そういう経済にしていかなければいけないという認識に立っております。

 そして、チャートの下の方に経済の高コスト構造の是正というところがございますけれども、特に非製造業の生産性向上を制約しているのがいろいろな規制等々ではないか、こういう認識に立っておりますから、恐縮ですが7ページに飛んでしまいますけれども、上の方に、高コスト構造の是正に重点を置くべきことは、産業活動のインフラ的分野である物流とか運輸、あるいはエネルギー、情報通信、金融等における規制の撤廃、緩和が必要だということであります。特に物流、運輸では需給調整規制等の参入規制とか、あるいは価格規制の廃止とか、エネルギー分野では電気事業の一層の自由化とか、負荷率の改善。あるいは情報通信分野では参入規制、価格規制の廃止や自由かつ公正な相互接続の確保のための厳正中立な監視、金融分野では日本版ビッグバンの推進が重要だ。こういうことであります。

 そして、2ページに戻っていただきまして、今後、21世紀にどういう産業構造が形成されるのであろうか。これは中間報告でもご報告しましたけれども、柔軟・創造・挑戦型産業構造というコンセプトを使わせていただきました。2ページの真ん中より下に書いてございますけれども、まず柔軟というのは、資金、技術、人材、情報、ノウハウ等の生産要素の柔軟な移動ないしはそれらの企業内、企業間における柔軟な組み合わせを推進するということで「柔軟」という言葉を使っております。

 「創造」というのは、日本の産業というのはしばしば指摘されますように、真似て真似られる関係ということがよく言われますけれども、模倣や横並びでない独自の発想、技術、ノウハウなどに基づく創造的な活動が必要という意味で「創造」という言葉を使っております。

 「挑戦」というのは、経済各主体の積極的なリスクテーキングによる現在の閉塞的、硬直的な経済行為への挑戦ということが21世紀には必要ではないかという意味で「柔軟・創造・挑戦型の産業構造」というコンセプトを使わせていただきましたけれども、これは中間報告でご説明申し上げた以降、このコンセプトについてどなたからも異論がございませんものですから、多分、了解していただいたのかなというふうに認識しております。

 そして、こういう産業構造を作る上で産業構造上の課題がその下にございますけれども、その前に、政府はどういうことをやるのだということを述べておく必要がございます。3ページに3.政府の役割とあります。チャートでは右下の方に書いてありますが、全部で6つあります。

 まず(1)規制の撤廃・緩和と市場競争ルールの整備・徹底であります。今後の日本経済を考える場合に市場メカニズム発揮の阻害要因を除去することが非常に大事でありますし、市場における公平・公正な競争と安全・安心の確保のための透明な市場競争ルールとか、あるいは市場監視機能の整備・徹底を行なうことが必要だということであります。

 (2)競争政策の強化。規制を緩和いたしますと当然市場機能が働く分野が広がってくるわけでありますから、独占禁止法の従来以上の強化が必要だということであります。そういう競争政策を強化することは、独占禁止法の適用除外制度の見直し・廃止や、あるいは行政指導の法令上の位置づけの明確化等々、従来の慣行を大幅に見直すことが必要だということであります。

 (3)「柔軟・創造・挑戦型産業構造の構築に資する社会保障の整備」とあります。ややもすれば公共投資無用論がございますけれども、やはり21世紀の産業構造を考える上で、社会資本の整備は不可欠であります。その場合に従来の公共投資のコスト削減とか効率化・透明化を推進することが必要でありますけれども、今後は、「柔軟・創造・挑戦型産業構造」の形成に資するような、例えば人流・物流分野とか、情報通信分野とか、研究開発分野とか、都市基盤分野等々において社会資本をきっちりと整備し供給していくことが重要だという認識であります。

 (4)人材の育成、研究開発の促進と経済主体の能力発揮のための仕組み・制度づくりであります。経済の発展にとっての基本はヒューマン・リソーシス、人的資源でございますから、あらゆる分野において人材の育成に努めることが重要だということであります。特に、後で産業構造上の課題として仲介機能のところで申し上げたいと思いますけれども、規制の緩和をすることによって有能な人材の流動性が高まるということが求められると思います。

 (5)環境問題への対応であります。これは言うまでもないことでございますが、先ほど申し上げたので説明を省略いたします。

 (6)セイフティ・ネットの整備等とございますけれども、いろいろなセイフティ・ネットが必要だと思います。特に産業構造が変わる過程では雇用問題が軽視できなくなりますから、そういう雇用問題への配慮とか、あるいは社会保障の整備とか、あるいは金融市場も含めてセイフティ・ネットを十分整備しておくことがマーケット・メカニズムを有効に働かせる上では重要だという認識でございます。

 そして、6ページ以下に産業構造上の課題とございますけれども、まず8ページで、構造改革に伴う生産性の向上、高コスト是正についての試算がございますが、これはもしご質問があれば後で事務局の方からお答えいただくことにして、チャートの産業構造上の課題について随時申し上げます。

 2.仲介機能の強化であります。「仲介機能」という言葉があまりこなれた言葉ではないので、もう少しいい言葉がないかなと思っておりますけれども、問題意識は、先ほども申し上げましたけれども「柔軟・創造・挑戦型産業構造」を構築することは、ヒト、モノ、カネ、情報等々の生産要素が柔軟に移動することが必要でありますし、あるいはそれらの効率的な組み合わせの下で創造的かつ挑戦的な活動が行われ、最適な資源配分が実現されることが必要なのでありますけれども、そういう意味で生産要素の移動を円滑にするような、そういう機能をここでは「仲介機能」と言っているわけであります。

 全部で6つ、「人材」、「技術」、「資金」、「物流・流通」等々、あるいは「企業活動のコーディネイト機能」、「企業と個人の間の情報仲介」というのがございますが、10ページで、まず(1)人材仲介機能について言えば、労働力の円滑な移動を推進する上では、これは規制緩和小委員会でも若干は検討されたと思うのでありますが、職業紹介事業とか労働者派遣事業において規制を速やかに撤廃しておくことが、今後の人材の交流を推進する上で必要ではないか。あるいは企業年金等々においても労働移動を阻害しているような要素があるとしたら、それも除去する必要があるだろうという認識であります。

 (2)技術仲介機能について言えば、11ページにございますけれども、知的財産権の保護の強化とか、あるいは休眠特許等の知的財産権のデータベースの構築とか、産学官提携の推進とか、技術評価を行なう人材の育成・活用、そういう機能であります。

 (3)資金仲介機能について言えば、特にベンチャー企業を意識しておりますけれども、リスクマネー供給をどうしていくのか、その供給機能を重視することが必要だということであります。

 (4)物流・流通機能につきましては、かなり多くの参入規制、価格規制等々が残っておりますから、そういう競争制限的規制を早急に撤廃して経済の効率化に資することが重要だということであります。

 (5)企業活動のコーディネート機能につきましては、11ページから12ページに書いてございますけれども、これはM&Aの問題から、インキュベート機能、あるいはカウンセリング・サービス等々についてメンションしておりますけれども、そういう企業活動のコーディネートをサポートするような機能が重要だという認識であります。

 (6)企業と個人の間の情報仲介機能とありますが、これは例えば資産運用に関するとか、福祉・医療問題とか、あるいは商品の安全性とか、そういう分野において情報をディスクローズしていくことが今後重要な課題になるのではないかという認識であります。

 産業構造上の課題の大きな3番目でありますけれども、我が国産業の発展基盤の継承・強化であります。ここでは3つありまして1つは研究開発の促進であります。これは言うまでもないことでありますが、割愛させていただきます。

 2番目のものづくり基盤技術の継承とありますが、これは、たまたま橋本総理のご発案で、「ものづくり」ということに通商産業省が着目して、現在でも「ものづくりフォーラム」が進められております。これは、鋳造、鍛造、プレス、金型等、いわゆる3K産業が日本の製造業にとって非常に重要であるにもかかわらず、従来、そこに政策的なスポットが当てられていなかったと思います。このまま放置しますと、技術・技能の継承の困難性が発生する可能性がありますから、そこで現在、通商産業省では「ものづくりフォーラ ム」というのを進め、ものづくりに対する教育を浸透させるとか、あるいはインターンシップを強化するとか、地域間の技能・技術交流を推進するとか等々のプロジェクトが今年実験的に行われております。中小企業庁と関東通産局だったと思いますけれども、このようなことに着目して、国がというよりは、今後、各自治体が積極的に取り組むべき大きな課題になるのではないかと思っております。

 (3)中小企業間での弾力的な分業関係の形成でありますが、中小企業というのは日本経済の社会的分業の重要な一翼を担っているわけでありますから、中小企業の弾力的な分業関係の形成ということがこれから非常に重要ではないか。そういう意味で、中小企業の集積等々についてある種の制約になっておりますのが、15ページから16ページあたりに書いてありますけれども、例えば工場等制限法等の規制の撤廃とか緩和等々、そういう措置をとることが必要だという認識に立っております。

 4.新規事業分野の展開におきましては、ここで5つ書いてございますけれども、先ほどの技術開発に関するところとかなりダブっておりますからはしょらせていただきますけれども、特に私どもが重要だと思っておりますのは、産学官の連携の一層の推進であります。これは中間報告のときに申し上げたかと思いますけれども、従来の研究開発については基礎研究と応用研究、開発研究とリニアのモデルでとらえる関係がありましたけれども、基礎と開発の研究が相互に影響し合いながら螺旋状になって発展しているという現実がございます。そういうことを認識して産官学の共同研究を阻害している要因を除去することが必要だということであります。

 18ページの最後の行に【4】新規事業展開をサポートする人材の活用・育成とありますが、私はこれからの日本社会の中においてCATV技術を活用したいわゆるoff campus education  と言いましょうか、on campus education ではなくて、それぞれの作業場の中にいて双方向におけるCATVを使って教育プログラムというものが大学機関によって供給することによって有効性をもってくるのではないかという気がいたします。これは既にアメリカでは10数年前から始まっているというふうに思います。

 ベンチャーに関しては、先ほどご指摘がございましたけれども、ベンチャーにとってもちろん資金供給を円滑にするということも重要でございますけれども、むしろベンチャーの技術評価をどうするかということが非常に重要であって、私の認識では、持株会社が解禁されましたし、そうなりますとベンチャーの技術を評価できるのは現実に企業家であったり技術者であるという必要があると思います。金融機関ではなかなか評価できないだろう。そうすると、分社化する、持株会社化することによって、企業自身の中で資金を供給するだけではなくて、ベンチャーの技術に対する評価というものがこれから定着していくのではないか、そういうふうに思いますから、持株会社についてもそういう側面から評価していくということであります。

 一番最後のところでございますけれども、25ページから27ページに「産業構造をめぐる5つの提言」というのがありますが、それはチャートの一番上の『柔軟・創造・挑戦型の産業構造』が提言1。提言2が〔『仲介機能』の強化〕。提言3が〔我が国産業の発展基盤の継承・強化〕、提言4が〔新規事業展開促進の環境整備〕、提言5が〔長期的視点に立った人材の育成〕でございます。

 冒頭に申し上げましたように、なるべくマーケットの機能を活用しながら生産要素が自由に移動できるような条件を作り、そして、全体として規制を緩和しながら生産性が上がるようなそういう仕組みを作ったらどうかというところであります。

〔 香西部会長代理 〕 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまご報告いただきました技術革新、産業構造の2つのレポートについてのご意見、ご質問等自由にご発言をお願いしたいと思います。

〔 B委員 〕 2番目にご報告のございました産業構造ワーキンググループについてお尋ねしたいと思います。

 10ページに(1)人材仲介機能ということが出てきますが、第2パラグラフの「今後目指すべき『柔軟・創造・挑戦型産業構造』」という指摘の中で、労働移動が円滑に進むということの中に【2】としまして「ものづくり基盤技術の面での人材」というのが取り上げられているわけであります。労働ワーキンググループの中でも、能力開発と人の移動の問題についていろいろ議論したわけでありますか、この間に直接関連することがあるのだろうかということについてはかなり意見が分かれております。例えば、長期雇用を必要とするようなもの、それによってこういう「ものづくり基盤技術」といったものが伝承されていくということもあるのではないかということも議論の対象として出てまいりまして、我々のワーキンググループの中では「これは両面がある」ということではっきりさせなかったというところなのですが、この点、いかが考えていらっしゃるかについてご質問したいわけであります。特にその下のところに人材仲介機能の強化に向けての政策対応ということで「職業紹介事業や労働者派遣事業において未だ存在している規制を速やかに撤廃すること」ということでありますが、昨年の4月1日からだいぶ、経済審議会のレポートの内容を受けましていろいろなところで規制が緩和されてきている。おそらく職業紹介事業におきましてもネガティブ・リスト化という形で多くの職業については有料職業紹介が既にスタートしているということがございます。そういうことを踏まえました場合に、ここで言っていらっしゃいます「未だ存在している規制を速やかに--」というのは具体的に何を指しておっしゃっているのかということについてお尋ねしたいと思いますが、いかがでしょうか。

〔 鶴田委員 〕 最初の「ものづくり基盤技術の面での人材育成」というのは、実は先ほど申し上げました通商産業省の「ものづくりフォーラム」に私が参加しておりまして、そこでまずやったことは、小中学生からものづくりが重要だという意識を埋め込むことだったのです。というのは、私の大学の学生を見ていましても、例えば1本のビール缶があったとしたら、これはどういうプロセスで作られてきたかという認識が全くゼロに等しいのです。ところがよく見るとアルミニウム缶は非常に薄く取りやすくなっている、あそこまで精巧な技術だという認識はまずゼロだと思うのです。しかも中に発泡するものが入っているものですから、うっかりすると飛び出してしまうわけです。それを1つとってもいかにプレスの金型製造技術が重要かということに尽きると思うのですけれども、今、小学中学生というのはそういう認識が全くゼロなんだそうです。特に工専あたりでも、学校の先生が「君たち、こんなところに来るよりは区役所に行った方がいいよ」とか、そういう指導をする時代だそうで、したがって、まずそういうものづくりに対する意識改革から行なわなければいけないのではないかというのが、私が参加した「ものづくりフォーラム」の基本だったのです。

 それから、鋳造・鍛造等の3K産業というのは、「3K」と言われるぐらいに産業現場も非常に汚いし、暑いし、汚れます。そういう力仕事でございますけれども、そういうところに学生を向けてインターンシップを通してものづくりに対する認識をまず深めてもらう。そういうことが実は地道な作業ですけれども必要なのです。こういうことで一番進んでいるのが長野県で、大阪も進んでいます。そういう意味では日本で京浜地区と長野とで地域間連携を始めましたけれども、通商産業省の狙う、国が一応音頭を取ってやるにしても、地方自治体にそれを埋め込んでいきたいということなのです。

 ですから、こういう経済審議会の大きなプロジェクトの中でも、その重要性を指摘することが必要ではないかということで、ここに埋め込んであります。

 それから、2番目の職業紹介等々について規制を速やかにということは、私も規制が緩和された事実は存じておりますけれども、なおかつやはり民間が自由に参入できるようにはなっていないだろうと認識しておりますから、現在の規制緩和の流れをさらに推進することが必要だ、こういう認識に立ってここにメンションしてあります。

〔 B委員 〕 今、鶴田委員のおっしゃった前者については、私どももまさにそのとおりで、学校教育の問題について職業能力あるいは職業認識の問題ということで重要であるということを言っているわけでありますが、ここでの取り上げ方が移動をより円滑にすべき人材としてという形になっているわけであります。そこのところで、能力開発については両面があると思うのです。例えば学校教育で最近独創性がなくなっている、あるいは生徒の創造力がなくなっているという問題として、受験競争が激しいためにそれが失われているのではないかという指摘があったりするわけです。そのためにものづくりの大切さが忘れられているのではないかということがありまして、もし、労働市場において移動というものが頻繁に行なわれるだけということになりますと、外部で評価されるような、我々の言葉で言えば「ジェネラル・ヒューマン・キャピタル」といいますか、そういったものだけが評価されるようになってくるだろう。ところが、ものづくりの場合には必ずしもそれだけではなくて、場合によってはファーム・スペシフィックなところもありますし、オキペーショナル・スペシフィック、あるいはインダストリアル・スペシフィックというような技能の能力も必要になってくるだろうという視点から、委員がおっしゃることはよく承知しているわけでありますが、その上で「円滑な移動」のところにこれが出てくるということで、ちょっと気になったということでございます。

〔 鶴田委員 〕 人材の特にものづくりのところだけを議論したわけではございませんから、むしろこれを補う形でそちらの方で議論していただければ大変ありがたいと思います。

〔 G委員 〕 科学技術の点と産業構造の点と両方関係するだろうと思います人づくりのところなのですけれども、産業の中で今いろいろ苦労しているところでありますけれども、1つ何か喉に骨がつかえているような感じになっておりますのは、今の大学の受験制度がもう少し何とかならないのかなという感じが強くいたしまして、非常に記憶力重視ということでよく言われますけれども、やはり基本的には入り口管理で、入り口を通ることだけ--、ですから、受験テクニークは非常にすぐれてきて、専門家がいっぱいいるわけですけれども、大学で勉強することが目標ではなくて、大学の受験を通ることが目標というふうなところにテクニカルに絞られてきますから非常に問題が起こっているのではないか。逆に、今、国際的にも非常に独創性を発揮して、日本の特色を出しているのはアニメとかゲームソフトとかああいうところは、ちゃんと教育を受けてエリート大学に行ってという方と全然種類が違った方が大活躍をしているというような話をよく聞くわけで、実態はまだ労働省でもつかんでいないようでございますけれども、ちょっとそこがどうも1つ大変、タイの骨が喉につかえているようにいつも落ちないところなのですけれども、触れていただけるとよろしいのではないかという感じがいたします。

〔 鶴田委員 〕 私は大学人として、今、おっしゃること非常によくわかりますけれども、いろいろ考えてみて、確かに試験制度が矛盾だらけというのはよく理解しております。例えば大学に入ってからの教育というのは、答えが1つというのはまずないです。非常にいろいろな攻め方があって、こういう攻め方をしてこういう答えを出しても、それは1つあり得るだろうというような形の教育をしますけれども、受験のときには答え1つを求めてくるわけです。そこのところが非常に大きな矛盾だと私は思っております。ただ、本当はそれを大学の方からやらなければいけないのでしょうけれども、なかなか言うは易し行なうは難しということがあります。例えば大学の財政の中で受験料収入というのはバカにならないのです、何億円と入ってきますから。これをゼロにして「教育上、こういう試験がいいのか」というと経営者はなかなかとりにくいです。そういう問題が1つあります。

 それから、今、ご質問があったので思い出したことは、ある日本人がずっとアメリカで生活していて、今度日本に帰ってくることになって幼稚園を調べに行ったのです。日本の幼稚園を見てその人は非常にガックリしちゃったというのは、まず行く時間が同じ、行ったら一斉に並んで「おはようございます」。幼稚園の中で何をやるかというと一斉に同じことをやる。そして、時間がきたら「先生、ありがとうございました。さようなら」と言って帰る、全部横並びなのです。アメリカの幼稚園教育というのはそうではなくて、朝、行ったら、自分の好きなことだけをやらせる。帰る時間もまちまちだと言うのです。そういう教育を受けている幼稚園生が日本に来て横並びの教育を幼稚園のときから受けるのかと愕然としていたようでございますけれども、そういう意味で、おっしゃるように大学だけの問題ではなくて、幼稚園のあり方から考えていかないといけないので、是非、日経連の中でもそういうご提案をしていただければ大変ありがたいと思います。

〔 H委員 〕 これからの新しい産業というときには、いままでもたくさん少子・高齢社会の課題を取り上げられておりましたけれども、私は福祉領域に関わる産業をいかに作り出していくのかということが1つ大きいのではないかと思っております。その部分の議論はどういうふうになされたのかということがありますし、これからの新たな産業のときには、今でも産業廃棄物、リサイクルとの関係があるわけですけれども、この辺まで含めたこれからの課題への対応というところは必要性がないのかどうか。その辺の議論もありましたらお尋ねしておきたいと思います。

〔 鶴田委員 〕 そのことは、ワーキンググループでも終わりの頃になって議論が出てまいりました。というのは、前後、そう何回も議論しているわけではございませんし、非常に制約が強い中で議論しているものですから、議論の中心が、一応、非製造業というところあたりに絞られていると思うのです。ただ、農業は何もしなかったかというと、実はずるいやり方ですけれども、経済の高コスト構造の是正のところで「農業など」と1つ入れてありますから、これを入れたことによって農業も検討したというふうに、一応逃げさせていただいて--。

 流通について言えば、仲介機能の強化のところで物流・流通機能と入れてますから、それでカバーされているだろうというふうなところで、実は福祉の問題も議論に出ました。今後、福祉の領域の中で、やはり民間の力をどうやって福祉サービスの方に向けていくかというのは非常に大きなポイントになると思いますけれども、正直言ってここではそのことについてメンションしてありません。本来であれば重要な部分でございますから、1項割いてその部分を書かなければいけないところでございますけれども、残念ながら時間の制約があって、そこに一切触れていないというのが正直なところです。もし、そこを触れろという強いご指摘が委員の皆様方からあるならば、ワーキンググループの中でそれをきっちりと検討して1項設けていかなければいけないかなと思います。

 事務局は、いかがですか。

〔 事務局 〕 鶴田委員とご相談させていただきたいと思います(笑)。

〔 D委員 〕 私どもの地球環境ワーキンググループの検討とも関連して1つだけご質問というか、聞きたいことがあるのですが、例えば、本文中の22ページの、いわゆる産業別GDPのシェアの試算等々を見ても、いわば資源エネルギー多消費の、あるいはエネルギー集約度の高い産業が減っていくというような形で、付属資料の21ページのところに同じような意味でそこに棒線が引かれていて、これらの先ほどのようなものはエネルギー多消費型の産業であるという形になっているわけです。ですから、例えばCO2 制約を強化すればするほどこういった産業が減ってきて、産業転換が進む形で日本が対応していくという産業構造変化というのは確かにこのとおりだとは思うのですが、私どもの検討でもそういう問題指摘が出たわけですが、その意味で日本だけの視点から考えると、そういうことになるのですが、これを世界全体の視点で考えてみますと、例えばエネルギー多消費産業のエネルギー利用効率だとか、CO2 排出集約度だとかいうのを見てみますと、日本が転換して他国から輸入し、あるいは他国にトランスファーするということであるとすると、世界全体として見ると、むしろそのことは例えばエネルギー利用効率とかCO2 排出量から言うと増やすことになり得る可能性を持っているわけで、そういう面で日本だけの産業構造転換という問題と、グローバルに見たときにどうなのかという意味で、その点、何かちょっとリファーとか、そういう点があった方がいいのではないか。ちょっとそういうことを感じたのですが、いかがでございましょうか。

〔 鶴田委員 〕 おっしゃるとおりだと思います。1つの前提を置いて計算しているわけですから非常に大きな限界があると思います。その前提等々については、作業を具体的にしてくださった事務局の方からご説明していただいた方がいいかもしれません。

〔 事務局 〕 22ページの表でございますけれども、前提といたしましては、環境についての件でございますけれども、21ページの第1パラグラフの5行目の終わりから、実は環境制約について考慮していないという前提でやっているということでございます。ですから、21ページの表の無対応ケースというふうに書いてありますのは、いわば趨勢延長的な姿であり、(2)の構造改革ケース、ここでの構造改革というのは環境は入っていない、いわゆる規制緩和などの構造改革だけを織り込んだということで、環境制約両方とも考慮していない姿であるということでございます。

〔 D委員 〕 だから、私が申し上げたのは、それはそういう計算がされているのだけれども、その後に何か今のようなことが(注)かあるいは意味として書かれていたらいいのではないか。そういうことを申し上げているだけで、この計算がおかしいとかそういう話では全くなくて、こういう計算の持つインプリケーションというのは世界的に見ると問題があるかもしれない。こういうことをただ申し上げているだけなのです。ですから、計算の仕方がおかしいとかそういう話ではなくて--。

〔 鶴田委員 〕 要するに、この表の読み方をきっちり書いておけばいいわけですね、こういうふうな限界がありますよと。

〔 D委員 〕 だから、そうなるとすると、別な視点から評価すれば問題があるかもしれないというような意味で申し上げただけですので、これ自体の計算がおかしいとかそういうことではなくて、こういう想定が持つ意味というか、それが書かれているといいのではないか、そういうことだけでございます。

〔 鶴田委員 〕 ありがとうございます。

〔 I委員 〕 技術革新の方向について1点だけご質問したいのですが、先ほど長岡(貞)委員の方からご説明があった参考資料の表の5番目ですが、OECDの部門別の全要素生産性のパフォーマンスの表がありまして、これはおそらく将来展望といいますか、今後5年か10年か日本経済がどのぐらい潜在成長力を持っているだろうかという1つの判断材料にもなり得るという点では非常に重要な表ではないかと思っているのですが、この表でわからないことが2つほどありまして、1つは、商業の伸びが日本は非常に高いということになっていまして、アメリカよりも 1.9%上回るほど伸びている。他のいわゆるサービス関係というか仲介業のところは大体アメリカを下回っていてパフォーマンスが悪いということになっているのですが、なぜ商業だけいいのだろうかというのが1点目です。

 2点目は、運輸・通信という、おそらく通信業というのは、情報産業というのは、今後、一番プロミシングなインダストリーだと思うのですが、それが過去のパフォーマンスを見ると、日本はG7の中で一番悪いという、もちろん運輸がくっついているということもあるかもしれませんが、非常にパフォーマンスが悪いわけです。アメリカを 1.9%下回っているという。これが将来、今、規制緩和をいろいろやっていたり、あるいは研究開発投資というようなことを今後進めるとしてどのぐらいこういうギャップといいますか、過去、非常に悪かったことがどのぐらいよくなり得るのか。

 まとめて言うと、製造業のシェアというのは、これはおそらく産業構造の方とも関係があると思うのですが、そこがどんどん小さくなるのだと思うのです、落ちる速さはどのぐらいかわかりませんけれども。それでどこが膨らんでいくかというところが問題で、おそらく一番膨らむところは情報通信のところではないかという気もするのですが、もしかするとあまり生産性が期待できないようなところにいくかもしれない。そのことによってだいぶ将来の潜在的な成長力が、産業構造変化ともあいまって両方合わせて考えてみるとどういう姿になるのかということについてご質問いたしたいと思います。

〔 長岡(貞)委員 〕 どうもありがとうございます。

 いずれにしてもこれは絶対水準ではなくて伸びの比較でありますので、流通は、大店法等の規制はあったのですが、しかし、大規模店舗はずいぶん伸びてきていますし、コンビニエンスストアとか非常に技術革新が進んでいる分野もありまして、私自身は商業の生産性の伸びが高かったということはあまりサプライジングではない感じがいたします。

 ただ、もちろん現時点でアメリカと日本と比べて、流通マージン等を比べてどうかと言われれば、おそらく現時点ではアメリカの方がいいことは確かだと思うのですけれども、流通分野では革新はかなりあったという感じはいたしております。

 通信が今後どうなるかということですけれども、この分野は全要素生産性がどの程度伸びるかという予測は私は全くできませんが、アメリカが進んでいるということは日本も進めるということを示していまして、日本がインヒアレントに弱いということではない、最先端の部分はまた別かもしれませんが。したがって、今後の規制緩和等が進んでいけば、全要素生産性は相当伸びる余地があるし、90年代に入って、通信分野について言えばその兆候も既に見えているという感じがいたしております。

 製造業のシェアが低くなることは、いままでもそうでしたし明らかだと思います。ですから、GDPの伸び率が下がるというのは、技術革新の問題というよりは需要パターンが製造業品が安くなれば製造業の方がどんどん需要が膨らんでいくということであれば、製造業のウエイトは下がらないで経済成長への製造業の貢献は大きくなるわけですけれども、しかし、歴史的経験からみますと、やはり所得が上がって製造業への支出シェアは落ちていくというのが、アメリカも含めてそういうのが先進国の経験でありますから、製造業が非常に大きな役割を果たしますけれども、それがしかし減っていくということは、I委員がご指摘のようにそういうふうになるのではないだろうか。

 ですから、通信とか製造業の分野で情報革新が使えて生産性を上げていくというのがますます重要になってくるという感じがいたします。

〔 J委員 〕 2点ほど申し上げたいと思います。

 産業構造の方の14ページ、技術者・技能者の評価、処遇の問題が書いてございます。これはむしろ技術革新の方で申し上げた方がよろしいのだろうと思うのですけれども、私も実態は正確にはよく知りませんが、企業内、研究所内で研究者がいろいろ発明なり新しいものをやった場合、それに対するメリットなり報奨というのは必ずしも十分に行われていないのではないかという感じがしております。いくつかの会社の重役方に伺いましても、例えば、新しい特許を取った場合でも、大体会社の施設を利用してやっているのだから当然それは会社のものになるのだと。当該研究者にはそれほどのメリットというものは考えられないというのが実態らしいようですが、これ、全般の企業について私は実態を存じませんけれども、やはり技術者にそういうメリット思想を、新しいものを作った場合、あるいは改良した場合、必ずそれにふさわしい報奨をあげるというシステムがいるのではないかという感じがいたしております。

 もう一つの問題は、先ほどらいの「ものづくり」だとか、あるいは大学の受験制度の問題である教育の問題でございます。これは前にも申し上げたかもしれませんけれども、大学の受験制度よりも、今、家庭では幼稚園から競争が始まっているわけで、これがどんどん小学校、中学校、高等学校といって、最後は大学にくる。そこで狙っているのは、やはり一番高給が取れるとか、あるいはカッコがいいとか、きれいだとか、学校教育を通じ習っていくものは非常にイージーな理想像のような感じがいたします。こういうものを通じて感じますのは、日本の教育の中で物を作る、あるいは独創的なものとか、職業に対する尊厳、そういうものを尊重するということがどうも日本の教育に一番欠けているのではないか。昔から「職業に貴賤はない」と言いますけれども、どうも今の教育は貴賤が、教育制度といいますが家庭もひっくるめてでありますけれども、そういうものが支配している感じがいたします。

 外国の場合には、キリスト教などでも「労働の尊さ」というのは小さい頃から仕込まれていますが、日本の場合には宗教というのはあまり根づいておりませんし、そういう意味では家庭、学校を通じてこういう教育、「職業は尊い」ということを教え込むような仕組みなり、その職業を尊重する上でいろいろなものを自分が大事にして育っていくというようなことがいるのではないかという感じがいたしておりますので、これはライフスタイルの方にも同じような問題が、価値判断をする場合にそういう評価の基準をどうやって育てるかということが大事だろうという感じがいたしております。

〔 長岡(貞)委員 〕 私は、特許を取った人に対する報奨制度が変化していくかどうかという話を少ししたのですが、変わりつつあるような感じはします。ただ、いままで特許を取っていても、その価値がそれほど高くなかったということで、したがって、インセンティブもあまり強いものではなかったようですけれども、いずれにしても今後は特許が重要になってくるという認識が各社の中にありまして、報奨を高める傾向があると思います。ただ、日米を比較しましても、基本的には研究開発者の評価というのはかなり長期的な観点で行われていて、プロモーションに反映されるという場合が多くて、特定の発明をしたから大きくボーナスをあげるというのは、アメリカでもそういう制度にはなっていないと思います。ただ、いずれにしても、日本の報奨制度が変わりつつあるということは確かだと思います。

〔 香西部会長代理 〕 K委員、産業の方にご参加いただいておりますけれども、追加的に何か--。

〔 K委員 〕 私が申し上げたいのは、両方に関わっていることで産学官連携ということがございますので、これはおそらく運営委員会で調整されることになるのだろうと思うのですが、技術革新のワーキンググループの報告書で10ページに産学官連携の強化ということが書かれているのですけれども、これはおそらく日本の現状が産学官連携があまりうまくいっていない、弱いということを強調されてここにお書きになっているのだろうと思うのですけれども、若干、強めるような面も出てきたという現状をご紹介したいと思います。

 産学官連携というのは、昔から言われていることなのですけれども、最近言われていること、特に文部省でこういう会議を開いているのですが、最近、産学官連携といった場合にちょっと新しいタイプになってきた。それは例えば「産」といった場合には、従来は暗黙の了解としてこれは大企業であるというふうに考えていたのですが、そこに中堅企業あるいはベンチャー企業というものを念頭に入れていこうということがございます。

 「学」の方は、学というのは理系の方は特にそうだと思うのですけれども、専門化するために非常に縦割が進んでいまして、産学連携をするときにも、縦割の組織のままどこかの企業と結びつく。ですから、極端のことを言えば○○教授、何々研究室がどこかの企業と協力する。そういう縦の連携がいっぱいあっても大学全体として産業界にどうこうという、そういう関係というのはいままで作られてこなかった。

 「官」の方は、いままではどちらかというと国家公務員法の規定、人事院規則等々であまり協力が、「学」が出ていくということをむしろ規制してきたのだろうと思います。そういうことが最近ようやく緩和される傾向になってきて、官の方も、官というのはあまり前に出ないのだけれども引きながら協力する。これの一番いい例が、最近、「研究協力促進法」という法律の一部の改正が、今、国会にかかっているのですが、これも、国有財産を研究所の目的であれは廉価で提供するというようなことがかかっております。そういうわけで、少し日本も変わってきたのではないか。

 大学について言えば、大学の方もそういう縦割からベンチャービジネス・ラボラトリーでありますとか、地域共同研究センターでありますとか、地域共同研究センターの機能を持っている、いわゆる先端科学技術研究センターとか、そういう全学組織を作って外と連携するというようなことになってまいりまして、これも現国会に出ているのですけれども、文部省と通商産業省が連携して出しましたいわゆる「技術移転法」、多分、通るのではないかと言われていますけれども、そういう形で危機感をバネに若干日本の新しい産学官連携の模索というところが出てきていますので、是非、そこら辺を加味していただければというふうに思っております。あまり言うと自分のところに球が返ってきますので(笑)。

〔 香西部会長代理 〕 どうもありがとうございました。

 私も、べつに質問ということではないのですけれども、教育のことで2,3お話がありましたが、実は私も最近再び教壇に立つ身になったものですから、感じましたことは、慶応とか東大というような大大学は別としまして、弱小私学においてはもう少子化が怖くて怖くて、もうどうしたものだろうというのが偽らざるところでありまして、それではどういう教育をしようかということになるのです、本当に受けてもらわなければいけないですから。受験競争というのは今や受験生の競争ではなくて大学の競争ですから、どうやって自分たちの教育を変えていこうかと必死になって模索しております。今さら大正教養主義っていうかリベラルアーツに変えるわけにいかないだろうと思いますので、やはり1つがプロフェッショナルを育てたいということになるわけです。専門学校の力は非常についていますから、そこに負けてはどうにもならないということが1つあると思うのです。

 もちろん、リベラルアーツをやるのなら、むしろご年輩の文化教室的なことを生涯教育でやろうということでありまして、若い学生、普通に入ってくる学生はプロフェッショナルとして教えなければならない。そうするとやはり倫理の問題、それからスキルの問題、本当にこれ教育の方から覚悟を変えてやらないといけないのではないか。昔は「頑固親父が職人で--」というのがあったのですけれども、今はありませんので、やはり大学自身も変わらなければいけないという気運だけは出てきている。これはやはり少子化が1つの刺激になって非常にいい刺激だ。これをうまくつかまえなければ大学が滅びるということが非常にはっきりしてきたというふうに私は思っております。

 もう一つは、鶴田委員がお書きになったので非常にうまいなと思うのですけれども、「機能」という言葉ですけれども、これは従来の産業構造の中で機能というのがある意味で抜けていたと思うのです。これは人材マーケットでもある、あるいは技術のマーケットでもありますし、あるいは情報ネットワークみたいなものでもいいし、あるいは人材派遣会社という企業でもある。つまり、いろいろな形の機能の発揮の仕方があるだろうと思うのです、産業組織的に考えました場合に。そういった問題は従来「機能」という面があまり考えられないできたものですから十分解かれていないのではないかと思いますので、もし、できれば、そういった点をいろいろワーキンググループで深めていただければ非常にありがたいと思います。

 本日、いただきましたテーマにつきましても、今後、この部会で必要に応じまして再度ご議論いただきたいと思いますし、また、それぞれワーキンググループが取りまとめに入るわけでございますので、ご意見がありましたら是非、直接でも結構ですが事務局にお伝えいただければ各ワーキンググループに仲介をいたしますということでございますので、よろしくお願いいたします。

 なお、各ワーキンググループの報告でございますけれども、本部会でいただいたご意見等、今後、引き続きワーキンググループで検討していただくことになっているわけでございますが、今後の取り扱いは各ワーキンググループにおいてそれぞれお取りまとめいただいた上でご公表いただくということにいたしたいと思います。審議会の資料は原則公開ですので、改めて特に部会で承認とかそういう手続はいたしませんで、それぞれワーキンググループで取りまとめていただいたものは、部会としてはそれをいただいた上で部会の報告をまとめる際の材料に使わせていただくというご了解だと思いますので、ワーキンググループの報告自体はそれぞれのワーキンググループの責任でご公表していただければいいのではないか、そういうふうに考えておりますので、その点、ご了解をお願いしたいと思います。

 それでは、次回以降の日程等について、事務局からご説明をお願いします。

〔 事務局 〕 次回でございますが、来月4月16日(木)10時半からお願いしたいと思います。

 議題といたしましては、残るワーキンググループからのご報告、地球環境が残っておりますので、そのご報告をいただくということと、ただいま香西部会長代理からお話がございましたけれども、必要に応じてこれまでご報告いただきました各ワーキンググループの再議論をしていただくということでございます。

 時間の関係もございますけれども、取りまとめに向けての展望部会のスケルトンの案もお示ししたいというふうに考えております。以上でございます。

〔 香西部会長代理 〕 よろしゅうございましょうか。

 それでは、第8回経済社会展望部会の審議は本日は以上といたします。本日は特に長時間にわたりましてご議論いただきまして、誠にありがとうございました。

 これで閉会といたします。

--以上--

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