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経済審議会経済社会展望部会(第7回)議事録

時:平成10年2月26日

所:経済企画庁特別会議室(1230号室)


経済審議会経済社会展望部会(第7回)議事次第

平成10年2月26日(木)10:00~12:00  経済企画庁特別会議室(1230号室)

  1. 開会
  2. 各ワーキンググループ報告
  3. 展望部会の取りまとめの方向性について
  4. 閉会

(配布資料)

  1. 資料1 経済社会展望部会委員名簿
  2. 資料2 各ワーキンググループ報告(グローバリゼーション、雇用・労働、金融)
  3. 資料3 展望部会の方向性(案)
  4. 資料4 経済審議会経済社会展望部会の今後のスケジュール

経済審議会経済社会展望部会委員名簿

部会長
小林 陽太郎 富士ゼロックス(株)代表取締役会長
部会長代理
香西 泰 (社)日本経済研究センター会長
稲葉 興作 日本商工会議所会頭
      石川島播磨重工業(株)代表取締役会長
井原 哲夫 慶応義塾大学商学部教授
井堀 利宏 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授
岩田 一政 東京大学大学院総合文化研究科教授
角道 謙一 農林中央金庫理事長
川勝 堅二 (株)三和銀行相談役
黒田 晁生 明治大学政治経済学部教授
      日本経済研究センター主任研究員
小島 明 (株)日本経済新聞社論説主幹
小長 啓一 アラビア石油(株)取締役社長
小林 佳子 (株)博報堂キャプコ取締役
佐々波 楊子 慶応義塾大学経済学部教授
下村 満子 (財)東京顕微鏡院理事長
清家 篤 慶応義塾大学商学部教授
鶴田 俊正 専修大学経済学部教授
中井 検裕 東京工業大学大学院社会理工学研究科助教授
長岡 貞男 一橋大学イノベーション研究センター教授
長岡 實 東京証券取引所正会員協会顧問
     日本たばこ産業(株)顧問
奈良 久彌 (株)三菱総合研究所取締役会長
成瀬 健生 日本経営者団体連盟常務理事
濱田 康行 北海道大学経済学部教授
樋口 美雄 慶応義塾大学商学部教授 
ロバート・アラン・フェルドマン モルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト 
深海 博明 慶応義塾大学経済学部教授
福井 俊彦 日本銀行副総裁
村田 良平 (株)三和銀行特別顧問
村本  孜 成城大学経済学部教授
師岡 愛美 日本労働組合総連合会副会長
八代 尚宏 上智大学外国語学部国際関係研究所教授
吉井  毅 新日本製鐵(株)代表取締役副社長
吉川  洋 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授
鷲尾 悦也 日本労働組合総連合会会長


〔 部会長代理 〕 ただいまから第7回経済社会展望部会を開催いたします。

 本日は、委員の皆様にはご多用中のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、部会長がご欠席ということでございますので、私が代わりまして議事の進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 本日の議題に入ります前に、経済審議会の委員が改選になりまして、原 委員がご退任になられ、新たに師岡委員がご参加になり当部会の審議にご参加いただくことになりました。師岡委員をご紹介申し上げます。

〔 師岡委員 〕 ご紹介いただきました師岡でございます。よろしくお願いいたします。

〔 部会長代理 〕 どうぞよろしくお願いいたします。

 本日の議題は2つございまして、はじめに各ワーキンググループの報告をお願いいたします。本日は、「グローバリゼーション」、「雇用・労働」、「金融」の3つのワーキンググループからご報告を承りたいと存じます。

 続きまして、展望部会の取りまとめの方向性についてご議論いただければありがたいと存じます。

 最初に、今ご紹介しました3つのワーキンググループからご報告をお願いいたします。

 ご報告に当たりましては、昨年の審議経過報告以降に検討を進めていただいている点を中心として、それぞれ15分程度お願いしたいと思います。

  まず最初にグローバリゼーション・ワーキンググループ座長の佐々波委員からお願いいたします。

〔 佐々波委員 〕 グローバリゼーションにつきまして、私どものワーキンググループで進めてまいりました議論をご紹介いたしたいと思います。

 お手元にあります資料2ー1の45ページのフローチャートのようなものをご覧いただくと、全体の流れでどういう政策メッセージ等が出てきたかということがご理解いただけるのではないかと思います。

 まず、グローバリゼーションとして考えましたのが、囲みの外にございます「財のグローバリゼーション」、「人のグローバリゼーション」、「企業のグローバリゼーション」、「金融のグローバリゼーション」のそれぞれにつきまして、なぜこういうことが進行したかということの基本的な要因としまして、資料の1ページに私どもの基本認識が書いてございます。

 この前のご報告と重なる部分がございますけれども、基本的には輸送コスト、情報コストの低下ということで世界においての人の流れ、財の流れというものが国民経済の間を非常に活発に動くようになった。そして、それをもたらした制度的な変化といたしまして、国民経済間の制度的な差異が縮小してきて、それにはGATTをはじめとして多くの多国間経済交渉の結果として国境障壁それ自体が低下したためである。

 もう一つ政治的な変化としまして、市場経済圏と計画経済圏というふうに分かれた世界経済が1つになり、また、かつ、東アジア、NIEsをはじめとして先進国並みに成長してきた国々というものがグローバリゼーションの流れに加わった。グローバリゼーション自体は非常にダイナミックに、まず財のグローバリゼーションというものをもたらし、それが各国経済にとっては産業構造の変化であり、雇用構造の変化である。

 こういった各次元でのグローバリゼーションが日本の企業なり家計の行動に影響を与え、それがどういうメリットを生み、それに対する政策対応としてどのようなものが考えられるか。

 前回は政策対応のことをあまりご報告申し上げなかったように思うのですけれども、基本的なメッセージとして、要旨の1.、2.、3.が1つの政策メッセージとして今回付け加えたところでございます。

 まず、グローバリゼーションというものに積極的に我が国として対応していかなければいけない。そして、経済・社会変革の1つの契機ということにしていくことが大切だ。ことに企業のグローバリゼーションにつきましては、金融とともに規制緩和、競争促進というものが非常に重要である。それから、そのメリットを享受することの1つの受け皿的な役割を果たすものとして非常に重要になってくるのが、労働のグローバリゼーションに備えての我が国自体での競争能力を備えた労働市場というものを構築していくことだ。

 財政・社会制度の改革というものを通じまして、1人当たりの負担の上昇を抑えることが非常に重要になってくる。そのためには、いわゆる政府、行政サービスの側面での行政サービスの効率化の喚起でありますとか、労働の移動について、ことに労働の流入ということを考えますと、政府支出圧力の増加に対応してより一層の行政サービスの効率化が求められる。

 こういった基本認識といたしまして政策対応をした上で、グローバリゼーションの進展は世界経済及び日本にとって非常に利益のあるものである。この対応を失敗しますと保護主義の台頭を惹起して、世界的な自由な経済活動の可能性が損なわれるのではないかというのが基本的なメッセージでございます。

 検討課題のうち、今回かなりソリッドになっているもの、今後付け足さなければならないものを時間の許す範囲で指摘したいと思います。

 財のグローバリゼーションの中で、財のグローバリゼーションのメリットは申すまでもなく非常に家計に安価で多様な消費が可能になる。企業のグローバリゼーションは、我が国企業の対外直接投資としては雇用者の質的な向上を背景にした比較優位構造の変化に基づくものであり、一方、我が国への外国企業のサービス業を中心とする参入は、ことに日本の雇用慣行や労働市場に新しい進展を促すだろう。それは積極的に評価すべきである。

 財やサービスの移動に比べまして人のグローバリゼーションというのは、文化とか宗教といった側面も持っていますために難しい問題も含むわけですけれども、特に外国人比率と失業率との間には大きな関係は認められなかった。それは、就業制限などを行っているせいかもしれないのですけれども、ただ、社会福祉サービスの支出などを拡大する影響を持っているので、先ほど指摘しましたような行政サービスの効率化ということが必要になるだろう。

 我が国の地域経済への影響が1つの地域経済の活性化になるかもしれないという点、及びグローバリゼーション自体が多国間の制度的調和をもたらすだろう。ことに基準・認証等の標準化であるとか、競争政策の実施方法といった国内司法制度に関わる問題につきましては、いままでの諸制度が十分機能した結果を出しているかどうかということをまず見る必要があるだろう。

 地域統合についてどのように考えていくか。これもワーキンググループの中でもかなり議論のあったところですけれども、WTOというような多国間の枠組みというもので利害を調整していくことが難しい分野、それから、一見地域統合自体はWTOルールと相反するような側面があることは事実ですけれども、国内の諸制度、規制というようなもの及びマクロ経済政策の強調を含むような域内の自由化の枠組みづくりというものは、域外を差別しないといった条件付ですけれども、WTOの自由化と補完的な役割を果たすのではないかと考えております。

 日本としては、貿易・投資自由化の下での多くのメリットを享受するような、いわゆる周辺諸国との「開かれた地域主義」というものに参加することが望まれるだろう。

 国内制度との関連での税負担の話というのは、先ほど政府支出圧力を増すという指摘をいたしましたが、最後に、2010年の世界経済展望につきましては、ちょうど諸般アジアの経済危機というようなこともございまして非常に難しい局面を迎えておりまして、成長率の予測等につきましては、目下、検討いたしまして、この次の段階でも、報告書にもなるべくきちんとしたものを入れたいと希望しております。

 その計測値に最も影響を与えそうな、いわゆる今日の通貨・金融危機とアジア経済の側面、その発端自体は途上国の未成熟な金融部門という指摘がなされておりますけれども、今後、国際金融市場との関連での自由化プログラムの作成を通じまして、この地域での安定的な成長が求められるのではないか。

 最後に、日本の労働力の減少、将来的には少子化・高齢化ということが労働力の構成を高齢化していくということは避けがたい事実ですけれども、自由化を通じましてサービス業及び比較優位から劣位に転じてくるような産業につきまして、労働調整能力というものを日本経済がつけた暁には、この輸入というものを通じて労働力減少にも対処できるのではないか。

 経済活性化に向けてのグローバリゼーションというのは、1つの経済構造改革の追い風であるとか、効率的な政府につきましては、先ほど申し上げましたので省略させていただきます。以上でございます。

〔 部会長代理 〕 どうもありがとうございました。

 本日はあと2つレポートをお伺いすることになっておりますので、時間配分の関係もございますから、最初に、各ワーキンググループの報告を続けてお伺いしたいと思います。恐れ入りますがご質問、ご意見等はお忘れのないように、後の議論のときに是非出していただくようにお願いしまして、先に雇用・労働ワーキンググループのご報告を承りたいと思います。座長の樋口委員、よろしくお願いいたします。

〔 樋口委員 〕 雇用・労働ワーキンググループから報告させていただきます。

 お手元の資料2ー2の報告書(案)に基づきましてお話しさせていただきます。

 もう一つ資料編も付随してありますが、時間の関係であまり触れないで、議論の中での参考にさせていただきたいと思います。

 1枚めくっていただきますと目次が載っております。我々のワーキンググループで議論してきましたことをまとめた全体の構成でございます。

 前回、報告しました際に、この部会での問題点がいろいろ指摘されまして、それをワーキンググループに持ち帰って議論いたしました。その宿題の結果もある程度報告書の中に織り込んで議論させていただいているということでございます。

 総花的に労働市場全体が将来どうなるのかということよりも、私たちのワーキンググループでは焦点を絞って議論しようということから、1つは現在雇用問題がかなり深刻化しているということもございますので、失業問題に焦点を当てるということをやっております。これが1.の変化の激しい経済・社会において完全雇用を達成するための課題という形で取り上げている部分でございます。

 「完全雇用」という言葉は、ずっと昔から労働経済学では使われてきた用語でありますが、その中身は時代とともに大きく変わってきている。従来であれば質よりむしろ数量的な完全雇用ということで、失業率をいかに減らしていくかということで議論されてきたわけでありますが、私どもが使っております用語としましては、むしろ個々の人々が持つ意欲でありますとか能力を十分に発揮できる社会というのは一体どういうものなのか、これを達成することが、一応「完全雇用」という言葉で置き換えられるのではないかということで使っております。

 現状の足下におけるいろいろな問題も、1.の(1)のところで議論しているわけでありますが、企業を取り巻く環境の変化としましてグローバリゼーションの影響、あるいは構造改革の労働面への影響、高齢化の影響といったものが外部要因として発生した場合に、一体、労働市場の中、あるいは企業の中で現在どういうことが起こっているのかというものをまとめたものであります。

 【4】としまして、コア人材については転職率が最近特に高まっているという動きも見られないらしいということから、従来の長期雇用の流れといったものがいろいろ変質しながら、そして現状としてはそれは続いているという点を指摘しております。それと同時に企業としましては、正社員というよりもむしろ非正規社員、パート、アルバイトあるいは嘱託労働者、派遣労働者というような人たちを増やすということで人件費の硬直化を避けたいという動きが起こっているのではないかということを指摘しております。

 その後、雇用保障につきまして、1つは企業にとっての雇用保障、あるいは労働者にとっての雇用保障の意味、さらにはマクロ経済にとっての雇用保障の意味ということについて言及しております。特に、マクロ経済にとっての意味としまして書いてありますのが、本文の2ページに【5】雇用保障のあり方というのが出ておりますが、第2パラグラフのあたりからですが、「雇用保障の程度が高いことは、マクロ経済の面から見てもメリットがある。企業の雇用責任が軽減され、景気後退期に人件費がカットされる」ということで、企業にとっての利益は安定するかもしれないけれども、その分、失業するリスクが高まってきた場合に、消費を減らすという影響も場合によってはあるのではないだろうかということも指摘しておりまして、設備投資につきましてもリストラがあまりにも進んでいった場合には、総需要が低迷した状況で多くの企業は設備投資を積極的に行うかどうかということについては疑問であるというようなことから、やはり雇用保障というのはマクロ的な視点から見ても現状においては重要なものではないかと考えるということを述べております。 3ページから分析を失業問題について行っているわけであります。数量分析、回帰分析といったものを用いて行った結果、どうも最近、特に円高不況、85年以降につきましては、景気の変動と失業率が密接な相関を持つようになってきているらしいということが指摘してあります。その要因は大きく分けて2つあるのではないか。

 1つは、個々の企業において雇用調整の速度が高まっている可能性がある。これは、正規従業員の雇用を保障しないということではなくて、むしろ可能性としましては非正規社員の数が増えてくるということによって有期雇用の人たちが増えてくるわけでありますから、期限になった段階で再雇用しないとか、そういった意味での雇用の調整速度が高まっている可能性が1つあるだろう。

 もう一つは、産業構造が変わってきて製造業中心から第3次産業のウエイトが高まってくるという影響があるかもしれない。あるいは就業の面における就業の多様化というものがそういったところに影響しているかもしれないという可能性を指摘しております。

 その後につきましても、景気の変動とともに失業率の相関が強まるということから、第2の問題点としてグローバリゼーションが進展する中で、産業構造の高付加価値化、知識集約化が今後とも進んでいかなければ、産業の空洞化といったような議論を回避することは難しい可能性も視野に入れて政策対応を考えていく必要があるのではないかというようなこと。

 第3点としまして、起業とか新規事業展開を困難にしている要因が、今の日本経済の中にないか。規制緩和の効果も考えていく必要があるだろうというようなこと。そういったことを指摘しております。

 最近の失業率の状況の中で需要不足失業と構造的・摩擦的失業というふうに要因分解してみますと、需要不足失業のところもかなり高まっているわけでありますが、それと同時に構造的・摩擦的失業、ミスマッチによる失業といったところも高まってきておりますし、将来、労働市場が流動化する中でそういったものがさらに上昇する可能性もあるだろう。そういったものをどういうことに考えるのか。

 ミスマッチを解消するためには、企業側も例えば高齢者の活用といったことも考えなければいけないでしょうし、女性の活躍する場も確保するといったような対応、あるいは人事雇用管理面における対応策も求められるでしょうし、それと同時に働く側、労働者側の能力展開といったものも必要になってくるだろうということ。

 それを問題提起としまして次の章で行っておりますのは、8ページの2.労働者の能力発揮を支援する社会を構築するための課題という形で、失業者になるリスクを軽減するための、個人と企業と政府の役割分担をどういうふうに考えていくのかという問題を議論しているところであります。

 基本的には、能力開発に関しましては、自己責任でありますとか自己選択といったものが求められることになってくるだろう。しかし、それをすべて個人の責任として押しつけることはなかなか難しいでしょう。やはり能力開発を考えた場合、効率化を追求していく以上、やはり企業の中に入って働くということがどうしても必要になるわけでありまして、そういう場合の企業の対応、能力を十分に発揮できるような雇用管理のあり方をどういうふうに考えていったらいいのだろうかということを考えております。

 具体的に申し上げますと、この提言としまして後で出てきますが、8ページから現代の能力開発における問題点。9ページでは、若い人たちの失業率が高まっているということから、学校から職場に円滑な労働移動といったものを進める、移行を進める上でインターンシップ制の導入というものも重要になってくるかもしれない。その分だけ職業意識といったものを高めていくということも社会にとっても重要なことではないだろうかということを議論しております。

 10ページでは、企業における能力開発におけるサポートのあり方ということで、自己責任を追求していく上で、企業側もいろいろな意味での仕組みを変えていく必要があるかもしれない。1つはキャリア権というようなものが保障される必要があるのではないか。自己責任を追求する以上はやはり自己選択といったものが重要になってくるだろうということ。それと同時に自己責任を取ってもらう上ではどうしてもフェアな査定とか評価制度というものが用意されていかなければならないだろう。ただ単に能力給のウエイトを高めるということになった場合に、十分にその能力をもって頑張ろうという人たちに対してフェアな評価がされないということになりますと、逆にその人たちがやる気をなくしてしまうという可能性もあるわけでありますから、そういうモチベーションを高めるためのフェアな査定、あるいは評価制度といったものを企業の中でどういうふうに確立していくのかということも重要になってくるでしょうということを言っております。

 そういったものができたとしましても、やはり個別的な雇用管理が進んでいけば、その分だけ個別紛争といいますか、従来のような集団的な紛争だけではなくて、個別の査定に対する不平でありますとか、あるいは配置転換に対する問題点、そういったものが高まってくる可能性があるわけでありまして、そういったものをどういうふうに処理していくのか。迅速な解決を求めるような制度はどういうものであるか、それを企業の中で構築していく必要があるのではないだろうかということを言っております。

 さらには、先ほど触れました非正規労働者が増えているということから、コア人材だけではなくて、こういう人たちの能力開発あるいは能力発揮についてどういうふうに考えるのかということも指摘しております。

 時間の関係から最後のところまでとばさせていただきたいのですが、16ページから6つの提言という形で、このワーキンググループから提言をさせていただいております。

 この6つの提言の基礎にある考え方は、やはり外部労働市場を通じての雇用安定、あるいは完全雇用といったものを達成する上で、一体、どういうシステムが必要になってくるのだろうかということを考えてみようということがございます。自由競争市場というのは、ただ単に何でもやっていいという世界ではないわけでありまして、そのルールというものがちゃんと確立していなければフェアな競争もできない。そしてそれができなければ考えている自由競争のメリットを引き出すこともできないだろうということから、土俵整備といった視点からいろいろな提言をさせていただいているということであります。

 特にこの提言の中では、企業に対する提言というよりも、むしろ政府に対する要望を書かせていただいております。

 提言1としまして「雇用創出のための社会基盤の整備」ということで、特に新規開業をどういうふうにサポートしていくのか。これはただ単に、もう既に開業したその企業をどう助けるのですかという話ではなくて、人々の持っているアイディアを開業にどういうふうにつなげていくのかというような、ある意味では産学の共同でありますとか、そういったところまで含めて議論を考えるべきだ。雇用創出をしていかないと、需要が不足した状況の下で自由競争を考えても、なかなか自由競争のメリットを十分に引き出すことはできないでしょうということから、政府の役割として、こういった新規事業展開といったような社会基盤の整備も必要になってくる可能性がある。雇用創出に対する取扱いも必要になってくるかもしれないということを申しております。

 提言2としましては「人々が安心して働くことができる環境の整備」ということで、労働市場の新たないろいろ規制緩和が進んでいっているわけでありますが、その中でのルール整備といったもの、さらにはそういう流動化が進む中で、あるいは新しい市場ができる中で、市場監視機能というものを政府は強化していく必要があるのではないか。特にそういった問題が出てきたときの最低労働基準の遵守、性や年令による差別がいくつか事例として挙がっているわけでありますが、そういうものに対してしっかりした市場監視機能といったものを用意していく必要がある。そういうシステムづくりが必要だということを言っております。

 提言3としましては、「若年者が円滑に適職探しのできるシステムの構築」ということで、先ほど申しました若年者の職業意識を高めるためのいろいろなプログラムといったものも用意する必要があるでしょうということになっております。

 提言1から提言3は完全雇用を達成するための提言ということで用意しているわけでありますが、失業者になるリスクを回避するための個人のできることを考えた場合、能力開発が一番重要になってくるだろうということで、労働者の能力発揮を支援するための社会基盤をどういうふうにするのかというのが提言4から始まっているところであります。

 提言4としましては、「自己啓発を支援する社会システムの構築」ということで、自己啓発投資費用についての所得税制上の控除、あるいは奨学金制度、大学の奨学金だけではなくて自己啓発で一度社会に出てから勉強しようという人に対する奨学金制度のようなものも創設することが必要になってくるだろうということを指摘しております。

 提言5としましては、「能力発揮の阻害要因となっているシステムの見直し」ということで、現行のパートタイマー税制に関する議論がいろいろあるわけでありますが、ここではそれを念頭に置きまして、特定の労働者の就業行動に対して労働供給抑制的な効果を持つ税制や社会保障制度などについて、個々の制度の撤廃も含めて適切な見直しを行う必要があるだろう。現行税制、あるいは現行の社会保障制度、あるいは企業の中における配偶者手当といったものについて、それをジャスティファイするような根拠があまり見当たらないということを私どもは考えておりまして、効率性の面から考えましても、あるいは公平性の面から考えましても、こういった点を見直していく必要があるだろうということになっております。

 提言6は、自由競争市場といいますか外部労働市場が発達してくる中で、企業の中における査定の問題を考えたときに、いろいろな個別紛争が起こってくる可能性がある。そういったものについて企業の中はもちろんのこと、企業の外部につきましても政府としてこういった問題を解決する措置が必要になってくるかもしれない。特に採用面、企業の中に入ってからについては企業の中での紛争処理システムといったもので対応することができるかと思いますが、採用面でありますとか、あるいは解雇、退職という問題に関しましては、政府としましても、司法でやるのかわかりませんが、そういったものについていろいろ考えていく必要があるのではないかというようなことを提言しております。

 これが6つの提言でありますが、全体的に、私個人も考えておりますが、15ページで言っております点を私は特に強調したいと思っております。これは情報の開示の問題であります。15ページの最後のパラグラフ2つのところで言っているわけでありますが、企業、政府の持つ情報の開示あるいは公開を一層強めていく必要があるだろう。政府におきましては、これを開示していかない限りにおいて、小さな政府を達成する上で一体どういう政策が有効であるのか、どういったものが不要であるのかという見極めが外部からなかなか行うことができない。そういった視点から是非持っている情報、あるいは持っていないとするならばいろいろ調査をしていく必要があるだろうということを言っております。

 さらには、企業につきましても、ある日突然、会社に行ったら倒産していたということでは、失業のリスクを回避するということを言ってもなかなか難しいわけでありますから、前もってその企業の経営状況がどうなっているのかということについても、従業員に対して情報を開示するということが今後も必要になってくるだろうということを強く求めるということを言っております。ただし、これは部会全体として取り扱うということを聞いておりますので、我々のワーキンググループ個別ではなくて、全体として取りまとめるということでございましたので、そちらの方に譲りたいと思っております。以上です。

〔 部会長代理 〕 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、金融ワーキンググループのご報告をお願いいたします。座長の岩田委員からお願いいたします。

〔 岩田委員 〕 金融のワーキンググループにつきましては、資料2ー3をご覧いただきたいと思います。一番最初のページに(概要図)というのが掲げられておりまして、基本的にはこの概要図でご説明を申し上げたいと思います。

 今回の報告書では3つの柱で議論しておりまして、1つは金融を取り巻く環境がどのように変化しているのかという点。それから、金融システムの今後の改革のあり方、目標はどういうところに置くべきなのだろうかという点。最後に、日本の金融構造はどういうふうに変化していくべきなのかという3点についての報告をいたしております。

 最初の点の環境変化ということでありますが、ここでは金融のグローバリゼーションということにつきまして、概要図の左の上の端の方にございますが、情報通信革命等を背景としまして特に資本移動が内外で活発に行われるようになっているということで、従来は預金でありますとか貸出という伝統的な銀行業務の部分は、どちらかと言うと非貿易財的な色彩を持っていた。ところが今は、預金も国境を越えて行われるようになってきているということでございまして、いわば伝統的な金融サービスの部分も貿易財化しているのではないかという認識を持っております。

 そうした中で、マネーが国を選ぶような時代になってきているのではないかということでございまして、グローバリゼーションの進展の下でどこの国がファンダメンタルズがすぐれているか、あるいは政策運営がきちんとしているかということにマネーが敏感に反応するようになっていると考えられます。最近のアジアの通貨危機というのも、それはある意味ではマネーが国を選んで、それでファンダメンタルズ、あるいは政策運営があまりうまくないということですと逃げていってしまうということだろうと思います。

 日本の場合も残念ながらマネーがどんどん入ってくるという事態にはありませんで、株式にいたしましても、あるいはお金を借りる場合にジャパン・プレミアムという問題がむしろ出てきているというわけであります。それでは日本のどこに問題があるかといいますと、いくつかの点で日本は市場間競争に金融の面では立ち遅れたのではないかという、これはいろいろな問題がありますけれども、1つの要因はやはり不良債権の問題がまだ解決していないということでありまして、その問題をどうするのかということが足下の重要な問題になっているわけであります。

 いわば危機管理が必要とされるような状況が、今、日本に存在しているわけですけれども、本年2月に金融機関の自己資本の充実を図るため、金融システム全体の安定化を達成するための措置が実行されつつあるわけであります。この危機管理についても、報告書では本文の3ページの最初のパラグラフをご覧いただきますと、危機管理のために必要な措置が今行われつつありますけれども、その場合も市場原理の貫徹するようなやり方、すなわち経営の破綻した金融機関については、市場からの円滑な退出を促すことが基本的には必要であるという、そうした中期的な視点を踏まえて危機管理を行うことが必要ではないかと述べております。これが金融を取り巻く環境変化ということであります。

 2番目に、それでは新たな金融システムをどういうふうにやって構築していくのかという問題であります。ここでは2つ、1つは金融の担い手の面から金融改革のあり方を論ずるということ。もう一つはエンドユーザーといいますか、新たな金融システムの下での受益者である個人でありますとか企業がどういう行動をしていくのであろうかという、これは将来長期展望の下で考えてみるということであります。

 金融の担い手ということで申しますと、金融業にとってはこういうグローバリゼーションあるいはビッグバンということを実行することによりまして、新たなビジネスチャンスが拡大してくるということが言えるのではないか。特に金融業務につきましても多様化でありますとか、特化ということが進んでくるというふうに考えられます。これまではどちらかと言いますと、日本の銀行業というのは大体同じ横並びで、何をやるにも同じことをやるという色彩が非常に強かったわけですけれども、今後はさまざまな形態でのさまざまなビジネスに特化するという、ここではスーバー・リージョナル・バンク、あるいはコミュニティ・バンク、プライベート・バンクというようなさまざまな業務に特化するような姿に変わっていくのではないかと考えております。

 同時に、金融商品につきましてもさまざまな商品がそれにつれて出てくるというわけであります。ただ、ここで新たな金融の担い手ということでさまざまな商品が出てくるということでありますけれども、同時に、システミックなリスクというものが新たな金融システムの下でもやはり存在しているというわけでありますから、そのシステミックなリスクをどのように防止するかということをやはり注意しなければいけないであろうということがあります。

 システミック・リスクを防止するためには、もちろん各金融機関がそれぞれ内部のリスク管理体制というものを十分に行うということに加えまして、検査のあり方でありますとかプルデンシャル・レギュレーションのあり方というようなものを改善することによりまして早期に状況を把握する。そしてリスクを早期に遮断するような仕組みを作るということが重要ではないかと考えております。個別の金融機関の破綻がシステム全体や経済に悪影響を及ぼすようなことがないような仕組みにしていくということが重要ではないかと考えております。

 もう一つ重要なことは、インフラの整備ということでありまして、市場のインフラという点につきまして、やはりまだ改善すべき余地がいくつもあるというわけであります。ここでは3つほど挙げておりまして、インフラ整備の中身としては、1つは情報開示をもっと促進する。いわば情報開示で競争し合うという形にしていくということが必要ではないか。2番目には、司法制度の敏速な処理ということも重要であるというわけであります。 さらに、格付機関でありますとか、リスク・リターンに対する十分な情報を提供するということも重要だということでありまして、ファイナンシャル・アナリストでありますとか、あるいはファイナンシャル・プランナーというような分野にもっと多くの人々がそこで業務を行うという形になっていくことが望ましいと考えております。

 本文の方では13ページに格付機関、アナリスト、ファイナンシャル・プランナー。日本の場合にはまだファイナンシャル・プランナーというものはあまりなじみがないのですけれども、アメリカの場合にはもう少し層の厚いファイナンシャル・プランナーが資産運用等についてのアドバイス等を行っているわけであります。これがインフラの整備という点についてであります。

 将来を展望します場合に、もう一つ日本の場合重要なのは、公的金融がその中でどういう役割を演ずるべきなのかということであります。この点につきましては本文の6ページに、公的金融について新しいシステムの下では十分に市場の持っている機能を生かすような努力を行った上で、つまり情報の不完全性やリスクの存在によって資金が円滑に供給されない場合に公的金融が必要になるというわけですけれども、その場合でも可能な限り市場で市場の不完全性を取り除くような努力を十分行った上で、それでもなお残る市場の失敗に対応するために公的金融を活用するということが必要ではないかということであります。

 民間金融の質的な補完ということを真に質的に補完すべき分野のみに公的金融を活用するということが必要ではないか。その場合にも、6ページの真ん中辺の上から3番目のパラグラフに書いてありますが、事前にコストを十分に開示するというやり方をすべきではないか。これまでの日本の公的金融のあり方というのは事後にコストが先送りされまして、それが負担となって最後は税で支払うという形になっているわけですけれども、その順序を逆様にしまして、事前にコストはいくらかということを決める。さらに、その事業が終わりましたときには、客観的なチェックを評価するような機関が行うという、最初の入口のところと出口のところできちんとチェックするようなシステムにすべきではないかと考えております。これが新たな金融の担い手の方の話であります。

 もう一つは、それでは個人あるいは企業が資産の運用、あるいは資産の調達ということを今後はどういう姿になっていくのかということを、9ページ以下で論じております。

 ここでは、将来について、例えば個人の金融資産はどういうふうに変化していくだろうかということについてシュミレーションといいますか、簡単な試算をいくつかやっております。1つは高齢化に伴いどのぐらい年齢別の資産保有形態が変わって、それぞれ年齢別に特色がありますので、それを考えた場合に高齢化の進展によってどのぐらい個人の金融資産のポートフォリオの内容が変化するかという試算を、参考資料の9ページに世帯主の年齢階層別のポートフォリオがどういうふうに変わるかという試算をやっております。これはご覧のようにほとんど変わらないということでありまして、だんだん高齢化することによってポートフォリオの中身が変化することはあまりないということであります。

 もう一つは、名目所得が増えていくことによって、それに応じてどのぐらいポートフォリオが変わっていくかという試算も11ページで行っております。これをご覧いただきますと、預金等にはあまり大きな変化がない。ただ、株式あるいは投信については、いくらか増加するという結果が得られております。ですけれども、日本の伝統的な特徴であります預金の保有比率が非常に高いという点については、あまり変わっていないということがわかるわけであります。

 もう一つの試算といいますか、これはアメリカで過去20年間、かなり大幅な個人のポートフォリオの内容がシフトしたわけでありますが、それは参考資料の15ページにアメリカの家計のポートフォリオの中身がどういうふうに変わってきたか、過去20年間の変化を示しております。

  仮に日本の個人の金融資産の保有の状況がビッグバンが実行されるにつれまして、アメリカと同様の変化が起こったとした場合にはどうなるだろうかという結果を、15ページの一番下の方の表に書いてあります。これをご覧いただきますと、一番大きな変化は投資信託の部分が非常に大きくなるのではないか。ミドル・リスク、ミドル・リターンというようなものを求める傾向がアメリカ型になるとすれば、そういう姿になるのではないかという点を指摘しております。

 以上は個人の点なのですが、もう一つは企業の資産調達はどういうふうに変わるだろうかということについてであります。企業の方は、おそらく資本市場から直接資金を取り入れるような形態、これは証券化でありますとか、あるいは資本市場の充実というようなことがあって、中堅企業あたりまではそちらの直接金融の方にもっと調達チャネルが拡大していくであろうと考えております。しかし、中小企業全般がみんな資本市場で資金調達をするようになるかというと必ずしもそうではないのではないか。1つは、例えばアメリカで言いますとファイナンス・カンパニーに当たるようなもの、既に外資がいくつか日本に入り始めているようでありますが、そうしたファイナンス・カンパニーでありますとか、あるいはこれまでの日本の伝統的なメインバンクを通じる資金の融資というものが、やはりまだかなり続くのではないかと考えております。それは資料の方で言いますと16ページをご覧いただきますと、企業の負債の残高構成比というのは日本とドイツが非常に高い割合を占めておりまして、特に中小企業ではそうした傾向が強いということを考えますと、すべて証券市場で資金調達をするというふうにはなりにくいのではないかと考えております。

 最後に第3の点ですが、将来、日本の金融市場あるいは金融業のあり方について「むすび」ということでありますけれども、言ってみますと、アングロサクソン型の経営形態でありますとか、あるいはマーケットという方向に向かっていることは確かに明らかなのですが、ただ、すべて経営形態が一から十までアメリカ、あるいはアングルサクソン型にすればいいかどうかという点については、まだ議論があるところであろうということであります。製造業をとりましても、アメリカの製造業はいわば日本型のシステムのいい点をエミュレートしまして、再活性化したということがあるわけでありまして、日本の金融業についてもアングロサクソン型のメリット、すぐれた点をエミュレートすることによって活性化するということが考えられるのではないかと考えております。

 最後に、日本のマーケットというのは、やはりアジアの金融取引の中心としてこれからも機能していくということが必要だろう。そして、アジアのお手本となるような金融システムを日本が作り上げていくことが重要ではないかと報告書では述べております。

 以上で、簡単でございますけれども金融ワーキンググループの報告を終わらせていただきます。

〔 部会長代理 〕 どうもありがとうございました。

 それでは、いままでご報告をいただきました3つのレポートについて、委員の皆様からご意見等をお伺いしたいと存じますが、本日、ご欠席のA委員から、金融ワーキンググループの報告についてご意見をいただいております。お手元に配布されているかと思いますが、事務局からご紹介をお願いしたいと存じます。

〔 事務局 〕 お手元にお配りしてありますA委員のご意見を読み上げさせていただきます。

 金融ワーキンググループの報告書は、金融のグローバル化や情報通信革命が一段と進展する下で、我が国の金融・資本市場が達成していくべき課題をできる限り明らかにしようとするものであり、全体として意義深い内容になっていると考えております。グループメンバーのこれまでのご尽力に敬意を表したいと思います。 そこであえて申し上げておきたい論点として、以下の2点を述べさせていただきます。

 第1は公的金融の問題です。金融ビッグバンは市場メカニズムがより有効に働く環境を整備することにより【1】市場のチェック機能を通じたコーポレート・ガバナンスを適切に発揮させるとともに、【2】金融イノベーションを促進することを狙いとするものと受け止めております。公的金融についてもこうした文脈の中で、あくまで市場メカニズムの発揮を補完するものとして真に必要な部分に限定にして、そのガバナンスを考えるべきことが重要と考えております。例えば政府系金融機関については、民間金融機関の商品開発や市場開拓の努力を阻害することのないよう十分注意深く制度設計をされる必要があります。

 そうした観点からは、報告書の6ページに若干触れられているように、直接的な資金供給の機能を縮小し、真に必要な分野に限って保証の機能に移行していくことも1つの方向感であると思います。

 また、郵貯については、報告書10ページで社会政策的な役割と市場原理の徹底という2つの考え方が提示されています。この基本的な考え方には違和感はありませんが、金融面での社会政策的役割として何を求めていくのかについては十分な議論が必要でしょう。また、国の保証がついている以上、どのように市場原理との調和を図っていくのか。郵貯運営主体の採算の問題にとどまらず幅広い観点から具体的に検討していく必要があると考えます。

 第2は、報告書13ページにある資金調達行動の二極化というとらえ方に関してです。ここでは、大企業は直接金融の拡充によって低コストの資金調達が可能になる反面、中小企業の資金調達はむしろ厳しさを増すという見方がとられています。しかし、米国の金融・資本市場を見ますと、証券市場、なかんづく株式市場は中小企業にとっても資金調達のパイプとして重要な役割を果たしております。すなわち、証券市場の規制撤廃、自由化は大企業だけでなく、中堅・中小企業にとっても重要な意義を持つはずのものです。大切なことは、市場のユーザーである企業にとって市場から多様な資金調達手段が提供され、その中から企業が自由な選択を行ない得ることにあります。

 私どもとしても金融資本市場を是非ともそうした方向で改革していきたいと思います。そうした意味で、ここでは資金調達行動の二極化というよりは、資金調達行動の多様化というとらえ方の方がより適切ではないかと感じます。

 私からの発言は以上です。

 

 以上でございます。

〔 部会長代理 〕 どうもありがとうございました。

 それでは、皆様からご意見を承りたいと思いますが、ご発言希望の方、どのぐらいいらっしゃるでしょうか。

 かなりいらっしゃると思いますが、それでは、とりあえずA委員からもお話がありましたので、順序がちょっと逆になりますが、金融、雇用・労働、グローバリゼーションという順で一応お伺いしたいと思います。

 金融についてご発言をどうぞ。

〔 B委員 〕 みんな関連がございますので、金融というわけではないのですがお許し願いたいと思います。

 今さら何を言うかということなのですが、グローバリゼーションというのは英語でして、定義をある程度はっきりしないと、文脈に非常に乱れがあると思うのです。これは大変な労作で、私も非常に関心しておりますが、グローバリゼーションというのはなるべく同じルールで、あるいは同じ法律で、同じコンセプトというか、同じ哲学の中で仕事をするとか、いろいろなことをやるのがグローバリゼーションだと思うのです。極端なことを言うと、国も全部1つの国になって1つの法律になって、言葉も同じで世界中が話せれば、これは全くのグローバリゼーションになるのだけれども、そういうことは絶対あり得ない。ある部分だけは共通なものの中でやっていくというのがグローバリゼーションで、無限なものではない。やはり限界があって、しかも実際の施策とか実行によって積み上げられた結果、ああ、グローバリゼーションだなという結果として出てくるものではないかと思うのです。ですから、英語のグローバリゼーションというのは一体どういう定義なのかというのを、はなはだ失礼なのですけれども、ある程度はっきりすべきではないか。

 こういう点からちょっと文脈を見ていくつか気のついた点を申し上げますと、例えば、グローバリゼーションの1ページの1.に「『財と企業のグローバリゼーション』が重要であり、高コスト構造是正に向けた規制緩和・競争促進には『企業のグローバリゼーショ ン』が特に大きな役割を果たす」と書いてあるのですけれども、これは企業の立場から言うと逆でして、企業は、例えば船でも異国人労働者をどんどん乗せる、日本にも質のいい労働者を入れる、学校の先生もどこからでも呼んでこられる。そういうことが規制があるからできないのです。ですから、規制を緩和するのが大事で、その結果としてグローバリゼーションができる。ところが「グローバリゼーション」というありがたい札によってパッとサッとよくなるかということではなくて、むしろ規制緩和が大事でその結果としてグローバリゼーションができるということではないか。これは逆ではないかと思うのです。

 もう一つ、アジアの金融危機の問題ですけれども、最近、G7の声明等を発言を見ると、アジアの危機は日本のために起こされたという論調が非常に強くなって、日本の低金利とか日本のデフレによる過剰な資金がアジアにダーッと流れてバーッと引き揚げた。これについてもいろいろ触れておられまして、例えば3ページの上の方にも「制度調和の議論は各国の経済発展段階を配慮すべきだ」というようなことも書いてございます。しかし、いろいろなりますところに、アジアに混乱が起きているので、これは指導はしなければいけないけれどもグローバリゼーションを緩めてはいけないということも書いてございまして、だから、アジアの金融危機に徹底したグローバリゼーション、日本はやるとしてアジアの発展途上国の国が完全に規制緩和してどんどんやるべきだ、それが若干アジアの危機の原因になっているということを認める部分もありますし、それからまた、これが起きたのはしようがないから日本はよく指導しろという文脈のところもあるわけなのです。しかも、2ページのところに「調和」というのが書いてあって、どこまで資本の自由化というものを無制限にやっていいのか、あるいは国情とかタイミングに応じてある程度調整をして世界全体の経済がオプティマム状態になるような政策をとるべきだとか、何かグローバリゼーションを全部やればいいのだというようなことが、グローバリゼーションの定義がはっきりしないために、何か人間は正直でなければいけないというのと同じようになってきているような面がちょっとうかがえるので、有限であるということと、実行が大事だという点で、何か文脈が時々おかしくなってきている点があるのではないかと思うのです。

 アジアの危機についても、アジアに混乱が起きているけれども、グローバリゼーションをやめてはいけないとも書いてあるのです。だけど調和をとらなければいけないとも書いてあるし、アジアの危機の混乱を救ってやらなければいけないとも書いてある。その辺でグローバリゼーションというのは、世界の需要が同じルールである範囲のものについて、ずっと共通の基盤でやっていくのだ、しかし、現状はここまでやるべきだとか何とか、何か定量的なものとか項目を絞るとか、そういうものの観点があってもいいのではないか。間違っているかもしれないけれども、一言それだけ申し上げておきます。

〔 部会長代理 〕 どうもありがとうございました。

 グローバリゼーションは3つの報告全部に出てくる言葉で、非常に基本的な問題かと思いますが、とりあえずどんどんご意見を承っていきたいと思います。

〔 C委員 〕 金融の報告書の6ページのあたりでございますけれども、全体として公的金融の問題点がまとめられているのは高く評価しておりますが、公的金融のところで多少お考えいただきたいのは、1つは基本的な、A委員も言われたのと問題認識は全く同じなので、そういう方向で公的金融というのは考えなければいけないと思っておりますが、もう一つの問題は、中小企業金融の他に、例えば後の方にはコミュニティ・バンクという問題も出てまいりますが、地域金融という観点とか、農林業のように非常にへき地あるいは生産性の乏しいもの、こういうものについては逆に中小協同組合組織の金融というのは、それなりの意味を持っていると思います。特に金融競争が激化してきますと、中小企業金融は非常に心配になる、また、へき地の金融というのが非常に心配になる。そういう意味で、今あります信用組合なり、信用金庫、確かに経済的には問題がございます、金融業務も問題がございますが、それなりの社会的な意義は持っていると思いますし、特に農林漁業協同組合などの場合、郵便局と匹敵するぐらいの数の店舗を持っておりますし、そういう意味ではへき地でも力は相当ございますので、こういうものについて何か一言付け加えていただければありがたいと思っております。

 金融制度調査会でもいろいろこの問題につき、協同組織金融機関というのは組合に対する金融だけでなく、リージョナル・バンクという意味で非常に重要だという点も指摘していただいておりますので、この点をご配慮いただければありがたいと思っております。

 もう1点は、民業の補完ということで公的金融について非常にはっきり断定されておられまして、これは私も大事なことだと思っております。この補完をする場合にコストの開示、あるいはベネフィットの比較という点がございますが、コストの比較あるいはベネフィットの比較の場合、例えば民間金融は非常に巨大な資金を持っておりますが、これについて利子補給という方策もあるわけでございますし、同時に、信用保証、これなんか今問題になっている自己資本の評価具合でもリスク・ウエイトは一般的なもの10%、銀行保証は20%というふうにリスクは非常に分母に対して効いてまいります。そういう点の比較なんかも是非お考えいただければと申し上げたいと思っております。以上でございます。

〔 D委員 〕 今日の3つのご発表は、時期的に言いまして非常に意義の深いものではないかと思います。金融界自身も非常に大きな問題を抱えておりますし、また、アジアの経済的なもしくは政治的な大問題も控えて、グローバリゼーションというものについて別の角度から考える。

 金融の問題とグローバリゼーションというのは非常に密接に関係がありますので、両方交えたような形で申し上げたいと思うのですが、ご報告の最後にありましたアジアの金融取引の中心としての存在ということは、これから非常に大きな課題であろうと思います。私ども自身が昭和59年の円・ドル委員会後、金融自由化をすべしということでありましたけれども、不幸にしてバブルに入ってしまった。今現在、ビッグバンを控えて急速に整備をしなければいけない。いろいろ皆様方にもご迷惑をかけているのですが、1 つの点で言いますと、日本の場合は間接金融という非常に安定した形で金融機関が経営を行ってきた。それが最終のところで間接金融のところでバブルが発生して、それが非常に不幸な形になった。これは、私どももよく東南アジアの方にお会いしますと言うのですが、日本の間違いだけは絶対にやらないでいただきたい、これは何年も前から申し上げているのですが、まさかこんな形になるとは私も想像しなかったのですが、これはグローバリゼーションの問題でも1つ出てくると思います。ということは円高になりましたときに日本の企業が一斉に南アジアに進出された。その時分に今日を予測するのは非常に難しかった。しかし、それよりもはるか昔に東南アジアでいろいろと仕事をされた方の言では、東南アジアにおいて製造拠点を合弁もしくは自己資金で持った場合に、これは政治上のリスクというものが非常にあるのでグローバリゼーションについてはいつでも退避できるような形で考えなければいけないというのは、およそ今から30年ほど前の考えでありましたが、円高で国内の製造業が非常に危機に瀕して東南アジアに皆さん進出された。この結果、先ほど申し上げましたようにマクロ政策の失敗による混乱が起こった。日本の場合も、これは言い訳になりますけれども、いかんながら、戦後、政治行政の指導よろしくを得て順調にきておりましただけに、民間としても危機予知本能が非常に欠落していた。したがって、規制力 が減退していたということを言わざるを得ないのでありますが、このこと自身も、東南アジアもまだまだ若い国でありますから、日本と同じような間違いが起きてくるのではないか。そういう意味で、日本のこれからの金融制度というものの構築につきましては、慎重かつアジアの模範になるような形で行わざるを得ないのではないか。

 グローバリゼーションにつきましては、B委員からご指摘がありましたが、日本は基本的に言いますとまだまだ鎖国であろう。例えば私どもの銀行でも海外勤務したものは国際派であって、国内にいるものは国内派であるという言葉があるぐらいに極めてドメスティックと申しますか、こういう形で一部がグローバリゼーションという形の下に政策推進が行われて、果たして実際にグローバリゼーションの進め方、もしくはその方法等について十分なる知識があるかどうか、これは非常に難しい問題とは思います。未知の分野と申しますか、グローバリゼーションはあくまでもフロンティア開拓の要素があります。その意味でも、私はグローバリゼーションについては、段階的によく歯止めをしながら進み、かつその国々との友好関係と申しますか、例えば国定教科書などを見ましても、ODAについて必ずしも好意的な表現がされていない。ODAは間違いであるというような表現があること自身、私は非常に残念に思うわけでありまして、グローバリゼーションというものについて経済界もより慎重にやらざるを得ないのですが、人的な面から言いますとまだまだ、これは教育の問題になりますので非常に拡散いたしますけれども、まだまだグローバリゼーションの基盤というものについては問題があるのではないか。ちょっと話が広がりすぎましたが以上でございます。

〔 E委員 〕 私からも金融の件でございますが、岩田委員、これはさすがに非常によくできておりますが、長年、金融の実務に携わったものといたしまして、その反省を含めて、これからの金融のあり方で非常に重要な2点申し上げます。

 1つはやはり自己責任ということ。これは、この中にも「ややもすれば自らの経営意識が希薄であった我が国の金融機関」と書いてございますが、金融機関というのは預金を受け入れ、それを運用し、預金者に金利をつけていつでも返せるような運用でなければいけないわけでございますが、バブルの場合はややもすると経営者が情実、あるいは自分の利益のために、自分のお金だと思って貸す、ゴルフ場とか不動産投資をして自分が利益を得よう。これは極めてとんでもないことであって、貸出は必ず回収できる、あるいは支払い能力がある、あるいは公共性がなければいけないということであるわけでございますが、それをすっかり忘れ果てたということが今度のバブル。今後は、金融機関としては自己責任を全うできなかった場合は、自ら自分の出処進退を明らかにする、あるいは刑罰ということまでいかないといけないと思うのですが、その辺は日本はやや甘い。その辺はやはり強調していただきたい。

 もう一つは、検査・監督。今度、検査・監督庁ができますのでだいぶ変わってくると思います。また、佐々波委員が危機管理審査委員長として目を光らせていただけると思いますが、従来の銀行自体の検査、あるいは大蔵省検査、日銀の考査、いずれもコンピュータリゼーションの前のスタイルでやっておりますので、今の銀行の資産内容というのは昔と全く違って、伝票を見たりあるいは元帳を見たりすればわかるものではないので、そのためにはやはりそういうことがわかる人を備える。したがって、この間、ロンドンに行ってBOEのジョージ総裁に会ったときも、「あなたの国はこれからコンピュータで、わかる人、それはすぐにはできないので、自分のところは監査法人を使っている、それを大幅に採用してやっている。それでも足りないので新聞広告を出して優秀なシステムのわかる人間を採用した。」と。したがって、これから大蔵省もあるいは日銀もそういう形の検査でないとなかなかチェックできないと思いますので、これからの検査のあり方はそういうふうにしていただきたい。          

 もう一つは、やはり金融機関として株主に対する責務。これは要するに総会を簡単に終わらせようとして総会屋と癒着したというのは、誠に株主の軽視はなはだしいものだと思います。したがって、株主総会で一般の株主に十分説明できるということと、株価の維持ということ、これは完全な経営責任でございまして、欧米ではこれに違反したものは追放される。その辺は日本の場合はまだ株主に対する責務が希薄でございますので、自己責任と株主に対する責務、検査の問題、この3点は是非ひとつ強調しておいていただきたいと思います。 

 もう1点は、ここにも日本が国際資本市場の柱になるために重要であるということが簡単に書いてございますが、これは非常に重要なことでございまして、これもこの間ニューヨーク連銀の総裁に会ったら、「アジアはやはり東京でないと困る。シンガポールは都市国家であって経済的背景が少ない。上海はもちろん、香港も中国であって国家の体制が違う。したがって、経済的背景の強い民主的な国家である東京がそういう市場でないと世界の金融市場というのはうまく運用できない。早くこれを立て直してくれ」というふうに。当然だと思います。したがいまして、今後の金融のあり方としては、どうすれば日本の資本市場がシティ、ウォールストリートと並ぶところまで成長できるかという問題を具体的に、例えば税制、あるいはいろいろな規制、あるいは生活コストの問題まで含めて、それが導入しやすいような体制を構築するということを官民挙げてやっていかなければいけないのではないか。この2点を申し上げたいと思います。

〔 部会長代理 〕 どうもありがとうございました。

 それでは、F委員からお願いいたします。全部終わったところで各座長からご発言をお願いしたいと思います。

 F委員、金融、その他についても触れていただいて結構です。

〔 F委員 〕 最初に金融の方から。このレポートは非常によくまとまっていて、インフォーマティブなものだと思います。ただ、16ページの一番最後、アジアとの関係においてでありますけれども、B委員もちょっとおっしゃったのですが、この報告書は日本だけでなくて海外からも読まれるわけでして、そのときに、G7等で日本が今アジアの通貨危機の責任として批判されていることに対して、それが間違っているというなら「間違っている」ということをきちっと何か言う必要があるのではないか。これを読んでいると製造業と同じような形で遅れているアジアを日本が引っ張るというようなイメージが強いのですが、金融市場の面で日本は本当にアジアより進んでいるかどうか。むしろシンガポールのように日本よりもすぐれている面もあるわけでして、そこから学ぶという姿勢も必要なのではないか。

 それから、先ほどB委員もおっしゃった点なのですが、今の東アジアの危機はグローバリゼーションの行き過ぎなのかどうか。私はそれは必ずしもそうとは断定できないのではないかと思います。むしろ不十分なグローバリゼーションからきている面もあるのではないか。それから、日本から何を学ぶかというときに、果たして日本と韓国がこれまでやってきた段階的開放が、本当に今後のアジアの国にとって望ましいのか。むしろ逆ではないかというか、この辺について是非いろいろなことを検討していただければありがたいと思います。

 それから、我が国の豊富な金融資産がアジア経済に円滑に供給されることが期待されるということなのですが、むしろ問題は、今の日本の金融システムのいろいろな弊害から金余りと貸し渋りが共存していて、過剰な資金がアジアに行ったということが今回のアジアの通貨危機の原因という見方もあるわけでして、日本からの資金が不足だったからこういうことが起こったのか、過剰だったから起こったのかということも検討に値するのではないか。その点についてがポイントだと思います。

 それから、中でおっしゃった金融関係の専門家が育たないということなのですが、なぜかということも必要だと思いますし、これはやはり樋口委員の作られた日本的雇用慣行との関係ではないか。つまり、日本的雇用慣行というのは専門家を作らないシステムでありまして、金融業というのは本来専門家の集団でなければいけないのに、日本の中では最も強い年功制を持っていたわけでして、そこの労働市場の矛盾が金融業に最も鮮明に現れているのではないか。これも各レポートの1つの統合ということの観点からも重要ではないかと思います。

 恐縮ですが、ついでに労働の方もコメントさせていただきたいと思います。労働レポートも非常によくできていると思いますが、特に雇用の量よりも質が大事だという点は非常に新鮮であって、キャリア権をもっと強調すべきだとは極めて重要な点だと思います。  ただ、それとおっしゃったマクロ経済インパクトとがちょっと矛盾するのではないか。つまり、今の問題は十分な企業の雇用保障が崩れているから消費が減って景気が悪くなっているということなのですが、それはいままでまさに日本の企業がこれまでキャリア権を犠牲にして、とにかく雇用の量的な保障を一本槍できたということを追認するというか、むしろそれも大事だと言っていることだと思うのですが、それとキャリア権を重視しろということはちょっと矛盾するのではないか。やはり労働者が将来の不安に備えて貯蓄するというのは、それはそれで合理的な行動であって、それを政府がきちっとビルトイン・スタビライザーの機能を果たさなければいけない。政府が十分な景気のビルトイン・スタビライザーの機能を果たさずして企業にそれを要求するというのは、それは政府と企業の役割分担からして間違っているのではないかと思われます。

 それから、企業のOJT機能を開放するというのは非常に大事なことなのですが、そのために何が制約になっているかというと、労働法の規制緩和であって、今、短期雇用契約というのは認められない。今の日本では1年以内か終身雇用かのどちらかしかない。ですから、例えば3年とか4年というような短期雇用契約が認められれば、その3年という期間に限定してOJTの職場が開放されるということも可能なのであって、これは先ほどどなたかもおっしゃった、むしろ規制緩和の問題がまだまだ労働市場には残っているのではないか。

 それから、教育投資の面につきまして、自己責任を言うならばきちっと何らかの援助が大事だというのは最もなことなのですが、この報告書では奨学金とかそういうローンについて主として触れられているのですが、一方で政府は、今、雇用保険を使って補助金という形でこれをやろうとしている。これについてのコメントが是非必要ではないかと思います。私は一応、この報告書のように、やはりそういうものはローンであって、無償援助ではなくきちっと後で返さなければいけないお金という形でやることによって、効率的な教育投資ができると思うのですが、今の政府の方針はそれと逆になっている。そこをどう考えられるかということであります。

 それから、ワーキンググループ間の整合性ということで、労働の面から非常に問題になっている3号被保険者の問題ですが、これは前回も申し上げた点でありますが、今日は、井堀座長がおられませんけれども、これは是非年金の方でも整合的に研究していただきたい。こちらの方で言って年金の方で無視しているというのでは整合性がありませんので、それは是非検討をお願いしたいと思います。以上です。

〔 G委員 〕 主に金融が中心ですけれども、他のこともちょっと追加させていただきたいのですが、金融でちょっと質問があります。今、余剰供給能力がどのぐらいあるかという質問です。というのは、これからの日本はどれだけの規模の金融業界が必要なのか、そのために何人が必要なのか、資本がいくらぐらい必要かということを定量的に言ってくれれば、これからどのぐらい整理すべきかという絵が描けると思います。特に今、公的資金を資本の形で金融業界に投入している時期ですから、そういう計算をもとにして考えようということができれば非常に大きな貢献ではないかと思います。

 もう既に資本が多すぎる、過剰供給になっているということであれば、公的資金を投入する必要はないわけです。本当に投入する必要があるとすれば、今の貸借対照表に載っている、資本金として載っているものが嘘だということになりますから、是非ともこの問題に関して何か言ってくれれば非常にいいことだと思います。

 これもちょっと金融に絡みますけれども、労働法で、特に銀行業界でもそうだと思いますけれども、アメとムチのバランスがちょっと崩れている気がします。この前、うちの会社の方がいましたけれども、今、株の派生商品のトレイダーをやっている人ですけれども、彼はPh.Dを取っていますけれども政治学のPh.Dを取っています。これは3年前に終わって、博士論文を終わらせて、社会人になったということですけれども、政治学では仕事がないから金融に入ろう。たった3年間で派生商品のトレイダーになれたわけです。能力があるということもあるかと思いますが、そういう人材を育成することはそんなに難しいことではありません。むしろ、ちゃんとアメを与えたらできるということだと思います。ですから、そういう教育を金融界だけではなくて他のところで与えれば、教育は何も問題はないと思います。むしろ日本は他の国に比べて教育水準が高いわけですから、早くそういう技術を覚えることができると思います。今の制度がむしろそれをつぶしているわけですから、それを直すと将来は明るくなると思います。

 グローバリゼーションの点ですけれども、昔の例になりますけれども、50年代だと思いますけれども、日本がメートル法を導入したと思います。アメリカはまだやってないのですけれども、なぜ日本がそれをやったかというと、輸出が伸びるからだということが原因だったと私は読んでいます。

 グローバル・スタンダードというのは自分の国をよくするためにやるということですから、調和とか調整という言葉よりもチャンスだという考え方をしたらどうかと思っています。グローバリゼーション・レポートの文章を読みますと、ちょっと玉虫色の感じがします。一方、調和するよりも当該制度が十分機能しているかどうかをチェックしましょうというのがありまして、反面に、制度調和の議論は各国の発展段階を配慮すべきだ。どっちかということです。だから、ある国が高い基準を達成するために、自分の制度を捨てて高い基準を達成しようとした場合、じゃあ、調和しましょうという話をするのはおかしい。例えば米国の自動車会社が日本に対して、日本はいい基準を作ったから、日本が制度を世界的に調整するために日本に対して、インチとかそういうヤード法を使いましょうということを言ったら、とんでもないわけです。だから、高い基準に達することは自分のためになるということがグローバリゼーションの非常に大事なポイントだと思います。

 アジアの点ですが、非常におもしろいことを最近聞きましたけれども、投資家から聞いてもアナリストたちから聞いても、アジアの方が、日本がアジアを救ってくれるということを今期待しているらしいのです。日本がお金を出すとか高い成長を達成してアジアを救うということはそもそも無理だということをみんなわかってないわけです。それはないだろうと思いますけれども、だからと言って、日本が何もできないわけではないのです。仮に景気がうまくいかないとしても、反面教師ではなくていい例を見せて知的な例を見せれば、アジアに大きな貢献になると思います。ただし、今のやり方ですと、必ずしもいい例になってないところもあるから、これを考えて、このレポートを書くべきではないかという気がしております。

〔 H委員 〕 部会長代理が時計を気にされているようですから、1分半ぐらいで終わります。

〔 部会長代理 〕 先ほど、総会屋は間違いだという話がありましたので、あまり気にしておりませんが、ただご協力いただくことが自発的であれば歓迎します(笑)。 〔 H委員 〕 各報告、大変内容のあるもので、これからワーキンググループの報告をするところには大変なプレッシャーになったのですけれども、金融に関して1点だけ、私たちの産業構造の方に関係のあるところがありますので、そこだけ申し上げます。   6ページですが、公的金融をいわゆる純化した意義において使うという話で、その中に可能性の1つとして、上から5行目ぐらいで、ベンチャー・ビジネスの初期段階という話があるのですが、私どもの方でもこれを検討しているのですけれども、これは今のところ私の個人的な考え方ですが、ベンチャー・ビジネスの初期段階に公的資金を使うという試みは今のところうまくいっていない。3年ぐらい前から数百億円の金を全国にばらまいて、いわゆる間接ベンチャー・キャピタルということをやったのですが、いまだに実施件数がゼロの都道府県が4分の1ぐらいあります。アメリカでもエスビックというものをいっぱい作ったのですが、これがことごとく失敗したという例があります。

 そこで、公的金融をこの分野にというのはちょっと、我々も検討しますけれども、検討していただきたい。それでは誰がやるのだという話になるのですが、そのときに、先ほどC委員が、協同組織金融機関の話をされましたけれども、私も協同組織金融機関については是非何らかのメンションを残していただきたい。そして、これはちょっととんでもないことを言うようですけれども、協同組織金融機関というのは非常に地域に密着していて、担保でなくて人に金を貸すということのできる金融機関ですので、ひょっとするとこういう新規企業の初期段階にお金を出せる1つの候補ではないかと考えておりますので、そこら辺をご考慮いただければと思います。

〔 I委員 〕 私も1点だけ言わせていただきますが。

〔 部会長代理 〕 どうぞごゆっくり(笑)。

〔 I委員 〕 先ほど、岩田委員がご報告をされました金融ワーキンググループの報告書、これは全体として大変よくできていると思いますし、また、論旨明確、特に公的資金の位置づけなどもはっきりしているということで、大変評価したいと思うのでございますが、1点だけ。                                  私もA委員と全く同じなのでございますが、10ページの郵貯のところでございます。ここだけは大変玉虫色で、社会政策的役割と市場原理徹底というので、どっちに積極的に向いているのかわからない。しかし、全体の論旨から言うと当然後者に力点があるのは当然ではないかという感じがするのでございますが、この辺はもう少し具体的に議論をされた中身を紹介されると同時に、むしろ社会政策のあり方や中身、市場原理を徹底していく具体的な方法論、その辺を言っていただくことが大変重要ではないか。つまり、他のいろいろな審議会とか委員会がございますけれども、経審あたりでこういう問題については客観的かつ冷静な議論をするというのが大変重要な位置づけになってくるのではないかと思いますので、その辺をよろしくお願いしたいと思います。

〔 J委員 〕 金融ワーキンググループの報告書の全体として非常によく考えておられるなということで、私も基本的には賛同するのですが、一番最後の東京がアジアの国際金融センターであり続けられるかどうかというのは、文章をよく読みますと「望まれる」というふうに書いてありまして、必ずしも予想ではなくて「努力してこうなってほしい」という願望が表されているのだろうと思います。私も基本的にはそういう受け止め方をしたいと思います。

 内容に関してちょっと細かい点になりますが、3点ほどコメントのような、あるいは若干質問を兼ねて申し上げたいと思います。

 第1は、市場インフラの関係で会計制度に触れておられます。今日もずいぶん委員の皆様方からグローバル・スタンダードの話が出ておりまして、グローバル・スタンダードをどう考えるかという問題が提起されているわけですが、会計についてはご承知のとおり、国際会計基準の金融商品プロジェクトが進行しておりまして、これがデファクトのグローバル・スタンダードの地位を固めつつあるという認識はやはりどうしても必要なのだろうと思われます。ですから、グローバル・スタンダードは、最近、「グローバル・スタンダードの妖怪」という新聞の記事がありましたけれども、あるかないかのものを議論しているわけではなくて、金融商品の会計制度に関してはグローバル・スタンダードが実際あるということを前提にして、我々は対応を考えなければいけないということだろうと思います。その対応を考える場合に、金融商品全般が対象になるわけでありまして、日本の企業の場合の持合株式というのは非常に大きな問題になってまいります。持合株式を時価評価した場合どうなるか。これは金融機関にとっての問題でもありますし、また広く企業全般のコーポレート・ガバナンスにとっても非常に重要な問題である。それに対してはっきりとしたことを考えておかないと、少なくとも金融に関しての将来展望は描けないだろう。これが第1点のコメントです。

 第2点は、ディスクロージャーのことを非常に強調しておられまして、私もそれは基本的に賛同するわけですが、ディスクロージャーとの関係ではもう1つ企業サイドからの積極的な開示といいますか、法律で求められるからディスクロージャーをするというのではなくて、IRですけれども、インベスター・リレーションズという形で、今後、株主をはじめとした投資家に対して企業が何を訴えていかなければいけないかという視点も是非入れてほしいと思います。

 第3点目は、これは決済システムとの関連でありまして、決済システムが今後どうなるかというのも非常に大きな問題であります。このレポートではずいぶんいろいろなことを考えていらっしゃいまして、例えばEDIというような、企業間の電子データ交換ですけれども、EDIを通じて金融機関のみではなくて企業自身が決済システムに深く関与してくるというようなことまで書かれておられます。

 それから、従来の金融界から見た場合にも、預金中心の決済システムが必ずしもそれだけではなくて、いわゆる証券総合口座というような形で他の証券会社あるいはMMFとか、そういったものを使った決済システムにも変貌を遂げていく可能性はあると思います。 そういう意味で、決済システム全体が2010年というときを考えたときに、どういうふうなイメージになってくるのか、これは非常に大切でありまして、その決済システムをどういうふうに構築するかということが、ある意味では金融機関の破綻処理のあり方を決めてくる。つまり預金保険機構のようなセーフティーネットをどこまで広げるべきか、あるいは、むしろ今よりはるかに縮小して基本的には参加者の自己責任でカバーしていく部分も増やすべきかとか、そういうような議論に必ずつながってくると思いますので、是非とも決済システムとのつながりをもう少し深めていただきたいと思います。

〔 部会長代理 〕 どうもありがとうございました。

 金融以外の論点でご発言のある方も、どうぞ引き続きお願いいたします。

〔 K委員 〕 私は、雇用・労働ワーキンググループについて1点だけ手短にコメントしたいのでございますけれども、この報告書全体として完全雇用という見地から問題のアプローチがなされているような印象を受けるのですけれども、そもそもこの報告がどのぐらい長期まで見通して作られているかということとも関連がございますけれども、周知のとおり21世紀の日本にとりましては最も大きい問題の1つは高齢化と少子化でありますが、この見地が十分取り入れられていないのではないか。例えば、高齢化という言葉は使ってありますけれども、1ページにごく数行述べてあるだけでありまして、より多くの検討をこの分野においてなされる必要があるのではなかろうかという印象を持ちます。

〔 L委員 〕 雇用・労働の問題と、グローバリゼーションの佐々波委員のところと関係するのですけれども、雇用・労働の2ページの雇用保障のあり方のところで、雇用保障は経済面からメリットがあるという表現になっておりますが、できればこれに加えていただいて、国民所得を分配する方法として雇用による分配というのは最も世間の納得性のある方法だという社会的な積極的な意義をやはり認めていただくことがひとつよろしいのではないか。

 この問題をアプローチしますと外国人労働力の、2ー1の方の分析では、従来の日本政府の方針、つまり、技術・技能のある方については入れるけれども、単純労働力は入れないということが書いてあるのですが、これはやはりある程度数の問題もあると思うのです。特にアジアの国々は大変人口圧力の強い国が多いわけでございますから、数の定量的なアプローチをしようと思うと、やはり雇用問題との関連が出てまいりますので、雇用総量と賃金水準は当然関係がございますので、そうした国民所得の分配方法として雇用というのは最も説得性、納得性のあるものである。こんなところを入れていただくとよろしいのかなというのが1つございます。

 もう一つは、ベンチャーなどの起業の問題ですが、2つ議論がありまして、私どももよくわからないところなのですけれども、1つは、ベンチャーをやるぐらいの心構えの人間だったら、自分の全財産を投げ売って私有財産を全部使って金を借りてやれという意見とそういうことをやる限り起業家が育たないのだという、有限責任だからこそ企業というのは育ってきたので、有限責任を無視してそこだけ無限責任のようなことをやるとますますベンチャーが育たなくなるというご意見がありまして、どうもかつては銀行なんかも個人保証しないような会社には貸さないよということを言っていたのですが、そういう時代ではなくなってきたのかなという感じがいたしまして、この辺も少し議論をしていただいて中に入れていただくといいかなという感じがいたしました。

〔 C委員 〕 雇用・労働ワーキンググループの報告で1点だけ、感想的で申しわけないのですが、提言3、これは全体としてはよくまとまっていてそうだと思いますが、この中に「若年者の職業意識を高める」、あるいは「適職選択」ということがいろいろございまして、これはこれでそのとおりだと思いますが、この「職業意識」の意味、これは技術的な意味の職業選択、あるいは専門職ということだけでなしに、やはり職業倫理といいますか、労働を尊重するということを。今の労働なり教育システム全般に関わるわけですけれども、どうも高い給料、3Kのような汚いものにはつかない、ブルーカラーは嫌だとか、今のものの考え方が職業選択にも非常に強く働いている。この結果が、例えば有名大学に入るために幼稚園の頃から受験勉強が始まる。そういうのは外国と比べて日本の場合には職業倫理といいますか、宗教的なものがあまりないので、キリスト教なんかだと職業・勤労ということが非常に大事に思われております。そういう意味で「職業意識を高め る」ということの中に、あまり経済的ではないのですけれども、その前提として職業倫理、労働を尊重するというようなものがうかがえるようなものにしていただければ、非常にいいのではないかと思います。これは感想的なことでございます。

〔 部会長代理 〕 どうもありがとうございました。

 本日は、もう一つの議題もあったわけでございますけれども、レポート自体が非常におもしろいというか、大事なレポートが3つそろいましたので、それについて時間を費やしたことはよかったのではないか。むしろこういう形での議論をすることでだんだん議論が煮詰まっていくだろうと思います。

 それではお待たせした形になりましたけれども、岩田委員と、労働・雇用の方、だんだん時間が押していって申し訳ありませんが、樋口委員、岩田委員、それぞれ感想等を含めてご発言をお願いいたします。

〔 岩田委員 〕 たくさんコメントをいただきまして大変ありがとうございました。

 すべてを網羅するわけにはいかないのですが、主な論点についてお答えさせていただきたいと思います。

 1つはアジアの金融危機、通貨危機をどう見るかということについてのご意見がいくつかあったと思います。グローバリゼーションのタイミングが速すぎたのか、あるいは遅すぎたのか、あるいはその対応としてマハティール型にやった方が、もっと自由化した方がいいのかという議論が十分には煮詰まっていないと思いますけれども、私自身がどういうふうに考えているかといいますと、IMFのディレクターがアジアの通貨危機というのは21世紀型の危機であるということをおっしゃいまして、21世紀型というのはどういう意味なのだろうか。必ずしも明瞭な定義はないのですが、私は少し違う解釈をしておりまして、多分、IMFと違うと思うのですが、それはどういうことかと言いますと、例えばタイの例を見てみますと、いわば最終的には銀行の危機と国際収支の危機が両方起こる形で危機というふうに呼ばれているのですが、同時に短期の資本が金利差とか何かに非常に敏感に、ある意味では過剰に反応して動くという、これは銀行も短期でたくさん貸したという面もありますし、あるいは投資ファンドというヘッジ・ファンドなんかその例ですけれども、非常に短期の間に資金を大量に動かせる。しかもそれはデリバティブ等を使ってますのでレバレッジが非常に大きいということでありまして逃げ足が速い。入ってくる方も速いのですけれども逃げて行く方も速いという、それに実体経済が追いつかないというようなことも同時に観察されるわけであります。

 私は、今、アメリカの経済はおそらくバブルの要素があるというふうに思っておりまして、そのバブルは何によって支えられているかと言いますと、私は、日本がこれから向かうであろうファンド化というミューチュアル・ファンドですとか、ペンション・ファンドですとか、そうしたファンドが、いわば今のアメリカの株高というものを生み出していると思います。私は、そこにある意味では潜在的な、21世紀型のリスクが実はあるのではないか。それはタイの場合にも出ていたのではないかと思っております。

 これは議論があるところでありまして、いわばパラレル・バンキングの議論としてアメリカで行われているのですが、つまり伝統的な銀行というのは預金を集めて貸出しする。だけども、今、アメリカで生まれているのは、ファンドを、MMFであろうがミューチュアル・ファンドであろうが、そのファンドが家計からお金を集める。そしてそのファンドは何を運用するか、CPでありますとかいろいろな資本市場の商品に対して投資する。ファイナンス・カンパニーというのが、いわばCPを発行したりプロミサリーノートを発行したりという形で資金調達をして、その証券をファンドなんかが買うという。

 つまり、銀行は預金を集めて貸出というのを1つでやっているわけですけれども、パラレル・バンキングのシステムは、ファンドが集めてノンバンクの金融機関が貸出しをするという、そういうシステムになっていまして、それはどういう特徴があるかというと、政府が保証しているわけではないわけです。これは預金保険の対象になるものではありません。ファンドというのは元本は保証されていない。もちろん今は商品によっては元本も保証しながらリターンを出すという競争も起こっていますが、基本的には株式運用であれば元本は保証されないことでやっているわけであります。

 そうしたた新しいパラレル・バンキングがどういうリスクを抱えているかというのは、実はまだ未知数であって、それが私はアジアの場合にやや尖兵的な形で現れたのではないか。まだわかりませんけれども、今度、アメリカのエクイティ・マーケットが暴落したときに、本当の21世紀型の危機がどういうものかということが明らかになるのではないかと思っております。

 日本の金融システムもどちらかと言うと、これはおそらくアメリカ型で、ファンド化が進むということは多分間違いない。しかし、そのときにどういう対応を考えておくべきかというのは、議論の余地が非常にあると思っております。これはアジアについてのコメントであります。

 2番目は、協同組合の組織ですとか、あるいはコミュニティ・バンクをどうするのか、ベンチャー・キャピタルをどうするのかというようなご意見がいくつかあったと思いますが、そういった問題についてこの報告書では、金融サービスを総合的に扱う金融サービス法というようなもので基盤を確立することが非常に必要なのではないか。しかも早期にそれはやらないといけないと思っております。

 そういう金融サービス法というのは、従来型の金融機関別に何か規制するということはおそらく誤りであって、機能に基づいて必要ならば規制を加えるとか、そういう法的な整備を今急がないと、今度もどこまで含めてやるかというようなことが問題ですけれども、どうするかという問題。さらにこれは決済システムにも関係がありまして、決済システムをどこの部分までオープンにするか。私は基本的にはオープンにすべきだと思っておりますけれども、しかもイノベーションを阻害しない形で決済システムを活用すべきだと思っていますが、同時に安全対策をどこまできちんとするかということがやはり重要な問題ではないかと考えております。

 以上が主な点なのですけれども、その他いくつか、G委員の方から日本の金融機関はどのぐらいの付加価値なのか、どのぐらいの規模にするのかという、かなり重要なご指摘があって、後ろの報告書でも金融業に付加価値がどのぐらいあるかという比較がしてありまして、だいたいアメリカと同じようなレベルになっている。ただイギリスなどと比べますと、むしろ低いということでありまして、日本の金融業がどのぐらい比較優位を持ってやっていけるかというところにかかっていると思います。

 私は、日本の金融業はおそらくROEで見ますと非常に低い水準なので、ある意味では過大に資本金を持っている。業務も貸出しにしても何にしても資産を持ちすぎているというふうに思います。ただ、アメリカの場合と違いますのは、過大な資産を証券化というような形でオフバランス化がうまくできなかったということが、今、いろいろな混乱が、公的金融が必要だという、いわば時計を逆回しにしないといけないようなことが起こっている大きな要因ではないかと思っております。

 以上、長くなりますので、ここで一応終わらせていただきたいと思います。

〔 樋口委員 〕 いろいろご指摘をありがとうございました。

 私の方もちょっと選ばせていただいて、お答えしたいと思います。

 私どもの報告書を書く場合の基本的なスタンスと関連する問題について、少しお話をしたいと思います。

 私どもが、この報告書で全体的に述べていますことは、現在、あるいは従来、日本における完全雇用というのは、個々の企業の雇用保障に頼ってやってきた面があるだろう。しかし、そうかと言って、テーマにありますように変化が激しくなってきている社会に頼りきりというわけにはいかなくなってきている。そうなってきますと、労働市場全体、社会全体で完全雇用をどういうふうに達成していくのかということが非常に大きな問題になってきているという趣旨で全体を貫いていると思います。

 その点、F委員がご指摘になったところの、もし、私の説明が足りなかったら、そういうスタンスから書いていますということで、例えばマクロと個々の企業の雇用保障のところは矛盾するところがあるではないかということであったかと思いますが、矛盾するといいますか「雇用保障」という言葉も個々の企業の雇用保障の問題であるのか、社会全体として雇用の場を確保していくという意味であるのかということでご理解いただけたらと思います。もし、少し言葉を足す必要がありましたら検討させていただきたいと思います。 もう一つのスタンスは、ここでの全体の報告書で議論しておりますのは、個々の企業がいかにあるべきなのか、あるいは労使間の雇用慣行に対する取組みはいかにあるべきなのかという議論は、ここではあまりやらないようにしようということで意図的に避けてきたところもございます。特に長期雇用に対する評価の問題、今後も続けるべきであるとか、あるいは改革していくべきであろうというようなことについては、これはまさに個々の労使の問題で考えていただく。その中で自分たちに適するものはどちらであるのかという方向で考えていくべきではないか。

 この報告書ではむしろ政府に対する要望、あるいはルールづくり、そういったものに焦点を当てていろいろ議論していくべきではないだろうかということから書かせていただいております。

 これは、F委員から出た問題でもありますし、G委員から指摘されました金融業界における人材育成、能力開発の問題と関連してくるわけでありますが、これがどこまで個々の企業で対応することができるのか。もし、法律なりそういったものが能力開発ができないような状況にしているということであれば、法律等々について政府の役割等々について考えていくべきではないかということから、ここでは書かせていただいております。

 例えば現在も有期雇用、従来ですとマキシマム1年までということであったわけですが、労基法の改正案が今国会に提出されているというようなこともありまして、この報告書が出るときの状況はどうなっているかというのがちょっとわからない。もしかすると法制化されているかもしれないということもありますし、あるいはそうでなくなっているかもしれない。これは裁量労働の問題もそうですし派遣労働の問題もあるというタイミングもありまして、これに対しては有期雇用を1年から3年にするべきかどうかという、国の対応について入れてないということがございます。

 そういうことから、おそらく短期集中して働いて、1年間で例えば1億円稼ぐ人がいる、1年間 1,000万円ずつ10年間稼ぐ人がいる、そうなった場合に、先ほどから出ている問題の能力開発、特に金融業界でというような話は税制と関連してくる問題があるのではないだろうかと思いまして、累進税制についてどういうふうに考えるのか。特に最高限度税率についての問題点をどういうふうに考えるべきか。これにつきましてはワーキンググループの中でもいろいろ議論をしているところでございまして、もう少し考えさせていただきたいと思っております。

〔 部会長代理 〕 どうもありがとうございました。

  この3つのグループに限らず、すべてのグループについて今後3月以降も引き続き審議の進捗に合わせてご報告を承るということになっております。

 また、各委員におかれまして、その後、気がつかれたような点についても、もし、ご意見がありましたら是非まとめて事務局の方にございます連絡をいただきたいと思います。佐々波委員はご退席になられましたけれども、いずれまたグローバルの問題は何度か議論せざるを得ないだろうと思いますので、そのときに譲らせていただきます。

 それでは、もう一つの議題、時間がなくなってしまいましたけれども、展望部会の取りまとめの方向性について、事務局からなるべく簡単にご説明だけ聞いて、あとは次回の討議に譲るという形にさせていただきたいと思います。

〔 事務局 〕 お手元にお配りしております資料3をご覧いただきたいと思います。ごく簡単にご説明申し上げます。

 この紙の性格でございますけれども、まだ生煮えのものでございまして、本日までに5つのワーキンググループからのご報告をいただきましたけれども、まだ3つ残っております。これらのワーキンググループにつきましては、まだご報告する段階に至っていないということで、とりあえず事務局といたしまして、こういうことがあるのではないかということで盛り込んだ部分もございます。それが生煮えの1点目でございます。

 もう一つの生煮えの点といたしましては、資料3自体が、まだストーリーというものに欠けておりまして、この辺のところも次回以降の当部会でご議論いただくための材料ということで用意したものでございます。

 資料3の内容でございますけれども、柱の立て方といたしまして1ページ目は足下の問題ということで、成長軌道への回復のための政策体系とその時間的径路という問題を掲げております。

 もう一つの柱といたしまして、3ページ目の2.といたしまして、長期的課題と構造改革後の展望ということで、2010年頃の問題を取り上げているという構成でございます。

 それぞれの中身といたしまして、成長軌道への回復の方では、金融事務局の問題、(2)といたしましてさまざまな構造改革とマクロ政策との関係というようなことを書いてございます。2ページ目には(2)調整のコストに関する主要論点でございます。

 大きな柱の2番目といたしまして3ページ目には、いままでこの部会でもご議論いただきました構造改革後の展望ということで、3つのキーワードといいますか3つの柱といいますか、そういうものでまとめてございます。1.は透明で公正な市場システムの確立でございます。

 6ページにまいりまして、2.環境と調和した社会という2番目のテーマでございます。 7ページにまいりまして、3.ファイナンスのストックの未来への継承ということで、論点・提言をまとめてございます。

 そういうようなまとめ方でございまして、最後に9ページ目には、5.マクロ経済の長期展望という数字のものもここに入ってくるという形でございます。

 これは、必ずしもまだスケルトンということではございませんで、とりあえず各ワーキンググループでご議論いただいているものをこういう形でとりあえず整理したものというものでございます。

 以上でございます。

〔 部会長代理 〕 ありがとうございました。

 本日も議論になりましたけれども、ワーキンググループ間の問題と、部会全体としての取りまとめ方ということでございますが、まだ生煮えだというお話でしたけれども、もし、ご意見があれば生煮えの段階で言っていただくと非常にスムーズに事務局が取り入れやすいだろうと思いますので、次回以降議論を尽くすつもりでございますけれども、何かありましたら、是非早め早めに事務局の方にご連絡いただくようにお願いいたします。

 また、この部会全体もこういう形でだんだん取りまとめに入らなければならなりませんが、私どもの他にもう一つ「経済主体役割部会」というのが設けられておりまして、役割部会におきましても取りまとめを次第に始めるという段階に入っているように伺っております。したがいまして、各ワーキンググループとこの部会の全体の取りまとめ、ワーキンググループ相互とこの部会全体としての取りまとめ、その他に役割部会とこの展望部会との1つのすり合わせと申しますか、そういったこともこれから議論していかなければならないのではないか。そういった形で春に向けて作業を進めるということにさせていただきたいと思っております。

 それでは、次回以降の日程につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

〔 事務局 〕 次回は3月19日のお昼時にこの部屋でお願いしております。テーマといたしましては、残っております3つのワーキンググループ(地球環境、産業構造、技術革新)からのご報告をいただくともに、本日と前回もこの部会におきましてご報告いただきましたワーキンググループのテーマについて積み残しの部分等がございますものにつきまして、再度ご議論いただくという予定にしております。

〔 部会長代理 〕 それでは、本日、やや尻切れトンボになりましたけれども、第7回の経済社会展望部会の審議は以上をもちまして閉会といたします。

 本日は、長時間、ご熱心にご討議いただきまして、まことにありがとうございました。

 

以上

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