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経済審議会第6回経済社会展望部会議事概要

1.日時:

平成10年2月10日(月)10:00~11:45

2.場所:

経済企画庁特別会議室(1230号室)

3.出席者:

小林陽太郎部会長、香西泰部会長代理、稲葉興作、井原哲夫、井堀利宏、角道謙一、黒田晁生、小島明、下村満子、清家篤、長岡貞男、長岡實、奈良久彌、成瀬健生、濱田康行、ロバート・アラン・フェルドマン、村田良平、村本孜、八代尚宏の各委員。
糠谷事務次官、林官房長、高橋企画課長、中名生総合計画局長、貞広審議官、高橋審議官、大西計画課長、大森計画官、田坂計画官、涌野計画官、染川計画官、安井計画官、塚原計画官、赤井計画官、小島計画官、渡辺電源開発官、道上計画企画官、福島推進室長 他。

4.議題:

(1)各ワーキンググループ(以下WG)報告(財政・社会保障、土地・住宅)

(2)運営委員会の設置について

5.審議内容:

(1)財政・社会保障及び土地・住宅WGの座長より各WGについて報告。これに対して委員からの主な意見は以下のとおり。

【財政・社会保障WG報告に関連して】

○公的年金については、年金制度のサステナビリティを維持することが重要。一般の理解を得るためには、特定の世代が著しく負担を負うような制度は長期安定的に持続するのが困難であるということを強調した方がいいのではないか。

○公的年金の第3号被保険者の扱いを考えれば、社会保障制度等における「年齢 中立(エイジフリー)」な視点に加えて、「世帯中立的(世帯フリー)」の視点も重要。

○将来展望する際には、人口の影響を検討することも重要。賦課方式の年金は他の親を養うものであり、そうであれば子供の養育費も社会化しなければいけない等問題にいろいろなひろがりがでてくる。経済成長だけではなく、将来の人口にどのような影響を与えるのかという問題意識も必要。

○基礎年金を一般財源(消費税)で賄うという提案があるが、これを行うことによる有利不利を考えなければいけない。基礎年金を消費税で賄うならば、消費税率を何%上げて賄うという形で負担のバランスをとった方がいいのではないか。

○日本は賦課方式であるが貯蓄率が高いということは、今の社会保障制度が維持できるかどうか国民が不安に思い、自己防衛的に貯蓄をしているという面があるからではないか。賦課方式といっても、サステイナブルかどうかが重要。貯蓄率への影響についても、むしろサスティナブルであるということが過剰な貯蓄を防ぐという要素もある。単にライフ・サイクル仮説を採用して、賦課方式と積立方式では後者の方が貯蓄率が高いから経済成長率が高いというのは現実離れしているように思われる。

○年金について、積立方式と賦課方式は国民が選択するということになっているが、報告では積立方式を優先しているように思える。積立方式にした場合、膨大な資産が積み上がる為、この運用の問題が当然でてくる。運用については論議がされ始めているが、本来年金のような長い資産の運用を行う場合は、やはり自己責任で日本の経済成長の中で運用し、その中でインカムゲインとして果実を得て賄っていくのではないか。最近の国際的な風潮をみるに、キャピタルゲインによって非常に簡単に儲けて、それでもって利回りがよければという向きがあるが、キャピタルゲインというのは実際に価値をつくりだしているわけではなく、途上国の価値をさらってくるようなものであり、膨大な資金をもってそいうことをやるというのは問題ではないか。運用の場合にはキャピタルゲインではなく、日本経済の成長を支えるインカムゲインで行うということを国の目的として考える態度が必要ではないか。

【土地・住宅WG報告に関連して】

○住宅のような専門的な知識を要する商品を購入する場合、市場には情報の非対称性がある。そうした中で市場メカニズムだけでクオリティが確保できるのか。もしできないとしたらどのようなシステムが必要かについても検討すべき。

○資料2―2の10p中「環境を買う」というコンセプトは大事。しかしながら、環境に含まれる防災や都市景観の維持については、市場における経済主体間の取引だけでは達成し難いため、社会資本として何らかの形で提供されるか、あるいは規制により景観を保つ、防災上の条件を担保する等が必要ではないか。また、そうした場合、従来型の規制等ではなく、新しい形の規制や社会資本の整備のあり方等も併せて提言するべきではないか。

○土地に関して、資料2―2中18pの提言のところに現在争点となっている定期借家権の導入についても「提言」として取り上げるべき。

○労働市場の流動化に伴う土地・住宅の問題はどうするのか。転職率の高まりに伴い、従来は厚生福祉という形で企業の中でやってきたことを、市場を通じて処理することになると思うが、そういう問題に触れなくていいのか。それと同時に、失職というリスクが高まってきた場合、住宅ローンについてはどのように考えたらいいのか。

○定期借地権制度によって土地・住宅のコストが下がるという資料はインプレッシブであるが、一方で、長い方向としては、地価は収益還元価格に収斂すると書いてある。収益還元方式になれば所有権と借地権の差は本来はなくなるわけであり、このように差があるということは未だそうなっていないということが前提となっている。定期借地権、定期借家権によって、所有権の価格は収益還元価格に移っていくのだという位置づけでこれを捉えることが全体のコンシステンシーにつながる。

○「住宅金融における公的な役割」と書いてあるが、議論すべきは金融における役割ではなく、住宅金融公庫に対する出資という形で出されている国からの補助金をどうするかといった補助金政策についてではないか。

○住宅金融公庫と住都公団の機能が見直されてもいいのではないか。例えば、住宅に関して流通市場の整備という場合、これらの機関がその担い手として位置づけられていく余地はないのか議論すべき。また、市街地再開発等に果たすべき住都公団の役割を議論すべきではないか。さらに、先に政府から出された緊急経済対策を促進する観点から、サポートしていくような提言を土地・住宅WGの報告の中に織り込むべきではないか。

(2)運営委員会の設置について、事務局より資料4について説明、その後討議。討議終了後運営委員会の設置が了承された。

委員からの主な意見は以下のとおり。

○資料4の1pⅠの3.「回復の経路」については、産業構造における生産性格差の解消につながるような見通しを盛り込むべき。

○Ⅰの「成長軌道への回復のための政策体系」とあるが、成長哲学をしっかりするというのはいい考えである。現在の景気対策の考え方は成長哲学からかけ離れており、かえってこれにより逆効果が出ると思われる。すなわち、土地の買い取り機構をつくって悪い資産を買い上げるということは不良資産を処理することではなく、不良資産を民間部門から公的部門に移しかえているにすぎず、その資産をこれからどうやってマクロ的に効率的に使うかが議論されておらず、問題を先送りにしているだけである。

金融セクター立てなおしの為に13兆円の計画が出されたが、金融機関に13兆円分資本を投入するということは、銀行部門のROEを低くするということである。資本が多過ぎる中どうやって資本を少なくするかという時に、さらに資本を投入するという方法はおかしい。海外の投資家でも同様な意見は多く、日本のこうした動向は海外の投資家の日本の制度に対する失望感を招く恐れがある。

○4pⅡ1.(2)に「公正(と効率の調和)」について、これから制度が変更するにつれて不公正が生じるから、それを直すという考え方はあるが、税制等をみると逆に現時点の不公正の方が大きい。公正と効率は相反関係にあるのではなく、補完的な関係にあるのではないか。そうであるとすれば、効率を高めれば高めるほどより公正な制度になる。これを原点にして文章を書くべきではないか。

○年金制度が資本市場にどういう影響を与えるかが大きなポイント。すなわち、日本の資本の使い方がよくならないと年金が払えなくなるわけであり、年金制度が資本の使い方、すなわち、金融機関の資産運用にどういう影響を与えるかということをか考えるべき。

6.今後のスケジュール

次回第7回経済社会展望部会は2月26日の午前10時に開催する予定。

以上

なお、本議事概要は、速報のため、事後修正の可能性があり得ます。また、本議事概要中に記載されている部会資料につきましては、経済企画庁広報室及び総合計画局計画企画官室で配布しております。

(連絡先)

経済企画庁総合計画局計画企画官室

道上、丹野

TEL 03-3881-0977(直通)

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