第1回情報通信及び交通関連社会資本の整備に関する研究会議事概要

1.日時:

平成10年2月4日(水)10:00~12:00

2.場所:

経済企画庁会議室(732号室)

3.出席者:

月尾嘉男座長、柴田 潤、谷口栄一、中島 洋、浜野保樹、林紘一郎、山内弘隆の各委員。

中名生総合計画局長、高橋審議官、安井計画官 他。

4.議題:

(1)研究会について

(2)研究会の今後の進め方及び課題の絞り込みについて

5.議事内容:

(1)中名生総合計画局長より挨拶の後、安井計画官より、研究会の目的、全体像、主要な課題、スケジュールについて資料に沿って説明。また、時間の関係上E-mailにて意見をいただく場合もあり、委員全員のE-mailアドレス等を公開。

(2)安井計画官の説明後自由討議。

研究会における主要な課題に対する委員からの主な意見は以下のとおり。

【社会資本の範疇】

  • 〇ソフトウェア(OS、コンテント(ゲーム、映画)、アプリケーション)は、現在は社会資本の範疇には含んでいないが、今後社会資本の範疇として政策的考えを示す必要がある。例えば、国の行政の情報化(特許庁の情報化)等、高度通信社会推進本部が進めている分野もある。教育の分野(公的なところが含まれている)では、例えば美術館のディジタルコンテンツ化などを行っているが、あれは公的なものに入る。
  • 〇映画というコンテンツを例にとれば、アメリカのように国が間接的に支援をするには良いが、EU(イギリス、フランス等)のようにコンテンツの中味まで関与すると市場の失敗を招く恐れがある。コンテンツは側面的な支援は良いが、内容まで国が関与すると失敗する。
  • 〇ここ数十年という単位で、社会資本のプラットホームを作るソフトウェアを議論すべき。

【交通と情報通信の融合】

  • 〇道路は従来国が主体で社会資本整備してきた。情報通信の技術が入ってきて国の役割が変わってきたのではないか。ITSは、政策、標準化は国がやっても良いが、運用は民間主体に移行すべき。
  • 〇情報通信が交通に与える影響で非効率的になる部分もある。例えば、ジャストインタイムで、トラックの積載効率が15%くらいまで下がってきている。情報通信が全て交通にとってプラス要素には働かない場合もありうることを念頭におくべき。

【グローバルスタンダード】

  • 〇航空物流(EDI)のスタンダード構築は民間主体であり、ばらばらである。政府の役割として一つにまとめるか、或いは、個々のシステムにして競争させる等何らかの方向を示すべきとして、運輸政策審議会で取り組んでいる。
  • 〇例えば、決裁・暗号・認証の世界では、SET(VISA&MASTER)が事実上のスタンダードになりつつある。アメリカのような標準覇権主義、技術覇権主義が良いのか議論すべきであるが、このような戦略まで国が関与していくべきなのか議論すべき。
  • 〇標準化作業は、支援、資金援助が少ないため、政府は標準化にたいしてもっと前向きな雰囲気を作るべきである。標準のような国際的しくみの中で日本が関与するというのは、政府の役割であり、通信、交通の分野で強化すべきところを今後提言すべき。

【官民の役割分担】

  • 〇誰がやるかという主体主義ではなく、機能に注目しないと、議論の中で何かが欠落してしまう。何が必要かを議論した後で、公的機関の役割を議論をすべき。
  • 〇高齢化・福祉社会になってくると、経済社会全体にNPOの占める割合が多くなる。
  • NPO法案を国際的なものにするのも政府の役割。アメリカはボランティア社会であるが、日本は、政府依存が強い社会だから、それを変えていくのは社会資本にとっても重要である。
  • 〇交通で言えば、広域計画は国がやるべきで、施工、維持管理は民間でやるべき。

【ユニバーサルサービス】

  • 〇民間のビジネスチャンスで残されたものを官が行うのか。官としてどこまで何をどこまで行えばよいか議論すべき。また、競争原理、規制緩和が入ってきて、サービスが受けられなかったら、どうするのかも考えるべき。
  • 〇ユニバーサルサービスはナショナルミニマムの内容に関係する。音声、データ系、教育、医療等本当に必要なサービスは何か議論すべき。
  • 〇国家が膨張する時代では、ユニバーサルサービスは意味のあるものだったが、少子・高齢化の時代、経済縮小の時代に過疎地まで手厚くサービス提供するのか、新しい考えが必要。

【今後の進め方】

  • 〇社会資本の範囲は拡張して考える。どの主体が供給するかは後で議論するとして、プラットホームで言えばソフトウェアも対象として考える。
  • 〇通信、交通に対するサービスに対するグローバルスタンダード化は大きな動きである。
  • 国際機関における日本の地位・役割、アメリカのスタンダードに対する動き・戦略、国際標準に合わせていく、或いは国際標準ででイニシアチブをとるために社会資本整備というものをどうしていくべきか考える。
  • 〇社会が少子・高齢化、経済規模縮小のときユニバーサルサービスという概念はどう考えるべきか。
  • 〇官民の役割分担、増大するボランティア経済をどう社会資本に組み込むか。
  • 〇行政機関どうしの連携について議論する。

6.今後のスケジュール

次回第2回研究会は3月20日の午前10時または3月25日の午前10時のいずれかの日程で「交通関連社会資本についての議論」という内容で開催する予定。

以上

なお、本議事概要は、速報のため、事後修正の可能性があり得ます。

(連絡先)

経済企画庁総合計画局計社会資本班

(担当)田中

TEL  03-3581-0764(内5544)