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経済審議会経済主体役割部会(第6回)議事録

日時 平成10年1月27日(火) 14:00~16:00

場所 経済企画庁特別会議室(1230号室)

  1. 開会
  2. 経済審議会総会について
  3. 役割発揮のための共通の課題(情報開示と説明責任の徹底)について
  4. 自立した主体としての個人の行動(横断的な議論)について
  5. その他
  6. 閉会

(配布資料)

資料1.経済審議会経済主体役割部会委員名簿

資料2.経済審議会総会における部会長発言中の経済主体役割部会のとりまとめに向けての議論の方向性に関する部分

資料3.情報開示・評価システムに関する論点メモ

資料4-1個人部門の課題について

資料4-2「個人部門の課題」に関する資料

参考資料「構造改革のための経済社会計画ー活力ある経済・安心できるくらしー」の進捗状況と今後の課題


経済審議会経済主体役割部会委員名簿

部会長 

水口弘一

(株)野村総合研究所顧問

部会長代理

金井務

(株)日立製作所取締役社長

荒木襄

(社)日本損害保険協会専務理事

潮田道夫

毎日新聞経済部副部長

浦田秀次郎

早稲田大学社会科学部教授

奥野正寛

東京大学大学院経済学研究科教授

川勝平太

早稲田大学政治経済学部教授

河村幹夫

多摩大学経営情報学部教授

神田秀樹

東京大学大学院法学研究科教授

公文俊平

国際大学グローバルコミュニケーションセンター所長

ポール・シェアード

ベアリング投信株式会社ストラテジスト

末松謙一

(株)さくら銀行相談役

竹内佐和子

長銀総合研究所主席研究員

鶴田卓彦

(株)日本経済新聞社代表取締役社長

得本輝人

日本労働組合総連合会副会長

豊島格

日本貿易振興会理事長

那須翔

東京電力(株)取締役会長

西村清彦

東京大学大学院経済学研究科教授

樋口美雄

慶応義塾大学商学部教授

グレン・S・フクシマ

在日米国商工会議所(ACCJ) 会頭

星野進保

総合研究開発機構理事長

星野昌子

日本国際ボランティアセンター特別顧問

本間正明

大阪大学経済学部長

森地茂

東京大学大学院工学系研究科教授

諸井虔

秩父小野田(株)取締役相談役

山内弘隆

一橋大学商学部助教授

山口光秀

東京証券取引所理事長

吉野直行

慶応義塾大学経済学部教授

米倉誠一郎

一橋大学イノベーション研究センター教授

和田正江

主婦連合会副会長


〔部会長〕まだお見えにならない方もいらっしゃいますけれども、定刻でございますので、ただいまから、第6回の経済主体役割部会を開催させていただきます。

本日は委員の皆様方には、ご多用中のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

経済主体役割部会では、これまで5回の部会を開きまして、委員の皆様には活発なご議論をいただきました。新しい年を迎えまして、この部会のとりまとめまで折り返し点にきたところであろうと思います。本年6月の部会とりまとめに向けまして、本部会の議論の方向を整理しつつ議論を深めていきたいと考えております。今後とも委員の皆様のご協力をぜひお願いいたします。

さて、本日は議題が3つございます。

第1は、昨年12月10日に開催されました「経済審議会総会について」でございます。第2は、「役割発揮のための共通の課題(情報開示と説明責任の徹底)について」でございます。第3は、「自立した主体としての個人の行動(横断的な議論)について」でございます。

まず第1の議題であります「経済審議会総会について」、私から、ご報告を申し上げます。

12月10日の経済審議会総会におきまして、経済主体役割部会の審議経過等についてご報告をさせていただきました。まず、経済主体役割部会の審議経過につきましては、当部会は、昨年7月31日の第1回会合以来5回の審議を行うとともに、3つのワーキンググループを設けて精力的に審議作業を行っている旨を報告した上で、あわせて、各ワーキンググループの審議状況につきましても、簡単にご紹介をいたしました。また、とりまとめに向けた今後の議論の方向性につきまして、私からは、お手元の資料2にありますとおり、現在、構造改革は緒についたばかりであり、当面の緊急課題である金融ビッグバンと預金者保護並びに金融システムの安定・活性化という問題に見られるように、情報開示と市場参加者の自己責任を柱とする透明で公正な市場システムの確立のプロセスにあります。したがいまして、第6回以降の会合におきましては、これまでの部会審議並びにワーキンググループの検討状況を踏まえつつ、官から民へという考えの下で、その具体策の進め方、企業活力を高めるためのシステムのあり方、自立した個人を活かすようなシステムのあり方、市場にも係わりうるようなNPOのあり方といった具体的方策に踏み込んで、必要に応じて更に議論を深めるとともに、各主体間に共通する問題、あるいは相互に関連する問題について横断的な議論を行いながら、本年6月を目途にとりまとめを行う予定である旨ご説明をいたしました。

なお、私からのご説明に対しまして、特別のご意見はございませんでした。

以上でございますが、何かご意見がございますでしょうか。

別段ご意見がなければ、次の議題に移りたいと思います。

第2の議題「役割発揮のための共通の課題(情報開示と説明責任の徹底)について」、事務局より説明をお願いいたします。

〔事務局〕お手元の資料3をご覧いただきたいと思います。資料3は、「情報開示・評価システムに関する論点メモ」がございまして、それに資料が付いております。

ご承知のように、11月に経済構造改革ワーキンググループの報告をとりまとめましたが、その中で、「透明で公正な市場システムの確立」というのが柱に立っておりまして、その1番目に「情報開示の促進」というのを強調しております。情報開示について、これを更に議論を深めていただくためのものとして、ここで論点メモを作ってみたものでございます。

構成は、まず1が「情報開示の必要性」ということで、少し総論的に書いてございまして、2ページの2で、情報開示の必要性についてそれぞれどういうことが具体的に必要かということを、少しブレークダウンしてみております。1と2は、そういう意味で繰り返しになっています。6ページの3で「情報保有者からみた積極的情報発信の必要性と説明責任」というフレーズでまとめております。7ページの4として「監査及び評価システムのあり方」ということで、情報開示と評価、それから説明責任というのがこの「論点メモ」のエッセンスでございます。

1ページですが、そこに書いてございますように、各経済主体が自らに求められる役割を経済社会の中で果たす上で、情報開示すること、評価を受けること、説明責任を果たすことが、これからの経済社会において、各経済主体に共通する市場インフラであるということをまず言っております。それから、その下4行目に「昨今」とございますように、金融システムに対する不安が増幅されたり、些細な情報によって株価が乱高下するといった弊害、これは情報が十分開示されていないためではないかということを強調しております。それから、下の方のパラグラフでは、「近年では」というところで、コンピュータとか通信ネットワークなどハード面での発展に著しいものがあるが、他方ソフトについては、そこに供給される情報そのものについて更に配慮して、開示の充実が必要であるということで、ハードが発展しているのでソフトにも更に強く充実した開示が求められるということを言っております。

その柱書きの下に4つ括弧がございますが、(1)は、市場システムの確立の前提条件としての情報開示が必要であること、大前提であるということを言っております。(2)は、「自己責任でのリスクテイクによる市場活性化のための情報開示」と言っておりますが、そこにございますように、「経済主体が自己責任の下でリスクをとり、リターンを追求できる活力ある市場システムとするために、情報の非対称性、不確実性の減殺、減少が必要となる」ということで、いわば安心して市場に参加できるようにするために何がいるかということでございます。(3)では、ある意味で似たようなことを言っているのですが、「市場における需給のマッチングの円滑化のための情報に関する環境整備」がいるではないかということを言っております。その下の2行目からございますように、「情報マッチングのための情報提供ができる環境整備を進め、情報仲介事業の発展によって需給マッチングのコストが全体として低下すれば、より市場が効率的に機能することとなる」という、マッチングといいますか、出会いを増やすというようなことを言っております。(4)では、「ガバナンスのための情報開示」ということで、外部から適切にチェックされるための情報開示が必要であるということで、ここで4つに分けて書いてございます。

2ページでは、「上記のそれぞれの観点から、いかなる情報開示が必要か」ということで、今の4つの点をもう少し議論を分けて組み立ててみております。(1)では、まず2つに分けておりますが、【1】では、「商品・サービスに関する情報提供」ということで、規制緩和が進み市場への新規参入が自由になると、同じような商品・サービスでも品質や価格面で異なるものの中から、消費者は自己責任で選択をするといった場合に、その商品・サービスの情報が提供されなければならないということであります。そこで、消費者契約法(仮称)を現在、国民生活審議会で検討しておりますので、それについてここで引用しております。

資料の方では、「参考1」の「消費者契約法(仮称)について」で法律の概要などを簡単に付けてございます。

本文の方ですが、【2】で、「証券投資に関する情報開示」という柱立てをしております。こちらの商品としては金融商品について論じているわけですが、金融商品に関する正確な情報が提供されるほかに、特にハイリスク、ハイリターンの投資について、企業の財務内容等そのものが商品内容でタイムリーに開示される必要があるのではないかということでございます。

ここで「提言例1」として太字で書いてございますが、こういった情報開示の問題点について、提言の例として頭出しをしてみたもので、こういったことを中心にまたご議論いただければという意図でございます。ここに書いてございますのは、東京証券取引所において、タイムリーディスクロージャーの手引きというのがございます。これは、ここに書いておりますように、上場会社に対してタイムリーディスクロージャーを求めるわけですが、これが実効性の担保として少し不十分ではないかということで、実効性のある担保が十分できるような検討をすべきではないかという提言をしております。

タイムリーディスクロージャーの「会社情報適時開示の手引き」というのが、資料の方では「参考2」の5ページに付けておきました。5ページにございますように、いくつかの事項についてそれぞれ、タイムリーディスクロージャーを求める項目があるわけでございます。現在は、このタイムリーディスクロージャーにつきましては、上場会社に対する要請の形をとっているということで、その実効性が必ずしも十分担保されていないのではないかという問題意識でございます。

2ページの(2)のところでは、「自己責任でのリスクテイクによる市場活性化のための情報開示」ということで、先ほどご覧いただきました「情報の非対称性(供給者側の情報優位と需給者側の劣位)の補正」について論じております。ここに書いてございますように、「情報の非対称性により市場取引が過小となる場合があって、これを適正に供給することにより、本来あるべき新たなかつ厚みのある市場取引が成立する」ということで、例えば今の株式市場などはこれに当たるのかどうかよくわかりませんが、そうかもしれません。

(例1)としまして、「企業の財務内容や経営方針の開示による株式市場の活性化」として、現行の企業会計制度の検討というのを付けてございます。これは資料の方では6ページ以下の「参考3」、ここでは「時価評価導入を巡る問題」について資料を付けておきました。

今、お手元に「3ページ」というのが配られたと思います。抜けておりまして、恐縮でございます。

3ページの頭のところに「提言例2」がございます。「投資家等が、企業の現況をより正確に把握することを可能とすべく、企業会計制度に時価評価を導入すべきである」というわけであります。例えば、企業が資産運用をしています場合、企業としましては、自らはそのリスク管理などをしているわけですので、時価による運用をしているということになりますが、それがきちんとディスクローズされないと、投資家側と企業側とで情報量が違うということになります。ただ、ちなみに会計で今議論になっていますのは、時価情報のディスクロージャーではなくて、時価会計あるいは時価評価の問題でありまして、時価情報のディスクロージャー自体は、日本でもかなり進んでいるところでございます。

その下に(例2)としまして、格付け機関の役割を書いております。企業の情報開示内容を格付けという投資家にわかりやすい形にして情報提供することは、企業情報開示制度を補完するものとして重要な役割であるということを言っております。

その下の方に、格付けが定着するためには、以下のようなことが必要となるということで、格付機関の中立性とか、格付けの根拠と手法の開示、あるいは情報提供サービスの充実というようなことも必要になるということを少し書いておきました。

格付機関につきましては、資料の方では「参考4」で、7ページに「格付の現状」8~9ページに「日本における主要格付機関の概要」として、日本に指定格付機関は9つあるそうですが、5つの主要格付機関の概要。10ページは「格付符号の定義の例」、11ページは、日米における格付けの分布などの資料を付けておきました。

3ページの【2】ですが、「将来の不確実性を低減する市場インフラとしての情報整備」でございます。ここでは「経済社会の全体としての動向に対する不確実性があまりに高いと、それが投資を阻害する要因となってしまう」ということで、そういう基本的な動向に対する基礎的な情報、これが市場インフラとして整備される必要があるという整理をしております。

それでは何だという話で、2つ例がございまして、1つは、金融機関の不良債権に関するデータなどが、こういった文脈であると考えております。例えば、日本での不良債権情報そのものが信頼されないということでは困るということであります。その下の方の例では、「客観的なマクロ経済の将来展望と政策の基本方向」について、きちんとした情報開示が必要であるということであります。

4ページの上の方ですが、「提言例3」としまして、「将来の不確実性を低減するため、政府は統計に関する詳細データを開示するとともに、その他の重要なマクロ経済情勢についても、積極的に情報収集とその開示を行っていくべきである。」ということを書いてみました。

4ページの(3)は、マッチングの話でございます。ここでは、「商品・不動産等の実物市場」、「労働市場」、「資本市場」の3つに分けております。まず、「商品・不動産等の実物市場」ですが、特に品質に差がある財の場合には、情報は特に必要であるということであります。

ここでは例として2つ、中古市場を取り上げています。ここで言いたいのは、情報仲介業の発展ということが1つのキーワードではなかろうかということであります。そこに書いてございますように、「一括して情報を入手した者が、多数の市場参加者に情報を提供することにより、情報を安く提供することが可能となる。また、情報仲介のコストは情報技術の発展により、全体としてのコストが低下し、情報仲介業の採算も採りやすくなってきている」ということであります。

その下にあります例は、(例1)は、「不動産市場における情報仲介」ということです。その2行目のところに、特に、中古住宅の市場では、取引が活発に行われていないけれども、関連の情報仲介業が発展すれば、一層の活性化が期待できると思われます。それから、(例2)では、「衛星通信を利用した中古車取引仲介業」、日本でもあるのだそうですが、車を買うときに、ディーラーを訪問しないで、テレビの画面で車を見てオファーをする。その中古車なら中古車には鑑定がなされていまして、その情報を衛星通信を利用して仲介ができるといったものでございます。

【2】は、「労働市場」ですが、こちらの方でも、「情報整備が進めば求人、求職のコスト低減がはかられて、より適性にあった職業選択が可能となる」ということであります。

例としましては、有料の職業紹介事業についての規制緩和、ネガティブリスト化などが進んでおります。「今後も」と書いてございますように、さらにこの規制緩和は進められていく予定になっております。

このあたりの資料としましては、資料の方の14ページの「参考6」として「民間の有料職業紹介事業について」、ネガティブリスト化の状況について資料を少し付けておきましたので、ご覧いただければと思います。

5ページの【3】の「資本市場」ですが、こちらの方の出会いの話、マッチングの話は、ベンチャーとベンチャー・キャピタルの間の出会いということで、例としまして、通産省とその関係団体、中小企業事業団などですが、ベンチャープラザというものをやっているということを紹介しております。

もう一つ、日本版ピンクシートの発展が今後期待されるということ。「ピンクシート」というのはアメリカで使われている言葉ですけれども、相対取引をベースにした株式店頭市場が今後、日本でも発展することが期待されると書いてございます。

現実に、未公開ベンチャー企業のインフラとして機能しているVIMEXというマーケットができつつあるということでございます。

そのあたり資料につきましては、資料の方の17ページ、18ページに極めて簡単な表を付けておりますので、後でご覧いただければと思います。

(4)は、「ガバナンスのための情報開示」ということでございます。ガバナンスといいましても、ガバナンスされる相手があるわけですが、【1】では、「政府に対する国民の監視」として、例えば、政府の活動内容について、「政府による個々の財・サービスの提供は本当に必要か」ということなどが監視の対象であるわけですが、これにつきましては情報公開法が現在国会に提出すべく準備中でございます。

こちらにつきましては資料では、資料の方の20ページの「参考9」というところに、行政改革委員会での「情報公開法制の確立に関する意見の骨子」が書かれておりますので、そちらをご覧いただきたいと思います。

その下に(提言例4)がございますが、政府に対する国民の監視の一環として、国民が公的部門の会計についてより監視しやすいものとするため、会計制度の整理といいますか、統一化のようなものが必要ではないか、ということを少し頭出しをしております。国際的にも公会計基準というものの検討が進められているということがございます。

【2】では「企業に対する投資家の監視」、【3】では「NPOに対する資金提供者を含む国民監視」ということを項目として頭出しをしております。

3は、「情報発信の必要性と説明責任」というようにフレーズをまとめておりますが、ここで強調したいのは、そこにございますように、積極的に情報を保有者が提供・開示していくことが自己の利益につながるのだということ。その出す場合に、受け手の立場に立ったわかりやすい情報の提供を行うことが必要であるということ。それから、3の一番下の行ですが、「情報の電子化等情報開示のコストを引き下げるための政策的な工夫が必要である。」ということがエッセンスであろうと思います。

ここでは、「積極的な情報発信」と「アカウンタビリティ」というように括っておりますが、商品・サービス情報については、先ほどの例の繰り返しになりますが、「自己の商品情報を正確に発信しなければ、競争相手に取り残され、市場から淘汰される」という話。それから、技術・特許情報については、「技術・特許情報を積極的に開示し、これらをより多くの企業等の使用に供することにより、こうした情報を基に作られた商品・サービスが普及し」ていくことが「自己の利益にもつながることとなる」と書いております。それから、企業情報については、「自己の企業情報を正確に発信」して「市場での信頼を獲得」するということですので、それを進めるために、「市場インフラとしての企業の格付けや資格等についての統一的な基準整備が有効」であるということになってまいりまして、そこでIR活動、会計基準、ISOといったものが書かれております。

資料の方で、「参考10」の23ページをお開けいただけるとありがたいのですが、23ページの真ん中の線の下の方に、IRとは何かというのが書いてございます。「インベスター・リレーションズは、企業の財務機能とコミュニケーション機能とを統合して行われる『戦略的かつ全社的なマーケティング活動』であり、投資家に対して企業の業績やその将来性に関する正確な姿を提供するものである。そしてその活動は、究極的に企業の資本コストを下げる効果を持つ。」と定義をしております。

具体的に何をやっているかというのは、上の方に棒グラフがございまして、主に会社説明会とか、それをアナリストあるいは機関投資家などにやっている。それ以外にも、アニュアル・レポートなどいろいろやっているわけですが、こういった活動が情報発信として極めて重要であるということかと思います。

(2)で「説明責任」を書いております。(1)の情報発信と同じことを言っているのかもしれませんが、政府等の公的機関は、その必要性について国民に監視されることから、その役割、業務内容、実績について単に情報公開するだけでなく、わかりやすい形での情報提供に努め、評価を受ける必要がある。企業についても同じことだろうと思いますが、そのあたりがエッセンスかと思います。

最後の4ですが、自分で情報発信をしていて「説明責任を果たしているぞ」というだけでは、なかなか客観性に乏しいわけです。監査とか評価システムのあり方についても考える必要があるということであります。

こちらでも、政府、企業と分けてありまして、まず、「政府の監査・評価」については、会計検査あるいは行政監察の制度があるわけですが、2つ目の「・」に書いておりますように、「現行の行政サービスに行政関与は必要か、必要な場合、民営化できるかについては、絶えずチェックを行うためのシステムを構築する必要がある」。これは行政改革委員会の官民分担小委員会で提言されていることを頭出しをしております。

「企業の評価」ですが、こちらでは「監査役の役割が重要になる」ということが1つ。それから、「市場経済においては市場そのものが評価システムとなる」ということであろうかと思います。そこで例として、商品市場による需要による評価、資本市場による資金調達コスト(社債の利回り)による評価、株価の評価、そういった市場そのものが評価システムとなるということを書いております。7ページの「4」全体に、市場による評価という観点から考えるべきであろうと思いますが、象徴的なのは企業の評価であろうかと思います。

(3)では、「NPOの評価」といたしまして、「NPOを国、地方公共団体が、適切に監査、評価を行うことが必要である」ということ、そのための「必要な情報開示を行う必要がある」ということを、NPOについても少し項目として書いてございます。

なお資料の方では、27ページに、先ほど申し上げました「公的部門の評価」ということで、「参考12」として、官民分担小委員会の平成9年11月28日の最終報告を付けております。それから、「参考13」として、先ほど、監査役が重要であると申し上げましたが、32ページの下のところですが、監査役監査の強化について、自民党法務部会商法に関する小委員会で平成9年9月8日に「コーポレート・ガバナンスに関する商法等改正骨子」というのが出ております。これは監査役監査の強化についての提言でございます。1枚めくっていただきまして、33ページでは、日本コーポレート・ガバナンス・フォーラムというところで昨年10月30日に出ております「コーポレート・ガバナンス原則-新しい日本型企業統治を考える-中間報告」ということで、監査役と監査役会の強化についての提言が出ております。こういった資料を添付させていただきました。

以上、駆け足でご紹介いたしましたが、最初に申し上げましたように、情報開示についての議論を深めていただきたいということで、それぞれ対象も政府から企業まで幅広いわけでございますが、そういう点でややばらばらなまとまりになっておりますが、一応こういう整理をしてみましたので、ご議論を深めていただければと思います。

以上でございます。

〔部会長〕どうもありがとうございました。広範な資料を出していただき、ご説明いただきました。

それでは、ただいまご説明のありました「役割発揮のための共通課題(情報開示と説明責任の徹底)について」ご意見を伺いたいと存じますが、本日ご出席予定でしたけれども、急用で金井部会長代理がご欠席になりました。金井さんからメモが届いておりますので、皆様のご意見を伺う前に、金井さんのメモを事務局の方から紹介していただきたいと思います。

〔事務局〕お手元に別紙で、金井部会長代理のご意見をいただいております。2枚にわたっておりまして、この後の2番目の議題にも触れておりますので、あわせて読み上げさせていただきます。

Ⅰ.役割発揮のための共通の課題(情報開示と説明責任の徹底)

1.経済主体の評価も「市場の評価」が基本

市場メカニズムがより働く経済社会においては、経済主体に共通の課題として情報開示が重要であるということは一般的にそのとおりである。しかし、何のために情報開示が必要かといえば、それは各経済主体の行動を評価するシステムを確立するためである。その評価システムの基準は、基本的には「市場による評価」であると考えられる。市場メカニズムは単に商品やサービスについて働くものではない。企業は株式市場で評価されている。各国政府の国債も世界の市場で金利を通して評価されている。また、野球の選手などはその典型だが、労働者や政治家もある意味で労働市場や選挙という形で市場の評価を受けているといえる。

2.市場評価の前提条件は「市場ルールの公正な運営」であり、その情報開示が重要

しかし、日本における「市場による評価」は必ずしも多くの市場で十分に機能してこなかったといえる。その原因は単に一般的な情報開示の問題だけではなく、金融市場に典型的に見られるように、「市場」の運営自体が「フリー・フェアー・グローバル」でなかった点が大きいのではないだろうか。そういう意味で、政府の市場ルールの公正な運営または運用が「市場による評価」の前提条件であり非常に重要であると思う。したがって、情報開示の中で最も重要なものは、税制や規制などの市場ルールとその運営に関わる情報(行政指導など)ではないかと考えられる。

3.経済主体間の情報リテラシーもグローバル化が必要

税制や規制などの市場ルールとその運営に関わる情報については、日本人あるいは関係者しか通じない言葉が使われていたり、また言外の指示、暗示、示唆などで情報が交換されていたりすることがある。行政指導などがその典型ではあるが、日常的にも英語に訳せない言葉や言い回しがなされていることがある。そうした「英語で表現できない日本語は使わない」といったことが、グローバル化を目指す市場システムには必要のように思う。要するに、こうした取り決めなどについては「情報リテラシーのグローバル化」が必要ではないかと考える。これを一般の日常生活にまで適用すると日本の文化の変質を促すことになるが、経済主体間などの公式のコミュニケーションの道具としては、そのグローバル化の必要性は高まっていると思われる。

Ⅱ.自立した主体としての個人の行動(横断的な議論)

本テーマは、日本がより市場メカニズムの働く経済社会に構造改革する場合に、個人はどの程度自己責任原則を受け入れるべきか、あるいはそのための条件は何かということだと思う。

1.投資家という側面で考えると、日本人は十分グローバル化していると思われる。その際、金融商品を選択するに当たって、企業から情報が適切に提供されることが必要であることはそのとおりであると思う。しかし、ここでより重要な要素は市場のルールが透明で厳格に守られていることである。バブルの時に見られたような違法な勧誘やインサイダー取引などが行われたり、アンパイアが公正でないと個人の自己責任に基づく健全な投資は期待できない。そうした制度面や運営面での公正な市場環境の整備・維持に政府がもっと投資をする必要があると考える。

2.労働者という側面で考えると、今後長期勤続を前提とした退職金制度の見直しや年金制度のポータビリティーが高まれば、雇用の流動化は一段と進む。もちろん、同時に一方で魅力的な雇用の創造が必要であることは言うまでもない。能力開発の面で述べると、それらの動きとともに、企業サイドは次第に社内教育から外部教育あるいは教育された人材の採用へと変わって行く。したがって、そうした社会人のために、大学院教育の重要性は格段に増していくと思われる。また、技術革新が一段と激しくなっているエレクトロニクスの分野などでは、最新の技術を習得するためにもその必要性が高まっているという側面もある。このように大学院教育の強化は、国際競争力強化の面でも、個人の雇用面での自己責任に基づく行動を支える面でも重要な意味をもつと考えられる。

3.消費者という側面で考えると、日本人も次第に自己責任の自覚に目覚めつつある。したがって、紛争処理に当たって、社会的費用を考えれば消費者を全般的に保護するような非司法的方法も一考かもしれない。しかし、これからのグローバルな経済社会においては、消費者の意識改革は避けて通れないように思う。グローバルスタンダードに基づくオープンで透明性の高い方法を選択するとすれば、ある程度訴訟社会になっても仕方がないと考える。むしろ、訴訟手続きの簡素化や時間短縮、費用引下げなどの司法改革を推し進めるべきである。

以上でございます。

〔部会長〕どうもありがとうございました。

議題の経済主体の「役割発揮のための共通課題(情報開示と説明責任の徹底)について」、どうぞ自由にご意見をお願いいたします。

〔A委員〕この部会には欠席ばかりで大変申しわけないです。欠席しているので、ちょっと全体の構造がわからないままに発言するかもしれませんが、それはお許し願えればと思います。

私が情報開示の問題を聞いておりまして気になりましたのは、情報の問題を、1つは、時代の流れとの係わりでどのように考えるのかという大きな視点がちょっと弱いのではないか。もう一つは、自己責任を強調されるのは大変結構ですけれども、精神論ではだめなので、もう少し仕組みづくりという視点からお考えいただけないだろうかということで、2つ、3つお話しをさせていただければと思います。

1つは、時代としてみたときに、恐らく、戦後の日本というのは情報の問題も、政府といいますか官がコントロールしていたと思うのですけれども、それがだめになった理由は、自己責任とか市場の問題とか国際化ということも1つですけれども、もう一つは情報化の問題というのがあって、情報化によって情報の量が非常に増えてきた。それを官がコントロールするというのはもう無理で、むしろ民間同士がいろいろな形でチェック・アンド・バランスという形で情報をコントロールするということをしないと、情報を持っている人が、自分の情報を自分のために使うという、ある種の非対称的なといいますか、情報をテコにしていろいろなアドバンテージをとろうとする、そういう問題が起きるのではないか。いわゆるマーケットで情報をきちんと開示させないと問題が起きてくるというところにつながっているということを、もう少し強調してもいいのではないかというのが1点です。

そういう意味で言うと、このメモでの情報の取扱いというのは、何かはっきり仕分けがされていないという印象でございまして、何が一番言いたいかというと、情報には、例えばマッチングの促進とか、中古マーケットなどというのは典型ですけれども、そういう種類のいわば情報を持っている人と持っていない人にとって、情報提供することがお互いに得になるという種類の情報の提供の問題と、それから金融の財務情報などは典型ですけれども、情報を持っている人は本当は出したくない、でも、情報を持っていない人は知りたい、という情報の非対称性がある。したがって、そのインセンティブはお互いに全然合っていない。要するに、反対方向に働くというケースと、2つあって、前者は、ある意味でほっといてもお互いが情報を出したいというインセンティブがあるわけですから、そんなに大きな問題はないのではないかと思います。むしろ問題は後者の方であって、それをどのようにコントロールしていくのかということが問題ではないか、というのがまず1点です。

そういう意味で、情報のいわば非対称性があって、しかも、情報を持っている人は本当は出したくないと思っているというような情報を出させるためにはどうしたらいいかというと、私が思うのは、一番重要なのは情報を持っていない人にとっては情報を知りたいわけですけれども、自分が持っていない情報について相手がどういう情報を持っているかがわからない、あるいはその情報をあげますと言われてもらった情報が本当に正しいかどうかわからない。そこに非常に大きな問題があるわけです。ですから、そこをいわばある種のインフラストラクチュアといいますか、仕組みとして正しい情報が出やすい環境を整えることが大事ではなかろうかと思います。

そういう意味で1つのやり方が、例えば、時価情報という会計の仕組みとか、そういうようなところでよく言われる話ですが、情報を持っている人はどういう情報を持っていなくてはいけないのかということをきちんとルール化するということ、それがまず1点。それから、できれば、その情報をできだけ公開しなさい。これは情報開示と言われているところだと思います。とりわけ、どういう情報を持っていなければいけないかということをきちんとしておかないと、情報を持っていない人は、そもそもこういう情報をくださいということさえ言えない。つまり言い換えると、例えば、官と民の行政指導の問題などというのは一番典型ですけれども、きちんと行政側がどういう情報を持つべきかというルール化をしていないというのが、今の日本の一番大きな問題であって、そういう統一ルールを定めてないから、例えば、どこかのお役所に行ってこういう情報をくださいと言っても、お役所の方は「そんな情報はありませんよ」。それに対して国民の側は何も言えないということになってしまう。それは単にアカウンタビリティをあれしましょうとか、国民の意識を変えましょうとかという問題ではなくて、官がどういう情報を持っていなくてはいけないかということをきちんとあらかじめ定めておくことによって、同時に、国民といいますか情報を持っていない側に、情報を請求する権利を与えることによって、情報が出てくるような仕組みが生まれるのではないかと思います。

なぜそういうことをしつこく言っているかというと、先ほどお話がありました、「参考12」の官民分担小委員会、そこでとりわけ官がやるべき仕事ということの一番大きな問題として、行政が説明責任を果たすための一連の手続きに関するルール化というのを、この小委員会で提言したのですけれども、そこのところをルール化するということが、多分そういう意味での情報の非対称性をなくす最大のやり方ではないかということで申し上げているわけです。

長くなりますので簡単にお話ししますが、もう一つ重要なのが、格付機関であるとか評価機関というものが、今後は民間側のそういう機関がたくさん出てくると思うのですが、そういう機関の機能を高めることが非常に重要だろう。ただ、現状の日本を見ていると、例えば、今の日本の金融システムにおける会計事務所の役割というのを見ると一番明らかだと思うのですが、会計事務所がきちんと情報を評価して、それを公開しているかというと、それもよくわからないわけです。なぜかというと、やはりさっきの情報の非対称性であって、国民は情報を持っていないので、格付機関とか会計事務所が「この情報は正しいですよ」と言われたら、それを受け入れるしかない。そういうような仕組みが今は機能しているのではないか。

そこをきちんとさせるためには、1つは、そういう評価機関が、例えば間違った情報を供与したり、つまり情報の評価に誤りをしたときに、きちんとした損害賠償義務を負うということがないと、つまり司法的にかなりきちんとした責任と罰というものがないと、会計事務所としては正しい情報の評価をしようというインセンティブを持たないのではないか。逆にもう一つの問題としては、そういうネガティブな側面だけでなくてポジティブな側面としては、つまり彼らのポジティブなインセンティブを彼らに与えるためには、会計事務所の間の競争あるいは評価機関の間の競争、健全な競争というものをもう少し促進する。そういうことによってより正しい評価をした、例えば事務所の方に需要が集まって、それだけ利益があがるというような仕組みにする。典型的には、会計事務所間のある種のカルテルといいますか、競争が十分機能していないところを、公正取引委員会とかそういう種類のところがもう少しきちんと評価するというようなことを考えるべきではないかと思います。

いずれにしても、お伺いしていると、もう少し物事を体系立ててお考えいただいた方が国民にはわかりやすいのではないかという、大変失礼な言い方かもしれませんが、そういう印象をもちました。

〔部会長〕どうもありがとうございました。どうぞ、続けてお願いいたします。

Bさん、何かありますか。

〔B委員〕別にありませんけれども、ただ、ガバナンスを離れて、1つの問題としては、政府の情報開示という問題があったのですけれども、非常に具体的な話ですけれども、専門家の間では、日本の予算プロセスに関する情報開示が非常に悪いという評判があるのですが、政府の予算のプロセス、一般会計それから財投の予算も含めて、これを誰でもわかるような形に透明化するという作業がこれから必要になってくるのではないかというような気がします。1つ、具体的な提案としてさせていただきたいと思います。

〔C委員〕「論点メモ」の中で1つの視点としてご提案をしたいのですが、公的規制と情報公開の問題というのがあると思います。いくつかのところに類似したような例があるわけですけれども、もう少し明確に公的規制と情報公開の問題を取り上げたらいいのではないかと思います。

例えば、先ほどの市場における需給マッチングで、レモン原則といいますか、情報がないときに正しい選択が行われないということがあるわけですけれども、公的規制の中でも社会的規制とか技術的規制というものがあって、特に、私自身は非常に興味をもっています運輸・交通の分野ですと安全規制というのがありますが、具体的な例を言いますと、運輸安全規制について技術的にどのような規制を行うかということと、それから市場における選択というのは、例えば、運輸における技術的安全的なパーフォーマンスを公開するということで、市場の需給のマッチングといいますか、正しい選択が可能になる。そういう側面があるわけです。逆に言いますと、そのことによって技術的規制のあり方がまた変化するということがあります。そういった面での規制との関係が1つ考えられます。

もう一つは、経済の分野の中に価格規制がまだ行われている分野がかなりありまして、価格規制についての情報公開というのも重要なポイントかと思います。私自身は、価格規制についての情報公開について、若干関係をさせていただいております。これは企画庁の中でやられておりますので、そういったところもこの中に取り込んでいただければと思います。

それから、今のご意見に近いのですが、政府の予算執行、特に公共事業における意思決定プロセスの情報公開の問題というのは、少し取り上げてもいいのかなと思います。政府についての情報公開について、監査・評価制度ということが7ページの方に挙がっておりますが、公共事業等についてかなり大きな議論があるところですので、具体的な例で取り上げてはいかがかというふうに思います。

以上でございます。

〔部会長〕政府関係の情報公開、特に公共事業の問題、企画庁所管ではございませんが、何か事務局の方でありますか。なければ、ご意見として承っておきます。

〔D委員〕私も、これはおっしゃられるとおりで、あまり意見が言いようがないなと初め思ったのですが、Aさんが言われるように、全体ではこうでしょうというのは、本当にそうなのですけれども、ではどうやってという視点が欠けていると思うのです。

例えば、5ページ目の「ベンチャー企業とベンチャー・キャピタルの間で、取引のマッチングを図る情報が不足している」というのは、私はそうではなくて、システム的にもう破綻しているのだと思うのです。例えば、ベンチャープラザをやっている人間は、地方銀行の人と地方公務員です。私が知る限り、私の卒業生・友人を含めて、地方公務員と地銀に行った人間が最も企業家精神の少ない人間で、彼らがベンチャー・ビジネスをみる目をもっていないのに、彼らに任せている。そういうシステムづくりが全然できていないということ。それから、ベンチャー・キャピタリスト、あるいはその裏にある仕組みというと、本格的なインセンティブがないので、自分も一緒になって情報を提供しながら、あるいはホーム知識とか、そういうものを提供しながらベンチャー・ビジネスを育てるというベンチャー・キャピタリストができる仕組みもないのです。そういう仕組みがないところに大量の国家資金を投入して、ほとんど何の役にも立たないベンチャー・キャピタルになっている。そういうところに手をつけないで、情報が不足していますからもっと出しましょうと言っても、本質的な解決にならないのではないか。

だから、もう少し実態を見て、日本の開業率、創業率は廃業率を下回っていますから、かなり深刻な状況だと思うのです。そういう中で、どうやって新しい産業をつくるかという踏み込んだ設定をしていかないと、情報開示という段階ではないような気がする、ということをちょっと付け加えたいと思います。

〔部会長〕どうもありがとうございました。それに関連して、私は、科学技術会議にも言ったことがあるのですけれども、日本はベンチャー・ビジネス、ベンチャー・キャピタルと言うとすぐ間に通産省が入るとかという話があるのですが、アメリカなどの場合ですと、例えば、カリフォルニア大学でやるとか、スタンフォード大学でやるとかそれぞれ大学内に、そういうシステムが外のベンチャー・キャピタルと結び付けるとかという、きっちりとしたシステムが民間ででき上がっているところがありますので、日本でもそういうことが非常に重要ではないかと考えております。慶応大学とか、それぞれの新しい行き方が非常に参考になると思っております。これは私の私見でございます。

ほかにいかがでございますか。

〔E委員〕2点お願いいたします。1つは、1ページの1の(3)ですけれども、「市場における需給のマッチングの円滑化」、先物取引市場というのは元来そういう性質を持っているわけです。先物取引は、理論的には将来の価格発見と価格変動リスクを管理する、また移転するという機能をもっているわけですけれども、日本では、どうもこの先物取引の位置づけがきちんとできていないということがあります。実態面でいろいろと問題があるようですけれども、これからはマーケット・オリエンテッドの経済になるというときに、将来の価格を発見するという先物市場というものについて、1つの位置づけをすることが必要ではないかと感じる点が1つです。

もう一つは、2ページ目に入りますけれども、ディスクロージャーの問題で財務内容のディスクロージャー。タイムリーなディスクロージャーもさることながら、財務内容とは何かということになりますと、従来はBSとかPLとかいったものが中心である。ただ、最近の企業倒産などを見ておりますと、キャッシュフローの問題が非常に大きなポジションを占めているわけです。したがって、これから企業内容、財務内容という場合には、キャッシュフローというものを入れるぐらいの、今までと違ってキャッシュフローも当然重要な要素として開示されるというところまで踏み込んでいくことが必要ではないかと考えております。

〔F委員〕情報開示の問題に関しては、私は、日ごろ仕事で日本とアメリカを比べて、いかに違うかということを毎日感じています。それで3点ほど申し上げたいと思います。

1点目は、先ほどA先生も、D先生もおっしゃったと思いますけれども、情報開示というのはインセンティブというのが大変重要な要素です。情報を持っている側が、なぜそれを開示するかというと、何らかのインセンティブがあるからだと思うのです。ですから、ルール化するのも結構ですけれども、私は、具体的なインセンティブを仕組みとして組み込まなければ、いつまでたっても情勢は変わらないのではないかと思います。

ですから、具体的に申しますと、情報を開示しなければ罰則があるとか、何かそういう明らかな、はっきりした形のインセンティブを作らなければ、あまりその状態は変わらないのではないかと思います。

この報告書そのものは大変よく整理はされているのですけれども、情報開示を実現するための具体的な手段あるいは措置ということに関して、提案が少なかったのではないかと思います。

2点目は、金井さんのメモの最後に、消費者の側からのコメントで、訴訟社会になっても仕方がないということが書いてありますが、これは消費者側だけでなく、企業も、あるいは労働者でも、全体に情報にアクセスするためには法律制度の枠組みというか、仕組みそのものを作らなければ変化は期待できないと思います。特に、苦情や争いがあった場合、それをどう処理するか、どう解決するかという、そういう仕組みが必要ではないかと思います。

3点目としては、これは具体的な提案なのですが、3、4年ほど前に、日本では行政手続法という法律が作られました。それによって一応名目上は行政指導を減らすとか、あるいは役所の責任や監督領域を明確にするという試みでできた法律だと聞いています。しかし私が聞いている限り、少なくとも日本の学者とか日本の企業の話では、実際にそれほど効果がないということです。

私は、最近、ある日本の学者に、過去の3、4年の間の行政手続法の実施に関する分析研究報告書があるのか、どういう事例があって、どういう面で法律が目指していたことがなぜ達成されなかったかということ。言い換えますと、もしその目的を達成していないとすれば、どのようにその法律を改善し、強化し、実現するか。そういう点について検討あるいは研究はあるのかと聞いたときに、その学者は、行政学の先生だったのですけれども、そういう研究はないと、おっしゃったのです。ぜひ、行政手続法の過去3、4年の実施に関する首・闔臂攜Φ罎鬚・蠅い靴燭い隼廚い泙后・・鹿霈w)腫徐ぢ〔部会長〕どうもありがとうございました。今のご提案、できる限りデータがあれば揃えるようにしたいと思います。

ほかにいかがでございますか。

〔G委員〕今までいろいろご意見があったことはもっともだと思うのですが、実は、この部会で、例えばPFIの議論をやりました。そのときに、日本でもしそういうことをやるとすると一体情報公開をどういう恰好でやるかということが大変重要だということを申し上げたのですが、今、各先生方のご指摘のように、情報の話というのは社会全般あらゆることがありますから、どこまで具体化して提案するか、あるいは議論するかというのは、ある程度限らなければいけない。そこで、少なくとも、ここの部会で提案する、今までの議論したことに関わる話、例えば、C先生がおっしゃった規制の話とか、PFIの話とか、そういうことに関わる情報の話は、少なくともきちっと具体的な制度だとか、あるいはそのやり方まで含めて、まとめる必要があるかと思います。そうでないと、今回はこの議論をしました、今回はこの議論をしましたというのがばらばらにあって、一体この部会で議論したことは何なのかというのが外から見ると大変奇妙なアウトプットになるのではないか、そんな気がいたします。

〔部会長〕どうもありがとうございました。まとめるに当たっては、その辺は非常に注意して、焦点がぼけないようにしたいと思います。

H委員、何かございますか。

〔H委員〕今までの先生方のご意見は、ほとんど私も賛成でございまして、特段にはないのですけれども、言っても無駄かなと思ったものですから発言しなかったのですけれども。

〔部会長〕そうおっしゃらずに、どうぞ。

〔H委員〕というのは、自分自身の経験からですが、終わりの方に会計検査と行政事務の内容のチェック、行政監察のことが書いてありますが、これは今ばらばらにやっているわけです。先ほど、どなたかが、公共投資の配分問題はどういうプロセスだろうかとか、それがどうやって執行され、監査されていくかということが明示的ではないということを言われたのですが、実は、国のシステム自体が会計検査と行政監察が一体化していると、かなりよくわかる。つまり、会計監査の方は、今さら釈迦に説法でございますが、予算に計上されたものについて国損が発生したかどうか。だから、最初予定されたコンクリートの厚さのとおりにあるのかどうかということであって、どこに道路が引かれると車の流れがどのくらいうまく処理できたかという、そういうことはやらないのです。ところが、片一方の行政監察はそういうことをやるわけです。したがって、そこはお金と文学とがばらばらになっているわけでありまして、そこをもっとやらないとうまくいかないのではないか。

政治的には、アメリカのGAOみたいなことで、そういうものを作ったらどうかとか、いろいろな意見が出たわけですけれども、結局はここは非常に難しい話でありまして、なかなかうまくいかないのですが、こういう変革の時期でございますから、ひとつ総務庁と会計監査院がこの際よくご相談いただいて、一歩でも前進できるような方法をとっていただくと、予算、会計、それから行政実施というのが三位一体になって、より透明性をもつし、恐らく研究者たちにとっても分析対象になれるようなことになるのではないか、という気がするわけであります。ただ、大変難しい問題であろうと思いますが、行政改革をやっている最中でございますから、こういう本当の基礎的なところをうまくやっていただければ、恐らく、民間部門を云々するよりは、政府部門の方をまず「隗より始めよ」ということが大事ではないかという気がしたわけであります。

多分実現しないと思うので、非常に悲観的なのでございます。

〔部会長〕考え方はいろいろある。そういうことを検討もしているという話は、私は聞いております。

〔A委員〕私、その官民分担小委員会のメンバーだったものですから、今のH先生のご意見も含めて、私の印象を一言だけ申し上げたいのです。

おっしゃるとおり、行政監察と会計監査は非常に大事だと思うのですが、私の印象は、行政監察も会計監査も両方ともが、基本的に法律であるとか規則であるとか、そういう物事に書いたものに合っているかどうかということだけをチェックして、実体は何もチェックしないというところに基本的な問題があって、むしろ最大の問題は、さっきPFIとおっしゃいましたけれども、例えば、公共事業なら公共事業に関してきちんと事前の評価をして、そのときに集めたデータをきちんと外に出す。国民がそれをチェックをして、形式的にそれが合っているかどうかではなくて、中身として本当にやっていることに意味があるかどうかということを、国民がチェックできるような仕組みを作るということが一番大事だというのを、1つ申し上げたい。

もう一つ申し上げたいことは、公共事業に関しては、実は私が理解している限りでは、建設省と運輸省が今年度ぐらいから統一ルールを作ろうという方向の動きは始めていまして、それが本当にいいものになるかどうかはわかりませんが、方向としては一応そういう方向で動き始めてはいます。むしろ私が官民分担小委員会でつくづく思ったことは、公共事業も非常に大事だけれども、それ以外に行政がやっているさまざまな活動があって、行政指導などは1つの典型ですし、法律の立案なども1つですけれども、そういうものを国民の側がチェックしようとしたときに、公共事業は一応統一ルールがあって費用効果分析で縛ることが、多分これからできてくると思いますけれども、それ以外の部分に関してどうやって縛れるのか。特に、国民の側が、何か情報を出せと言ったときに、どういう情報を彼らが出す責任をもつというような仕組み、それが今の段階ではないわけです。それを出させるためには、少なくとも、こういう情報は彼らは持っていなくてはいけないという、ある種の非常に大きな統一ルール、法律を作っておかないと、我々としては、情報を出せと言っても、全く有効性がない。これはH委員がおっしゃった以上に、「そんなことができるのかい」というふうに私も思いますけれども、これからの行政改革を考えるためには、そこは非常に重要になるのではないかと個人的には思っております。

〔I委員〕断片的になって恐縮ですけれども、企業の情報開示につきまして、3点ほど申し上げてみたいと思います。

1つは、今日のご説明の中で、格付機関の役割はこれからますます重要になる、そういう指摘があるのですけれども、まさにそのとおりだと思うのです。私も、「参考資料」の中に記載されている格付機関の端くれの方にちょっと顔を出しているのですけれども、もう10年以上関与しているのですけれども、最大の問題は、発行者も、投資家も、格付けの内容についてそれほど興味をもたないというか、関心をもたないということです。アメリカの、この資料にも出ておりますムーディ-ズとか、そういうところは企業から依頼がなくても勝手に格付けするわけです。どんどん格付けして、最近それがマーケットでいろいろ問題になっているようなケースもありますけれども、原則は企業からの依頼で格付けをするということでやっているのですけれども、日本の場合は、格付けをしても発行者は、例えば、社債を出す場合は金融機関と相対で交渉して、発行条件その他を決めてしまうわけです。格付けが重要な意味をもたない。それから投資家も、どの程度これを理解して、格付けの内容を見て投資行動をとるか、その辺はよくわからないですけれども、まだまだ発行者、発行者というか企業の方ですね、それから投資家ともにこれへの関心が非常に低いということ、これが大きな問題ではないかと思うのです。

ですから、これをどうやって企業それから投資家の関心を高めるように仕向けていくかということが、1つ大きな課題になってくるのではないかという気がいたします。

第2点は、今日のメモにもありますけれども、自民党も商法改正という考え方で、コーポレート・ガバナンスという視点から監査役会の強化ということを盛んにうたっているのですけれども、これは非常に難しいと思うのです。監査役というのは取締役会が、取締役会といっても社長が実質的に監査役を任命するような形になっているわけです。監査役に任命されますと、何年間はぷらっと遊んで食べていられるということで、皆さん喜んでなってくるわけですから、会社の批判なんかしませんよ。下手に批判なんかしたら、すぐに首になっちゃいます。法律で保護されていますから、今は3年なら3年という任期がありますから、任期中は保護されますけれども、それが終わったらすぐ放り出されちゃうということです。だから、監査役の地位をどうするか。

まず任命をどうするかということを考えなければいけないし、任命した後、どういう仕事を監査役に託するかというのは、これまたなかなか難しいことではないかと思います。

自民党が、監査役の任期を3年を4年にするという案を出しているそうですけれども、そうなると、2年ぐらいたったら2人ずつ年功序列的に処遇して卒業ということで、お互いにハッピーですけれども、1人で4年もやられると今度は、なりそこなっちゃう人がいる。これが現実の問題です。

私も、監査役会に権威をもたせるのがいいのではないかという気はしますけれども、どうやってそれを実現するかというのは、これまた非常に難しいのではないか。それでは、取締役の上に立てるかといったら、執行部の上に監査役会があるというのもおかしな話だと思うのです。そこのところは研究課題ではないかという気がします。

第3点は、これも今日いろいろ指摘されていますけれども、IRです。IR協議会というのが資料の後に出てまいりますが、私もそこに多少関与しているのですけれども、今、 300社近くがIRに日本のトップ企業が参加くださって、大変豪華なメンバーが集まっているのですけれども、ただ、理事会を開いても、社長が正規のメンバーなのですが、ほとんど社長は来ないです。大体、広報担当の部長とかが来ている。だから、あまり具体的な実のある議論などはいつもできないで終わってしまうというのが現実だと思うのです。IRの重要性というのは、皆さんはご承知だと思うのですけれども、企業のトップはあまり今のところ、大変失礼ですけれども、熱心ではないです。そういう意味では、日本のIR活動というのは、アメリカとかヨーロッパに比べますと後進性が残っている。遅れている。 これも企業の経営者のトップの意識の問題だと思うのです。投資家のためにIR活動というのを積極的にやらなければだめだ、企業の情報開示が大事だと本気になる、何社かそういう会社もありますけれども、大体だめです。

株式というのは、大体が株式課に任せて、あとは証券会社に任せておけばいいやという調子でやっていて、自分の会社の株価というものを投資家に評価してもらって、投資家がどんどんその企業に投資する、そういう仕組み方をしようという意識が非常に低いということです。

彼らすべてに共通しているのは、そういう問題についての意識が非常に低いということです。これは行政の問題でも何でもないです。行政がどうのこうの、税制の問題でもない。これはみんながそれに目覚めて、今は株価もこういう事件がいろいろ起こっていますから今度はそういったものに目覚めて、本当にマーケットメカニズムが働くような、そういう仕組みをみんなで考えようということで努力が行われるかもしれませんけれども、そういう方向に自らが進んでいかない限りはどうにもならない。非常に悲観的なことを言うようですけれども。

むしろ、そういうPRというか、そういう指導というのは、政府が指導する必要はないのですけれども、何かやる必要があるのではないか。民間の団体でもいいのです。経団連とかいろいろな団体がありますけれども、そこでもあまり熱心ではない。民間の経済関係の団体もそういうものには熱心ではないので、大変困ったものだと思って、私、嘆いているのです。

妙なことを申し上げて大変失礼をいたしました。以上でございます。

〔部会長〕どうもありがとうございました。私も、20年来、格付機関には関与してきている立場として、どうも舶来思想がマーケットにまだあるものですから、ムーディーズの影響力がわりあいにあるということはありますけれども、恐らくこれからは、この2つの格付機関は合併してスタートすることになりますので、すごくいいものができるということで非常に期待をしておりますので、I委員よろしくお願いいたします。

IRの関係も、僕自身の経験からいくと、日本の会社はわりあい海外におけるインフォメーションミーティングというのは非常によくやるのですけれども、日本においては、商法改正以来、大株主会ができなくなってしまったということで、国内の投資家なり、あるいは潜在的な投資家を含めてのIRが非常に欠けていると思いますので、私の所属しているところは、企業経営委員会で今一生懸命やっております。どうぞご理解をお願いしたいと思います。

最後に、Jさんいかがでございますか、その問題に関して。

〔J委員〕こんな話もいつかは申し上げなければと思って、まだよく考えていないのですが、官は民との役割というときに、ここに官の方がたくさんいらっしゃるから教えてくださる方がいらっしゃるとも思いまして申し上げるのですが、官と民とがどうだというのは、法律で本来は決まっているべきですね。ところが、その法律が決まっている部分もあるけれども、決まっていない部分があると、全部何が官と民の関係になるかというときに、官に伺うと、各省の設置法というのがある。設置法のどこに書いてあるかというと、細かい字で、私などは眼鏡を外して天眼鏡で見ないと出ないように、細かく書いてあるわけです。官と官との縄張りを書くのならいくら細かくてもいいけれども、あれが全部官と民との、俺のところにこれは責任があるのだと言われる、それを民に示すのなら、もっと本来の法律で決めるべき。あれは縄張りを書いたものにしかすぎないのではないか。

今、日本の国で官との関係が書いてないのは新聞だけだという。放送はあるのだそうです、同じ報道でも、官の方の監督権が。新聞は全くないというのですが、本当かうそか知らないけれども、昔、紙の統制のときはあったのです。つまり、各省設置法を見ても、新聞のことはどうするかということは書いてないそうです。というぐらいに、民は官の枠に全部重なってしまっているという学説があり、それが信じられているのだけれども、果たしてそういう形でいいのかどうか。

官民の役割ということを言うときに、どうもそういうことから一度きちっと考えていくべきではないか。民に、各省設置法をよく勉強しておけというのは無茶な話です。

そういう不思議さというのが、ちょっと残りすぎているのではないか、官と民と、そして主体の役割などと言うときに。そういうことを一度ご質問しておこうと。

私もどうしたらいいかわからないけれども、官と民の関係なら、例えば、財団法人を作るのなら、どこかに許可を得なければならないという制度があるなら、それはそれでいいです。しかし、それが何省へ行ってどうなるかというと、今度は、共管がいいのか、専管がいいのかということになると、民の方では勝手に決められないわけです。これは何々省にお願いしてやってもらいたいと思っても、共管にするのしないのという話になる。

そういうような非常に複雑な関係が、設置法なるもので置かれているという制度、システムが本当にいいのかどうか。こういう問題を考えるときに、一ぺん、玄人の方の説明を伺いたいと私は思っていたのですが、どのようなものでございましょうか。

〔部会長〕もし今できれば、そうでなければ、検討課題として次回にご説明するということでよろしいですか。今即答できる方がいらっしゃいますか。

〔事務局〕今、部会長がおっしゃいましたように、宿題にさせていただければと思います。

今、J委員がおっしゃったのでは、経済企画庁、私どもにお伺いになるのはちょっと違うのではないかなという気もいたしますけれども、私どもが相手にしておりますのは、マクロ経済というような相手が幽霊みたいなものでございますので、具体的な業界動向ということではないので、私どもが具体的に設置法で何をするということは恐らくないのだと思います。

それで、ほかのところも恐らく特別の業法をもっていてやっているところが、例えば行政指導を設置法に「何々に関すること」ということでやっているという面があるのはそのとおりだろうと思いますが、通産省などは規制の具体的なのがだんだんなくなってきているので、設置法に基づいて行政指導でというのはもうかなり少なくなっている。業法でいろいろな価格とか設備とかの規制をもっているところがやっている部分の方が、私、個人的な印象としては多いのではないかと思いますが、そこのところは宿題としていただいて、勉強させていただきます。

〔J委員〕宿題を出すほど大事なことかどうかということも考えながら、さっき行政手続法というお話もあったり、今のIさんのお話などもあって、せっかく役割部会までお持ちになったところで問題提起のときに、そういったこともちょっと入れておいていただいてもいいかなと思っているだけです。あまり時間をかけるのも、また審議日程もあるでしょうから、お任せいたします。

〔部会長〕わかりました。どうもありがとうございました。

まだ、いろいろこの問題はご議論があろうかと思いますけれども、時間の関係もございますので、第2の議題につきましては、ここまでとさせていただいて、またご議論がございましたら、事務局の方へ意見書を出していただきたいと思います。

それでは、次に、第3の議題として「自立した主体としての個人の行動について」、事務局から説明をお願いいたします。

〔事務局〕それでは、個人部門の課題につきまして、資料4ー1と資料4ー2の2つの資料がございます。資料4ー1は3ページ紙のもの、資料4ー2はかなり厚いものとなっておりますが、簡単にご紹介させていただきたいと思います。

資料4ー1、2で、「6つの改革」が目指す新しい経済社会における個人のあり方としましては、ここに書いてございますように、

【1】個性が尊重され、その能力が生かされる環境の下で、自己責任により多様な選択を行うことのできる自立した主体となること、

【2】自立した個人が人々の繋がりのなかで連帯し、多様な役割をもって社会に参加すること、

が基本ではないかと考えております。

そのために、「こうした新しい個人を実現するための経済社会システム」を、どのように構築していくかということですけれども、これまでも規制緩和の論議ですとかPL法等の議論によりまして、いくつか審議会等が行われてきたところでありますので、いまだ議論が十分に尽くされていないと思われるところにつきまして今回、論点を3つ準備させていただきましたので、ご審議いただければと思います。

詳細は、資料4ー2でご紹介させていただきたいと思いますが、論点そのものにつきましては、資料4ー1の2ページ目の2行目に○がございまして、1つ目の論点が「市場において積極的なプレーヤーとなるためのシステム」でございます。2つ目の論点が、下から3行目に○がございまして、「個人の職業能力開発の支援とその発揮を可能とするシステム」でございます。3つ目の論点が、3ページ目の一番下の○でございまして、「個人の意欲、善意が活かせるシステム」でございます。この3つのシステムについてご議論いただければと思います。

それでは、資料4ー2につきましてご紹介させていただきます。

1ページ、2ページ、3ページ目につきましては、先ほどの情報開示の方の議論の中にもございましたが、現在審議されております消費者契約法(仮称)の話ですとかPL法につきましての概要でございますので、参考にご覧いただければと思います。

4ページ目ですが、先ほど申しました論点の第1としまして、市場における積極的なプレーヤーとなるためのシステムについてどのように考えるかということでございます。その第1としては、「個人の金融資産運用等と豊かな生活のための支援システム」についてでございます。4ページ、5ページに表がございますが、我が国の個人金融資産は着実に増加し、1996年末においては1200兆円ということで、1980年末の約 3.5倍ということでございます。その構成は、5ページの上の方の円グラフにございますが、預金等が大宗を占めており、個人の金融市場における利便性を向上させ、その金融資産に関し、より多様かつ有利な運用機会の拡大を図る観点から、現在、金融システム改革が進められているところでございます。

個人がその金融資産を適切に運用するためには、自己責任原則の確立が前提となりますが、投資対象が多様化していくなか、個人が投資に関する総合判断を行うため、アナリスト、ファイナンシャル・プランナー等による客観的でわかりやすい投資情報の提供が重要となります。

我が国におきましても、アナリスト、ファイナンシャル・プランナーは増加しておりますが、その存在はまだまだ一般に広く周知されているとは言い難く、アメリカにおけるように、投資、保険、税務等幅広い金融情報サービスや財務コンサルティングを行っている状況に比べると対照的でございます。

この中身につきましては6ページ以降に整理しておりますので、これを見ていただければと思います。

6ページですが、先ほど申しましたように、若干言葉のご説明になるかもしれませんが、アナリストの役割につきましては、この四角の中に書いてございますけれども、「専門的な立場から証券投資に関する諸情報の分析・評価を継続的に行い、投資家に合理的な判断の基礎材料を提供する」ということでございます。

これの日米比較をしたものが下の方の「・」にございます。3つ目の「・」を見ていただきますと、アメリカについて若干述べておりますが、アメリカのアナリストについてみますと、証券市場のめざましい拡大、特に機関投資家の急成長を誘因として大きく発展し、独立の知的専門職として社会的地位を確立しております。米国の証券アナリストはプロフェッショナルとしての意識が強く、その判断や行動は公正、独立的であり、そのことが投資社会におけるアナリストの権威の背景となっているといわれております。特に、ファンド・マネージャー、投資助言などの領域での活動が顕著であるといわれております。

最後のパラグラフですが、アメリカにおけるアナリストに対する評価につきましては、アンケート調査方式のアナリスト・ランキングが毎年発表されているほか、ファンド・マネージャー等に対してはファンドの運用実績等の形での評価が定着しているという現状でございます。

7ページ目が、「ファイナンシャル・プランナーの役割」ということで、これにつきましても四角の中に述べておりますが、「顧客の収入や支出、資産、負債等に関するあらゆるデータを集め、それを分析して必要に応じて弁護士、公認会計士等の専門家の協力を得ながら貯蓄、投資方針、保険、税金対策などの包括的な生活プランを企画立案してそれを実行していくための手助けを行う専門家」ということで、アメリカのファイナンシャル・プランナーにつきましては広く認知されておりまして、その活動は個人の金融資産運用に密接に関わっている一方、我が国のファイナンシャル・プランナーについては認知度は低くその活動の幅も制限されているというのが現状でございます。

下段の方にファイナンシャル・プランナーの日米比較がございます。3つ目の「・」にありますように、比較いたしますと、日本のファイナンシャル・プランナーは銀行・証券・生損保等の金融機関の企業内ファイナンシャル・プランナーであり、米国につきましては3分の2が専門会社及び会計事務所等に所属する独立系のプランナーであるといわれております。

また、実際の活動状況につきましては、4つ目の「・」、5つ目の「・」等に書いてございます。

8ページ目が、我が国の投資信託の純資産額の推移等ということで、上下2つのグラフを付けておりますが、このように個人にとりまして非常に簡便かつ効率的な資産運用手段として投資信託の重要性が増しております。これに関しましては、アメリカにおいてはファンドの評価は一般に広く知られているところでございますけれども、我が国においてはまだまだ評価機関の発展が十分ではございません。今後の発展が望まれるということでございます。

9ページ目につきましては、投資信託のパフォーマンス評価につきまして整理してございます。

10ページ目ですが、これは今までご説明申し上げました個人でありますとか、機関投資家、企業、格付機関、アナリスト等というものの関係を図示したものでございます。このような中で今後、金融技術の進展ですとか情報の高度化ということがございますので、金融商品に対して判断を行えない高齢者等弱者は、安全資産による運用が中心とならざるを得ない。そういう方々に対して、安全・安心な生活を支援するということで、情報提供のあり方や安全な資産運用に関する何らかの仕組みが必要ではないかと考えております。

11ページですが、先ほどの市場における積極的なプレーヤーとなるためのシステムの第2弾ということでありまして、消費者の判断が企業活動に活かされるシステムについてどのように考えるかということでございます。1つは、我が国における消費者の企業の役割に対する意識の特徴、アジア諸国の中で比べたもので、1番、2番はほぼ一緒ですが、3番目につきましては、地球環境の改善に寄与ということが重視されているということでございます。これを具体的にみましたものが12ページ以下でございまして、環境を例に、消費者が企業に対してどのように考えているかということをみますと、環境に配慮していると表明している企業への印象が「当然である」とする人が6割、「その企業の製品を買いたい」とする人が3割となっている状況にございます。

これが実際にその企業の商品ですとかサービスを購入する場合の情報とどういう関係にあるかというのをみたものが、次の13ページでございます。環境に関する情報の接触状況につきましては、「十分である」という方々は、下の表にございます。せいぜい3%から7、8%ということで、非常に少ない、接していないということでございますが、一方では、次のページにございますけれども、約7割の人が、「製品の生産、消費、廃棄に伴う環境への負荷に関する情報」あるいは「環境保全に関する取組状況」をもっと知りたいとなっておりまして、消費者の必要とする情報を的確に提供することが、消費者が市場において積極的な役割を果たすために非常に重要なポイントになるのではないかと考えております。

15ページは、実際の消費の場面においてどのように活かされているかということでございますが、この比率を見ますと、エコ・ショッピングと申しますか、環境保全行動の実行率はまだ低いということがうかがわれておりまして、それを促進する意味からも、1つの例としましては、マーク表示等について、さらにその充実を図る必要があると考えております。

17ページは、マーク表示制度について具体的に家庭用品等の表示についてみたものでございます。欧米諸国に比べまして、環境面についてみますと、我が国ではまだ表示内容ですとか方法が不十分ではないかということで、今後、その表示内容とか方法等について、消費者の観点から再考し、その充実を図る必要がある。さらに、この場合、高齢者ですとか、そういう方々に対してより見やすく、理解しやすいような表示を考える必要があるということでございます。

19ページ目は、同じ表示制度でございますが、今後、さらに規制緩和等によりまして、法制度によらない、自主的な表示制度等も増加すると考えられますので、その場合のトラブル防止ということもございまして、今後のマーク表示制度を誰が担うか、あるいは公平性、透明性をいかに確保するかということについて検討する必要があるだろうということでございます。

20ページは、比較情報の提供についてでありますが、これも現在、第三者機関等、国民生活センター等が出しておりますけれども、今後より充実するためには、さらに可能な限り商品やサービスについて消費者が最新の情報を入手できる体制の確立が必要であろうということでございます。

21ページ以降につきましては、今後のグローバル化の進展等を考慮し、ISOとの関連につき若干整理してございます。

25ページは、論点の第2ということでございます。先ほど申しました労働者の個人としての自立性を高めるシステムについてどう考えるかということで、具体的には、「個人の職業能力開発の支援とその発揮を可能とするシステムについて」でございます。ここに3点ございまして、1つ目は、個人の職業能力開発の支援につきまして今後どうするかということでありますが、今後、非常に流動的になる労働市場におきまして、個人の自己開発につきまして、すべて本人に負担させることに限界があるのではないか。このため、企業ですとか政府による職業能力や能力開発機関についての情報提供、費用面での支援が必要ではないかということでございます。

27ページ目ですが、これは第2点目でございまして、個人の職業能力の発揮を阻害していると考えられるシステムが現存しているのではないかということで、これについては見直す必要があるのではないかということでございます。その例としまして、現行の税制、社会保障制度は、有配偶パートタイム労働者等の就業行動に対して労働供給制約的な効果を持つということでございます。多くのパートタイム労働者等が就業調整を行っており、このことがパートタイム労働者の賃金水準を引き下げている。こうした制度の存在は、勤労意欲や職業能力向上意欲に対してもディスインセンティブを与えているのではないか。同じような効果を、企業の配偶者手当も持っているのではないかということで、これらの制度について見直す必要があるのではないかという点でございます。

28ページは、参考でございます。

29ページが第3点目、「労使間の個別的な苦情・紛争処理システムを整備する必要性」ということでございまして、今後企業の人事管理の個別化が進んでまいりますとか、業績評価、配置転換、処遇等について個々の労働者と企業との間で個別的な問題の増大が予想される。これについては、個人と企業との個別的な交渉等についての制度・ルールを確立する必要がある。さらには、個別的な苦情・紛争について簡易・迅速に処理するシステムを、企業の内外に整備していく必要があるということでございます。

31ページは、論点の第3でございます。今後自立した個人が連帯し多様な役割を担うことが期待されるということですが、この場合、「個人の意欲、善意が活かせるシステムについて」どう考えるかということで、これに関しましては、NPO活動への参加ですとか地域活動への参画を支援するシステムを整備する必要があるということでございます。四角の中にありますけれども、調査結果によれば、ボランティア活動を行うことについては、4分の3以上の方々が「行いたい」ということを積極的に表明されていますけれども、その活発化策としては、「事故などへの備えを整備」等が挙げられております。

以上でございます。

〔部会長〕どうもありがとうございました。

それでは、ただいま説明のありました「自立した主体としての個人の行動について」というテーマでご意見をお願いいたします。

〔K委員〕3番目の個人の職業能力開発の問題について1つ申し上げたいと思うのですが、最近は、各企業の賃金体系とかいろいろな処遇のあり方もずいぶん変化しておりまして、能力重視型といいますか、業績重視型になってきておりますけれども、しかし、大きな流れはやはり年功的な制度が非常に強く残っておりますし、能力の評価のところもややもすると年功的な評価にすり代わってしまうということが多いと思うわけです。そういう長期雇用制度といいますか年功的な制度があれば、とりあえずといいますか、一人ひとりの個人にとっては、その企業に長く勤めるということが大事なことであって、必ずしも、自らの能力を開発して、より高いレベルの生活のために転職をしてでもプロモートしていこうというインセンティブがなかなか働かないのではないかと思うのです。そこには、退職金制度の問題ですとか年金制度の問題などがあって、こういうものがなかなか個人の能力開発意欲を高める上で阻害要因になっているのではないかという気がいたします。

大変重要な問題で、ここにいろいろと阻害要因が挙げられておりますが、私が今挙げましたような長期雇用制度といいますか、終身雇用制度と裏腹の関係になるような退職金の制度とか年金の問題なども指摘しておくべきことではないかという感じがいたします。

以上です。

〔L委員〕若干今のことに関連しながら、1つは、職業能力開発の問題については、今の私たちの製造業の分野がぐんぐん減って、ホワイトカラーがグレーカラー化しているという方向については否定しているわけではございませんけれども、特に、技術・技能の伝承という面からみますと、日本も製造業の実態をみてみますと大分不連続になって移行している面が多分にあって、このあたりについて警鐘を鳴らす必要があるということで、我々取り組んでいますし、また連合でもひとつこれを法案化しようとしています。

つまり今、一般的に能力開発の問題を言っていますが、製造業とか現業とか、いわゆるホワイトカラー的な要素とか、分けた視点という形を持っておかないと、ただ大きな方向だけで自己啓発云々というだけでは問題があるのではないか。

今おっしゃったように、誰でも、できれば1つの企業に最後までいるということが一番いいのでしょうけれども、そうは言ったって、産業の構造の変化であるとか、また、せっかく会社に入っても自分の能力やいろいろなことで合わないとかいうときに、能力とか、また再訓練をしながら別の方へ移動していく。移動しやすい環境づくりをどうするか。これは主に、私は現業部門よりはホワイトカラー分野についてという形で、ここは分けた表現という形をもうちょっと考えるべきではなかろうかと思います。

もう一つ、今から個別的な形での苦情とか処理をどうしていくのか。組織率がぐんぐん落ちていますから、しかも、いわゆる集団的な労使関係の中で労働条件を決めていくというあたりが、組合のないところ等についてはどうしても個別化しやすい形がなきにしもあらずですが、トラブル等があったときでも、企業の中でももちろん必要ですけれども、もうちょっと外に、今は地方労働委員会であるとかそのあたりについて集団的な労使関係を扱うということになっていますが、個別の問題という形をカバーしていくような仕組みをきちんと作るあたりをもうちょっと強調していただきたいと思っています。

〔D委員〕いつもここで多少気になるのが、自立した個人を何で役所が何か言うのかというところで、自立した個人は自立した個人なので、それをどうしようという視点、それからコーポレート・ガバナンスも極めて企業の主体的な選択ですから、それをどうあるべきだというのは、僕はすごく違和感をもつのですが、このレポートの中にも、2つそれが入り交じっているような気がするのです。

例えば、消費者の判断を企業にフィードバックする仕組みを作れ、これは企業はやらなければ生き残れるわけがないわけですから、その企業の競争環境をしっかり整えてやることで、役所がとやかく言うことではないと思うのです。

しかし、環境に関して言うと、例えば、消費者は高くなるのは嫌だ、でも環境に悪いことも嫌だ、こういうふうに非常に矛盾が生じたときに、一体どういうふうにするべきなのか。多少高くても環境にいいことをやらせるべきなのか、それとも、消費者の声を反映したら、安ければ何でもいいのだということばかりが反映される、そういうふうに情報の非対称性が出るときに、一体どういうような仕組みを設定すべきかというところがむしろ重要で、企業は消費者の声を聞けみたいな話は、これはもうここが言うことではなくて、聞かない場合、あるいは消費者の声が違う場合に反映されるときにどういうふうにするかということが重要だと思うのです。

それと同じように、個人の職業選択、訓練、自己啓発、これも自立した個人が当然やるべきことであって、国が費用を負担するとかは、僕は違っているのではないかと思うのです。むしろ、企業、個人が動けない状況にある。例えば、ポータブル年金の話とか、それから職業紹介が規制の下にあるとか、そういうところがむしろ重要である。

だから、パートタイマーのディスインセンティブになっているのをどうするか、これは非常に重要な提言ですが、これを提言するといろいろなところからいろいろな反応が当然くるはずです。これを踏まえた形で一体どういうふうにするのか、むしろそういう方が重要のような気がするのです。

ですから、個人ベースの話に入るのではなくて、システムとしてマクロ環境の中をどういうシステムにすべきか。そうすると、個人がどういうふうに自立的に生きられる環境があるのかということを言うべきと思います。

もう一つは、これは部会長の方が詳しいかもしれませんが、ファイナンシャル・プランナーがいいからいいのだというようなのは本末転倒の議論で、なぜ日本でファイナンシャル・プランナーが育たないかというと、育つような金融制度になっていなかったからです。お客のあれを右から左に流していって手数料を稼ぐ、しかも、固定化された手数料を稼ぐというなかでは、ファイナンシャル・プランナーなんかは必要でなかったわけです。それがこれから個人のアセットマネージメントをしなければならない、そういう大きな枠が出てくると、それを本当に達成している消費者がそういう人間を求めていく。だから逆であって、マクロのシステムができていない状況でファイナンシャル・プランナーが必要だというのではなくて、こういう環境にもっともっと進めていくためにはこういうことが必要だ、その付属結果としてファイナンシャル・プランナーというものがより重要になっていくという問題の立て方の方が正しいような気がするのです。

〔部会長〕どうもありがとうございました。今、D先生からお話がありましたように、私、部会長ですけれども、若干自分の意見を申し上げたいと思います。

ファイナンシャル・プランナーは、まさにそのとおりだと思います。規制緩和がありませんので、新商品の開発とかいうものは全くなかったということを含めまして、商品の多様性がないということで、僕は20年ぐらい前でしたか、今は退官になりましたが、大阪大学の蝋山教授と話しているときに、「野村証券、もう一社、この2つの会社は非常におもしろいですね」と言うから、何ですかといったら、2つの会社とも、1つはある単一商品のアルコール類を売っている会社、もう一つは野村証券、要するに単一的な投資信託とか株を売るのにMBAを使っているというわけです、「意味がないじゃないか、こんな高いコストを使って」と。まさにそのとおりで、今それがやっとここに来て大きく変わりつつあるというような感じをもっております。

それから、個人金融資産の場合、これもおっしゃるとおり、年金のポータビリティであるとか、あるいは401(K)、そういうような問題をはっきりと出していくことが必要だろうと思います。

それから消費の問題で、実は今日の午前中に僕らの仲間の集まりがありまして、特に消費産業のトップの方を含めて、本当に減税をやったら消費が増えるのかという話になりまして、今のDさんのご意見、経営者もそういう感覚が非常に強いです。消費者にうまく情報を提供していくということでなしに、そんなことは必要ない。消費者も完全に自分の選択肢を持っている。したがって、それにいかに消費産業を合わせていくか。その努力の足りないところは、例えば、トイザラスがあれだけ出てきていますから、恐らくデパートからおもちゃ売場というのはなくなるという、あるいは、子供服などもアメリカから出てきていますから恐らくなくなるとかいうことで、自らマーケティングをして作っていくというのが非常に重要だということを言われていましたので、私も、消費者は弱いもので、情報がないから提供してやるというのは、ちょっと逆になってきたのではないかと、経営者の話を聞いての実感として、そんな感じがいたしました。

これは私の聞いたホットな話ですので、ちょっとご披露しておきます。

〔B委員〕ちょっととりとめのない感想ですけれども、これは横断的な議論ということで、恐らく議論が錯綜しているかと思うのですけれども、感想として2、3述べさせていただきますと、1つは、これは、言っては悪いのですけれども、日米比較がちょっと強調されすぎている気がするのです。もうちょっと幅広く、例えば、ヨーロッパとの比較も必要ではないかと思うのです。あまり日米比較にこだわると、例えば、今のD先生のお話のように、日本ではファイナンシャル・プランナーが少ないとかアナリストが機能していないとか、社外重役とか監査役が機能していないとか、何かパンクだらけ、機能不全だらけのシステムのように写るのです。そこで、議論があまり建設的でない方向に進んでしまう可能性がある。ですから、もうちょっと日本の現状はどういうふうになっているのか、どこに問題があるのかという視点から、そこで日米というのを1つの比較基準にしながら持っていった方がいいというような気がしたのです。

もう一つは、個人部門といっても、世代間の観点がちょっと不足している感じがするのです。例えば、高齢者もいますし、中年あるいは若年層もいるわけです。恐らく、これからの個人部門のあり方を考えるに当たって、何か問題に直面したときに、ではどの世代の層を考えるのかによって出てくる回答が違うはずです。ですから、静態的でなくて、もうちょっと動態的に考える必要があると思うのです。

例えば、具体的に言いますと、高齢者を救済しなければいけないとか保護しなければいけないとかという議論があるのですけれども、それは現在の高齢者に一番当てはめられることであって、将来の高齢者に当てはめる必要があるかどうかというのは大いに疑問です。ですから、いろいろな措置を採るときには、例えばサンセット条項を入れて、サンセットクローズを入れて、現在の高齢者をこういうふうに保護しますけれども、それは例えば10年限りのことであって、これから高齢者になろうとしている、もうちょっと若い世代に関して、もうちょっと自己確立、自己責任とかを求めるというような、もう少しフレキシブルなやり方をした方がいいのではないかという気がするのです。

もう一つは、個人部門といっても非常に複雑なので、どのレベルでこれをとらえるのか。例えば、個人には、今話に出ていますように消費者の顔がありますし、労働者の顔、金融資産家の顔、選挙民の顔、普通一般市民の顔とかまちまちで、どのレベルでそれをとらえているのかということによって、どういう問題が出てくるかは違ってくると思うのです。それから、個人部門とほかの部門とどういうような関わりをもっているのかという、もう少し枠組みみたいなものがなければ、いきなり非常に直截な議論に入ってしまうと、全体像が見えなくなってしまうという感じがするのです。

それはちょっと抽象的な発言ですけれども、1つの例としては、この中では、アナリストの話も出てきますし、またファイナンシャル・プランナーという重要な問題が出てくるのですけれども、恐らくアナリストという話は大部分は機関投資家の世界に通用する話だと思います。ファイナンシャル・プランナーは、むしろ個人ベースの話です。ですから、それは分けて考える必要があると思うのです。

もう一つ具体例を挙げますと、よく預金者保護というものが議論されますけれども、実は、日本では預金者保護を巡る議論は非常に曖昧になっている。というのは、預金者には個人預金者と法人預金者、これは大体半々です。今、日本がとっている政策というのは全部の預金者保護です。つまり、個人部門の保護と法人部門の保護、この2つをごちゃごちゃにしている。例えば、ペイオフを 1,000万円から 2,000万円に引き上げるとかいう提案が出ているのですけれども、こういう議論を検討するに当たって、はっきり分けて考えるべきだと思います。

以上、とりとめのない話ですけれども、こういう感想をもちました。

〔部会長〕ありがとうございました。続きまして、M委員、N委員、G委員という順にお願いいたします。

〔M委員〕2つございますけれども、15ページの(エコショッピングの現状)のあたりから始まりまして、次の16ページに3つのマークがあるのですが、こういうものをこれからもっと普及していくということよりも、私は、神奈川県立の女性センターで働いておりましたときに生活科学部が、決してエコマークが付いた商品のいんちき性を暴露するためにではなく、いくつかアトランダムに市場で売られているものをいろいろとテストいたしましたところ、エコマークが付いているもの、例えば、油をそのまま捨ててもそれは凝固するというものが、実際にはエコマークが付いていながら効果がなかったというのがいくつか出てきたのです。そのことをニュースにしましたら、これは財団法人がやっているのですが、環境庁が神奈川県に文句を言ってきたり、何か身内で知事に叱られたりとか、そういう変なことになりました。

私は、消費者がこういうマークに頼るということが、もう一つの依存心というか、何でも決められたものに従順に従うということがとてもいいというふうにしてきたなかで、今いろいろな問題を抱えている日本国が、マークにこれから頼るという啓蒙・普及を図っていくというのは、ちょっと疑問を感じるのです。違う面があるのではないかと思います。

2つ目は、これは私はありがたいと思うのです。27ページの女子労働者に対するさまざまな非課税の限度額ですとか、扶養家族としての控除、そういうことが書かれておりまして、私も今日ここへ来る前、午前中にある女子大学で学生さんに、将来的に女性といえども、性別役割分業に従って、家の中でただ家事・育児をするのではなくて、自分が持っているいい資質を開発して、社会でも、家庭でもというトータルな人間としてのという話をしても、「先生、損するじゃありませんか、もし社会に出て働いたら」。事実、そうなのです。

私は長いこと国際ボランティアなどしておりましたから、国民年金は私が海外へ行っている間も親が掛けたりしていますけれども、中学時代からの同級生で、何もしなかったクラスメイトと、私が去年から受けることになりました65歳以降の年金は、私の方が半額です。そういう状況の中で、ここの表現の「能力の発揮を阻害している」という言い方はとても気に入っているのです。先ほどDさんがおっしゃったのも、何かを支援するというのではなくて、今までそれを発揮できないように阻害している社会の中に要因があるから、それをきちっと書き出して、これを取り外せという言い方が正しいのではないか。このページに関しましては、非常に評価でございます。ありがたいというふうに思います。

以上です。

〔N委員〕2点ほどお話ししたいと思います。1点は、自己責任というところでいつも思うのですが、自己責任の裏には必ずリスクがあるわけです。そのリスクに対しての言及を、自己責任をやるときにはリスクテイキングであることをはっきりと書かないとまずいのではないかと思います。

特に役所がやる場合、役所でなくてほかがやる場合もそうですが、何かこういうのを入れてくると、「儲かりますよ」という形で、「あなたたち、よくなりますよ」という形で言うのですが、もちろんよくなる可能性もありますが、自己責任の場合には悪くなる可能性があるわけです。いわば失敗する自由があるわけですから、失敗する自由ということを教えなければいけない。というか、社会全体として受け入れるとするならば、教えなければいけない。こういうところに、少なくとも公的部門の役割があるのではないかと思います。

同じことは、個人部門だけではなくて、こちらの方の情報開示評価システムのところで出てきましたが、本当にこれをやるのかどうかと私も思ったのですけれども、経済企画庁は統計に関する詳細データを開示するということですが、もしこれを本当にやった場合にどういうことが起こるかというのは、企画庁の方はすぐおわかりになると思いますが、データにはいろいろなデータを作るときのデータの誤差があるわけです。その誤差に対して我々がちゃんとした理解をもっているかどうか。特に私が心配しているのは、マスコミがもっているかどうかということです。マスコミは、大抵言ったとおりか、言ったとおりの非常に極端なところだけをピックアップしてわぁーとしゃべるということがあります。そういったことを、要するに情報が出るということは、逆にいえば、その情報を評価することに関しても自己責任があるわけです。それから、マスコミに関しては他人に対しての責任もあるわけです。そこら辺の責任を曖昧にしてというか、それを誤魔化してやると全体として非常に危ないことになると思います。リスクに対する態度ということは常に鋭くしていかなければいけないと思います。そこら辺のところは、明解に常にセットにして説明するということが必要だと思います。

それに絡むのですが、先ほどのエコマークとかいうマークです。日本はすぐマークを作りたがるわけですが、何とかマークというのに関しても1つの情報です。その情報を利用することは非常に危険性があるということを、ここでも同じことですけれども、自己責任に対応するリスクを知っておく必要があるのではないか。これは今の日本の教育体系にも関係すると思いますが、日本の教育というのは、そういうリスクということに関しての教育は全くないわけです。職業を選ぶのは実は非常にリスクが大きいことですが、職業を選ぶということに関してのリスクに対しての教育もない。そういうところでいろいろなところの問題が起きてくる。これは実は、先ほど出ましたが、世代の問題とも絡むのですが、そこら辺のところは、公的な機関で何らかの処置をしなければいけないと思います。

以上です。

〔G委員〕ここでこういうことを論じるかどうかということも含めて後でご検討いただきたいのですが、今日のこの資料は、経済主体の中でどちらかというと民とか市場とかと個人、この関係を論じておられるのですが、経済主体といったときに官と民の関係とか、官と個人の関係とか、あるいは個人の中だけれども、地域とかコミュニティーと個人の関係とか、個人と個人の関係に大変大きな課題があるような気がします。

これはここでの議題かどうかを含めてということを申し上げたのですが、いくつか例を申しますと、言うまでもなく、例えば、成田みたいなああいう異様なことがこの国で起こっている。それから、紛争処理を一体どうするかというルールがおかしい。漁業補償みたいなのがあって、漁民ではないサラリーマンがその漁業補償を受けているなどという妙なことが大変起こっているとか、あるいは補償だとか、あるいは住民というよりはパブリックインボルメントというようなそういう動き、こういうのが公と民の関係でどういうルールにするかというのは大変大きな課題のような気がします。特に、私有財産権の話と公の関係をどうとらえるのかというのは大変重要という気がいたします。

それから、コミュニティーと個人といいますと、例えば、環境の話、ヨーロッパとかアメリカでいっている個人が環境をよくするというときの個人と、日本でいう「総論賛成だけれども各論では全くそういう行動をしない」という、そういう個人の存在というのは一体どう考えるか。あるいは密集市街地みたいに、明らかに神戸の長田みたいなことが起こるところは膨大にあるけれども、そういう問題を個人とコミュニティーの関係でうまく処理できていない、こういう問題。

それから、個人と個人の関係でいいますと、40年代に建ったマンションが間もなく非常に大きな問題になる。これも膨大な量がございます。しかしながら、そこに 100人とか 200人住んでいるところの会を合意形成ができるかというと、全くできる見込みがなくて、それに対する制度的なバックアップもない、このようなことがございます。

そういう意味で、少しマーケットと個人だけではないような個人の課題がたくさんあるような気がいたします。

〔部会長〕どうもありがとうございました。

まだ、いろいろご意見があろうかと思いますけれども、時間でございますので、これ以上のご意見がございましたら、どうぞ事務局の方へお願いいたします。

それでは、第3の議題につきましては、ここまでとさせていただきます。

最後に、次回の日程について事務局よりご説明を申し上げます。

〔事務局〕次回第7回の部会につきましては、来月2月19日木曜日の14時から開催させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

〔部会長〕どうもありがとうございました。

それでは、第6回の経済主体役割部会の審議は以上にいたしたいと思います。本日は長時間のご審議、どうもありがとうございました。次回以降もよろしくお願いいたします。

以上

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