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経済審議会総会議事録 9.12.10

時:平成9年12月10日

所:内閣総理大臣官邸ホール


経済審議会議事次第

  1. 開会
  2. 経済企画庁長官挨拶
  3. 「21世紀を切りひらく緊急経済対策」について
  4. 「『構造改革のための経済社会計画-活力ある経済・安心できるくらし-』の推進状況と今後の課題」について
  5. 経済社会展望部会、経済主体役割部会の審議状況
  6. 内閣総理大臣挨拶(官房長官代読)
  7. 閉会

(出席者)

  • 内閣官房長官、内閣官房副長官(事務)、内閣内政審議室長、首席内閣参事官、内閣広報官
  • 豊田会長、長岡会長代理、稲葉委員、角道委員、金井委員、川勝委員、香西委員、 佐々波委員、下村委員、鶴田委員、豊島委員、星野(昌)委員、水口委員、村田委員、諸井委員、山口委員、和田委員
  • 経済企画庁長官、経済企画政務次官、経済企画事務次官、経済企画審議官、官房長、日銀政策委員、調整局長、国民生活局長、物価局長、総合計画局長、調査局長、経済研究所長

(配付資料)

  1. 経済審議会委員名簿
  2. 「21世紀を切りひらく緊急経済対策」
  3. 「『構造改革のための経済社会計画-活力ある経済・安心できるくらし-』の進捗状況と今後の課題」
  4. 「『構造改革のための経済社会計画-活力ある経済・安心できるくらし-』の推進状況」
  5. 「『高コスト構造是正・活性化のための行動計画』の推進状況」
  6. 「経済社会展望部会及び同ワーキンググループの開催状況」
  7. 「経済主体役割部会及び同ワーキンググループの開催状況」
  8. 「経済構造改革ワーキンググループ報告書」

経済審議会委員名簿

会長 豊田 章一郎 トヨタ自動車株取締役会長
会長代理 長岡 實 東京証券取引所正会員協会顧問
日本たばこ産業株顧問
  稲葉 興作 石川島播磨重工業株代表取締役会長
  角道 兼一      農林中央金庫理事長
  金井 務       (株)日立製作所取締役社長
  川勝 堅二      (株)三和銀行相談役
  公文 俊平      国際グローバルコミュニケーションセンター所長
  香西 泰      社日本経済研究センター会長
  小長 啓一      アラビア石油(株)取締役社長
  小林 陽太郎      富士ゼロックス(株)代表取締役会長
  佐々波 楊子      慶応義塾大学経済学部教授
  下村 満子      財東京顕微鏡院理事長
  末松 謙一      (株)さくら銀行相談役
  鶴田 卓彦      (株)日本経済新聞社代表取締役社長
  得本 輝人      日本労働組合総連合会副会長
  豊島 格       日本貿易振興会理事長
  那須 翔       東京電力(株)取締役会長
  原  五月      日本労働組合総連合会前副会長
  福井 俊彦      日本銀行副総裁
  星野 進保      総合研究開発機構理事長
  星野 昌子      日本国際ボランティアセンター特別顧問
  水口 弘一      (株)野村総合研究所顧問
  村田 良平      (株)三和銀行特別顧問
  諸井 虔       秩父小野田(株)取締役相談役
  山口 光秀      東京証券取引所理事長
  鷲尾 悦也      日本労働組合総連合会会長
  和田 正江      主婦連合会副会長

〔 豊田会長 〕 ただいまから経済審議会を開会いたします。

本日は、委員の皆様には大変ご多忙中のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

なお、橋本総理大臣におかれましては、国会にご出席のため、本日はご欠席とのことでございますので、代理としまして村岡内閣官房長官に後ほどご出席いただくことになっております。

議題に入ります前に、尾身経済企画庁長官よりご挨拶をいただきたく存じます。

〔 尾身経済企画庁長官 〕 経済企画庁長官の尾身幸次でございます。

経済審議会の皆様におかれましては、この1年間、精力的なご論議をいただきまして、誠にありがとうございました。また、本日はご多用中のところをご出席いただきまして、心から厚くお礼を申し上げる次第でございます。

総理が急に国会に呼ばれまして出席できませんので、お許しをいただきたいと思います。現行の経済計画であります「構造改革のための経済社会計画」の策定後、2年が経過したところでございますが、最近の我が国の景気動向をみますと、設備投資は設備過剰感が薄れつつあることや、企業収益が緩やかに回復していることを背景として、製造業を中心に回復傾向にあり、また、純輸出は増加傾向にございます。しかし、個人消費は、家計の経済の先行きに対する不透明感もあって足踏み状態となっており、住宅建設も下げ止まりの兆しはあるものの、依然弱い動きとなっております。このような需要動向を背景といたしまして、生産は弱含んでおります。

こうした中で、株価の変動や金融機関の経営破綻を背景といたしまして、家計や企業の景況感には厳しさが増しており、これが家計消費や設備投資にも影響を及ぼしている可能性がございます。そして、景気は全般としてみて、このところ足踏み状態にあるものと認識しております。

政府といたしましては、11月18日の経済対策閣僚会議におきまして、規制緩和を中心とした経済構造改革の大胆な断行、土地の取引活性化と有効利用、魅力ある事業環境の実現、中小企業対策の4点を柱とした経済対策を決定したところでございます。

現在の経済状況の下では、経済対策の確実な実行とともに、法人課税、有価証券取引税等の金融・証券関係税制、土地譲渡所得課税等の土地税制等、税制について、思い切った経済活性化を図るとの見地から、結論を得ることが必要と考えております。

また、金融システムにつきましても、政府与党の関係者が緊密に意見交換を行うなどして、公的支援を含め、預金者、投資家、保険契約者の保護を図るとともに、金融システムの維持安定についての万全の体制整備を早急に打ち出していくことが、日本経済の将来や当面の景気に対して最優先の重点課題であると考えております。

経済審議会におかれましては、現行経済計画の2度目のフォローアップの報告を、本日ご提出いただく予定でありますが、昨年総理に建議いただいた「6分野の経済構造改革」につきましても、その拡大・深化を図るためのフォローアップ報告を、先般11月21日に経済構造改革ワーキンググループにおいて取りまとめていただいたところでございます。

また、本年7月からは、構造改革が進展した後の我が国経済社会の姿を展望し、各経済主体の役割と新しい経済システムのあり方を、国民の皆様にわかりやすくお示しするため、経済社会展望部会、経済主体役割部会において、精力的に審議を進めていただいているところでございますが、こうした将来展望をお示しいただくことが必ずや、我が国経済の不透明感を払拭することになるものと期待しております。

我が国経済の構造改革を一層強力に推進し、将来の展望を切りひらくために、今後とも引き続き、委員の皆様方のご支援とご協力をお願い申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

〔 豊田会長 〕 ありがとうございました。

引き続きまして、ただいま長官からご紹介のありました「21世紀を切りひらく緊急経済対策」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

〔 塩谷調整局長 〕 それでは、資料のご説明を申し上げます。

恐縮でございますが、座ったままでご説明させていただきます。

お手元に資料2といたしまして「21世紀を切りひらく緊急経済対策」の冊子をお配りしてございます。大変多岐にわたっておりますので、もう一冊、その下に「要旨」お配りしてございますので、こちらの方でご説明いたしたいと思います。

表紙を1枚めくっていただきますと、経済対策の基本的な考え方が述べられております。我が国経済は、バブル期の後の低成長から抜けきれないでいるという基本的な認識に立っております。公共事業の追加等からなります累次の経済対策によって景気を下支えしてきたにもかかわらず、日本経済は未だ力強い景気回復の軌道には乗っておりません。

その結果、我が国財政は主要先進国の中で、最悪の危機的状況となっております。

このような状況から早期に脱却をしまして、活力に満ちた日本経済を実現するためには、経済運営に対する旧来の発想を 180度転換しまして、民間活力を中心に21世紀に向けた新たな経済政策の展開を図る必要があります。

景気が足踏みをして、消費者や企業が我が国経済の将来に対するコンフィデンスを低下させている背景といたしまして、我が国経済が抱える構造的な問題があるという認識でございます。

すなわち、第1には、我が国の過剰な規制の存在が民間企業の活力を削ぎ、高コスト構造を通じて、我が国経済の競争力を低下させているという問題。

第2に、我が国は世界に前例のない高齢化に直面しているという問題。

第3に、足元の問題としまして、我が国は依然としてバブルの後遺症から脱しておらず、不良債権処理や、これに関連して金融システムの安定化などの課題も抱えております。

日本経済を早急に順調な回復軌道に乗せるための経済対策といたしましては、短期的な需要創出ではなくて、我が国が抱える構造的な問題に取り組む政策と整合的でなければならないと考えております。

経済構造改革を進めて、我が国金融システム全体に対する内外からの信頼回復に努め、我が国経済の活力や適応力を最大限に引き出して、民間需要中心の自律的な安定成長軌道に乗せていく必要があります。特に、不良債権を抱えるなどして経営が悪化した金融機関の扱いについては、地域経済の影響に十分配慮しつつ、預金者保護と金融システムの安定性確保に万全を期していくこととしております。

こうした観点に立ちました経済運営を着実に実行することが、国民や企業の将来に対するコンフィデンスを高めて、経済へのプラスの影響を与えると考えております。

そして、企業家精神旺盛な事業展開を図れば、景気回復も一層早まると考えているところであります。

そこで、今求められる経済対策といたしまして、「規制緩和を中心とした経済構造改革の大胆な断行」「土地の取引活性化と有効活用」「魅力ある事業環境の実現」「中小企業対策」の4つの柱からなります、「21世紀を切りひらく緊急経済対策」の実施を決定したところであります。

1枚めくっていただきまして、4ページ以下に具体的施策の内容を掲げております。主な項目を中心にご説明いたします。

第1の「I 規制緩和を中心とした経済構造改革」では、民間活力を通じた我が国経済の体質強化、活性化を図るとともに、我が国経済の構造改革を大胆に進めるために、「1.情報通信分野の改革」では、特別第2種事業の範囲を国際通信及び多数のユーザーに対する国内電話サービスに限定するなどの、電気通信業の規制緩和を進めること。具体的かつ明確な基準の設定によって、例えば、予備校による受験生宅への通信事業などを通信扱いとするなど、通信衛星による新規ビジネスを促進するための規制緩和。あるいは、通信衛星による多チャンネル放送の規制緩和。KDD法の廃止。携帯電話等の検査コストの大幅引き下げなどを行うこととしております。

次に、5ページの「2.福祉・医療分野の改革」でありますが、この点につきましては、介護サービスへの民間参入の検討や、市町村による民間企業への介護サービス委託を可能にすることとしております。

「3.雇用・労働分野の改革」につきましては、労働者派遣事業の規制緩和と、有料職業紹介事業の規制緩和などを図ることとしております。

「4.金融分野の改革」につきましては、証券取引法等の抜本的改正によりまして、国民にとってより身近で魅力ある市場を実現して、我が国証券市場への個人投資家の参加を容易にすること。また、企業においても、証券市場の魅力が一層高まるよう、株主重視を徹底した経営姿勢を取ることが期待されるわけであります。さらに、証券総合口座への給与・年金の振込みを可能にすること。厚生年金基金の運用規制の撤廃を前倒しするなどを行うこととしております。

「5.物流・運輸分野の改革」につきましては、トラック運送事業の規制緩和、国内航空運送事業の規制緩和などを図ることとしております。

7ページに、第2の柱であります「II 土地の取引活性化・有効活用」が掲げられております。この点につきましては、不良債権処理を促進して経済活動全体を活性化させるとともに、土地の有効利用を図って豊かな国民生活を達成し、あわせて、都市部における防災上の備えも強化し、都市の再構築を図るための措置といたしまして、第1に、都市中心市街地(商業地域等)における容積率の抜本的緩和を図ることとしております。次に、都市構造再編プログラムの策定の推進。農地転用の円滑化。郊外型住宅等の取得促進。定期借家権の導入。不動産の証券化。国土利用計画法に基づく土地取引届出制度の事後届出制への移行、などを行うこととしております。

9ページでありますが、第3の柱の「III 中小企業対策」につきましては、景気が足踏み状態にある中で、厳しい経営を強いられる中小企業への資金供給が円滑に行われるようにするとともに、中小企業の積極的な事業活動を支援することとしまして、金融対策につきましては、政府系金融機関において、金融機関との取引が著しく変化し、運転資金確保に困難が生じるなど、資金繰りに支障を来す恐れのある中小企業家に対する別枠の融資制度を創設し、本年12月1日より実行することなどを掲げております。

10ページでありますが、第4の柱の「IV 科学技術の振興」では、喫緊の経済対策としての研究開発活動の活性化のみならず、21世紀における我が国経済の発展の礎となるべき科学技術の振興を図るため、産学官連携による共同研究の推進及び大学等の研究成果の活用などを図ることとしております。

第5の柱の「V 市場アクセスの改善」につきましては、「OTOの積極的活用」、 「JIS規格と強制法規基準等との整合化、重複検査の排除」「道路運送車両法の見直」「建築基準法の見直し」「総合的な通関処理システムの構築」、などを行うこととしております。

11ページでありますが、第6の柱の「VI 税制の見直し」につきましては、公平・中立・簡素な租税原則、国際的な視点にも配慮した事業環境の整備、土地有効利用の促進、民間活力の一層の発揮などの観点を踏まえ、平成10年度税制改正において、法人課税、金融・証券関係税制、土地税制等を含めた幅広い措置について検討を行い、結論を得ることとしております。

最後に、「VII 民間活力を活用した社会資本整備その他の施策」といたしまして、光ファィバ網全国整備などを進めることとしております。

以上であります。

〔 豊田会長 〕 ありがとうございました。

ご質問もあるかもしれませんが、議題に入らせていただきたいと存じます。

最初の議題は、「『構造改革のための経済社会計画-活力ある経済・安心できるくらし-』の推進状況と今後の課題」についてでございます。平成7年12月に閣議決定されました「構造改革のための経済社会計画」におきましては、経済審議会において、毎年、同経済計画に掲げられたいろいろな施策の推進状況を点検し、政府に報告することとされております。それでは、事務局より説明をお願いいたします。

〔 中名生総合計画局長 〕 総合計画局長の中名生でございます。

座って説明をさせていただきます。

お手元の資料3でございますが、「『構造改革のための経済社会計画-活力ある経済・安心できるくらし-』の推進状況と今後の課題(案)」でございます。これをご説明させていただきます。

最初に目次をご覧いただきますと、構成が書いてありますけれども、3章構成にしてございます。第1章では、計画策定後の内外情勢の展開についての認識を書いております。第2章では、構造改革への取り組み状況を述べております。第3章では、今後の政策運営に当たっての課題を書いております。

第1章は、2ページ目からでございます。「内外経済情勢の展開」ということで、第1節では、国際経済情勢について述べております。まずアメリカ経済でありますが、アメリカ経済は91年以来拡大局面ということで、既に7年目に入っておりますが、こうした長期の景気拡大にもかかわらず、インフレの兆候は今のところ現れていないということで、アメリカ経済は、これまでのところ好調に推移しております。次に、ヨーロッパでありますけれども、欧州経済については、イギリスを中心としまして回復の動きになっているということを書いております。「他方」ということで、東アジア経済でありますけれども、東アジア経済はこのところ調整局面を迎えているという認識をいたしております。今年の年央以降、いくつかの国で金融面での不安や通貨の急激な減価などの厳しい調整を迫られており、景気の先行きに懸念がもたれている国もある、ということでございます。こうした東アジア経済の動向は、我が国経済にも影響を及ぼす懸念があるということを触れております。

その下のパラグラフでは、大きな流れとしまして、我が国経済のグローバリゼーションの動きは、引き続き進展をしているということを書いております。このようなグローバリゼーションの潮流の中で、我が国は規制緩和をはじめとする経済構造改革に積極的に取り組んでいくことを通じて、魅力ある市場を国内外に提供することによって、我が国経済の活性化を図っていく。また、これは我が国経済のみならず世界経済の持続的な発展にも寄与するものである、ということを述べております。

次に3ページにまいりまして、第2節では、我が国経済の現況について触れております。昨年度の平成8年度は、我が国の実質成長率は、最近改定数字が発表になりまして、実質3.2%ということで、この経済計画で掲げております年平均3%程度という成長軌道にほぼ沿ったものということになりましたが、本年度に入りまして4ー6月は前期比で 2.8%のマイナスと、大変大きなマイナスになりまして、その後7ー9月にはプラスに転じましたが、 0.8%と回復が遅いという状況でございます。こういうことで、先ほどの大臣のお話にもありましたように、景気はこのところ足踏み状態ということでございます。こういう経済の推移からみまして、本年度は、政府の経済見通しでは 1.9%の成長を見込んでおりましたが、これを達成するのは困難な状況にあるということでございます。

こうした経済状況というのは、1つには、今年の4月から消費税率が3%から5%に引き上げられ、それに伴う駆け込み需要が3月まであって、その反動が個人消費あるいは住宅建設にあらわれている。それが予想以上に大きかったということでございます。それに伴いまして、企業活動の面でも、在庫の積み上がりがみられたということでございます。それから、消費税率の引上げ、あるいは医療費の自己負担の引上げ等の財政面からの家計への負担増が個人消費に抑制的に働いた、ということが挙げられます。

さらに、その背景を考えますと、景気に力強さが見られない背景ということでは、我が国経済の構造的問題が大きいということを指摘しております。現行の経済計画で指摘いたしましたような、グローバリゼーションの進展、高次な成熟経済社会への転換、少子・高齢社会への移行、情報通信の高度化といった潮流変化に我が国の経済社会構造がうまく対応できていないことが、経済の先行きに対する不透明感を払拭しきれていないということで、これが消費者の行動あるいは企業の行動に抑制的な作用を及ぼしているということでございます。「また」ということで書いてございますのは、バブルの後遺症である深刻な不良債権問題により、最近、複数の金融機関の経営破綻が起こっている。こうした金融面でのリスクは、我が国経済の回復の足かせになっているということで、金融システムの安定を維持することが喫緊の最優先課題であると述べております。

3ページの下のところでは、雇用、物価、対外収支、財政の状況について簡単に触れておりますが、雇用情勢については、完全失業率が 3.5%ということで、厳しい状況にある。物価の面では、引き続き安定的に推移をしている。4ページにまいりまして、経常収支の黒字については、今年度についてはある程度の拡大が生じるものと見込まれる。財政については、先進国の中でも最も悪い状況になっている、ということを触れております。

次に、第2章にまいりまして、「構造改革への取り組み状況」でございます。第1節では、「6つの改革」の推進ということが書いてあります。現在、内閣では、行政改革、財政構造改革、経済構造改革、社会保障構造改革、金融システム改革、教育改革ということで、「6つの改革」というのを内閣の最重要課題として一体的に推進しておりますが、この「6つの改革」は、その基本理念においては、経済計画と軌を一にするものであるということを述べております。したがいまして、この経済計画で掲げております構造改革というのは、「6つの改革」を一体的に推進することによって、より一層強力に押し進められるということを述べております。

以下では、経済構造改革を中心に、これまでの進展状況と今後の課題について整理をするとともに、あわせて、財政構造改革の取り組みについて述べております。

第2節のところは、「経済構造改革に向けての取り組み」で、どういう動きがあったかということを書いてございますが、まず、当経済審議会におきまして、昨年7月から、特に経済効果が高い、それから急を要するということで6つの分野を挙げ、構造改革のご審議をいただきました。5ページの一番上の行に書いてありますけれども、「6つの分野」と申しますのは、高度情報通信、物流、金融、土地・住宅、雇用・労働、医療・福祉の6分野でございます。ご審議をいただきまして、昨年12月に「6分野の経済構造改革」ということで、内閣総理大臣に建議をしていただきました。この建議というのは、行政改革委員会等でもあわせて審議がされておりましたけれども、その後の規制緩和の動きに非常に大きなインパクトをもたらしたと言っております。

政府全体の経済構造改革の取り組みということでは、昨年の12月に、「経済構造の変革と創造のためのプログラム」というのが閣議決定され、さらにそれを具体化するという形で、本年5月に「経済構造の変革と創造のための行動計画」が閣議決定されたということを述べております。

また、経済構造改革の重要な柱であります規制緩和につきましては、今年の3月に「規制緩和推進計画」、今年の3月に、一昨年に決めた「規制緩和推進計画」の第2回目の改定が行われ、新しく 890項目、従来からのものを含めて 2,823項目の規制緩和が盛り込まれたということでございます。

それから、最近のところで、先ほど調整局長からご説明申し上げましたが、本年11月18日に、「21世紀を切りひらく緊急経済対策」ということで、構造改革の施策が決定されたということでございます。

第3節では、経済構造改革の進捗状況について、特に、規制緩和を中心としまして、10の分野について分野ごとに述べております。一々の分野についてのご説明は省略いたしますが、順次見ていただきますと、5ページの下から、1) 運輸。7ページにまいりまして、2) 流通。8ページで、3) 電気通信。9ページで、4) 金融サービス。5) 農業生産。10ページで、6) 基準・認証、輸入手続き等。7) 公共工事。11ページで、8) 土地・住宅。12ページで、9) 雇用・労働。13ページで、10) 医療・福祉。以上10の分野について規制緩和を中心とする経済構造改革の進捗状況、それから今後の課題ということで触れております。

13ページの中程から第4節として「財政構造改革への取り組みと社会資本整備」ということで書いております。財政構造改革につきましては、この最後のパラグラフに書いてございますけれども、今年1月に、内閣総理大臣を議長とする財政構造改革会議が設置されました。この会議での審議を経まして、本年6月に「財政構造改革の推進について」という閣議決定がされました。この閣議決定におきましては、平成15年度までに国及び地方の財政赤字を対GDP比で3%以下にし、特例公債依存からの脱却を目指すということで、平成15年度までの6年間のうち、2000年度までの3年間を集中改革期間と定め、この期間中は「一切の聖域なし」で歳出の削減・縮減に努めることが決定されたわけでございます。この決定を確かなものとするため、14ページの上に書いてございますけれども、「財政構造改革の推進に関する特別措置法」が国会で審議されまして、11月に成立をみたということでございます。

次に、14ページの中程からは、これに関連しまして、社会資本整備についても各種基本計画の見直しが行われたということでありまして、公共投資基本計画については、6月の閣議決定におきまして、計画期間を3年間延長する。それに伴い、弾力枠を除いた 600兆円ベースでみて10年間で 470兆円程度へと投資規模の圧縮を図ることが決められました。この方針を受けまして、当経済審議会でもご審議をいただいた上で、本年6月に公共投資基本計画の改定が閣議了解されております。この改定されました公共投資基本計画におきましては、計画期間を3年延長するとともに、公共投資の配分に当たりましても、集中改革期間については、物流の効率化対策に資するものを中心として優先的、重点的に整備をすることを決めております。また、公共工事コスト縮減ということで、本年度以降3年間で、少なくとも10%以上のコスト縮減をすること、また費用対効果の分析の活用によって個別の公共事業のチェックを強めていくこと、等を付け加えてございます。

15ページにまいりまして、社会資本の整備目標ということで、現行の経済計画では、社会資本の整備について、利用者、国民の立場に立った整備目標として26項目(32目標) の目標の指標を掲げ、整備を進めることにしておりますが、この進捗状況は、別表になっていますが、今ご説明しています資料3の25ページ以下に、「『社会資本の整備目標』の進捗状況」ということで数表にして掲げてございます。ご覧いただきますように、目標に向かって進捗がみられるということでございます。

次に、15ページにお戻りいただきまして、第3章の「今後の経済運営に当たって」ということで、今後の政策運営の課題を書いてございます。まず、第1節では、今後の我が国経済の姿ということですが、4行目から書いておりますように、「平成15年度を目標年度とする財政構造改革は、特に来年度以降3年間の『集中改革期間』において、公共投資削減等による需要抑制効果を持つことから、ある程度の成長率の引き下げ要因となることは避けがたい」ということですが、計画で想定した成長経路を実現していくためには、今後、経済構造改革等の必要な施策を遅滞なく実施することが必要であるということを言っております。

第2節では、今後の政策課題ということで、4点挙げてございます。

第1点は、金融システムの安定を図るということですが、「このところ不良債権問題等により、複数の金融機関の経営破綻が起こっており、金融システムの安定を維持することが緊急の課題となっている。こうした状況の下、金融機関の破綻に当たっては、1)市場からの退出が円滑に図られるよう効率的かつ透明性のある処理のための制度整備を図ること、2)破綻が金融システム全体に波及しないように万全を期すことが必要である。こうした措置により金融システムに対する国民の信頼感を確保することが、我が国経済の将来や当面の景気に対しても喫緊の最優先課題である」ということで、まず第1にこれを挙げております。

第2点は、16ページの2行目からですが、「中長期的に適切な経済成長を確保するためには民間部門の経済活動の活性化が不可欠であり、民間需要中心の自律的な安定成長を図っていくことが今後の経済運営の基本である」ということを述べております。この第2点については、さらに4つに分けて書いてございますが、第1に、規制緩和を中心とした経済構造改革を断行すること。第2に、土地の有効利用、土地取引の活性化を図る必要があること。第3に、法人税等を含め、企業にとって魅力ある事業環境を整備する必要があること。第4に、いわゆる中小企業に対する貸し渋りの問題ですが、中小企業に対する必要な資金供給が妨げられることがないよう、適切な措置を講ずる必要がある。この4つの点を言っております。それが第2点でございます。

第3点は、財政の健全化を進め、中長期的に国民負担率の増加を抑制し、公的部門の簡素合理化等を通じて、経済の活性化を図っていくことが必要である、ということを言っております。

第4点は、第2点で掲げていますように、規制緩和を中心とした経済構造改革を進めていくわけですが、こうした「規制緩和を進めると同時に、情報の開示と提供、市場監視機能の強化、真の弱者に対する救済措置等にも配慮することにより、公正かつ自由な競争秩序を担保し、結果的に資源の最適配分や財・サービスの安定供給を通じて、国民の生活向上に結びつくことを制度的に保証することが必要である。このように規制緩和と競争秩序を担保するための政策は、車の両輪として進めていくべきである」、ということを言っております。

17ページにまいりまして、今後の中長期的な経済社会の展望。ここでは、現在、経済社会展望部会、経済主体役割部会でご審議されている内容も踏まえまして、中長期的な課題ということでまとめてございます。第1点は、グローバリゼーションの進展に合わせ、諸外国との制度・政策の調整・調和を図っていくことがますます重要になると言っております。

第2点としては、産業構造の面においては、世界的なメガコンペティションでありますので、こういう中で「市場メカニズムの一層の活用が重要であり、生産要素の柔軟な移動のための環境整備と同時に、次代を担う新規産業創出促進等を推進することが重要である」ということを言っております。

第3点としては、少子・高齢化の進展に対応するためには、「今後の社会保障についての国民の不安を解消し、成熟した経済社会にふさわしい社会保障とするため、国民の合意に基づく選択の下、社会保障構造改革を着実に進めていく必要がある」ということを言っております。

18ページにまいりまして、第4点としては、土地・住宅についても少子・高齢化の進展等状況が変わってきておりますので、これを踏まえて、土地の有効活用あるいは住宅等のストックの活用の推進が重要となってくるということを言っております。

第5点としては、これは特に経済主体役割部会で議論されている問題でありますけれども、従来の政府、企業、個人といった経済主体のほかに、新しくNPO、民間非営利組織というものが大きな役割を果たすようになってきていますけれども、そういう活動を促進するための環境整備が重要である。さらに、規制緩和を進めると同時に、民間においても新規参入に対して業界団体等が自主的に制約を課す、あるいは業界の横並び意識等から事首・闔臂綮・罰萋阿棒・鵑魏櫃垢箸いΑ△い錣罎詭洩欝・・砲弔い討盡‘い靴討い・海箸・・廚箸気譴討い襦△箸いΔ海箸鮟劼戮討・蠅泙后・・鹿霈w)腫庄嫌ぢページの中程から第3節で、今日まで京都でCOP3が開かれておりますけれども、地球温暖化問題等の地球環境問題への対応ということを触れております。第2のパラグラフのところでは、今議論されていますのは、2010年前後までの目標ですけれども、2000年までというのは、我が国を含めて、なかなか達成が難しい状況に各国がなってきていることを触れておりまして、18ページの一番下のパラグラフでは、「地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合同会議」、これは経済審議会からも3名の委員にご出席いただきましたけれども、この会議で定めました地球温暖化対策の基本的方向を踏まえて、実効のある対策を進めていく必要があるということを言っております。それから、19ページでは、日本の国内でCO2 等の温暖化ガスの削減を図ることにとどまらず、対外的にも、 「グリーン・イニシアティブ」等を通じて、率先して問題解決のためのリーダーシップを発揮していくことが重要である、ということを述べております。

最後に、20ページに「むすび」が書いてございます。この「むすび」では、第2のパラグラフで書いてございますように、「ここ数年来、我が国経済には先行き不透明感、閉塞感が漂っており、それが消費者や企業等に対し自信を持った経済活動を躊躇させ、我が国経済社会全体の活力を低下させることにもつながっている。こうした状況に対応するためには、国民に対し、構造改革後の我が国経済社会の姿を明確に示し、将来に対する不透明感を払拭することが必要と考えられる」という認識を述べておりまして、現在経済審議会で2つの部会で審議が進められているということで、来年6月を目途に取りまとめていただく予定である、ということを書いてございます。

少し長くなりましたが、以上でございます。

〔 豊田会長 〕 どうもありがとうございました。

ただいまの説明につきまして、ご意見・ご質問をお伺いしたいと存じます。

〔 鶴田委員 〕 ただいまのご説明、大変ご丁寧にしていただきましてありがたいのですけれども、「21世紀を切りひらく緊急経済対策」、これは決まったものですから今からいろいろ申し上げても仕方がないという感じもしますが、この「21世紀を切りひらく緊急経済対策」は、今ご説明いただきました、平成9年度の経済審議会の報告を拝見いたしますと、日本経済の現状認識につきましては、私は大変適切な認識、分析をしているのではないかと思います。

例えば、「21世紀を切りひらく緊急経済対策」につきましては、「我が国経済は、バブル期の後の低成長から抜けきれないでいる」、「日本経済は未だ力強い景気回復の軌道に乗っていない」、まさにそのとおりだと思うのです。「その結果、我が国財政は主要先進国の中で、最悪の危機的状況となっている」、このとおりだと思うのです。

それから、ただいまの報告によります「むすび」のところが非常によく書けていると思うのです。「ここ数年来、我が国経済には先行き不透明感、閉塞感が漂っており、それが消費者や企業等に対し自信を持った経済活動を躊躇させ、我が国経済社会全体の活力を低下させることにもつながっている。こうした状況に対応するためには、国民に対し、構造改革後の我が国経済社会の姿を明確に示し」とあります。とにかく、日本の経済というのはまだまだバブルの後遺症から脱しきれていない。そのためにいろいろな問題を生じている。だから、「活力ある経済・安心できるくらし」ということにしていくためには、相当思い切った施策が必要であるということを指摘しているわけです。

全くそうですけれども、対策の内容はどうなのかというと、これが私は大変ミスマッチというか、それこそ対策の内容に不透明感が非常に出ているということで、一体、本当に何をやるのかということが明確に出ていないことが最大の問題ではないかと思うのです。

バブルの後遺症で日本経済の体力、活力がないわけです。活力がないということは、需要が足りないということだと思うのです。需要が足りないのを、民間の構造改革で、例えば規制緩和で、民間の事業を盛り上げようというのだけれども、そういうことが可能なのかどうか。規制緩和だけで事業が盛り上がってくるのかどうか、私には、経済学については非常に無知でございますから、その辺のメカニズムは理解できないのですけれども、長い間の私の人生経験からいっても、そういうことはないのではないかという気がいたしま す。そのあたりに問題があるのではないか。

要するに、バブルを経験して、そのバブルが崩壊して、日本経済は大変な大病に陥ったわけです。豊田さんのところは非常に結構ですけれども、車の方は順調ですからいいですけれども、全体としては、皆さんが大病に陥っているのです。それでどういう大病かと、とにかく再起不能のような状態に陥ったのですけれども、若干は回復をしました。しかしながら、体力が元どおりになっていないというのが1つ。もう一つは、日本経済の傷口がふさがっていないということです。体力が回復していないということは滋養が足りないということですから、栄養剤を補給していかなければいけない。点滴をまだやらなければならない状況です。もう一つ、傷口がふさがっていない、これはまさに金融です。金融システムが極めて不安定化している。つい最近も、金融・証券で大きなところが2つも倒産いたしました。

だから、「21世紀を切りひらく緊急経済対策」といっても、ちっとも緊急にはなっていない。足元に火が付いた。その足元の火をどう消すかということが今は非常に重要だと思うのです。

それには、いろいろな提案なども出ておりますけれども、例えば10兆円の国債発行云々も出ておりますけれども、それは理論的にいろいろ考えるとそういったのは問題があるかもしれませんけれども、とにかくやる。どんなことがあっても金融システム不安は解消するのだということを鮮明に政府が、それこそ、この中に「大胆に」というような表現が入っておりますけれども、大胆にこれを言明しなければいけないと思うのです。

皆さんはそういう経験がないと思いますけれども、とにかく妙な噂が銀行の中で出るでしょう。そうすると、今だって並ぶのです。銀行の支店に、預金者が並んでいるのです。それで、郵便局に駆け込むのです。これは「安心できる暮らし」ではないでしょう。「安心できない暮らし」ですよ。

それから、滋養が足りなくて、どんどん倒産して、それで失業者が街に溢れる。日本の失業率は 3.5%までになりましたけれども、まだこれから先増えるのではないかという感じがいたします。

それから、日本経済に対する見方、海外の見方は非常に厳しいです。既に、金融では 「シャパンプレミアム」という言葉が登場しておりますけれども、プレミアムが付いても、金を貸してくれるうちはいいです。金を貸さなくなる恐れがあるのです。日本の金融機関で潰れるのは、みんなコールが取れなくて潰れていくわけですけれども、海外の金融機関から金が借りられなくなったらどうなるのかということです。そういう不安がないとは言えないです。

ですから、そういう問題でもっと大胆に踏み込まなければいけないのではないか。「6つの改革」は結構です。だが、これは中長期的な展望です。今日の報告でも、経済構造改革、それから財政構造改革、これをやれば日本経済はバブルの後遺症から脱出して、年3%ぐらいのGDPの成長は可能になるだろう、というニュアンスで書いてあるのですけれども、そういうことはないのではないか。病人に、「もう薬もやらないよ、傷口は勝手に治しなさい」という状況では、とても日本経済は、活力を取り戻して、国民の暮らしが安心できるような状況には、僕はならないという感じがするのです。

私だけが申し上げていても、発言したい方があると思いますから、もうこの辺で発言はやめますけれども、本当に政府は、それは与党もそうですけれども、一体となって、困難な危機的な状況を打開するという、そういう方向づけを緊急にしてもらいたい。毎日、官邸に籠もってやってもらっても結構です。そのぐらいの意気込みがないと、国民は安心できないでしょう、ということです。

ぜひそれをお願いしたいということを申し上げまして、私の発言を終わります。ありがとうございました。

〔 豊田会長 〕 ほかにございますか。

〔 和田委員 〕 簡単に3点申し上げたいと思います。第3章「今後の経済運営に当たって」の第2節「今後の課題」、その「第1に」のところで、金融システムの安定を維持することが緊急の課題というのは、もちろん異論はございません。ただ、昨今の報道を見ておりますと、公的資金がどう使われるのかということに対して、納税者は大変厳しい目を向けております。ここに書いてあるところから少し外れるかもしれませんけれども、公的資金というのは、あくまでも預金者保護というところを明確にしていただきたい。金融機関の安定ということに名を借りて、どういうふうに使われるのかということについて、納税者が大変厳しい目を向けていることを、1点申し上げておきます。

第2は、次の16ページ、「第4に」のところです。規制緩和によりまして、国民生活の向上に結びつくことになると思います。確かに、私たちの日常生活の中で、「ああ、これが規制緩和によってこういうことになったのか」と感じることはたくさんあるわけです。例えば、いろいろな物の値段、それからサービスが多様化したりということで実感もありますけれども、思いがけない面も事実あるわけです。特に、ここにありますような情報の開示、それから市場の監視機能の強化、これは新しい市場経済に移るわけですから、新しい市場経済の新しいルールというのがきちんと定着していかなければ、望ましいような国民生活の向上には結びつかないと考えております。それから、監視機能の強化、真の弱者に対する救済措置、この辺のところも書かれてはおりますけれども、十二分に対策を立てていただきたいと、お願いしておきたいと思います。

具体的に申し上げますと、私たちの、まわりにいろいろな立場の人がおりますけれども、こういうことを話しますと、「何年か先に国民生活が安定して、私たちにとってプラスになるかもしれないけれども、とにかく明日、明後日困るんだ」という人が多いわけです。それが「真の弱者」という、これは別に高齢者ということに限らずだと思いますけれども、例えば、私どもの年代になりますと、まだ両親がいる者は、高齢者が高齢者の面倒をみるということで、共倒れ寸前という人がたくさんありまして、「何年か先じゃないの。明日か明後日、とにかくその状況を何とかしてほしい」という人たちがいるということだけ、申し上げておきます。

3点目は、第3節に地球温暖化問題が書かれております。ただいま京都で行われておりますCOP3、私も先日、NGOの会に出席してまいりましたけれども、議長国として、将来の地球環境のために、取り返しのつかないことがないような、間違いのない対策、決定というものに取り組んでいただきたい。

以上3点、お願いしておきたいと思います。以上でございます。

〔 下村委員 〕 総合的には妥当と思われる対策その他がここに提案されているわけでございますが、先ほど鶴田委員がおっしゃったように、日本経済の現状分析、そして、現在こうなっている理由は、例えば成長率が予想どおりにいかなかった理由はこういう背景があると、そういうのを読むと全部納得はするのですけれども、私が一番日本の弱点というか問題だと思っている点は、こうした対策1つを取ってみましても、そういうものが決まるまでに大変時間がかかり、そして、その対策が現実に実行に移されたときは、全く違う状況が起こっているという、常に後手後手というのでしょうか。

たまたま私はこれを拝見して、これはあくまでも1つの例でございますが、資料2「21世紀を切りひらく緊急経済対策」の9ページ、「国内航空運送事業の需給調整規制については、平成9年度中に目途に結論を得た上で、平成11年度までに廃止し」──、例えばで言えば、2年先です。

今、日本的なデシジョンメーキングのシステム自体、それから、こうした日本的な政策決定のプロセス、そういうものに時間がかかりすぎる。皆さんの稟議制、それからコンセンサス方式ということが日本の長所であると言われていた時代があったのですが、今はそれが非常に欠点になって出てきているのではないか。その辺は、せっかくいい対策を決めても、一気呵成にやらないと、事態はどんどん変化していってしまうという怖さです。

ところが、現実、みんないらいらしていて、恐らく政策を決定している現場にいらっしゃる方もいらいらしていて、十分わかっていらっしゃるのでしょうけれども、現実の日本の決定の仕組みそのものに手足を縛られて、いろいろやって決定したときには、もう事態は違うことが起こっている。その決定したことが実行に移されるまでに、また時間がかかる。常にタイムラグ、これは私は何とかできないかと。

特別の緊急事態のときには特別のタスクフォースとか、そうしたものを踏んで、一気呵成に実行に移せる。ばんばん手を打っていける。何かそういうことをお考えいただかなければ、せっかくのいいアイデアも生きていかないのではないかというふうに心配いたしま すので、一言申し上げます。

〔 星野昌子委員 〕 簡単に申し上げます。18ページの5)のNPO(民間非営利組織)に関するところですが、こういうふうに取り上げて書かれることに評価を示したいと思いますし、その下にあります民民規制という表現でおっしゃっているのは、今後、純粋のNPOが力をつけていくことの大きな邪魔になっておりますので、これが入ってきたということは大変結構だと思うのですが、その新規参入に対して「業界団体」というふうにおっしゃっているのは、恐らく既存の民間非営利組織という意味だと思うのですが、ここは、既存の民間団体と新しい非営利組織との間の問題ではなくて、既存の団体( ここでの表現を借りますと業界団体) とは政府との絡みが非常にあるわけです。人とか、お金の部分ですね。それに対しまして、新しいNPOと呼ばれているところは、ほとんどが任意団体で、政府とは現在関係を持たずに動いている。その大きな違いが、これだけの表現ではあまりよくわかりませんが、一番最後の行、「業界団体の役割及びそのあり方」というところは、「業界団体の役割及び政府との関係のあり方についての検討を行っていくことが必要とされる」という意味で読ませていただきたい。そことの関係を改善することによって、自然に民民規制というものは解決に近づくと思います。

〔 豊島委員 〕 差し支えなければ教えていただきたい質問なのですけれども、1つは、3ページの中で、予想どおり成長しないという中で、駆け込み需要の問題と医療費負担があるのですが、世間では、特別減税がなくなったということを言っているのが一般的ですが、これをお入れにならなかったというのは、あれはあまり影響がないという認識であるのかどうか。別に私がどちらという意見はないのですけれども、ちょっと一般の書き方と違うのはどうしてかなということです。

もう一つは、21ページからの「高コスト構造是正・活性化の進展状況」ということで、これは経済計画とか「6分野の経済構造改革」、それによって決まったことから後の活性化の進展状況なのか、その前の措置も含むのかよくわからないのです。例えば、私は、この審議会でいろいろやった措置とか何かの結果かと思いましたら、23ページは、60年度以降なんてずいぶん昔からのことが書いてあるので、その辺はどうか。例えば、携帯電話などは、むしろこの審議会の前だったと思いますけれども、ものすごく売り切り制をして増えた。設備投資などはものすごく電気通信で増えていて活性化になっている、そういうのは出ていないけれども、60年度以降が出ているというので、どういう観点からこれをまとめられたのか。

例えば、住宅などでもものすごく規制緩和されていて、それなりに私は非常に活性化に役立っていると思うのですけれども、全体の住宅の投資が減っているというのは景気とかほかの要因があって、そういう要因がある中でも活性化に役立っていることもある。そういう認識もあるので、マクロの数字が増えた減っただけではなくて、そういう観点の進捗状況というか、効果というのを考えるべきではないか。

後半、ちょっとわかりにくかったところがありましたので、その点、もし差し支えなば教えていただきたいと思います。

〔 諸井委員 〕 私は、今回の報告については、大体現状認識も 1.9%の成長は困難、足踏み状態にあるということで、同感であります。それから、その対策として、従来型のいわゆる景気振興策ではなくて、きちっと規制の緩和・撤廃を中心にして民間の活力で建て直していくのだと。いくつかの業種についても例示を挙げて具体的に方向を示されております。同時に、金融のビッグバンが進むということは、今のような状態が起こることは前提にしているわけですけれども、それに対して金融恐慌の方向へ行くということに対しては万全な対策を講じていくというようなことで、全体に今回の報告については、私は、基本的にこれは結構だと存じます。

細かい点でいろいろあるのかもしれませんが、できればひとつ皆さんにお諮りをして決定していただければと存じます。

〔 豊田会長 〕 今までのご質問その他のご意見に対して、事務局からお願いします。

その後で長官からお願いいたします。

〔 中名生総合計画局長 〕 豊島委員から2つご質問いただきましたので、簡単にお答え申し上げます。

第1点は、3ページの真ん中あたりに2)ということで、景気停滞の要因が書いてありますが、ここで特別減税廃止を触れていないのはどうしてかというご指摘がありましたが、特にそれは影響がなかったということではありませんで、「等」に入っているということであります。

もう一つは、先ほどのご説明のときにご説明をとばしましたが、ご質問いただきました21ページ以降の「高コスト構造是正の動き」ですが、これは確かにご指摘いただきましたように、ちょっと前から記述されている部分もありますが、基本的には、計画策定後の動きということで書いてございます。

〔 尾身経済企画庁長官 〕 大変貴重なご意見をいただきましてありがとうございまし

た。いくつか、全く同感だと思っておりますのは、先ほど下村委員から、決定に時間がかかり過ぎるというお話がございましたが、時間がかかりすぎるというのは全く同感で、私自身もややいらいらしているところもあるのですが、「21世紀を切りひらく緊急経済対策」については、関係官庁も含めて一生懸命まとめて、内容的にはかなり詰まっておりますが、それだけに規制については官僚システムの抵抗もかなりあって、今の運輸関係のところについては、この程度の書き方が限界である。しかし、基本的にはおっしゃるとおりでございまして、一生懸命これからもやってまいりたいと思っております。

それから、鶴田委員のお話は、私は、いわば国民全般の非常に多くの方々がそういうふうに思っておられる、現状の閉塞感とか、政策が生ぬるいではないかとか、展望が開けていないではないかとかいうことも含めまして、おっしゃるとおりのことがいろいろあろうかと思います。我々が11月18日に出しました「緊急経済対策」は、目先の景気対策も含めておりますが、民間活力中心で経済を発展させるような方向転換をする中で、緊急対策とはいうものの、方向性を出していきたい。そういう転換をすることによって、日本経済の体質を変えて、要するに、公共事業中心の政府がてこ入れをするような景気対策から、民間活力が十分発揮できるようなシステム変更を含めた景気対策をやっていく。ちょっと時間がかかると思いますけれども、構造改革的な景気対策といいますか経済対策を考えているために、やや生ぬるいということもあろうかと思いますが、そこは承知の上で、しかし、長期的にはそういう方向に行くことを考えております。

したがいまして、立ち上がりは遅いと思いますが、立ち上がった場合には、私は、従来のように途中で失速するようなことがなく、一本調子で上がっていくような、そして日本経済がかつての力強さを取り戻すような態勢に持ち込めると思っております。

1,200兆円の個人資産の問題とか、ここにも書いてありますけれども、対外資産も世界一でございますし、技術の水準も最高水準に近い状態でありますし、国民も勤勉で働き者でやっている。そういう中で何が悪いかというと、日本人全体が日本経済のポテンシャルについての自信喪失であります。経済の総合力が、潜在的力が強い国がこんなに自信を失っている状態というのは、私は、世界の歴史の中であまり例がないのではないかと思うのでありますが、我々は、その点についての方向性をしっかり出して、実質的に強い力を持っている日本、国民の皆様にその点をよく自信を持っていただくような対策を出さなければだめだというふうに考えております。

そのときに、例えば、将来展望という点からみれば、情報化社会の問題とか、技術開発を進めるとか、あるいは新しいフロンティアの問題としてはスペースを倍増する。都会における地上過密・空間過疎、それから地域と都市中心部の過疎過密の問題等も含めて、スペース倍増というような方向で行く。それから、技術開発を進めて、日本経済の活性化を図っていくというような方向も、長期的な課題としては進めてまいりたいと思いますし、ここにおけるいろいろな議論も含めてやっていきたいと考えております。

もう一つ、金融システムの問題。11月18日の対策を出した後、北拓の問題とか、山一の問題とかがございまして、金融システム、信用秩序そのものに対する不安感、不信感というのが、日本だけでなしに、世界的に起こってきている。これに対してどうするかというのが今緊急の課題でございまして、これについては今年中には確実に、しっかりとした体制をつくって、外国の売り込みといいますか、日本売りに対する対策がしっかりできるように、またそういうことが起こらないように対応していきたいと考えております。

今、和田委員がおっしゃいました金融システムの問題で、預金者保護はいいけれども、銀行を国民の税金で助けるのはおかしいではないか、という非常に素直な国民感情がございまして、預金者保護あるいは保険契約者とか投資家保護をきちっとやるということについては、国民的なコンセンサスができていると思いますが、同時に、システムを守るということをやっていかないと、日本の金融システムの崩壊というような危険性がある。また、そういう外からの圧力もかかってくるという中で、ここのところをしっかりやっていかなければいけない。しかし、それには今、国際的な環境の中でシステムそのものが、外国からの不信感というか、不安感というか、国民も含めてそういうものを持っている緊急事態であるという認識を、国民の皆様にしっかり持っていただいておかないと、公平性の観点とかいうことを考えていきますと、場合によってはシステムそのものが崩壊する。むしろ、崩壊するというよりも、外国からの売り圧力といいますか、そういうもので崩壊する危険性があるわけです。それについては緊急事態であるということで、そこの認識をしっかり持って、国民の皆様にも理解をいただいた上で必要な対策はやる。そして、システムを守り抜いていくということが経済対策の基本であると考えておりまして、これについては思い切った、皆さんが安心できるような体制を作りたいと。私自身も、今日この時間はここに来ておりますが、これが終わりましたら、そのことのために走り回るということをしなければいけないと思っておりますが、そういうふうにしていきたいと考えております。 官房長官も来られましたので、このぐらいにします。


〔 豊田会長 〕 ありがとうございました。

それでは、まだご議論もあると思いますが、「『構造改革のための経済社会計画-活力ある経済・安心できるくらし-』の推進状況と今後の課題」を経済審議会として承認いたしたいと存じますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

〔 豊田会長 〕 ありがとうございました。

それでは、ご承認いただいた本報告書を、ただいま総理に代わりご出席いただいております村岡官房長官にお渡ししたいと存じます。

( 手交 )

〔 豊田会長 〕 それでは、村岡官房長官よりご挨拶をお願いいたしたいと思います。

〔 村岡官房長官 〕 官房長官の村岡でございます。

橋本総理は、公用のために出席できませんので、私が代理として総理のご挨拶を申し上げたいと思っております。

ただいま、豊田会長から、「『構造改革のための経済社会計画-活力ある経済・安心できるくらし-』の推進状況と今後の課題」を頂戴いたしました。委員の皆様方におかれましては、これまで熱心なご議論を重ねていただきましたことに、厚く御礼申し上げます。

さて、最近の我が国の経済情勢をみますと、景気が足踏み状態にあるなかで、バブルの後遺症である金融機関の不良債権問題等により複数の金融機関の経営破綻が起きており、依然として厳しい政策運営を強いられております。

政府としては、我が国経済を早急に順調な回復軌道に乗せるために、去る11月18日に 「21世紀を切りひらく緊急経済対策」を決定いたしました。今後は、同対策に盛り込まれた施策を着実に実行していきたいと考えております。さらに、金融システムの安定について、預金者保護を目的として、公的支援を含め、具体案を早急に得、私自らが強い決意を持って、金融システムの安定性確保に全力をあげて取り組んでまいりたいと考えております。

こうした足元の問題に対し適切に対処するとともに、中長期的には、21世紀に向けて活力ある経済社会システムを創造するため、行政改革、財政構造改革、社会保障構造改革、経済構造改革、金融システム改革、教育改革の「6つの改革」について、これを内閣の最重要課題と位置づけて取り組んでいるところであります。

このうち、行政改革に関しては、内閣機能の強化、新たな中央省庁のあり方、行政機能の減量・効率化、公務員制度の改革等、広範にわたる内容を盛り込んだ行政改革会議の最終報告が取りまとめられましたが、先般12月4日には、政府としてこれを最大限尊重し、直ちに中央省庁再編等のための準備体制に入る旨を決定いたしました。また財政構造改革に関しては、去る11月28日に「財政構造改革の推進に関する特別措置法」が成立いたしました。このほか、経済構造改革、金融システム改革等についても具体的進展がみられているなど、「6つの改革」はそれぞれ着実に実行に移されております。現在、厳しい経済情勢下ではありますが、今後とも、英断をもって構造改革を強力に押し進めていく必要があると考えております。

構造改革を成し遂げ、新しい経済社会システムの姿が見えてくれば、我が国の先行きの不透明感は払拭され、我が国経済の活力が回復してくるものと確信しております。経済審議会におかれましては、現在、改革後の経済社会の姿やそのあり方についての審議を精力的に進めていただいていると伺っております。こうした将来の展望を明確に描き、国民にお示しすることは、改革自体の推進と同様に極めて重要であると考えております。

委員の皆様方には、これまでのご尽力に感謝申し上げるとともに、引き続き、我が国経済社会の構造改革の推進のために、ご支援とご協力を賜りますよう重ねてお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。

ありがとうございました。

〔 豊田会長 〕 どうもありがとうございました。

鶴田さん、手を挙げたままでしたので、どうぞ。

〔 鶴田委員 〕 大臣と敢えて議論をするつもりはないのですけれども、一つ、二つ私の認識と違うところがあるので、せっかくの機会ですから、聞きたいと思うのです。

1つは、活力ある日本経済にするためには、今までは財政によって、公的事業によって日本の経済の成長が進められてきたというか、達成されてきたというご認識だと思うけれども、確かに、公的事業に助けられた面はありますけれども、何といっても、民間の活力、民間が中心になって日本経済の高度成長、日本経済の高度の健全な発展を遂げてきたのではないかと私は思うのです。そこのところは、大臣の言葉が足りなかったのかもわかりませんけれども、民間が中心になってやってきたと思うのです。それを財政需給の面から補強してきたことは否定できませんけれども、もうそれは財政危機的状況にあるから一切だめなのだ、財政は出ていけないよ、民間だけでやれ。民間の構造改革で、民間の需要がうまく、自然にとは言わないかもしれませんけれども、自動的に盛り上がってくる。それでバラ色の展望がひらける、みたいな感じではないかというのが私の感触なのです。

それから、いろいろな構造改革をやれば、「21世紀を切りひらく緊急経済対策」。大臣もそれはおっしゃっていましたけれども、足元に今火が付いているのです。という感じがするわけです。                        

外国の売りというお話がありました。例えば、外国のレーティング会社が日本の金融機関とか証券会社は投資不適格とか、そういうレーティングをするものですから、それが倒産につながった、結果論としてそういうことはあるのです。ありますけれども、それでは、そういう外国──人によっては「自分たちのあれを外国の悪人どもが──」なんて言う人もありますけれども──、そういうレーティングがいいか悪いかという問題はありますけれども、それに耐えられるような力。あるいは、外国の売り圧力というか日本のレーティングから、日本の経済運営のシステムがしっかりしていればそれは守りきれると思うのです。それを、みんながうろたえちゃって、一部の力のないところが倒産に追い込まれるということになったのでは、えらいことになるのではないか。そのあたりの身を守る、まずその対応策をしっかり固めて、それで、変な売りかどうかは別として、レーティングで日本の金融機関はだめだよと言われて──。

最近は、マスコミなどでもそういうことをいろいろ取り上げたりしますけれども、日本の国内の学者が書いてもあまり騒がないのですけれども、外国が書くともっともらしくなるのかどうか知らないけれども、わぁわぁ大騒ぎになったりします。そういう意味では、非常に緊急を要するのではないかと思います。

〔 豊田会長 〕 貴重なご意見をありがとうございました。私も、同感するところも多々ございますが、長期的なものと短期的なものと両方組み合わせてうまくやっていくということにつきまして、先ほども、「21世紀を切りひらく緊急経済対策」の要旨もご説明がありました。そういう点について、民間もひとつ元気を出してやっていかなくてはならないと思っております。

それでは、次の議題に移らせていただきます。第2の議題は、経済社会展望部会及び経済主体役割部会の審議状況についてでございます。経済審議会におきましては、経済構造改革によりもたらされる我が国の経済社会や国民生活の姿を国民にわかりやすく示すべく、本年6月に、経済社会展望部会と経済主体役割部会の2つの部会を設置いたしまして、審議を行っているところでございますが、両部会のこれまでの審議状況についてご報告をいただきたいと存じます。まず初めに、経済社会展望部会の審議状況について、香西部会長代理よりご報告をお願いいたします。

〔 香西委員 〕 経済社会展望部会の部会長代理の香西でございます。

本日は、小林部会長がご欠席ですので、代わりまして、経済社会展望部会のこれまでの審議経過について、ご説明いたします。

本部会におきましては、「6つの改革」等諸般の構造改革の動きを踏まえた我が国経済・社会の姿を展望することを課題しておりまして、7月25日に第1回会合を開きまして審議を開始いたしました。さまざまな分野における展望作業を充実させるため、第2回会合において地球環境、グローバリゼーション、産業構造、技術革新、雇用・労働、財政・社会保障、金融、土地・住宅、ライフスタイルといった9つのワーキンググループを設置いたしまして、精力的に審議作業を行っております。現在の審議状況につきましては、先月開催いたしました第4回会合におきまして、このうちの3つの産業構造、雇用・労働、金融のワーキンググループの審議経過報告を受けまして、残りの報告につきましては、今後の第5回会合において、ワーキンググループより審議経過の報告を受けることになっております。

各ワーキンググループの課題でございますけれども、地球環境につきましては、CO2削減の可能性とそれを実現するための方策、そのための国際的取り組みや長期の取り組みについて検討を行っております。

グローバリゼーションにつきましては、グローバリゼーションの動きが雇用等国民経済に及ぼす影響あるいは多国間の制度調和のあり方、中長期政策の効果等といった点について議論することとしております。

産業構造につきましては、新規事業展開促進のための環境整備のあり方、基盤技術が抱える問題点あるいは今後の産業構造のあり方等について議論することとしております。

技術革新につきましては、技術力を決定する要因を検討しております。また、産業における情報通信技術革新の成果活用の動向や、そのための条件整備の問題を議論することとしております。

雇用・労働につきましては、雇用システムの変化あるいは将来の労働力需給の展望等を行う予定となっております。

財政・社会保障につきましては、世帯間の受益・負担構造の今後の変化を展望し、社会保障制度等のあり方について今後検討を深めるつもりでおります。

金融につきましては、金融システムの環境変化について議論をし、さらに金融決済システムの変化が経済に与える影響等について検討することとしております。

土地・住宅につきましては、今後の住宅供給や住宅金融のあり方、資産の有効活用方策等について検討する予定でございます。

ライフスタイルにつきましては、21世紀初頭のライフスタイルを検討していくこととしております。

経済計画のフォローアップ報告にもございましたように、経済の先行きに不透明感、閉塞感が漂い、これが消費者や企業の活動・活力を低下させることにつながっている中で、国民に対し、将来の経済社会の展望を切りひらいていくことが極めて重要であると存じます。このため、年明け以降、各ワーキンググループにおける作業等を踏まえて、各ワーキンググループの議論の相互関連も十分念頭に置いて審議を行い、来年6月を目途に全体としての我が国の経済社会の姿を明確にしたいと考えております。

取りまとめに向けての方向につきましては、今後の部会において議論すべきことでございますけれども、部会長のお話も承りますと、1)情報の開示と市場監視機能の強化を前提としまして、価格をシグナルとして生産要素が柔軟に移動し、各市場参加者が積極的にリスクテイクを行い、かつリスクに対する適正なリターンが得られるような経済システム、すなわち「透明で公正な市場システム」の確立。2)不良債権問題や将来世代への過重な負担等を解消しつつ、我が国がこれまで培ってきた人的能力・技術・文化、蓄積してまいりました物的資産・金融資産、構造改革を経た後の経済社会諸制度・システム、こういった財産を将来世代に手渡し、未来の可能性を拡大させるような取り組み、すなわち「プラスのストックの未来への継承」。3)地球環境等の面での諸問題の解消をめざす「環境と調和した社会」という視点が基本になり得るのではないかと考えているところでございます。簡単ですが、以上でございます。

〔 豊田会長 〕 ありがとうございました。

引き続きまして、経済主体役割部会の水口部会長からご報告をお願いいたします。

〔 水口委員 〕 経済主体役割部会長の水口でございます。

経済主体役割部会のこれまでの審議経過につきまして、簡単にご説明させていただきます。

私どもの部会では、現在まで計5回の会合を重ねてきておりますが、特に、公的部門、企業部門、個人部門、NPO等の新しい経済主体といった各経済主体がどのような中心的な役割を担っていくのか、各主体相互の関係はどのようになっていくのかという問題について議論を進めているところであります。

具体的には、公的部門の役割、企業部門の課題、個人部門の課題については部会全体として、また民民規制、雇用・労働、NPOについてはワーキンググループを設置して、それぞれ検討を行っているところでございます。

これまでのおおまかな審議経過につきまして、ご報告いたします。

まず、公的部門の役割のうち、官民の役割分担につきましては、「官」から「民」へ、「国」から「地方」へ、といった基本的な考え方を具体的にどのように進めるべきかについて、社会資本整備を例にとりつつ議論を進めております。

具体的には、公共サービスにおける手段としてのPFIあるいはBOTといったような民間活力を活用した社会資本整備のあり方、地域における社会資本整備の評価検討手法等について検討を行っております。

一方、民間業界団体等による規制的役割(先ほどからご議論がございましたが、いわゆる民民規制) につきましては、いわゆる民民規制ワーキンググループを設置しまして、民民規制の定義、取り上げる具体例の分野について検討を行っております。実態の把握に現在努めているところでございます。

今後は、民民規制についての一般論、あるいは業界団体が今後積極的に担うべき役割とあり方につきまして議論をしていく予定にしております。

次に、企業部門の課題につきましては、我が国のコーポレートガバナンスはいかにあるべきかということにつきまして、グローバルスタンダードとの整合性を踏まえながら議論を進めております。

具体的には、メインバンクシステムや株式持ち合いの経過と現状の判断、そして今後の方向等につきまして検討を行っているところであります。

なお、雇用・労働につきましては、役割部会全体としての議論を踏まえながら、ワーキンググループにおいて審議が進められております。雇用・労働ワーキンググループにおきましては、産業・企業間の労働移動が増大することが見込まれる中で雇用の安定を図っていくための方策はいかにあるべきか、働き方が多様化する中で、労働者の自己実現、職業能力の開発・発揮を図っていくために、各経済主体に求められる課題は何か、等について議論を行っております。

今後は、女性・高齢者の雇用等についても検討いただく予定になっております。

次に、個人部門の課題につきましては、個人が、消費者や投資家等としてマーケットにおける積極的なプレーヤーとなるための制度的補完等について検討を進めていきたいと考えております。

最後に、NPO等の新しい経済主体の課題につきましては、NPOワーキンググループを設置して、構造改革における経済主体としてのNPOの役割、他の経済主体との相互連携のあり方等について議論を行っているところでございます。NPOの範囲としては、いわゆる市民活動的なものにとどまらず、労働組合等も含めて広くとらえて検討しております。この意味で、NPOは、今後、政府の、あるいは企業の役割とは異なる重要な役割を果たすのではないかという議論があると考えております。

これからは、他の各経済主体との係わり、NPO自体のガバナンスのあり方、健全な発展のための環境整備等について審議していただく予定になっております。

最初に申し上げましたように、当部会では構造改革後の社会における各経済主体の役割と新しい経済システムのあり方を検討することとされております。現在、構造改革は緒についたばかりであり、当面の緊急課題であります金融ビッグバンと預金者保護、並びに金融システムの安定・活性化という問題に見られるように、情報開示と市場参加者の自己責任を柱とする透明で公正な市場システムの確立のプロセスにあります。したがいまして、第6回以降の会合におきましては、これまでの部会審議並びにワーキンググループの検討状況を踏まえつつ、官から民へという考えの下、その具体策の進め方、企業活力を高めるためのシステムのあり方、自立した個人を活かすようなシステムのあり方、市場にも係わるようなNPOのあり方といった具体的方策に踏み込んで、必要に応じて更に議論を深めるとともに、各主体間に共通する問題、あるいは相互に関連する問題について横断的な議論を行いながら、来年6月を目途に取りまとめを行う予定でございます。

なお、以上申し上げました各経済主体の役割と課題等の審議とは別に、現下の経済情勢にかんがみ、経済構造改革のより一層の強力な推進を図ることが必要とされていることを受けまして、本年10月15日の第3回会合におきまして新たに「経済構造改革ワーキンググループ」を設置いたしました。

同ワーキンググループにおきましては、昨年12月の経済審議会建議「6分野の経済構造改革」で掲げられた諸施策の着実なフォローアップを図りつつ、同建議の内容を拡大・深化をさせた形で、今後進めるべき規制緩和策等を盛り込んだ提言を早急にまとめるべく緊急の検討を進めてまいりました。

この結果は、先月21日に「経済構造改革ワーキンググループ報告書」としてワーキンググループにて取りまとめまして、25日に開催された第5回経済主体役割部会におきましてその報告をいたしました。本日お手元に資料8として配付させていただいておりますので、あわせてご報告いたします。

以上でございます。

〔 豊田会長 〕 ありがとうございました。

それでは、ただいま両部会のご報告がございましたが、その審議状況も含めまして、経済審議会の今後の運営につきましても、皆様方からご意見を頂戴したいと思います。

それでは、特にございませんようですので、本日予定されました議題はすべて終了いたしましたので、本日の経済審議会はこれにて閉会とさせていただきたいと存じます。長時間にわたりまして貴重なるご審議誠にありがとうございました。本日いただきましたご意見等につきましては、経済社会展望部会及び経済主体役割部会をはじめ、今後の経済審議会の運営に反映させてまいりたいと存じます。

なお、本日の審議の模様等につきましては、この後、長岡会長代理より、発表させていただきたいと存じます。

それでは、これにて散会といたします。ありがとうございました。

──以上──

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