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経済審議会総会議事録 平成12年12月18日

日時:平成12年12月18日

場所:内閣総理大臣官邸ホール

経済企画庁


経済審議会議事次第

日時:平成12年12月18日

10:00~11:00

場所:内閣総理大臣官邸ホール

  1. 開会
  2. 経済企画庁長官挨拶
  3. 「経済審議会活動の総括的評価と新しい体制での経済政策運営への期待」(案)について
  4. 内閣総理大臣挨拶
  5. 閉会

(配布資料)

  1. 経済審議会委員名簿
  2. 「経済審議会活動の総括的評価と新しい体制での経済政策運営への期待」(案)
  3. 経済審議会報告書別紙(案)
  4. 「経済審議会活動の総括的評価と新しい体制での経済政策運営への期待」(案)のポイント

(出席:敬称略)

(委員)

豊田章一郎会長、長岡實会長代理、稲葉興作、角道謙一、金井務、香西泰、小長啓一、小林陽太郎、佐々波楊子、下村満子、末松謙一、鶴田卓彦、畠山襄、星野進保、星野昌子、水口弘一、村田良平、諸井虔、師岡愛美、山口光秀、鷲尾悦也、和田正江

(内閣官房)

森総理大臣、福田官房長官、安倍官房副長官、上野官房副長官、古川官房副長官、江利川首席内閣参事官

(経済企画庁)

額賀経済企画庁長官、坂井総括政務次官、中名生事務次官、新保経済企画審議官、坂官房長、牛嶋総合計画局長、池田国民生活局長、鹿島物価局長、小峰調査局長、加藤経済研究所長事務代理 他


経済審議会委員名簿

会長    豊田 章一郎   トヨタ自動車(株)取締役名誉会長

会長代理  長岡  實   (財)資本市場研究会理事長

      伊藤 助成   日本生命保険相互会社代表取締役会長

      稲葉 興作   石川島播磨重工業(株)代表取締役会長

      角道 謙一   農林中央金庫特別顧問

      金井  務   (株)日立製作所取締役会長

      公文 俊平   国際大学グローバルコミュニケーションセンター所長

      香西  泰   (社)日本経済研究センター会長

      小長 啓一   アラビア石油(株)取締役社長

      小林 陽太郎   富士ゼロックス(株)代表取締役会長

      佐々波 楊 子   明海大学経済学部教授

      下村 満子   (財)健康事業総合財団理事長

      末松 謙一   (株)さくら銀行常任顧問

      鶴田 卓彦   (株)日本経済新聞社代表取締役社長

      得本 輝人  (財)国際労働財団理事長

      那須  翔   東京電力(株)相談役

      畠山  襄   日本貿易振興会理事長

      星野 進保   総合研究開発機構特別研究員

      星野 昌子   日本国際ボランティアセンター特別顧問

      水口 弘一   (株)野村総合研究所顧問

      村田 良平   (株)三和銀行特別顧問

      諸井  虔   太平洋セメント(株)取締役相談役

      師岡 愛美   日本労働組合総連合会副会長

      山口 光秀   東京証券取引所顧問

      山口  泰   日本銀行副総裁

      鷲尾 悦也   日本労働組合総連合会会長

      和田 正江   主婦連合会会長


〔 豊田会長 〕 ただいまから経済審議会を開催いたします。

 本日は、委員の皆様方には大変ご多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 また、額賀経済企画庁長官におかれましても、お忙しい中をご出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 なお、森総理大臣及び福田官房長官にも、後ほどご出席いただける予定となっております。それまでにできる限り議事を進めたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、議題に入ります前に、額賀経済企画庁長官からご挨拶をいただきたいと存じます。

〔 額賀経済企画庁長官 〕 それでは、座ったままで失礼させていただきます。

 ただいまご紹介いただきました先の森第2次改造内閣におきまして経済企画庁長官及びIT担当相を命ぜられました額賀です。

 本日、経済審議会の総会に当たりまして一言ご挨拶を申し上げさせていただきたいと思います。

 豊田会長はじめ香西総括部会長を中心として、委員の皆様方にはこれまで大変お骨折りをいただきまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。

 「国民所得倍増計画」、「生活大国5か年計画」等をはじめ、この半世紀の間に委員の皆様方の日本の経済の発展のために尽くされたご功績というものは数えきれないものがあります。誠に感謝申し上げる次第でございます。

 今、日本経済もバブル経済崩壊後、ようやく明るさを取り戻して回復基調にあるわけでありますけれども、引き続いて全力投球をして本格的な回復、自立的な軌道に乗せていくことが我々の務めであると思っているところでございます。

 経済企画庁は、来年1月6日からは内閣府及び「経済財政諮問会議」という形に生まれ変わっていくわけでありますけれども、これは言ってみれば20世紀から21世紀に向かって官から民、官僚主導から政治主導、護送船団方式から競争社会、そういう理念に基づいて行政の改革が行われたものと思っております。私どもは民間の力を活用した形で経済運営の指針、あるいは財政の方針を決めて、国民の期待に応えていかなければならないと思っております。

 そういう中で、総理大臣のリーダーシップが発揮できるような形を作っていくことが私の仕事であると思っているところでございます。

 本日、皆様方にご審議いただく総括部会での取りまとめにつきましては、今後、経済財政諮問会議等を通じて新しい時代にふさわしい政策運営を行っていく上で貴重なよりどころにしてまいりたいと思っているところであります。

 むすびに当たりまして、これまでの経済審議会の活動において大きなご尽力をいただきました豊田会長をはじめ皆様方に心から感謝し、私の挨拶に代えたいと思います。ありがとうございました。

〔 豊田会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、議題に入らせていただきたいと存じます。

 本日の議題は、経済審議会報告書案「経済審議会活動の総括的評価と新しい体制での経済政策運営への期待」についてでございます。

 経済審議会は、中央省庁等改革に伴い来年1月をもって廃止され、1952年の創設以来ほぼ半世紀にわたる活動の幕を閉じることになりました。これを踏まえまして、これまで経済審議会が担ってまいりました機能と役割を評価するとともに、新しい中央省庁体制での経済政策運営への期待をとりまとめるために、総括部会を設置しまして、本年の9月から調査審議をお願いしてまいりました。

 今回、その総括部会での報告書案がとりまとめられましたので、総括部会の香西部会長からご報告をいただき、続きまして事務局から補足説明をお願いいたしたいと存じます。

 それでは、香西委員、お願いいたします。

〔 香西委員 〕 総括部会長を仰せつかりました香西でございます。

 本日お諮りいたします報告書案を取りまとめました総括部会を代表しまして、部会の審議経過と報告書案の概要を簡単にご説明させていただきます。

 総括部会は、これまでの経済審議会が経済計画の策定等を通じて担ってまいりました機能と役割を評価し、今後、政府内で引き継いでいくことが期待される機能と役割について調査・審議するという目的のために、前回6月30日の経済審議会におきまして設置されたわけでございます。

 部会といたしましては、9月25日の第1回の会合以来、計4回にわたりまして調査・審議を行いまして、お手元に配付されております本報告書案「経済審議会活動の総括的評価と新しい体制での経済政策運営への期待」を取りまとめたところでございます。

 報告書案は2章からなっておりますが、第1章におきましては、これまでの経済審議会活動について全体的な評価を行っております。経済審議会は、経済計画、長期展望、政策提言の3つの大きな活動を通じまして我が国の経済政策運営と経済の発展に大きく貢献してきたものである。総じてそのように評価しております。

 同時に、特に80年代後半以降、バブルの発生、崩壊あるいはその影響への認識が遅れたことなど、いろいろな反省点も指摘をしております。

 第2章におきましては、新しい中央省庁体制における経済政策運営への期待といたしまして、新しく導入される制度等を生かしながら21世紀初頭に想定される重要政策課題への効果的な取組のために、

第1に、構造改革問題等の重要政策課題につきまして、内閣総理大臣がリーダーシップを発揮して分野横断的、省庁横断的に取り組む必要があるということ、

 第2に、加速する経済社会の変化に対応した迅速な政策形成と実行が必要であるということ、

 第3に、政策形成と実行を促し、かつ国民の理解と協力を得るための将来ビジョンを構築する必要があること、

を強調して、それを期待しているわけであります。

 そして、また、これまでの経済審議会の活動の特性の中で特に、

第1に、広範な分野の有識者や専門家の知見を活用してきたこと、

第2に、経済学等の社会科学に基づく理論的分析や計量的手法の開発等を活用してきたこと、

第3に、政府と国民の間で幅広い情報の共有に努めてきたこと、

等といったような点については、新しい体制においても発展的に継承されることを期待しております。

 以上、本報告書の審議経過と概要につきましてごく簡単にご説明させていただきましたが、より詳細な点につきましては事務局よりご説明していただきたいと思います。

〔 牛嶋総合計画局長 〕 それでは、引き続きましてお手元に配付してございます資料に基づきながら、事務局の方から補足的に説明をさせていただきたいと存じます。

 資料2が、今回、総括部会でおとりまとめいただきました経済審議会の報告書の案でございます。

 資料3が、その別紙になっておりまして、資料4に今回の報告書案のポイントがまとめてございます。時間の関係もございますので、主として資料4によりながら概要をご紹介させていただきたいと思います。

 資料4に書いてございますように、本報告書案は2章立てでございます。第1章で、今、香西部会長からご説明がございましたように、これまでの経済審議会活動の総括的評価というものがまとめてございます。

 最初に、経済審議会の主要な活動とその調査審議体制が述べてございまして、これは、皆様ご承知のように、経済審議会の主要な活動といたしましては、先ほどもご指摘がございました「経済計画」、さらには時代の節目節目で策定されてまいりました「長期展望」、また、さまざまな個別の政策課題に対する「政策提言」といったものからなっているわけでございます。

 また、経済審議会の調査審議体制の特徴でございますが、経済審議会の委員は、経済界、学界、労働界、消費者、マコスミ等幅広い分野から構成されているということ、さらに経済計画の策定等に当たりましては、多くの部会、小委員会等が設置され、多種多様な専門家、有識者等が参画されて、専門家の知見と広範な分野の意見が反映されてきたということがございます。

 その後で、過去半世紀の活動を通じて経済審議会が果たしてきた機能、役割の評価ということでまとめてございます。

 この評価に当たりましては、まず、経済審議会の創設以降現在までの日本経済の歴史を主要な時代区分に分けて、その時代区分ごとに活動の評価を総括部会で行ったわけでございます。

 資料3の経済審議会報告書別紙案の最後に付けてあります図表を、ご覧いただきたいと思います。

 ここに掲げてございますように、経済審議会が1952年に創設されましてから現在までの日本経済の歴史を、「自立期」から始まりまして「日本経済の変革期」まで併せて7つの時代区分に分けて、それぞれの時代区分ごとに経済審議会の活動を評価したものでございます。その結果につきましては、この別紙の最初の部分の〔別紙1〕にまとめてございます。さらには、29ページ以降にその際に評価の基準ともいたしましたさまざまな指標が60本ばかりまとめてございますので、お時間のあるときにご覧いただければと存じます。

 総括部会での議論を通じまして1980年代の初め頃までは、経済審議会の機能、役割が非常に効果的に発揮されてきました。しかしながら、1980年代以降になりまして、引き続き有効な機能、役割を果たす一方で、経済審議会の活動にはさまざまな困難がみられたという点で、委員の間に共通の認識がございました。

 したがいまして、本文におきましては、全活動期間を通じた経済審議会活動の総括的な評価に加えまして、1980年代初めまでの活動の前半期とそれ以降今日までの活動の後半期に分けた評価もまとめてございます。

 また、ポイントの方に戻っていただきまして、1ページの最後のところでございますが、そういったことで、まず最初に総括的に全期間を通じた活動の評価といったものを述べてまとめてございます。

 経済審議会は次のa~eの機能、役割といったものを通じて、我が国の経済政策運営と経済の発展に大きく貢献してきたというのが全体の評価でございます。

a 的確な内外経済情勢の把握と経済社会の将来展望、それらの政府部内及び政府と国民との間での認識の共有

 b 目指すべき経済社会の姿についての政府部内及び国民の間でのコンセンサス形成の促進

 c 特定分野にとらわれない経済全体の立場からの重要政策課題の把握と政策の基本方針の策定

 d 政策目標達成に向けた個別政策の形成促進と政策間の整合性確保

 e 経済政策への国民の理解促進と中長期的な民間活動のガイドラインの提供

といった点がございます。

 以上のような経済審議会の機能、役割の効果的な発揮に貢献してきた経済審議会の活動特性といたしまして3つ挙げられておりまして、

 a 広範な分野の多くの専門家、有識者が参加した調査審議

 b 経済学に基づく分析や計量モデルを用いた政策シミュレーション、将来展望等の経済学的・計量的手法の活用

 c 政府と国民の間の幅広い情報共有の努力

以上が活動特性として挙げられております。

 次に、先ほど申しましたような観点で、活動の前半期と後半期に分けて評価が行われております。まず、創設時から調整期、80年代初めまでの活動の評価がまとめられております。一言で言えば、1)にございますように、我が国の経済政策運営と経済発展に大きく貢献してきたというのが評価でございます。

 (3)には安定成長期、1980年代初め以降今日までの活動の評価がまとめてございます。これも1)のところに書いてありますように、我が国経済が大きな転機を迎え、世界的にも激動が続く中で、新しい経済社会の潮流や進むべき経済社会の方向付けについて国民の理解を深めることに貢献してきたという評価がなされております。

 ただし、3ページの上から4行目以下でございますが、「この時期以降、経済審議会活動においてさまざまな困難があった」ということで、「克服が困難であった課題」として何点かまとめております。

 まず、大きな状況変化に対する認識と影響把握が困難であったこと。これは特にバブルの発生、崩壊及びその影響といったものについて的確な認識ができなかった、あるいは非常に認識が遅れてしまったという点。また、最近の例ではIT革命の経済社会への影響といったもの、あるいはその意義づけといったものについて認識がなかなかできなかった、特に今年に入ってから認識が深まってきたということでございますが、十分には前もっての認識が困難であったということを挙げております。もちろんこの点は、経済審議会に限らず我が国における有識者、あるいは政策担当者一般に言えることでございますが、経済審議会としてこの面がなかなか困難であったということが述べてございます。

 次に、構造改革面での具体的政策の実施の促進が困難であったということを挙げております。経済計画等におきまして構造改革の必要性については十分に述べられておりましたし、基本的な方針も示されていましたが、それを具体化するという点で困難がみられたということでございます。

 さらに、時代認識を迅速な政策、実行につなげることが困難であったということが挙げられております。

 特に1980年代以降、例えば1980年代初めに作られました「1980年代経済社会の展望と指針」等におきましても、時代認識については的確な認識が示され、また、政策課題についても的確な課題の提示が行われていたということが、総括部会における委員の間でも共通の認識でございましたが、それが政策の具体化ということになるとかなり時間がかかってしまった、迅速な政策の形成、実行につなげることが困難であったということが課題として述べられているところでございます。

 また、そのような形で機能、役割が従来ほどには発揮されなかった背景といたしまして、4点まとめられております。

a 80年代以降、キャッチアップ終了後における経済社会の方向づけが困難であったということ。

 b 経済活動が高度化し、経済活動の専門化、複雑化及び変化の速度が速くなるといったようなことがございまして、現場で何が起きているかということが、政策担当者、あるいは企業のトップの方々になかなか伝わりにくいという状況があったのではないか。また、制度の不備ということもございまして情報の開示が必ずしも十分でなかったということがあるのではないかということを述べております。

 c 総論賛成各論反対といった傾向が強まってきたのではないか。特に高度成長期の成功体験というものが制度的硬直性、あるいは既得権益の発生ということをもたらし、そのことが総論賛成各論反対という傾向の強まりにつながったのではないかというふうに述べられております。

 d 経済審議会の審議の特徴でもございますが、特に経済計画の策定といった場面におきましては、関係者全員の合意による取りまとめ方式というのが用いられたわけでございますが、そういった方式の限界というものもあったのではないかということが指摘されております。

 第1章の最後でございますが、経済審議会が果たしてきた機能、役割の今後における重要性というものをまとめております。

 (1)で示してございますように、政府の経済政策運営に関する環境条件が1)から4)に述べておりますような方向で変化しつつあるという認識の下に、経済審議会が果たしてきた機能、役割は21世紀初頭の経済政策運営においても引き続き有用であるというまとめがされております。

 (2)でございますが、第1章の最後といたしまして、経済審議会での経験と新しい体制への期待といったものの関連を述べております。新しい中央省庁体制におきまして新設されます「経済財政諮問会議」、これは経済審議会とはメンバー構成、あるいは審議対象、性格といったものが異なるものでございます。各省より一段高い立場から内閣としての政策の企画立案、総合調整に資するための新しい合議制機関として位置づけられるわけでございます。この意味で、経済審議会での経験がそのまま適用できるというわけではございませんが、経済政策運営を経済全体の立場から扱うという点では両者共通しているわけでございます。こういったことで、これまでの約半世紀にわたる経済審議会の経験を踏まえて、その活動の特性の中でも特に有効であったものについては発展的に継承されることを期待するということで第1章を締めくくっております。

 なお、経済審議会の経験を新しい体制での活動の参考にしてもらうという観点も含めまして、資料3の 107ページ以降でございますが、〔別紙2〕で1980年代以降の経験を踏まえまして経済審議会が担ってきた機能、役割を効果的に発揮する上での対応方向といったものがまとめてございます。

 こういったまとめも参考にして次の4ページからでございますが、第2章として新しい中央省庁体制における経済政策運営への期待というものが取りまとめられております。

 ここは2つのパートからなっておりまして、1.が新しい体制において期待される重要政策課題への効果的な取組でございます。

ここでは3本の柱立てがしてございまして、まず、(1)構造改革問題等の重要政策課題への分野横断的、省庁横断的取組ということでございます。

 21世紀初頭における日本経済の重要課題といたしましては、例えば財政再建、社会保障制度改革、あるいは新しい時代にふさわしい社会資本の形成といったものが挙げられるわけであります。こうした課題の多くは縦割り的な対応ではなく、経済全体の観点からの分野横断的、省庁横断的取組が求められているわけであります。また、制度的硬直性あるいは利害の対立というものを乗り越えて構造改革を進めていくためには、政策形成や総合調整に当たりまして、総理大臣のリーダーシップとそれを支える特命担当大臣等の積極的役割が求められるとしているところでございます。

 (2)では、加速する経済社会の変化に対応した迅速な政策の形成と実行ということが挙げられております。

 その前提は、1番目ですが、経済社会の変化の加速化と経済活動の専門化、複雑化に対応できる認識体制の整備ということでございます。

 また、2番目に、重要政策課題への時機を逸しない迅速な取組ということが指摘されております。例えば経済審議会におきましては、経済全体を対象とした包括的な経済計画を中長期の政策対応の核としてきたわけでございますが、状況の急変によって発生した重要な政策課題に対しましては、時機を逸せずに迅速に取り組み、包括的な政策体系の見直しについては必要に応じて行うといったような機動的な対応が、これからますます求められるのではないかという指摘でございます。

 さらに、これからの中央省庁体制下で政策評価というものが積極的に活用されていくことになっておりますが、そういったものも活用した状況変化に対応した迅速な政策の改善、見直しということも指摘されております。

 また、(3)では、政策の形成と実行を促し、国民の理解と協力を得るための将来ビジョンの構築ということを掲げてございます。

 ここでは2つのタイプのビジョンについて述べられておりまして、1番目は、当面の重要政策課題に関する課題対応型ビジョンの活用ということでございます。最近の例といたしましては、IT革命等への取組が挙げられようかと思います。

 5ページにまいりまして、2番目は、国民的要請に応じた経済社会全体についての包括的なビジョンの構築ということで、先行きの不透明感等を背景に、国民が求める場合には、将来展望や目指すべき経済社会の姿に関する総合的ビジョンも引き続き重要、としているところでございます。これは経済審議会においても経済計画といった形で策定してまいったものでございます。

 最後に、国民へ強く訴える力をもったビジョンの作成ということが掲げてございまして、そのためには、国民の生活や活動への関わりを数値等で分かりやすく示すといったこと、併せて、戦略性をもった政策の策定あるいは着実な実行の促進により、ビジョンが実現されるという確信を国民に与えることが重要であるという指摘をしております。

 次に、2.経済審議会の機能、役割の効果的な発揮を支えてきた活動特性の発展的継承ということでございます。

 ここも3本の柱からなっておりまして、(1)広範な分野の有識者、専門家の知見の活用ということでございます。幅広い分野の人々の知見、あるいは意見の把握ということ、さらには、実務家、専門家等の知見の活用といった経済審議会で行われてまいりましたことをこれからも発展的に継承してほしいという趣旨でございます。

 (2)では、経済学等の社会科学に基づく理論的分析や計量的手法の開発と活用ということを挙げております。

 (3)として、政府と国民の幅広い情報の共有が挙げられておりまして、特にこれからの時代におきましては、政府から国民への一方的な一方向の情報提供ではなくて、IT等を活用した国民との対話が重要であるということ。

 また、国内向けのみならず世界に対する情報の受発信が重要であるということが述べられております。

 以上、簡単でございますが補足的に説明させていただきました。

〔 豊田会長 〕 ありがとうございました。

 ただいま説明のありました報告書案につきまして、皆様方からご意見、ご質問を伺いたいと存じます。

〔 山口委員 〕 大変ごもっともなとりまとめをしていただいたと思いますが、この趣旨に従って政府は、例えば経済審議会のようなものを引き続き活用なさるおつもりはないのでしょうか。経済審議会と似たような機能を持つ何らかの会議として。

〔 額賀経済企画庁長官 〕 今のご意見につきましては、当面、経済財政諮問会議というものが法律で決められておりまして、法律で決められたメンバーは10人であります。閣僚が何人かと民間人が4人以上という形で構成されるわけでありますけれども、このメンバーについては今週中に決めさせていただいて、来年のスタートを順調にきりたいと思っております。

 従来の経済審議会に関連するような部分といたしましては、経済財政諮問会議でいろいろな意味で中長期的な経済運営方針とか財政運営方針とか、あるいは予算編成方針について議論をし、決めていくことになるわけでございますが、専門調査会を設けて、それぞれのいくつかの専門調査会で問題ごとにご意見を賜るという機関は作りたいと思っております。これは経済財政諮問会議がスタートした後に、メンバーの議員方にご意見を伺いながら具体的な対応はとらせていただきたいと思っております。

〔 下村委員 〕 先ほど、経済審議会が十分に力を発揮できなかった分野というのがいくつか挙がっておりましたが、これは単に日本全体がどうにもならなかったので、経済審議会としてもある種の不可抗力というか、非常に難しい、日本が予期しなかったような事態が起こったためにと受け止めるのか。つまり、なぜ機能できなかったのかという部分で、何か組織上のことととか、あるいは運営の仕方というところに何かこうすればよかったという、何かそういうことなのか、それとも先ほどおっしゃいましたように、これは審議会のみならずあらゆる分野で同じようなことが起こったということで、最初に申し上げたように解釈してよろしいのでしょうか。

〔 牛嶋総合計画局長 〕 ただいまのご指摘でございますが、バブル、あるいは最近のIT革命の認識の遅れの例を見てもわかりますように、この問題というのは経済審議会に限った話ではなくて、日本全体にも当てはまることだろうと思っております。

 ただ、経済審議会は、本当の意味でいろいろな分野の専門家の方々にお集まりいただいて議論をし、最善を尽くせる機関であったのだろうと思います。その中でもそういうふうな形で認識が遅れたという原因は、どういうところにあるのだろうかということを検討されてきたわけですが、これから新しい体制の中でもう一度バブルみたいなものが起こったり、また、IT革命に匹敵するような状況変化が起こったときに、どういう形をとればそれを的確に認識できるようになるのだろうか。これは非常に難しい問題でございますので保証はないわけでありますが、例えばバブル期の話について言えば、現場で何が起こっているかというのが必ずしも上に伝わっていなかった。それから情報開示が不十分であった。これからは、現場で何が起こっているかということをできるだけ経済政策担当者、あるいはトップの方々に速く伝わる仕組みを作ろうではないか、あるいは情報開示についてももっともっと進めていこうではないか、ということが指摘してございまして、経済審議会だけの反省ではございませんけれども、専門家にお集まりいただいて議論される中での認識をより適切なものにしていくための方向づけということで分析及び将来の期待というものが述べられております。

〔 長岡委員 〕 意見というよりは、経済審議会の審議に長年参画した一人として、反省のような感じのことを申し上げたいと思うのですけれども、バブルが崩壊した後、一生懸命に景気対策をやってきたのですが、なかなか効果が上がらなかった、うまく発揮できなかった、その過程で、1996年に初めて「構造改革のための経済社会計画」という計画ができたのですが、要するにバブルが崩壊した後、日本の経済をどうしていくかというときに、従来型の景気対策がもう効かない、要するに成長型の経済から成熟型の経済体質に変わっていたという認識が、我々全員に少し遅れていたのではないか。従って、もう一つ前の経済計画あたりで構造改革という言葉がもっと強く打ち出されてしかるべきだったのではないかという、今、申し上げてもあまり意味がないかもしれませんけれども、そういう反省を今日、過去を振り返ったときにしみじみと感ずる次第でございます。

〔 鷲尾委員 〕 私もこれを議論した総括部会に参加しておりますので、このまとめについては特段異論があるということではありませんが、第2章の、特にこれからできます経済財政諮問会議等の活動について、経済審議会の議論の反省を踏まえた要望を少し申し上げておきたいと思うのですが、文章から言いますと、2ページの一番上に、これまでの経済審議会の、とりわけ初期の段階で一番重要視されましたのは政府部内及び国民の間でのコンセンサスの形成の促進ということが書かれております。これは非常に大事だったと思うのです。先ほどの事務局の説明にも「その後、総論賛成各論反対というのが目立った」とありますが、これも事実だと思うのです。その上で新しい経済財政諮問会議が政府のリーダーシップといいますか、べつにトップダウンということではないのですけれども、リーダーシップが強く求められるということについても、私はそれなりに理解はいたします。いわば速やかな対応が求められている。経済環境の変化が非常にスピーディーになったために政策決定についての迅速化が求められているということについても理解はするわけであります。しかしながら、「コンセンサス形成の促進」というのは、やはり重要なポイントではないかと思います。先ほどのご説明でも、現場で起こっていることが速やかに上がってこなかったというようなことがありますが、これはやや二律背反する問題でありまして、スピーディーな決断とコンセンサスの形成というのは時には相矛盾することになりかねない。あるいは総論賛成各論反対ということについても非常に問題視しなければいけないのですが、各論についても十分把握しなければいけないという、一方ではそういう要請もあると思います。

 したがって、これは事前、事後の問題でありますが、こうしたものについてやはり十分考えておかなければいけない。とりわけ、5ページの「発展的継承」ということで、例えば「国民に強く訴える力を持ったビジョンの作成」だとか、「幅広い分野の人々の知見の把握」ということで幅広い分野の人々の意見の把握が望まれるということであります。経済財政諮問会議で政府から出られる大臣等は、選挙ということも踏まえまして国民の意見を幅広く吸収するという機能は当然持っているわけです。行政を通じても持っているわけでありますが、民間から選出される4人以上の方々が、もちろん、専門性を持った非常に優れた知見を持っているということも重要でありますけれども、その方々がどの程度現場の意見を把握する機能を持っているかどうかということについても、今週、議員をお決めになると伺っておりますが、この点についても十分配慮が必要なのではないかと私は思います。そういうことをしないと、そうした民間出身の議員の方々を通じて幅広い分野での現場の動きというものを反映するというのはなかなか難しくなるという危険性もないわけではありません。ただし、これは大変難しい人選だろうと思いますし、専門性を持っているという方々と幅広く現場の分析能力をもっている方々、あるいは専門的・学問的な能力と把握能力というのはやや両立しない面がございますので、そうした面についての配慮を今後、何も第1回の議員の選任ばかりではありませんで、長期的に考える場合には、そうしたことを十分配慮して政府でお決めいただくということを是非お願いしたいと思います。その上に立って総理がリーダーシップを発揮する。そして、そのリーダーシップを発揮した政策決定と明確な政策の指示というものが、そうした議員の方々を通じても国民に幅広く、もちろん、インターネットその他が発達していますから、国民に情報開示ができるのでありましょうけれども、しかし、その議員の方々が自分の言葉で、社会的影響力がある方々が当然選ばれるはずですから、そうした方々によって国民の間でのコンセンサスづくりができる、あるいは政策が浸透するということをした方が政府としても非常によろしいのではないか。こんなふうに考えます。以上です。

〔 水口委員 〕 重複しますけれども2点だけ申し上げたいと思います。

 1つは、私も総括部会のメンバーに参加させていただきまして、従来、経済審議会がなしてきたことの評価と反省点というのが明確に出たということで、非常にいい総括のレポートであると思います。

 第2点は、私も「6分野の経済構造改革」以来3つの部会の部会長を務めさせていただきまして、その反省点からいきますと、今「構造改革」というのは1つの言葉になってしまって中身が何かということは案外わからない。何か言えば「構造改革」と言えばそれで済んでしまうというような状況になっておりますので、1つは、ここにも書いてありますけれども、国内においてみんなが本当によくわかるようなPRの仕方をどうしたらいいかということをもう少し真剣に考えていく必要がある。

 もう一つは、国際的に、これができたらすぐ英語版を作って主要なところに全部出していく。そして、海外の記者会見をして、大きく「日本はこうやっている」ということが取り上げられるような今後の方向をさらに具体的に是非やっていただきたいということを、これは要望でございますがお願いしておきたいと思います。

〔 諸井委員 〕 私も、今回のこの報告書は大変いいと思います。特に、評価すべき点と問題点の両方を出しているという点が非常にいいと思うのです。

 3ページの上から7,8行目に「機能、役割が従来ほどに発揮されなくなった背景」というのがありますが、これは、私もこの審議会に参加していて感じていたことがよく出ていると思うのですが、特に一番最後の「関係者全員の合意による取りまとめ方式の限界」というところが一つ非常に大きな問題であったのではないか。要するに各省庁の調整が全部できないと物事が決まらないというのがこのポイントです。これが一つの問題点ではなかったかという感じがしております。

 今後の経済財政諮問会議におかれて、依然としていろいろ意見が分かれたり考え方が分かれたりするのは当然のことだと思うのですが、だからといっていつまでたっても物が決まらないというのは一番悪いことでありまして、ある段階で内閣がリーダーシップを取って物事を決めていくということが必要不可欠であると思うのです。その機能を是非発揮していただきたい。これは総理一人という問題ではないと思いますけれども、内閣として内閣の経済財政政策に関する基本というものはやはりきちっと決めていただいて、最後はそこで調整をし、決断をするということを是非やっていただきたいと思います。

〔 小林委員 〕 大変よくまとめていただいたと思っております。大変感謝をいたしますが、2つだけ申し上げます。1つはコメントで1つは質問でございます。質問の方から申し上げると、先ほど山口委員がおっしゃったこととも絡むのですが、新しくできる経済財政諮問会議について私どもが期待するのは、そこでビジョンとか意思とか政策とか、ある意味では政治色が強くてもやりたいとか、やるべきだとかという色がかなり強く出てくる、それに対してある程度の政策チェックはあるでしょうけれども、かなり意図がはっきりしてくることを期待したいと思いますけれども、むしろそれだけにかなり政治から中立に、政策の審議だとかあるいは評価だとかそういうものをコンスタントに行う機関というか、機能というのはどこに存在することになるのか。その辺をはっきりする必要があるのではないかと思いまして、それが今度の新しい体制の中でそれなりの機関か、あるいはそれも今度の機関の中に一部機能として含まれることになるのか、この辺を伺いたいと思います。

 それに絡んででありますけれども、ここのところ、森総理の下で改めてIT中心にサプライサイドを強化したい気持ちはすごくよくわかるわけでありますけれども、私も、そんなに長くありませんが90年代の最初ぐらいから、いい悪いは別にして反省すれば、むしろ欧米その他の動きを考えると、かなり思い切ってああいう時期にサプライサイドの問題というのは強調されてよかったのではないかという反省さえありますけれども、結果的にはそうはいかなかった。そういう問題も含めて政策の審議とか評価について、かなりきちんとしたことができる機関というものを、あるいはもうあるのかもしれませんが、どういうことになっているのか、その辺を伺いたいと思います。

〔 額賀経済企画庁長官 〕 今の小林委員からのご質問、諸井委員、それから鷲尾委員からもお話がありましたけれども、経済財政諮問会議のメンバーの構成とか、運営についてはこれから決めてまいるわけでありますけれども、経済審議会のご提言にもありますように、これは基本的には幅広く国民の意見を聞き、国際情勢もわきまえた上で日本の経済方針とか財政方針とか、予算編成をしていく。しかし、十分にタイムリーに決断をしていく場合は、やはり数が多ければできるということでもないという観点から10人前後で決めるということで、総理大臣のリーダーシップが発揮できるような環境を作らせていただいたと思っておりますので、諸井委員が言われたように、スピーディーにきちっとした方向位置づけをした上で決断ができるような役割を果たすのがこの諮問会議の仕事であると思います。

 小林委員のご質問でございますが、今、各省庁においても、国民の貴重な税金を予算付けをして執行してそのままでいいのかということで、政策評価ということがそれぞれの省庁で組み込まれております。私どもとしては経済全体を見ていくわけでありますから、当然、そういう視点も踏まえて議論がなされていくと思っていただければよろしいかと思っております。

〔 豊田会長 〕 いろいろご意見ありがとうございました。

 それでは、議論も尽くされたと思いますので、経済審議会報告書案「経済審議会活動の総括的評価と新しい体制での経済政策運営への期待」を経済審議会といたしまして了承いたしたいと存じますが、よろいしでしょうか。

( 「異議なし」の声あり )

 ありがとうございました。

 それでは、総理がご入場されましたので、ただいまご承認いただきました経済審議会報告書をご提出いたします。

( 報告書手交 )

 それでは、森総理大臣からご挨拶をお願いいたしたいと思います。

〔 森 総理大臣 〕 それでは、ご挨拶を申し上げます。

 経済審議会は昭和27年の創設以来、約半世紀にわたりまして、中長期の経済運営の中核的な存在として、我が国経済の発展に貢献してこられました。

 本日、その最後の総会において、これまでの活動を振り返られて「経済審議会活動の総括的評価と新しい体制での経済政策運営への期待」と題した報告書をまとめていただき、ただいま頂戴いたしました。誠にありがとうございました。皆様方の精力的なご審議に対しまして、厚く御礼申し上げます。

 21世紀を迎えようとする今、私は、国民が未来に向かって「安心して夢を持って暮らせる」国づくりを目指し、国政の舵取りを進めてまいります。そのためには、まず、景気をしっかりとした自立的回復軌道に乗せることが緊要であり、「日本新生のための新発展政策」を速やかに実施に移すとともに、来年度の予算編成等により、的確な経済財政政策を講じてまいります。

 なお、1月6日には、中央省庁改革により、内閣府に経済財政諮問会議が設置され、我が国の経済政策運営の基本方針の策定等に当たって重要な役割を担ってまいることとなります。

 本日いただきました報告書は、経済審議会の半世紀にわたる経験を踏まえた大変貴重なものであり、今後の新しい時代にふさわしい経済政策運営を行っていく際に、十分尊重してまいりたいと考えております。

 最後になりましたが、精力的に調査審議をお進めいただきました豊田会長をはじめとする委員各位のご尽力に対して、重ねて心から御礼を申し上げるとともに、各分野でのますますのご活躍にご期待申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

〔 豊田会長 〕 総理、ありがとうございました。

 総理には大変お忙しい中をご出席いただきましてありがとうございました。

 ただいま、もう少し時間をいただきましたので、この際、何かご質問なりご意見なりがありましたら、どうぞ。

〔 畠山委員 〕 やや具体的な話で恐縮でございますが、先日の新聞報道によりますと、2000年7ー9月期のGDPの統計が、せっかくプラスだったのが設備投資の推計の事後確認等によってはマイナスになるかもしれないという話が出ていたわけであります。いつそれが確定するのかというと、来年の2月ぐらいにしか確定しないという話が新聞に出ておりました。

 仮にこれが本当だとしますと、日本のGDPが世界でこれだけ注目を浴びている中でこういうことになるのは大変困るわけでございまして、何よりも問題なのは、確報が出る期間がそんなにかかるということでございます。もし2月にしか確報が出ないとするとアメリカより2か月遅いわけです。速報も1週間ぐらい遅れて出ているわけです。設備投資の推計という話があったものですから、関係の省に伺ってみますと、みんな郵便でそれぞれの統計をもらっておられるということでございます。

 森総理はIT革命ということを前面にやっておられるわけでございますので、是非、政府の関係の統計をITに基づいて行って、GDPの確報がアメリカに比べて2か月も遅れるというようなことがないようにしていただければということをお願い申し上げたいと思います。

〔 額賀経済企画庁長官 〕 畠山委員の問題意識につきましては、私も経企庁長官になってまだ10日余りでございますが、アメリカのGDPの速報は1ヶ月後に出るということでありまして、日本の場合はこれが相当遅れていくことになるわけでございますから、私も、このスピーディーな時代にいかがなものかという問題意識を持っております。

 それから、省庁再編に伴っていろいろと縦割が横断的に仕事をしていこうというときに、各省庁ごとのデータをどういうふうに整理していくのがいいのか。そういうことも含めて考えさせていただきたいと思っております。

〔 鶴田委員 〕 最近、海外を周って気がつくのは、日本経済の先行きに対して悲観的な見通しが多いということです。私は「そんなことないよ。緩やかではあるけれども、もう日本経済は回復に向かって着実にしばらくは回復の方向をたどるだろう」というようなことを言うのですけれども、「本当ですか」ということでなかなか信用されない。

 どうしてそういうことが起こっているのか、非常に困ったことだと思うのですけれども、まず、在外公館、海外の大公使、関係者といったところが、日本経済の実状についてどういう説明をしておられるのか、その辺をもう少し政府は積極的にやった方がいいのではないかと思うのですけれども、1つは海外の判断も非常に単純で「日本の株価は低いではないか、こんな低いのではみんな投資をしないということは、先行きに対して見通しが暗いから投資を控えているのではないか」というようなことで、株価だけで経済を見るのは間違っていますけれども、それが1つのバロメーターであることは間違いない。そういうことで、そういう評価が出るのは大変残念なのですけれども、それで、在外公館からのそういう報告がまず政府に入っているのかいないのか、いないとすれば、積極的にそれは取らなければいけないと思うのです。主要な国の日本経済に対する評価は今どうなっているのか。アメリカなんかは非常に悲観的です。ヨーロッパもそうです。

 それから、今度は逆に、こちらから「今の日本の経済の実態はこうだ、皆さんが予想している以上にそう悪くはありませんよ」というようなPRみたいなことを、もっとわかりやすく一般の人に広く理解、あるいは納得してもらえるような活動を、広報活動ということをやられた方がいいのではなかろうかという感じがしておりますので、一言だけ申し上げました。

〔 諸井委員 〕 最近、「経済か、財政か」、要するに「景気の回復か、財政再建か」という問題の取り上げ方がされるわけなのですけれども、私は、どうもこれは少しおかしいのではないかと思っております。経済が良くならないで財政が良くなるということはあり得ないわけです。経済が良くなって増収になる、あるいは増税に対応できるようになるということがあって初めて財政も良くなるわけですから、経済が良くなって初めて財政も良くなる。逆に、財政が非常に悪くなって 645兆円の長期債務がどんどん 1,000兆円にもなるということで経済が安定しているわけもないわけです。ですから、経済と財政というのは両方一緒に良くしていくのが当然のことではないかと思うのです。

 それで、今の状況は幸いにして企業業績も少し回復してきておりまして、民間の方で見る限り何とか2%前後の経済成長が続けていけるのではないだろうかという感じがしているわけです。財政の方も大体50兆円ぐらいの赤字、国・地方を通しての財政の赤字、穴が開いていたのが50兆円が40兆円になり、あるいは35兆円ぐらいになっていくかという動きをしているわけです。

 ですから、今度の経済財政諮問会議では、その辺をむしろ明確に出されて、経済も2%程度の成長は続けていける、一方で財政も赤字が少しずつ減っていくような情勢にあるということを、あるいはそういう方向で経済なり財政を運営しているということを明確に出していただくということが、国民にとっても将来の展望が開くという意味で非常によろしいのではないかと思いますが、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。

〔 森 総理大臣 〕 適切なご発言といいますかご意見をいただきましてありがとうございました。

 最初の畠山委員のお話は、我々今、いわゆるインターネットのアクセスをどうするのかという議論をしております中で、各省庁がみんなバラバラでやっていることだけは間違いないのです。閣議でも何回かそうした意見が出ておりまして、例えばパソコンを導入するにいたしましても、各省庁のいわゆる備品としてやっているわけですから、形も違えばやり方も違うわけです。ですから関連性がないということだと思いますが、電子政府を目指している政府の方がバラバラであって、それぞれ省庁別にやっているのでは本来は意味がないわけですけれども、予算の仕組み上から言えばそうなることは畠山委員もご承知だと思います。ですから、この辺をどういうことに改善していくかということは大変大事なご指摘だろうと思います。今もって古いやり方、おそらく情報交換をやったりしているのだろうと思いますし、そういう意味ではもう少し、今の新しい時代にどういう形で情報を取って、資料をまとめて、作成をして、それを発信するかということも、これ、額賀長官のところで少しよくお考えいただきたいと思います。問題意識として実は内閣としても持っております、議論もいたしております。

 それから、鶴田委員のお話も、これも在外公館では案外内々には大した問題ではないと考えているのかもしれません。ですから、そういう面でのアナウンスメントというものは非常に大事である、単に在外大公使をやっているわけではないのであって、日本の経済、日本の内政がどうなっているかということを、できるだけ即刻海外にきちっと、関係諸国に出していけるような仕組みも、これもやはり事務的な問題だろうと思いますが考えてみたいと思います。経企庁の方もおられると思いますが、これまでの月例経済報告、私も何年か見てまいりましたが、堺屋さんが大臣になられましてからガラッと見方や作り方を変えられたわけです。言葉遣いもずいぶん変えられたと思います。それだけでずいぶんわかりやすくなりましたし、切り口、視点もずいぶん変わってきたと思っておりますが、そういうことは今までは何となくそのまま、従来のまま踏襲していたわけですけれども、堺屋さんがそれを大きく変えられた。おそらく役人間には抵抗があっただろうと思いますが、引き続きわかりやすいそういう報告ができるように、また、まとめ方などについても十分検討してみる必要があると思いますので、これも額賀長官のそうした発想に我々も期待したいと思っているわけです。

 諸井委員のお話は、我々として一番悩んでいる問題でありますが、財政再建にそろそろ踏み出すべきであるか、引き続き景気優先でやっていくべきか、そう簡単に分けられるものではないし、今の経済の状況を見てもいいところと悪いところがはっきりしてきているわけですし、あるいは新しい産業と古い産業の入れ替えの構造というのは当分の間続くと我々は考えざるを得ないし、それから、東京や大阪というような土地と北海道や沖縄というようなところ、地域全体を見てもいわゆるIT関連に乗れるか、必ずしもそう全部乗っているわけではないし、相も変わらず公共事業に頼らざるを得ない地域もあるわけです。そういうところもありますので、そう簡単な割り切り方はできませんが、諸井委員がおっしゃいますように、まず財政を考える上においては十分なる経済のしっかりした立て直しをしていくということは当然のことだろうと思いますし、そういう面で、今ご指摘のありましたようなことにつきましては、これから、私どもが中心になりまして十分議論してまいりますが、今のとるべき私どもの態度は、引き続きやはり景気回復優先の軸足というものは変えないでおきたいと考えております。それと含めていわゆる財政改革をどのようにしていくかという道筋と、もう一つはやはり透明性を明確にして国民に明らかにしていくということが大事ではないかと考えております。また、いろいろとご指導をいただくことも多いと思いますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。ありがとうございました。

〔 豊田会長 〕 どうもありがとうございました。

 時間を超過して熱心にお答えをいただきましてありがとうございました。

 全員が、総理のリーダーシップを大いに期待しておりますので、頑張ってやっていただきたいと思います。

 それでは、本日の議題はすべて終了いたしましたので、経済審議会の最後の総会を、これで閉会させていただきます。長時間にわたるご審議を誠にありがとうございました。

 なお、本日の審議の模様につきましては、この後、私から記者発表をさせていただきます。

 それでは、これで散会いたします。どうもありがとうございました。

〔 森 総理大臣 〕 どうも皆さん、ありがとうございました。

-以上-

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