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第6回経済審議会経済政策推進部会

時: 平成 12年 5月 24日
所: 経済企画庁特別会議室(436)
経済企画庁


経済審議会政策推進部会(第6回)議事次第

平成12年5月24日(水)16:00~18:00
経済企画庁特別会議室 (436号室)

  1. 開会
  2. 経済企画庁総合計画局研究会の報告
  3. (1)人口減少下の経済に関する研究会
  4. (2)雇用における年齢差別禁止に関する研究会
  5. (3)物流・情報通信ベストプラクティス研究会
  6. 政策推進部会報告(案)について
  7. 閉会

(配布資料)

  • 資料1.経済審議会政策推進部会委員名簿
  • 資料2.政策推進部会報告書骨子(案)

経済審議会政策推進部会委員名簿

部会長
水口 弘一    (株)野村総合研究所顧問

部会長代理
香西 泰     (社)日本経済研究センター会長

安土 敏    サミット(株)代表取締役
荒木 襄    日本損害保険協会専務理事
伊藤 進一郎    住友電工(株)代表取締役副社長
植田 和弘    京都大学大学院経済学研究科教授
江口 克彦    (株)PHP総合研究所取締役副社長
大田 弘子    政策研究大学院大学助教授
角道 謙一    農林中央金庫理事長
木村 陽子    奈良女子大学生活環境学部教授
嶌   信彦    ジャーナリスト
清家 篤    慶応義塾大学商学部教授
高橋 貞巳    (株)三菱総合研究所代表取締役会長
高橋 進    (財)建設経済研究所理事長
田中 明彦    東京大学東洋文化研究所教授
畠山 襄    日本貿易振興会理事長
濱田 康行     北海道大学経済学部教授
原   早苗     消費科学連合会事務局次長
ロバート・アラン・フェルドマン  モルガン・スタンレーディーン・ウィッター証券チーフエコノミスト
星野 進保    総合研究開発機構特別研究員
村井  純    慶応義塾大学環境情報学部教授
村田  良平    (株)三和銀行特別顧問
森尾  稔    ソニー(株)代表取締役副社長
森地  茂    東京大学大学院工学系研究科教授
八代  尚宏    上智大学国際関係研究所教授
八城  政基    日本長期信用銀行代表取締役社長
山口 光秀    東京証券取引所理事長
鷲尾 悦也    日本労働組合総連合会会長


〔 部会長 〕 それでは定刻になりましたので、まだおそろいでない方もいらっしゃいますけれども、ただいまから第6回政策推進部会を開催させていただきます。

本日は、委員の皆様方におかれましては、ご多忙のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、早速本日の議題に入らせていただきます。

まず、前回の部会でいただきました意見を踏まえまして、当部会の報告書案について、第1部を修正するとともに、第2部の文案を事務局で作成しましたので、説明をしていただきます。

また、事務局であります経済企画庁総合計画局におきまして、5つの研究会を行なってまいりましたが、本日と明日の2回に分けまして、その成果を報告していただきます。

本日は、1)人口減少下の経済に関する研究会、2)雇用における年齢差別禁止に関する研究会、3)物流・情報通信ベストプラクティス研究会の3つについて、それぞれの座長からご説明をいただきます。

事務局の研究会の成果の一部は、当部会の報告書案に反映させていただいておりますので、本日はこうした部分を中心に、当部会の報告書案についてご審議をいただきたいと思います。

それでは、部会の報告書案について、事務局から簡単に説明をお願いいたします。

〔 事務局 〕 まず資料2の1枚目をご覧いただきたいと思います。

前回ご説明申し上げましたが、「あるべき姿」のフォローアップとしまして、この部会の報告書を2部構成とするということでございます。

第1部につきましては「あるべき姿」の実現に向けた当面の3年間程度の戦略的政策課題ということで、第1章 IT革命、第2章 循環型、第3章 高齢社会を記述する。

第2部として、「あるべき姿」の推進状況と今後の課題ということで、あるべき姿で示されましたそれぞれの政策課題につきまして推進状況と今後の課題というものを明らかにしていくということでございます。

第2部の構成は、「あるべき姿」の柱建てであります第1章 多様な知恵の社会の形成、第2章 少子高齢・人口減少社会、第3章 環境との調和、第4章 世界秩序、第5章政府の役割ということで、2部の方は全体を鳥瞰するという整理でございます。

第1部は前回のご指摘いただきまして、修正したいと思います。

まずITの関係でございますが、規制改革の重要性のご指摘がございましたが、行政のあり方としても規制の撤廃・緩和をしていくことが重要であります。同様にその規制緩和の具体的な内容としてご指摘のあった点で、対面販売とか書面の交付というものがネットワーク取引の障害になっているのではないかということで、その点も考慮致します。

事後チェック型行政への転換に伴って司法の改革が重要であるとのご指摘をいただきまして、そこにかなり挿入するつもりでおります。司法制度改革を進めることが重要ということでございます。

以上が、ITの関係で、次に循環型経済社会の関係でございますが、これは循環型社会の形成においては自治体の役割が大きいというご指摘を踏まえてそこに挿入するつもりでございます。

リサイクルの過程のオーバーフローについては、わかりにくかった点をわかりやすく書きたいと思います。ペットボトルを念頭に置いて書きます。

21ページにまいりまして、消費者の啓発が重要だというご指摘に対応して、「消費者の理解を促すキャンペーンを行う」という文言を入れるつもりでおります。

公的関与の必要性のつきまして、立地とかオーバーフローの関係でもっといろいろな問題点があるのではないかということで、それに対応して多くの課題を解決していかなければならないということで、問題意識を書くつもりでございます。

次に、高齢社会の関係でございますが、介護関連資料の市場規模ということで、推計値を入れたいと思います。2000年には8.4兆円、それが2020年には20兆円弱ということでございます。

修正に関しては以上でございます。

では、第2部について、全体の流れを申し上げたいと思います。

まず、前文でございますけれども、「大きな潮流の変化の中で、あるべき姿の実現に向けて、様々な取組みが見られるところ」ということで、具体的には規制改革、社会保障制度改革、また循環型社会に向けた法整備、行政改革ということで、全体として構造改革は着実に進展してきているという認識を示しております。

しかしながら、まだまだ取り組むべき課題が多いということで、「『あるべき姿』の実現に向けて、残された政策課題について取り組んでいくことが重要」ということでございます。

以下、第1章 多様な知恵の社会の形成ということで、以下、実施状況と今後の課題という形で整理されております。

まず1.市場と事業環境の整備の中で、1)透明で公正な市場と消費者主権の確立ということでございますが、実施された主な措置等として、規制緩和推進3か年計画の改定、これはこの3月に行われております。351項目が新たに追加されておりますが、ちなみに昨年の改定のときに917項目ございましたが、昨年の10月現在でうち734項目が実施に付されている、約8割が実施に付されているという状況でございます。それから、本年4月には消費者契約法の制定が行われて、民法よりも「取消」や「無効」の範囲が拡大しております。

その他、今国会で審議中でございますが、独禁法改正によりまして、私人による差止請求制度というものが導入される予定でございます。

今後の主な課題といたしましては、規制改革を強力に推進していくということ、規制の政策評価の重要性を言っております。1部で強調いたしましたけれども、司法制度改革についても検討を再度強調しているところでございます。

2)魅力ある事業環境の整備につきましては、1部の方で詳しく言及しておりますので説明は省略させていただきますが、ここに書いてありますように、事業再編を柔軟にできるような制度整備とか、創業・起業が円滑に行われるような制度整備というものがかなり進められてきているということでございます。今後の主な課題としては、コーポレートガバナンスの強化のための環境整備というものが速い変化への対応とか、国際的信頼を得ていくためにも重要だということでございます。

3)個人がより自由に選択したり挑戦できる環境の整備ということで、個人の能力発揮の点でございますが、この点につきましても第1部の方で詳しく書いてございますので、ここでは説明を省略させていただきます。

2.多様な人材の育成と科学技術の振興ということでございます。人材の方は、大きく分けて教育と外国人労働者の話でございます。教育につきましては、特色のある教育、多様な選択というものが「あるべき姿」で示されておりますが、実施された主な措置等としまして、中高一貫教育校の設置促進とか、小・中学校の通学区域の弾力的運用、また学校教育の社会人の活用、外国語教育、情報教育の充実、また、この3月からは教育改革国民会議というものが開催されて、21世紀を担う創造性ある人材の育成についての議論が行われているということでございます。

今後の主な課題としては、こうした特色ある教育の推進という他、教育の情報化に関するミレニアム・プロジェクトの推進等、これは平成17年度までにすべての学校からインターネットにアクセスできるという目標が設定されております。

2)外国人労働者の受入れの点でございますが、これは本年3月に第二次出入国管理基本計画が策定されまして、いわゆる専門的・技術的分野の外国人労働者の円滑な受入れ等につきまして積極的に検討していくとされたところでございます。また、留学生につきましては10万人の留学生受入れということで、施策が推進されているという状況でございます。3)科学技術の振興でございますが、これにつきましては経済の発展基盤の基礎ということで、先ほど出てまいりましたミレニアム・プロジェクトで情報化、高齢化、環境に関しまして平成17年度を目標にこのプロジェクトが開始しております。また、「ものづくり」ということで、来月までに基本計画を策定するということで作業が進められている状況でございます。

今後の主な課題といたしましては、こうしたミレニアム・プロジェクトの推進と13年度以降の新しい科学技術基本計画を策定していくということが課題でございます。

3.地域経済と社会資本の関係でございますが、「小さな大都市」構想の推進ということで、住空間、生活空間、歩行公共空間の良質化・拡大を図るということで、さまざまな施策が推進されております。「歩いて暮らせる街づくり」ということで、高度な組織がコンパクトに集合するとか、「用途変更先導型」、これは工場地域にも商業や住宅が作れる仕組みでございます。その他、地域づくり、地域の活性化、港湾等の整備、研究開発というものが進められております。

今後の主な課題としては、こうした「小さな大都市」構想を推進するということ、また電子政府の実現などを強調しているところでございます。

4.首都機能移転の関係は、ご案内のように昨年12月に国会等移転審議会の答申が出されたところでございます。

以上が第1章 多様な知恵の社会の形成の関係です。

次に、第2章 少子高齢社会・人口減少社会への備えでございますが、まず、社会保障の関係でございます。1)公的年金ですけれども、国民年金法の改正で、厚生年金の支給年齢が65歳へ引き上げられた。「社会保障構造の在り方について考える有識者会議」が開催されて、給付と負担の在り方など総合的な検討が行われているところでございます。

今後の主な課題としては、今申し上げた年金を含む社会保障制度を総合的に検討していくことが重要であるということでございます。

2)高齢者医療と介護の関係でございますけれども、これは1部で詳しく触れたところでございますが、介護保険制度が開始されている。具体的な実施計画としてゴールドプラン21というものが策定されているところでございます。その他、国会に法案が提出されておりますが、医療保険制度関係の見直しなどが書かれております。

今後の主な課題につきましては1部で触れておりますので、省略させていただきます。2.年齢にとらわれない経済社会。これも1部で取り上げたとおりでございますが、法律の関係では、高齢者雇用安定法の改正が行われまして、定年の引上げで65歳を明記しているということでございます。

今後の主な課題といたしましては、年齢差別禁止という考え方についての検討ということで、年齢に関わりなく意欲と能力のある限り、働けるような社会、その実現のための1つの手段として検討してはどうかということでございます。

3.リカレント型のライフコースにつきましては、例えば、修士課程の修業年限が2年から1年ということで弾力化されている。また、放送大学大学院の設置が予定されているところでございます。

次に、先ほど申し上げましたが、4.少子高齢社会における街づくりでございます。この「歩いて暮らせる街づくり」につきましては、モデルプロジェクトというものが立ち上がっておりまして、今現在20地区が選定されて調整が始まろうとしているところでございます。公共施設のバリアフリー化ということで、「交通バリアフリー法」が成立しまして、駅、バス、歩行空間のバリアフリー化が推進されるということでございます。今後としては、こういう「歩いて暮らせる街づくり」を全国で推進していく。また交通円滑化のための対策の推進ということでございます。

5.少子化への対応でございますが、昨年の12月に少子化の基本方針が閣議決定されておりまして、その実施計画から新エンゼルプランが策定されております。今後としては、この新エンゼルプランの着実な実施ということが課題になるかと思います。

以上が第2章 少子高齢社会・人口減少社会への備えでございます。

次に、第3章 環境との調和ということで、1.は循環型経済社会の構築ということですが、これは1部で詳しく記述しておりますので省略いたします。

2.地球温暖化をはじめとする地球環境問題への対応ですが、これは昨年の秋に第5回の会議COP5、97年の京都議定書の早期発効に向けて主要論点が議論されております。この秋にCOP6というものが開催される予定で、そこで結論を得るべく努力がなされているという状況でございます。

今後の主な課題といたしましては、この京都議定書の早期発効に向けての努力、燃料電池などの新エネルギーの開発・導入の促進ということでございます。

第4章 世界秩序への取組みでございます。1.世界経済のルールづくりへの取組みということで、これも内容が2つございまして、多角的自由貿易体制、国際金融安定化の市場づくりということでございます。WTOの関係、シアトルではご案内のように不調に終わったわけですが、今後、WTOの包括的なラウンド交渉の早期立上げが大きな課題でございます。

それから、今年の1月にG7でIMF機能の強化といったような検討がなされております。この安定的な国際通貨金融システムの確立についての努力も、引き続きの検討課題でございます。

2.アジア地域の中での役割ということで、これも内容が2つあろうかと思いますが、域内連携の話と危機予防体制の整備、経済支援の関係でございますが、まず支援の関係では、「アジア経済再生ミッション」、昨年、奥田日経連会長を団長とするミッションでございますが、派遣されて、そのレポートに基づいて、例えば、人材・技術支援というものが行われております。

新宮澤構想等による支援といいますのは、アジア通貨危機に関する構想で、これは300億ドルの資金支援スキームに向けて、それが順次実施されているということでございます。

域内連携の関係では、日韓投資協定に向けた本交渉が開始されていること。

自由貿易協定につきましては、韓国との共同研究、またはシンガポールとの検討というものが行われております。韓国との共同研究につきましては、今日、新聞でも報道されておりましたが、JETROのアジア経済研究所と韓国の研究所との間で共同報告書がとりまとめられたということでございます。

今後の主な課題としましては、ボゴール宣言の実現、アジア域内の連携推進、円の国際化の一層の推進といったことを挙げております。

3.「世界の知的活動拠点」の形成でございますが、これは「あるべき姿」で世界の情報発信として包括的プログラムを策定するとされたところでございますが、計画局の研究会で検討を進めてまいりまして、その成果をここに反映させております。これにつきましては明日の部会で報告をしていただくということで省略させていただきます。

4.国際経済協力のあり方につきましては、昨年の8月にODAの中期政策が策定されまして、基本的考え方なり、重点課題が整理されております。 今後の主な課題としては、「21世紀における国際経済協力の展望についての検討」ということで、民間資金も含めた日本全体としての資金供給のあり方を検討していく必要があるということでございます。

最後の柱であります第5章 政府の役割でございます。まず、1.行政の効率化と財政再建ですが、中央省庁の改革の関係は、昨年の7月に中央省庁の改革関連法案17法律が成立しまして、1府22省庁が1府12省庁、128の官房局が96に、また、1,200の課・室が1,000程度に、また、独立行政法人が分離されるといったことが進められております。

公共事業などの事業評価の実施。それから、PFI法が昨年の9月に施行されまして、この3月に基本方針が策定されたところでございます。

今後の主な課題としましては、公共サービスにおける事業評価の充実。また、時間管理概念についての検討を深めていくということを強調しております。また、PFI事業についても具体的な事業の立上げを図っていくということが重要でございます。

2)組織編成の関係は、昨年の12月に「国と民間企業との間の人事交流に関する法律」が制定されまして、人事交流制度の整備が図られている。今後は行政外部から任期を限って採用するということで、任期付任用制度の整備を検討していく必要がございます。

3)財政の関係ですが、措置としては12年度予算、独立行政法人、国有財産の関係等がいろいろ行われております。

今後の主な課題としては、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せた後、総合的な検討を踏まえて抜本的に措置していくということでございます。 4)行政の透明性の関係でございますが、パブリック・コメントの実施であるとか、公共事業分野の政策評価というものが行われているわけでございます。

今後の主な課題としましては、できる限り幅広い行政分野で政策評価を実施していくことが重要であるということ、その他、公会計分野への企業会計的要素の導入ということも検討課題でございます。

最後に、2.地方の自立のでございます。1)地方分権の推進ということで、地方分権の一括法、475本の法整備が昨年行われております。それによりまして機関委任事務とか権限委譲が進められております。その他、地方税法の改正、補助金の関係におきまして、自治体の自由度を高める、主体的な取組みを高めるような内容の整備の改正が行われているということでございま。

今後の主な課題としましては、地方税の充実確保の方途についての検討ということでございます。

2)行政の広域化につきましては、昨年の7月に「市町村合併の特例に関する法律」が改正されまして市町村合併が推進されております。現在、合併協議会が18地域で立ち上がっているところでございます。

3)住民参加の拡充の関係では、地方制度調査会において、住民参加、住民投票制度、地方議会のあり方等についての審議が行われているということでございます。

今後の主な課題としては、価値観が多様化している住民の利害調整の手法についての検討が重要だということでございます。

早口で恐縮でございますが、説明は以上でございます。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。

それでは、事務局の研究会の成果について、それぞれご説明の後、質疑応答を行いたいと思います。なお、各研究会の成果を部会報告書案へどのように反映させているかについても、事務局から簡単に説明をお願いいたします。

人口減少下の経済に関する研究会について、座長及び事務局からご説明をお願いいたします。

それでは、よろしくお願いいたします。

〔 事務局 〕 人口減少下の経済に関する研究会は、推進部会報告書(案)におきましては、第2部 第2章 少子・高齢社会・人口減少社会への備えというところで、冒頭のところに盛り込ませていただいております。「あるべき姿」は、2010年までを対象期間としておりますが、人口減少はその先もずっと続くということで、そういった長期のことを展望しながら人口減少に備えていくという位置づけになっていると思いますが、そういった作業を人口減少下の経済に関する研究会で行いまして、人口減少によるマイナスの影響を最小限に抑えつつ、プラスの影響を最大限に引き出すためには、人口変動に対応した経済社会システムづくりを進めるとともに、生産性の向上に向け構造改革を進めていくことが急務となっている、ということでございます。

〔 人口減少下の経済に関する研究会 座長 〕 それでは、私から報告させていただきます。

人口減少下の経済に関する研究会というタイトルの下に10人ぐらいの委員で討論を重ねてまいりました。今日は、その中間報告を発表させていただきます。

研究会の趣旨は、人口減少下で一体今後の日本経済でどういうことが起こるかということを数量的に予測するというのが我々の最大の目的でございまして、人口減少が進むとすればマイナス効果があるだろうということは予想できるわけで、そのマイナス効果をできるだけ小さく、あるいはできればポジティブに持っていくための政策にはどういうものがあるか。その政策を実行したときにどういう効果が期待できるかということを研究会ではやっております。

具体的には、3つの計量モデルを我々は持っておりまして、長期マクロモデルであるとか、あるいはオーバーラッピング・ジェネレーションモデル、あるいは多部門計量モデルとか、今、事務局が持っておられる3つのモデルを駆使して、今申しましたような数量分析をやっているところでございます。

研究会での検討対象期間ですが、具体的にどういう期間を想定しているかと言いますと、2040年から2050年、これは具体的には、今いる団塊ジュニアが引退した頃の時期までを我々の目標としておりまして、そのときに一体どういうことが起きているかということをやっているところでございます。

主要検討事項としましては、検討事項が3つございまして、先ほど申しましたような目的でやっているところでございます。

では、主な分析結果を報告させていただきます。

人口減少が起きる、少子高齢化の下で何が起こるかというのは、これは素人でもよくわかることなのですが、まず働く人の数が減るということは誰でもわかる。貯蓄率はどうかといいますと、これもやはり現役世代が減りますので、その人たちの人口が減れば貯蓄率もフローは減るだろう。しかしながら、これはストックで測りますとそうではなくて、就業者1人当たりの資本装備率といいますが、これは上昇するだろうということが明らかでございます。

次に、どういう問題が起きるかと言いますと、就業者数が減るということは、経済成長にはマイナスであるだろうというのは、経済成長の会計式を念頭に置くまでもなく想像できることでございまして、どうも経済成長率にはマイナスであるだろう。しかしながら、ストックだけは増えていきますのでプラスの面も無視はできないというところはございます。

経済成長率が低くなるとどういうことが起きるかと言いますと、これは財政側から見ますと税収が減るといったことがございまして、公的債務の膨張等の可能性が避けられないというようなところはございます。そのような人口減少下において、経済成長にはマイナスであるだろう。しかし、ストックはポジティブになる分もあるかというようなところを踏まえて、それではどういう政策が考えられるか、そういう政策を発動したときにどういう効果が期待できるかということもお話ししたいと思います。

減少する就業者を補うためには、簡単なことなのですけれども2つの策がある。1つは高齢者に頑張ってもらう。高齢者に勤労意欲を持っていただいて頑張るというのが1つの案。それと女性にも頑張ってもらうというのが当然思いつく案ですので、高齢者と女性が今以上に就業に貢献できれば経済成長率のマイナスを相当阻止できて、場合によってはプラスに持っていける可能性もあるという方法でございます。

しかしながら、高齢者と女性にどうやって働いてもらうか。そのためにはコストがものすごくかかりますので、そのコストまで含めたシミュレーションというのは次の課題になるかと思われます。

2番目に大事なことは、経済成長を維持するためには生産性の向上が徹底的に重要である。TFPという言葉で我々は言うのですが、TFPを向上させないと経済成長率のネガティブをポジティブには持っていけないというのが、我々のシミュレーションでも出ております。それではどういう方法でTFPを上昇させるかというと、構造改革ないしはIT革命を戦略的に推進していくことですが、言葉では言うのですが、そう簡単ではない。例えば、IT革命については、高齢者ばかりいるところでコンピュータをいかにうまく使わせる人たちをどうやって徹底できるかという問題などいっぱいございます。いろいろなテクニカルな問題がございますが、一般的に言えば構造改革とかIT革命に期待できるというようなところはあるかと思われます。

その次に、我々の研究会でどういうことをシミュレーションでやったかと言いますと、高齢化になりますといろいろなコストがかかる、例えば、医療だとか介護とかその他のコストがかかりますので、それを負担するためにはどのような措置があるかということも計算してみました。そのためには、コストはかかるけれども、子どもを増やすための、少子化を阻止するための政策があれば、高齢化にかかる介護のコストだとか医療保険のコストをミニマイズできるということも我々のシミュレーションでやっております。例えば子どもが1人生まれれば、高齢化のコストを削減するためにネットで1,000万円の価値があるというような計算まで我々はやっております。すなわち子ども1人を増やすと1,000万円ポジティブの価値があるので、「日本人から見て子どもを生むことは価値があります」ということも、我々の研究会では宣伝の材料に使えるかもしれません。

しかしながら、いろいろなシミュレーションをやってみて、ネガティブなストーリーはあるのですが、政策対応のいかんによっては「少子高齢化恐るるに足らず」と。その決め手は、重ねて言いますが、TFPを上げる、生産性を上げるというところになるのではないかというのが、いままでの我々の研究会の結論ではないかと思います。

具体的な数字の裏付けについては事務局の方から補足的に説明していただきたいと思います。

〔 事務局 〕 それでは、シミュレーション結果につきまして補足的な説明をさせていただきます。

私たちの計量モデルを使いまして、ある基準ケースというものを設定して、それに対して変化があった場合、経済はどう変わるかということをシミュレーションしております。まず基準ケースでございます。人口は人口問題研究所の中位推計を使っておりますが、就業者がどうなるかというところで、現在の就業率、労働力率が現在と同じようにずっと一定で推移するということをまず想定しております。就業者増減率でございますが、2020年まで0.6%減、その先が35年まで0.7%減ということでございます。これによりまして、就業者/総人口が98年に51.3%であったものも、徐々に減少していくということでございます。

これがもし女性や高齢者が能力を発揮できるようなシステムに変わっていって、女性や高齢者の就業率がもう少し高まるというふうになったときに経済がどうなるか。

女性労働力率上昇の効果ということで、これはややテクニカルになりますが、統計的には就業構造基本調査というものがございまして、それに、「現在就業はしていないけれども就業を希望している人の数」が出ております。ここでの総計は2025年頃までに就業を希望している人たちがそれを実現できる社会になっているということを想定いたしました。これは、ご案内のM字が埋まってさらに上乗せがあるというようなものでございます。2020年と2035年を見ますと、就業者数は基準ケースのずっと横ばいにいった場合に比べまして、2020年で360万人多い、35年で413万人多いということでございます。これは経済にいろいろ波及いたしまして、実質GDPを2020年で基準ケースより5.6%大きくする。成長率にしますと0.3%ぐらい年率で上げるということでございます。2035年には7.6%ということでございます。

この場合の就業者の総人口の占める割合はほぼ横ばいといいますか、若干微減に留まるということが想定されています。

次に、男性の高齢者の労働力率が上がるという想定でございまして、60代前半が85%ぐらいいくだろう。60代後半以降が1965年ぐらいの、昔は就業率が高かったわけでございますが、そういった水準に戻っていくという想定でございます。 実質GDPでは、2020年に5%ぐらい大きくするというものでございます。

座長の方からも生産性の向上が必要であるという話のご紹介が再三ございましたが、生産性上昇率が非常に低い場合どうなるか、ほとんどゼロ成長の場合にどうなるか。これは人口が減ってまいりますので生産性が上がらなければ経済はゼロ成長、もしくはマイナス成長になってしまうというものでございます。このTFP生産性0.5%の上昇に留まる、先ほどの基準計算では1.5%でございましたが、というものでございます。0.5%というのは、90年代、日本経済がやや停滞気味であったときに、この0.5%に近い値でございます。

このような状態が続きますと、財政の方が非常に厳しい状況になる。例えば、公的債務残高は膨らんでしまうということになるわけです。人口減少の中では生産性が上がらなければこういったリスクにさらされるということを意味していると考えております。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見等ございましたらお伺いしたいと思います。

〔 A委員 〕 いろいろご説明いただきまして、基本の方向としてはよくわかるのですが、こういう低成長下というか、いわゆる人口が減るときに、企業の場合もそうなのですが、産業構造は当然変わっていくわけで、そういう産業構造の変化にどういうふうに応えるのですか。例えば、ヨーロッパなどでも人口が非常に過少になっている国があります。そういう国は必ず産業構造変化があって一次産業というのを海外に出して、もう少し産業構造を高度なものにしていくとか、必ず柔軟にそういう政策を進めていくのであって、それがどういうふうに変数に織り込まれていっているのか、そのあたりをお伺いしたいのですが。

〔 人口減少下の経済に関する研究会 座長 〕 確かにA委員のおっしゃるところはあるのですが、我々はシミュレーションはやってみたのですが、産業構造はそんなに変化はありません。詳しくは、事務局の方からご説明いただきます。

〔 事務局 〕 より正確にいうと、産業構造の変化が起きても、シミュレーション結果においては、労働力人口の減少分を非常に大きく補えるというふうにはなかなかならなかったということです。したがいまして、就業率自体が上がるという効果が期待できないと限界があるというような、あくまでもある前提を置きましてのことですが、そういう結果になっております。

〔 B委員 〕 まず、何を目標にするかということなのですが、人口減少下の経済において、経済成長率をいつまでも政策目標にするというのはやや時代後れではないか。むしろ目標とするものは1人当たりの経済成長であって、要するに、いくら経済成長率が下がっていても、人口がそれ以上下がっていれば1人当たりの所得は増えるわけですから、これで何の問題があるのか。例えば、シミュレーションの基準ケースですと、こういう計算でいいのかどうかわかりませんが、成長率が徐々に下がりましても、人口は△0.6%、△0.8%と下がりますから、1人当たりで見れば成長を維持するわけです。ある意味ではこれであればこれで結構であって、これ以上何をするのかという批判に対してどうするのか。

そもそも社会保障モデルが入っているそうなのですが、そういうこれからの大きな財政負担とか、そういうことを想定して、本当にこんな楽観的な数字が出るとすれば、どういうリンクの仕方になっているのかを是非教えていただきたいと思います。

生産性の向上と言えばITということなのですが、それ以上に、やはり過去の労働力が過剰であった時代のさまざま制度・慣行が変わってくることによって、より貴重な労働力を使う、それがある意味で本当の意味の生産性向上であって、そういうメカニズムがどういう形で入っているのか、入っていないのか。先ほどのA委員のご質問に対して、産業構造の変化はほとんどないということですけれども、これはちょっと理解しがたいわけで、例えば、「2010年の日本経済」いう昔の経済審議会のレポートなどを見ましても、人口が減ってくれば労働生産性の低い部門から労働力が絞り出されて、より生産性が高い部門に相対的に移っていくということが極めて重要である、これはターンパイクモデルを使った考え方なのですが、そういうことを考えなければちょっと難しいのではないかということです。

3番目は、ちょっとつまらないことですけれども、必要経費というのはいかにも企業みたいな話で、これはディペンダンシーレイシオのことだと思いますが、もう少しマクロ経済学で使うような言葉に変えられたらいいのではないか。あるいは社会保障負担でもいいと思いますが。

4番目は、成長率が下がるから出生率を回復させなければいけないという言い方は、少なくとも他の審議会では猛烈な抵抗を受けます。子どもを持つか持たないかは家族の判断であって、そんな損得勘定で決めるべきでないという方がむしろ常識でありますので、経済審議会としてもそういう言い方はなるべく避けて、「今、子どもを持ちたい家族が持てるような経済環境にしていく。それによって、出生率が回復し経済成長すればこんなメリットがある」という言い方の方がいいのではないかと思います。これは単なる表現の問題であります。

それから、どうやったら潜在就業率まで女性の労働力を上げられるかというのが実は大きな問題でありまして、第一次的接近としてはこれでもいいのですが、もう少し具体的な政策と結びついたようなシミュレーションケースの前提が必要ではないかと思います。女性の場合はいいのですが、特に非現実的なのは高齢者のケースでありまして、65年の労働力まで戻るといっても、その当時はほとんどが自営業だったわけですから、サラリーマンが自営業と同じような働き方をするというのは、ある意味でかなり非現実的である。しかも、65歳以上で考えているというのはややこれも時代後れでありまして、これからは2050年に向けて後期高齢者がどんどん増えてくるわけで、75歳の人まで働けというのかということでありまして、これは最近の高齢化モデルでは「65~69歳」と「70歳以上」、あるいはもっと細かく分ければ「75歳以上」というふうに分けて、そこで例えば「65~69歳」の人の労働力率を、それ以前の「60~64歳」にするとか、「55~59歳」にするとか、もう少し高齢者をきめ細かく分けないと65歳以上を一括してするというのはやや問題ではないかと思います。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

ご質問の関連で、C委員、どうぞ。

〔 C委員 〕 65歳以上のことは私もB委員がおっしゃるとおりだと思って、65歳以上の労働力率というのは必ず、より高齢の人が増えると自然に低下してきますので、そこのところは考慮する必要があると思います。

もう一つ非常にテクニカルなことですが、ここでは労働力率を変えて将来推計をされているのですが、就業者オーバー総人口というふうに、就業者ベースで結果を出しておられますね。そうすると、当然、労働力率と就業者の乖離というのは失業者ですから、失業についても何か前提を置いておられると思うのですが、特に60~64歳層の男性ですと、今、失業率は10%ぐらいありますので、この失業率は将来にわたって今と同じぐらい、つまり比率で10%なのか、それとも失業率で10%が維持されるという考え方なのか、それとももうちょっと別の何か前提を置いておられるのか、それだけちょっとお聞きしたいのですが。

〔 部会長 〕 それでは、D委員からもご意見を伺って、その後に一括してご説明をいただきたいと思います。

〔 D委員 〕 先ほどの全体のご報告の中で、外人労働者を活用しようというお話がありましたが、こちらの外人労働者の活用、場合によってそれが社会保険の負担をしていく、享受もしていく。こういうあたりについてはどういうお取り扱いになっているのか教えてください。

〔 人口減少下の経済に関する研究会 座長 〕 全部にお答えできるお時間はありませんが、まずB委員のご質問に関しては、これについては委員の中でもいろいろな意見がございまして、B委員が言われるように成長だけがすべてではない、国民が少子化を選択しているのだから何が悪いのだという意見もございます。外国などに調査に行きまして「日本人が少子高齢化に悩んでいるけれども、どうしたらいいか」というアドバイスをもらいに行きますと、「日本人がそれを選択しているのだから何が問題なのか」というように逆に質問を受けるぐらいでございますので、我々の委員の中でも意見が分かれておりまして「少子高齢化は日本人の選択であるからいいのではないか」という意見と、「いやそうではない」と、少子高齢化をものすごくシリアスと考えて、子どもを増やす策とか、あるいは外国人をという意見も確かに出てまいりました。委員の中にはいろいろな意見が出ていまして議論は沸騰しているのですが、我々の研究会の目的というのは「こうあるべきだ」ということをやるのではなくて、「ある政策がとられたときにどういうことが起こるか」というようなことを主にやっておりまして、したがいまして、むしろ本会で決めていただいて「外国人を入れたら日本の経済は一体どうなるのかというシミュレーションをやれ」と言われたら我々は喜んでやるというようなところだと思います。

まとめますと、少子高齢化の問題をシリアスに考える人とシリアスに考えない人、真っ二つに分かれておりまして、我々としては「ここでは自分たちの意見を出すのはやめよう」と。したがいまして、ある政策をとったときはどういうことが起こるのかということを中心にやっております。

もう一つ関連して言いますと、65歳以上の高齢者において前期高齢者と後期高齢者は違うのではないかというB委員のご指摘がありましたが、それはそのとおりでございまして、我々もシミュレーションの中ではそのことをやっておりまして、後期高齢者の比率が重要だということはわかっております。C委員のご質問へのお答えにもなるかと思いますが、65歳以上の男性、あるいは女性も含めて、これ以上日本の人が働くのを強要するのかというようなところまでやはり立ち返りますので、我々の委員会でそのようなことを主張するつもりはございませんので、「65歳以上の人が何パーセント働いてくれたら日本のマクロ経済はそう心配しないでいい」程度のことまでしか我々としては言うつもりはないというところでございます。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

まだいろいろとご質問、ご意見あろうかと思いますが、問題は、またボールが当部会に戻ってきたという感じがいたしますけれども、これは後ほど部会の中でご議論いただきたいと思います。

〔 事務局 〕 A委員からもお話のありました産業構造の話ですが、我々も同様の問題意識の中で人口減少・高齢化が進んだ場合に産業構造がどうなるかというのは、分析できるモデルをとりあえずは準備しておりまして、91ぐらいの部門に分けてシミュレーションをしているのですが、まだ開発途上の部分がありまして、産業構造面で今の時点で明確にものを言えるという状況ではなくて、今の時点は、それをすべてマクロに置き換えて、マクロに置き換えた場合はなかなか構造面が見えないというところもあるのですが、少しマクロに置き換えて、マクロレベルでものを言っているということで、先ほど、B委員からもご指摘のあった参加率をどうやって上げるのかというのは、もう少しモデルの組み方なども工夫して、委員の中からもそういう意見もございますので、そういうことも入れないといけませんし、C委員からのご指摘の部分もそうですし、A委員の構造面の話もそうですし、これはまた年末までにいろいろ精緻化して、少しものを言える内容を増やしていこうということで、座長とも相談しながらやっていきたいと思っております。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

それでは、時間の都合もございますので、次のテーマに移りたいと思います。

本日は、座長、ご多忙のところをありがとうございました。

続きまして、雇用における年齢差別禁止に関する研究会について、座長及び事務局からご説明をお願いいたします。それでは、よろしくお願いいたします。

〔 事務局 〕 年齢差別禁止の考え方につきましては、昨年の「あるべき姿」の中で、高齢者雇用の促進という観点から、年齢差別禁止という考え方につきまして定年制と比較し検討していくことが求められるとしたところでございます。これを受けまして、総合計画局の中に、雇用における年齢差別禁止に関する研究会というものを設置いたしまして、これまで6回にわたりましてご議論いただいたところでございます。

その考え方につきましては、この部会報告においても取り入れておりまして、まず、この第1部の中に、今後、性差別禁止に向けた取組みを一層推進するとともに、年齢による一律な取扱いを見直し、労働市場を有効に機能させていくことが求められれるが、特に年齢については、中途採用時の年齢制限等のような年齢による一律的な取扱いを抜本的に改める方策として、年齢差別禁止という考え方について検討していくことが求められるということを取りこんでおります。

また、第2部におきましても、2.年齢にとらわれない経済社会ということで、現在のような厳しい雇用情勢の下では、定年制が高齢者の雇用の維持、確保に貢献しているという側面も無視できないところであるが、今後の労働力の需給構造の変化を見通した場合、働く意欲と能力のある限り年齢にかかわりなく働きつづけることのできる社会の実現のための一つの手段として、年齢差別の禁止という考え方についてもさまざま制度に与える影響を考慮しつつ検討を深める必要があるといったようなことを取りこんでございます。

〔 雇用における年齢差別禁止に関する研究会 座長 〕 それでは、この研究会の討議の内容についてご報告いたします。

ただいま人口減少下の経済に関する研究会の座長の方からもご報告がありましたように、人口構造が高齢化していく中で、働く意志と能力のある高齢者ができるだけ長く本格的に働き続けられる環境を整えていくということが重要であると考えられるわけですが、実はこれまでのさまざまな実証分析の結果から、定年退職というのは必ずしもそれ自体は直ちに労働市場からの退職を意味するものではありませんけれども、労働市場からの退職の非常に強いきっかけになるということが計量的にも確認されているわけであります。

したがって、この制度が、わざわざまだ活用できる人的資源を労働市場から退出させてしまっているという問題が以前から指摘されているわけでありまして、定年退職制度というものをどのように、あるいはその労働供給に対するネガティブな効果をどのように軽減していくかということが非常に大きな課題になっております。

もう一つ非常に短期的な問題としては、最近、失業率が急速に高まっているわけでありますが、その中で、特に中高年の失業者の人たちが次の職に就けない理由、これは労働力調査の特別調査というのが2月と8月に行われておりまして調査されておりますけれども、中高年、特に35歳以上の年齢層で見ますと「企業の求める年齢と自分の年齢が合わない」というのが次の職場が見つからない、再就職できない理由のトップに常に挙げられる状況でございます。

今後、長期的にも1つの会社で、学校を出てから定年までの雇用保障というのを維持することはだんだん難しくなっていくと考えられます。むしろ、雇用を守りきれなくなった会社から人材を必要としている会社に労働を移動することで長い職業人生を完結させていくという、労働市場を通じた雇用保障のシステムを作らなければいけないということが考えられるわけでありますが、その際に、特に採用における年齢差別というような問題が円滑な労働移動を妨げる要因として注目されるわけであります。

このように、働く意志と能力のある高齢者の能力の活用を阻害する定年退職制度、あるいは労働市場を通じた雇用保障という仕組みを作るときの障害になる採用における年齢制限というようなものは、広い意味で言いますと「雇用における年齢差別」がそこにあるということが問題になるわけであります。

定年退職制度というのは、働く人が能力に関わらず一定の年齢になると年齢を理由に退職を強要されるという意味で、年齢差別に当たるわけでありますし、もちろん、採用における年齢の上限を設けるというようなことも、賃金ですとか、能力に関する交渉の余地なく、とにかく年齢で一律に応募を切ってしまうという意味で、年齢による差別に当たると考えられるわけです。

そこで、そういう問題をなくしていくための1つの方法、最も根本的な方法は雇用の場における年齢差別を禁止するようなルールを作っていくということであります。例えば高齢者の雇用を推進する、あるいは中高年の失業者を救うためには、年齢差別を禁止するという方法以外の方法もあります。従来とられてきたのは、一方で差別は容認しながら、例えば中高年の労働者を雇った事業主には助成金を与えるという形で中高年の失業者の救済にあたる。あるいは定年制度というものは容認した上で、定年年齢以降も人を雇い続けた事業主に助成金を与える、あるいはそこで働いている人に賃金補てんを行なうという政策がとられてきたわけでありますが、差別禁止のルールというのはそういう政策ではなくて、労働市場においての女性の差別と同じように性であるとか年齢による差別は禁止するというルールを定めた後で、それでは、そういうルールの下でどのような賃金であれば、あるいはどのような処遇制度であれば雇えるかということは基本的には労使に委ねる、あるいは市場に委ねるという考え方であります。

もちろん、この仕組み、すなわち一定の差別は認めた上で差別の上で被害を受けている労働者に対して援助を与える、あるいは事業主に対して助成を与えるというようなやり方と、差別禁止のルールを一律に定めてあとは市場に任せるという考え方、両方もちろん一長一短はあるわけですけれども、ここで我々は後者の方のフィージビリティーがどのぐらいあるかということを検討してみようと考えたわけであります。

ご承知のとおり、既に年齢差別禁止法はアメリカにおいてエイジ・ディスクリミネーション・イン・エンプロイメント・アクトという形で、略称ADEAと言われておりますが、1967年に制定されております。1967年の時点では、アメリカのソーシャル・セキュリティーと言われております公的年金の支給開始年齢までの65歳までの年齢差別禁止でしたが、その後、何回かの改正を経まして1986年の改正以降は40歳以上のすべての年齢における雇用の年齢差別禁止をうたった法律になっております。したがいまして定年退職制度(マンデー・トゥリー・リタイアメント)というものは典型的な年齢差別事案ということになりますので、現在、アメリカにおいては定年制度は廃止されているということです。

なお、公務員については、この法律が直接適用されるわけではありませんが、いわゆる大統領の行政命令によって公務員に対しても年齢差別禁止が適用されるということになっておりますので、公務員も含めて定年退職制度は一部の限られた職種を除いてアメリカにおいては既に撤廃されているわけであります。

こういったアメリカ型の年齢差別禁止法を日本で導入することが可能かどうかということを当研究会においては検討してきたわけです。

この研究会のメンバーは経済学者と法律学者と経営学者及び組織心理学、組織論の専門家から構成されていまして、かなり学際的な研究会でありまして、これらの専門家によって年齢差別禁止法のフィージビリティーについて議論を重ねてきたところであります。

「年齢差別を禁止する」と言う場合には、幾つかの前提条件が必要であるということが議論の中からはっきりしてきました。1つは、企業が年齢によって、例えば定年退職とかあるいは採用の上限を設けざるを得ないような労働条件といいますか雇用慣行があるわけです。1つは年功的な賃金制度、あるいは年功的な処遇制度です。年功的な賃金、あるいは年功的な処遇が一方にありますと、一定の年齢で雇用関係を切らないと企業としては非常に賃金の高い労働者を抱え込むということになります。また、年齢の上の人は管理職とか監督職として処遇するという仕組みのままですと、定年でそのような人たちにやめてもらわないと後の人が処遇できないという問題も出てまいります。

いずれにしても年功的な賃金システム、あるいは年齢的な処遇システムが年齢差別を禁止しようとするときのネックになりますし、企業に対して年齢による雇用差別の禁止を要

求するということになると、当然、企業としては年功的な賃金システムあるいは処遇シス

テムを変えていかざるを得ないということになってくるかと思います。

もう一つは、これは特に定年制度との関連が強いわけですが、日本は法律的にはアメリカと同じようにエンプロイメント・アット・ウィルの原則で解雇自由が原則ではありますが、ご承知のように判例法によって解雇権濫用の法理というものが確立しておりまして、雇い主の解雇権が事実上かなり制限されているわけです。そういう中で、定年退職制度というのは実は雇い主にとって唯一とは言いませんけれども、かなり貴重な雇用調整手段になっているわけです。実際、企業がリストラを行なうというときに、特に大企業で何千人雇用を削減するというニュースが出ますけれども、そのかなりの部分は実は定年退職でやめる人の後を補充しないという形で雇用調整を行なっている部分がありますので、もし、年齢差別禁止法を作って定年退職制度をなくすことになりますと、雇い主に対して定年以外の形での雇用調整手段を認めないと整合性を欠くということになります。したがって、定年を廃止することに結びつく年齢差別禁止法というのは、定年以外の理由による雇用調整を雇い主に認める、あるいは労働側の立場からみれば雇用の安定度がその分低下するということを容認しなければいけないということになるかと思います。

3つ目は、年齢差別禁止に伴って定年退職制度がなくなりますと、これはアメリカ等において実際によく観察されているところですが、企業年金、あるいは退職一時金等を非常に弾力的に設計することによって労働者の自発的な退職を促すように仕組みを工夫する必要も出てくるわけです。その際には、当然、従来の年金制度、退職金制度を相当変更する必要性が出てくるだろうということです。

そういう意味で、年齢差別禁止法を作るということは一方で働く人に対して年功賃金制度、あるいは年功的な処遇制度、あるいは定年までの手厚い雇用保障というものをある程度あきらめてもらうということが必要になるわけですから、年齢によって退職を強要されない、あるいは年齢による採用の制限を受けないというメリットと年功的な賃金処遇システム、あるいは定年までの雇用保障が失われるというデメリットのどちらが、特に働く方にとって重要かという比較検討が、年齢差別禁止ルールを導入するかどうかということのポイントになってくると思います。

ただ、実態上の変化を見ますと、既に賃金制度、あるいは処遇制度の変革が徐々に進みつつあります。また、定年以前の雇用保障についても以前に比べると少しずつ弱まりつつあります。判例がどのように変わっていくかはまだわかりませんが、実は最近、東京地方裁判所の労働部の判決が幾つか出ているようでありますが、それを見ますと解雇権濫用の法理について若干解釈変更とはいきませんけれども柔軟な解釈が出てきているということが、労働法学者の報告からもあるわけです。いずれにしても、年功的な賃金システムとか、あるいは雇用保障が以前ほどには期待できなくなってきているという実態上の変化が実はあるわけであります。

理論的に言えば企業が純粋に能力や業績に応じた賃金を支払う、そして1人1人が最後まで担当者として専門能力で仕事をするということになれば、理論上は定年退職制度というものは必要なくなってくるはずであります。能力に応じて仕事をしてもらい、その能力、貢献に応じて賃金を支払っているのであれば、企業にとって30代の労働者であろうと60代の労働者であろうと理論的には無差別ということになりますので、そういう状況下で逆に定年退職制度というものが存在し続けるというのは論理的な整合性を欠くということになるわけです。

あるいは労働者の側から見れば、賃金制度が能力主義になり、また、雇用の保障がだんだん失われていく中で定年制度、あるいは採用における年齢差別だけが存続し続けるということであると、一方的に、言い方は悪いですけれども取られっぱなしになってしまう。もし、賃金の能力主義化、あるいは雇用の流動化が一方で進むのであれば、同時に雇用における年齢差別というものが解消されないと、少なくとも働く側にとってのバランスがとれないということになると思います。

そこで、もう一つ、政策上の問題についても議論したわけですが、雇用における年齢差別をやめるという考え方は、先ほど言いましたように性による差別等と同じように、雇用の場における年齢による差別を禁止するというルールを課した上で、その下で例えば年を取った人を雇い続ける、あるいは採用に年齢制限を設けないためには賃金制度をどのように変えるか、あるいは処遇制度をどのように変えるか、あるいは雇用保障のあり方をどのように変えるかということは個々の労使に委ねる、あるいは労働市場に委ねるということですので、現在、存在しているような、例えば中高年を特に優遇するような雇用政策であるといったようなもの、あるいは高齢者を特に優遇するような雇用政策は当然廃止していかなければいけないということになります。

もちろん、これは卵と鶏の関係で、年齢差別があるからその下で不利益をこうむっている人たちに特段の配慮をするという政策があるわけでありまして、直ちにそれをやめて年齢差別差別だけが存続するということになりますと、これも一方的になってしまうわけですが、もし、長期的に年齢差別禁止のルールを適用していくのであれば、当然、年齢を基準にした政策も廃止していかなければいけないということになります。

もう一つは、先ほど言いましたようにルールを定めてあとは市場に委ねるという形の政策をとる場合には、労働市場におけるセーフティーネットを充実していかなければいけない。その意味で年齢差別禁止法それ自体がセーフティーネットであるわけですけれども、適用する際には、同時に労働市場の機能を拡充するような政策が、政策的には必要になってくる。具体的に言うと、労働市場の情報機能を拡充する、あるいは万が一のときの所得補償、失業保険制度を充実していくといったようなことが必要になってくるかと思います。

とりあえず、この中間報告の段階では、今、申し上げたようなことを議論して論点を整理してきたところでありますが、今後の展望としてはもう少し具体的に年齢差別禁止を行なう際の、特に政策的な条件整備にはどのようなものが必要かということについて議論をしていきたいと考えております。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明につきまして質問、ご意見等をお願いいたします。

〔 B委員 〕 今、座長が説明された内容は極めてバランスに富んでいるのですが、私が恐れるのは、こういう報告書が出たときに、そういうバランスが取れた見方ではなくて、逆にいいとこ取りをする。つまり、賃金の弾力化とか、雇用の流動化は極力抑制して、年齢差別だと言って定年制だけを廃止する、あるいは大幅に延長するという動きが見られるという危険性があるわけで、是非、そういう意味でも同一労働、同一賃金の原則、あるいは能力主義ということが年齢差別とダイレクトに結びつく、まさにアメリカはそういうケースであって、同じ能力を持っている人を年齢だけで差別すべきではないというのがアメリカの年齢差別禁止ですから、能力の差があれば当然差別してもいいわけであって、そこが日本では極めてちゃんと理解されていないので、そういう能力主義の徹底した結果が年齢差別禁止であるという点を是非強調していただきたいと思います。

特に今言われた中で重要なのは解雇規制の問題であって、これが実は今、最大の争点になっているわけで、年齢差別禁止法を実現するための政策的な課題ということで解雇規制というものをより現実的なものにする。つまり、解雇自体の規制ではなくて解雇条件の規制に移っていくというところを是非重点的に議論していただければと思います。

働くものにとってのメリット、デメリットと言われたのですが、そこで大事なのは、 働くものというのは雇用保障されているものだけではないということで、むしろ、そういう人たちは少数者であって、インサイダーとアウトサイダー全体が働くものであるという議論を是非、入っていると思いますが強調していただきたいと思います。

最近の判例の変化について、座長はやや楽観的だと思います。確かに東京地裁のウエストミンスター判決事件というのが出たのですが、先日も労働省にヒアリングしたときに、労働省は「あれは例外である。解雇規制の4要件はびくとも揺らいでない」という方針でさまざまな行政指導をしておられるということですので、どれだけ解雇規制の実態が変化しているかということについてはやや悲観的です。

3番目に重要なのは、年齢差別を禁止するというときのその具体的な法的な表現です。どういう形で禁止するのかということで、これは是非詰めていただく必要がある。均等法と同じような考え方で言えば、立証責任の転嫁ということで、ある企業が例えば60歳以上の人を雇わなかったときに「この人は能力がないから雇わなかった」ということを立証する責任を企業側に転嫁する。これが1つの年齢差別禁止の意味であって、つまり、高齢者を何が何でも雇わなければいけないということはないわけですから、今のような状況から是非禁止の具体的意味を明確に詰めていただく必要があると思います。

最後に、先ほど私は、少子化社会が問題でないということは口が裂けても言ってないわけでありまして、少子化社会がさまざまな歪みから生じている。その歪みをなくさなければ少子化問題の解決はできないわけで、一方的に歪みを放置したままで「これだけ経済的な利益があるから子どもを生みなさい」という政策は極めて反発を食うわけで、現に他の審議会で経済学者は非常にけしからんと言われているのはそういう考え方であるわけですので、是非、そこをこの経済審議会でも気をつけていただいて、経済的なメリットだけでなくて、歪みをまず直さなければ少子化問題には対応できない。これはお願いでございます。

〔 雇用における年齢差別禁止に関する研究会 座長 〕 B委員のコメントは基本的に私も同意いたします。

特に解雇規制については、ご承知のとおり判例法ですので、おそらくB委員が言われたようなことを実現するためには具体的な立法措置によって、例えば雇用調整法のようなものをむしろ作って解雇条件の明示化を図っていく必要があるかと思います。

アウトサイダー、インサイダーの理論は、私どももそこのところでは非常に意識しているわけでありまして、先ほどちょっと申し上げましたように、中高年の失業者が年齢で差別されるのはインサイダーが年功的な処遇をエンジョイしていることの裏返しなわけです。つまり、インサイダーに対して年功的な処遇を維持しようとすると中途で高いコストの人を外から入れるわけにはいかないということですので、まさに年齢差別を禁止するというのはアウトサイダーに対する配慮をするという意味でも重要だと考えております。

それから、アメリカにおいても実は年齢差別禁止法というのはほとんど雇い主に被害を与えていないということがわかっているわけですが、唯一、困っている雇い主というのは、これは本当に冗談ではなく大学だと言われておりまして、大学の教授の場合にはいわゆるテニュアという雇用保障がついているわけです。つまり、雇用保障付きの差別禁止というのは確かに非常に硬直的な雇用を招く。したがって、年齢差別禁止というのは決して高齢者の雇用をギャランティーするものではなくて、年齢を理由に解雇されたり、あるいは採用の対象にならないようにしようという点は是非強調する必要があると思います。 それから、年齢差別禁止法の具体的表現方法については、私どもの研究会は法律家の方も何人か入っておられますので、今、B委員が言われたようなことも参考にして詰めていきたいと思います。ただ、多分、これは法律を作るところまではいかないと思いますので、仮に立法化するとしたらどのような表現が好ましいかといったようなところまでにはなると思います。

〔 部会長 〕 経営者の方々からご意見はありませんか。

〔 A委員 〕  座長がおっしゃったことは、B委員と同じ意見ですが大変バランスがとれていて、いろいろな角度からいろいろなことをご検討いただいている点については大変立派だと思います。

ただ、企業というのは常に利益を、つまりリスクをかけて利益を確保していって、社会的な責任を全うするということですから、それとのバランスにおいてやらなければいけないので、やはり国の政策としてセーフティーネットというものをある程度充実していただくということが前提条件になって、したがいまして、年金の問題にしても確定拠出を早くできるということとか、あるいは年金基本法、アメリカのエリザ法ではない年金基本法がある程度整備されているとか、そういうものがあって、先ほどの、年齢を制限しないとか云々ということが出てくるのであって、やはりセーフティーネットをまずベースにしていただきたい。

この審議会の場は何をやるのかというと、自主独立で企業がやるということはもうはっきりしているわけですから、政府としてのセーフティーネットを、それぞれ厚生省なり労働省に対して我々審議会として要求すべきではないかとは思いますけれども。企業の立場から言わせていただきました。

〔 E委員 〕 大変いろいろな角度から検討されていて感心して拝聴しておりましたけれども、年齢からその人の能力とか成果に対する報酬という考え方にいくわけですけれども、これが特定の能力を要求されるような仕事ですと、市場価格といいますか、世の中で、こういうことができる人はこのぐらいの年俸がということが日本でもはっきりしてくると思いますが、難しいのは、特別な能力を要求されないような一般的な仕事になりますと、例えば60のときはこのぐらいの年俸だけれども、70だったら仕事のペースがだいぶ落ちるからこうなるという物指しが全くないと、どうしても年齢が一番はっきりした物指しになるものですから、どうしてくれということではありませんが、企業の立場としては定年後やめる、もしくは年齢制限を禁止されるということになると、現在でも、例えば特定のポジションですと、私どもの会社は役職定年というのがありまして、社員もしくは役員としての立場は維持できても、そのポジションからは降りて若い人にバトンタッチするという仕組みができるのですが、特に特別な能力を要求されない仕事の場合どうするかというのは実行面では非常に難しいと感じております。

〔 雇用における年齢差別禁止に関する研究会 座長 〕 A委員が言われましたように、まさにそういった条件を整えた上でルールを適用するということが1つの考え方だと思います。ただ、我々の考え方のもう一つは、卵と鶏の関係ですが、もう、こういうルールにしますよということをあらかじめ宣言しておいて、もちろんそれにはスケジュールを、これから10年後にはこういうルールにします、その間にご自由に賃金制度、処遇制度を労使でお考えくださいと。ですから、これは男女雇用機会均等法と同じように、男女の性別による処遇の差はやめてもらいます。ただし、それは10年後にやりますので、それまでにどうぞ制度を整えてくださいということです。あとは個別の企業がコストとベネフィットを考えて準備をする。

もちろんこれからご議論があるかと思いますが、そのようにルールを整えないでさまざまな助成措置を講じたり何かする方の政策コストの方がかかるので、ルールを整えた上でセーフティーネットを整備するという方が、多分、政策的な効率という観点からも望ましいのではないかと考えております。

E委員が言われたことは全くおっしゃるとおりですが、1つはアメリカの年齢差別禁止法においても、確か年間4万4千ドル以上の退職年金を受けているようなマネジメント職の人については定年退職制度を維持してもよろしいという例外がありますので、年齢差別禁止法を導入しても経営者がいつまでも居座るとか、そういう心配あまりしなくてもいいということだろうと思います。ただ、確かに市場価値を測りにくい職種についてその人たちの処遇をどうするかという問題については、実は我々の研究会でも実際の賃金とか処遇における評価の問題をどのようにしていくかということについて、経営者の方、組織心理学の専門家もおりますので、実は重要な検討課題として残しておりますので、是非、これから検討していきたいと思います。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

それでは、まだいろいろご意見、ご質問あろうかと思いますが、時間の関係もございますので次のテーマに移りたいと思います。座長、どうもありがとうございました。

続きまして、物流・情報通信ベストプラクティス研究会について座長及び事務局から説明をお願いいたします。

それでは、よろしくお願いいたします。

〔 事務局 〕 はじめに私の方から研究会の設立趣旨及び研究会中間取りまとめ結果のフォローアップへの反映状況についてご説明させていただきます。

ご案内のように21世紀を迎えるに当たりまして、わが国経済社会をグローバル化に対応したものとし、活力あるわが国経済社会の再構築を図るためには、世界最先端の事業環境を整備する必要があると認識しております。

こうした観点から、「あるべき姿」におきましては、物流・情報通信分野の包括的な改革方策について早急に検討を行なうべき旨盛り込まれたところでございます。

当局では、こうした検討に資するため、局長の私的研究会といたしまして「物流・情報通信ベストプラクティス研究会」を設置いたしまして、IT革命とも言うべき時代背景のもと、世界最先端の事業環境を整備するために重要な役割を果たすと考えられます物流・情報通信のあるべき姿を、私ども「物流・情報通信分野の世界のベストプラクティス」と呼ばさせていただいておりますが、この姿を検討していただいてきておりましたか、この度、これまでの検討の成果を中間的に取りまとめいただきましたので、座長よりご説明いただくことといたしたいと思います。

さて、中間取りまとめの結果でございますが、フォローアップ第1部 第1章 IT革命を起爆剤とした新しい経済発展というところの1.の2)、3)、すなわちIT革命のもたらす経済社会の姿の中の企業活動の姿及び消費生活の姿、同じく3.の2)及び4)、すなわちIT革命を起爆剤とした新しい経済発展に向けての中のネットワーク社会における経済取引に対応した新たな市場の枠組みの構築及びIT革命の成果を最大限に活かすための物流のスピード化の促進、こういったところに反映されているものでございます。

それでは、座長、よろしくお願いいたします。

〔 物流・情報通信ベストプラクティス研究会 座長 〕 ITに対して非常に期待がかかっている現状だろうと思いますが、ある意味で極めて抽象的で貘とした期待感を具体的な形にできないとほとんど意味がないわけでして、ITが持っている力を具体的なものにする上での非常に大きな領域が物流・情報通信の融合領域、より具体的に言えばいかに物流を、ネットワーク時代にふさわしい物流体系が作れるかということを考えることを通じて生産性の向上などということを考えていくということだろうと思います。

委員としまして、情報通信の方のエキスパート、物流業界のエキスパート、その両者を使いながら新しいビジネスを展開されているような方々、この3者を一同に集めるような形でイメージを作ってきたということです。

これがすべてではありませんで、ITのインパクトといいましても非常に大きいものですので、その中で特に物流と情報通信の融合する領域、特に、これもこれがすべてではないということを認識した上でネットワーク取引というところに焦点を当てて、ここで日本を世界で最もいい事業環境にして、ここで立地していただけるような環境を作るということはどういうことかという問題設定をしながら、課題をいろいろ検討してきたわけです。ネットワーク取引とは何かというのも議論しだすと非常に長い話になってしまうのですが、5つぐらいの項目があげられるわけです。その中の一つ、商品の開発・案内・調査・注文の段階が我々の仲間内でよく言うところのフロントエンドでして、こちらの方がどちらかと言うと、電子商取引と言えばネットワークの上で売ったり買ったりというイメージが強いわけですが、そこは非常に大事であるということを認識した上で、この研究会としては特に商品の配達の段階とのつながり、オーダーがちゃんととれてもデリバリーができないとほとんど意味がありません。これをバックエンド、ないしはロジスティックと言っているわけですが、このフロントエンドとバックエンドをいかにして効率よく統合化された形でつないでいけるか、このあたりが1つの鍵ではないか。背後に問題意識としてありますのが、このあたりでブツブツ切れているところがあってちゃんと連携がとれていないという問題意識があるということです。

ともかく世界のベストプラクティス、この中でとにかく事業環境としてすべてのビジネスを支える基盤となるような情報通信及び物流の領域においてベストプラクティスをどうやって実現していくか、そのために解決していかなければならない課題は何なのかということを考える。課題として、とにかく情報通信ネットワークの高質化というのがあるわけです。高速・大容量化を進めていく。通信料金体系を使いやすい、低廉な定額化が非常に重要である。

それからモバイル。物流が入ってきますとモバイルに対する期待は大変大きなものがありまして、いろいろなところでモバイルが期待がかかってきているわけですが、モバイルを活用していく。

それから、非常に大きな領域として今出てきておりますが通信と放送の融合形態というようなものがあります。これを統合したような形でいろいろなサービスをとにかく日本の中で使いやすい環境をいちはやく構築することによって日本の中で先にいろいろなものが実現していき、それから日本を基地としながらグローバルなネットワークが作られていくという状態を是非作りたいということだろうと思います。

このときの観点として、必ずしも情報通信のインフラの部分だけではなくて、他のいろいろな環境も整備していかなければいけない。当然、この研究会の1つの眼目になってきておりますのが物流のスピード化ということで、注文だけ光のスピードで走ってもモノが全然追いついていかないようではほとんど意味がないということで、物流のスピード化をどうするかというあたりが非常に大きな課題です。これはまた後から申し上げます。

併せて、制度の整備。例えば電子認証とか知的所有権の問題、税制の問題、他にもいろいろありますが、この辺の制度整備はインフラストラクチャーという意味できちんと整備されているということも事業環境ということになるかと思います。当然、安全とか危機管理対策がなされていなければいけません。研究会をやっているときに霞が関も攻撃を受けたわけですが、この辺の危機管理ができていなければいけない。それから、当然、リテラシーです。リテラシーをちゃんとやっていかなければいけない。

政府部門の情報化というのは、民間部門だけで物流と情報がしっかりと結合しても、いろいろな局面で政府部門と情報をやり取りしていかないと流れていかないということで、これは民間だけでつながっていればいいわけではなくて、政府のいろいろな部門ともしっかりとつながっているということで、政府部門の情報化にも力を入れていかなければいけない。 物流のスピード化ということについて、これも細かい議論をしだすと大変なのですけれども、大きな項目だけ申し上げておきますと、これを実現する上で基幹的なインフラ、例えばITSとか海陸一貫物流情報システムなどですが、この辺のネット取引時代にふさわしい基幹的なインフラの整備をやっていかなければいけない。

そのときに、いろいろなシステムが相互に連携、つながっていくことが大事ですので、物流システムの標準化、シームレス化、ペーパーレス化を徹底していくという観点が大事であろう。この辺を解決する手段としてもITがどんどん活用されていくという姿になってくるということかと思います。

最後に、いろいろな話がたくさんあるので、世の中にインパクトのある形で1つ何か主張したいとすれば何なのかという議論をやってまいりまして、キャッチフレーズは「とにかく繋ごう」ということです。「繋ごう」というのが、とにかくあらゆるロケーションをインターネットでつながる状態を作っていきたいということです。

物流とか情報通信、いままでなかなか連携がとれなかったところを連携をとっていこうという意味合いも込めております。

片側で日本には非常にすぐれた匠の技術のような蓄積があるわけで、伝統文化なども知識社会化を考えていくと大変な資産です。この辺の持っている非常にすぐれたものと新しく出てきている可能性をつないでいこうという意味合いも込めております。

その他にも、高年齢層と若年齢層にもつないでいこう。大きな会社と小さな会社の連携をとれるようにしよう。組織も縦と横の風通しのいいものを作っていこう。新と旧、民間と政府、こういうようなものをどんどんつないでいくことによって、とにかく今展望を示すということが非常に重要であるということが、委員の大体の共通の認識でして、この研究会自体はかなり限られた物流と情報通信というところで絵を描くということをやってきたわけですが、こういうような絵を描きながら期待の持てるものにしよう。最後はアピールとして、一言で言ったらこういうことだということで、世の中に訴えかけていったらどうでしょうかというところで、中間報告に至っているわけです。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。

ただいまのご説明につきましてご質問、ご意見等ございましたら、どうぞお願いいたします。

〔 F委員 〕 この分野は非常に重要で、重要だということはほとんどの人がわかっているのですが、政府がこの分野で何をすべきかというのが意外にはっきりしないのです。政府が政策的に何をすべきかというのを整理してきっちりと出していただきたいと思うのです。そのときに前向きな制度整備、自己の認証であったり、あるいは電子商取引のときの税制であるとか、そういう点は今お話があったのですが、とにかくつなぐときに阻害しているものが幾つかあるはずなのです。接続料金か高いというのはよく出てくるのですが、それ以外にも規制、例えば本の再販制度の規制というのもありますし、税制の面でもおそらく阻害しているものがあるはずですので、これだけ企業の方が集まって現場の声がいろいろ集まる中で、阻害しているこれだけの要因はとにかく廃止しようということを是非整理してアピールしていただきたいと思います。

〔 A委員 〕 私もF委員のご意見とよく似ているのですが、私は会社の中で経理とか財務とか企画とか、実は物流もみているのですが、ここで座長がおっしゃったことは、スローガンとして大変結構だと思います。今、一番問題になっているのはeコマースとか、サプライ・チェーン・マネジメントとかです。日本はインビジブルないろいろなバリアがいっぱいあって、海外の企業が日本の中に入れないのは何かといいますと、複雑怪奇な商流と物流システムなのです。これは日本的規制の塊なのではないか。役所だって、名前を挙げると恐縮ですから挙げませんけれども、役所の権益というのは極めて大きいわけです。そういうものをどうやってネットという新しい第3の産業革命によってバリアを外していって、しかもそのバリアというのはほとんどが中小の分野に関連してきますから、そこへの補償をどうやってやっていくかとか、そういうようなことも是非考えていかないと、進むのは大変けっこうなのですが、いささか難しい。我々だってネットビジネスでやってサプライ・チェーン・マネジメントをやりたい。ただ大きく違っていますのは、いままではお互いに業界で競争していた会社が、すべてネットによって1つにまとまる。例えばタイヤでいいますと、グッドイヤーとダイヤストーンとミシュランというのは世界の3大メーカーですが、それぞれが一緒に買おうと言っているわけです。それをネットでつないでやろう、ネットならできるだろうと言っているのです。しかし、アメリカではそうやっていますが、日本では同業他社が、今度、自動車部品はホンダとトヨタが一緒にやるという分野がありますし、我々のところも自動車分野をやっていますけれども、そういうメーカー同士の直販はできるのですが、間に商流が入ると大変難しい問題があるわけです。商流の人たちの職を奪うことになるのをどうやって我々が解消していくかという、産業構造の大きな変革を伴いますから、これは審議会の非常に大きなテーマの中で取り上げていただいて、ネットという観点からの切り口は大変けっこうなのだけれども、そこにおける問題点をもう少しクリアにし、それをスケジュール的にどう解消していくかというところを、関連各省にも我々が問題提起していかないと現実問題にならない。

〔 G委員 〕 ちょっとないものねだりかもしれませんけれども、対象にしたネットワーク取引の範囲について、研究会は商品の開発・案内・調査・注文の段階と商品の配達の段階の関連をなさったということなのですが、もし、ご示唆があったらお伺いしたいのは、注文を受けて物流に乗せるといっても、注文された商品の生産の段階があるわけです。最初にIT革命というのを掲げているのですが、モノづくりというのは大事だ。座長も、匠の世界を結びつけようとおっしゃっています。取引決済というのは、今、銀行業に新しい参入が起きまして、ここのところはかなり進むのではないかということで、商品のアフターサービスの段階というのは作った人が直すというのが原則でしょうから、注文された商品の生産の段階とアフターサービスの段階というのは連動しているのでしょうが、IT革命が生産部面にどういうふうに活用されるべきなのか。それは、自分たちで考えなさいということなのかもしれませんが、この研究会をなさっていて何かご示唆がありましたらいただきたいと思いました。

〔 部会長 〕 いままでのご質問、ご意見に対して何かコメントがありましたら、どうぞ。

〔 物流・情報通信ベストプラクティス研究会 座長 〕 F委員がおっしゃった部分ですが、部品、部品としてはいろいろな課題が出てきております。それをどういうふうに解決していけるか、少なくとも課題をきちんと整理していきたいということがあります。かなりの部分が省庁を横断したような、調整をしていただかないとだめなものでありますということで、とにかく全くおっしゃるとおりだと思います。

G委員のおっしゃってくださったモノづくりの部分も、これもかなりいろいろ議論というか、そこの重要性が大きいということはかなり出てまいりました。結果的に報告書にまとめる段階で、「物流・情報通信ベストプラクティス」というタイトルなものですから、あまり幅広くしていくとちょっとボケるということで、確かに検討に使う時間も少し制限したのと、報告書の中であまり前面に出てきておりませんが、確かに、これから日本の将来を考えたときに、製品開発能力とか、それに必要なインフラストラクチャー、金型であるとかそういう一連の産業があるわけですが、この辺の実力をどのぐらい発揮させていけるか。それと生産のことを考えたときには、これは多少私の意見が入ってきますが、日本国内の中だけのネットワークを考えていてはうまくいかないのだと思うのです。この辺は現実を直視しなければいけないわけで、生産のネットワークの方は必ずグローバルなネットワークになってまいりますし、そのためにも物流、通関などがちゃんと早くできるとか、そういうような事業基盤、これもだいぶ議論をやりまして、日本の国内だけ整備してもだめなのではないかというような議論も出ていましたので、この辺で、グローバルなネットワークの中で日本のポジションをどうやって構築できるか、そんな課題かなと思います。〔 E委員 〕 研究会の中では議論されているのかもしれませんが、ここでご説明された物流というのは生産者から消費者、あるいは生産者からいわゆるBtoBというあれだと思いますが、この部会全体では循環型といってリサイクルのことも取り上げられるわけですから、是非、この新しい物流のネットワークを考慮される場合に、逆の循環型も包含したネットワークというような検討をされるのがよろしいかと思います。

〔 物流・情報通信ベストプラクティス研究会 座長 〕 全くそのとおりだと思います。

〔 H委員 〕 物流についてはいろいろな議論をしておられるのだと思いますが、旅客の交通についての情報化がどんなことが起こってきたかということが1つの参考になると私は思っているのです。具体的には、例えばサンフランシスコでもう20何年前に地下鉄が作られたとき、今で言うストアードフェア、テレホンカードみたいなチケット・システム、IBMが最初に入りました。そのときを契機にして日本と全く逆にピーク時の方が高くて、オフピークの方が安いという料金体系が入ってきて、アメリカの都市交通は今完全にそういうふうに変わっています。

それから、ご承知のとおり航空の自由化が1978年に起こって、しばらくたってCRS (コンピュータ・リザベーション・システム)を3社が入れて、結果的にはその前の大手の会社がすっかり変わって、最近、この数年間は毎年のように3社独占になるのではないかという逆の規制緩和のマイナス面が論じられております。

日本の国内でも、例えば高速バスのチケットはどこで買ったらいいか、皆さん、わからない状況にあるわけですが、これは簡単なパソコンのシステムを個別に作ったために、それがくっつかなくなってしまいました。つまり、個別に情報化したことが全体にされていくと違う方向に行ってしまったということです。

物流の関係でもEDI、これは大蔵省のシステムと運輸省のシステムとで港湾の中でもいろいろな議論があり、ITS、道路側のシステムとはまだくっついておりませんし、くっつく格好にもまだなっていない。そういうことが違う問題を起こしてまいります。

何が言いたいかというと、もっと情報化して効率よくしましょう、これはいいのですが、交通の分野特有の情報化の問題がきっとあって、それをクリアに解いて、それに対して交通の分野ではこういう設計をしなければいけない。先ほどご指摘がありました公的関与はどういうふうにやるのか、あるいは調整はどういう格好でやるのか、こういう格好の整理が必要なのではないかと感じております。

〔 部会長 〕 これについて何かご意見ありますか。

〔 物流・情報通信ベストプラクティス研究会 座長 〕 全くおっしゃるとおりだと思います。

〔 部会長 〕 他にいかがでございましょうか。

これは本当に小さな問題かもしれませんが、最近、聞いておりますのは、ここで政府部門の情報化とか、「とにかく繋ごう」という緊急アピール、全くそのとおりですが、全部つないでも政府部門はうまくいかないという話がありまして、例えば具体的な例は、今日は大学の先生方がいらっしゃいますが、国立大学の先生は、予算でインターネットで海外から、どこでもいいいのですが本を買おうとしてもできないのだそうです。指定書店が2社か何かに限られてしまっていて、しかもその交換レートがとんでもない、マーケットレートと違うレートで、個人だったらできるのですが、ですから、私の知り合いでも国立大学から私立大学の教授に移って非常によかったという方がいらっしゃいます。この辺は第2部の問題とも関わるわけですけれども、「実施した、実施した」と言っても本当に行われているのかという問題は民間サイドからみるといろいろ問題点が多いというような感じがしております。これは私の感想です。

〔 物流・情報通信ベストプラクティス研究会 座長 〕 それに対しては二通りの答えがありまして、まず1つ目はネットワークをつなぐとまさにそういう問題が一気に表面化するのです。つながってないとアマゾンドットコムで買えない不便さがわからないということがありますので、物事はやはりツボと手順があると思うのですが、ツボと手順的にはとにかく日本の中でどこでもつながる状態を早く作るというのが、その他の改革を先に進める1つのツボだろうということが1点目。

2点目は「繋ごう」という言葉の中には、単に物理的に回線をつなぐだけではなくて、やはり制度であるとか商習慣であるとか、そういうものがちゃんと連携できるようなものにしないとだめだという気持ちも持っているということです。

〔 部会長 〕 是非、そういう方向でお願いしたいと思います。

他にいかがでございましょうか。

いろいろご意見もあるかと思いますが、時間の関係もありますので、今日はこのあたりでこの問題は終了したいと思います。

座長、本日はどうもありがとうございました。

それでは、残りました時間、と言っても5分ぐらいしかありませんが、若干、もし10分ぐらい延長させていただければ、当部会の報告書案の審議ということがございますが、また、残された5つのうちの循環型経済社会推進研究会と世界における知的活動拠点研究会については、明日の部会でご報告をいただく予定ですので、当部会の報告書案のご審議、明日の時間も2時間ございますが、もし、明日、ご出席にならないということで今日のうちに意見を言っておきたいという委員の方いらっしゃいましたら、是非、お願いしたいと思います。

〔 E委員 〕 公共サービスの事業評価の実施と時間管理概念についての検討ということが書いてあります。私、この中の地域経済・社会資本部会の部会長をしておりますが、一番大きい大変な仕事は、時間管理概念の導入だったと理解しております。なぜ「時間管理概念」という大変あいまいな言葉を使ったかといいますと、例えば今の行政手続法の中で時間の規定がどういうふうに入っているかということをやりますと、大変不備になっております。特に行政官の手続についての時間規定は入っておりません。それから「時間規定は定めることができる」と書いてありますが、ほとんど定めてなかったり罰則規定がありませんし、個別法の中でも全くアットランダムな格好になっている。

収用手続についても、これは別途この中のレポートにも出てきておりますが、住民参加の話はたくさんありますが、いろいろな意見が出てきたときにそれを収束する方についての制度的な検討は全くやっておりません。これは、同じ課題を掲げて持っているアメリカとかヨーロッパの国々と日本が全く違うところです。収用法の手続も建設省の通達はありますが、ある自治体は90%が賛成で1桁の人が賛成するまで収用手続に入らないというということをやっていたり、収用の認定とかあるいは決裁をするのに数年かかるとか、全く時間の観点が入っていないという状況です。

それから、お役所のいろいろな事業をやっている方も、1年遅れたら一体どのぐらいのコスト増になるかという計算すらしていないという格好ですし、入札手続も、このところ会計法の改定がいろいろなされておりますが、まだ欧米のルールに比べるとクリアにはなっておりません。

長くなって恐縮ですが、時間管理概念という「概念」という言葉をわざわざ使ったのは、こういうことをまともにやろうとすると、今ある日本の仕組みを本当に抜本的に変えないとできない、こんな社会のことであります。したがって、こういうことが閣議決定されたというのは大変重要なことで、日本にとってはものすごく重要なことだと思いますので、本文の中では、さらに検討というような程度ではなくて、もう少し、こんな課題もあって、今は運輸省が省で検討しておられて、建設省も若干研究所等で検討しておられる。農林水産省は私の知る限り全くやっておられないのではないかと思いますし、他の省庁はこういうことについて全くご関心を払っておられないのではないかと思います。

そんなことで、是非、もう少し前に進めるような記述をしていただければと思います。〔 B委員 〕 明日は出席できませんので一言申し上げます。

労働市場を有効に機能させるルールづくり、先ほど雇用における年齢差別禁止に関する研究会の座長からご説明があった年齢差別禁止法の考え方が書いてありますが、ここではまさしく座長が詳しく説明された前提条件が完全に落ちておりますので、そこはきちっとバランスよく「年齢差別禁止」と言うには、その前提条件、特に画一的な雇用保障とか、年功賃金の見直し等々セットで行なうのだということを、是非、本文の方にもきちっと入れていただきたいと思います。

〔 部会長 〕 他にいかがでございましょうか。

事務局から何かありますか。

〔 事務局 〕 ご意見を踏まえたいと思います。

〔 部会長 〕 ただいまのご意見を踏まえて十分に書込みをしたいと思います。

それでは、ちょうど時間になりましたので、本日はここまでとさせていただきます。

明日は、先ほど申し上げましたように循環型経済社会推進研究会と世界における知的活動拠点研究会についてご報告をいただき、同時に部会の報告書案につきまして続いてこ審議をいただく予定でございます。

それでは、本日の審議はここまでとさせていただきます。長時間のご審議、まことにありがとうございました。明日もよろしくお願いいたします。

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