第4回経済審議会政策推進部会議事概要

1.日時

平成12年4月24日(月) 14:00~16:00

2.場所

経済企画庁特別会議室

3.出席者(敬称略)

 (委員)

水口 弘一 部会長、安土 敏、荒木 襄、伊藤 進一郎、江口 克彦、大田 弘子、角道 謙一、木村 陽子、高橋 貞巳、高橋 進、田中 明彦、畠山 襄、濱田 康行、原 早苗、ロバート・アラン・フェルドマン、村田 良平、森地 茂、八城 政基、鷲尾 悦也

 (経済企画庁)

中名生事務次官、牛嶋総合計画局長、永谷総合計画局審議官、塚田総合計画局審議官、仁坂企画課長、藤塚計画課長 他

 (ヒアリング省庁)

大蔵省 中尾国際局国際機構課長

環境庁 遠藤水質保全局長

厚生省 岡澤生活衛生局水道環境部長

通商産業省 中島環境立地局長

4.議題

 ・関係省庁からのヒアリング(①世界秩序への取り組みについて、②循環型経済社会について)

5.議事内容

 (1)関係省庁からのヒアリング

  ①世界秩序への取り組みについて

   大蔵省からの説明に続き、以下のような質疑応答があった。

  (委員)

  • 国際会議などでは、特に東南アジアから、円の国際化が必要であるにもかかわらず、日本政府はその推進に消極的であるとの意見が出る。日本政府は円の国際化についてどれくらい関心があるのか。
  • 円の国際化について実態調査をすると、タイに行っても韓国に行っても、例えばウォンの取引の場合は、円よりもドルに換えたほうが速いし、コストが安いというような話がある。
  • 株式投資等において、ベンチマークの設計の方法次第で、世界の金融市場が安定していくのではないか。
  • 国際金融の枠を安定させる究極の目的は、各国の国民の厚生を上昇させることである。そういうことについて、国際金融の場面でいかに考えているかということを見せる、あるいは対話の場所を作ることが必要ではないか。そうすることによって、NGOが破壊的な行動を起こすのを防止することができるのではないか。
  • 榊原元財務官がIMF専務理事に立候補したが、勝てると考えて立候補したのか、そうでなければどういう目的で立候補したのか。また、どういう条件が満たされれば選出されると考えているのか。
  • 株式市場でバブルの崩壊が発生し、世界的に波及していったときに、国際金融システムに与える影響をどう考えているのか。
  • クォータの見直しについてどう考えるか。
  • 最近株が大暴落したが、G7の共同声明はその大暴落の翌日の声明であったにもかかわらず、株式市場問題についてふれられていなかったことは期待はずれである。
  •   

(大蔵省)

  • ある時期までは、円の国際化は国内の金融システムに影響があるとの観点から、あまり歓迎されていなかった。しかし現在は資本が移動することは当然のことであり、かつてのように金融システム安定化のために、円の国際化を避けることは必要ない。是非積極的に進める必要がある。
  • 株式投資等においては、集団的な行動をどのように遮断していくかが重要である。
  • 日本においては、グローバリゼーションについてNGO的な反対はそれほど強くはない。グローバリゼーションは是非進めていかなければならないし、そういうことについて合意を形成していくべきである。
  • 日本人がIMFの専務理事等になるための条件としては、日本やアジアが全てサポートし、アメリカが乗ってくることである。そうなれば選出される可能性がある。ヨーロッパ人が多くを占めている状況を変えていくためには、発言をしていく必要があり、そのためには選出される可能性が低くても候補者を出すことが必要である。
  • 世界における不安定要因は資産価格の乱高下であり、それが金融セクターに大きな影響を与えるという脆弱性が議論になっているところである。
  • クォータはヨーロッパのシェアが高い。クォータは既得権益的なものになっておりシェアを上げるのは難しいが、日本あるいはアジアのシェアを上げる事が必要である。そのためにも国際的な世論を高めていくことが重要である。
  • 株価が急暴落したことを、G7で直ちに声明を出すかどうかは市場へのインパクトという点も含めて見極める必要があった。市場の動きに関して関心がないどころか非常に着目していた。

②循環型経済社会について

   環境庁、厚生省、通商産業省からの説明に続き、以下のような質疑応答があった。

  (委員)

  • リサイクル社会の実現に向けては、使用する消費者にも責任があり、事業者だけの責任ではないと考えるが、どのような整理をしているのか。政策的には、生産者責任で貫徹しようとしているのか。
  • 本年4月から東京都内で、資源ゴミの回収を行政、事業者の双方が行うことになったが、責任分担、コストの負担はどのようになっているのか。
  • 静脈産業は、コスト的に成り立っていくのか。
  • 再生資源利用促進法の中に、リサイクルに配慮した製品設計の義務づけと、回収・リサイクルの義務づけがあるがこれら2つはリンクさせる必要があるのではないか。
  • 省庁再編の中で、三つの法律(循環型社会形成推進基本法、廃棄物処理法、再生資源利用促進法)はうまく有機的に結びついて機能していくのかどうか。
  • 産業廃棄物の処理施設の立地について、地域との合意形成できるためのルールが作れないのか。
  • 生産、消費、廃棄物処理の過程での水、空気、土の汚染防止が重要である。また、汚染防止技術開発は大きな市場になるのではないか。汚染防止についてどう考えているのか。
  • 廃棄物処理施設の残余年数は地域別にはどう見ているのか。
  • 産業廃棄物処理産業は、ベンチャー企業が活躍しうる分野であるが、既存の事業者との関係で参入が難しい。この点について行政はどのように対応策を講じていくのか。
  • 廃棄物の発生抑制やリサイクルを推進するためには、産業全体のあり方を考えることが必要。
  • リサイクル社会の実現に当たって、行政と市場がどのような分担で行うのか。
  • 地方公共団体の規制のために産業廃棄物処理分野に参入を断念した企業がある。地方公共団体の規制緩和はどのようになっているのか。
  • 回収義務がメーカーにかかるとすれば、輸入業者はどうなるのか。また、個人輸入などの場合はどうなるのか。
  • 廃棄物に関しては、発生をいかに抑制するのかが重要であり、この点は消費者の行動が問われるところである。国民生活審議会では循環型社会での消費者の行動のあり方について、どのような検討が行われているのか。

(環境庁)

  • 生産者の責任を重視するのか、排出者の責任を重視するのかという点については、拡大生産者責任は機の熟したものから順次導入していくべきであると考える。一方、ちょっとした参画によって非常に大きな効果を生む排出者の責任もきちんと問うべきである。
  • 水、空気、土壌の汚染防止については、防止法を活用し、きちんと手当てしていきたい。
  • 市場メカニズムの活用が非常に重要との話については、循環型経済社会は、市場メカニズムの結果の外部不経済から生じたものであり、規制と市場メカニズムの活用とのバランスをどうとっていくのかは難しい問題である。
  • 関係省庁が有機的に対応していくのかという点に関しては、今後、環境庁が中心となって各省庁と風通しよく対応していていきたいと考えている。

  (厚生省)

  • 資源ゴミ回収の責任分担については、基本的には市場で流通しているものは自治体は手を出さない。
  • 市場経済にゆだねる方向が重要である。そのため、コストを内部化し、商品に転嫁させる仕組みを構築するための行政的措置が必要。また、市場経済にのせる条件整備のために規制することが必要。
  • 産業廃棄物処理施設の残余年数は全国レベルの数字であり、届出が出た一定規模以上の施設を対象としている。地域的には、首都圏、近畿圏で非常に逼迫しており、東北、北海道で比較的余裕がある。
  • 産業廃棄物の施設の立地については、一定の手続を踏ませること、許可要件を明確にすること、運営の透明性確保に努めること等、できるだけ透明な手続と情報提供をすることで、地域の合意を得ていくことが必要。紛糾した場合には、コンセンサスが得られるための話し合いが必要。
  • 産業廃棄物処理業者は、歴史的な経緯から処理業をやっているところが多く、従来から一定の市町村の業務を行っていた事業者を、地域で個別の結びつきによって支えてきた面がある。制度的には閉鎖的な面は全くないものの、許可権が市長村長、都道府県知事にあることから事実上閉鎖的な側面がある。地方公共団体に下りすぎている許可権をもう少し国に上げていく必要があるのではないか。

  (通産省)

  • リサイクルの義務づけをする場合は、設計と回収のリンクが必要というのはその通りである。家電メーカーやパソコンメーカーの中には、このようなことを前提とした設計を開始しているところがあると聞いている。
  • すべての静脈産業がコスト的に成り立つようになるかはわからないものの、鉄鋼業の一部や製紙業といった業界は、一部静脈産業としての性質を持ってきたが、今後そういった産業は拡大していくと考えている。
  • 再生資源利用促進法は、全てを義務化し縛っていくわけではない。この分野は業種により千差万別であり、行政が一律に縛ることはありえない。しかしながら、その中でも一律に政府でルール化したらどうかというものについて法律で規定している。
  • 回収の義務づけは、メーカー、輸入業者、流通業者も対象になる。個人輸入についても再生資源利用促進法の中で、一定規模以上生産流通している人々を対象に義務づけしている

  (事務局)

  • 国民生活審議会では、平成4年に産出物の減量化の推進について提言をまとめている。また、国民生活局では、ライフスタイルの面から啓発活動等地方自治体と協力して行っている。

以上


 本議事概要は速報のため、事後修正の可能性があります。

(連絡先)経済企画庁総合計画局計画課
 宮原、阿部
 電話 03-3581-1041