内閣府 Cabinet Office, Government of Japan

内閣府ホーム  >  内閣府の政策  >  経済財政政策  >  研究会の議事録  >  第6回人口減少下の経済に関する研究会

第6回人口減少下の経済に関する研究会

議事録

平成12年6月7日(水)10:00~12:00
経済企画庁総合計画局会議室(732号室)
経済企画庁


第6回人口減少下の経済に関する研究会議事次第

平成12年6月7日(水)10:00~12:00
経済企画庁総合計画局会議室(732号室)

  1. 開会
  2. 検討事項等について
    • 中間報告書について
  3. 自由討論
  4. 今後のスケジュールについて
  5. 閉会

(資料)

  • 資料1 「人口減少下の経済に関する研究会」委員名簿
  • 資料2   「人口減少下の経済に関する研究会」中間報告書の概要(案)
  • 参考資料1 第4回研究会(平成12年4月19日)議事録

「人口減少下の経済に関する研究会」委員名簿

  • 井堀 利宏  東京大学大学院経済学研究科教授
  • 岩田 一政  東京大学大学院総合文化研究科教授
  • 小川 直宏  日本大学人口研究所教授
  • 小塩 隆士  東京学芸大学教育学部助教授
  • 橘木 俊詔  京都大学経済研究所教授
  • 外谷 英樹  名古屋市立大学経済学部助教授
  • 長岡 貞男  一橋大学イノベーション研究センター教授
  • 永瀬 伸子  お茶の水女子大学生活科学部助教授
  • 伴  金美  大阪大学大学院経済学研究科教授

(五十音順 敬称略)


〔 座長 〕 ただいまから、第6回の人口減少下の経済に関する研究会を開催させていただきます。

 本日は委員の皆様方には、ご多用のところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の検討事項は「人口減少下の経済に関する研究会」の中間報告書について、その報告書へ委員のご意見を反映させていただけるよう議論していただきたいと思います。

 では、事務局よりご説明をお願いいたします。

〔 事務局 〕 では、研究会の中間報告書の案につきまして説明させていただきます。先週、事前に送付いたしまして、ごらんいただいていると思いますので、手短に説明させていただきます。

 まず、全体の構成は、Ⅰとして研究会の目的、検討事項と、それからⅡとして分析・検討結果ということになっております。

 研究会の目的ということで最初に書いております。人口減少や高齢化が経済に与える様々な影響について各種の計量モデルを用いて定量的な分析を行うとともに、人口減少や高齢化のもたらすマイナスの影響があるとすれば、それを緩和させるためにどのような方策があり、それがどの程度の効果を持ち得るのかについて、同様な手法で定量的な分析を行い、今後の政策形成や将来展望の基礎を提供するということでございます。

 なお、この研究会の中間報告書でいろいろな、何を評価の軸とするかということでご議論いただきましたが、この中間報告としては、GDPのような貨幣的な指標がどうしても中心となっているということでありますが、実際にはいろいろな多面的な多様な尺度が必要であるというご議論がありましたので、その点を明記しております。

 2として、研究会での検討対象期間、これは非常に長期間であり、しばらくはトランジションの期間であるということで、例えば老年人口比率は、これは予測ですから何とも言えないわけですけれども、2050年ぐらいまで高まっていって、その後大体横ばいになるというような、これからの半世紀というのは大体こういう時期であるということで、この半世紀ぐらいを検討対象期間としたということでございます。

 もう一つ、一番上の生産可能年齢人口、このワーディングをどうするかという問題はまだあるわけですけれども、これが20世紀後半はぐっと上がって、21世紀前半は下がってほぼもとに戻るといった時期であるということで、この40~50年間を検討対象期間としたということでございます。

 次に、検討事項としてここに4つ大きく書いております。①から④までございます。

 人口減少の経済成長等の経済諸変数への影響。これは一番下の方にも書いておりますが、ここでは最初は人口減少、高齢化というのは与件としてギブンであるとして考えた上で、その影響を検討し、その対応の方策を、その効果を含めて探るということであったわけですが、何人かの委員の方から少子化そのものの問題も非常に重要な問題であるという指摘をいただきまして、これはそのメインという形では入っておりませんけれども、やはりそのことについて触れているということで対応させていただいております。

 ②として、今後期待される女性、高齢者の働きやすい、あるいは能力が発揮できる社会にさせていくということで、その結果としての効果がどうなるかということを検討しています。

 それから、やはり経済の生産性の向上が必要であるということで、IT革命等の分析を行うということでございます。

 ④番目に、今申し上げました人口減少、少子高齢化に関する幾つかのトピックスということで、この4つの流れで報告書をまとめています。

 特に、①の点につきましては、経済の供給面がどうなるか。労働力人口、それから資本、技術進歩、それからもう一つは費用負担面がどうなるか、高齢化に伴うエージングのコストということでまとめております。

 分析・検討結果ということで、今の4つの問題について、まず1番目に人口が減少したらどうなるか。人口減少、少子高齢化をギブンとしまして、それが経済に与える影響がどうであるかということから論じております。ここでは、現状のようなものが続いた場合、例えば労働力率、就業率が現状の状態が続いた場合に一体どういうことが起こるのかというのをまず基準ケースとしてマクロ計量モデルでシミュレーションをしまして、それに対して就業率などが変わったときにどうなるかということを比較ケースとして検討していくということでございます。

 まず基準ケースで、労働力率が男女5歳区分の年齢で現状で横ばいでいったらどうなるかということです。ここで問題になるのは、総人口に占める就業者の割合が低下することが1人当たりの所得に影響するということで、これは単純計算でございますが、総人口に占める就業者の割合が98年に51.3%と過半数をわずかに上回るという状況でありますけれども、これが現状のままでは低下していくということをまず最初に指摘しております。こういった労働力の方は減っていくということでありますが、実は世間ではこの問題だけが取り上げられているのですけれども、もう少し考えますと、人口が高齢化すると資本の方は伸びるということを書いております。

 ただ、しかしながらそれだけでは労働力人口の減る分を相殺し切らないということを書いております。また、人口だけの影響を見ますと、プラス・マイナスをトータルして考えてみますと、2005年ぐらいから労働力人口が減り始めるということを想定しますと、2020年ぐらいまでに大体10%ぐらい労働力人口が減る。世代重複モデルというもので推計すると、しかし資本装備率は9%ぐらい上昇する。その両方の影響を生産関数を用いて推計してみますと、就業者1人当たりでは 3.6%増加する。しかしながら就業者の割合が減りますので、国民1人当たりのGDPでは4%減るということであります。さらにエージングコストのようなものを考慮しますと、その負担面で差し引きますと7%ぐらい、消費可能額といいますか、可処分所得のようなものが減るということでございます。この辺は、実はコメントをいただいておりまして、消費可能額というのはちょっとわかりにくいということもありますので、いろいろ書き振りなども工夫したいと考えております。以上は1人当たりで考えた場合はどうかということなのですが、1人当たりだけの問題ではなくて、トータルの問題もやはりあるのではないかということで、これは特に財政収支の問題などに代表されるわけですけれども、真ん中より少し下ぐらいで、一般に経済成長率が低いときには金利も低目になりやすいということで、これは例のドマーの法則のような話ですけれども、財政の方は厳しくなりやすいということ。したがって、全体としてやはり伸びる必要はあるのではないかということを指摘しております。

 これは非常に長期的な話でありますけれども、出生率がこの基準ケースでは、人口問題研究所の中位推計で行っているわけですけれども、これが低位推計になった場合どうか。これは前回水準をお示しいたしましたが、実は2050年ぐらいまでですと、それほど大きな影響は出ないというのがあります。就業者のマイナスよりも人口のマイナスの方が2050年ぐらいでは大きくて、子供が少なくなるということで、そういった意味でのマイナスはより長期的に2050年より先に出るということですが、これはこの研究会で2050年までを検討対象期間としているということであれば、その影響は余り出ないわけですけれども、より先の方になると出てくる可能性が高いということをここで指摘しております。

 大きな4つの中の2番目でありますが、今後、女性・高齢者の能力が十分発揮できる社会にしていく必要があるということでありまして、そういった条件整備が整えば結果的に就業率の上昇につながっていく、その場合の効果はどのぐらいなのかということを出しております。これは非常に効果が大きいということでありまして、例えば就業構造基本調査による就業希望者が就業することが可能になるということを前提にすると、そういった状況が生み出されれば相当な効果が期待できて、総人口に占める就業者の割合が現状のままではかなり低下していくということを先ほど申し上げましたけれども、女性、高齢者の就業率がともに上昇するという場合は50%以上の水準を維持できるということで、結果的に1人当たりの所得はそれだけ高くなるということをここで述べています。

 大きな3番目でありますが、しかしながらもう一つの問題として、やはり1人当たりの生産性というものを上げていく必要があるということで、全体としても伸びる必要はあるということを先ほども申し上げましたが、そのためには生産性を高める必要がある。現在進行中になりつつあるIT革命といったものに期待するということと、これは先生からご指摘いただきました人的資本を高めていくことが必要であると。それから、個人の能力の自己啓発を支援していく、座長からご発言いただいておりますが、こういった必要があるということを述べております。

 次に、IT革命のモデルを使って効果を出しておりまして、GDPの押し上げ効果は5年間で4.2%ぐらい、これは計測可能な部分のトレンド押し上げ効果でありますが、こういった計測も行っております。

 そういったことから、人口減少のマイナスをITでかなり補える。プラスマイナスでプラスに持っていけるのではないかということをここでは述べています。なお、この注5に書いておりますが、確かに、これは指摘いただいたのですが、人口が中高年齢化するときにITと言ってもなかなか厳しいという話があったわけですけれども、恐らく中高年齢層にとってもこのITというのは非常にプラスになるのではないか。厳しい中でもこういう明るい面もあるということをここで書いています。

 次に、まだ生産性向上の余地のある部門があるのではないかということで、ここでは実は意見をいただいておりまして、1人当たりGDPで世界のトップクラスになったということですが、実際は購買力平価で見るとまだそういう状況ではなくて、したがってアメリカよりも全体として生産性が低いということがあるということで、その辺を書き加えたいと思っております。

 次に定量分析結果のまとめ、1人当たりGDPの効果と1人当たり消費可能額の効果、消費可能額そのものの伸びであります。人口減少だけの効果をとりますと、1人当たりGDPは2020年までに4%マイナスである。これは全く生産性向上というものを無視した場合に4%減る。さらにエージングコストを考えると、7%ぐらいマイナスになるという計測結果になっております。これに対して女性、高齢者の就業率が上昇した場合に、これは1人当たりGDPも消費可能額も同じですが、これは20年間でということを前提にしておりますが、8.4%上がる。それから、生産性がITでどうなるか。5年間で 4.2%。生産性が低い部門でアメリカとの格差を5分の1縮めた場合に、これは特に何年ということはないわけですけれども、7%。こういった構造改革などの努力、あるいはIT革命の推進といったこと、さらに女性、高齢者が能力を発揮する社会にするということで、人口減少の影響は相殺できるというのがここでの結論でございます。

 次に、いろいろな計量モデルを使った分析をトピックとして載せております。最初に、これは定常状態という最も典型的な姿で出したということで、それを紹介しているわけでありますが、人口減少の長期的な影響を推計した結果を載せております。これは人口だけの影響でどうなるかということでありますが、世代重複モデルを考えた一人であるサミュエルソンのかつての論文で、人口が減ったときに経済にプラスになるという、今までの人口爆発はマイナスであるといった経済成長モデルに対して、先進国の場合はいろいろ高齢化してそういうことだけではないのではないかということをちょっとご紹介して、その上で高齢者のコスト、子供のコスト、それから就業世代のコストを推計し、それをモデルにインプットして、人口減少の総合的な効果がどうなるか、生涯消費力がどうなるかということでまとめております。これはあくまでも前提による面もあるわけですけれども、エージングコストが高いということになれば、人口が非常に減った場合、消費可能額は小さくなるということでございます。これは実は、あくまでも定常状態ですので、これから日本が迎えるトランジションでしばらくの間高齢者の割合が非常に高まっていく時期では実はもう少しいろいろな問題があるわけですので、これだけを見ますとそれほど大きくないわけですけれども、それでもマイナスになっているということでざいます。

 もう少し時間を実際のデータに入れまして、そのコストが人口の変化でどう変わっていくかということでございます。この点について実は意見をいただいておりまして、報告書の前半の方とどうかかわっているのかがちょっとわかりにくいということもありますので、もう少し具体的に、移行期の問題と定常状態の問題、そういったことも明確にしたいと考えております。

 (3)として子供の社会への純便益(純貢献)ということで書いておりますが、子供をどうするかというのは個人の選択の問題であるということなわけですけれども、この研究会でもご指摘いただいているのですが、もともと選択に制約があって、それが結果として少子化を招いている面があるということで、そういったことを明記した上で、ここでは一つの試算として子供の外部性の大きさのようなものを出しているということでございます。これは非常にある特定の前提のもとに試算したものであって、推計結果は幅を持って見る必要があるということでありますが、人口が減っていく、少子化が非常に進んだ状況を前提にしますと、子供の外部効果のようなもののプラスというのは実は結構大きいのだと、980万円というふうに試算結果として出しております。

 それから、これは計量モデルではありませんけれども、女性が就業したときのプラスということ、これは昨年の研究会のものを紹介しているだけでありますが、そういったこともいろいろ考慮する必要があるのではないかということでございます。

 次に海外との結びつき。国内だけで考えてはいけないという指摘をずっといただいておりまして、その点でこの部分を持ってきております。実は、外国人労働力の問題というのは、人口減少の問題に対するものとしては非常に大きい問題であるわけですけれども、この研究会では意見が必ずしも一致していないということであります。ここでは、「通信の発達は人の移動を伴わずに海外との交流を容易にする」という委員からのご意見などを取り入れています。

 それから、海外経常余剰と対外純資産の積み上がりということで入っておりますが、実は対外純資産というのは場合によっては非常に大きくなり得る。かつてのイギリスがGDP比で5%ぐらいの海外経常余剰のプラスを何十年にわたって続けたということがあるわけですけれども、仮に対外純資産が対GDPで100%ぐらいになったとしても、所得全体に占めるウエートというのはそれほど大きくならないということで、やはり国内経済を活性化することが重要ではないかということを書いております。

 それから、世界全体であるいはアジア全体で高齢化していくといったことも考えなければいけないということで、外国に頼るということは長期的には限界があるのではないかということを書いております。

 これは最後になりますが、消費面から見たらどうか、あるいは金融資産面から見たらどうかということで、シルバー市場というのは非常に大きくなっているということで、シルバー市場は 250兆円ぐらいのものになり得るということ。それから、消費は大きくなるけれども、住宅投資はだんだんウエートが小さくなってくるわけです。社会資本なども、今かなりやっておけば、もう人口減少下ではむしろゆとりが出るだろうということを書いております。

 この研究会で今回中間報告としてまとめさせていただいたのは、かなり定量分析を中心とした検討結果になっているということで、数量化できるものを中心にならざるを得なかった。しかしながら、いろいろなご議論をいただきまして、人口減少あるいは少子高齢化の影響は非常に広範であり多様である、課題もいろいろなことがあるということでありまして、家族介護や医療の問題、あるいは今後セーフティーネットのあり方が非常に重要になる。これは高齢者もそうですし、実際に人口減少下で今までの雇用慣行が変わっていったときに、転職、労働力の移動といった過程でのセーフティーネットのあり方が非常に重要になるだろうということでありますし、個人間の経済格差、あるいは再分配のあり方、男女間の不平等、そういった問題も解決されていない問題として出てくるのではないか。あるいはGDPといった貨幣的なものだけではなくていろいろな多様な価値観があって、NPOの問題などもいろいろ出てくるのではないか。これは今後に残された課題であるということで結論づけております。

 以上です。

〔 座長 〕 ありがとうございました。

 では、ただいまのご説明に対して、いろいろ意見、討論をしたいと思います。

〔 委員 〕 全体的に非常によくまとまっていると思いますけれども、一つコメントをさせていただきます。

 4節のところですけれども、世代重複モデルのところと、その次の子供の社会的便益の関係で、人口が減少すればするほど経済厚生が下がるということと、それから子供の数が増えることによる社会的なメリットが大きいということが対応しているわけです。その意味でこの2つがかなりセットになっていると思うのですが、ただその書き方あるいは出し方として、逆に言いますと、人口が増えれば増えるほど経済厚生が上がる。要するに人口を増やすのはこういったパラメーターが望ましいとしますと、人口成長がプラスであっても子供の社会的便益はプラスで出てくるはずなのですが、例えば、人口成長率がプラスの場合にはむしろ子供の1人当たり増加の限界消費はマイナスになって、これは要するに最適な人口成長率というのがあって、多分ここだと1とかそのぐらいになって、それ以上超えると、むしろ子供が増える、あるいは人口が増えることはマイナスだということだろうと思うのです。要するに生涯消費は人口成長率が1%まではふえていますけれども、2.0になると生涯消費は減っていますので、ここはある意味で最適な人口成長率を計算しているのではないかという具合にも読むことができると思うのです。そうしますと、例えば書き方のところで、ほかの条件は一定として、人口減少が経済厚生を低下させるというのは、ある状況で、つまり人口が主に減少している場合はそうなんだけれども、増加している場合は必ずしも、増加すればするほど逆に経済厚生が上昇するとは言えない。そのあたりは、文章のところではそういった書きっぷりになっているのですが、まとめのところを読みますと、人口減少自体が非常にマイナスで、人口が増えれば増えるだけいいのではないかというふうにも読めなくはないので、むしろある望ましいモデルで人口の最適な成長率というものを計算してみて、現実の状況というのはそれがゼロかプラスぐらいで計算できたので、現実はどんどん下がっているから多少問題だというような形をもう少し出した方がいいのではないかと。逆に言うと、子供の社会的便益の方も、要するに子供を産めばそれだけ、どういう状況であっても子供を増やすことのメリットが常に社会的なメリットが私的なメリットよりも大きいという形でこのモデルでは出ていないですね。人口が増えている場合にはむしろマイナスの形で出ているわけですから、その場合は社会的便益はむしろ私的便益よりも低いという形に読めるわけです。その意味では、どの人口成長率のもとではかるかによって違ってき得るという話を入れた方がいいのではないかという気がします。それが第1点です。

 もう一つは、これは余り今問題にすべきかどうかわかりませんけれども、人口が減少している場合の一つの大きな問題は、労働市場でこれから日本の労働の需給はどうなっていくかというのに非常に関心があるかと思うのです。基本的には、このモデルで中長期の話をして、労働人口が減少しているということの結果として賃金が上がるというのがこういったシミュレーションの大前提になって、人口成長率がマイナスになればなるほど賃金率が上がっているわけですが、このモデルでいけばそうなると思うのですけれども、本当にそれがこれからの日本経済で実現するのかどうかというのは、国際化との絡みもあって、かなり今の日本の賃金が高いとすると、いろいろな圧力が、貿易摩擦とか、外国によるいろいろな圧力もある。もう一つは、労働の中でもこれからITで伸びているところに需要が偏るとすれば、日本の中で多くの労働者がそれに見合った労働に適応できないとすると、平均的な賃金はむしろ下がるかもしれないという可能性もあり得る。そのあたりをマクロでやるのは非常に大変だとは思うのですけれども、人口が減少するということで中長期的な賃金が上がるということを想定していいのかどうかに関しては、多少何かコメントをしておいた方がいいのではないかという気がします。

〔 事務局 〕 後者の問題で、人口が減ったときに労働力不足になるというのが本当に言えるのかどうかというのは、労働力人口が減ったとしても国内が空洞化していくというのは可能性としてはあり得るシナリオで、その辺はどこかに労働力不足になるという決めつけではないというのを何か入れた方がいいという感じはちょっと私も……。

〔 座長 〕 それに関してですけれども、これは失業は一応無視のモデルでしょう。

〔 事務局 〕 失業は、超長期なので、考えておりません。

〔 座長 〕 失業を考慮すると、やはりどうしても賃金下降圧力というのは出てくると思います。ですから、留保はつけておいた方がいいと私も思います。委員の言われたこと、あなたの言われたこと、失業の問題を全く無視していることの意味というのは留保しておいた方がいいのではないでしょうか。

〔 事務局 〕 恐らくこれは生産性向上のところで書くのかと思いますが、あるいはトータルの経済の成長が必要ではないかというところに書くのかもしれませんが、それはもう経済の活力が衰えてしまえば、人口が減って労働力が減っている中でも空洞化みたいな形でいろいろ問題が出てくる、失業率も高まってしまうということだと思いますので、そうなってくると高齢者や女性が能力を発揮できる社会ではないという話になってしまいますので、本来であれば人口が減って労働力が減れば追い風になるはずなんですが、そうならなければそれもできなくなってしまうということで、その辺はちょっとそういう懸念といいますか、全くそういう可能性がないとは言えませんので、その点は書き加えたいと思います。

〔 総合計画局長 〕 恐らく今言われたのは、要素所得均等化みたいなものだと思います。要は、もっと世界をこのモデルに組み込めば、日本だけそんなに賃金が本当に高くなり得るかということそうは言えないのではないかと。

〔 事務局 〕 それは格差の問題とか、そういう……。

〔 座長 〕 違います。ファクターインプットがフリーに移動するようになると、日本と世界の先進国の賃金なり資本収益率は均等化するおそれがある。そうすると、日本は今まで名目的には高い賃金だったが、それが低くなる圧力も加わるのではないかというのが、局長の言われたことです。だから、いろいろこのモデルが想定するほど賃金が上がるのかというのは、このモデルでは構いませんけれども、やはり留保を多少しておいた方が私もいいように思います。

 第1の問題は、このモデルはウエルフェア・マクシマイゼーションはやっているのですか。

〔 委員 〕 それは難しいけれども……。少なくとも消費が一番高くなるというのは一応いいというぐあいに判断しているわけですね。その意味での最適人口成長というのは、一応言えると思います。

〔 事務局 〕 一応、時間選好率がプラスなので、これはゼロとは言えないと思いますので、それはやや1%ぐらいのところが一番大きくなるとき、たしかこれは時間選好が2%ぐらいなのですが、それといろいろなコストの見合いで決まってくるわけです。ただ、ここで言っていることは、減り始めたときに非常に低い出生率だった場合は、マイナスがものすごく大きくなってしまうということを言っておりまして、その辺がもう少し明確になるように、プラスのところは余り議論しないで、現実にもうプラスではないわけですから……。

〔 座長 〕 なるほど。

〔 委員 〕 ただ、サミュエルソンがとお話ししたのは、これはプラスマイナスは余り関係なくて、要するに人口成長率がプラスかマイナスかではなくて、人口が増えたときのメリットとデメリットという話をしていますので、その話と結びつけると、このシミュレーションの意味していることはちょっとずれているかなという気が多少しますので、そこが気になったのですけれども。括弧でくくっているのは、要するに人口が減少しているという前提のもとでは、確かに経済厚生が低下しているというのはこのモデルの結果で、それはそうだと思うのですけれども、その解釈のところと、それからそれが意味する、要するに逆にどう読めるかどうかというところがちょっと気になったということで、大変細かいことですけれども。

〔 委員 〕 その関連ですけれども、サミュエルソン自身は、オプティマルな人口成長率というのは例えばどういうふうに決まっているというふうに言っているわけですか。実質金利とタイムプレファランスとか何か、そういうことで決まってくるというような結果ですか。

〔 事務局 〕 実際に実証をやっていないので、どこかにあるはずだということを述べているだけですね、その論文の中では。

〔 委員 〕 何かN*に当たるオプティマルな成長率イコール何とかという式になっているわけではないのですか。

〔 事務局 〕 式にはありますけれども、その論文自体は全く数字はなしで。

〔 委員 〕 そうですか。実質利子率とかタイムプレファランスの関係とかが多分クルーシャルではないかという気がしますけれども、だからこのシミュレーションでもどうかな。実質金利を幾らに与えて、タイムプレファランスを幾らでやっているかというようなことがエクササイズをやるときは関係してくるのではないかと思いますけれども。

〔 委員 〕 どっちにしても、どういうのを評価基準にとるかは別として、ある最適な成長率が当然あるはずですね。どんどんゼロにいくとか、無限に人口が増える方がいいという形には普通はならない、発散するわけですから、どこかで、例えば経済成長率が高くなれば、むしろマイナスの方が効いてくるということになるわけです。

〔 事務局 〕 サミュエルソンの論文は、ちょっと必ずしも正確に覚えておりませんが、プラスではないかということを言っていたような、たしかそういうことだったと思います。

〔 委員 〕 いろいろなモデルの前提条件というのですか、そのときの国際化と関係あるのですけれども、金利については大体外生なのですか、それとも金利や実質利子率など、そういうのは大体のモデルでは外生ですか。

〔 事務局 〕 内生のものと外生のものと両方ありまして、例えば生産関数でITの効果などを出しているものは外生でして、かなり日本の収益率が上がれば投資が海外に逃げないということを前提にしたモデルになっています。

〔 委員 〕 海外には逃げない。

〔 事務局 〕 逃げない。

〔 委員 〕 そうですか。

〔 事務局 〕 ただ、若干金利は上がるという前提で置いております。この世代重複モデルはもちろん内生ですし、最初の方のシミュレーションで女性、高齢者が出てくるというのも内生で置いておりますが、そんなに大きく就業率で変わる、影響を受けるものではないということで……。

〔 委員 〕 あと、その金利と関係あるのは財政収支ではないかと思うのですけれども、本文でどこか金利はそんなには下がらないというのがありましたね。ただ、本当に下がらないかどうかというのはよくわからないところがあって、それも実質金利の方は多分国際的に均等化傾向がかなりあるような気がするのですけれども、名目は国によって相当違っていてもおかしくないんじゃないかと思うのです。だから、その名目の金利がどのくらいの水準なのかで、かなり財政収支の方は(注)でやっているということになっているのですけれども、生産性などはいろいろこのペーパーで検討しているように、女性がもっと働くとか、高齢者も一生懸命働けば、あるいは国際化で技術などをうまく外のを利用すればということで何とかなるような気がするのですけれども、財政収支のところが過度に負担にならないかというのはやはり大きいところなのではないかと思うのです。

〔 事務局 〕 これは実は図表の(注)で書いているのですが、世代重複モデルではどうかというのがあって、これは定常状態を表現するためにTFPはゼロに置いておりますので、人口成長率と経済成長率は全くイコールで、人口成長率が左の方からどんどん下がってくる順番で見ていきますと、金利の方はそれほど下がらないというのが一番下のところにありまして、この前提によるわけですけれども、最もオーソドックスなパラメーターを入れるとこういう姿になる。これは歴史的にも大体、各国の状況を見ますと、かつて高度成長時代には成長率の方が高かったという時期があって、だんだん逆転していくというのも出てきている。そうすると、やはり人口成長率が低くて経済成長率が高ければ、逆転した状態は続いて、財政は厳しい。プライマルインバランスが赤字であれば厳しくなってしまうのではないかということでございます。

〔 委員 〕 でも、利子率は実質利子率でもあるわけですね、インフレがなくなるのは。

〔 事務局 〕 これは物価は全く一定で考えておりますので。

〔 委員 〕 ほかは結構です。

〔 委員 〕 前もっていただきました報告書を読ませていただいて、私自身とても勉強になりましたし、これまでの議論がまとめられていたものを読みすっきりとしました。ただし、思いますのは、研究会の目的に、人口減少のもたらす影響を緩和するための方策と効果を検討するということがあり、その点について、報告書では女性および高齢者の就業率が上がるケースと、IT革命の進展のケースが出されているのですが、では、例えば女性の就業率が上がるためにどういう対策をとるかについてはほとんど書かれていない。女性の労働力率と出産行動は、今現在、非常に強い相関を持っています。報告書の最後の方に、子供が生まれることから社会が得る便益について書かれており、かつ報告書の真ん中辺には女性が就業中断せず全員働き続けることでどういう正の影響が経済にあるかが書かれているのですが、現状をふまえると、恐らくその両方を達成するにはいろいろな条件整備が必要になってくるのであろうと思われるのです。その条件整備には、政府の大規模な支出というコストがかかるのかもしれない。または、女性が働くことが、保育サービスや家事サービスの消費需要が増えるという形で需要が創出され経済が活性化するというプラスの方向性も考えることもできるでしょう。どのように、子どもを持つことと女性の就業中断がないこと、少子化対策としてのこの両者を可能とするのかについて書かれてないように思います。拝見いたしますと、子供にかかる公的費用が時系列で下がる一方、高齢者のコストは時系列で上がっています。これが子供が1人生まれると社会便益が大きいという分析結果を導くのだろうと思うのですが、そしてそのもとが図表の14だろうと思うのですが、1920年代とか30年代の政府支出等の数値を実数として調べた上で出されたのですか。

〔 事務局 〕 いや、これは実は97年の数字をそのまま当てはめてみて……。

〔 委員 〕 そのまま97年の数字を過去の人口比率で昔に持っていったわけですね。

〔 事務局 〕 本文の方もそういうことで。

〔 委員 〕 だからなのですね。私、どうして昔こんなに子供にお金をかけていたのかと不思議に思ったのです。

〔 事務局 〕 本文の方に書いているのですが、昔はもっと費用が少なかった可能性もありますので、ここではやはり……。

〔 総合計画局長 〕 やはりこの図表は、局内で議論したときにちょっとそういう話があったのですけれども、1920年でこんなにお金をかけていたかというのは……。

〔 委員 〕 昔に戻るだけとか。(笑)

〔 事務局 〕 ここは現状を過去と将来に当てはめただけです。

〔 委員 〕 それは書いていないので、これを見ると、おーっと思ったので。

〔 事務局 〕 実際の具体的な1920年という年ではないのです。人口を当てはめただけです。

〔 委員 〕 現在と支出構造が全く同じだとして、過去と将来に人口構成の変化のみを勘案して伸ばしたということですか。

〔 事務局 〕 現状を見る上で、一応一つの目安としてどうかという。

〔 総合計画局長 〕 具体的な実際の歴史上の1920年ということではなくて、むしろ架空的な年の方がいいかもしれない。

〔 委員 〕 子供・高齢者比率何%と置いた方がいいかもしれないですね。

〔 座長 〕 この報告書を読みまして、一つのキーとして女性と高齢者に頑張って貰う必要があるわけです。女性と高齢者に頑張ってもらうためには、やはりそのためのコストないしは委員が言われたように一体どうやって頑張ってもらうのかというようなことがないと、女性と高齢者が頑張ったら日本の社会はそう心配せんでもいいですよだけでは、読む人は納得してくれないのではないかなという危惧は、正直言って私も持ちました。

〔 事務局 〕 実際に就業と育児が両立しにくい状況にあるということは書いているのですが、トレードオフの関係がどの程度なのかという数量的なものというのはちょっとなくて、そこが本当は一番問題だという。こうなった場合は、子供が1人生まれた場合はこういうプラスがある、女性が働いた場合はこういうことがあるというのは言っているのですが、その両者の関係がどの程度のトレードオフになっているのかというのは、実は数量的なものはなくて、それが残念ながら示せていないということだと思うのです、一つには。

〔 委員 〕 日本では、長子出産後1歳時点での就業継続者は大体2、3割にまで落ちます。しかしアメリカなどでは子ども1歳時点での就業率は6割ぐらいだったと思います。フランスもかなり高い数字だっただろうと思います。それがどの程度の密度や時間の就業であるのか、またどの程度の賃金を稼得しているのか、詳しく見ると多少話は違うのかもしれないものの、諸外国では子どもが幼い時点であっても女性の就業率は高く、また過去に比べて上昇しているのに対して、日本では非常に低く、しかもこの20年間ぐらいほぼ不変である。むしろ、家族従業といった非雇用就業の働き方が縮小した分だけ、つまり雇用者が増えた分だけ長子出産後の継続は若干落ちており、92年以降の育児休業法の施行によっても回復した証左はそれほど見られていないというのが就業構造基本調査あるいは出生動向調査等の示す結果だろうと思います。

〔 座長 〕 この研究会で、どうやって女性に頑張ってもらうか、高齢者に頑張ってもらうかまでは我々は期待されていないと突っ張ることも可能です。しかし、背後にはやはり、そのために女性に頑張ってもらう、または高齢者に頑張ってもらうというのはそれだけのコストがかかるし、では高齢者に関して言えば、今基礎年金の早期割引率、早くもらえば割引率を高くするというのが導入されているわけです。そうなってくると、日本の社会で早く引退する人がきっと出てくるのです。もう働くのは嫌だと。そういう人たちが出てくる現状で、こんな高齢者に頑張ってもらうシナリオでいいのかというのも、やはり矛盾は出てきますね。

〔 事務局 〕 基礎年金の問題というのは、今までカット率が余りにも大き過ぎたというのが多分あるのだと思うのです。

〔 座長 〕 そうですか。

〔 事務局 〕 余り平均寿命が長くないことを前提にした昔決めたものがそのまま残っていたということなのでしょうけれども、確かにカット率が小さくなれば、65歳支給であっても、もう60代前半で引退する人が出てくる可能性はある。

〔 座長 〕 だから、ここで言う女性、高齢者に頑張ってもらう逆の選択だって日本人はやるかもしれないわけで、この論文を読んだときに私も委員と全く同じ印象を持ちましたね。

〔 委員 〕 もちろんこの報告書は、分析が海外との取引を考慮する多部門とされているなどの点で、興味深いものです。海外や国内でのさまざまな相互関係の結果、貯蓄や社会保障基金など、お金の流れがこうなると予想されるのだなというような点を読み、私自身にとって勉強になりました。けれども、ケースに至るための道筋についてもう少し何か書かれてもいいのかなという気がいたしました。

〔 事務局 〕 現状でやはり厳しいということをもう少し書いた方が、こんな簡単にいかないということをですね。

〔 委員 〕 いや、厳しいというのではなくて、そのための条件整備をする(コストを支払う)ということを国民が選択するかどうか、その条件整備にかかるコストとここから予想される経済の活性化といった便益を示す、あるいはその道筋を示すということなのかなという気がするのですけれども。

〔 座長 〕 では、あなたから見たら、一番有効な条件整備は何だと思いますか。ヒントを与えてください。例えば、女性の就業を促すための条件整備は何が一番有効だと思われますか。コストがそんなにかからないというのがベターなのだけれども、コストがかかればマイナス効果が大きくなるから、何だと思われますか。

〔 委員 〕 働き方を、もう少し今と違う働き方を導入して、それで……。

〔 座長 〕 例えば短時間就業とか……。

〔 委員 〕 短時間就業で働いても、今のようにパートと正社員で非常に待遇が違うというのではなくて働けると。

〔 座長 〕 なるほど。

〔 委員 〕 そして、そのことに経済界も合意して、ではそういう働き方をつくることが非常に日本の将来に重要なのだと、労働組合も経営者側も合意を持って働き方を送出すれば違うのではないか。そうすれば、子ども都合で早めに帰る人のことを半端であるとか、お荷物とは見ていかなくなっていくだろうと思うのですけれども。ただ単に保育所の整備だけでこのシナリオが実現はしないだろうという気がします。もっと……。

〔 座長 〕 それに関しては経済界はそうフェイバラブルではないですね。

〔 委員 〕 だめですか。そうですか。私の発言ばかりで申しわけありません。

〔 座長 〕 いやいや、大事な問題で、そこまで踏み込むかどうかは検討してみましょう。

 高齢者だって、私は高齢労働供給を昔から大分やってきたら、ヨーロッパはむしろもう引退を早くするというのが傾向なわけです。日本だけ引退を遅らせるという矛盾が起きているような感じがして、よっぽどきちんと高齢者対策をやらないと、世界の流れとは逆の方向をいっているのではという気がするのです。

〔 事務局 〕 でも、政府はもうかなり変わっているような気がするのですが、やはり年金の問題というのは非常に大きくて、年金改革の議論などを見ますと……。

〔 座長 〕 支給開始年齢を遅らせるというのはもう制度として入っていますから、引退をおくらせる方向には進んでいますけれども、それが本当の日本の労働者、高齢者の希望かどうかというのが私にはもう一つわからないのです。でも、ちょっと細か過ぎるので、これ以上しゃべらずに、ほかの方の意見も聞きましょうよ。

 ほかにありますか。

〔 委員 〕 あともう1点としては、出生率低下の長期的影響は社会保障には当面出ないというこの推計は前にいただいたのだと思うのですけれども、これはこの間の年金改正、―保険料率の上昇や支給開始年の遅延など-そういう想定を入れたらこうなるということなのですか。現在既に決まっている……。

〔 事務局 〕 今回の年金改正の……。

〔 委員 〕 今回の年金改正を入れるとこうなるという、そういうことなわけですね。

〔 事務局 〕 ただ、この辺は、2040~2050年の話だとかなり先なので、相当幅を持って見なければいけないのですが、中位推計でやっても、やはり年金などは結構いろいろ影響が実はありまして、低位と中位でそんなに大きく差はないのですけれども、団塊ジュニアが引退する時代というのはそれなりにやはり、もしかしたら今のままでもつのかどうかという結果が出ています。それは厚生省の結果とは必ずしも一致はしないのですけれども、低位だから大変だというよりも、団塊ジュニアの高齢化がピークに達するから、かなりいろいろな問題が出てき得るという問題です。

〔 座長 〕 では、まだ発言されていない方。はい。

〔 委員 〕 日本では、警鐘を鳴らす悲観的シナリオを示すことが好まれる傾向にあります。これまで、少子高齢化で悲観シナリオを人々に刷り込むことで、日本経済を駄目にしてきたと考えておりますので、本報告は、明るい将来の可能性とその条件を示すことができたことで、非常にいい報告と考えます。ただ、座長などから、外国人労働力の活用という話がよく出てくるわけで、その点についての言及がないですね。

〔 委員 〕 はい、まあ。

〔 委員 〕 私は、外国人労働力の活用については色々と議論されていますが、50年という予測期間を前提とすれば、事実上は不可能であることをもう少しはっきり打ち出してほしい。大体2035年ぐらいから漢字圏諸国も人口が減少し始まります。高齢化という問題が、日本だけでの特有の問題ではなくなっており、アジア全般で起こっているという問題意識が必要です。したがって、人口減少を外国人労働力で補うことはもうできないですよ、すなわち、労働力を供給する国がもうなくなっており、労働力の争奪戦が始まる可能性が高いということを、もう少し言っていただく必要があります。

 それと、今回のシナリオで気になるのが、日米の生産性格差でして、それによれば日本の生産性が低く、発展途上国なみになっており、生産性上昇余力が大きいことが楽観的シナリオの要因となっています。実際、生産性格差表によれば、日本がアメリカと比較して高いのは機械業ぐらいでして、他の産業は著しく低くなっています。ということはそれだけ、生産性上昇余力があることを意味します。この点については、日本人の一般的な常識との違いがありますので、誤解を生まないためにその点についてもう少し検証をお願いしたい。当初、IT革命による生産性上昇と書かれておりましたので、介護をロボットが行うような味気ない将来を想像したのですが、製造業だけてなく、建設、金融などの分野で、生産性向上が大きく貢献することが期待されており、その意味ではバラ色の未来になっています。

 もう一つ、定量分析結果をいろいろと比較するときに2050年だったり2020年だったり2000年だったりしていて、基本的には人口減少の影響、高齢者の影響、ITの影響とがあるのですが、期間を見ると、最初の方は20年までで、ITに関しては2004年までで、総体の生産性部門の上昇というのは何も書いていないわけでありまして、これは一体何を何で比較しているかがよくわからない。多分これは最後の期におけるGDPの比だと思うのですが、普通の人が見たらこれは成長率と考えてしまい、誤解を生む可能性の高い表現と思います。

 この報告の結論は、少子高齢化への対応の鍵となるものは、まず高齢者と女性に働いてもらうことですというのであれば、それなりの強いインパクトとしてあります。さらに、IT革命による生産性の上昇も重要な鍵とすれば、それがなければ日本は大変なことになるのですよというメッセージとして読み取れると思うのです。だから、楽観的シナリオですが、弱点を明示することで、報告の主張を明確にする工夫をしていただいた方がいいんではないかと思います。

 以上です。

〔 座長 〕 1番目の外国人は、実はこの報告を本体の経済審議会でもうやったのです、何週間か前に。やはり委員の方から「あなた方は外国人の問題をやっているのか」という質問がありました。「いや、もう我々は外国人の問題はやる余裕もありません」というようなことを私などは言った記憶があるのですが、研究会で外国人を入れるか入れないかというのはちょっと検討課題としては無理なのではないですか。

〔 委員 〕 いえ、外国人労働力を入れるべきか、入れざるべきかではなくて、アジアの供給余力が無くなるので、日本が入れたくても入れることができなくなるということを認識して欲しいということなのです。

〔 座長 〕 もう入れる余地はないと言い切った方がいいですか。

〔 委員 〕 先生のご意見は、要するにサプライサイドに限界があるということですね。

〔 委員 〕 サプライサイドに限界があるということなのです。

〔 委員 〕 それは非常に重要な指摘だと思います。

〔 座長 〕 ということは、もう移民、外国人を入れる余地はないと。もう検討すること自体が不可能なのか。

〔 委員 〕 入れる場がないのですよ。我々は欲しいんだけれども、供給する側がもうないということです。

〔 座長 〕 なるほど。

〔 委員 〕 ということともう一つは、デマンドの量がふえる。アジアのほかの国が高齢化していって、そちらが今度はデマンドサイドに回る。台湾とか韓国とか。

〔 座長 〕 いや、でもインドもだめなのですか。

〔 委員 〕 一言で言えば、漢字圏から欲しいわけですよ。

〔 座長 〕 漢字圏からね。

〔 委員 〕 そこのところの需要は、東南アジアはみんな中国の影響が大きいですから、できれば漢字圏の人を欲しいわけです。

〔 事務局 〕 図表の中に外国の人口増減率、それから高齢化というので中国と韓国の方も書いているのですが、そこらをこういう形で書いているのですが、本文の方でもアジアが高齢化するということをもう少し。

〔 委員 〕 ですから、供給サイドに制約があることをはっきりと言わなければならないのに座長自体が供給サイドに関してきちんと言及されないことが、不満なのです。

〔 座長 〕 まだ触れない方がいいと思いますよ、移民の問題は。

〔 委員 〕 ただ、これは表としてもう少しうまいやり方があると思います。僕が思うには、各国ごとに、レイバーフォースへの新規参入の値を見ると、わかります。非常に早い段階で減少局面が来てしまいます。

〔 座長 〕 わかりました。委員の意見はよくインプットしておきますので、もう供給がないと。

〔 事務局 〕 これは、まだ購買力平価で見れば日本はトップクラスではないという意見がありまして、したがって生産性は機械ぐらいしかアメリカより上ではないということで、ただこれも楽観的に、だからキャッチアップできるのだというふうにすぐいくのかどうかというのはなかなか実はあれですけれども、余地はあるのかなという感じはします。構造改革というのはそういうことで必要なのだ、やることに意味があるのだということでもあるのかなという感じがしますが。

〔 委員 〕 これもそれで要するに日米間は例えば製造業に関してほとんどに関して日本の方が生産性は上だと、日本人の頭に刷り込まれているのです。(笑)

〔 座長 〕 そうじゃないでしょうよ。私はそれと違うな。

〔 委員 〕 私もそう思っていませんが、社会はそういうぐあいに見てしまうわけです。さっきの外国人労働力だって、供給が無尽蔵にあると思ってしまうわけですよ。

〔 座長 〕 そうかなあ。

〔 委員 〕 その他サービス業の生産性が高いというのは、これは医療が日本でいいということなのですか。

〔 事務局 〕 医療ではないと思いますが……。

〔 委員 〕 公務ですか。

〔 事務局 〕 これは必ずしもわかりませんが、公務関係になるともうほとんど測定ができませんから、本当は無視した方がいいというぐらいのことだと思います。

〔 座長 〕 定量分析結果のまとめの説明はもうちょっと、年率なのか、ターゲットなのかをはっきりした方がいいし。

〔 事務局 〕 これはまさにこの報告書でも最も重要な点ですので、わかりやすいような形に工夫したいと思います。

〔 座長 〕 一番重要ですから。それともう一つは、それぞれの値を計算したときに使っているモデルが違うのではないですか。それもはっきりしておいた方がいいんではないか。どのモデルを使ったときに女性・高齢者の就業率上昇の効果が出た、どのモデルを使ったときにITの効果が出たというのでしょう。たしか使っているモデルは違いますよね。だから、1つのモデルを使ってこんなバラ色が出てきましたというのではないというのもはっきりしておいた方がいいですよね。

〔 委員 〕 私も送られてきたものを見まして、これまでやってきたことを再確認したという感じで、非常によくまとまっていると思ったのですけれども、2つほどちょっとコメントさせていただきたいのです。

 1つは、たしかこのもとのモデル、シミュレーションとか考えの、例えば最初の1の経済成長の影響あたりから始まって、恐らく基本的には人口というのは労働力である、労働力と資本ストックという2つの生産要素から生産物ができる、そういうフレームワークのもとで話をされている。それ自体は非常に有意義で、経済学の伝統であるのですが、ただ、一つ最近の新しい成長理論というのは、労働力も重要なのですが、それよりも生産要素として人的資本であるとか技術水準というようなものを重視している。むしろ最近は労働力自体を軽視するとは言いませんが、そういうものがないようなモデルも扱っているものも見られまして、もしできるのであればモデルの中に人的資本とか技術水準を入れたようなモデルでもう一度この議論を検討すると、またいろいろなことが言えるのではないか。特に最近のアメリカのIT革命での好景気というようなものは実は新しい成長理論を背景にしていろいろと出てきたのだという説が幾つか出ていまして、今後日本がそういうふうになるかどうかということを検証する意味でも、従来の伝統的なソロー型のモデルも重要ですが、それからさらに発展した新しい成長論の話を盛り込んだモデルを使った分析をされるというのが、今後の長期の日本経済を予測する意味では非常に有益だと私は思いました。

 2点目は、それに非常に関連しているのですが、人口というものを労働力として量でとらえている。もう一つ経済学で言うところでは量と質というのがありまして、質の人的資本というのが一方ではあって、横で広がるか、縦で広がるかで、結果的に生産において同じような効果がある。というのであれば、なぜ人口成長というものの横でとらえるのが重要かということを若干、必要性というか、それも問題意識としてあるとよりわかりやすいのではないかと思います。例えば、もちろんここに書かれているのですが、全体の需要への影響ということで、人が減るとマクロの日本全体の需要が減って、それが日本経済に悪影響を及ぼすとか、財政の話とかももちろん話されているのですが、例えば人口が減ると、今の話と関連するのですが、人的資本が一般的には上がるというモデルがあるのです。人口が減ると人的資本が上がる。量から質に移る。一方で、人口が減るとアイデアを生み出す人が少なくなるので、技術水準みたいなものが減ってしまうというような議論もありまして、そのような人口の量が人的資本とか技術水準にどう影響を与えるのかという議論も踏まえると、より人口減少というのが重要な問題だということが認識できるのではないかと思いました。

 最後にもう一つ言うと、人口が減るということは、これはちょっと経済学から離れるかもしれませんが、日本の国際的な地位というか、国際的発言力というか、そういうものもひょっとしたら……。もちろんヨーロッパ諸国でも日本と同じようなレベルの1人当たりのGDPの国はいっぱいあるのですが、それと日本とを比べた場合、日本というのは人口が多くて1人当たりのGDPもかなり高いということで国際的発言力があるといったら、そこら辺の兼ね合いがまた問題意識として出てくるのかと思いました。

 以上です。

〔 事務局 〕 そういう新しい成長理論のものはいろいろ考えたのですが、数量化がなかなか難しいという……。

〔 委員 〕 それは、モデルの中に生産要素を入れることは、いろいろなシミュレーションのモデルがやられていますけれども、難しいですか。

〔 事務局 〕 外生で与えることはあれですけれども、実際に内生化することというのはなかなかできないわけで、確かなことが言えるというのはなかなかないというのがありまして、ただ、先ほどおっしゃった人口が減ると、例えば労働力が減るとむしろ労働節約型技術みたいなものができて人的資本もという話などは、ストーリーとしてはあり得ると思いますので、どこかに入れたいと思いますけれども、定量的にするというのは、いろいろなものを当たってみて何度も考えたのですが、確実なものとしてやるのはなかなか難しかったという結論です。

〔 座長 〕 言われたいことは、アメリカの最近の研究を見ると、成長理論が変身していると。ヒューマンキャピタルだとかテクノロジーというのが新しい変数に入ってものすごくやられていると。そういうのを考慮したらどうかと言っているわけで、この研究会でそれを今からやるのは無理だし、次のモデルをつくるときにそういう最新のグロース・セオリーというのを考慮しなければいかんということで、今回はもうちょっと……。

〔 委員 〕 ええ、これは次の課題ですね、そういう意味で。

〔 座長 〕 次の課題だと思います。無理です。

〔 委員 〕 だけど、ここのモデルは基本的にはそこは外生的にいろいろと与えることができて、実際に与えているわけです。だから、僕はそれでいいと思うのです。すべてモデルでやるなんていうのは、僕はやるべきではないと思います。

〔 事務局 〕 それから、実際にTFPといいますか、人的資本というときに、本当に人的資本というのはプラスの成長をしているのかどうかというのが実はありまして、大学の先生がいらっしゃるのであれですけれども、学生の質とか、そういうのを私は随分いろいろなところで聞くわけで、ただそのはかり方が違うのだという説もあって、昔と同じ基準ではかったら、それはそういうふうに見えるけれども、実はITとかそういうことを考えると違うのだ、だからラスパイレスではかってはいかんという話もありますけれども、そういう話などももし伺えれば。

〔 委員 〕 もうちょっと遅過ぎるかもしれないけれども、これは前回に申し上げたのですけれども、人口に関するモデルという点では非常に問題点がたくさんあるのではないかなと思うのです。また、人口が変化するということは人口の構造が変わるということだと思うのですけれども、その構造の変化というのが果たして現在のこのモデルでとらえられているのかということもひっかかるということで、エイジストラクチャーだけではなくて、今、おっしゃられた質の問題なのですけれども、エイジが変わるということは、生産性も確かに年齢によって違ってくる面もある。エデュケーションも変わります、構造が。前にちょっとシミュレーションをやったときに、エイジだけのプロダクティビティーをウエイジではかりまして、マトリックスをつくってシミュレーションをかけたことがあります。

 それからもう一つ、子供の費用のところはパブリックだけを見ておられますけれども、パブリックとプライベートの両方を入れるべきです。この場面に大きいのは、女性のオポチュニティーコストだと思うので、女性が失うものは非常に大きくなる。そういったオポチュニティーコストがこのモデルの中に入ってこないので、オポチュニティーコストが高くなるから女の人は子供を持たないで働いてしまうという、このモデルでそれがどこまで計量化されているか。いわゆるコストオブチルドレンのパブリックの部分だけで果たして計量化がうまくできるのかという問題。全体的にヨーロッパで90年代の初めのころなどの子供のコストの研究というのがもう少し見られるといいと思います。

 それから、ウエルスの議論も本当はあった方がいいのかなという感じもしますし、労働力も、時間数が生産関数にどのくらいきいているのか、その辺がちょっと気になったところです。先ほど出生率が2050年まで余り影響はないというのですけれども、実際にはよく考えてみると、きょう生きている人の45%しかそのときに生きていないわけですから、2050年まで今生きている人の何%が残るかをよく示せば、あとどのくらい不確実性が若い方から出てくるか、そういう表を見せた方が国民は納得すると思うのです。そうすると、きょうだって生きている人は2025年には69%しかいないのですから、7割方当たるのですよ。だから、それが2050年だとかなり確率が悪くなってくるので、要するにシミュレーションというか、計量モデルで言うと、非常にエラーの部分が大きくなるというのと同じなのですけれども、そういったものが非常に大きくなってきて、そしてそれが価値観といったものに増幅されて出てくると、僕はかなり大きな、特に、年金には影響はないかもしれないけれども、基幹労働をだれが支えるかという大きな問題になると思います。

 それから、女性の就業率の上昇云々で何%労働力というのは、これはいいのかもしれないけれども、ニューエンゼルプランとどのくらい整合性があるのか。

 以上です。

〔 事務局 〕 では、その問題というか、途中で言われた話も、女性の機会費用と子供の機会費用という話で、そこが一番大きい問題でもあるのですが、ここで女性の機会費用というのは実は、モデルには入れていませんけれども、ほかのものをちょっと引用して、6年間の就業中断で 7,000万円ぐらいあるということで紹介だけしているということなのですが、結局先ほど申し上げました女性の就業と育児とのトレードオフの関係というのはなかなか定量化できないということで、こういう取り上げ方にとどまって、モデルには入れていないということなのです。

〔 委員 〕 だけど、ウエイジ関数から外れているのではないか。

〔 事務局 〕 いや、それはだから出しているわけです、賃金だけは。

〔 委員 〕 女子の労働参加率の時間の賃金関数の中に、子供が何人いて何歳の子がいるというのをオポチュニティーコストサイドで、タイムロスで入れるとはじけるのではないか。

 それをやった結果はどうなったかというと、これはミクロデータから来ているのですが、1人の女の人が子供を持つと、フルタイム賃金は10%落ちる。老人介護を自宅ですると、1カ月につき 1.2%ずつ女子のフルタイム賃金が下がっていくのです。要するにやめたり、いろいろなポストがかわってくる。その延長線をこちらでいろいろな研究をやられると、ひょっとするとその辺が取っかかりになって計量化につながるかもしれません。

〔 委員 〕 それは、人口平均でみんながそういうふうにすると 1.2%賃金平均が落ちるというのですか。

〔 委員 〕 これは全国調査のミクロの世論調査から集めたデータから賃金関数をはじき出して、それから労働参加率を計算したわけです。

〔 事務局 〕 それからもう一つ伺いたいのですが、エイジとエデュケーションをマトリックスにしてシミュレーションというのは、どういうデータで……。

〔 委員 〕 賃金センサスからデータを何年間かとってきて、そのトレンドがもしも安定していれば、そのマトリックスを使ってやります。だから、何年間かでタイムトレンドで上昇していれば、そのトレンドファクターを入れて計算しなければいけないと思うのですけれども、ただ一番怖いのは、マルティコリニアリティーが出てくる可能性はあるのです。僕のやった場合ではうまく切り抜けられたのですけれども、そんなやり方もあると思います。

〔 事務局 〕 先生がおっしゃられたのはOECDのレポートですか。

〔 委員 〕 ヨーロッパでいろいろ、90年代の半ばごろに……。

〔 事務局 〕 高学歴化になってきて、中高年になっても生産性は落ちないというアネクドータルな話はいろいろあるようなんですけれども、余り実証的な分析というのはなかなかなかったので、そこまでは書いていないのです。

〔 座長 〕 皆さんのご意見をお伺いしていると、一応のこのモデル解析でアチーブメントはあったけれども、今後こういうことを考慮しないといかんというのも、ヒューマンキャピタルはそのとおりだし、あるいは女性、男性の労働参加の話も当然内生化していかなければいかんし、もういっぱい課題は抱えているのは事務局も当然理解しておられるので、それは今後の課題として当然書いておかなければいけないというのはわかっていると思います。

 ほかにはございませんか。もうちょっと時間がございますので。

〔 委員 〕 先ほどの女性の就業率上昇のための条件整備にかかるコストも考察するという話なのですけれども、保育園の入園率が今は例えばゼロ歳児はかなり低いのです。1割にも達していないと思うのです。5歳児で3,4割ぐらいだと思うのです。女性の労働力率が育児期に落ち込まないというこのシミュレーションを実現化するためには、少なくとも現在家庭で養育されている子供の人数掛ける保育費用というのはコストとしてかかることはあり得るわけですよね。おばあさんなど親族が見てくれるとは限らないので。そういうところは全く計算に入っていないので、例えば先ほど賃金はどのくらい落ちるかという方法での推計があり得るとおっしゃいましたけれども、それだけではなくて、例えば保育園に全員が入るためにはこのぐらいの費用が使われるかという計算は、対策のコストの算定としてとりあえずあるかなという気がします。

〔 事務局 〕 実はここでは、女性が就業したときに、仕事を中断しない場合に、これは機会費用として出すのですが、プラスというか、社会的に税金を払うとかそういう話もあるのですが、プラスがあって、それと保育の公的費用とどちらが大きいかということを一応定量的に出してみようと思ったのですが、実際にゼロ歳児まで含めて考えると、前にもご指摘いただきましたけれども、相当費用がかかって、やはり社会ではマイナスになるのですね。

〔 委員 〕 もしもそれだったら、そういうことを出して、例えば1歳からだったらそうじゃないとか、2歳からだったらそうじゃないというので、例えば育休のあり方というのを考えるあれにはなり得ないのでしょうか。

〔 事務局 〕 だから、本人の賃金として本人の益になるものを除いて、社会に還元される分というとらまえで考えると、やはり費用の方が大きいんじゃないかという。

〔 委員 〕 そうですか。

〔 事務局 〕 ふえる税金とゼロ歳児の保育費用というのを考えた場合、ゼロ歳児の場合は相当かかりますから、ここでちょっと出しているのは平均なので、やはり3歳、4歳の子供の費用がウエイトとしては大きいので、ゼロ歳児まで含めて考えたら相当マイナスではないかというのがあるので、余りそこまですると……。

〔 委員 〕 そうすると、女性の就業率上昇の効果という、ここのところはどういうふうにそのストーリーの中に入ってきますか。

〔 事務局 〕 そこは、だから費用までは入れていない。保育費用を社会的に公的に負担するということまでは入れていないので、あくまでもこれは、結局個人の問題に還元すれば、本人の賃金がふえて、若干計量モデルで波及効果も出ていますからプラスアルファのGDP効果があって、それによって税、社会保障負担と言っておりますけれども、支払いがふえるから、その分だけ何らかの政府のサービスが供給されるという余地が出てくるというところまでは出せますけれども、実は保育の費用もあった上で就業率が上がるというところまではちょっと出し切っていない。だから、ミクロの数字として出そうとしたんですけれども、ゼロ歳児で考えると、どちらかというとマイナスの方が多い可能性もというのが実態ではないかと思うのですけれども、そこまではちょっとここでは出しておりません。

〔 座長 〕 ちょっと話を変えていいですか。ドイツがIT革命の担い手としてインド人だけは特別に入れようという政策を決めましたね。ああいう政策は日本でもとれませんか。

〔 委員 〕 だけど、何でインド人でなければいけないのですか。

〔 座長 〕 インド人はものすごくITで優秀な人がいっぱいいるからですよ。(笑)シリコンバレーへ行ったらインド人ばっかりですよ。

〔 委員 〕 それこそ中国人でもそうだし、供給がないけれども。

〔 座長 〕 ドイツはそれを見ていて、おれたちもインド人を入れようという法律までつくって決めたわけです。そういうことだって日本でできませんか。

〔 委員 〕 それはできるでしょうね。

〔 座長 〕 だから、供給がないというのは、それはアジアの漢字圏を見ればそうだけど……。

〔 委員 〕 そういう意味では高い賃金は払えますからね。

〔 座長 〕 それはもう当然高い賃金でないと来ないでしょう。

〔 委員 〕 私の言いたいのは、いつでもあると思っていると間違いだという。

〔 委員 〕 間違いだと、私もそこが言いたい部分です。

〔 委員 〕 供給源はあると思いますよ。だけど、その供給源が変わっていくのです、いろいろな所に。要するに、非常にコンスタントにその辺は変わっていく。

〔 委員 〕 私は、インド自体も、それは大部分は低いんだけれども、いわゆるIT対象になるような方々というのはそんなにいないという……。

〔 座長 〕 限られる。取り合いが始まる世界で。

〔 委員 〕 もう今だって取り合っているので、多分日本には来ないと思います。

〔 座長 〕 理由は。

〔 委員 〕 英語が通じないでしょう。

〔 委員 〕 それはあるね。

〔 座長 〕 ドイツも英語は通じないよ。まあ日本よりましだろうけど。(笑)

〔 委員 〕 別のことでちょっといいですか。

〔 座長 〕 どうぞ。

〔 委員 〕 R&Dについては、私は使い方で何とかなるんじゃないかとは思っているのですけれども、基幹労働者とおっしゃった、マニュアルワーカーですか、例えば建設部門で実際に建設工事で少し重い物なども運ばなくてはいけないというような人がどのぐらい不足するのか。20年ぐらい前かな、やはり労働力が不足するのではないかという議論が財界などでありまして、そのときに建設の労働者が足りないのではないかと。実際に入ったのだと思います、ある時期。だから、そっちの方の労働者のことを考えるのか、そうじゃないまさにハイリースキルドワーカーの方を考えるのかというので、問題の性質が随分違うのではないかと思うのです。ハイリースキルドワーカーは、先ほどの先生のお話だけれども、限りなくキャピタルに近くて、フリートレードでいい賃金を求めてリターンが高いところへ移るのではないかと思うのです。だから、それはまさに競争でやり方次第だけれども、基幹労働者のところは私はわからなくて、機械などで置きかえれば、そんな力持ちではなくたって工事も何もみんなできますよというふうになればうまくいくような気もしますけれども、本当に足りなくなると言う人もいるわけです。そこのマニュアルワーカーのところが本当にどのくらいシリアスなのかというのは、私はちょっとわかりません。というのが1つ目です。

 それから2つ目は、50年とか1世紀とかという長い期間を考えたときに、出生率自体を外生として考え続けていいのかというのが問題としてはあるのではないかと思うのです。つまり、先ほどの内生的成長理論の一つは、成長率自体が、人口の増加率自体が内生化し得るはずだと、ゲーリー・ベッカーとかバローとかという論文がありますね。それに関連したものも幾つか出ているのではないかと思います。だけど、それはどうなのですかね。実証分析で非常に詰めてやっているのは余り見ないですけれども、ある程度のことは言えるのではないかという気もするのです。例えば先ほど出たように女性のオポチュニティーコストといいますか、子供を育てるための課金というのはたくさんある。つまり、女性の待遇がよくなってと言うとおかしいですけれども、パートでも何でも給料が上がると、逆に言うと子供を持つことのオポチュニティーコストが上がっているわけです。ですから、そうすると余り持たないという可能性もあるわけです。やや矛盾したようなことになるかもしれませんけれども、つまり、女性がより平等に扱われるようになって、それで給料もきちんと上がるようになると、子供をケアするオポチュニティーコストが高いので、もう1人以上は持てないとかというのは基本的には何かロジックとしてあるような気がするのです。戦後の日本で子供が減ったのは、政府がそんなに減らせ減らせと中国みたいに言ったわけではなくて、それは2つの要因があって、女性は本当は両立したいのにうまくできないから子供の数を減らしてしまったのだという議論と、それからむしろ女性の地位がだんだん改善してきたので、オポチュニティーコストが上がったので、そっちを選んだのだという、その両方の要因があるような気がするのです。例えばそのどっちの方が本当は強く働いているのかということで、出生率がどっちの方に動くのか、それはどのぐらいになるかというのは、将来の長い推計だと幅がすごくあるわけです。そうすると、そういう経済的な要因が本当は逆に影響するのではないかということは何も考えなくていいのかなというのが2つ目なのです。別にここを直せというのではないのですけれども、それは全然考慮しなくていいのかと。

 3番目は、ボランタリー活動と申しますか、前にも申し上げたのだけれども、社会に対するパーティシペーションみたいなことを全然考えないでいいのかというのはやはり潜在的にはあるような気がします。つまり、NGOとかNPOとかという活動は多分21世紀にはもっともっと拡大していくのではないかと思うのです、アメリカを見ても。GDPに入っている活動もあるし、入らない活動もあるのです。だけど、それは純粋の市場メカニズムではなくて、ある種のパブリックアクションみたいな形で、医療の分野で介護保険などというのもそういうところがあるわけです。つまり、マーケットだけで全部提供するのではなくて、アメリカですらそうだと思うのですが、NPOみたいなものが実際に医療サービスをかなりやっているわけです。高齢者のケアとか、あるいは環境のNGOとかも随分あると思います。環境の方はGDPには余り入らないと思いますけれども、環境自体がよくなることで実質的な生活水準は上がるのではないかと思いますけれども、そういうのは入らない。だけど、こっちのボランタリー活動の方をもっとやりなさいと言えば、GDPの方は多分少し減るのではないか。つまり、生きがいと市場活動のトレードオフみたいなものがあるのではないか。別に、だからそれを入れて定量分析をしろということではないのですけれども、そういう要素があるということはどこかで、言葉だけなのかもしれませんけれども、言っておいた方がいいような気がします。

〔 座長 〕 今のは希望なので、ここで議論する話ではないと思いますので、一応時間も参りましたのでこのぐらいにしておきまして、「人口減少下の経済に関する研究会」の中間報告と公表に関しまして、事務局よりお話ししていただきたいと思います。

 事務局、お願いします。

〔 事務局 〕 今いただきましたご意見などを踏まえまして、それからまたメールなどでいろいろな意見を出していただいて、それを踏まえまして事務局の方で加筆訂正をいたしまして、座長とご相談の上取りまとめて、恐らく今月の下旬になると思いますが、記者発表をするということにしたいと考えております。

〔 座長 〕 ただいまのご説明のとおり、本日のご意見を踏まえまして、中間報告の修正及び公表につきましては、事務局と相談の上、私の方で責任を持って行わせていただきたいと思っています。それでよろしいでしょうか。

             (「結構です」と言う者あり)

 IT革命の効果については、もう新聞にちょっと流れまして、何日か前に。

〔 委員 〕 もう2、3回、ここでやっているのが。

〔 座長 〕 ここでやっているものがもう日経新聞に出ていまして、これはここでの討議を公表するということをやっていますので……。

〔 委員 〕 問い合わせが来るわけです、そういう意味で。

〔 座長 〕 問い合わせが来て、「もう出ているのですか」と、ITの……。

〔 総合計画局長 〕 あれはどうも議事録を見て……。

〔 座長 〕 議事録を見て出している。

〔 委員 〕 すごいな。(笑)

〔 座長 〕 だから、計量班でやったとか総合計画局でやったとかというのが全然出ていなくて、「経済企画庁によると」という発表というのは中にいる人にとってはちょっと不満かもしれないけれども、それで私らはだれがやったというのはやはり大事ですよね、大学関係者にしては。ところが、役所というのはそういうことは余り気にされないみたいなので。

 では、今後また中間報告の発表までに時間がございますので、皆さんの方からも事務局に言っていただくか、私に言っていただいてもよろしいですが、いずれにしろまとめまして、事務局が言われましたように、今月の末に報告を公表したいと思います。

〔 事務局 〕 また、日程等につきましては、座長の相談の上、ご連絡させていただきます。

〔 座長 〕 それから、まだこれは中間報告という形なので、最終報告というのがあるかどうかという疑問も私は持っておりまして、事務局と話したら、中間報告で終わる場合もあると。(笑)人事異動だとか、内閣がかわるとか大臣がかわるとか、もういろいろな問題がありまして、これはもうこちらにお任せいただきたいということでございます。

 では、きょうは長い間本当にありがとうございました。これで終わりたいと思います。

- 了 -

内閣府 Cabinet Office, Government of Japan〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)