第5回物流・情報通信ベストプラクティス研究会議事録

時:平成12年5月18日(木)10:00~12:00
所:経済企画庁長官官房特別会議室(729号室)
経済企画庁

議事次第

  1. 開会
  2. 中間報告書(案)について
  3. 自由討議
  4. 閉会

(資料)

  • 資料1  物流・情報通信ベストプラクティス研究会委員名簿
  • 資料2  物流・情報通信ベストプラクティス研究会中間報告書(案)

委員名簿

  • 石原 和幸  日本航空株式会社 貨物事業企画部 企画マーケティング室 課長補佐
  • 石原 誠一郎 SAPジャパン株式会社 ディレクター エグゼクティブセールス
  • 井出 一仁  株式会社日経BP 日経コミュニケーション編集長
  • 岩田 彰一郎 アスクル株式会社 代表取締役社長
  • 北之口 好文 ヤマト運輸株式会社 システム改善本部 情報システム部長
  • 國領 二郎  慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 教授
  • 花輪 順一  日本郵船株式会社 物流グループ 物流統括チーム 課長代理
  • 藤田 周三  株式会社ローソン 情報システム室 副室長
  • 前田 正明  株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ MM企画部 MM企画担当部長

(五十音順 敬称略)

出席者

(委員)石原和幸委員、石原誠一郎委員、井出一仁委員、岩田委員、北之口委員、國領二郎委員、花輪順一委員、藤田周三委員
(事務局)牛嶋総合計画局長、永谷審議官、塚田審議官、税所計画官


(事務局) ただいまから物流・情報通信ベストプラクティス研究会、第5回目の会議を開催させていただきたいと思います。お手元の資料を確認させていただきたいと思います。

 資料としまして、議事次第、資料1として名簿、座席表、本体となります資料2の中間報告書(案)です。落丁等がございましたら、事務局の方にご指示いただければ幸いに存じます。

 それでは、國領座長、これからの議事進行、よろしくお願いいたします。

(委員) 皆さん、おはようございます。お忙しいところを恐れ入ります、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事次第に沿って進めさせていただきたいと思います。

 まず、事務局の方から、これまでの研究会で出されましたご意見とか、事前にお出しいただいたご意見を踏まえて準備していただきました中間報告書(案)についてご説明をお願いします。この中間報告案の議論とも関係がありますので、今後の本研究会の予定も加えてご説明いただきます。

(事務局) (資料説明)

 以上が資料の説明でございまして、今後の予定につきまして簡単にご説明します。

 本日の第5回研究会で、中間報告の概ねの取りまとめをいただきたい。昨年7月に策定されました「あるべき姿」と呼んでいる新しい経済計画のフォローアップのため、経済審議会に政策推進部会が設けられて、その5回目が5月24日に開催される。そこでこの中間報告案を國領座長からご説明していただきたいと思っている。

 なお、研究会は全部で5つ設けられている。5月24日には当研究会のほかに「人口減少下の経済に関する研究会」、「雇用における年齢差別の禁止に関する研究会」の中間報告案を推進部会にご説明していただく。また、次の日には「循環型経済社会推進研究会」、「世界における知的活動拠点研究会」につきましてご説明していただく。これらの説明を基に、これからの経済審議会での調査審議に役立てていただく趣旨です。

 6月に入りますと、この中間報告を対外的に公表いたしたいと思っている。

 7月以降は、できれば2回程度研究会を行っていきたい。具体的に何をやるかといったことは事務局としてもまだまとまっていない。改めて座長をはじめ、委員の皆様方とご相談させていただきたい。

(事務局) ひとつご報告をします。ここでご検討いただいた中間報告書案の中身は、経済審議会の政策推進部会で検討して提言をまとめている「IT革命を起爆剤にした経済発展」の中でこの報告のかなりの部分を利用させていただいている。これから部会で議論いただきますが、まとまり次第、皆さん方にお送りして、ご覧いただきたい。

(委員) どうもありがとうございました。

 ただいま事務局からご説明がありました案と予定につきまして、自由な形でご意見、アドバイスをいただければと思いますが、どんな順番でもいいのでご指摘ください。

(委員) 14ページ(「世界のベストプラクティス」緊急アピール)の「高と若」について、「高」は「老」のミスプリントですかね。

 それから、16ページ(物流・情報通信ベストプラクティス研究会検討経過)の「外」は、「他」か「外」のどちらが正しいのか。


(事務局) 「14ページ」とおっしゃるのは「高と若」のところですか。

(委員) そうです。「老若」でしょうか。

(事務局) そこは、失礼かなと思いまして。高年齢層ということで、わざとこういうふうにした。最近は、余り老年とか言わずに、高年層とかという言葉を使ったりする。

(委員) 「とにかく繋ごう」という標語は、こうやって見ていくと、そこから始まるという意味では、とてもいい標語にまとまっていると思いました。

(事務局) アピールについては、最後を全部「繋ごう」でまとめるものですから、日本語としてはウーと思うところがあるのですが、こういうのはかえってウーと思わせた方がいいのかなと居直っておりますが、どうですか。

(委員) 苦労されたのはみんなよくわかってくれると思います。

(事務局) 事務局から言うのもなんですが、「何とかを梃子にして」というのではなくて、標語として言うなら、もっとストレートな表現にしてしまった方がいい。

(委員) 標語としてはそうです。

(委員) 明石大橋を作ろうみたいなことですよね、高速道路をみんなで作ろうと。

(事務局) 外に出すときはもうちょっと標語らしいのに工夫してやっていきたいと思う。

(委員) これは私がお願いしたもので、供給先行型ではなくて、需要先行型で引っ張ろうということだった。

(委員) 14ページの一番後の「何でも繋ごう」のところで「官と民」があります。冗長過ぎるかもしれませんが、加えて例えば「官と官」とかどうでしょうか。あと「民と民」。「民と民」は当たり前だと思いますが、「官と官」というのは割と…。

(事務局) 「官と官」は非常に大事だと私も思うのですが、概念としては「内と外」の中に入るのでしょうか。「大と小」「内と外」、民間の概念でその2つが入るかなと思います。

(委員) 「内と外」を「縦と横」みたいな表現に変えた方がいい。縦のラインと横のライン、企業でもあると思うが、官もそうだ。「内」という表現はすごく弱い。ネットワークは横ですから、「縦と横」という表現の方が幅が広がる。

(事務局) この中の標語は人にオヤッと思わせる方がいい。「官と官」などもオヤッと思わせるから、少しオヤッと思わせる方がいいんではないかと思います。

(事務局) そうなんですね。

(委員) 「上と下」というのは、よくわからないのですが、何なのですか。

(事務局) これは上司と部下というか。例としては、社長さんがメールで社員に一斉に送るなど、こうやっていくことがこれからの企業では大事だという話があったので、その辺を踏まえたのです。

(委員) この間、ある官庁の方と話をしましたら、官庁の方が自然と世の中に対して「上から」言わないといけないということを言っていたので、みんなでオヤッと思いました。官庁の人はみんな上だと思っているのだ、嫌な言葉だなと。僕らと同年代の人だったので、余計に心配になってしまった。そのイメージがあったので、質問しました。

(委員) 今おっしゃった意見で、上と下をなくす、フラットにしていく、ネットワークでつないでいくというのはそういう意味が強いのでしょうから、「上と下」というのは、何となく上意下達みたいな感じで、ネットワークをつないでいくという意味からすると、ちょっと違うのかもしれないという感じがします。

(委員) いろんな意味で横の連携というか、風通しのいいものをつくりたい。それをつなごうという標語にするときにもよく考えた方がいい。

(委員) 風通しがよくなって社会が変わって、こういう面につながっていくところがあると思う。従来の規制から解き放されていく、そういうニュアンスが「繋ぐ」というところに出てくると思う。社会が変わるという話だと思う。

 さっきの「官と官」というのも、国民の見ている官庁の縦割りがネットワーク社会によって変わっていく、そういう未来に対する夢とか、場合によっては政治もネットワークで大きく変わっていくでしょうし、つながるということによってそういう未来が見えてくるので、おっしゃる意味で「上と下」というのはちょっとそぐわないかなという気がします。つながっていくというのは囲い込まれたものが崩れていく行為ですから。

(事務局) また考えてみますので、きょうはいろいろと御提案を出していただければありがたいと思います。

(委員) 「内と外」も「縦と横」なのかもしれない。

(委員) あと、中間報告書の趣旨としては「世界」とか、「グローバル」とか、そういう言葉が前提に出ているのですけれども、この「緊急アピール」の中には具体的にそのような言葉が出てこない。非常に気になっているのですが、ルールも必然的にアメリカのルールがそのまま押しつけられていく可能性が事業の中でも出てきてしまっている。でも、この中でつなごうといったときに、積極的につないでいくことが必要なのではないのか、日本の国の中だけの言葉で終わらせてしまうとまずいのではないのか。

 先週、ベンチャーキャピタルの方々といろいろ話をしてきたが、全く感性が違う。がっかりしながら帰ってきたのですが、要は、アメリカが相手になると思いますけれども、積極的に行動していかないと具合が悪い、受け身になって後手を踏んでしまうと具合が悪い。「緊急アピール」ということだったら、世界とどうするのかということが必要ではないかと思う。

(委員) アジアの国々ともそうですね。

(委員) そうですね。

(事務局) それは今だから大事、こういうような観点でまとめた方がいいでしょうか。

(委員) 個人的な感想では、今やっておかないと間違いなく食われてしまうのではないのか、いつの間にか国内に進出されてしまう気がしている。

(委員) 前文の部分のところで、「スピードが重要な鍵となるグローバルな経済社会において」とあり、その中で日本の国の中をよくしようということだけれども、世界の中で活躍できるというような文言にするとか。

(委員) ですから「最先端」、世界のベストプラクティスをつくろうというのはすごいことですから。

(委員) おっしゃっているのは、日本の中だけで最先端というより、もっとグローバルなシステムの中でということなのですね。

(委員) そうです、おっしゃるとおりです。

(委員) 何となく皆さん、不安があると思う。早くやらないとまずいのではないか。だけど法整備とか、いろいろなことが進まないでこのまま行ってしまうとどうなるのだろうかという不安があると思う。「とにかく繋ごう」の下のところでは、今日よりすばらしい、または楽しいはず、そういうものを持たせるアピールが必要なのではないのかと思う。

(委員) 逆に世界のリーダーシップをとれるようになろうという…。

(委員) 世界のリーダーシップだと言い過ぎかなと思います。

(委員) 世界最先端の環境を整えるべく、みんなでそれをつくろう。では、世界最先端の環境が整ったら、そこで我々は何をつくるのかというと、ネット社会の充実化とか、そこでもたらす価値をつくっていくのが我々事業家の役割です。

(委員) 世界から見ると価値の高い日本にならなければいけないし、国と国で考えれば尊敬される国にならないといけないと思うのですが、そういう意味でも今やるべきことです。ITということで早い者勝ちみたいな社会になっていますが、相互理解がそこで欠落してしまうと、その中での生存というか、そういうことばかりが強調されてしまう可能性があると思う。

 「⑤何でも繋ごう」というところの括弧の中にある言葉はすごく大事だと思う。さっきおっしゃられたように、アレッと思うような新鮮さがここへ出てくると、すごくおもしろいだろうと思う。

(事務局) 非常に先進的と思われるのはなるべく特記した方がいいと思う。そして、余り新鮮ではないが、大事だと思うのは「何でも繋ごう」でまとめていきたいなと思う。国際関係等、今、委員がおっしゃったようなことをうまくまとめられれば特記していく形の方がいいのかなと思う。

(委員) 委員は、グローバル化を怖がらないで、逆に積極的にグローバルなシステムのイニシアチブをとろうという視点を打ち出したらどうか、ということですか。

(委員) 僕らの仕事で考えると、輸入が増えてしまう。黙っていても外からコンテナでドカーンと来て、物流加工して流していくというスタイルがどんどん増えていくわけです。そういうときに相互理解がないとビジネスとして成り立たないものがある。下手すればルールから全てアメリカから持ってこられて、消費者は日本にいるが、物は向こうが持っていますから、それでやられる可能性もある。そういう意味でも積極的に行動していくべきだと思う。

(委員) とにかく日本の国内でベストプラクティスをつくって、それを世界に広げるような努力をしようということですね。

(委員) ええ。だから、日本にみんなが来たいと思うようにさせないといけないと思う。

(事務局) 例えば、アメリカの船でドカーッとたくさん貨物を持ってきて、日本の消費者のところに届けるというときに、アメリカと日本の企業の間に相互理解がないとどういうまずいことになるのか。

(委員) 単純にいうと、EDIの世界できちっと対応できる体制が組まれていないと向こうは相手にしてくれないわけです。そういう技術とか、そういうインフラを持っているところに集中してしまう。そうすると、日本の中小の企業とか、今まで日本を支えていたところは、集約化されて、はじかれてしまう可能性があります。ですから、積極的に世界と同等にやりとりできる取引環境みたいなものをつくっていかないと、向こうのルールで走ってしまう可能性があります。物は動いてしまう、ビジネスはどんどん動いてしまいますから、うちもやりたい、うちもやりたいとみんな思っていても、政策がないために自然淘汰ではじかれてしまうところがあると思う。そういうふうになってきているのかなと思っています。でも、そんな難しいことを考えているわけではなくて、国際化というのは大切だということが言いたい。

(委員) 「世界のベストプラクティス」といったときに、もうその心がけが入っているはずなのです。それをもうちょっと鮮明に打ち出そう。

 第3(ネットワーク取引の特性を最大限に発揮させるための諸方策)とか第4(「世界のベストプラクティス」実現の鍵を握る「物流のスピード化」)のあたりは具体的なことが書いてある。これ、一回ご覧いただいているところなので、よろしければそれでいいんですが、御意見をいただくラストチャンスなので…。

(委員) 第3と第4に挙げられている方策を読んでピンとくるのだろうか。総論、概念で終わってないかと思ってチェックをしているのですが、ここだけ抜き出してみたときに、ほかは何も知らなくても浮き出てくるような表現になっている必要があります。読んでいけばわかるというのではなくて、方策のところだけ抜き書きして、それが施策として具体化のところまでいくかどうか。まあいいかなという気もするし、抽象論で終わっているか、それを見ていたのですが、よくできていると思います。当初あれだけガチャガチャしていたものがこんなにまとまるのはすばらしいと思っています。

(委員) この辺は、現実論があって、踏み込めるところまで踏み込んで、どこまで言い切ってしまうかという話です。

(委員) まあそうなんでしょう。

(委員) 「24時間365日対応」というのは絶対条件だと思う。12ページ、「基幹的なインフラの整備」といった場合、既存のインフラは結構あるわけだから、それが24時間365日使えるようになってないとすれば、何でそうなってないのかということを追求すべきと思う。

 アジアにしても、欧米にしても、24時間365日がITで進んでしまっているということは、その裏返しです。それがうまく活用できなかったらコストを安くするということは無理ですから、自然的に高コストのもので闘わないといけない。そうすると日本の消費者は高いものを買うようになってしまう。やはり24時間フル活用できる整備は急がないといけないと思う。

(委員) そういう意味では商流がまだ24時間になってないです。

(委員) どこかで止まってしまっている。

(委員) 在庫を持ってしまったりしている。だから、そういう意味で企業が商流をいつでもタイムリーにするようにはなってない。

(委員) この視点を盛り込むことは可能でしょうか。

(事務局) 今すぐにということはともかく、究極の姿として24時間365日、日本の物流関係のインフラを使えるという状況にしていかなければ、国際競争力を失ってしまう。それを究極の姿として、明示的に「24時間365日」という言葉で書いてもいいのではないか。

(委員) これは何度か出てきたし、いろいろなところから出てきた論点です。

(事務局) 商流とおっしゃいましたか、もうちょっと教えていただけますか。

(委員) 結局、物が欲しいんだけれども、相手にそれを持ってくる力がない。いずれその商品がなければ調達できません。結局その企業自体が稼働していない。ですから、ずっと動いている企業と、休んでしまう企業とがあります。ネットワーク取引をやるからには休めない。その辺の関係だと思います。

(事務局) 難しいですね。

(委員) 一番は飛行場です。国内輸送力の時間短縮を高めるとなると、飛行機の輸送力というのは絶対的に必要条件ですが、あっちもこっちも「夜はだめ」という状況をどこかで解消していく必要があると思う。

(事務局) 施設面の方は、何となくイメージがつかめるが、企業の中には、「休みは休み」という企業だって結構多いし、これからも多いと思うが、そういったものを前提にしたときにどこまで24時間365日を訴えていくかというのは、何か工夫が要るのでしょうか。

(委員) ここではインフラのことを言っている。企業が、それが必要だということになったときに、いつでもそういう体制がとれるようなインフラストラクチャーが欲しいということです。

(委員) アピールのところは、要するに、いつでも、だれでも、手軽に、安く、何でも早く、どこででもというような概念がある。それが要る気もすると思っている。つなぐのはいいが、つなぎ方があるでしょう。それがいつでも、24時間でしょう。どこでも、だれでも、手軽に、安くないといけない。「何でも」ということは、「何でも繋ごう。」の中に書いてあるかもしれないが、その辺が要る気もします。下のちょこちょことしたところでもいいでしょう。

(事務局) わかりました。アピールですから、特徴的な書きぶりをしないといけないと思っています。ひょっとしたら最後のあたりでそういうような表現になるかもしれません。

 「第一歩」というところに重点を置いているから、まず何をしないといけないか、ここは網羅的であってはいけないのかもしれません。

(委員) だから、アピールの「①既存・新規のインフラをフルに使って」というところを提案した。ここは通信回線のことを言っているが、物流とか交通のインフラについても、新しいものをつくるレベルと、既存のものの利用効率を高めていくという両面で攻めていきたい。

(委員) ①の全事業所といった場合、学校とか、そういうのもみんな入ってくるのですか。

(事務局) それは念頭になかったです。第一歩として、BtoB、BtoCを念頭に置いたものにして、それ以外は⑤で救えないかなと思っている。⑤も余り幅広くしてしまうとガクッときてしまいますし、難しいところです。

(委員) 私は、前にディスカッションしたが、製造業の視点が足りない。物流・情報通信のベストプラクティスと考えたとき、日本の力のある製造業の方々がこれを見たときにどういうふうに読めるかと思った。物流・情報を使って、デルモデルではないが、まさに製造業は変わってくる。

 この言葉遣いの中にある「ネットワーク取引」というと、インターネットの商取引だけ、狭義な物流・情報ネットワーク取引になってくるが、「国民全体にとってのベストプラクティス」といったときに、デルモデルのような情報・物流を中心とした新しい製造業は、コスト削減、競争力強化でサプライチェーンとかデマンドチェーンを含めて大きく変わると思うのですね。

 「我々は関係ない、一部のインターネット業者の話だ」みたいなことにならないようなアピールが必要だ。製造業はスキームもありますが、製造業の物流・情報といったとき大きく変わるにもかかわらず、「製造」という言葉は一切出てこないので、その辺、再度どうかなと思う。

(事務局) 前、CADの話とか、いろいろありました。膨大な設計図書を送るにはすごい容量のものがないとうまくいかない。逆にいえば、これから容量がふえていけばそういったものを送って、製造過程の中での情報化が進んでいくという話があった。

(委員) デルモデル型の製造業は、工場内の問題もそうですが、アパレルでは、日本でボタンを押したら中国でそのものがつくれる、ネットワークというのはそういうふうに製造業を変えていく。まさに物流・情報が製造を変えるというなら、製造業の方々が人ごとにならないようなアピールが必要と思う。

(事務局) 工夫してみます。結構大きな問題だろうと思う。

(委員) 少しは触れてある。「匠の技術」というところとか。

(委員) デルのような企業が製造のスタイルを変えます。あのスタイルというのは、今までの内製型、自前主義というものからネットワーク型のビジネスモデルになってくる。ネットワークにつながることによってそういうことができるという視点では、製造業の方々も無縁ではないし、役立つということも見ておいた方がいい。それはこの取りまとめ段階ですから、次回の最終報告でも結構です。

(委員) これは、「はじめに」とか、そういうところに。

(事務局) 記述したり、何かしないと。

(委員) これは物流と情報だけれども、物づくりとか。

(事務局) 波及するけれども、今回ここに絞ったのなら何かしなければいけないかもしれない。

(委員) デルは何なのかということを言われたときに、それは物流、製造の話で入れませんでしたというのは大きな穴があいてしまう。

(事務局) もし入れられるようなら入れてみます。できないようでしたら前書きでフォローします。

(委員) 1つ、12ページ真ん中の「海上輸送、航空輸送を含めた物流時間の短縮や定時性の確保等」というところで新たに加わっているのがあります。

 「定時性の確保」というよりも、貨物が今どこにあるかということのわかりやすさ、情報ネットワークを通してそういったものを見る。何月何日に来るといった情報とつなぐことによって定時性が確保できるということではなくて、情報とネットワークをつなぐことによって、何がどこにどういう状態であるかということがわかる。そういったことに変えた方が情報と物流のつなぎということではよりわかりやすい。

(事務局) そうですね。「基幹的なインフラの整備」の上から4行目に「ITSや海陸一貫物流情報システム」、これは運輸省を中心にして調査検討しているシステムですが、ここはまさに海の貨物がどこにあるのかといったことをリアルタイムで追いかけて、それに適合した陸上の自動車の配置だとか、そんなふうに持っていこうとしていますから、委員のおっしゃったような表現で工夫してみたいと思います。

(委員) はじめから気になっているが、今の製造の話で、1ページの「はじめに」の中に4段階とあるが、4段階ではない。物をつくらずに配送できないから、ここに製造が入る。製造のプロセスで情報交換が行われ、資材の配送が行われて、完成品を配送、中間品も全部配送に入るわけです。よく見たら注がありますが、通信白書でこう定義しているのですか。

(事務局) いえ、違います。これは事務局が考えたのです。

(委員) この4段階がおかしい。一般的に分けると、4つぐらいコンポーネントを考える。入り口だとか、カタログを見たり、価格を決定したり、相手の信用状況を見たりというのが第1段階。第2段階は、具体的にオーダーが出て、納期があって、資材を調達して物が動いたりするという製造過程があって、でき上がったものがロジスティックを通してデリバリーされ、完成品としてエンドユーザーか、BtoBの場合はどこかに在庫され、それでお金が決済される、こういう仕組みになっている。その構造とこの構造では何かおかしい。

(事務局) これは完成品のイメージ過ぎるかもしれません。

(委員) 日本の強いところは何か、製造業です。日本独特の物づくりの技術、ノウハウ、それが日本を強くしたと思うので、これを支えるために物流と情報システムを強化する、こういうイメージでつくり上げないといけない。物流・情報だけ一生懸命やるというのではだめ。製造を強化するためなのだというようなイメージが「はじめに」のところに出た方がいい。

(事務局) 製造業だけをてこ入れするというのではなくて、製造業を含めてです。おっしゃるとおり、完成品の色合いが強過ぎますので。

(委員) 製品開発のコラボレーション及び製造調整情報のやりとりというのがありますけど。

(委員) なぜデルが日本に工場を持たずに、マレーシアに部品を全部集めてつくって、持ってくるのかというのは、日本の空洞化なわけです。世界で一番安いものを集めて、一番安いところでつくって、それがちゃんと届けばいい。だから、国内に工場は要らないとか、逆もあるし、この辺から変わってしまう。そういうのはある範囲で入れておいた方が、後々のためになる。それを含めて情報・物流は製造業に非常に大きなメリットを与える、だからつなぐのだと結びたい。

(委員) フロント、バックエンドというのはおかしいのかな、フロント・バック・インターフェイスの3分類、更にインターフェイスの中が2つに分かれて、決済とロジスティックというふうに私は分類している。この中間報告書の記述で説明すると自分なりに頭が整理できない、インターネットビジネスというのをどういうふうに整理なさいますか。

(委員) ネットビジネスをしようということは、フロントとバックの強化、そういう組み合わせなのです。ネットビジネスというと、流通業としてのイメージに非常にフィットするのですが、製造業の視点で見たらどうなのか。製造業のソニースタイル、ドットコムではないが、ネット化によってダイレクト販売も可能になってくるとか、どんどん変わります。だから、製造とか流通という垣根もなくなってくる。それがこの世界に入ってきてしまうので、一言というか、それが要件だということなら包含できると思う。

(委員) インターネットを使って情報化するということは全体の効率を上げるわけですから、今回スポットライトは物流というところに当てている。これがありとあらゆるところに関連しているというのは「はじめに」で記述している。今回はとにかく物流にスポットライトを当てましたというのがわかるように、書いてあるのですけれども、幾ら読んでも浮かんでこないかなという感じです。

(委員) どこかで押さえないと。

(委員) そうです、切り分けをしておかないといけない。

(委員) 全部はカバーできないと思う。

(委員) だから、はじめのところで、ここからここだけにスポットを当てましたということがきちっとあって、ここだけではないのですよということがちゃんとニュアンスとして残ってないと、何となく他はほったらかしで、ここだけやればいいのかなというイメージになると変かなと思う。

 これは中間報告ですから、次の段階は「何とか報告」というふうになるのですか。

(事務局) 先ほどご説明しましたように、できればあと2回やって、最終という形に持っていけないかなと思っている。

(委員) 中間としてまとめるのはいつまででしょうか。

(事務局) 6月ごろには公表したいと思っています。

(委員) 経団連で規制緩和をどこかへ提言したということが、たまたま今日の新聞に出ていましたが、こんなものではなくて、もうちょっとたくさん提言しているはずです。こんな分厚いレポートが僕のところへ来ていたのだが、これとの関係はどうなのだろうなと考えた。全部入っていますよね。保険とか、そういうのが入っているから、余り関係ないかなと思った。

(事務局) 非常に大きなご意見をもらっていますので、その辺は少し整理して、また委員に送らせていただいて、見ていただこうかなと思っている。

(委員) 施策のところだけ抜き書きして並べてみて、当を得ているかどうかというのは再度チェックしてみた方がいいかもしれません。最後のところですが、何を言いたいんだろうという話になってしまうといけないので。だからこうすべきだというところがよりイメージアップできればいい。第3と第4のところですが、できているような気もするのだけれども、どうかなと。

 でも、よくできている。最初の段階から比べれば、まとまるんだなと思ってびっくりした。

(委員) 大体そんなところでしょうか。

 ここから先ですけれども、6月ぐらいに出したいということで、もしお許しいただければ、中間報告前はこれで閉めて私にあずからせていただいて、出たご意見を事務局と相談させていただいてまとめる、それをまたご覧いただく。

(事務局) 大きなところはちょっと見ていただいた方がいいかもしれませんね。

(委員) そんな気がしますね。時間的にできますよね。そうすると、きょうのご議論を極力入れて、お返ししてコメントをいただいて、その段階で私にあずからせていただくというような格好でよろしいでしょうか。

(委員) もう一つ、つまらないことだけれども、新機軸というような、ここで今まで誰も言わなかったことが一言あればいいと思います。

(事務局) アピールではなくてですか。

(委員) おっ、こういうことが出てきたという話が欲しいですね。

(事務局) それがアピールと違うのですか。

(委員) これもそうだけれども。

(事務局) 具体的な施策ですか。

(委員) そうですね。

(事務局) それも考えて、第4で「物流のスピード化」、それは余り珍しくもないが、ネット取引とか、情報とかという世界の中で、実はこれがほんとに重要なことだということで、こういう格好で第4(「世界のベストプラクティス」実現の鍵を握る「物流のスピード化」)に出している。

 ここに書かれてあることはみんな大切なことだが、この研究会で検討して、第3(ネットワーク取引の特性を最大限に発揮させるための諸方策)というところで単に書き込んでしてしまうと、「みんな重要ですね」ということだから、そう新しい話ではないのですが、物流のスピード化というのは大切なのだと、それだけでも打ち出したというのはちょっとは意味があるのではないか、という気持ちがあります。

(委員) ボトルネックになりがちなものを忘れてはいけません。物流も大事なのですよ、そこにスポットが当たっているということですね。

(委員) システム的なところでは、物流の方のITSですと、情報の方のインターネットとの結合を図るということに関しては、世間的にそのことはまだ言われていることではないので、そういう意味では、新機軸と言うかどうかは別ですが、比較的新しい言い方で、扱いやすい、キャッチフレーズ足り得るものだと思います。

(事務局) そういう意味でもう少しアイデアをいただけたらいいなと思うのは、最初に「モバイルの活用」と出ているのですが、具体的にどうやって生かしていくのか。こちらに知識がないものですから、後ろにちっともモバイルが出てこない。例えば、物流のところなのかもモバイルが出てこなくて寂しいところがあって、何かうまくモバイルの話を取り込めればもうちょっと時勢にかなうものになるかなと思うのです。

(委員) 位置情報と、パソコンのかわりに使っていく、要するに、モバイルというのは移動体のデータエントリーシステムですよね。当たり前のことをいっているようですが、BtoBも全部携帯でやりましょうという時代になってきているわけですから、その辺を物流の中にどう使うか。トラックの運転手が全員モバイルを持って、何をするかというような。どこにいるか、これは全部わかりますよね、以前出た話で、コンテナにチップをつけておいて、電波を当てればどこにいるか、どこを通過したか、あれはモバイルとは言わないのですかね。

(委員) あれはGPS。

(委員) GPSで追いかけたりできますよね、その辺のところは今後、技術開発されるのでしょうね。

(委員) もちろんGPSもあるでしょうし、PHSで位置情報をやる、それはビジネスベースで使っております。

(委員) そこは③番(ITを活用して、「モノの流れ」と「情報の流れ」を繋ごう。)のところですか、ITを活用した物流の効率性の向上のための技術的なバックグラウンドにおいてという話なのでしょうか。

(委員) 緊急アピールのところで、全家庭・全事業所だけでなくて、全物流設備とか…。

(委員) そういった意味でモバイルという観点をもし入れるのであれば、全家庭・全事業所プラス、パーソナルという意味で全個人まで入っていいのかなという気がしますね。

(委員) 「家庭」と言わないで、「全個人」と言いましょうか。

(事務局) そうですね。

(委員) その方がパーソナル化の意味合いがでる。

(委員) とにかく何でもみんなくっつけてしまおうというのはPHSのチップでしたか。コンテナから、パッケージから、全部くっつけるのです。いずれそうしようという構想があります。

(委員) ペットの体にまでくっ付けてっていう話があります。

(委員) これは物流ですから、物流にかかわるところだけで。

(委員) 物流は、コンテナ単位。今はバーコードで入っていますが、次の段階で使い捨て用のチップが埋め込まれて、そういうふうになるのではないでしょうか。

 今だとバーコードを読んだ時点でどこにあるかがわかるが、入力しなくてもサーチすれば探して、どこにあるのがわかるということです。それによって何のメリットがあるかはよくわからないが、どこにあるかということをトレースするための手法としてスピードアップにはなるのでしょう。

(委員) 荷受けドックの計画とかをたてられるし、アドバンス・シップメント・ノーティスよりも正確に入ってくるわけです。

(委員) 次の段階、もう一歩進むと恐らくそれになるのでしょう。

(委員) その辺のアイデアも、皆さん、きっとお忙しいので、きょうの帰り道ぐらいにいただいて、きょうの議論等を踏まえてつくり直して、早期に次の案を皆さんにお配りして、そのフィードバックをいただいたところであずからせていただく。

(委員) ほんとにいいキャッチコピーだと思いますよ。すべてがここから始まるということですので。

(委員) それでは、会合がしばらくあくことになるだろうと思いますが、恐らく秋ごろに一、二回またお集まりいただくようなことになるだろうということです。

 最初はどうなるかと思っていたのですけれども、委員の皆様、どうもありがとうございました。

<本議事録に関する問い合わせ先>
経済企画庁 総合計画局 社会資本班
電話:03-3581-0764