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第1回世界における知的活動拠点研究会議事概要

1.日時:

平成12年1月28日(金) 15:00~17:00

2.場所:

経済企画庁官房特別会議室(729号室)

3.出席者

伊藤元重座長、伊藤穣一、植田憲一、加藤秀樹、北原保之、椎野孝雄、杉山知之、林紘一郎、グレン・S・フクシマ、松岡正剛の各委員
堺屋経済企画庁長官、牛嶋総合計画局長、永谷審議官、塚田審議官、藤塚計画課長、林部計画官、太田計画官他

4.議題

  • 世界における知的活動拠点研究会の趣旨、検討事項及び検討スケジュールについて

5.議事内容

  事務局から説明の後、討議。委員からの主な意見は以下のとおり。

-今後のスケジュールについて各委員より了承を頂き閉会-

  • 学者は、欧米の有名ジャーナル誌への論文掲載等のユニバーサルな活動に満足するだけでなく、国内の産業や社会と結びついた研究を行っていくべき。
  • 欧米へのキャッチアップを目標とするだけではなく、日本は「世界の第3極」として、韓国や中国、さらにはロシアといった非英語圏の諸国をとりまとめ、そこでの研究開発と情報発信をサポートしていく役割がある。学会のようなパブリックな組織は、そのための積極的な支援策を行う必要がある。
  • 学者自身も情報のユーザーとしてだけではなく、クリエイターとして、世界での研究開発のネットワークに参加していく意識改革が必要。
  • 情報発信をする動機は、「世界への貢献」ではなく、企業であれば利益期待、個人は楽しみ等となるのではないか。このため、政府は、情報発信者の活動に対する障害をなくす仕組み作りや基盤作りを行うべき。
  • 日本の文化や科学技術は、保護とか育成の対象となっているが、その成果が社会でなかなか活かされない原因は何か、そして、それを活かせる仕組みはどのようなものなのか、を議論することは有益。
  • 日本は国家戦略としての情報のハンドリングが劣っている(例えば、金融情報は後で参入してきたロイターやブルーム・バーグに席巻されたし、インターネット上では、ダボス会議のクリントン大統領の演説前に、上
  • 院の院内総務がチャットで世界中の意見を受け付けるという画期的な試みを行っている)。
  • グローバルに展開する企業こそ、ローカリゼーションを重視することが必要。
  • 日本人は、道具としての英語修得を励む一方で、日本文化の認識、つまり、アイデンティティーの確立を等しく行う必要がある。
  • ネットワーク社会においては、企業内の知識をうまく活用することや、他企業の知識を組み合わせるなど、知恵を企業戦略の中核とすることが重要である。
  • 「日本人はオリジナリティーがない」と言われるが、インターネットやi-modeの出現により、オリジナリティーが発揮される「場」が生まれると、日本人は積極的な情報発信を行ってきている。今後も、マザーズやナス
  • ダック・ジャパンの市場整備により「場」の形成が進むと、ますます知恵を活かした独創的なビジネスを行う企業が登場するであろう。
  • コンピューター・グラフィックのクリエイターの雇用需要はとても大きく、それを学ぶ年齢層も上昇している。
  • 「マルチメディア」は新しい時代の読み書きである。日本人は、論理的な思考能力や英語力といった基礎学力が高いため、クリエイティビティーにおいても潜在的に優位性が高い。
  • ビジネス系の情報とエンターティメント系の情報ではその性質、扱い方に違いがあるのではないか。
  • 処理機関と発信機関を別にして情報発信をしているケースが、日本の企業・政府の情報発信に多く見うけられ、その結果、発信される情報の価値が低くなっている。
  • 知的財産権の保護については、権利者に厚い保護を与えることによって、コンテンツを作り出すインセンティブを高める方がいいのか、利用者にとって利用しやすくする保護体系をとる方がいいのか、そのバランスを議論すべき。
  • 世界に向けて情報発信をする場合、言語の問題は大きいが、外国人の日本語の修得は非常に難しいことを念頭において欲しい。
  • 今後、文化交流などのソフト・パワーを通じて、国家間の関係がどのように動くのか、注目すべきである。また、多国間の関係の中での日米関係とその枠組みの中での知的活動のあり方についても検討する必要がある。
  • インターネット上では、経済価値だけでは測れない、情報付き貨幣としての「情報通貨」として機能するものがあるのではないか。
  • 本来、情報が持つ、ユニバーサルでグローバルな対称性が崩れることから情報の編集が始まり、ローカルでドメスティックなものとなり、そこに情報格差が発生する。こうした過程を経て、情報は発信される。しかし、
  • それが再度、ユニバーサルなものになっていくが、この繰り返しが、情報の本質である。
  • 日本の中には、面白いものがたくさんありながら、日本の文化史、情報文化はほとんど解読されていない。これを解読せずにつまらないと考えてしまう限りは、グローバリゼーションに対して、間違った解釈をしかねない。
  • 日本語独特の主語のない文法や擬声語とか擬態語等は、論理性なしに述語性に富んだ情報量を持っている言語体系である。
  • 「茶の湯」の空間に出入りする日本の情報文化は、デスクトップ・メタファーだけで情報処理・表現できる性質のものであろうか。
  • 現代のいわゆるJポップの人気グループの歌詞は、非常にシソーラス(類義語)に富んでいて、枕詞のように絶妙に句と句がリンクし、独特の言語文化社会構造を構成している。
  • 本研究会の資料の視点は問題ないものばかりだが、具体的な例を検討した場合に、全く違ったものになることもある。本研究会では、その具体例を意識しながら検討すべき。
  • カラオケ、ゲーム、アニメーションが世界でヒットした理由の研究を、国家プロジェクトとして行うべき。ヒットした作品の著作者には、独特の日本的発想がある。
  • 日本の歴史を見ると、その時々の発展段階において、外国文化をとり入れ、それをうまく吸収することで、日本的なものを生み出しながら、発展してきた。今の日本にはどうもその気配が感じられないが、その原因を検討・議論すべき。
  • 「情報」には、客観的に伝達できる情報とそれができない、より新しい質の情報の2種類がある。前者については、世界共通の情報処理技術による情報発信のあり方を検討するべきであるが、後者は必ずしもアメリカ発の情報発信技術による必要はない。
  • いわゆる「知的活動拠点」は、必ずしもその分野で最先端の活動をしている拠点である必要はなく、例えば、イタリアのエリチェスクールでは、文化活動を支えるスポンサーシップを極めて重要視した点で「拠点」としての位置付けられる。
  • 日本は、固有の文化の再認識と共に、例えば、アジア圏というような、日本以外の発展への貢献という視点が必要である。
  • インターネット業界のビジネスモデルにおいては、従来の「製造と物を経済的に評価したもの」から、「経済価値はゼロであっても、インターネットの使用者間において高い価値を持つもの」や「コミュニティーの個人間での価値が高いもの」へと価値観の変化が起こっている。このような「経済」、「価値」、「文化」の間の新たな関係を分析することは、非常に重要であり、そこには新しいビジネスモデルのヒントが数多く含まれる。

6.今後のスケジュール :

次回の世界における知的活動拠点研究会(第2回)は3月2日(木)15:00~17:00に開催する予定。
なお、本議事概要は、速報のため、事後修正の可能性があります。

(連絡先) 経済企画庁 総合計画局 国際経済班
Tel 03-3581-0464

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