第1回物流・情報通信ベストプラクティス研究会

議事録

時:平成12年1月27日(木)10:00~12:00
所:経済企画庁長官官房特別会議室(729号室)
経済企画庁

議事次第

  1. 開会
  2. 研究会の趣旨・検討事項について
  3. 自由討議
  4. 今後のスケジュールについて
  5. 閉会

(資料)

  • 資料1  物流・情報通信ベストプラクティス研究会委員名簿
  • 資料2  物流・情報通信ベストプラクティス研究会の趣旨等
  • 資料3  物流・情報通信ベストプラクティス研究会検討事項
  • 資料4  物流・情報通信ベストプラクティス研究会の今後のスケジュール

(参考資料)

  • 参考資料1 「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針(抄)」
  • 参考資料2 「総合物流施策大綱」
  • 参考資料3 「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」
  • 参考資料4 「物流効率化の推進に関する提言」
  • 参考資料5 「電子商取引の推進に関する提言」

委員名簿

  • 石原 和幸  日本航空株式会社 貨物事業企画部 企画マーケティング室 課長補佐
  • 石原 誠一郎 SAPジャパン株式会社 ディレクター エグゼクティブセールス
  • 井出 一仁  株式会社日経BP 日経コミュニケーション編集長
  • 岩田 彰一郎 アスクル株式会社 代表取締役社長
  • 北之口 好文 ヤマト運輸株式会社 システム改善本部 情報システム部長
  • 國領 二郎  慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 助教授
  • 花輪 順一  日本郵船株式会社 物流グループ 物流統括チーム 課長代理
  • 藤田 周三  株式会社ローソン 情報システム室 副室長
  • 前田 正明  NTT移動通信網株式会社 モバイルコンピューティングビジネス部 新ビジネス担当部長

(五十音順 敬称略)

出席者

(委員)石原和幸委員、石原誠一郎委員、井出一仁委員、北之口好文委員、國領二郎委員、花輪順一委員、藤田周三委員、前田正明委員
(事務局)堺屋経済企画庁長官、牛嶋総合計画局長、永谷審議官、塚田審議官、藤塚計画課長、税所計画官


(事務局) ご多忙の中、それから大変お寒い中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。ただ今から物流・情報通信ベストプラクティス研究会の第1回目の会合を開催させていただきます。

(事務局) 皆さん、おはようございます。本日は物流・情報通信ベストプラクティス研究会にご出席いただきまして大変ありがとうございます。
 この物流・情報通信の変化は、あらゆる産業分野の中で最も激しい進歩を示しているところでございます。皆様方にはそれぞれの専門の立場でお話を伺い、2010年を目途としたこのベストプラクティスをどういう具合に考えればいいか、ご検討いただきたいと思っております。情報通信の技術的な発展、そしてそれの社会への浸透というのはここ2、3年凄まじいものがございます。
 私たちがまず当面持っております問題意識の1つは、我々が住む情報環境が非常に変化するのではないかということでございます。と申しますのは、私たち昭和生まれの者が生きてきた環境というのは、情報は天の板と地の板と2枚の板で形成されて、天の板はマスコミでございまして、全国一律の情報をテレビでネットワークする、地の板は電話でございまして、大体1対1、知人同士の口コミであります。このマスコミと口コミの2枚の板で形成されていたような気がします。そして、その間は全く空白になっていたというのが現実ではないかという気がします。ところが、ここへまいりましてBS放送ができ、CS放送ができ、CATVができ、インターネットができまして、100万人単位のマスコミから、10万人単位、1万人単位、1,000人単位、100人単位とことごとくその間が埋められて、完全に立方形のものになった。そして、インターネットが登場したことによって、すべての人々が情報発信の能力を身につけた。不特定多数に対する情報発信の可能性を持つ、これは大変な変化ではないかと思います。
 ここ、おととい、昨日と大分ハッカーが入っておるようでございます。そういうような問題もございますが、これからそういった立方形の中でどのような社会環境が生まれるのか。私はこの「あるべき姿」を検討するときにも、このことが個人の立場を非常に変えていくのではないかという問題意識を持ちました。技術的に申しますと、現在日本には有線とモバイルという2つの体系がございまして、この間の料金体系、これをどう考えるかという問題があります。今、携帯電話が有線の家庭固定用電話、あるいは公衆電話に比べますと何倍か高いというわけになっておりますが、将来はこれがどんな比率であるのが最も望ましいのか、これも1つの重要な問題で近々モバイルが出てまいりますと、この比率というのがどんなのが正しいのか。日本の有線は、近距離は世界一で接続料は世界一かどうかわかりませんが欧米に比べてかなり高い。こういう形を取っているわけでございます。これがどんな体系になるのが望ましいのか、また日本の通信情報を発展させるにふさわしいのか。これなどは緊急に比較的目前の話でございます。皆さん方に早急にご検討いただきたい問題の1つであります。
 それから、それと併せまして物流の問題でございますが、ネット通信でネット販売、Eコマースが盛んになってまいりますとやはりだれかが実物、現物を届けなければいけないという配達の問題が出てくるわけです。この配達になりますとキャッシュ&キャリーと違いまして、本人が持って帰るわけではございません。どうやって送り届けるか。これが大変大きな問題になってくると思います。この前、新聞によりますと現在ベンチャービジネスといいますか、ニュービジネスの立ち上がりが最も多いのはシリコンバレーではなくして、ワシントン近辺という話がございます。ワシントン近辺にこのバージニア州、メリーランド州に近づくとたくさん新しいビルができて、このベンチャービジネスが入っておりますが、その最も多いのは物流コンサルタントだそうで、この物流コンサルタントは陸海軍のロジスティックスをやった将校が設立した会社が1,000社ぐらいあるそうでございますが、この物流が非常に上手になった。効率的になりまして、そのことがEコマースを可能にした。非常に種々雑多なものを流通させているわけですが、それが非常に、迅速かつローコストでできるようになった。これから、どのような物流、この工場から店舗へいく、もちろんその原材料がございますが、さらに店舗から消費者へいく、この間がどのように運ばれていくのか、これは情報通信と併せて非常に大きな問題になると思っております。
 こういったことが、どれだけ機能的にできるか。また一方、家庭の方が高齢者家庭、あるいは男女共働きの家庭になりますと受け取る人がいない。こういうときに、どういう状態で配達をすればいいか。最近、コンビニエンスストアで預かってくれるというのがあるようですが、その問題が大きく出てくると思います。そして、これもまた早急に皆様方にご協力いただきたいと思っておりますが、そのネット販売、Eコマースの支払いの方法、これがどういうようにすべきかというのも大きな問題です。最近私たちの国民生活センターにも、このネット販売、Eコマースのお金の苦情問題が非常に、急激に増加しているのです。これはどういうような安全措置、本人確認措置、基準を作ればいいか。これまた大きな法律問題ですが、皆様方のお知恵も拝借したいと考えております。
 なお、今度の新千年期行事と申しますのはインターネットの上で、博覧会を開こうと、略称を「インパク」と申しておりますけれども、インターネット博覧会でございます。このインパクで情報通信を使って日本国中の都道府県が行います行事をインターネットの上に載せて全員に参加していただけるようにしたいと、その中にいろいろなタイプもございますが、この商業的な流通も加わる予定でございます。また、参加者から優良のものも出てくることが予想されます。そういったことを含めて来年、今年の12月31日から始まるわけでございます。皆様からよきアドバイスを得たいと思っております。これからたくさんの問題がございますけれども、ぜひ皆様方から積極的なご意見を提案いただきまして、未来の絵を描ければ幸いかと思います。どうかよろしくお願いいたします。

(事務局) それでは、さらに議事を始めます前に当研究会のご議論に参加していただきます委員の皆様をご紹介させていただきたいと思います。

(委員紹介)

(事務局) 引き続きましてお手元の資料を確認させていただきたいと思います。本日は、次第にございますとおり、資料1から資料4までと参考資料を用意させていただいております。資料1が委員名簿でございます。資料2が研究会の主旨等、資料3が検討事項、それから資料4が今後のスケジュール、それからさらに別冊で参考資料を用意させていただいております。もし落丁等ございましたら事務局のほうに指示いただければと思います。
 次に、当研究会の座長を決めさせていただきたいと思っておりますが、僣越ながら事務局の方で慶應義塾大学大学院経営管理研究科の國領先生にお願いしたいと思いますけれども、委員の皆様方よろしいでしょうか。

(異議無しの声あり) ありがとうございます。それでは、国領先生、座長よろしくお願いいたします。
 次にこの研究会の議事録の公開方法について事務局から次のように提案させていただきます。まず、会議の内容につきましては本日が研究会開催日でございますけれども、研究会の終了後、簡単な議事要旨ですが、これを2日後までに、また議事録を1カ月後にそれぞれ発言者の名前を伏せて公開させていただきたいと考えております。それから会議に用います資料につきましては原則としてこれらの議事録と併せて公開するということでお願いしたいと思いますが、あらかじめ委員の皆様方のご了解を得たいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議無しの声あり) ありがとうございます。それでは、ご了解を得ましたということで議事録等の公開につきましてはこのようにさせていただきたいと思います。

(事務局) 私の方から一言だけ申し上げます。今回、情報についてIT革命と呼ばれるような、革新的な状況の中で物流・情報通信という21世紀初頭における世界のベストプラクティスと言えるようなものを日本で整備をしていくということが世界の中で日本が今後とも活躍していくためにはぜひ必要だという問題意識で始めたものでございます。それぞれの専門の方々にお集まりいただきました。なかなか難しい問題だと思いますが、闊達なご議論をよろしくお願いいたします。

(事務局) それでは、これから議事に入らせていただきたいと思いますので國領座長にこれからの議事進行をお願いしたいと思います。

(委員) 座長にご指名いただきました慶応義塾大学の大学院経営管理研究科の國領でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。早速ですが、議事次第に沿って進めていきたいと思います。まず事務局からこの研究会の趣旨及び検討事項についてご説明をいたします。

(事務局) 研究会の趣旨及び検討事項につきましてお手元の資料の2と3を用いてご説明いたします。この趣旨及び検討事項につきましてはあくまでも現時点で事務局が考えているものでございまして、今後委員の先生方のご意見、ご議論の中でまた修正されていく、そういう性格のものと理解しております。
 それでは、資料2をお開けいただきたいと思います。まず、この研究会の名前でございますが、物流・情報通信ベストプラクティス研究会、これは物流・情報通信の進展に対応した世界最先端の事業環境を実現するための方策に関する研究会です。
 それでは、資料2の1の趣旨につきましてご説明させていただきたいと思います。今後我が国経済社会をグルーバル化に対応したものとし、またその活力ある我が国経済社会の再構築、世界の最先端をいく事業環境を整備する必要があると考えております。私ども「あるべき姿」と呼んでおりますけれども、新経済計画におきまして物流・情報通信分野の改革方策につきまして検討を行っていく旨、盛り込まれたところでございます。
 物流・情報通信を取り巻きます世界のビジネスの潮流あるいは技術革新動向を踏まえまして、物流・情報通信分野の環境条件がどのように変化、進展していくのか。物流・情報通信をめぐります新しい経済社会、これがどのように切り開かれているかを展望いたしたいと思います。そして、それにふさわしい21世紀初頭の最も効率的で魅力的な事業環境を我が国において実現するための方策、どうやったらそういった事業環境がつくっていけるのか。この方策のことをここでは「世界のベストプラクティス」と呼ばさせていただいております。この実現方策を探っていくことがこの研究会にお願いしたいことでございます。
 5月までの5回にわたります研究会、ここで検討していただきたい事項全体につきましてこの資料3で示しております。まずベストプラクティスのあり方を検討していく際に基本的事項ということで押さえておかなければならないものといたしまして、時代背景があるのではないかと思っております。
 産業革命とも対比されます情報革命といったことが言われている時代でございます。そういった時代背景のもとで事業活動のあり方も規格大量生産から個別注文生産に変化してきておりますし、また製造者の立場でなくて、消費者の立場に立った事業環境が強く求められてきています。こういった我が国の経済社会の変化の中で、特に近時、物流の変化、物流の中でも船舶、トラックといった輸送機関の多様化、サプライチェーンマネジメント、あるいはサードパーティーロジスティックスといったような企業間連携を通じた消費から生産までの情報、モノの効率化、こういった動き、あるいは変化が近年特に強まっているところでございます。
 また情報通信の変化という観点で見てみますと、電話、ファクス、あるいはパソコン通信といったような通信端末の多様化、あるいはインターネットといったようなデータ通信の活発化、さらにはモバイル。こういった大きな時代背景、潮流変化を鑑みたときに2010年ごろの我が国経済社会におきましては物流や情報通信分野は特に重要な役割を果すのではないかと、事務局としては認識しているところでございます。
 そこで、次の3つの視点を事項といたしましてご議論をいただきたいと考えております。特に今回は第1回目ということでもございますので、総論的にご意見をいただき、次回以降検討項目ごとに詳細なご議論をいただきたいと思っております。
 資料3の箱書きでございます。世界のビジネスの潮流や技術革新の動向を踏まえれば、2010年ごろまでに物流・情報通信分野をとりまく環境条件はどのように変化・進展していくことが予想される、または期待されるかということでございます。検討事項の1つ目でございます。例えば、最近バーコードラベルといったものを使いまして自動貨物追跡システムが物流の世界では使われ出してきております。貨物の自動追跡システムによりまして重複コストを削減していく狙いがあるようでございます。情報通信技術を活用しました貨物輸送物流の効率化が環境条件の変化として出てきており、またさらに進んでいくのかなといった気がいたしております。
 それから最近、環境負荷を低減したグリーンロジスティックスのような環境問題を考慮したロジスティックス、こういったものが徐々に出てきつつある。それから、データ通信の高度化によりましてインターネットというのが家庭に大幅な普及をしていくといったことが環境状況の変化として言えそうかなという気がしております。それから、高速大容量といったようなモバイル技術、移動通信技術を活用しました位置情報サービス、それから音楽配信、あるいは映像を用いましたビジュアルフォン、の出現が次に出てくるのかなといったようなことも伺ったりしております。
 それからモバイルの急速な進展、あるいは情報家電と言う言葉、例えばインターネット機能がついたテレビとかの情報家電、あるいはゲーム端末の高度化、単にゲーム端末に留まらない、情報通信端末が高度化し、多様化していくことといったことが予期されるのかなという気がいたします。それから、アクセス回線におきます無線の積極的な活用といったことが言われておるようでございます。
 2つ目の論点でございます。環境条件の変化進展、これによりまして2010年ごろの物流・情報通信をめぐります経済社会が、どのようになっているのか。系列を越えまして物流業を包括的に受託するというサードパーティーロジスティックスというのがアメリカあたりでは相当盛んになっているようでございます。我が国におきましてもいろいろ課題を抱えながらも少しずつ進んできている。こういったものが積極的に取り入れられた、一般化されたような社会が出てくるのかなということも予期されます。
 それから中間物流拠点、倉庫とかが集約化されたり、あるいは運送形態も共同配送といったようなことが出てまいりまして、物流とか在庫が相当削減される社会がにらめるのではないかなと思ったり、あるいは国境とか、業種を越えた物流の統合化、例えば輸送業者とフォワーダーとの間の業種を越えた物流の統合化、こんなことが先々出てくるのかと思います。それから、電子商取引につきましても、当然、国際取引を含みます電子商取引の大幅な普及、あるいは、いろいろな活動、企業活動が企業の枠を越えましていろいろなところとインターネットにより統合化されていく社会が予期されるのかなと思います。したがって、見込み生産から注文生産へ比重が変化していくのではないか、あるいは情報通信主体が若年化していったり、あるいは高齢化していくことは当然予期されるわけでございます。
 消費者が相互に情報を発信し合う、いわゆる口コミの社会、こういったものが相当進んでくる。これによってまた価値等もいろいろ変わってくる社会も予期されるのかと思ったりいたします。
 次に3つ目の論点でございますが、そういう経済社会にふさわしい消費者の立場に立った世界で最も効率的で魅力的な事業環境、それはどういうものなのか。そして、それを実現するためにはどういう方策が必要か。そういったベストプラクティスというものはどういうものなのか。どういうあり方がいいのかといったことが3番目でございます。
 例えば、物流サービスレベルを向上してほしいという気持ちとそれを安くという気持ちはなかなか両立しがたい。難しいテーマでございます。しかしながら、これを何とかやっていかないといけないわけでございまして、例えば最近、ネオロジスティックスという言葉が使われたり、あるいはせっかく社会資本をこれまで整備してまいりましたので、それを有効に活用していくといったようなことも課題かなと思っております。それから、商慣行というのが日本は結構強いようでございます。それがなかなか物流を効率化する阻害要件になっているといったことがよく言われておりまして、こういったものをどうやって是正していくのか、その辺も今後の大きな課題かと思います。
 それから、情報とモノの流れの同期化。せっかく電子商取引で注文が出来ても、モノの流れの方がついてこられない。これをどう同期化していくのか。この辺の方策につきましても今後の課題と思っております。それからプライバシー、あるいは知的所有権保護の問題、セキュリティーだとか、犯罪対策の問題も今後方策を考えていかないといけない話だと思います。それからディファクトスタンダードによる標準化の推進をどんどん進めていくといったことが必要かと思います。それから電波割り当ての問題です。放送と通信にかかわります環境変化の中でこの電波割り当ての問題もどういうふうに考えていったらいいのかといったことも今後検討していかなければならない時代と思います。
 それからインターネット社会になって、インターネットをなかなか使いこなせない方、あるいはインターネットビジネスに変わることによりまして、新しい雇用の創出と、新しい職業に円滑に転換できる方策も一つ検討していく大事な話かと思っております。どういう事業環境が今後日本にとってふさわしいのか。そしてそれを達成する方策はどういうものなのか。こういったことにつきましても次回以降突っ込んでご議論をいただきたいと思います。
 この資料3で検討事項全体につきまして私どもが今のところ考えておりますところをご説明させていただきました。本日は1回目ということでもございますので、検討事項全体にわたりまして総論的なお話で結構でございますので、私どもの方にアドバイス等いただければ幸いかと思います。
 以上でご説明を終わらせていただきます。

(委員) それではただいま説明いただいた研究会の趣旨とか、検討事項につきまして誤認とか、過不足、それからこの研究会ご期待すること、事務局へのアドバイス、いろいろあるかと思うのですが、関連することでありましたら何でも結構でございますので、自己紹介的なことも含めましてお一人5分から10分ぐらいで少しコメントをいただければと思います。
 今日、皆様からいただきましたご意見を踏まえる形でこの研究会の論点を整理していくという段取りになっていると思います。是非積極的なご発言をお願いします。そのときに会社の立場は忘れられて、個人的な意見で結構ですので忌憚のない活発なご意見をということでお願いをいたします。

(委員) 私なりにいろいろ見て一番印象に残った言葉というのは3つほどあります。1つが在庫削減、もう1つが見込み生産から注文生産へ。3つ目が情報の流れとモノの流れの同期化、この3つです。
 おそらくこれらに共通するキーワードというのは、私どもが考えておりますのは「スピード」だと思うのです。もちろんただ早いだけでは意味がないので、このスピードというのにはジャスト・イン・タイムという概念は当然入っているものということを前提に言ったのですが、少しでも在庫を減らしたいけれども需要には追いついていきたい。注文があってからすぐそれを生産し、お届けしたい。そういった、お客様の需要、ニーズに同期化させていこうという動きにやはりスピードというのは欠かせないものだと思っています。
 お客様が消費者個人、企業であるかもしれないのですが、そのもっと早く、もっと正確にというこの要望というか、需要というか、ニーズというものは限りない。情報とか技術とかハードの面が進んでいけばいくほど、どんどんさらに高まっていくものだと私どもは思っています。
 航空輸送の立場からいいますと、このスピードに対して答えるには2つの方法があったのです。1つが物理的に飛行機の早さを上げることです。ただ、それはこの研究会の趣旨でもないですし、討議することでもないと思いますので横に置いておきます。もう1つが、飛行機がテイクオフするまでに何をどうすればいいのか、もしくは飛行機がランディングしてからモノをどうすればいいのか、情報をどうすればいいのかそれをやはり考えていけばいいのかなと私は思っています。飛行機が飛び立つまで、着いてからの、一言でいうと業務処理です。それを効率化していくことがスピードアップにつながり、消費者、企業それらの需要にニーズにこたえていくことになるのです。
 では、その業務効率化、そうやっていくにはどうやったらいいのかというのは私なりにいろいろ考えたところ、今一般的に言われていることでもあるのですが、1つは情報の共有化ですね。通関とかをやっている専門の業者さんもいれば、上屋業務を担っている上屋会社さんもいれば、通関から配送まで一気に受けている「フォワーダー」と呼ばれる業者さんもいらっしゃいます。それらの情報というのが、今までの、各分野ごとの利害関係も当然あるだろう。歴史もあるだろうし、また情報的な技術というのが追いついてこなかったっていう部分もあって、分断されたシステムで持っています。それを1つにつないで効率化を図るという動きというのは実際にあります。
 現実、航空業界で今やることとしてはフォワーダーのシステムと航空会社のシステムをつなげようとして、カーゴコミュニティシステムという、CCSというものを立ち上げて実際にやろうとしています。それもまだまだ不完全なものです。それには荷主が参加しておりませんので、荷主の、例えばインボイスナンバーとか、パーチェスナンバーだとか、そういったものを入れてその情報が一気に走るようなシステムにはまだなりきっておりません。
 もう1つは、ペーパレス。荷物が着いてからの処理、着くまでの処理を縮めるには、また正確にするにはやはり何回も何回も同じことをいろいろなところで入力していたのでは誤りも多くなりますし、動きも遅くなります。1つ1つの積み重ねになって時間のロス、人員のロス、効率化を妨げていると思います。従いまして、ペーパーによる情報のやりとりではなく、先に述べたような共有されたシステムを介しての電子データによる情報の交換が重要になります。
 以上述べたような点はこの資料の3の中でいくと(1)のテーマになると思います。今後の検討課題の中で重要なテーマの一つだと思います。

(委員) 総論的に言いますと、世の中の流れが随分変わる。要するに世の中の流れ、お金の流れ、モノの流れ、情報の流れ、人の流れです。それからもう1つは経営の流れ。いわゆるビジネスシナリオというか、ビジネスモデルとか言われたりしますが、経営のやり方、マネジメントの仕方が随分変わった。
 金の流れについては間接金融から直接金融へ、そもそもお金は情報です。情報通信とかに乗せやすい。ですから電子マネーですとか、パソコンをインターネット網に乗せて決済をやりとりするというような変化。それから、ICカードを使ってお金の情報を電子媒体に移して、それによって決済をしていく。要するにモノの流れに伴って必ずお金が動いて、最終的に決済どうするか。金の流れというのも非常に重要です。お金の流れは情報化が進むに連れて技術進歩とともにかなり大きく変わってくるだろうと思われます。
 一方、情報の流れという側面からみますと、当然のことながら昔は情報を知っている人が優位だったわけです。ところがインターネットにより情報をだれでも知ることが出来る。情報を知るツール、検索ツールだとか、情報がどこにあるかを知る人の方が優位になる。インターネットでWebサーフィンしていますと、どうしてこんな情報がただで手に入るのかと驚くばかりです。昔はお金払わないと手に入らなかったものが、タダで手に入る時代になっている。今や映像から音楽まで通信を使って配信するという形になっていますから、情報分野は技術革新と非常に大きなかかわりを持ってきた分野です。
 それから人の流れは雇用の流れの変化という考え方もありますが、要するに会社にいちいち行かなくても自宅で仕事ができる。SOHOと言っていいのかもしれませんが、移動しなくてもいろいろなことができる時代となった。
 ところが、最後のモノの流れはどうしても移動させなければならない。SFの世界のようにパッと瞬間移動できればいいんですけれど。これがやはりネックになっています。ロジスティックの世界でしょうが、モノの流れをどうするかということは大きな問題。流れの中にもうひとつコンビニエンスストア網の拡大という流れがあるわけです。便利でとにかく非常に身近に。一個一個の単価は高いのかもしれませんが、結果的には安いのでしょう。我が家の冷蔵庫はコンビニにあるわけですから、そういう意味ではコンビニのネットワークをどういうふうに使うのか。これはまさに物流のネットワークだろうと思います。
 最近の新聞を見ていますと、いわゆるBtoB、BtoCとか言う言葉が流行っていますが、要するに電子商取引において、先ほど言ったようにお金の流れとか、情報の流れとか、人の流れはある程度インターネット網によって解決していくけれども、モノの流れだけはどうしても解決しない。それを合理化しないとうまくいかない。全体との絡みでもちろん動くわけですが、日本はコンビニエンスストアが発展したお蔭でロジスティックの問題はかなり進歩してきたのではないだろうか。
 電子商取引に乗り出したコンビニエンスストアが情報の拠点として、物流の拠点として普及してきた。世の中の流れが変わってきたと思います。それからベストプラクティスというもう1つ全く違う流れが出てきました。今までの情報の流れは企業の中での流れだったわけです。それから業界の流れ、それから系列というか、そういう古い考え方というのはもう考えずに、ベストな方法を追求するという環境になっていますので、新しい形でのネット財閥とかいうものが出てきた。
 ですから従来の系列だとか、財閥だとかは今や役に立たないということが1つです。ベストプラクティスというのはこの研究会のテーマですが、実は過去の経験から原理原則というのは変わりはしない。技術の進歩だとか、社会構造の変化によってやり方が変わってくる。ツールが変わってくるということであって、昔からベストプラクティスは存在し、それを実現する方法が時代とともに変わってきているのではないかと思います。10年後にどう変化を遂げるのかということがこの研究会のテーマだと思います。過去の歴史を振り返りながら、どう変化してきたか。今後10年後にどういうふうに変わっていくのか。それが技術進歩ともに、社会構造の変化とともにどういうふうに変わっていくのかということを考えるのがおもしろいと思います。
 参考資料5にありますが、電子商取引の推進に関する提言を経団連でまとめたのが去年の7月です。経団連のメンバーに、電子商取引は社会に大きなインパクトを与えるということを提言したつもりです。提言の中に電子商取引検討の視点という図が書いてある。電子商取引を検討するにあたって大事なことは日本を中心としてアメリカ、欧州、アジアがあり、その観点をまず忘れてはいけない。要するにグローバルの世界でものごとを考えなければならない。それから、もう1つ世の中では実はBtoBとか、BtoCしか言っていないが、大事なことはGtoBです。要するにガバメント、電子政府という言葉ありますが、ガバメントの効率化が実は重要ではないかと思うのです。政府調達、いわゆるGtoB、それからGtoCですね。これは要するに国民に対する政府のいろいろなサービスをどうするかということです。それから、あまり言われていませんが、CtoC、これが実は大きな問題になりつつあるのです。
 オークションだとか、いろいろなことをインターネット上でやりますから騙しがあったりいろいろなことがある。これはコンピュータ犯罪。要するにこのGとBとCの各々の関係とグローバルの世界です。これが電子商取引の中で重要です。この辺を解決しないとうまくいかない。この辺の問題を検討した経験もありますので、今後の10年後はどういうふうになっていくかということについて、いろいろな方の意見を参考にさせていただきながら、勉強させていただければと思います。

(委員) 非常にかなり幅広いなという印象があって、いろいろテーマを絞り込みながら議論を進めていくということにはなると思う。
 情報通信の最初は電話のネットワークにつないでということだったけれども、その後は専用線のデータ通信というものが始まり、LANがかなり企業に浸透して、それまではホストコンピュータ中心の社会がシステムを変えて、LANが企業に日本で浸透していくのと並行して米国ではインターネットというLANがさらに広域化したようなシステムが広がり、それが世界に広がって日本に押し寄せてきたいうのが大体94年か、95年ぐらいです。
 その後は情報通信の世界というのはかなりインターネットを中心に相当急激な変化が起きた。まさしく21世紀のビジネス社会においてはインターネットを中心としたネットワークがおそらくビジネスのインフラであるという共通認識が皆様にあるのだろう。我々も今後インターネットがどうなるのかというのは、実は93年、94年にインターネットの今日の隆盛も全く予測できなかったので、2010年にネットワークがビジネス社会にどんな役割を果しているのかを提言せよと言われても、私個人としてはなかなか難しいなという気はしています。
 5年先のことをしゃべって、あとで物笑いの種になるなということを考えるとなかなか思い切ったことができないという気もしています。その変化があまりに激しくて1年後を予想するのもかなり難しい。
 例えば、今高速のインターネット常時接続で話題になっているADSLという技術も、最初に米国でかなり低料金で提供できてしかも常時接続もできる、あれよあれよという間に家庭も情報化、ネットワーク化の救世主になるのではないかと祭り上げられた。そういった形で、たった1年、2年の間でそういった大きくネットワークの分野でそれまでの数十倍から、数百倍のスピードを持ったネットワークが月額5,000円とか6,000円で手に入るようになった。10年後に例えば10メガビットパー秒によるスピードが家庭に来ていて、それが例えば電話料金と同じ程度、月額2,000円や3,000円で使えるようになっているのかということは、おそらくほぼなっているのでしょう。実は時代はもっと早くて、我々の予想を越えた高速化と、その低料金化というのが進んでいって、どこまでいくのかというのがなかなか見えない部分もある。
 個人的に気になっているのは、5省庁間で進めているITSというシステムがあるが、インターネットとどう結びつけるかということです。もう既にインターネットを使って、先ほど話題になった物流配車のトラッキングシステムも既に実用化していますので、そういう意味で、ITSはかなり物流面の情報通信としては相当威力を発揮するはずです。デファレンシャルオブGPSによるシステムもありますが、関連性が見えていないので、お話できる機会があるといいのかなと思っています。

(委員) 我々、お客様の声って言うのを大事にするということでやってきた。そのツールというのは以前は電話とか、ファクスの世界でどうしても1個1個の全体が分析できるような形になりませんでしたが、特にインターネットとか、情報関係のちょうど(1)の⑤にあるように情報端末の多様化のおかげで、マーケティングというのがものすごくそれによって変わっていくんだろうと思う。
 例えば私どものお客様からのご注文だとかを見ても、ご注文の中でも以前はファックスが100%だったのが、もうインターネットのweb上での受注を始めて、まだ2年半ですけれど、十数%まで上がったわけです。おそらく、これはインフラの進み方、基盤整備のされ方にもよると思うけれども、かなり急激な形でそちらの方に移動しています。それからお客様からのご要望だとか、情報っていうのもそういう形でインターネットからかなりいただけるようになっています。我々そういう意味ではものすごい可能性があると思います。そういう新しいツールで例えば我々とお客様だけではなくて、お客様同士でもいろいろ情報を交換されて、例えば談話室とか、チャットというのはありますけれどそういうところがどんどん変わってくる。そういうところでマーケティングというキーが入って、いろいろなマーケティング情報というのが今までとは飛躍的に変わっていくのではないかなと思います。
 それから、もう1つはやはりロジスティックスのところです。
 我々も最初に考えていたときにはどういう形がいいのか、モノの情報の流れだとか、市場の流れだとか、ある流通経路をもう一度ばらして見て、どれが一番効率がいいのか、最適なのか、機能的なのかというのを考えるというところでやってきた。そのときに思ったのは最適なものとか、機能的にしっかりあったものでない限りおそらく自然の中でといいますか、経済の流れの中で淘汰をされていくというふうに見ました。
 我々としてもやはり今回のテーマにおける情報と、それから我々情報をベースにしたカスタマーゼーションと、それからロジスティックスというのがあって、その中で機能によって見ていくということになると思います。

(委員) お客さんの要望の方がどんどん先にいって、追いつけないというか、選択肢の提供がなかなか難しいかなというように非常に感じるところがあります。
 輸送というのは、実は価値を移動させるというのが任務になっております。お客様からお預かりした荷物の価値がさまざまですから、それに対してすべて対応しようということで行きます。昔は人が動いたところはモノが動くから、必ず人の動くところは商圏だということで、そこに何かしらのサービスを出そうということで、夏はただの山ですけれども、冬の時期になりますとスキー場になる。そうすると、そこに営業拠点がないといけないということで、夏は暇ですけれど、冬は忙しいという。そんなことがある。現在は情報が動くとモノが動くとなっている部分があるので、その情報の動く部分に対してきちっとその機能を付加していかなくてはいけないと思います。
 今、家庭の中で部屋にこもって使うものというのは電話とパソコンと言われています。この2つがあればものの調達ができてしまう。ですから個人でやはりすべて動いているということです。子供たちが危ないものを買わなきゃいいけれどなと思う親の心配も一方ではあるわけです。
 配達なのか、もしくはコンビニさんでの受け取りなのかという、そういうネットワークの問題が一方ではあるわけです。あとは24時間という問題があったりする。
 営業拠点が今、2,000カ所ある。毎日28,000台の車が走っている。大体1人当たり100個ぐらいの荷物を持って走っているわけです。ところが地方も都市も変わりなくお留守です。お留守の関係で1個の荷物を配達するのに平均1.6回配達にいくという現状になっているわけです。コストは1.6倍かかっているわけですね。でも世の中は低コストだということできていますから、1.6を吸収しながら、なおかつもっと落としていかなくちゃいけないということになります。
 今、いろいろな物流の状況を見ますと中間物流の処理が非常に遅れているのではないかというふうに思っています。ですから、一貫した物流ということでコストを落とさざるを得ないと。中間物流のコストと配達というコストを分離で考えたらもうこれは、落ちようがないわけです。やはりトータルで物を考えないと落ちないというふうに思います。
 情報のリアル性ということを考えますと、コストがまだまだ高い。あと使い切れるかどうかということになりますと、地下だとか、ビル街だとか、山間地ということになりますと役に立たないということも一方にあります。あと荷物の所在を逐一見るということになりますと、従来型のバーコードではもうこれは対処しきれないという状況があります。そうすると、やはり電子タグみたいなものが、ほんの数円で、できれば1円切ってもらいたい。そんなふうなコストで出てこない限り非常に難しいのかなというふうに、夢でもあるのです。
 最後になりますけれども、2010年というふうに掲げられているが、私の感覚では10年というのは半世紀先のことを考えるんですかというようなぐらいのイメージが実際あるわけです。
 あと事業者としては、ハードが陳腐化したものは一体だれがどういうふうに考えてくれるのか。昔は5年もっていたのに、今は2年たったらもうこれだということで、個人が車を買い換えられないのと同じでそんなに都合よく替えられないだろう。とは言いながらも日本がアメリカとの差別化の中でどうやって勝っていくのかという大きなテーマをやはりクリアしなきゃいけないと思います。

(委員) このベストプラクティス研究会ということで最初に思ったのは、ベストプラクティスって誰のためのベストプラクティスなのかなということで、きっとここでは日本とか、あるいは一般消費とか、そういった大きなところで考えることになると思っています。
 確かに情報とか、物流とかいうところでいろいろな変革が起きているということは間違いない。言葉が非常に氾濫しているのではないかと思います。例えば、サプライチェーンマネジメント、SCMとか3文字の単語、英語の頭文字として出されると何となく心地よく聞こえてしまっている。
 物流業界ではサードパーティロジスティックスが雑誌で見るとこれがフォースパーティロジスティックス、あるいはフィフスパーティロジスティクス、4か5まで来ると、「それは冗談でしょ」とかという話になる。そういった言葉が割と氾濫しているのではないかなと思います。
 物流とか、ロジスティックスとか、あるいはサプライチェーンマネジメント、これは基本的には変化がないというか、その元々の役割というのは何ら変化がないのです。現実のビジネスプロセス設計とか、そういったところではまず言葉の意味というものを明確にした上でないとなかなか出来ない。言葉に踊らされているような雰囲気があるのではないかなと。
 例えば、最近の事例で物流業者がお客様に対していろいろなプレゼンテーションをするわけです。そういうときにお客様にとってベストなサプライチェーンマネジメントを構築いたしますとプレゼンテーションをする場合があるけれど、これはよく考えれば物流業者がサプライチェーンマネジメントを構築できるわけがない。これは基本的にはお客様の方の経営をどういうふうに考えるかということになる。そういったことを含めて言葉の意味というものをもう一度しっかり定義づけして、その上でどうするかといったことの検討がそれぞれの企業の中でも、あるいは全体の中でも必要ではないかなと最近思っています。
 情報を使っての、あるいはITを使ってのインターフェイスを作るだけではどうしようもありません。そこに物流、モノの流れをコントロールしなければ全体としてはうまく機能しない。そこで、物流業者がどういう役割をするかということ、これが非常に今の卸業において物流業者に突きつけられている大きな課題ではないかと思います。
 ITが急激に発展していく中で、航空業界はいろいろなお話を聞いていると航空会社同士の情報交換とか、あるいはフォワーダーとの情報交換だとか、そういったことができているように聞いています。海運となりますとほかの情報交換とか、情報というのは全くありません。
 そういった中で物流業者というのは情報システム、情報通信の発展の中でこのままいくともしかしたら取り残されてしまう。そういったところで、サードパーティロジスティックスの中でのアセットベースのサードパーティロジスティックスというそういったカテゴリーができてくると思います。個人的にはそういうハードとか、倉庫とか、輸送機器を持たないで物流をやってお金を儲けていくようなことは何かずるいなという感じがする。そういった流れの中で物流業者はどういうふうにやっていけばいいのかということが重要な業界としての課題ではないかと思いました。
 インターネットは重視しなければいけないと思っています。しかし、インターネットがホームページの力を最大に出すのはいわゆるBtoCの一般消費者との関係ではないかと思います。我々の場合はBtoCというのはほとんどなくて、BtoBになるので、インターネットをどういうふうに応用するかがなかなか難しい。相手が、例えばお客様がシステムを持っていないということであれば、何とかできると思います。それぞれが自分たちのシステム持っていると難しい。そうするとインターネットを介在した中で後からやろうとしていると、それぞれの両端のところでシステムをモディファイしたり、インターフェイスコストもかかってしまう、それがそのインターネットを見たときにBtoCというところがうまくいっているところも、BtoBというところが潜在としてはあるが、なかなかうまくいかないと思います。そういったところを、どういうふうに考えていくかということが課題ということです。

(委員) 私どもの中でも物流と通信という、基盤ということでこれがなければ私どもの事業成り立たないぐらいかなりのウエイトを置いております。当然ネット技術の中で一番、お客様から課題が出ましたカード決済に対して、かなり不満と不安があります。現時点でもなかなかカードでお申し込みいただけない状況があります。今年の2月からは店頭決済ということで、裾野を広げますので、おそらくその部分からかなり広がりを見せるのではないかと思っています。
 2年以上前から、マルチメディア端末を皮切りに進展をしてきたわけです。一方で物流を持ち、一方で非常にローコストなインフラをつくらなければいけない。さらにこのネットビジネスが入ってきたところから常時接続をしないと例えばチケットの申込、もしくは発券等がなかなか出来にくい。もしくは、爆発的な商品がありますと、全店に一斉にお客さんが集まってくる。一斉に通信が集中してしまう。こういったときに、どうやってデータの処理を行うかというところが一番の課題になってきています。
 もう1つは一方でお店側の受注業務ということで、非常に店舗の商品だけでも3,000品目ぐらいありますが、ネットの商品が今現状でも数十万のアイテムあります。さらに今後そのいろいろなネットとの提携によって広がりますと、おそらく数百万単位の商品メニューを持ちます。それにお客様に対応しなければいけない。こういうものが一方でオーナーとかいうお店の従業員に対する情報の提供です。情報の共有っていうのですか。そういう形のことも考えてというのがあります。
 店頭で当然ものの受け渡しということが発生するが、今問題になっているのは、お店で一時預かるがために預かるスペースを店舗の中で確保しておかなければならない。これが小さいものから大きいものまでありまして、価格が高いものから、安いものまである。高額なものほど逆に小さいというようなこともございまして、それのその管理の状況が非常に厳しくせざるを得ません。
 ですから店舗の造りから変えていかなければいけないという問題があります。一方でお預かりしている品物を、お客さんが引き取りに来られない。お客様に電話してみたら、転居しているようなこともあって実際には引き取りということで預かっていながらお客様に渡せない状況も発生してきているのが裏側の問題としてあります。そういったところからまず私どもはインフラの環境の中で自社のネットワークという形を作らざるをえない。非常に自社でつくると非常にハイコストになります。常時接続ということになりますと、非常にまた多大なコストがかかるわけです。その中にいかにそのお店とのやり取りの情報の中身、もしくはお客さんとのやり取りの情報の中身、をどのように作り込んでいくかということが今一番の課題になっている。
 物流に関しては、今、店舗との間では一日当たり、大体延べでトラックが8台ぐらい走っております。これも従前から比べますとおそらく4分の1、5分の1ぐらいのトラックの台数にはなっている。やはり1つは排気ガスの問題、騒音の問題。排気ガス対策のトラックを今実験したりして進めていますが、トラックも技術開発の部分でなかなか進んでいないということ、まだまだハイコストであるという問題があります。また、先ほど申し上げましたように高額な商品の受渡しをする場合、例えばお弁当とか、お菓子とかいう中に貴金属関係が入って来るようになりますと、1台のトラックの中で管理の仕方を変えなければいけない。またできるだけ少ない台数の中でやりとりをするというのは相反することがある。
 今、5年前に作った店舗の総合システムのやりかえの時期に当たっています。それについてはちょうど5年先を見据えたということで、いろいろな形で外部環境なり、時代の変化なり、流通の変化なりを見させていただいて考えています。私ども5年を見るのが精いっぱいだなというところもあります。

(委員) 単に携帯電話ということではなくて、ワイヤレスというキーワード、あるいはモバイルというキーワードはきっと流通とか、ベストプラクティスという意味ではいろいろソリューションを提供できるのではないかという気がいたします。
 幾つかそういうお話しますと、媒体を介して情報を商品としているパッケージみたいのが、音楽配信のように、情報だけで商品としていけるものは、これから先も究極はホームサーバーみたいな形になっていくでしょうけれど、仲介できるものとして、たくさんあるのではないかと思います。
 ご飯やスーツなどの物財は流通としてあるべきでしょう。少しでもフリクションロスをならしていったり、無駄をなくしてするビタミン剤としての仕事を行いたい。そういう意味で基本的にはインフラとして捕らえています。ある意味で、プラットホームという業種だと思います。今までの流通関係者とウイン・ウイン関係というのですか、そういう関係でコントリビューションしていきたい。
 インターネットという言葉がもしかすると日本ではワイヤレスというキーワードでもっと花開くのかと思います。そういうところでもっとそういう形でビタミン剤として与えられるようなしくみで、何か貢献できたら思います。

(委員) ちょっといただいた段取りと少し違いますが、時間を配慮しましてやることをやってしまって、あと残りできる限り議論して終わる時間にしたいと思うのですが。事務的な話はスケジュールのことだけでいいんですかね。ちょっとそれだけ説明していただけますか。

(事務局) 資料4に今後のスケジュールを載せております。第2回では今日のご議論を踏まえまして、特に環境条件の変化進展、この辺に主題を置いたご議論をいただければと思っております。3回目は3月16日で新しい経済社会、2番目のテーマぐらいを中心に議論ができればなと思っています。4月に入りまして、主題でございますベストプラクティスのあり方、この辺について。そして5月いっぱいぐらいには中間報告のとりまとめ。年内に最終報告と、こういう段取りでいかせていただきたいと思います。
 なおどういったことを主眼に議論するかは、まだこれから先生方のご議論を聞きながら、そしてまた座長ともご相談しながらその辺を決めていきたいと思います。あくまでもこれは案として書いているというふうにご理解いただきたいと思います。

(委員) 幾つかいろいろお話を伺っていて、やはり共通テーマはあるのかなという感じがいたします。別々のものをいかに統合できるか。表現の仕方が人の流れ、お金の流れ、モノの流れ、要するにいろいろな流れを統合するかという話でもあります。移動体の話と固定網の話もあります。情報技術とロジスティックスの話をどう統合できていくのか、いかにトータルなものとして考えていけるのか。それを考えていく上では何か言葉がいろいろ氾濫している。もうちょっと本質のところで言葉共有していかないとわからない。その辺がこの議論を通じてある程度見えてくるといいのではないか。
 それから、結構根本の話として、長期計画的に考えられる話なのか。これは情報技術側から見ている人間にとってみると本当に昔の情報通信というのは確かに計画して、何年か計画で作っていくものだけれども、いまではもっと有機的に進化していく世界になってきている。だからそもそも発想としてそういった柔軟な進化をどういうふうに促せるか、できるしくみなのかと考えたほうが何年計画と考えるよりもいいのかもしれない。ただし、ここがおもしろいところで、すごく変化の激しいものとそれからやはり長い目で見なければいけないもの、混在しているところがある面でものすごく変化が激しい。ある面でなかなか頑と変化しないものが片側にあって、そこの折り合いをどうやってつけていくか。これが非常に大きな課題だろうと思います。
 頑と動かないのは最近やっと動き始めました料金体系です。どう考えていくか。これは論点として、非常に良いところではないかと思います。
 ビジネスモデルの研究をやっている中で、モノがタダになってしまう現象、パソコンをタダで配るとか、そういったお金の流れが逆転したりする。別にメーカーさんがお金儲けしないわけではないのです。今まで消費者から取っていたものを別の人から取るとか、完全なビジネスモデルの組替えみたいなものが出てきている。価格の体系はどう変わるのか、これ非常に大きな問題で、それと分けて考えられないようなところがあります。
 今までで皆さんお互いのお話を聞いていただいて、特にこの辺が重要ではないかというようなことを残り数分でちょっと補足的にご発言をいただけたらよろしいのではないかということと、制度に対する注文であるとか、規制に対する注文であるとか、もはやそこはもう昔ほどボトルネックになってないっていうことでも、もう民間側の話だっていう話になっても結構ですし、まだかなり課題が残っているので、そこは言っておきたいというような課題がありましたら、ぜひ言っていただければと思うのですが。いかがでございましょうか。

(事務局) 今回のこのテーマというのは、昨年作った新しい経済計画、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」の中で物流・情報通信に関して世界で最も最先端をいく事業環境を整備し、そのためのプログラムを検討して策定するという課題を政府に投げかけていました。それをいかに実現していくかという観点でこの研究会を作った。それまでどうも日本の物流は高コスト構造で遅れているとか、情報通信がこんなに遅れているというような問題意識を、それをいかに進んだところにキャッチアップするかというようなことで考えていったらと思う。
 一方で、もうそんな後ろから一生懸命くっついていくということではなくて、いっそのこと、ともかく自分が先頭に立とうではないか、世界で自分らが一番進んでいるという状況にしていくということがもう1回考え直してみたらどうだろうと思っている。それをまとめた事務方としては具体的なイメージがあったわけではないが、そういう状況の中でともかく世界で一番自分たちが一番進んでいるのだという状況にしていくためにどうすればいいかという、そのぐらいの漠とした問題意識でやっていました。
 この短期期間のうちにすべてをカバーしたものにするというのはとてもできません。またおそらく今回この議論をしていただいた中でもし必要あればさらに進んで、もっと聞き込んで検討した方がいいというようなものが出てくればいいかなと思っております。今の段階はいろいろな問題提起をした中で、これまであまり考えられていなかったような、あるいは若干の方向づけが見えているがなかなか進んでいないような整備とか、規制とか、あるいは共有化とか、いろいろなところで国として果すべき役割があればそれはどんどん注文を出していただいて、レポートに盛り込んでいきたいと思います。

(委員) この議論をまとめるに当たって、1つのフレームワークを作らないといけないのではないかと思うのです。それで1つのアイデアがあります。①流れの歴史と今後どうなっていくかということをきちっととらまえることが一つです。②もう1つ物事はものすごく進んでいるのと、ものすごく遅いのと言うように、二極分化しつつあります。富と貧しさということもあるし、若い人と老齢化の介護保険の問題もある。それから、③必ず華やかなものと、その裏に暗いもの、影のものがある。光と影という視点をどうとらえるかということも重要です。それから、④インターネットの世界でインターネットを使って取引をやるフロントビジネスの話が盛んですが、実は大事なことはインフラというか、人的なものとか、習慣とか、システムとかのバックエンドの話の方が重要で、日本の場合は、それが解決しない。それから新しいものとレガシーなものとの融和、混在をどうするかという問題もあります。
 それから、⑤最後に大事なことで、日本独自のものがあります。世界に冠たるコンビニ、ITS、カーナビ、携帯電話等をピックアップして、それをいかに世界標準として発信していくのか。そうしないと日本の経済が発展していかないのではないかと思う。この5つぐらいを中心にして議論していけばいいと思う。

(委員) この話まとめるのは容易ではないということを最初にお話いただいた。そのためには多少乱暴でもいいからフレームワークを作り、これも合意できないのかもしれないが、イメージを掲げて議論を整備していきましょう。①どう変化してきたのか、②光と影のこと、③二極分化のこと、④レガシー、要するにどんどん動くものと頑と動かないものとの間でどう折り合いをつけていくかということ、⑤最後はやはり日本の強みを世界で通用させたいという願望があります。

(委員) 制度の話をします。お客さんからのアンケートでは、住民票とか戸籍の謄本とかの交付を各店でやってもらいたいとなっている。一部の地方自治体とはやっている。これをやるに当たって個々にすべての地方自治体と調整をしないといけないので、国として標準様式を決めていただき、公報的にコントロールしていただきたい。
 もう1つは、早い時期からパソコンの操作と、情報のリテラシーとして、情報の発信の仕方なり、使い方なり、倫理教育的なものも含めてやはり早期に実施をしていく、教育していく必要があると思います。日本人にはまだまだ情報を発信する上での言葉の使い方なり、出し方が非常に個人勝手で、学校教育の中でなされていないと感じます。単にパソコンで情報発信すれば自分の言いたいことは言えるということが起こらないように、次世代におけてはやはり考えていく必要があるのではないか。

(委員) こういう分野に関する人材の育成というのがどんなふうになっているのか。やはり優秀な人間を集める、または作っていく方針が見えないです。企業に何か頼っていないか。国の研究所は全国に100カ所ぐらいあり、1万人ぐらいいるそうです。そういうことの再編成とかは基本的にあるのではないか。日本の企業がターゲットになって特許の中で狙い撃ち合っているのではないか、今後ますます特許問題が争点となるのではないかという心配があります。
 世界といいますが、対アメリカとどう戦っていくのか。アメリカの物流企業が国内に参入したらと考えると、不安はあります。人材の問題とか、研究機関だとかの方針が、国を守るという部分と同じというのを出していかないといけない。

(事務局) 特許の日本企業の狙い撃ちっていうのはどういう話なのですか。

(委員) 日本の企業はこれから国境のない世界で競争していきます。日本で従来ビジネスのモデルの特許がなかなか認められていないし、実際に取っていないわけです。一方、アメリカではビジネス特許も認められるので、アメリカの企業は、どんどん特許を出していく。あるビジネスモデルが米国で特許として認められたとき、日本でそのビジネスモデルを使っている企業は、みんな特許料を取られてしまう。これはどう考えても不公平な話です。特許で負けてしまうことは結局、企業が負けてしまうということです。これからアンバランスがどんどん出てくるのではないか。インターネットで商売をやろうと考えますと、アメリカから流れてきた便利なソフトを自分たちで手直しすることに慣れています。実はそれはみんなアメリカ製だと訴えられて、膨大なパテント料を取られて、利益は残らないのではないかという心配事があります。

(委員) 追加的にこれが重要ではないかというようなことがありましたら、事務局へ電子メールをお願いします。論点をある程度構造化して、皆様で検討していけるといいのではないかと考えています。皆様のお知恵をいただかないといけないような仕組みになってまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。今日はどうもお忙しいところありがとうございました。

(本議事録の問い合わせ先)
経済企画庁 総合計画局 社会資本班
電話:03-3581-0764