堺屋経済企画庁長官記者会見要旨
(平成12年6月9日(金)10:00〜10:53 於: 709号室)
1.発言要旨
既にご存じのとおり、99年度、平成11年度のGDPの伸び率は0.5%でございました。2000年1−3月の伸び率は2.4%、年率にいたしまして10.0%というかなり高い伸びを示しました。この結果、99年度全体についても0.5%という成長になりました。これは政府のしっかりとしたプラス成長、0.6%程度、当初は0.5%程度と言ったんですが、後に改訂して0.6%程度と改めましたけれども、大体カップのふちをなめたような、非常に見通しに近い値が出たものと考えております。
中身についてさらに詳細に申し上げますと、政府見通しに比べましてかなり成長率が高かったといいますか、予想以上によかったというのは消費と、それから設備投資が思ったほど下がらなかったと。後半上昇いたしまして、当初見通しでは5.2%、改訂見通しでは6.1%のマイナスが見込まれたのが、マイナス2.5%でとどまったと。消費の方、民間最終消費でございますが、これは当初見通しでは0.4%のプラス、改訂見通しでは1.4%のプラスでしたが、最終的には1.2%のプラスという形になりました。
それに比べまして、当初の予想よりもかなり大幅に下回ったのが公的固定資本形成、つまり、公共事業を中心とする公的施設の建設でございますが、これは当初見通しでは8.3%のプラスであったものが、見直しでは4.6%になり、最終的にはマイナス0.9と。前年度かなり景気振興のために公共事業投資を行いました。それに比べて下回るという結果になりました。
そのほかはそれほど大きな変化はございません。予想よりも民需がしっかりして、公共事業の効果の薄かったことを覆ってくれたと。その結果、政府見通しとほぼ同じ結果が出たと、こういうことでございます。
このことを踏まえて考えますと、小渕内閣が発足以来とってまいりました、極めて厳しい状況から脱却して、財政、税制、金融など、あらゆる分野の施策を総動員して、金融危機、経済不況を克服するのに取り組んでまいりました。この小渕政権の政策は、金融システムの改革、産業競争力の強化、雇用の創造、労働市場の改革、中小企業政策の抜本的見直し等、さまざまな構造改革に努めてきた結果であろうかと思っております。しかしながら、全体としてみれば、経済はなお厳しい状況にございまして、国際経済の動向や、企業のリストラ過程で発生する諸問題、あるいは雇用情勢の先行きなど、懸念要素もまだございます。ここで重要なのは、公需の急激な減少を防止しつつ、民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せていくとともに、21世紀の新たな発展基盤を築くために日本経済の新生と大胆な構造改革に取り組むことであると考えています。
このため、IT革命の推進をはじめ、高齢化社会への対応や環境問題等、これから日本にとって重要になってくるものを積極的に進める経済政策を展開していく。企業の設備投資を持続的に継続していく、そして広い範囲に波及していくことが大切だと思っています。
今、こういった経済回復の成果を踏まえて、これを小成に安んじてこの姿で均衡を図ろうとするのか、これをさらに発展させて、その上に新しい21世紀の日本の経済基盤を築いていくのか、これが今大きな岐路だと思いますが、私はこの成果を前提として、成果に立って、さらに新しい経済社会の発展構造を確固たるものにしていくことが重要だと考えております。ぜひ皆様方のご理解をいただきたいところでございます。
大体発表としては以上のとおりでございますが、今日は時間がございますので、皆様方のご質問にできるだけ時間をとってお答えしたいと思っております。
2.質疑応答
(問)まず、99年度の0.5%成長についてなんですけれども、99年度は2回の補正を含めて約42兆円の国の財政赤字という積極さの中で、この低い成長率でした。これをどう受けとめていらっしゃるんでしょうか。
(答)99年度の経済見通しをしっかりしたプラス成長、0.5%ぐらいのプラス成長と98年12月に私たちが発表したとき、信じる人はほとんどいませんでした。日本に40ほどのシンクタンクが来年度の経済見通しを出しておりますが、そのうちプラス成長を言ったのは、0.2%のところが1つ。あとは0.0と言ったのが1つ、残りの約40は全部マイナスでございました。もちろん、この中には既にそのとき発動されておりました緊急経済対策は折り込み済みであります。その上で皆さんマイナスだといいました。また、11ある国際機関の予測もすべてマイナスでありました。それがわずか0.5とはいえ、しっかりしたプラス成長になったということは、小渕内閣以来の政策が間違っていなかったと。しかも、その中に金融構造の改革を初めといたしまして、多くの構造改革が実行された。これは大変経済政策としては、あの大不況を考えるといい結果であったんではないかと思っております。
今の状態が、しばしば経済はよくなったかという質問をいたしますと、今の状態が好景気か不景気か、ゼロの線の上か下かというふうにお答えになる方がいて、これは先ほども申しましたように、なお厳しい状況にありまして、必ずしもゼロの線の上ではない。まだ厳しい状況だと思っています。しかし、98年の状況に比べますと、これは非常に困難な中から緩やかとはいえ回復できた、そういう数字だと思っています。
(問)1−3は、ちょうど1年前に大臣がほんまかいなと思ったとおっしゃった成長率をさらに上回る数字が出たわけですけれども、一方で年度で、下半期で見るとマイナス成長になっています。日本経済の本当の姿というのは一体どうなっていますでしょうか。
(答)一番重要なことは、10−12月が私たちも予想していたとおりマイナス成長でありました。それを埋め戻して、1.6%のマイナスを埋め戻して2.4%の1−3月の成長になっています。この日本の統計のとり方、これはこのところ話題になっていますが、供給側と需要側と所得側と3面からとるという最も理想的なとり方をしておりますが、この理想的なとり方をしているために、時期的に生産と需要との動きに差が出ることがあります。生産の方を見ていただくと、大体、鉱工業生産指数、第三次産業活動指数ともに成長を続けておりますが、需要側はボーナスの関係などで10−12月が下がりました。この3面の全体を見ますと、日本経済は99年度を通じてほぼ緩やかな成長を続けていると言えると思います。この10−12月に需要、特に消費が停滞するであろうということは、昨年9月ぐらいから私たちは警戒をし、民間シンクタンクが99年度の成長率を1%後半というのが増えたときも、この点は何度もご指摘したとおりでございます。その意味で、この1年10カ月間、政府は日本経済の動向を掌握し続けることができたと考えております。
(問)1−3の高い成長率を受けて、景気の現状判断の引き上げはありますか。
(答)それはこれから、このGDPあるいはQEだけではなくして、他の諸条件を含めて月例に向けて検討を開始するところでございまずか、今この1−3の数字から現状、現状といいますとまさにもう6月になっておりますから、4月、5月ぐらいの状況を見るわけですが、それがどう変わるか一概に申し上げられないと思います。
ただ、大きくいえば、経済は着実に回復をしてきている。ただし、まだ厳しい状況からは完全に脱してはいないとこういうことだろうと思います。
(問)先行きなんですけれども、今年度の政府経済見通しでは年度後半に公需から民需へのバトンタッチと打ち出しています。自律回復を宣言する時期は近づいているんでしょうか。
(答)それはさらに現状よりも先の話でございます。それで先ほど申し上げましたように、全体として見れば、経済はなお厳しい状況にあり、国際経済の動向や企業のリストラ過程での問題、雇用情勢の厳しさなど、懸念要素もあります。ここで重要なのは、公需の急激な減少を避けつつ、民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気の本格的な回復軌道に乗せていくという考え方でございまして、公需をどんどん増やさないかん状況ではないと思いますが、急激に下げるという状況では全くありません。したがって、公需を、先ほど申しました環境とかITとか高齢化とかいった面に絞って公需の一定のものを保ちながら民間需要の拡大を期待していく、待っていくということが大切だと思います。ここで性急にもう公需を切って民需に期待できるんだという状況ではまだまだないと思っていまます。
(問)重点を絞ってということなんですけれども、昨年の補正後と比べると公共事業はデフレ要因になっておりますけれども、今年の補正は必要なのかどうか、その点はいかがですか。
(答)これはもう少し状況を正確に、また最新のものを掌握してからでないと答えられないと思います。今、どちらの面も必要ないとも必ず必要だとも、どちらの面も確定的に言えませんので、どちらも否定しないという状況、その選択肢を除かないという状況ですが、このIT革命というのは大変急速に進んでおりますし、またこれがハードウェアやソフトウェアじゃなしにヒューマンウェアであるということから、立ち遅れると格差がひらくという状況があります。
ハードウェアでございますと、今つくらなくても後からつくるといいものができるんですね。東海道新幹線よりも東北新幹線の方が最新式になるというようなことがあるわけですけれども、ソフトウェア、使い方の技術というのは若いころに覚える方が覚えやすい。けれども、努力をして後から追いつくということも不可能ではありませんし、大体追いつけます。ちょっと苦労が多い。ところが、ヒューマンウェア、人間関係技術というのは先に進んだ方がその基準を多くの人に植えつけてしまいますから、後から取り返しがつかないという問題があるんですね。そういったことを考慮しながら、日本経済の将来、21世紀に向けた姿をどのように持っていくべきということとあわせてこの時期を考えなきゃいけない。したがって、単なる下支えとか需要という問題だけではなしに、いかなるものをいつやるかということも考えなきゃいけないと思っています。
そういう過程で、需給の均衡を図りながら、これから今年度の後半どのような経済政策を選択するか、慎重に考えるべきところだと思います。
(問)今回1−3月高かったことで成長率のゲタも高くなりました。2000年度の1.0%成長の達成見通しと、改訂で引き上げがあるのかどうか、その点はいかがですか。
(答)おっしゃるように、4−6月が高くて、真ん中がたるんで、今度1−3が上がったと、こういう形になっておりますから、かなりゲタがあります。試算していただくとすぐわかりますが、今のままで横にひっぱると、真ん中たるんでいるのが埋まる形になりますから、それで0.8ぐらいのプラスになるんじゃないでしょうか。これは去年も言われたことなんですけれども、去年の1−3が非常に高かったからそのまま引っ張ったら、0.5どころじゃなしに1.5ぐらいになると、民間シンクタンクなどはたくさんの方々がおっしゃったんですけれども、まずこれからの動向がどのようになるかということも考えなきゃいけません。
それから、来年になりますと、どういうような姿の経済を考えるか、その現実と理想という両面から追求しなければなりません。そういうことを積み上げた末、時期を見て改訂作業はやりたいと思っています。
一昨年、昨年と、98年、99年と改訂をやってきたわけですが、常に経済政策あるいは経済見通しに対して柔軟性を持つという意味で、改訂は慣習的にやりたいと思っていますから、時期を含めて検討したいと思っています。
(問)その改訂というのは上方修正を意識されているわけでしょうか。
(答)いや、どちらとも今申し上げかねます。けれども、どちらかといえば上方修正の方があり得る可能性は高いですね、今の姿でいいますと。
(問)あと、GDP統計のあり方なんですけれども、GDP統計が振れが大きいことを含めて、推計方法にいろいろ批判が集まりました。今回の数字というのは信頼してもよろしいんでしょうか。
(答)今のご質問には2つの意味があると思います。1つは、今回に限らず、日本の統計が統計学的に正確であるかと、あるいは中立性、他に影響されないでつくられているかという意味でありますれば、これは世界に冠たるものでありまして、何ら他の要素を入れないで、私自身も今朝の直前まで、閣議が終わるまでわからないという状況でつくられておりまして、非常に厳正につくられています。
もう1つ、この数字が確定値のときに変わらないかという意味でございますと、これは変わる可能性があります。過去においても何度か、毎回大なり小なり変わっております。これは全世界そうなんですが、その変わる率が比較的大きい。この比較的大きいというのは、先ほどの他の判断を入れないことの裏腹でございまして、判断を入れると、これはちょっと上がり過ぎているから今回は切っておいた方がいいよ、これは急に下がり過ぎているから今回は抑えておいた方がいいよと働くんですが、それを一切やらないでじかの数字を上げておりますから振れが多いんです。したがって、改訂があるかと、これを未来永劫信じていいかという意味でございましたら、改訂があるとお答えいたします。
(問)今回の結果の中で1つ明るい材料として、雇用者所得が1年ぶりに名目、実質ともにプラスになっていると。最近の求人の状況などもあわせて見ますと、雇用や所得の環境というのも下げどまりないしは持ち直しというのが展望できる状況かと思いますが、そのことと関連して、金融政策でゼロ金利の解除には今後どのような条件が必要になるとごらんになっていますでしょうか。
(答)ご質問の雇用者所得でございますけれども、これは1−3月で名目で0.5%、実質で1.2%の増加になりました。過去を見ますと、名目はずっと下がっております。98年の4−6月から下がっています。実質の方もほぼ同じでございますけれども、10−12月は名目は1.1下がり、実質は0.0でございました。つまり、デフレーターが下がっているということですね、これは注目すべきことです。こういう雇用者所得が上がったということは大変いい材料には違いないんですが、その反面、物価の下落が続いている、デフレーターが下がっているというのは、これまた注目すべきことでございます。日本銀行のおっしゃるデフレ懸念がなくなったらというような話がございますが、デフレ懸念の中にはもちろん雇用の問題、あるいは企業収益の問題、全体の需要、GDPの動きの問題などもございますが、物価もまた重要な要素でございます。そういうことを考えますと、今この時期にデフレ懸念がなくなったと一概に言えるかどうか。まだ検討を要する問題があると思います。
ゼロ金利問題というのは、ご存じのように、銀行間の超短期資金の問題でございまして、極めて金融的な問題でございますから、この判断にもGDP統計のようなマクロ経済以外の判断も入ると思います。その点、日本銀行さんもさまざまにご検討だろうと思いますが、私としては今は解除する時期ではないと考えております。
(問)もう1つ、政府経済見通しに関連してですが、民間需要の部分は公約というよりもむしろ予測という性格が強いのかと思いますが、公的需要、公共投資の部分はより政府の公約としての色合いが強いと思いますが、こちらの方の目標を大きく下回っていると。このことについてどうお考えかと。
それからもう1つ、要因ですね、どうして公共投資が減っているのか。お願いします。
(答)まず、公約ということはないと思います。政府の予算でこれこれの予算をつけて執行するというのは予算上決めたことでございますから、予算というのは一種の法律ですから重要なことだと思いますが、それによってGDPをどれだけどうするというのが公約だとは言えないと思います。予算はかなり十分に執行されて、使い残しが猛烈に出たというわけでもございません。そういう意味では公約云々という話ではないと思うんですが、予想に一番反したのがこの部分だというのは、恐らく多数の方から見て政府が一番動かしやすいところが一番違っているというのは奇異といいますか、妙に思われるかもしれません。
この数値は、1つは予算、それから補正予算、それに前年度からの繰り越し、これが国の分野であります。それに地方の裏負担あるいは単独予算、そういったものが含まれるわけなんですが、まずここで考えられる第1は、地方単独事業というのは地方財政の逼迫に伴って減少しているということがまず第1にあると思います。それから、執行形態の中で、時期の問題、あるいは政府直轄事業が増えれば地方の裏負担が減りますね。そういうような形態の問題等々があったものと思われます。これは私たちとしても非常に予想以上の減少、地方の財政に対する感覚はかなり敏感なのかなと思っております。
(問)その公共投資からお伺いしたいんですけれども、今おっしゃったような順から考えると、さらに国が補正予算をしたりして公共投資を追加するということ自体が、地方がもう既に息切れしてなかなかついてこれないという状況では、やること自体はもう少し考え直さなきゃいけない部分が出てきているんじゃないかと。
(答)国が公共事業費をつけて地方と共同でやるという事業は比較的推進されています。それが使い残されているわけじゃない。だから、ここで考え方が2つに分かれまして、1つは地方財政が息切れしている今こそ国がお金を出して地方と共同で必要な公共施設をつくるべきだという考え方が1つ。もう1つの考え方は、国がお金をつけて地方に必要なものをつくれば、その分地方の単独事業が減ってしまうんだと。だから、地方としては単独でもやろうと思っていたことを国が補助事業にしてくれたらやれやれという感じでそっちを削ってしまうから、総事業費としては増えないんだと。この両方の考え方があるんですね。どっちが強いか今必ずしもわかりません。もし、国が補正予算その他をつけていなかったらどんどん減っているかもしれないと。
地域あるいは市町村、あるいは同じ市町村の中でもプロジェクトによって2つの答えが知らされております。1つは国がこれをやってくれたからやれないと思っていた事業ができ、それをやられると、少ないけれども、とりつけ道路は単独でやらなきゃいかんからやっぱり事業はうんと増えましたよという人と、単独でやろうと思ったのに国が補助金つけてくれたからやれやれというので、単独事業を大幅に削れたという話とどちらもありますね。
(問)それから、設備投資なんですけれども、これは四半期ベースでは4.2でプラス、それから上期、下期に分けても下期はプラス、前年同期でもプラスというような数字ですね。そうすると、設備投資はもう底を打って反転を始めたと考えていいんでしょうか。
(答)この点は慎重に考えなきゃいけないと思います。最初にも申しましたように、これからの日本経済を考えていく上で一番重要なのは、設備投資の持続性でございます。現在のところは確かに底を打ってよくなってきている。特にIT関連等が増加しておりますのと、もう1つは比較的小規模な小売店、旅館などの投資が増えている。この小規模事業が増えているのが特徴なんですが、これが持続性があれば、おっしゃるように、もう設備投資は十分だと言えます。しかし、必ずしもそうは思えないと、必ずしもそう確信できないところがございまして、なお注目を要すると思います。
また、4月に先行指標がマイナスになったというようなこともございまして、この点IT産業あるいは小規模な小売店、飲食店などで起こっている減少がどこまで波及効果を持ってくるか。そしてそれが消費者にどこまで支持されるか。これはもう少したたないと見極めかねると思います。その間にやはり国もこの成果を踏まえてより持続的な民間設備投資が行われるように積極的な経済政策、これはあらゆる方法、例えば財政、規制緩和等も含めましてやっていかなきゃいけないんじゃないかと思っています。
(問)それから、外需なんですが、これは3年ぶりのマイナスになるということで、輸出が、輸出というか貿易が非常に回復に貢献したと言われながら、数字的にはかえって逆の減少になっていますね。これはどういうふうに受けとめられますか。
(答)これは10−12月がすとんと落ちたんですよ。輸入がものすごく増えたんです。その理由は、コンピューター2000年問題で部品なんかは早く手当しておかないとというのがあったようです。それからもう1つは、航空機のような大物がどかっと入ったようです。それで、1−3月は相当回復していますね。だから、11年の1−3月、4−6月というのはまだアジア経済の回復があっても需要が出ない状態で日本に輸入の方が増えたと。それから、7−9月から日本の輸出も増え出したけれども、10−12月にそういうような例外的なことがあって、そして1−3月に平常へ戻るという運動をしていると、そういうことなんですね。だから、これは長期的に見ると可もなく不可もなくだと思いますね。両方とも、輸出も輸入も拡大する形で拡大均衡になっていますから、いい姿だと思っています。
(問)先ほど99年度はしっかりしたプラス成長だと。しかし、厳しい状況で、必ずしもゼロの上ではないというふうにおっしゃっていますが、はっきりとしたプラス成長でもまだ水面下だという意味ですか。
(答)日本経済の自然成長率というのは2.0%ぐらいだと言われているんですね。だから、プラス成長になったとしても、日本経済の持てる実力から見ると、成長率の低い方にしかまだ来てないという感じを持っています。だから、一般の方々の実感も、景気はよくなったかと聞かれたら、好景気かと聞かれていると思う人はまだまだと返事します。1年前よりよくなったかと聞かれていると思った人は確かによくなっていると答える。我々の景気ウォッチャーの場合は明確に3カ月前に比べてと念を押しておりますと、50%を超えておりますけれども、その辺の感触からいいますと、日本経済への自然成長率に至っていないという意味ではまだ水面から顔は出てない、頭のてっぺんが出たかなというような感じじゃないでしょうか。
(問)その自然成長率というのは潜在成長率のことですか。
(答)そうです。
(問)いつも大臣がおっしゃっているレトリックでお伺いしたいんですけれども、日本経済は離陸はしたと。ただ、その角度を上げていくために、例えばこの一連の数字というのはこれから追い風となっていくのか、あるいはまだ一時的な突風でしかないと。だからこそもっと支えていかなければいけないのか。その辺はいかがでしょうか。
(答)私はこの一連の数字、最近の動向は追い風だと思っています。しかし、その追い風だけでハンググライダーのように日本経済という大きな機体は上がることはできない。したがって、エンジンでアフターバーナーをかけなきゃいけないという状態だと思います。決して逆風ではないと思います。ただし、国際経済の動向から逆風が吹く可能性もあります。これは1つの懸念材料でございますが、そういうことにも備えて日本経済はよりしっかりとした回復軌道を進まねばならない。その点で私は今こういうプラスになったからといって、急に軌道を引き締め方向に変えるのは最も危険な方法だと思っています。
(問)うるう年なんですけれども、それによって引き上げ効果はどのぐらいあったと思いますか。
(答)その点も私どもの方で調査いたしました。けれども、うるう年効果は結果としては把握困難でございます。前にも、4年前にもうるう年があったわけですが、4年、8年前のうるう年を見てもどれぐらいの効果があるか数字的には出せません。それで、1つの方法として、月極めのものとして家賃と教育を除いて消費にうるう年効果があった食べるものとか旅行とかタクシー代とかいうようなものは、1日長ければそれだけ余計使うというような最大限の見方をいたしますと、GDPで0.1%ぐらいの効果はあったのかなというような答えが出ますが、決してそれほどあったとは思えません。それよりも低い、はるかに低いと思います。
2月の家計調査を調べましたところ、このうるう年効果は認識できる数字になっておりません。だから、なかったとは言えないまでも、極めて微小であった。これなかなか難しいんですね。ごはんのようなものなら必ず1日余計食べますけれども、家賃は1日長いから多いわけではない。給与も1日多いから高くくれるというのは、日当の人はそうですけれども、普通の月極めの人はそうでない。そうすると、1日余計食べたものをどっかで削っているんだという説もありまして、なかなか認定は難しいので、はっきりしません。いずれにしても、微小だったという感じであります。
(問)そういううるう年効果みたいな特殊要因が微小だとすると、結局消費にしても、ここのところでは高い伸びを示していますが、個人消費の認識というのは実態だと上がってきたといいうことなんですか。
(答)前期が下がっているから、2期合わせてみるとそれほど大きくないんですけれども、それにしても回復してきたとは言えると思いますが、顕著な回復というわけではないと思いますね。前の10−12が下がっていますからね。
(問)ただ、年度でいけば2年連続のプラスですね。しかも、前の年よりも倍増というような形で伸びが高かった。ということは、数字で見る限りは、それほど低迷しているとか、渋っているとかいうふうな見方ができにくいんですけれども。
(答)給与の伸びは先ほど申しましたように低いんですけれども、物価が下がっているでしょう。だから、実質にすると上がってくるんですけれども、お店の方から見ると、実質なんて関係なしに今日の売り上げで見ているから余り景気がよくないと、こういう話が伝わってくるわけですね。だから、そこは物価が下がっているというのが1つ入っておりますから、消費の点は余り強いとはいえない。しかし、今年に入ってからは着実に伸びているという、4月、5月のものも含めて着実に伸びていると言えるんじゃないかというような感じですね。
(問)今年ほどの、1.2%ぐらいの消費の伸びというのは、これからを考えた場合にはかなり適正な伸びじゃないかという見方もあるような気もするんですけれども。
(答)実質が1.2ないし2%、その間ぐらいであって、物価が適切なごく緩やかな上昇ぐらいになれば消費の形としてはいいと思います。
(問)為替なんですけれども、最近、円高が進みまして、大蔵大臣からの発言が出まして、円高がこれ以上進むと、これからの景気回復にとってはどのような影響がでるとお考えでしょうか。
(答)為替はいろいろと危惧されながらも、大体100円代の中ごろといいますか、100数円から110円の間のボックス圏みたいなところを動いておりまして、ここしばらく不安の少ない状況が続いてきました。最近3円ぐらい上がりましたけれども、ごく最近のことであり、また上げ幅もそれほど驚くべきものじゃございません。100円台、100円と110円の間を往復するボックス圏の中で何度かあったことでございますから、これを直ちにどうということはないと思います。むしろ、アメリカ証券市場とか、為替を動かしている元の方の動きに注目しております。
(問)補正についてなんですけれども、大蔵大臣は4−6を見てからというようなことをおっしゃっていたんですけれども、大臣は最新のものを掌握してから考えたいというふうにおっしゃっていますが、その最新のものというはどういうものを指すのでしょうか。
(答)その決断ができるような要素が出てきたら。だから、それが4−6かもしれませんし、それよりも早くできるかもしれない。同時に、新しい基盤整備に向けて、補正を組む、組まないにかかわらず、そういった特定のもの、ITとか環境とか高齢化対応について用意をするということが必要なんじゃないかと思っていますね。
過去二十何年間ずっと見まして、予測と実績が一番近かったのが昭和51年、1976年の当初見通しが5.6%、速報値、今日のやつですね、5.8%、差が0.2%。それから、もう1回が54年、79年でございますが、予測値が6.3%、実績値が6.1%、差がマイナス0.2%と。この2つが一番近くて、それ以来、1979年から約20年ぶりに記録を更新したということでございまして、かなり予測値に近い値が出ました。ただし、記録の中にはすごいのがありまして、最後に平成2年基準に組み換えたときに成長率が変わりました。変わった結果どんぴしゃり事後的に当たったというのがあるんですね。これが昭和59年でございますが、平成2年ですから、ずっと後で改訂したら過去にいっているのに当たっていたというのがあります。そのときはもっとも実際は4.1%の見通しが、速報値では5.7%ですから、1.6%も違っていたんですけれども、事後的に当たっていたというのがあります。それを別といたしますと、今回は98年暮れにほとんどの方々が確実にマイナス成長だと言われたときに、0.5%ぐらいのプラス成長と申し上げたことに非常に近い数字が出ていたと。そういう意味では中身がちょっと違いますし、その間にさまざまな調整政策もとりましたけれども、非常に近い数字が出たと。小渕内閣が努めてきた期間、十分に経済動向を掌握できたんじゃないかと考えております。
(問)先ほど、政策的支援を今縮小するのは危険であるとおっしゃり、それから自然成長率、潜在成長率は2%だというふうにおっしゃったわけですけれども、財政的な支援という面で見ますと、どのくらいの水準を想定されて。あるいはそれから2%に達するまでに民需が足りないならやはり公需で支えなきゃいけないというふうにお考えですか。
(答)先ほど申し上げたのは、公需を急激に減らすという段階ではないというふうに申し上げました。そして、そのために積極的な経済政策が今後も必要だと申し上げました。そして、補正予算についてはさまざまなものを見て必要かどうか、その決定する時期も含めて検討すべきだと申し上げました。
つまり、民需が十分に伸びないときに公需が急激に減るような極端な政策は避けるべきだと。やはりなだらかに変えていくべきだと考えています。そのときに補正予算が必要かどうかはなお多くの数字、これから出てくる多くの数字を見ながら決めていく必要があろうかと思います。そのときも仮にそういう補正予算というような話になったときもIT革命や環境、高齢化というようなところに重点特化した、そういう未来基盤をつくるような形のものがいいのではないかと、こう申し上げたんでございます。
潜在成長率の2%に達してないというのは、これはまた別な話で申し上げたので、今人々が実感として経済がよくなったという割に実感しないよというのは潜在成長率を下回る厳しい状況というのはやっぱりあるんだろうなと、こういうことでございます。
(問)それに向かって財政を進める。
(答)それに向かって財政をということじゃなしに、財政を、積極的な経済政策を行うことによって、民需中心に潜在成長率に適合になるように軌道を敷く、方向性をひくということが大事だと思いますね。
(問)公的資本形成のところで、3期連続でかなり前期を下げていますよね。これは急激な下げとは言わないんですか。
(答)これは相当補正予算の手当をしたにもかかわらずこれだけ下がっていますから、だから幸いにしてこれだけ下がったにもかかわらず民需が支えてくれたんですけれども、これはやっぱり今年の後半を考えると、注目すべき数字だと思っています。
(問)月例経済報告なんですけれども、今日のデータを踏まえて、もう1歩前進だなという意見もあるんですが、その辺はいかがですか。
(答)それはこれから検討いたします。
(問)ちょうど1年前のQEの数字がやや発表前に外に漏れたということがありましたけれども、今回、大蔵省の法人季報を受けて、民間のシンクタンクの出した予想の数字はかなり強めの数字がでていたかと思うんですが、その中で昨日、官房長官がややトーンを落とした、どちらかというと弱気の発言をなさいました。結果としては青木さんの発言に沿ったような形になりましたけれども、情報管理という点では何か問題とか、そいうのはないでしょうか。
(答)青木官房長官がどのような情報でおっしゃったかわかりませんけれども、下振れしたときの用心に0.4以上ということをおっしゃったんじゃないでしょうか。全く青木官房長官がこの数字を事前に知っておられたことはありません。私も知らなかったし、そもそも数字が今朝の8時ごろまでできておりませんでしたから、ないものが漏れるはずがないんであります。民間シンクタンクの方々が0.6を上回るような数字をお出しになりましたが、それはそれぞれの判断でお出しになったことでありまして、私たちの計算とは関係ございません。要素はそれぞれ出ておりましたから。
(以 上)